ほむら「The Panorama of The Abyss」 (23)

―黎い羽が舞い降りた。


―ひらりひらりと抹する。

―世界というキャンバスを塗りつぶす。


―徳を背にし、森羅万象の一切を冒涜し

―あらゆる魂を蹂躙する。


―否、此れは魂でなく燃えカスか。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1527856453

まどか「ぁ……ぁあ……」

ほむら「……」


未だ知らない愛しい子。

未だ"私たち"を知らない愛しい子。


無論、燃え塵~魔女~を知らない愛しい子。


嗚呼、幾度繰り返したか。

私はこの子を救うべく。

私はこの子の生のため。

私は―

ほむら「――大丈夫?」

まどか「――ひッ……!」


……怪異に向けるその眼差し。


魔女はもう居ない。

アレは私がもう"染め上げた"。


――であれば、この瞳は私に向いている。

ほむら「――そう」


なら、大丈夫。

これなら……私のやる事は変わらない。


まどか「あ、あなたは……なに……?」


――私は、あなたを誰よりも想うもの。

――あなただけを"標"とし、刻~とき~の無限回路に囚われたもの。


――でも、もうそれも終わり。

――今の私の歩む道は無限回路でないもの。


――だから、今の私は―



ほむら「――さようなら」



――今の私は、あなたを殺めるモノだもの。



ななか「……成程。つまりは私の力を貸して欲しい……と」

織莉子「えぇ」


美雨「……」

あきら「……」

キリカ「……」



キリカ「キミ達。どう言う目で織莉子を眺めているんだい?」

あきら「あ、いや……」

キリカ「あまり織莉子を疑わない方が良い。私の指がいつキミ達を刻んでしまうか分からないよ?」

美雨「私が見てるのはあなたネ。呉キリカ」

キリカ「なんだい、私か……。見ての通り、私は織莉子の唯一無二の駒でしかない」

美雨「唯一無二なら、オリコはななかの力必要ないネ」

キリカ「刻むか……」チャキ


織莉子「キリカ。おやめなさい」

キリカ「ひ……! ご、ごめんよ織莉子ぉ!」


ななか「……」


ななか「で、そちらのカードはまず一つ」

ななか「かこさんが狙われている事」

ななか「そして一つ。噂される街一つ滅ぼす"ワルプルギスの夜"程ではないにしろ、それなりの被害を及ぼす見込みのある魔女によるもの――」

ななか「ですね?」

織莉子「えぇ」

ななか「……」フム...


キリカ「答えは一つに一つだ」

キリカ「君達は織莉子と組む他ないよ」

キリカ「織莉子の導き出した"道標"こそ、救世に相応しい最善解なんだからね」

あきら「うわ……」


美雨「……」

ななか「……」

ななか「――急いては事を仕損じる。と言います」

織莉子「なら、この話は無かった事に?」

キリカ「ッ――! 貴様ァ!」

織莉子「キリカッ!」

キリカ「うぅ……」


ななか「……手を組む、とまではならないにしても、志を同じとするのであればいずれは組みたい所存ですね」

織莉子「煮え切らない答えね」

ななか「あまり急かされるのも良い気はしません」

ななか「"あの者"と対峙している様で……」


織莉子「……キュゥべえ」

ななか「えぇ」ニコッ


織莉子「……」

ななか「……」


織莉子「……"識"っていて?」

ななか「えぇ、"知"ってます」


キリカ「ふふ……」ニタリ

美雨「……?」



ななか(美国さんが帰って暫くして……)


あきら「何だよあいつ……すごい怖かったんだけど……!」

美雨「どっちの事カ?」

あきら「どっち……ってあの黒いヤツ!」

美雨「呉なら大したコト無いネ」

あきら「え……」

ななか「美雨さんの言う通り、見た程あの子は恐れる事はありません」

ななか「混沌とした様で、その実結論は単純です」

あきら「え、えぇ……」

ななか「――問題は美国さん」

あきら「織莉子さんが……?」

美雨「……」チラ...


