ある日の放課後
音ノ木坂学院 屋上
練習中のμ's
海未 「ワン、ツー、スリー、フォー、真姫! 遅れてますよ!」
真姫 「は、はい」
希 「……」
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練習後の帰り道
1年生トリオ
真姫 「はぁ……」
花陽 「真姫ちゃん大丈夫?」
凛 「朝から元気無いにゃ」
真姫 「大丈夫、なんでも無いわ…」
真姫 (花陽や凛には言えない…)
真姫 「じゃあね」
りんぱな「また明日ー」
真姫 「……」
神田明神階段の下を歩く真姫
希 「ハッ!」ワシワシ
真姫 「きゃぁぁぁぁぁぁ!」
真姫は希を振りほどいた。
真姫 「いきなりワシワシしないでよ!
てか、いきなりじゃ無くてもダメだけど!」
希 「確かな成長が感じられる。
だが、その胸には悩みも抱えてるようやな」
真姫 「! なんの話してるのよ」
希 「めんどくさい子やね。お姉さんに話してみ」
真姫 「……」
階段に腰をかける二人。
真姫 「…希だったらそういうの詳しいかもしれないから言うけど」
希 「うん」
真姫 「ママが17才教とか言う新興宗教を始めたの」
希 「そう。スピリチュアルやね」
真姫 「驚かないの?」
希 「世の中、いきなり天啓にうたれて宗教を創始する人はいる」
真姫 「そうなの? でも、私どうしたらいいかわからなくて」
希 「何か実害が出てるん?」
真姫 「よその人に自己紹介する時、『西木野、17才です❤』とか言ってる。
言動や服も若者ぶりだして見てらんないの。イミワカンナイ!」
希 「かわいいやん」
真姫 「17才って希達と同じ年齢じゃない!
アラフォーなのに恥ずかしい……」
希 「いいよいいよ、何度だって青春なんや」
真姫 「希…」
希 「お母さんにだって青春が有るんや。やりたいようにさせてあげてええんちゃう?」
真姫 「…そういうものなの?」
1週間後
昼休み
1年生の教室
凛 「あ、ことりちゃんにゃー」
ことり「真姫ちゃん、ちょっといい?」
真姫 「いいけど。わざわざどうしたの?」
廊下に移動する二人。
ことり「あのね、私メイドカフェでバイトしてるでしょ?」
真姫 「知ってる」
ことり「それでね、昨日、
真姫ちゃんのママが私達のメイドカフェにバイトとして入ってきて…」
真姫 「ゔぇえ!」
ことり「ニシキノスキー、17才です❤って言って、メイドさんとして働き始めたの」
真姫 「もうなにやってるのよ……」
ことり「でも真姫ちゃんのママすごく可愛くて、すぐに人気メイドさんになったよ」
真姫 「恥ずかしい…」
ことり「私も真姫ちゃんママのファンになっちゃった。
一応、真姫ちゃんにも教えておいた方が良いと思って。じゃあね」
真姫 「……」
その日の夕方
西木野邸
真姫 「ただいま」
真姫ママ「おかえりなさい」
真姫 「ちょっと! ママ、メイドカフェでバイト始めたんだって!」
真姫ママ「ええ、とっても楽しいの」
真姫 「病院はどうしたのよ!」
真姫ママ「最近は若いスタッフも育ってきたから手が空いたの。
真姫ちゃんも一緒にメイドしない?」
真姫 「そういうのやめてよ!」
真姫ママ「真姫ちゃん…」
真姫 「いい歳して、恥ずかしいからやめてよ!」ダッ
真姫は自室にこもった。
その日以来、真姫はママとあまり口をきかなくなった。
さらに1週間後
音ノ木坂学院
全校朝礼
凛 「ふぁ~ 朝礼は眠いにゃ」
花陽 「凛ちゃん、起きて」
海未 「えー、次は南理事長からのお話です。理事長、壇上へお願いします」
理事長「皆さんおはようございます。えーっと、理事長の南、17才です❤」
全校生徒「ざわざわ…」
ことり「お母さん…」
真姫 (17才教だ!)
その日の放課後
屋上
練習前のμ's
絵里 「今日の朝礼、驚いたわね」
海未 「まさか理事長があんなことを言われるなんて思いませんでした」
穂乃果「先生達も驚いてたよ」
真姫 「ごめんことり。あれはうちのママのせいなの」
ことり「うん。聞いてる。
この間お母さんと真姫ちゃんのママ達が飲み会をして、
その時にうちのお母さんも入信したんだって」
にこ 「入信?」
真姫 「うちのママ、17才教っていう新興宗教の教祖なの」
みんな「17才教ー?!」
絵里 「どんな宗教なの?」
真姫 「自分のことを17才だって思い込む宗教みたいなの」
海未 「そんなカルト宗教が…」
穂乃果「楽しそう!」
花陽 「昔から17才といえばアイドルが最も輝くお年頃です。
17才のままでいたいと思うのは自然なことです」
真姫 「恥ずかしいから止めてって言ってるのに…」
ことり「でも、うちのお母さんは入信してから楽しそうだよ。
まさか学校でも言い出すとは思わなかったけど」
にこ 「信じるものは救われるってワケね」
凛 「凛は17才の理事長も好きにゃー」
ことり「うん。ことりはお母さんがお姉ちゃんになったみたいで嬉しいよ。
今度お母さん達を集めてママライブしたいって言ってた」
花陽 「ママライブ!?」
絵里 「ハラショー…」
希 「信仰の自由は誰にでも有る。
二人ともお母さんを見守ってあげてや」
真姫 「いやいやいや、やっぱりおかしいわよ!
