ジャスティスマン「南条光と」シングマン「小関麗奈」 (66)

モバマス×キン肉マンのクロス
以下の点だけ理解すれば読める内容です

1. 完璧超人始祖がプロデューサーをやっている

2. この世界でのライブバトル(ダンス、歌、ビジュアル)はアイドルレスリングで“表現”される

3. ゆで理論&オモシロ起源説

4. それぞれの担当
ガンマン ⇨ 渋谷凛P
サイコマン ⇨ 堀裕子P
ペインマン ⇨ 海老原菜帆P
ジャスティスマン ⇨ 南条光P
ミラージュマン ⇨ 市原仁奈P
カラスマン ⇨ 神崎蘭子 & 二宮飛鳥P
シングマン ⇨ 

5. 以下の過去作からの続き


過去作

【モバ肉m@n】

ガンマン「シャバババーーッ!!」渋谷凛「ゲーーッ!1つ目の超人ッ!!」

ガンマン「シュ、シュガァ~~!!」はぁと「3000万スウィートパワー☆」

堀裕子「これが…さいきっくパワー……!!」サイコマン「マグネットパワーです」

堀裕子「これぞさいきっくマグネットパワー!!」サイコマン「もうそれでいいです」

ペインマン「お前は柔らかすぎる!!」海老原菜帆「プニョフワです~」

ジャスティスマン「行くぞ」南條光「正義のヒーローただいま参上!!」

ミラージュマン「ようこそ」市原仁奈 「4߂プロダクション!」

カラスマン「タッグを組ませたぞ」蘭子・飛鳥「ダークイルミネイトッ!」

シングマン「我らは」高森藍子「復讐の天使ッ!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1582983125


注意)

オリジナルのモブが少しだけ登場します


ー東京某所 ライブバトル会場 控え室ー


ジャスティスマン「ヒカルよ、直に堀裕子と村上巴のライブバトルが終了するだろう。そうなったらいよいよお前のライブバトルの時だ。準備は良いか」

光「うん、大丈夫だ! アタシは必ず勝つ!!」

ジャスティスマン「ああ」

光「麗奈のこと、シングマンに任されたんだからな。絶対に期待に応えてみせる、ヒーローとしてッ!!」

ジャスティスマン「ああ、では―――」

光「あっ、待って! 一つだけ頼みがあるんだけど、衣装を変えたいんだ」

ジャスティスマン「ジャスティスブレイズ+ ではないものを身につけたいということか?」

光「うん。もしかしたら不利になるかもしれないけれど、特訓前の“この衣装”で!」

ジャスティスマン「………ヒカルがそう思うのならばそれも良い。いや、おそらく最善の衣装なのだろうな」

光「おお! よし、行くぞーーッ!!」ダッ!



光(待っていろ、小関麗奈ッ!! 必ず君を………!!)





ー10日前ー



ジャスティスマン「………………」

シングマン「………………」グルングルン

光「………………」

シングマン「………………」グルングルン

ジャスティスマン「………………」

光「………………」

シングマン「さぁ、スムージーが出来た」

光「………………ど、どうも」

光(肩がぐるぐる回ってたと思ったらスムージーが出てきた………)

ジャスティスマン「久しぶりだな、シングマン。センカワがお前を探していたが」

シングマン「理由あって出てくるのが遅れた。主にガンマンのせいでな」

ジャスティスマン「復讐すると言っていたと聞いたが」

シングマン「ああ。だがその前に、南条光よ。お前に頼みがある」

光「アタシに?」

シングマン「ああ。それが今日、お前達を呼んだ理由だ」

ジャスティスマン「………………」

光「な、なんですか?」

シングマン「うむ。あの娘を………小関麗奈をライブバトルで倒して欲しい!」

光「なんだって!?」


ジャスティスマン「どういう事だ、シングマン」

シングマン「先のライブバトル、恐らくお前達は麗奈に対して良い印象を持っていないだろう」

光「そりゃそうだよ! 戦い方も卑怯だしいくら勝ったからって大切なものを奪うだなんて!」

シングマン「それは間違っていない。麗奈はあの様な勝ち方、そして在り方を美学としている娘だ。お前達がそう思うのならば、それはあの娘にとって喜ばしいことだろう」

光「そんなっ!!」

シングマン「だが勘違いして欲しくないのは………あの娘は本当は非常に心優しい人間であるということだ」

光「どういうこと?」

シングマン「百聞は一見に如かず。これを見て欲しい。ギラッ!!」ブツン!

