【ラブライブss】うみえりまき「Soldier game」 (63)

ハロウィーンイベントも終わって、秋も深まってきたある日、
放課後の屋上に集まったのは絵里、海未、真姫の3人だけだった。

絵里 「今日はこれだけなの?」

海未 「ことりはバイトで、穂乃果は生徒会長のお仕事です」

真姫 「花陽と凛は体調不良だそうです」

絵里 「そう。希もバイトで、にこは家事ですって」

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うみえりまき「……」

絵里 「とりあえずストレッチから始めましょうか」

うみまき「はい」

ストレッチを始める3人

絵里 (この組み合わせは学年組でもユニットでもないから、3人だけになるとぎこちないわね)

そもそも人見知りが多いμ’s。
慣れない組み合わせで口数が少なくなる。

海未 「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン、エィ」

リズム練習を淡々とこなしていく。

うみえりまき「なみだーはせいしゅんのだーいやーもんっ
       きみをーかざーるーひーかーりー♪」

歌唱練習もこなしていく。

真姫 「あら? この3人の歌声って、けっこう綺麗にハモるわね」

絵里 「私も思った」

海未 「声質が合っているのでしょうか」

真姫 「この3人だけで歌ったこと無かったから気づかなかったわね」

休憩時間

うみえりまき「……」

絵里 (間が持たないわね)

絵里 「真姫、学校の勉強はどう? 難しくない?」

真姫 「ううん。簡単すぎるから医学部受験の準備を始めてるわ」クルクル

絵里 「そ、そう。 海未は? μ'sの他に弓道部も掛け持ちで大変じゃない?」

海未 「いいえ。他に日舞と剣道と長刀(なぎなた)も嗜んでいますが、
    小さい頃からやっているので慣れました」

絵里 「そ、そう」(話が続かない)

うみえりまき「……」

絵里 (いつもだったら穂乃果とか凛とかにこがボケて盛り上がるんだけど、
   この3人はみんなツッコミ側なのよね)

絵里 「練習続けましょうか」

うみまき「はい」

振り入れ、フォーメーションの練習を淡々とこなしていく。

海未 「今日はここまでです」

えりまき「お疲れ様ー」

部室で着替え中

うみえりまき「……」

淡々と着替える3人。
絵里は練習着を脱いで下着姿になった。

絵里(いつもだったらここで希が「ワシワシチェーック!」とか始めて盛り上がるんだけどな。
   何か話題無いかなぁ。 海未、絵里、真姫……あっ!)

絵里 「ねえ、私達の名前を繋げると”うみえりまき”になって
    エリマキトカゲの仲間みたいだよね」

真姫 「? 何ソレ?」

海未 「エリマキトカゲは昭和の流行です。古すぎますよ、絵里」

絵里 「そ、そうかー。年が一つ二つしか違わないのに古すぎちゃったかー。メンゴメンゴ」

真姫 「??」

海未 「……ぷっ、 あははは!」

絵里 「え、そんなに笑うとこ!?」

海未 「だって絵里ったらおかしいんですもの」

真姫 「うふふ、ナウすぎてついていけないわよー、もー」クルクル

絵里 「えーそんなにー?」(とりあえずウケて良かった)

海未 「絵里がμ’sに入る前は、みんな怖がっていたんですよ」

真姫 「私とも理事長室の扉の前で言い合いしたわよねー」

海未 「それがこんなに楽しい人だったなんて」アハハ

絵里 「あの頃は余裕無かったのよー」

絵里 (確かにあの頃の私から随分変わった。μ'sのおかげで)

絵里 「ねえ、帰りにいつものハンバーガー食べていかない?」

真姫 「いいわね」

海未 「はいっ」

アキバのハンバーガー店の近く
横断歩道の前で信号が変わるのを待っていた。

絵里 「私と亜里沙はロシアに住んでたから、
    知ってる日本の話題は親から聞いたものが多いのよ。だからちょっと古くて」

海未 「そうでしたか。私も祖母と一緒に暮らしてますので言動が古いとよく言われます」

真姫 「艱難汝を玉にす。なんて今時のJKは言わないわよー」

うみえりまき アハハハハ

そこにDQN風の男が近づいてきた

DQN「ねぇカノジョー、いいケツしてんじゃん」

真姫 「フン」スルー

DQN「無視すんなよ。俺のハイエースでドライブしようや」

真姫 「オコトワリシマス」

DQN「ねえってばさぁ」

DQNが真姫の手を掴んだ

真姫 「痛っ! 何するのよ!」

DQN「来いっつってんだよ!」

海未 「手を離しなさい! えいっ!」ビシッ!

海未は近くにあったゲーセンののぼりを引っこ抜き、長刀のようにDQNの手を打ち据えた。

DQN「ってえ」

手を離したDQNに向かって海未が構えた時、
DQNの仲間が横から海未に掴みかかろうとした。

DQN②「オラァ」

海未 「! 仲間がっ!?」

絵里 「ヤッ!」ガッ!

すかさず絵里がDQN②の脇腹にトラースキックを入れた。

絵里 「あんた達! 音ノ木の生徒には指一本触れさせないわよ!」

DQN①「このガキ」

海未 「えいっ」ドスッ

DQN①は海未に掴みかかろうとするが、のぼりの突きを腹部に受け一瞬ひるんだ。
その隙に真姫が頸動脈に的確なチョップを入れる。

DQN①「うっ?」

血流が一瞬遮断され、DQN①が膝をついた。

DQN②は絵里に殴りかかるが、絵里の長い脚から繰り出される蹴りに牽制されて近づけない。

絵里 「シュッ」ビシビシッ!