美雨「――"敵"か?」

ななか「えぇ。"敵"です」

あきら「――!?」


ななか「彼女は言いました。自らは予知能力者であると」

ななか「仮に本当だとして、彼女の視た物を素直に告げてくれ得るとお思いですか?」

あきら「あ……」

ななか「……尤も、真に彼女の敵が件の魔女だったとして、普通なら私達を手に掛ける理由も浮かびませんが……」

あきら「……"普通"じゃない……?」

ななか「えぇ」


美雨「……ななか。かこどうするネ」

ななか「……頼る宛てが無い事もありません。調べは付いています」

ななか「が、予知能力者ならこの会話もきっと筒抜けでしょうね」

美雨「……」


美雨「――"そう言う事"ネ」

ななか「えぇ。頼みますよ」ニコッ

トリつけて風呂ってシコって寝るか……




織莉子(わたしの予知通りなら、やはり常盤さんは……)


キリカ「……織莉子」

織莉子「うん?」

キリカ「結局あの伊達メガネ、織莉子につくのかい?」

織莉子「いえ、つかないでしょうね」

キリカ「なっ……!」


織莉子「彼女の固有魔法は"索敵"。対峙せし者が例え秩序であろうと混沌であろうと、"悪"には決して靡かないでしょうね」

キリカ「……織莉子を悪だと断罪するのか」ギロ...

織莉子「あら、キリカったらわたしを"善なる者"と見てくれてるのね?」

キリカ「当然だ! 織莉子の導く道が誤りな訳が無いのさ!」

キリカ「現に私はこうして救われている! あの時織莉子に出会わなければ、私はずっと変わらないままだった!」

キリカ「その証さえも反故にすると言うのであれば、私は誰であろうと切り刻んで――」

織莉子「――キリカ」ギュ...

キリカ「わわっ……!」


織莉子「……ありがとう」

キリカ「へ……」

織莉子「わたしも、あなたに救われてしまったわ」

織莉子「あなたに出会えなければ、わたしはとうに壊れていたもの……」

キリカ「……」


キリカ「なら、これからもずっと織莉子を救い続けてみせよう!」

織莉子「えぇ、頼むわね」ニコッ

キリカ「ところで織莉子。結局伊達メガネがこちらにつかない事は分かりきってたのかい?」

織莉子「常盤さんは伊達メガネじゃないと思うけれど……まぁそうね」

キリカ「だったら何故――」


織莉子「――運命が変わったわ」

織莉子「今日常盤さんに出会った事で、世界がより良い方向へと導かれそうよ」

キリカ「あの程度で?」

織莉子「えぇ、バタフライエフェクト――と言う事ね」

キリカ「……わずかな変化の有無で結末が変わってしまう事か」

織莉子「そう。あの時わたしがキリカに出会えたから、今こうしてあなたはここに居てくれるの」

キリカ「そっ、その話はやめてくれないか!/// あんなとこで小銭ぶちまけるなんて……」

織莉子「ふふふっ……」

織莉子「――さて、件の魔女の話だけれど」

キリカ「”救済の魔女”の話かい?」

織莉子「いえ。先ずは夏目かこさんを狙ってると言うアレよ」

キリカ「世界レベルの魔女は相手にしなくて良いのかい?」

織莉子「無論、最終的には亡き者にするつもりよ」


織莉子「……別の世界でのわたし達は、どうやら”守護者”と相討ちになった様だけれど」

キリカ「直接討つには犠牲が必要、と言う訳か」

織莉子「えぇ。特にあなたは失いたくない」

キリカ「っ……! わ、私は織莉子の為ならいつだって死んでも――!」

織莉子「『死ぬな』と命令されたら?」

キリカ「……織莉子のいじわる」

織莉子「で、今回の魔女についてだけれど」

キリカ「ワルプルギスの夜よりは弱いんだろう? だったら大丈夫! 織莉子なら――」

織莉子「いいえ、直接会うつもりは無いわ」

キリカ「……」


キリカ「……ああ、成程」

織莉子「ええ、奴は十七夜さんが言う所の”願いに斃れ獣に堕ちた者”でないもの」

織莉子「畜生でない以上、”獲物”以外にさえ何をしでかしてくるか分からない……と言った所かしら」

キリカ「全く……」

一時中断~
シコろ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年11月29日 (木) 22:11:58   ID: k-Hj41l0

一時中断と言いながら結局エターなったわけか。

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom