【アイマスSS】木下ひなた「りんごアイドルさん」辻野あかり「がんばる!んご!」 (38)


~カフェ~


砂塚あきら「……」

夢見りあむ「……」

白石紬「……」

エミリー「……」


あきら「#どうしてこうなった」



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~数日前・お昼時:女子寮~


『こんにちは。今日も始まりました、王様のランチ! 司会はーー』


辻野あかり「わっ! は、始まった……! 始まったよあきらちゃん!」ユサユサ

あきら「#揺らさない #酔う」ユサユサ

りあむ「うわ! 始まっちゃった!? ぼくも見たい!」ヒョコッ

あきら「りあむサンは火使ってるんデスから目離しちゃダメでしょ」

りあむ「うわあああそうやってぼくだけ仲間外れ! やむよ!」

あかり「こ、コーナーが始まるのはまだだと思うから大丈夫ですよ! 詳しくは聞いてないけど、最初ではない……はず……んご……!」

あきら「そうデスよ。餃子焼くの一番上手いのりあむさんなんだから、お願いします」

りあむ「……ぼくが……いちばん……んふっ……仕方ないなあ! ふふふ……!!!」ヒョコッ

あきら「#ちょろすぎ #不安」

あかり「まあまあ……」


『さて、CMの後は~!』

『話題のカフェにテレビ初潜入! 人気メニューは……リンゴを贅沢に使ったパフェ!?』


あかり「!」

あきら「!」

あかり「り、りあむさん! 次んご! CMの後!」

「まじ!? ま、待ってよ! 今焼きあが……熱っつ!!!!!」

あきら「……はあ。手伝いますよ」トコトコ

あかり「わ、私も」

あきら「あかりは大丈夫。見逃しちゃダメでしょ」

あかり「あ、ありがとう……!」


りあむ「ふぃ~、間に合った! ぼくの目論見通り!」

あきら「手、冷やしとかなきゃデスよ」

あかり「や、ヤケドんご!?」

あきら「そこまでじゃないからあかりは気にしないでいいよ」

りあむ「なんで本人より先に答えるのさ!」

あきら「はいはい、始まるから」

りあむ「あきらちゃん冷たい! ぼくにあったかいのは餃子だけ……美味しい……」モグモグ

あかり「りあむさんの餃子、今日もとっても美味しいんご!」モグモグ

りあむ「はぁ~~~天使かな???」

あきら「#情緒不安定」

りあむ「そんなタグ作らなくていいから!」


『と、というわけでやってきました! こちらのカフェが今、話題らしいんご……らしいです!』


あきら「#言い直した」

あかり「うっ……い、いざお仕事って考えると不安になっちゃって……」

りあむ「あ~! あきらちゃんがあかりちゃんいじめてる!」

あきら「い、いじめてないから! #黙れ最年長」

りあむ「黙れとか! ひどい!!!」


あきら「でもこのロケ、確かおとといくらいでしょ? もう使われるんだ」

あかり「うん、なんでも、使うはずだったコーナーに出てた芸人さんが不祥事?みたいな感じで、いきなり枠が空いちゃったって」

あきら「放送自体は生だからいいけど、編集、秒で終わらしたんだ #プロの仕事」

りあむ「不祥事……ま、まありあむちゃんには関係ないけどね!」

あきら「いや、りあむさんが一番危ないデスって」

りあむ「……やっぱり?」

あきら「言い返さないあたり、自覚はあるんデスね……」

りあむ「今やちょっとの炎上で消されちゃう時代……! やむどころの騒ぎじゃないよう……」ガタガタ

あかり「芸能界こわいんご……!」ガタガタ

あきら「自分とあかりを巻き込まないでくださいね」

りあむ「あきらちゃんぼくに厳しくない!? ってかあかりちゃんに甘くない!?」


りあむ「しかしあかりちゃんの初仕事がテレビのロケ……! 目の前に本物のアイドルがいる……!」ナムナム

あかり「ふ、ふたりもすぐですよ!」

あきら「ずいぶん急だったけど……平気だった? ……って、それをこの放送で見ればいいのか」

あかり「う、うん、確かにひとりだったら不安だったかもだけど……」


『うわぁ~、美味しそうだべさ。おっきなリンゴが乗ってるんだねぇ』


あかり「心強い仲間がいたから! んご!」