光「モニターが生えてきたぞ!?」


『クックック、なかなかいい出来じゃない! 流石はこのアタシ、レイナサマね! アーッハッハッハ…ガホゲホッ!!』


光「あれは、凛さん!? いや、でも……ここにいるわけがないし」

シングマン「渋谷凛の外見をしているが麗奈だ。いま数部屋隣にいる。実況中継だ」

光「一体なにをやっているんだ?」


『ふふふ、なかなか綺麗になったわね。それにしても、こんなに沢山種類があるなんて……作った人大変だったでしょうに』


光「あれって、仁奈ちゃんのキグルミじゃないか!」

シングマン「帰ってきて真っ先に洗濯をし始めた」

光「洗濯?」

シングマン「あの仁奈というアイドルの技を封じるために、キグルミをかなり汚していたからな。その汚れを綺麗にしているのだ」


『ふっふふふ、でもこれだけじゃつまらないわね。クッククク……袖の所にこのレイナサマ印の刺繍をしてやるわ! アイツの慌てふためく姿が眼に浮かぶわね!』

『ええっと、裁縫セットどこやったかしら?』キョロキョロ

キャンキャン!

『ん、なにどうしたのよ? お腹でも減った? 散歩はさっきしたでしょ!』

キャンキャン!

『へ、遊べって? しょうがないわねぇ……』


光「ハナコちゃんがドームの外にいる!」

シングマン「うむ。帰ってすぐにドームから出してやった」

光「じゃあ麗奈が凛さんの格好をしてるのは?」

シングマン「あの犬にストレスを溜めないようにという麗奈の計らいだ」


『あーよしよし! うふふ、可愛い奴め! アタシも犬飼おうかしらね。でもいまデカイの飼ってる様なものだし………』


光「シングマン、飼われてるのか!?」

シングマン「見解の相違だ」

ジャスティスマン(愛玩動物には成り得ないだろうな)


『……大丈夫よ、すぐにアンタの本当のご主人様の所に返してあげるからね』ナデナデ

キャン!

『はっ、そうだった! 裁縫セットどこにやったんだっけ!! ねぇカタブツーーッ!! ちょっと来なさいッ!! この前の罠は外してあるからッ!!』


カタブツ---!

シングマン「呼ばれたようだ。少々行ってくる」コツコツ

光「………ジャスティス、どう思う?」

ジャスティスマン「ヒカルよ、それはお前が決めることだ」

光「う、うん……… なんか毒気を抜かれてしまった。でもなんで麗奈はあんなに悪役を演じてるんだろう」

ジャスティマン「そこはヒカルと同じ理由だ。ヒカルはヒーローに憧れ、小関麗奈はヒールに憧れているからだろう」

光「でも! ライブバトル以外ではあんな気配りができるのに、ヒールじゃない方がアイドルとして人気が出るんじゃ………」

ジャスティスマン「仮に私が、ヒカルが今以上に人気アイドルになるためヒーローアイドルをやめろと言ったらどうする」

光「そ、それはもちろん嫌だけど……」

ジャスティスマン「………人間達の間で言われていることだが、悪役というのは善人でなければ務まらない。悪人が悪役をやろうとすればそれは悪役でなく悪になってしまう」

光「た、確かに!」

ジャスティスマン「ヒカルよ、お前はヒーローアイドル。そして次の相手はヒールアイドル。これ以上におあつらえな相手はいないだろう」

光「そ、そうだな確かに!」

ジャスティスマン「相手がヒールに徹するならヒカルもヒーローに徹するべきだ。それがヒーローアイドルというものだろう」


どんがらがっしゃーーんっ!!!

ギラ---!?

ア-ッハッハッハ!! ヒッカカッタワネコノカタブツ--!! ゲホガホッ!


