―黎い羽が舞い降りた。
―ひらりひらりと抹する。
―世界というキャンバスを塗りつぶす。
―徳を背にし、森羅万象の一切を冒涜し
―あらゆる魂を蹂躙する。
―否、此れは魂でなく燃えカスか。
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まどか「ぁ……ぁあ……」
ほむら「……」
未だ知らない愛しい子。
未だ"私たち"を知らない愛しい子。
無論、燃え塵~魔女~を知らない愛しい子。
嗚呼、幾度繰り返したか。
私はこの子を救うべく。
私はこの子の生のため。
私は―
ほむら「――大丈夫?」
まどか「――ひッ……!」
……怪異に向けるその眼差し。
魔女はもう居ない。
アレは私がもう"染め上げた"。
――であれば、この瞳は私に向いている。
ほむら「――そう」
なら、大丈夫。
これなら……私のやる事は変わらない。
まどか「あ、あなたは……なに……?」
――私は、あなたを誰よりも想うもの。
――あなただけを"標"とし、刻~とき~の無限回路に囚われたもの。
――でも、もうそれも終わり。
――今の私の歩む道は無限回路でないもの。
――だから、今の私は―
ほむら「――さようなら」
――今の私は、あなたを殺めるモノだもの。
━
ななか「……成程。つまりは私の力を貸して欲しい……と」
織莉子「えぇ」
美雨「……」
あきら「……」
キリカ「……」
キリカ「キミ達。どう言う目で織莉子を眺めているんだい?」
あきら「あ、いや……」
キリカ「あまり織莉子を疑わない方が良い。私の指がいつキミ達を刻んでしまうか分からないよ?」
美雨「私が見てるのはあなたネ。呉キリカ」
キリカ「なんだい、私か……。見ての通り、私は織莉子の唯一無二の駒でしかない」
美雨「唯一無二なら、オリコはななかの力必要ないネ」
キリカ「刻むか……」チャキ
織莉子「キリカ。おやめなさい」
キリカ「ひ……! ご、ごめんよ織莉子ぉ!」
ななか「……」
ななか「で、そちらのカードはまず一つ」
ななか「かこさんが狙われている事」
ななか「そして一つ。噂される街一つ滅ぼす"ワルプルギスの夜"程ではないにしろ、それなりの被害を及ぼす見込みのある魔女によるもの――」
ななか「ですね?」
織莉子「えぇ」
ななか「……」フム...
キリカ「答えは一つに一つだ」
キリカ「君達は織莉子と組む他ないよ」
キリカ「織莉子の導き出した"道標"こそ、救世に相応しい最善解なんだからね」
あきら「うわ……」
美雨「……」
ななか「……」
ななか「――急いては事を仕損じる。と言います」
織莉子「なら、この話は無かった事に?」
キリカ「ッ――! 貴様ァ!」
織莉子「キリカッ!」
キリカ「うぅ……」
ななか「……手を組む、とまではならないにしても、志を同じとするのであればいずれは組みたい所存ですね」
織莉子「煮え切らない答えね」
ななか「あまり急かされるのも良い気はしません」
ななか「"あの者"と対峙している様で……」
織莉子「……キュゥべえ」
ななか「えぇ」ニコッ
織莉子「……」
ななか「……」
織莉子「……"識"っていて?」
ななか「えぇ、"知"ってます」
キリカ「ふふ……」ニタリ
美雨「……?」
━
ななか(美国さんが帰って暫くして……)
あきら「何だよあいつ……すごい怖かったんだけど……!」
美雨「どっちの事カ?」
あきら「どっち……ってあの黒いヤツ!」
美雨「呉なら大したコト無いネ」
あきら「え……」
ななか「美雨さんの言う通り、見た程あの子は恐れる事はありません」
ななか「混沌とした様で、その実結論は単純です」
あきら「え、えぇ……」
ななか「――問題は美国さん」
あきら「織莉子さんが……?」
美雨「……」チラ...