~同時刻:765プロ~


『で、でもこれ、リンゴでパフェが塞がれちゃってるんご! どうやって食べるんですか?』

『お皿がもうひとつあるから、こっちに取り分けるのかなぁ』

『なるほど!』

『ああ、これ、リンゴの形のケーキなんだねぇ。ひゃっこくて甘くて、ほっぺが落ちそうべさ……!』モグモグ

『中にリンゴも入ってる! 煮リンゴんご!』

『んごんごって、あかりさんは可愛いねえ』

『あっ……で、出ちゃってた……』カァァァァァ


木下ひなた「……」

ガチャ

エミリー「お疲れさまです。ひなたさん、おひとりですか?」

ひなた「おお、誰かと思ったらエミリーちゃんかい。悪いねえ、ちょうどあたししかいないんだべさ」

エミリー「い、いいえ、そういう意味ではないです! ……番組をご覧に?」

ひなた「そうだよぉ。このあいだお仕事したばかりなんだけど、もう放送だって。びっくりだねえ」

エミリー「そうなんですね。一緒に拝見してもいいでしょうか?」

ひなた「もちろんいいべさ。したっけ、こっちにどうぞ」ポンポン

エミリー「それでは、失礼いたします……って、Wow! 美味しそうな洋菓子……林檎……でしょうか?」

ひなた「うんうん。さっきまではあのパフェの上に乗ってたんだよぉ。見た時はなまらたまげちゃってさぁ」

エミリー「菓子の世界も、印象的な見た目というのは大切なんですね……!」


ガチャ

紬「おや」

エミリー「紬さん!」

紬「お疲れさまです。テレビをご覧になっているのですか?」

エミリー「はい! ひなたさんが出演しているんです!」

ひなた「出演っていっても、ほんの数分のコーナーだよぉ」

エミリー「紬さんもこちらへ来て、一緒に見ましょう!」

紬「では、失礼します……お洒落なカフェに行かれたのですね」

ひなた「んだべさ。食後のアップルティーも美味しくてねぇ」

紬「それは良いですね……あれ?」


『ふぅ~、パフェも美味しかったけど、このアップルティーもいい匂いんご……』ピコピコ


紬「こちらの、木下さんと共演されている方は?」

エミリー「そういえば、初めて見ますね」

ひなた「そうだよぉ。他の事務所の娘さんなんだけど、なんでもアイドルになったばかしで、初めてのお仕事だって言うんだから。とっても緊張してたけど、可愛い人だったよぉ」

エミリー「新人さんなのですね……!」

紬(あの頭の……アホ毛?と形容すべきかわかりませんが……どのような仕掛けで動いて……???)


~コーナー終了~


ひなた「特に問題はなかったみたいで、良かったねぇ」

紬「はい、木下さんとあの……辻野さん……でしたか、の純朴な雰囲気が心地よいと感じました。プロデューサーはデリカシーの欠ける人ですが、この采配は褒めても良いのではと思います」

ひなた「ふふっ、紬さんはプロデューサーに厳しいねぇ」

エミリー「その厳しさも、紬さんの素敵なところです!」

ひなた「わかるよぉ」

紬「あ、あんまり褒めんといて……」


『はい、美味しそうなパフェでしたね~』

『ひなたちゃんとあかりちゃんの食レポもよかったですね』

『思わず私も食べたくなっちゃった』

『ふたりとも、リンゴが好きだということなので、また次はプライベートでもね!』

『”アイドルがいるカフェ”って、話題になっちゃうかもですね』

『あはは、確かに! それでは次のコーナーに――』


ひなた「……あ」

エミリー「?」

紬「木下さん、どうかされましたか?」

ひなた「そうだべさ、たしかあのロケのあと、あかりさんと”いっぱいメニューあったから、またロケじゃなしに来ようねぇ”って約束したんだったよぉ」

紬「そうだったのですね」

ひなた「連絡先もちゃあんと聞いたのに、忙しくて忘れちゃって、申し訳ないことしたねぇ……今からでも遅くないだろか?」

紬「ええ、大丈夫かと。きっと辻野さんも待ってますよ」

エミリー「そうです! それに、まだ撮影から数日だと仰っていたではないですか。しかも日本の芸能界は上下関係に厳しい社会……! お相手のあかりさんも、芸能界の先輩であるひなたさんにはなかなか送り難いかもしれません……!」