絵里のローキックからハイキックのコンビネーションを受け、DQN②もひるんだ。

絵里 「今よ! ルートことりで撤収!」

DQN2人がひるんだ隙に3人は後方に駆け出し、路地裏に入っていく。

うみえりまき「ハアッ、ハアッ、ハアッ」タッタッタッタッタッ

そのままメイドカフェ”CUREMAID”に駆け込む。

カラン

ことり「お帰りなさいませご主人様。 あれ?みんなどうしたの?」

絵里 「ハアハア、ご主人様3名がご帰宅よ。案内してくれる?」

店の奥の席に陣取り、水を飲んで一息つくうみえりまき。

絵里 「いやー怖かったわねぇ」

海未 「まだ震えてます」

真姫 「二人ともやるわね」

海未 「私は武道を嗜んでますから。でも絵里の蹴りは鋭かったです」

絵里 「バレリーナとは喧嘩するなって昔から言われてるわ。体幹が鍛えられているからね。
    そういう真姫もエグい攻撃してたわね」

真姫 「私は医者を目指してるんだから、人体の弱いところは知ってるわ」クルクル

ことり「男の人とケンカなんてダメだよ。怪我したらどうするの」ウルウル

紅茶を持ってきたことりは涙ぐんでいた。

真姫 「ありがとう、ことり」

海未 「でも、大切なモノ達を守るには可愛いだけじゃなくて、強くなることも必要です」

絵里 「大丈夫。ことりは私たちが守ってあげるわ」

ことり「ありがとう。でも無理しないでね……」

真姫 「絵里ったらカッコよかったのよ、
    『音ノ木の生徒には指一本触れさせないわよ!』とか言って。
    さすが元生徒会長」

絵里 「あれはとっさに」

海未 「あれは闘士の姿でした」

絵里 「もー」

うみえりまき アハハハハ

バイト中のことりをよそに、うみまきえりはガールズトーク?で盛り上がった。

翌日 放課後
アイドル研究部部室

絵里 「あ、海未、おつかれ」ガチャ

海未 「あ、お疲れ様です、絵里」

真姫 「相変わらず海未は早いわね」

うみえりまき「そういえばさー」キャッキャッ

翌日 放課後
アイドル研究部部室

絵里 「あ、海未、おつかれ」ガチャ

海未 「あ、お疲れ様です、絵里」

真姫 「相変わらず海未は早いわね」

うみえりまき「そういえばさー」キャッキャッ

にこ 「むー」じー

穂乃果「どうしたの?にこちゃん」

希  「あの3人が仲良くしてるから嫉妬してるんちゃう?」

にこ 「べ、別に嫉妬なんかしてないわよ!」フンッ

希  「でも確かにあの3人いつもより親しげやね」じー

にこ 「希こそ嫉妬してんじゃないの?」

穂乃果「海未ちゃん何かあったのかなあ」じー

ことり「うふふ」

凛  「かよちんまだかにゃー?」

ガチャ
そこに花陽が駆け込んできた。

花陽 「はあっ、はあっ、た、大変です!」

穂乃果「花陽ちゃんどうしたの?」

花陽 「と、とーきょー、」ゼイゼイ

真姫 「東京ドゥーム?」

花陽 「ち、違います。 東京ガールズコレクションからμ’sにオファーが来たんです!」

みんな「えーっ!!」

花陽が息を整えるのを待って、アイドル研究部ミーティングが始まった。

花陽 「東京ガールズコレクション(TGC)とはオサレな女性が集まるファッションショーです」

真姫 「知ってるわよ。有名デショー」クルクル

花陽 「そのTGCから、μ’sに出演オファーが来たんです」

穂乃果「やったー!」

海未 「オファーって、ファッションショーで歌を歌うんですか?」

花陽 「そうです。 
    他のモデル達と一緒にランウェイでデモンストレーションして、
    その後ステージで歌います。」

ことり「すごい。ことりの作った衣装がランウェイに…… 夢だったんだぁ」ウットリ

花陽 「ですが問題が二つ有ります」

絵里 「なあに?」

花陽 「まず、出演メンバーは3人と指定されています」

凛  「えー!? μ’s9人じゃ出られないのかにゃ?」

希  「他のモデルやアーティスト達も沢山出演するから枠が限られてるんやろうね」

花陽 「そして、これが重要なのですが、
    今までのμ’sのライブと違ってTGCは完全なアウェイになります」

穂乃果「あうぇい?」

にこ 「客層が違うのよ。
    スクールアイドルのライブだったらスクールアイドルが好きな人だけが集まる。       
    でもTGCはオサレな女性の巣窟。スクールアイドルに興味が無い人がほとんどのはずよ」

花陽 「そうです。 
    だからいつものスクールアイドルのノリで行くと、
    会場がヒエッヒエになってしまうリスクがあります。」

海未 「歓声もコールも無い、無反応なライブ…… 想像するだけで恐ろしいです」

ことり「ある意味、あの観客の居なかったファーストライブより辛い……」

凛  「なんか寒いにゃ……」ぶるぶる

穂乃果「じゃあどうすれば……」

花陽 「一般のオサレ女性にもウケそうなメンバー、衣装、曲で挑みます」

希  「真っ向勝負するわけやね」

穂乃果「じゃあ、まずメンバーはどうするの? 
    モデル系おしゃれユニットと言えばBiBiだけど……」

みんな「……」

にこ 「BiBiはダメね」

えりまき「にこ!」

にこ 「気を使わないでくれる?
    自分がTGC向きのキャラじゃ無いってことは自分が一番わかってる」

真姫 「にこちゃん そんなことないっ!」

にこ 「私は大銀河宇宙No.1アイドルなのよ!
    ファッションショーなんかあんた達に譲ってあげるわ」

絵里 「にこ……ごめん」

花陽 「決まりですね。 
    では既存ユニットにとらわれず、一般女性にもウケそうなメンバーで編成しましょう」

希  「だったら、
    Love wing bellのファッションショーでモデルにスカウトされたえりち、
    他校の女生徒に出待ちされた真姫ちゃん、
    亜里沙ちゃんに懐かれてる海未ちゃんの3人かな」

