アイドルのウワサ ~ 高垣楓 ~ (39)


・方言は全て標準語に変換しています

・書き溜めをどんどん投下していきます
・誤字脱字がありましたらすみません


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高垣楓のウワサ
【行きつけの美容院の担当は、モデル時代のヘアメイクらしい。】



~事務所~

瑞樹「おはようございます・・・あら?」


テレビ『それでは次の曲にいきたいと思います―――』

凛・奈緒・加蓮「」ジーッ


モバP(以下、P)「おはようございます」

瑞樹「三人は何見てるの? 楓ちゃんのライブ映像?」


P「えぇ。次のライブでは楓さんの次にTPが歌う事になってるので事前に見ておきたいと」

瑞樹「へぇ~・・・あ、今日楓ちゃんってお休みかしら?」

P「はいそうですよ」

瑞樹「そう、せっかく今晩誘おうと思ってたのに」

P「残念でしたね」アハハ・・・

瑞樹「仕方ない、じゃあP君でいいわ」

P「じゃあって何ですか」


瑞樹「・・・」

P「どうかしました?」

瑞樹「あっ、いや・・・・・楓ちゃんってお休みの日何してるんだろうと思って」

P「今日は美容院に行くとか言ってましたけどね」

瑞樹「あぁ、モデル時代お世話になってた人が経営してるっていう?」

P「はい。まぁ正確に言うと高校の同級生なんですけどね」

瑞樹「同級生? へぇ、じゃあかなり長いお付き合いなのね」

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カランコロン

「いらっしゃいませー」

楓「大将やってる?」

「はいはい、そういうのいいから」

楓「少しくらい乗ってくれてもいいのに」

「楓の冗談に乗ってたらキリがないからね。はいこっち座って」

楓「はーい♪」


「今日は仕事休み?」

楓「えぇ、久しぶりのオフなの」

「最近忙しそうだもんね~。テレビでよく見かけるし、確か来週ライブもあるんでしょ?」

楓「だからライブに向けて髪を揃えてもらおうかと思って」

「あら、それは責任重大。腕が鳴るわね」

楓「よろしくね♪」
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「―――で、あそこの店がオススメなの」

楓「へぇ、今度行ってみようかな?」

「あ、そうそう! それでその店にA子がいたんだよ! 地元で就職したって聞いてたからビックリしてさ~」

楓「A子さんが?」

「あっ」

楓「・・・別に気にしなくていいんだよ?」アハハ・・・

「楓、あの時は本当にごめn―――」
楓「それで何回目? もう10年も前の話なんだから」フフッ

「・・・」


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― 約十年前 ―
~和歌山県 某高校~


『・・・』

A子『同じクラスだったんだ。今年もよろしくね♪』

『あ、うん。よろしく』

(はぁ・・・高校とかダルいな。早く卒業して上京したい)


当時から東京でヘアメイクの仕事を夢見ていた私にとって高校生活なんてものは時間の無駄としか思っていなかった


『・・・・・ん?』チラッ


楓『』キラキラ


(おぉ・・・これが噂の高垣楓か)

当時の楓は学校中で噂される程の美人として有名だった
立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花。とはよく言った物で楓の動作や仕草一つ一つが美しく、ビー玉のように綺麗な色違いの両目に見つめられた男子はたちまち彼女の虜になっていた・・・・・・まぁ、多分本人に自覚はなかったんだろうけど


(私には一生関わりのない人だな)


―――なんて初めは思っていたりもしてた

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A子『でさー』
B『うっそ~』
C『まじウケる!』
『あはは・・・』

正直自分にとって同級生との会話は退屈な物だった。しかしこれからも社会で生き抜くためには集団行動は必須だ。今はそれを学ぶ時間なのだと自分の中で割り切っていた

『・・・』チラッ


楓『』


楓は比較的一人でいる事が多かった。後から聞いた話によると極度の人見知りで人との接し方が分からなかっただけだったんだけど、当時は高嶺の花というやつなのかなと思っていた


女子『楓さん、良かったらこのチョコ食べる?』

楓『ありがとうございます。ではこのチョコをちょこっとだけ頂きますね♪』フフッ

女子『え? あ、うん・・・』アハハ・・・


―――少し変わり者だったってのもあったと思う。楓なりのスキンシップを取ろうと努力した結果だったんだろうけどね


そんな私と楓の距離が縮まったのはある日の事だった


(次の授業は・・・数学かぁ)ガサガサ・・・

バサバサッ!