ひなた「そういうもんかねぇ。先輩なんて、そんな大層なものではないんだけれども……」

ティロンッ

ひなた「……おや?」


『お久しぶりです! 辻野あかりです! 先日はお世話になりました。ちょうど今、その放送がやっておりいまして、もしご迷惑でなければまた今度行きませんか? パフェ以外にもたくさん、リンゴメニューのがあるみたいです! お忙しいとはお思いますが、よろしくお願いいたします。アイドルについて、いろいろ聞いてみたいです!』


~同時刻:女子寮~


あかり「お、おおお送っちゃったんごごごごごご!!!!!」

あきら「あ、ちょっと誤字ある……」

あかり「なして送ってから言うん!?」ンゴー!?

あきら「あかり、方言出てる」

あかり「はっ!」

りあむ「ひなたちゃん、優しそうだからきっと平気だって!」ポンポン

あきら「……自分が送る立場だったらビビるくせに」

りあむ「とーぜんでしょ! だって天下の765プロだぞ!? 何か粗相あってからじゃ……」

あかり「……」ズーン

りあむ「あ」

あきら「#黙れ最年長」

りあむ「そのタグ2回目!!!」ウワーン


あきら「あかり、大丈夫。文面は丁寧だったし……いや、そんな正しい文章とか自分もわかんないけど……撮影でのひなたサン、優しかったんでしょ?」

あかり「う、うん……! 緊張してる私に話しかけてくれたし、ロケ中もフォローしてくれたし……!」

りあむ「はぁ~天使か! 見た目も天使だけどその上優しいとか! ぼくもこれからいろいろなアイドルと知り合うんだよね……尊さにやられないようにしなきゃ……」

あきら「共演NGとか、笑えないデスからね」

りあむ「ネガティブな未来ばっかぶつけるのやめろし!」

あかり「むむむ……」ジー

あきら「そんな画面とにらめっこしても来ないと思うけど……」

ティロンッ

あかり「きたんご!!!」

あきら「#フラグだった」


『奇遇だねぇ! ちょうどこっちでも、おんなじこと話してたんだよぉ。あたしも行きたいって思ってたけど、連絡してなくてごめんねぇ。アイドルについて……はうまくしゃべれるか自信ないけんど、せっかくだからいっぱい話そうねぇ。それで、今度の週末とかどうかな? お返事、待ってるねぇ』


あかり「よかったんご……」ヘナヘナ

あきら「#そんなに」

りあむ「わかる! ぼくも”これは怒られる!”って思っててそんなでもなかったらそういうリアクションなる!」

あきら「あかりと一緒にしないでください」

りあむ「保護者か!」

あきら「あかり、ほら、返さないと」

りあむ「無視!?」

あかり「そ、そう! 返さなきゃ……! えっと……大変光栄に存じ上げ候……」

あきら「#武士かな?」


りあむ「……」

あきら「……どうかしました?」

りあむ「いや……ひなたちゃんのメッセージ……」

あかり「?」

りあむ「なんか手紙っぽくて……いい! あったかい!」

あきら(……ちょっとわかると思ってしまった)