ジャスティスマン「…………」

光「な、なんだ!?」

コツコツ………

シングマン「ギ、ギラ~~~」ビッチャ-

光「うわ、真っ黒………ペンキ臭いし」

シングマン「………………」

光「…………………………」

シングマン「……とにかく、麗奈は、良い子、なのだ」プルプル

光「…………そ、そうなのか」

ジャスティスマン「他者へイタズラをしたがる者とすぐに騙されるお人好し。なるほど、相性は良いのかもしれないな」



シングマン「麗奈があの様に心を閉ざしたのは理由がある」ポタポタ...

光「あっそのまま続けるんだ。ペンキが滴り落ちてるけど」

シングマン「もともと麗奈はアイドル養成所に通っていたのだ。そこで麗奈はある酷い仕打ちを受けたのだ」

光「それって一体?」

シングマン「うむ……… お前達には話しておく。我らの出会いをな」




ーとあるアイドル養成所ー


「はい、今日のレッスンはここまで! 各自ストレッチしてから帰っていいわよ!」

「「「ありがとうございました!」」」

「さてと、それじゃあこのホワイトボードを綺麗にして私も帰り支度を…………あら?」

「な、なんで? 消えないわね」ゴシゴシ

麗奈「クックック…………アーッハッハッハ!!」

「ま、まさか麗奈ちゃん!?」

麗奈「まだ気付かないなんてマヌケね! そのペンをよく見てみなさい!」

「こ、これは……油性!?」

麗奈「アンタがここにくる前にすり替えておいたのよ! アーッハッハッ……ゲホッゴホッ!!」

「ま、またあなた………!!」

麗奈「ストレッチも終わったし帰るわね、それじゃあねおマヌケさん♪」タタタタタッ

「こ、こら待ちなさいッ!! ………まったく、困った子ね麗奈ちゃんは」

「ま、このくらいなら可愛いものかな」クスッ



「チッ、あのデコ女。ちょっと成績いいからって好き放題しちゃって」

「ほんとほんと、ウザいよね~」

「はぁ~ とっととここ辞めてくんないかな~」



麗奈「いや~傑作だったわねあのトレーナの顔! こんなにイタズラが上手くいくと本当に気持ちいいわね」

「待ってよ~麗奈ちゃん!」

麗奈「お、来たわね功労者!」

「はぁはぁ、もう! 逃げ足が早すぎだよ!」

麗奈「いやはやあのトレーナーの顔を見た? あんな焦った顔しちゃってねぇ! 本当に面白かったわ!」

「あはは、麗奈ちゃんわざわざ30分も早く養成所に行ったんだもんね」

麗奈「アンタのおかげよ。今まで失敗続きだった私のイタズラだけど、アンタというブレインのおかげでこのところ成功続き!」

「えへへ、麗奈ちゃんのお役に立てたのなら嬉しいな」

麗奈「アンタは一生アタシの下僕としてこき使ってやるわ! 精々働きなさい!!」

「ふふ、ありがとう麗奈ちゃん♪ 麗奈ちゃんも私にとって大切なお友達だよ♪」

麗奈「アーハッハッハッ……ゲホゴホッ!!」




麗奈「ただいま~」

「………麗奈、ちょっとこっちに来なさい」

麗奈「なによ?」

「あなたまた養成所でイタズラしたんですって?」

麗奈「別にいいじゃないの、ちょっとしたイタズラじゃない」

「麗奈ッ!!」

麗奈「なっ、なによ!」

「あなたはね、養成所ではかなりよい評価をされてるの。それは知ってるわよね?」

麗奈「当たり前じゃない。このレイナサマがあんな養成所に収まる器なわけないじゃない」

「そんな麗奈がこんな風にイタズラをするとね、トレーナーさん達からの評判が悪くなるの。するとスカウトをしに来てくれる人からもそう言う風にみられちゃうのよ?」