花陽 「妥当な選択です」

絵里 (亜里沙はノンケの一般女性と言えるのかしら? 姉から見ても不安……)

にこ 「いいじゃない」

ことり「いいと思う! 私は衣装作りに専念したいし」

絵里 「真姫、海未。時間が無いけど曲は作れるかしら?」

真姫 「ええ。昨日の乱闘でなんかイメージが湧いてたのよ」

海未 「私もです」

穂乃果「よーし!みんなで準備してオサレな女性達も驚く最高のライブにしよう!」

みんな「おー!」

そして
東京ガールズコレクション当日
会場のさいたまスーパーアリーナ
あわただしい楽屋

ことりと希がうみえりまきの衣装を着付けていく。
3人ともボディラインの出るタイトな黒のドレス。
そこにリボンやアクセサリーで装飾を加えていく。

絵里 「素敵な衣装。ハラショーよ、ことり」

真姫 「本当に。他のモデル達の衣装にも引けを取らないわ」

ことり「ありがとう。いつものスクールアイドルっぽさは封印してシックにまとめたの」

海未 「オシャレなのは良いのですが、なんで私だけミニスカートなんですか?ことり」

ことり「んふ、だってかわいいでしょ?」

希  「ヘアメイクもできたよ。今日のえりちは髪を下ろして大人モードや」

絵里 「よーし! 行くよみんな!」

うみまき「はいっ!」

観客席

凛  「すごく広い会場にゃー」

にこ 「そりゃそうよ。
    さいたまスーパーアリーナはスタジアムモードなら37000人くらい収容できるんだから
    ここでワンマンライブできたら一流のアイドルよ」

花陽 「分析通り、観客のほとんどはスクールアイドルには無縁のオサレな女性達です」
    キョロキョロ

穂乃果「絵里ちゃん達なら大丈夫だよ。 あっ出てきた」

絵里がランウェイに姿を表すと歓声が上がった。

ブロンドを靡かせるロシアンクオーターの絵里。
高いヒールでスタイルの良さが強調され、颯爽とウォーキングする。

続いて海未。
日舞と武道で鍛えた姿勢の良さ。
黒髪で凛とした眼差しは大和撫子そのもの。

そして真姫。
セレブの気品を漂わせるプリンセス。
外人モデルのように大きいヒップを揺らしてウォーキングする。

観客A 「キャー、あの子達カワイイ!」

観客B 「どの雑誌のモデル? 見たことないよ」

観客C 「あの服はどこのブランド?」


穂乃果「やっぱり絵里ちゃん達ウケてるよ!」

花陽 「ここまでは計算通りです」

凛  「みんなキラキラしてるにゃ」

にこ 「悔しいけどやるわね」

ウォーキングが終わり、ライブパフォーマンスへと移る。

いつものスクールアイドル的な自己紹介、MCは一切無く、
無言のまま配置についてポーズを取るうみえりまき。
そして曲が始まる。

うみえりまき「Soldier game」

Three,two,one,zero! ここで登場
見てなさい 私の本気
スリルと美意識で勝つのよ必ず

優しげな言葉ささやく
偽の可愛さじゃなくて
冷たく強く守らなきゃ
大切なモノ達 弱きモノ達

私は誰でしょ? 知りたくなったでしょう?
ならば恋かも
私の中には秘密があるとして
それを君はどうするの
It’s soldier game
また会えた時 訊こうかな