~週末:駅前~


あかり「……」ソワソワ

あかり「……」ドキドキ

あかり「……」ピコピコ


あきら「あかり、目に見えて緊張してる……」

りあむ「……ねえねえ」

あきら「ま、無理もないか。相手は先輩だし」

りあむ「……ねえねえ」

あきら「ロケと違って流れも決まってないし……それにしても集合時間の30分前は早いと思うな」

りあむ「ねえってば!」

あきら「#うるさいデス ……何か?」

りあむ「本音がタグで漏れてるし!!!」


りあむ「いや、何でぼくたちは物陰からあかりちゃんを見守ってるの……?」

あきら「別に着いてこなくてもいいって言いましたけど」

りあむ「それじゃぼくだけぼっちじゃん! オフなんだから! 寂しいし!」

あきら「そうデスか」

りあむ「塩! やむ!」

あきら「……」

りあむ「……ちょっとあかりちゃんに過保護すぎるんじゃないの~? ほれほれ~」ツンツン

あきら「……そういうんじゃないし。帰ってもいいデスよ」

りあむ「あっ! ホシが出現!」

あきら「#誰がホシだ #張り込みか」


ひなた「ごめんねぇ、待たせちゃったかい?」

あかり「い、いえいえ! そんなことないんごですんご!(?)」

ひなた「ふふっ、あいかわらず楽しい話し方だねぇ。ま、あたしの方が訛ってておかしい話し方だけども」

あかり「そ、そんなことないですよ! とっても個性的で可愛いです! 田舎を思い出しますし……」

ひなた「おや、そういえばそんなことも言ってたねぇ。ま、立ち話もよくないから、お店に行かないかい?」

あかり「はいんご!」ビシッ


あきら「#なぜ敬礼」

りあむ「ホシ、移動開始ぃ!」

あきら「#誰がホシだ」


~カフェ~


ひなた「お客さんがいっぱいだねぇ……!」

あかり「ま、前の時はロケだったから人を避けてくれたんですかねっ!」

ひなた「それもあるだろうけど……」

あかり「?」

ひなた「きっと、あたしたちの紹介を見て、来てくれたのかもしれないよぉ?」

あかり「そ、そそそそんなこと……!」

ひなた「あたしも、アイドルになったばっかしの時はよくわかんなかったんだけどもねぇ、思ってる以上に、みんな見てくれてるんだべさ。ありがたいことだなぁって」

あかり「見てくれてる……」

ひなた「田舎から連絡は来たかい? あたしの時はこーんなに長い手紙が届いてねぇ。なまらびっくりしたべさ!」

あかり「わ、私も電話がきました! 地元の友達からもメッセージとか……アイドル……ですから……!」

ひなた「うんうん、よかったねぇ。あかりさん」


ひなた「しかし、歳が上なのにあんまし丁寧に話されると、なんだか変な気持ちだねえ」

あかり「い、いえ! 先輩なので!」

ひなた「そうかい? それじゃあ、もっと仲良しになってからのお楽しみにしようかねぇ」

あかり「は、はいっ!」


あきら「……ま、話は続いてそうかな」

りあむ「うわ! このケーキ美味しそう! こっちも捨てがたいな!」

あきら「……太りますよ」

りあむ「うっ!!!」グサッ


りあむ「そ、その分レッスンすれば……!」

あきら「はいはい……あれ?」

「すみません、現在店内が込み合っておりまして……ご相席をお願いできますでしょうか?」

りあむ「ううぇ!? し、知らない人と相席……!? ぜったいこの髪の色見て引かれるじゃん……”せっかくのスイーツが不味くなる”とか言われでもしたらああああ」ブツブツ

あきら「あ、いいデスよ」

りあむ「ちょっ!!!」

あきら「だってこれ断ったらあかりとひなたサンのとこ行っちゃうかもじゃないデスか」

りあむ「ぐぬぬ……確かに……!」


「ご相席、失礼いたします……」

あきら「あ、どうぞ……って……」

謎の帽子&マスク&サングラスA「……」

謎の帽子&マスク&サングラスB「……」

あきら・りあむ(あ、怪しい……!!!!!)


A「木下さんは……」ボソボソ

B「あちらのようです……」ボソボソ

あきら「!」

あきら(この人たち、ひなたサンのファンか……? 何かしそうなら……通報の準備くらいは……)

りあむ「……」

あきら「って、りあむサン、どうかしたんデスか……」

りあむ「……もしかして……いや違う……? いやでも今の声は……髪も……」ブツブツ

あきら「りあむサン?」

りあむ「でも人違いならやむし……」

あきら「おーい」

りあむ「……よし、あきらちゃん」

あきら「?」

りあむ「この前、資料室で見た765プロのライブ、凄かったよね! 流石って感じ!」

A「!?」

B「!?」

あきら「はぁ? なんデスか急に……」

りあむ「凄かったよね!?」

あきら「は、はぁ……そりゃ、天下の765サンですし……」

りあむ「ホント憧れるなー! みんな可愛いし!」

あきら「そうデスね……って」

A「……」

B「……」

あきら(めっちゃ聞かれてる……!?)