美雨「――"敵"か?」
ななか「えぇ。"敵"です」
あきら「――!?」
ななか「彼女は言いました。自らは予知能力者であると」
ななか「仮に本当だとして、彼女の視た物を素直に告げてくれ得るとお思いですか?」
あきら「あ……」
ななか「……尤も、真に彼女の敵が件の魔女だったとして、普通なら私達を手に掛ける理由も浮かびませんが……」
あきら「……"普通"じゃない……?」
ななか「えぇ」
美雨「……ななか。かこどうするネ」
ななか「……頼る宛てが無い事もありません。調べは付いています」
ななか「が、予知能力者ならこの会話もきっと筒抜けでしょうね」
美雨「……」
美雨「――"そう言う事"ネ」
ななか「えぇ。頼みますよ」ニコッ
トリつけて風呂ってシコって寝るか……
━
織莉子(わたしの予知通りなら、やはり常盤さんは……)
キリカ「……織莉子」
織莉子「うん?」
キリカ「結局あの伊達メガネ、織莉子につくのかい?」
織莉子「いえ、つかないでしょうね」
キリカ「なっ……!」
織莉子「彼女の固有魔法は"索敵"。対峙せし者が例え秩序であろうと混沌であろうと、"悪"には決して靡かないでしょうね」
キリカ「……織莉子を悪だと断罪するのか」ギロ...
織莉子「あら、キリカったらわたしを"善なる者"と見てくれてるのね?」
キリカ「当然だ! 織莉子の導く道が誤りな訳が無いのさ!」
キリカ「現に私はこうして救われている! あの時織莉子に出会わなければ、私はずっと変わらないままだった!」
キリカ「その証さえも反故にすると言うのであれば、私は誰であろうと切り刻んで――」
織莉子「――キリカ」ギュ...
キリカ「わわっ……!」
織莉子「……ありがとう」
キリカ「へ……」
織莉子「わたしも、あなたに救われてしまったわ」
織莉子「あなたに出会えなければ、わたしはとうに壊れていたもの……」
キリカ「……」
キリカ「なら、これからもずっと織莉子を救い続けてみせよう!」
織莉子「えぇ、頼むわね」ニコッ
キリカ「ところで織莉子。結局伊達メガネがこちらにつかない事は分かりきってたのかい?」
織莉子「常盤さんは伊達メガネじゃないと思うけれど……まぁそうね」
キリカ「だったら何故――」
織莉子「――運命が変わったわ」
織莉子「今日常盤さんに出会った事で、世界がより良い方向へと導かれそうよ」
キリカ「あの程度で?」
織莉子「えぇ、バタフライエフェクト――と言う事ね」
キリカ「……わずかな変化の有無で結末が変わってしまう事か」
織莉子「そう。あの時わたしがキリカに出会えたから、今こうしてあなたはここに居てくれるの」
キリカ「そっ、その話はやめてくれないか!/// あんなとこで小銭ぶちまけるなんて……」
織莉子「ふふふっ……」
織莉子「――さて、件の魔女の話だけれど」
キリカ「”救済の魔女”の話かい?」
織莉子「いえ。先ずは夏目かこさんを狙ってると言うアレよ」
キリカ「世界レベルの魔女は相手にしなくて良いのかい?」
織莉子「無論、最終的には亡き者にするつもりよ」
織莉子「……別の世界でのわたし達は、どうやら”守護者”と相討ちになった様だけれど」
キリカ「直接討つには犠牲が必要、と言う訳か」
織莉子「えぇ。特にあなたは失いたくない」
キリカ「っ……! わ、私は織莉子の為ならいつだって死んでも――!」
織莉子「『死ぬな』と命令されたら?」
キリカ「……織莉子のいじわる」
織莉子「で、今回の魔女についてだけれど」
キリカ「ワルプルギスの夜よりは弱いんだろう? だったら大丈夫! 織莉子なら――」
織莉子「いいえ、直接会うつもりは無いわ」
キリカ「……」
キリカ「……ああ、成程」
織莉子「ええ、奴は十七夜さんが言う所の”願いに斃れ獣に堕ちた者”でないもの」
織莉子「畜生でない以上、”獲物”以外にさえ何をしでかしてくるか分からない……と言った所かしら」
キリカ「全く……」
一時中断~
シコろ
このSSまとめへのコメント
一時中断と言いながら結局エターなったわけか。