キャー
大歓声がさいたまスーパーアリーナに響き渡った。

穂乃果「すごいよ! スクールアイドルのライブじゃ無いのにいつもみたいに盛り上がったよ!」

花陽 「初見でもオサレ女性達の琴線に触れることができましたね」

にこ 「アイドルっぽさを持ち込まなかったのが奏功したわね。これがμ'sの懐の深さよ」ドヤッ

凛  「ヒエッヒエにならなくて良かったにゃ」

……

TGCは成功裏に終わり、会場入り口で撤収準備をするμ's。

穂乃果「絵里ちゃん! 海未ちゃん! 真姫ちゃん! お疲れ様!」

凛  「すごい盛り上がりだったにゃー!」

花陽 「見事、アウェイの空気を変えました」

絵里 「ありがとう。曲がうまくイベントにマッチしたわ」

真姫 「デッショー! 私は色んな引き出しを持ってるんだから」クルクル

海未 「ことりの衣装も良かったですよ。ミニスカートは恥ずかしかったですが」

ことり「みんなかっこよかったよ! あの後ギョーカイの人達に名刺もらっちゃった」

希  「えりち達もスカウトされてたよね」

海未 「わ、私はモデルになんかに興味ありません!」

穂乃果「ほんとかなー?」

花陽 「はいはーい! お腹が空いたのでみんな撤収しますよー!」

みんな「はーい!」

にこ 「……」

さいたまスーパーアリーナを見上げるにこ。

希  「どうしたのにこっち?」

にこ 「いつか、
    いつかここでμ’sのワンマンライブができたら……」

みんなも見上げる。


穂乃果「できるよ!」

にこ 「!」

穂乃果「今の私達なら、きっとどこまでだって行ける、どんな夢だって叶えられる!」

にこ 「そうだったわね」

うなずくμ’s

アウェイでの戦いを終え、ホームへと帰るμ’sの表情は晴れやかだった。

おまけ

絵里 「あっ、楽屋に忘れものしちゃった。みんな先に行ってて」

ことり「私も一緒に行くよ」

穂乃果「じゃあ駅で待ってるよ!」


楽屋

絵里 「あった、時計忘れちゃって」

ことり「絵里ちゃんかわいい」

関係者用通用口から出てくることえり。
あたりは暗くなり、人通りも無かった。

絵里 「日が落ちるのが早くなってきたわね」

ことり「うん。ラブライブ最終予選が近づいてきたね。
    でもラブライブが終わったら絵里ちゃん達は…」

絵里 「ストップ。それは言わない約束でしょう?」

ことり「そうだったね。ごめん」

無言で歩く二人。
ことりのサイドテールが風に揺れている。
周囲に音はなく、唯一、後ろから急ぎ足の足音が聞こえてきた。


突然、絵里は後ろから来た男達に両手を掴まれた。

絵里 「えっ!? 何?」

DQN①「よう、また会ったなあ」

DQN②「こないだはナメたマネしてくれたよね」

絵里 「あんた達は! 離しなさい!」

手を振りほどこうとするが、さすがに男二人に掴まれるとほどけない。

DQN③ 「つまらんショーだと思っていたが、イイオンナもいたじゃねえか」

ボス格のDQN③が正面に立って絵里の胸を揉んだ。
DQN③を蹴ろうとする絵里。しかし両手を掴まれていては蹴りの威力が出ない。

DQN③「暴れんじゃねぇ!」バシッ

DQN③が絵里の顔を殴った。

頭が振動し、視野が真っ白になる。

絵里 「あ…ひっ」

圧倒的な暴力を受け、絵里は震えて泣き始めた。

DQN③「早く車に乗せろ」

ことり「イヤッ 離して!」

ことりはDQN④⑤に捕まっていた。

絵里 (ことり… ことりだけでも逃さなければ…)

ハイエースに連れ込まれる途中、絵里は力を振り絞ってDQN④にローキックを叩き込んだ。

絵里 「ことり逃げてっ!」

DQN④「何すんだオラァ」ドスッ

絵里にボディーブローを食らわすDQN④

ことり「エリチャン!」

絵里 「かっ、 はっ」

絵里 (息ができない… ことり逃げて…)

しかしことりは恐怖からか、震えるだけで一歩も動かなかった。

絵里 (ことり…)

DQN⑤「オラ、来い」

DQN⑤がことりの腕を引っ張った時、

ことりは一歩踏み出してDQN⑤の顔めがけて平手打ちを繰り出した。

ヒュッ!