『あ、やばっ』

楓『大丈夫ですか?』ヒロイ、ヒロイ

『ごめんね、ありがとう』

楓『いえいえ・・・・あ、これって東京のタウン情報誌ですか?』

『え、それ知ってるの!?』


そのタウン情報誌には私の憧れのヘアメイクアーティストが
毎月オススメの髪型を紹介するというコーナーが掲載されていたため
私は毎月東京からわざわざ取り寄せていた。まさか楓も知っているだなんて衝撃だった


楓『はい。私タウン情報誌や旅行雑誌の温泉特集を見るのが好きなんです♪』

『へぇ~、そうなんだ! 私はこのヘアメイク特集が好きでさ!』

楓『あ、私もそれ好きです。例えばこの髪型とかも・・・』

『あっ、もしかしてそれ先々月にオススメしてた髪型!?・・・いや、何で今月のにしないのさ!』

楓『新しい物に飛びついたと思われるのが恥ずかしかったので・・・///』

『いやいや、和歌山には無い雑誌だから。そもそも奇抜な髪型とかじゃないんだから気にする人なんていないよ』

楓『あっ・・・そう言われてみればそうですね』フフッ

(高垣さんって意外と接しやすいんだな)


この日を境に、私と楓は友達になった


キーンコーンカーンコーン

『楓、今日は中庭でご飯食べよっか』
楓『うん』


それから私達はいつも二人一緒に行動するようになった。
学校はもちろん放課後も一緒に遊びに行ったりすることも多くなり
高校生活に楽しさを見出せなかった私にとって充実した時間だった



『そう言えば近くに喫茶店が出来たらしいよ。今日行ってみる?』

楓『ごめんね。今日は部活なんだ』


『そっか~。確か【日本語研究会】だっけ? どんな活動してるの?』

楓『日本語に関する事なら何でもかな? 私は今これを』スッ

『ノート?・・・・・うわぁ、ダジャレばっか。ほんと好きだね~』

楓『ダジャレが好きなのは誰じゃ♪』

『また言ってるよ・・・・・ん? ねぇ、このダジャレの横にある数字は何? 40とか56とか』

楓『それはダジャレの点数。部活の後輩君に毎回採点してもらうの』フフッ


『へぇ~、先輩相手に結構厳しめだね』

楓『うん、でもすごく良い子なんだよ?』

『そっか』フフッ

(良かった。私がいないところでも面倒見てくれてる人がいるみたい)


まさか自分が他人の心配をするような人間になるとは思ってもみなかった。
私は私を変えてくれた楓と友達になる事ができて本当に良かったと改めて心から思っていた
・・・・・あの日までは―――――――
―――――――――――――――――
――――――――――
ガラガラ

(楓はまだ登校してないんだ)

A子『ねぇ・・・』

『ん?』


A子『アンタ最近高垣さんと仲良いよね』

『うん』

A子『あんな奴のどこがいいの? 暗いし、たまに意味の分からない事言ってたりするしさ。顔が良いからって調子乗ってると思わない?』

『・・・』

『思わない』スタスタ

A子『あっ、ちょっと!』


A子はいわゆるリア充グループの女子で私達のクラスでの権力が大きかった。
しかし最近楓が私と仲良くなった事によって徐々に他の人と交流を持つようになり、
自分の立ち位置が危なくなるとでも思っているんだろう


(女の嫉妬ってやつか)スタスタ


女子1『おはよー凄くピリピリしてるね。大丈夫だった?』

『ああいうのは勝手に言わせとけばいいんだよ』

女子1『片想いの男子が高垣さんにフラれたからってあたらなくてもいいのにねー』

『え?』

女子1『高垣さんと仲良いから聞いてたんでしょ?』

『何それ・・・』

女子1『あ、あれ? もしかして知らなかった?』

『・・・』

(先週もずっと一緒にいたのに)



私は今まで楓に何でも話してきた。親との喧嘩や進路の事、それこそ恋愛の話だって・・・
全てを話せる関係だと思っていたのに楓はそう思っていなかった。
友達だと思っていたのは私だけだったんだ・・・


・・・今思い返しても発想が単純で子供だったんだなと思う。
楓は元々が話下手だから一人で溜め込んでしまう癖がある。きっと「言わ」なかったのではなく
「言え」なかったんだろう。そんな事少し考えれば当時の私でも分かっていたはずなのに