麗奈「だからイタズラするのを止めろって言うの?」

「わかってるでしょ? スカウトしに来てくれた人も、そんな麗奈のことを選ばないって」

麗奈「はんっ! このレイナサマの魅力がわからないヤツなんかこっちから願い下げよ!」

「麗奈!」

麗奈「アタシの魅力は悪のカリスマ性なの! それなのにイタズラを止めろだなんて、アタシのアタシらしさが無くなっちゃうわ!」スタスタ

「待ちなさい!」

麗奈「疲れてるからシャワー浴びて寝るわ。なにを言われてもイタズラはやめないから!」

「麗奈っ………まったく、困った娘ね」



麗奈「ふふふ、最近のアタシ絶好調ね。それもこれもあの娘のおかげ。こんなアタシと仲良くしてくれるなんてモノ好きだと思ったけど………」

麗奈「イタズラの計画を立てて貰ってそれをアタシが実行する。クククッ完璧な作戦ね! まさに悪の秘密結社!」

麗奈「これでアタシが……いや、アタシ達が世界を征服する日も近いわ!」

麗奈「ククククッ、アーッハッハッハ! よし、むせなかった!!」

麗奈「笑い方も様になって来たわよ!! うふふ!」ニコッ

麗奈「おっといけない、早く明日のためのびっくり箱を作らないと……!」ゴソゴソ





数日後


麗奈「え~っと、ペンキペンキ……… あ、これでいいかしら」

「麗奈ちゃん、あった?」

麗奈「ええ、これでいいかしらね。赤いペンキよ!」

「うん、きっと大丈夫だよ!」

麗奈「にしても本当に大丈夫かしらね、これで養成所に落書きしようだなんて…………」

「うん、きっと大丈夫だよ! だって落書きする壁は明後日に業者さんが赤いペンキを塗る予定があるところだもん」

麗奈「塗装前にアタシの芸術をみんなに見せるチャンスね! ふっふふふ!」

「えへへ、頑張ってね」

麗奈「ええ!」

「それじゃ私は先に外に出てるから。外で待ってるね」

麗奈「クククッ、流石ね。こんな大きなイタズラができるなんて本当に楽しい! あの子って本当に頭がいいのね~」

麗奈「…………たまには褒美でも上げたほうがいいかしら。えっと……裁縫道具はどこかしらね」


麗奈「待たせたわね」

「あ、麗奈ちゃん。ちゃんと買って来た?」

麗奈「バッチリよ!」

「……? ペンキ以外になに買ったの?」

麗奈「別に大したものじゃないわ。ちょっと文房具を買うの忘れててね」

「そうなんだ」

麗奈「今日はよく付き合ってくれたわね、褒めてあげるわ」

「ううん、私だっていつも麗奈ちゃんに自主練を手伝って貰ってるんだもん。おあいこだよ」

麗奈「ま、それもそうね。このレイナサマが直々にレクチャーして上げてるんだから感謝しなさい!」

「うん、ありがとう麗奈ちゃん! 麗奈ちゃんのおかげで私、最近トレーナーさんにもたくさん褒められてるんだよ」

麗奈「調子にのんじゃないわよ、アタシの下僕がそんな事で喜んでちゃ示しがつかないの! 目指すはこのまま2人でトップアイドルよ!」

「頑張ろうね麗奈ちゃん!」

麗奈「アーッハッハッハ……ゲホッ!」

「ふふふふ…………」




その夜


麗奈「痛っ! くそ、なんでこの糸針に通らないのよ!! ああもうイライラするわね!!」

麗奈「えっと、布を縫って……わたを詰めてっと………あと服には太陽をつけとこうかしらね」

麗奈「顔って難しいわね……ああもう! レイナサマにはこんなチマチマした作業は似合わないわ!!」

麗奈「…………………でも、頑張らないと」チクチクチクチク



翌日



麗奈「ふっ! はっ!」キュ! タンッ!