しかしDQN⑤の顔には当たらず、平手は空を切った。

DQN⑤「おっと、かわいいねぇお嬢ちゃん」

DQN⑤がにやけた。

しかし、そのDQN⑤の頬に3本の赤い線が浮かび上がった。
そしてその線はしだいに太くなっていく。

絵里 (あれは何、血?)

DQN⑤「なんだぁー」
ことりの手を離し自分の顔を触るDQN⑤。その手は真っ赤に染まっていた。

ことり「シャオ!」(・8・)

ことりはダンスのように手を広げて、DQN④と⑤の間で回転した。

DQN④⑤「?」

DQN④⑤の服が裂け、胸に水平な赤い線が刻まれた。
一瞬遅れて、線から血が噴き出す。 

DQN④「いでぇー!」プシュー

DQN⑤ 「ひぃー!」ドバッ

地面にヘタリ込むDQN④⑤

ことりの顔は返り血を浴びていた。
うつむき気味で表情は見えない。

ことり「ちょっとかわいい女の子のフリをすれば
    キサマらのようなウジ虫どもが飛びついてきやがるわ」

いつもと違う低い声

絵里 (ことり?)

DQN①「なんだと!」

DQN①②が絵里の手を離し、ことりに向かっていく。

ことり「ヒョォォ シャオ!!」(・8・)

舞うが如く手で十字を切りながら、DQNの間を駆け抜けることり。
その手はDQN達には当たっていない。しかし、
DQN①の顔には縦の線、DQN②の顔には横の線が刻まれた。

DQN①「め、目がっ!」プシィ

DQN②「ゔぉばー」ゴボゴボ

DQN②は口を切られ、大量の出血により声にならない。

絵里 「ど、どうなっているの…」

希  「あれは南斗水鳥拳。まさかこの目で実際に見ようとは」

絵里 「し、知っているの、希ー!?
    っていうかいつの間に!」

希  「胸騒ぎがして迎えにきたんや、えりち」

絵里 「の、のぞみ… うわーん! 怖かったよー!」

絵里は希の胸に顔を埋め、子供のように泣きじゃくった。

希  「よしよし、もう大丈夫や。」

絵里をやさしく包み込む希。

絵里 「そうだ、ことりはっ!」

顔を上げことりを探す絵里

ことりはDQN③と対峙していた。

DQN③はボクシングの構えを取り、ステップを踏み始めた。

ことり「少しは心得が有るようね。
    キサマにも死兆星(スピカ)が見えているのかしら?」

DQN③「シャッ!」

DQN③が間合いを詰めてストレートを繰り出す。
その瞬間、ことりが宙高く舞った。

ことり「ヒョォォ…」(・8・)

DQN③「なっ!?」

ことり「南斗水鳥拳奥義! 小夜啼鳥恋歌(ナイチンゲールラブソング)!!」(・8・)

猛禽が如く急降下したことりは、空中でDQN③の首を両手で突いた。

ピッキーン!

華麗に着地することり。

DQN③は倒れない。しかし、

DQN③「ホーホー ハヒ?」

ことり「声帯を潰した。キサマは二度とさえずること叶わん」

DQN③「ヒーヒー」

DQN①②③④⑤はハイエースに乗り込むと脱兎の如く逃げ出した。

あまりの展開に言葉を失う絵里。

希  「南斗水鳥拳。
    動きは水面に浮かぶ水鳥のように優雅で華麗。
    だが、その拳の威力は比類無き残虐非道の必殺拳なんや。
    まさかことりちゃんが伝承者やったとは。名前で気づくべきやった」


ことり「んふ。ことりのおやつにしちゃった(ハート)」

返り血を浴びたことりの横顔は恍惚としていた。

次回予告
てーれってー

ついに解き明かされる希の過去。
恋を知らぬμ’sにラブソングは作れるのか!?
次回第8話 私の望み 凛の熱き心の叫びを聞け!!
「μ’s! ミュージック スタート!!」

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