あきら(いや、ひなたサンのファンなら765プロの話題は気になって当然か……?)

りあむ「特にあの衣装! すっごい綺麗だったよね!」

あきら「どれデス?」

りあむ「紬ちゃんの!」

A「!!!」ガタガタッ

あきら「だ、大丈夫デスか……!?」

A「お、お構いなく……」

りあむ「あと、あのダンスも見惚れちゃった! エミリーちゃんの!」

B「!!!」ガタガタッ

あきら「だ、大丈夫……」

B「お、お気になさらず……」


あきら(もしかして……りあむサンもこの人たちが765プロ好きだと気付いて、食いつくのを待ってるのか……?)

りあむ「紬ちゃんもエミリーちゃんも立ち振る舞いが優雅でいいよね! 大和撫子って感じで!」

A「!!!」ガタガタガタガタッ

B「!!!」ガタガタガタガタッ

あきら(……)チラッ


あかり「この前レッスンで――」

ひなた「やっぱり最初はみんな大変なんだねぇ――」

ワチャワチャ


あきら(ま、あっちは大丈夫そうだし……付き合ってあげるか)

あきら「そうデスね。やっぱりホンモノは違うって感じたかな」

りあむ「さっすが話がわかる! 瑠璃色金魚とか、聞くたびにレベルが上がって心にクルんだよぅ!」

あきら「エミリーサンの方だと、最近の……シャルシャロ? でしたっけ。可愛かったデスね #自分には縁がないファッションだけど」

A「……」プルプル

B「……」プルプル

あきら(もう一押し……?)

りあむ「いやー! あんな可愛くて綺麗なアイドルが近くにいればなー!」

あきら「実在するなんて信じらんないデスね。まさに偶像。ファンを虜にするの、簡単じゃない」

りあむ「ああ、顔が良い声が良い歌が良い踊りも良いなあ!!!」

B「あ、あの……」

あきら(来たっ)

A「もう……かんにんして……」スッ

あきら「……堪忍?」

紬「うち……顔から火が出そう……」カァァァァァァ

エミリー「私もです……」カァァァァァァ

あきら「えっ本人!?」

りあむ「やっぱり!」

あきら「えっやっぱり!?!?」


あきら(取り乱しちゃった……)

あきら「り、りあむサン、気づいてたんデスか?」

りあむ「自信なかったから回りくどいことしちゃった……ごめんなさい……やむ」

あきら「なんで凹んでるんデスかめんどくさっ!」


あきら「……」

りあむ「……」

紬「……」

エミリー「……」


あきら「#どうしてこうなった」


紬「そ、そもっ! 気付いていたのなら普通に聞いてくださればよかったのではないのですか!?」

りあむ(うわぁ、お、怒ってる……! そうだよね……どうしよ……!? とりあえず謝って、いきなり話しかけられても紬ちゃんに迷惑かなって思ったし、そこまでして紬ちゃんに認識してもらう価値がぼくにはないと思って回りくどいことしちゃったことを謝ろう!)←伝えたかったこと

りあむ「ごめんなさい……そこまでする価値はないかなって……」←出力

紬「そ、それはつまりうちには気付かれたら話す程度の価値しかないと仰りたいのですか!?」

りあむ「ひええええええ」

あきら「#りあむサンが悪い」


エミリー「つ、紬さん、落ち着いてください! この方々もきっと、悪気があったわけでは……」

紬「エミリーさん……すみません、はしたない姿を……」

紬(確かに、この人達が私たちを褒めてくださっていたことは事実……。照れ隠しとはいえ怒りを露わにしてしまうなんて……うち……。まず、自惚れでなければこの方々は765プロのファン……。そのことに感謝しつつ、喜んでくれる方々に会えてこちらも嬉しいという気持ちを伝えなくては……!)←伝えたかったこと

