モバP「…………凛かわい」渋谷凛「………………」 (16)


P「…………」

P「………………」

P「……………………」

P「…………………………凛かわい」

凛「!?」

P「………………」

凛「………………」

P「………………ん?」

凛「……あ」

P「あ」

凛「…………」

P「…………」

凛「え、っと……その……お疲れ様でした?」

P「待って待って待って待って。敬語もやめて」

凛「…………」

P「……いつから?」

凛「外回りから帰ってきて、自分のデスクに置いてある献本で来た雑誌をウキウキで開いたとこ、かな」

P「それ結構前じゃない?」


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凛「まぁ、うん。集中して読んでたみたいだから、ちょっと待とうかなって思って」

P「あー。それで……と」

凛「うん。そしたら、同じページを十回くらい往復して『はーーーーっ』ってやり出して」

P「もうそこでも十分恥ずかしいから声かけてよ……」

凛「で。急に、ぱたーん! って雑誌を閉じたと思えば……その、さっきの」

P「さっきの?」

凛「ほら、さっき言ってたでしょ」

P「なんて?」

凛「…………ふーーーーーん。そう来るんだ」

P「……わかんないものはわかんないからなぁ」

凛「目が泳いでるよ」

P「ここ遊泳禁止だった?」

凛「話を逸らそうとしない」

P「…………」


凛「さっき、言ってたよね?」

P「…………なんて?」

凛「…………私のこと、言ってたでしょ。その、ほら、かわいい、って。それ、私の載ってる雑誌だし」

P「…………」

凛「ねぇ、ちゃんと聞いてる?」

P「めっちゃ手ぇぱたぱたさせながら説明してるの、かわいいなあ、って思ってた」

凛「聞いてないよね」

P「聞いてた聞いてた」

凛「じゃあ私がなんて言ってたか、わかるよね」

P「うん」

凛「……え、何とも思わないの?」

P「いや、聞かれた当初はすごい恥ずかしかったんだけど」

凛「うん」

P「もういっか、って」

凛「……えー」


P「だって、だってだぞ?」

凛「うん」

P「実際、かわいいと思ってなきゃおかしいでしょ」

凛「…………それは、なんで?」

P「例えば、ケーキ屋さんがあるとする」

凛「うん」

P「俺はそこの呼び込みをやってるわけ」

凛「うん」

P「ここのお店のケーキすっごいおいしいですよー! 損はさせませんよー! って」

凛「うん」

P「そう言ってるやつが、そのケーキ屋さんのケーキをおいしいと思ってなかったらダメでしょ」

凛「…………あーーー」

P「だから、これは当然のことです」

凛「…………はい」


P「でも他言は無用です」

凛「えー」

P「えー、じゃない」

凛「なら、代わりに何か私にも見返りがあってもいいと思うんだけど、どうかな」

P「えー」

凛「えー、じゃないってば」

P「すぐ真似する」

凛「結構上手な自信あるよ。私」

P「俺の真似?」

凛「うん」

P「例えば?」

凛「…………」

凛「………………」

凛「……………………」

凛「…………………………凛かわい」

P・凛「wwwwwwwww」


P「上手いな」

凛「でしょ」

P「本家名乗っていいぞ」

凛「それ、私ただのナルシストだよね」

P「まぁ、うん」

凛「ほら」

P「でも割と事実だから、そんなに問題ないって」

凛「あるでしょ。いろいろ」

P「そうかなぁ」

凛「っていうか、本家の称号なんていらないから」

P「そう?」

凛「もっかい見せてよ」

P「本家のやつ?」

凛「うん」

P「…………」

P「………………」

P「……………………」

P「…………………………凛かわい」

凛・P「wwwwwwwww」


凛「はー。おなかくるし」

P「笑いすぎでしょ」

凛「プロデューサーだってさっきから大笑いしてるくせに」

P「それで、なんだっけ」

凛「他言しない代わりに、見返り?」

P「あー、そうそう」

凛「ちょっと冗談で言っただけだから、別にないならないでいいけどさ」

P「そうなの?」

凛「第一、言いようがないでしょ。プロデューサーが私のことかわいい、って独り言こぼしてたー、なんて」

P「あー」

凛「プロデューサー、逆の立場だったら言えないでしょ」

P「うん。そっと胸に秘めて、後生大事に大事に擦り切れるまで反芻し続けると思う」

凛「そこまで大事にされると逆に怖いんだけど」


P「それはさておき」

凛「さておくんだ」

P「実はタイミング良く、あるんだよね。見返りってやつ」

凛「え、何?」

P「最近懇意にさせていただいてる方が地方の取引先にいてさ」

凛「うん」

P「その人の地元の百貨店で、どうもバレンタインの催しみたいなのがあって」

凛「うん」

P「ロケだか取材だかで行って、限定品をいくつかもらったんだと」

凛「それで?」

P「んで、渋谷凛ちゃんってチョコレート好きなんですよねー? って」

凛「くれたの?」

P「うん。なんか整理券配って始発から並ぶようなのらしいよ」

凛「あー。いくつか思い当るよね」

P「チョコレート界もそういうのあるんだなぁ」

凛「結構すごいよ。それぞれのショコラトリーにファンがいたりして、本店のショコラティエが来日するー、とかなったらお祭りみたいな感じだしさ」

P「へぇー。じゃあ普段食べてるのは音楽で言えばコピーバンドのやつ、みたいなことか」

凛「もうちょっと言い方あるでしょ」


P「チョコレート界も大変なんだなぁ、ということだけはよくわかったけど」

凛「うん」

P「そういう感じのチョコレートがあるわけですが」

凛「うん」

P「いる?」

凛「いる」

P「よしきた。はい」

凛「……なんかいっぱい入ってるね」

P「がさっとくれたからな。がさっと」

凛「プロデューサーも持ってったら? 一つくらい」

P「俺はいいよ。こういうのはありがたみがわかる人が食べた方がいいだろうし」

凛「ありがたみ、わかんないの?」

P「もっと良いやつ、来月もらえるからね」

凛「…………ハードル高くないかな」

P「悠々と飛び越してくでしょ」

凛「そうだといいんだけど」

P「余裕だと思うよ」

凛「そうかなぁ」


P「さて、というわけで、そろそろ帰りなよ? もう上がりでしょ」

凛「あれ。プロデューサーは?」

P「俺はこれからもう一仕事で、今は資料が上がってくるの待ってる感じ。……あ、もしかしてお誘いしてくれる感じだった?」

凛「まぁ、うん。ご飯行けたらいいな、って」

P「…………んー」

凛「どうにかして行こうと考えてる顔でしょ」

P「なんでわかるの」

凛「別に私とご飯行くのなんていつでもできるんだから、お仕事優先しなよ」

P「……間が悪くて申し訳ない。また誘って」

凛「うん。じゃあ、私は帰るね」

P「気を付けて。……あ」

凛「?」

P「この雑誌、持って帰る?」

凛「どうせ家族も買ってるだろうし、私はいいよ。プロデューサー持ってて」

P「ん」

凛「あ、でも」

P「?」

凛「最後にもっかいさっきのやって欲しい、かな」

P「よしきた」

P「…………」

P「………………」

P「……………………」

P「…………………………凛かわい」

凛・P「wwwwwwwwwwww」




おわり

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