ガラガラ

楓『』

A子『ちょっと』

楓『え?』

A子『アンタ○○フッたんだって?』

楓『え・・・あ、あの・・・それは・・・』

A子『美人だからってお高くとまってんじゃねーよ』

楓『そ、そんなつもりは・・・』

ガラガラ

教師『いつまで出歩いてるんだ。早く席に座れ』


ゾロゾロ


『・・・』
楓『ねぇ・・・私・・・』

『』フイッ

楓『え・・・・』


その日から私は楓と距離を置くようになった


A子『まじ調子乗ってるよな』
B『ねぇー』
C『あの目カラコン入れてるんだってさ』
D『不思議ちゃんキャラ狙ってるとか!?』

クスクス・・・

楓『・・・』


『・・・』


私が離れて一人になったのを好機と捉えたのか
A子は他の女子を仲間に引き入れて集団で楓の悪口を言うようになった


(・・・少しくらい言い返せよ)


―放課後―

『』スタスタ


あれから一週間、この時には既に自分の稚拙な行動を後悔していた。
結局自分も周りの女子達と変わらない、そんな自分自身に対して苛立ちも覚えていた



男『あの、高垣先輩のお友達ですか?』

『・・・誰?』

後輩『高垣先輩と同じ部活の後輩です』

『あぁ君が例の後輩君。何か用?』


後輩『最近高垣先輩の様子がおかしいんですけど、何か心当たりはありませんか?』

『・・・何急に。君は楓から何も聞いてないの?』

後輩『聞いても教えてくれないんです』

『だったらそっとしておいてあげなよ。知りたいからって他人から聞き出そうなんて趣味が悪いよ』

後輩『本来ならこんな事しません。でもあまりにもふさぎ込んでいるので・・・それにこれは先輩が関わっているのかなと』

『私?』


『それは違うって、楓が落ち込んでるのは他の理由だよ。言えないけど』

後輩『告白された件は関係ないと思います』

『知ってるんだ・・・』

後輩『知ってるも何も学校中で噂になってますからね。嫌でも耳に入ってきますよ』

(どんだけみんな楓に注目してるんだよ)

後輩『高垣先輩はこういうのには慣れっ子なんです。ここまで落ち込んだりするのは他の理由があるんだろうと僕は思っています』

『なるほどね、それで最近楓と一緒に行動してない私と何かあると思ったわけ』

後輩『そうなんですか・・・?』

(やば・・・墓穴掘ったか)


後輩『やはりお二人の間で何かあったんですね』

『君には関係のない話だよ』

後輩『確かに先輩の言う通りです。でもこれだけは知ってほしくて・・・高垣先輩は部活の時いつも先輩の話をしていました』

『・・・』

後輩『いま高校生活がとっても楽しいって、もっと早く知り合いたかったって・・・』


後輩『先輩と友達になれた事が幸せだって』


『っ・・・』


後悔の念に押しつぶされそうになる。でももう遅い、今更楓に謝ったところで・・・


『・・・こんな先輩想いの後輩がいて楓は幸せ者だ。これからも楓のことをよろしくね』ニコッ

後輩『それって・・・』

『じゃあね』スタスタ

後輩『先輩・・・』



『・・・』スタスタ



楓『あっ・・・』
『!?』


『楓・・・』
楓『あ、あの・・・』


『今の話、聞いてた?』

楓『え? ううん、ちょうど二人がいる所を見かけて隠れちゃったから』

『そう・・・』
楓『うん・・・』

『・・・じゃあね』スッ
楓『!』


(あぁ・・・ここで謝れないから私はダメなんだ。許して貰えなくても良い、自分の口から楓に謝らなくちゃいけないのに)

(これでもう楓とは二度と―――

ギュッ!

『!』

楓『ま、待って!』


『楓・・・』
楓『・・・・私怒らせるような事しちゃったのかな?』


違う・・・


楓『きっとそうだよね。私口下手だから何かしたんだと思う』


そうじゃない、全部私が・・・


楓『ずっと謝りたかったけど、断られるのが怖くて言い出せなかったんだ・・・ダメだよね私』アハハ・・・


楓『でも私はこれからも貴方と友達でいたいって思ったから。だから許して貰えなかったとしてもちゃんと顔を見て謝りたかった』

『!』

楓は勇気を出して私の前へ来た。何も悪くないのに
一方私は逃げてばかり・・・楓は今からそんな卑怯で弱い私に謝ろうとしている


こんな澄んだ瞳を持つ人が頭を下げようとしているんだ・・・・


楓『本当にごめn――
『』ダキッ!