紬「ありがとうごさいます……。本当に……おめでたい方々に会えて嬉しく思います」←出力

りあむ「アイドルに会ってテンション上がるファンにおめでたいとか言うか普通!?!? 皮肉か! その程度しか娯楽がないぼくへの皮肉か!!!」

紬「ひいいいいいい」

エミリー「つ、紬さん!」

あきら「#似た者同士か」


ひなた「なんだかあっちが騒がしいねぇ……?」

あかり「都会のお店はお客さんも元気んご……」

ひなた「そうだねぇ。あたしも最初はびっくりしちゃったべさ。どこ見てもひと、ひと、ひと……!」

あかり「私はまだ慣れてないです……」

ひなた「あたしもまだまだだけどねぇ、でも、ライブの会場なんかはもおっとお客さんでいっぱいだよぉ?」

あかり「ライブ……」ブルッ

ひなた「あらら、びっくりさせちゃったかい? ごめんねぇ。はい、あたしのケーキ、一口どうぞ?」

あかり「え……いいんですか?」

ひなた「もちろん、遠慮することないべさ」

あかり「じゃあ……ん! 美味しいんご……!」

ひなた「ふふっ……あたしもね、初めてのライブ、緊張したなぁ」

あかり「ひなたさんも……?」

ひなた「もちろんだよぉ。でも、周りのみんなが励ましてくれたり、あとは、今のあかりさんみたいに……」

あかり「?」

ひなた「りんごを本番の前に1つ、齧ってみたらね? みるみる体が軽くなったんさ。不思議だねぇ」

あかり「……」

ひなた「りんごアイドルになるんだよねぇ?」

あかり「は、はいっ! 山形りんごと一緒に!」

ひなた「あたしも応援するよぉ。あたしは北海道だけど、目標がしっかしとある人はかっこいいべさ。したっけ、一緒にがんばろうねぇ」

あかり「……はいっ!」


ひなた「おおっと、ごめんねぇ、この後、レッスンが入ってるんだぁ」

あかり「あ! お、おつかれさまです! ありがとうございました!」

ひなた「こっちこそ、なまら楽しかったべさ。また来ようねぇ」

あかり「ぜ、ぜひ!」

ひなた「芸能界って、あたしが思ってたよりもとーっても広いんだけど、きっと、縁があれば何回でも会えるべさ!」

あかり「! ……はいっ!」

ひなた「したら……」

ピピピピピピピ
ピピピピピピピ

ひなた「あ、電話だねぇ」

あかり「あれ、私も……」

ひなた「もしもし? ひなただけども……」

あかり「はいっ! 辻野です!」

『お、ひなた、急に悪いな、この前の辻野さんとのカフェの撮影なんだけど、評判が良くて……』

『ああ、辻野さん。お休みにすみません……。先日の、765の木下さんとカフェを紹介したお仕事にけっこう反響があったらしく……』

『もう一度どうかって……どうだ?』

『もう一度どうですか? と。……どうですか?』

ひなた「!」

あかり「!」

ひなた「……ふふっ」

あかり「……あはっ」



「「もちろんっ!」」




おわり




~おまけ~


りあむ「って、あかりちゃんもひなたちゃんもいないし!!」

エミリー「本当ですね……いつの間に……!」

あきら「じゃ、自分たちも解散しますか」

紬「そうですね……おふたりも駆け出しのアイドルとのことで……ファンと勘違いしてしまい申し訳ありませんでした……」

あきら「別に大丈夫デスよ……(こっち通報しようかと思ってたし……)」

りあむ(さ、最後に何か言わなきゃ……。もうぼくはファンじゃなくてアイドルなんだし……そうだ! ”次に会う時は舞台の上だ!”みたいなこと言ったらカッコいいかも! もうファンじゃなくライバルだぞって! 多少大きく出た方が印象的でいいでしょ!)←伝えたかったこと

りあむ「じゃあね! もうライブは見ないから!」←出力

紬「それは直接会ったことでステージすら見たくない程に失望したということですか!?」

りあむ「ひええええええ」

あきら「#反省しろ」



おわり




ありがとうございました


直近の過去作


神谷奈緒「専務になっても憎めない」

神谷奈緒「Pさんと話してたら他のアイドルが修羅場っぽくしてきて面倒臭い」

【モバマスSS】P「ちょっとうづりんで俺を取り合ってくれないか?」

日野茜「文香ちゃん!ペットが飼いたいです!!」鷺沢文香「まずは知識から……」

【モバマスSS】泳げ!なおかれん!


などもよろしくお願いします

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