みんな騙されてる!」
にこ 「真姫…」
真姫 「もうアラフォーで女子高生の娘がいるのに17才とか言ってるのよ!
制服やメイド服着たりしてるのよ!
お花畑出身とか言ってるのよ!
その上ママライブ!?
イミワカンナイ!!」
絵里 「まあ、冷静に考えたらそうかもしれないけど」
真姫 「ママに文句言って絶対今日で止めさせる!」
帰り道
家路を急ぐ真姫
真姫 (まったくもう!)
真姫 (みんなに笑われて恥ずかしいじゃない!)
真姫 (私の身にもなってよ!)
真姫 (絶対止めさせるんだから!)
そして家に着く。
真姫 「ただいま!」ガチャ
しかし、家の中に人の気配は無い。
真姫 (いないの?)
キッチンに行くと晩御飯の用意がしてあり、メモが置いてあった。
「病院に行きます。食べていてください ママ」
真姫の両親は病院を経営している。
真姫が小さい頃は両親共ほとんど家におらず、お手伝いさんに面倒を見てもらっていた。
冷えた晩御飯を見て、真姫は昔のことを思い出した。
真姫 (なによ! いつも話したい時に居ないじゃない!)
真姫は文句を言う為に遅くまで待っていたが、
結局真姫ママは帰ってこず、真姫はそのまま寝てしまった。
翌朝
真姫 「…朝?」
朝食の匂いがする。
真姫 「ママ…?」
真姫はキッチンに行った。
真姫ママ「真姫ちゃんおはよう。朝食できてるわよ」
真姫 「…おはよう」
朝食は目玉焼きとサラダ。サラダにはトマトが入っていた。
真姫 「…いただきます」
真姫ママ「昨日はごめんね。 急にシフトに空きができちゃって」
真姫 (昨日は夜勤で、今朝帰ってきたんだ)
真姫 「…ねぇ」
真姫ママ「なあに?」
真姫 「なんで17才教なんか始めたの?」
真姫ママ「……それは、この間ね、
病院で私と同じくらい歳の女性の患者さんが亡くなったの」
真姫 「え」
真姫ママ「私も長いこと病院に勤めているからそういうのには慣れたつもりだったんだけど、
真姫ちゃんと同じ歳くらいの娘さんが泣いてるのを見たら、ね。
私もあとどれだけ真姫ちゃんと一緒にいられるのかなって考えちゃって」
真姫 「ママ…」
真姫ママ「真姫ちゃんが小さかった頃は病院が忙しくて、
真姫ちゃんのことは和木さん達、お手伝いさんに任せっきりにしていたでしょ」
真姫 「……」
真姫ママ「だから今からでも真姫ちゃんと同年代になったつもりで、
真姫ちゃんの興味があることを一緒にやって思い出を作りたいなって思ったの。
それが17才教の教義。
南さんや矢澤さんも共感してくれたわ」
真姫 「ママ、知らなかった。ごめんなさい」
真姫ママ「ううん、ママもちょっとはしゃぎすぎちゃったかも。
きぃちゃん、高坂さんも誘ったんだけど、
『あなた達はもう▲○才でしょ!』って実年齢を言われて怒られちゃった(笑)
きぃちゃんは昔から生徒会長とかやってて真面目なとこがあるから」
真姫 「うふ、ママってば。
私もママと思い出作りたい」
真姫ママ「真姫ちゃん」
1週間後
メイドカフェ CURE MAID
真姫&真姫ママ「お帰りなさいませ、ご主人様」
穂乃果「あー! 真姫ちゃんもメイドさんだ!」
結局、真姫もママと一緒にメイドカフェでバイトすることになった。
そして、μ’sメンバーがその様子を見に来た。
真姫ママ「あらμ’sのみなさん。いつも真姫がお世話になってます。
ほら、真姫ちゃんアレ、やるわよ」
真姫 「ゔぇ …西木野真姫、15才です」
真姫ママ「西木野ママ、17才です❤」
みんな 「おいおい!」
みんな アハハハハハ
花陽 「ママさんもかわいいです❤」
絵里 「ハラショー! まるで姉妹だわ」
海未 「時空が歪んでいます」
にこ 「W西木野ってワケね」
真姫 「ただでさえメイド服が恥ずかしいのにママと一緒なんて…」
真姫ママ「かわいいわよ、真姫ちゃん」
真姫 「もうっ、これっきりなんだからね! ///」
凛 「まきちゃん照れてるにゃー」
希 「うふふ」
ことり「あの真姫ちゃんのママさん…
ことりも17才教に入信したいです!」
真姫 「ゔぇえ!」
真姫ママ「あら、嬉しい。
んー、でもことりちゃんはまだまだまだ早いかな❤」
ことり「ダメですかぁ~」
真姫ママ「17才教は甘酸っぱい感じで行きたいから、
もう少し年齢がいったら入って欲しいな」
ことり「いくつになったら入れますか?」
真姫ママ「そうねー、ドモホルンリンクルが気になり始めたら、かな」
ことり「わかりました!」
穂乃果「にこちゃん、ドモホルンリンクルって何?」
にこ 「年上の人用の基礎化粧品よ」
真姫ママ「ほっちゃんも、待ってるわよ❤」
穂乃果「え、私のこと? 私もですかー?」
みんな アハハハハ
完
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