楓『きゃっ!?』

『・・・ダメ』ギュッ・・・!
楓『えっ・・・?』


『楓が謝っちゃダメなんだよ!』


楓『え・・・あの・・・』


『全部・・・全部私が悪いんだ・・・私が・・・』プルプル
楓『・・・』キュッ・・・


『楓・・・・・ごめん・・・』ポロポロ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「・・・」

楓「どうしたの?」

「ん・・・あ、ごめんごめん」

楓「昔の事思い出してた?」フフッ

「・・・まぁね」


楓「色々あったけど、その後は楽しい事ばかりだったよね」

「あの後友達も増えて皆でどっか出かけたり、泊まり込みで受験勉強とかもしたっけ」

楓「お互い上京した後も一緒に遊んだね」

「私は専門に行って、楓は・・・まさかモデルになるなんてね。いや楓ならおかしくはないのか」

楓「今はアイドルだけどね」フフッ

「それで後輩君も上京してきてよく三人でも遊んだなぁ・・・あ、後輩君は元気してる?」

楓「うん♪ 昨日も一緒に飲んでたから」

「私の楓を取ったからね。許せないよアイツ」

楓「もうっ、大げさなんだから」

―――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――
――――――――
~事務所~

テレビ『踏み出す力下さい――――♪』


凛・奈緒・加蓮「!」ビリビリ・・・!


奈緒「すげぇ・・・画面越しなのにこの迫力かよ」ゴクリ
加蓮「私達この後に歌うんだよね・・・」


凛「もしかして二人とも怖がってるの?」


奈緒「そ、そんなわけないだろ!」
加蓮「・・・そういう凛こそ震えてるよ?」

凛「これは・・・・・武者震いってやつ、かな」プルプル・・・
加蓮「ふふっ、そういう事にしておいてあげる」


瑞樹「青春ってやつね。いいわ~♪」

P「これで分かったな? お前達は『歌姫 高垣楓』の次に歌うという自覚を持つこと。中途半端なものではファンの心は一切動かせないぞ」

「はい!!!!」


瑞樹(さすがは楓ちゃん。後輩たちの良い目標になってる)フフッ

ピコン!

瑞樹「?」

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『楓ちゃん』<前が見えないほど前髪が伸びてきてしまったので
髪をカットしてきました。とてもスカッと良い気分です♪)

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瑞樹「楓ちゃん・・・」ハァ・・・

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『楓ちゃん』<前が見えないほど前髪が伸びてきてしまったので
髪をカットしてきました。とてもスカッと良い気分です♪)


             (ちょっと分からないわ・・・>
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ピコン!

瑞樹「?」

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             (ちょっと分からないわ・・・>

『P君』< 88点 )

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瑞樹「えっ・・・」チラッ


P「ふふっ」


瑞樹「えぇ・・・」


~カフェ~

楓「~♪」

ピコン!

楓「?・・・・・あっ!」





楓「やった、高得点♪」フフッ

終り

~おまけ~

「よーし、髪型はこんな感じかな?」

楓「うん、ありがとう」

「・・・今日が高垣楓との最後の仕事になるんだね」

楓「もうっ、変な言い方しないでよ」フフッ

ガチャ

「お、後輩君もキマってるじゃん。カッコいいよ」

後輩「後輩君って・・・またそんな懐かしい呼び方を」


楓「とても素敵です」

後輩「楓さんもとても綺麗です」

「あーあ、また後輩君に楓を取られちゃったよ」

楓「またそんな事言ってる」

「楓、後輩君。本当におめでとう」

楓「ありがとう♪」
後輩「ありがとうございます」


「さぁ、行ってらっしゃい!」


楓・P「はい、行ってきます!」


司会『新郎新婦の入場です』



終り

以上になります
最後までご覧いただきありがとうございました!

書き溜めを張ってるので改行が上手くできず読みづらかったと思います(特に地の文)
申し訳ございませんでした!


最後にこちら前作になります。お暇な時にでもどうぞ

モバP「秘伝忍法、四十八手?」  あやめ「はい!」
モバP「秘伝忍法、四十八手?」  あやめ「はい!」 - SSまとめ速報
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