マリア「おはよう。もうすぐ朝ごはんができるから顔を洗ってきなさい」

貴方は眠たい眼を擦りながらいつも通りキッチンで料理をしているマリアに促されるがまま洗面所に向かう。戸締りはして鍵も三重に掛けているのにどうやって入ってきているのか考えないようにしている。

マリアはまだマシだ。

マリア「できたわよ」

ほかの二人に比べたらお母さんに近い。世話焼きの姉御肌だからかずっと世話してくれる。

マリア「ほら、あーん」

問題があるとしたら世話を焼きすぎる。今日もまた僕は朝ごはんを食べさせてもらっている。

マリア「どう、美味しいかしら？」

美味しいと答えると満面の笑みを浮かべた。

マリア「次はもっと美味しくなるわよ。だから明日も楽しみにしてなさい」

僕はそれに応えず運ばれてくる料理を食べる。肯定しても否定してもロクな事にならない。

マリアは拒絶したら一番危ない。一度だけ断ったその日に僕は人生で一番怖い体験をした。

マリア「どうかしたかしら？」

首を振って否定する。あの日の事はもう思い出したくもない。

マリア「そういえば聞きたい事があったの」

声のトーンが一段階低くなる。あ、これはダメなやつだ。

マリア「この前、調達と出掛けたのにどうして黙っていたのかしら？」

それは別にマリアに聞かれなかったから…って答えるのはダメだ。この為の回答は用意してある。

マリア「調達は貴方に誘われたって言ってたわよ」

おかしい。暇だからって連れ出されたのは僕だ。ここには居ない二人に嵌められたと理解した。

マリア「正直にこたえなさい」

これから1時間、僕はきっちりマリアに詰められ今度の休みに出掛ける約束をさせらた。

それでもマリアはまだマシなのだ。