「あ、麗奈ちゃんおはよう! なんかいつもよりダンスのキレがいいね!」

麗奈「アーッハッハッハ!! 昨日の手筈通り壁に思いっきり落書きしてやったわ!! そりゃ自主練も捗るわよ!」

「………良かったね!」

麗奈「ふぅ、さってと……レッスン始まるまで少し休もうかしらね。ほら、アンタもちょっとこっち来なさい」

「ん、なに?」

麗奈「ほら」ポイッ

「え、なにこれ?」

麗奈「アタシの下僕の証よ。とっときなさい」

「え? うわぁ凄い! ハートとドクロの首飾りだ!」

麗奈「今日の準備の片手間に作っただけだから。ま、そんなチンケなゴミがアンタにゃお似合いよ」

「ゴミなんかじゃないよ!」

麗奈「うわっ!?」

「ありがとう、大切にするね……!」

麗奈「ふ、ふん! 精々アタシのために働きなさい!」

「えへへ、鞄につけとくね」

麗奈「ふんっ! てか首に付けなさいよ!! せっかくの首飾りなのに!」


ガチャ


「…………チッ」

麗奈「あら、早いじゃない? 感心ね」

「気持ち悪いやつ見ちゃった、あー吐きそう……………」

麗奈「はんっ! それならトイレにでも行けば? アンタみたいな汚物にはお似合いじゃない?」

「あーキモいキモい、それにこの部屋なんか臭いわね。生ゴミでもあるのかしら?」

麗奈「ふん、格下に言われた所で別に何も感じないわね。今日だって自主練しに来たみたいだけどアタシより遅い到着だし、意識足りてないんじゃないの?」クスクス

「………………チッ」ドサッ

麗奈「はんっ、雑魚が! レイナサマに勝とうなんざ100年早いのよ!」

「れ、麗奈ちゃん………!」

麗奈「あーはいはい、レッスン始まるまで外に出てようかしらね。下手なダンス見て感染っちゃったりしたら嫌だしね」


ガチャ


「………………デコ女が、今に見てなさい」


レッスン後


麗奈「はぁ~今日もいい汗かいたわね。あの子は今日はボーカルレッスンだったかしら? 着替えたら一緒に帰ってやろうかしらね」

ドタドタドタドタ!

麗奈「あら……クックック、もうあのイタズラに気づいたのね。思ったよりも早かったじゃないのトレーナーさん?」ニヤリ

「………………」

麗奈「…………なによ、黙っちゃって」

「来なさい!」グイッ!

麗奈「ちょっ!? 何すんのよ!」




「座りなさい」

麗奈「な、なによ……そんな怖い顔して。ちょっとしたイタズラでしょ!」

「それじゃあやっぱり麗奈ちゃんがやったのね?」

麗奈「そ、そうだけど! どうせ明日塗装するんでしょあの壁! だったらいいじゃないの色もおんなじ赤にしたんだし!!」

「そうじゃないでしょうっ!!」

麗奈「………ひッ!!」

「これを見なさい」スッ

麗奈「え………?」

麗奈(これ、バッグ……? それもあの子が大事にしてた…………お母さんから貰ったものって)

「これもあなたがやったんでしょう?」

麗奈(ただいつもと違うのは…………)


バカ
死ね
裏切り者
消えろ


麗奈(赤い文字…………これは、ペンキ…?)

麗奈(……………って!)

麗奈「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! アタシこんなの知らないわよ!!」

「でも壁は麗奈ちゃんがやったんでしょう?」


麗奈「そ、そうだけど…………」

「麗奈ちゃんが持って来たペンキはどこにある?」

麗奈「そ、それは………アタシのロッカーの中に………」

「それなら他に誰がこんな事をできるの!」

麗奈「し、知らないわよ! 誰かがあたしのロッカーからペンキを盗んだのかもしれないじゃない!」

「麗奈ちゃん、その腕のバンドは何? ロッカーの鍵でしょ? だったらロッカーにはキチンと鍵がかけてあるってこと。誰も取れないでしょ!」

麗奈「ち、違う………! だってアタシ、そんなことする理由がないじゃない! アタシとあの子は友達よ!なのにどうしてこんな事をするってのよ!」

「麗奈ちゃん、あの子が見学にいらした方からスカウトされかけていたって事知ってたんでしょう? それで悔しくてやったんじゃない?」

麗奈「は……はぁ!? なによそれ初耳よ!」

「麗奈ちゃん、嘘はやめなさい。あの子も麗奈ちゃんにしかそのことは言ってないって話してくれたわよ」

麗奈「し、知らないわよ! そんなの聞いてない! あの子の勘違いよそれは!」

麗奈「あの子と直接話をさせなさい! 直に会って話すわ!!」

「さっきお母様に引き取りに来ていただいたからもうここにはいないわ。本当に可哀想に………ぐしゃぐしゃに泣き崩れちゃって、歩くことすらできなかったのよ。麗奈ちゃんにこんな事されて、本当にショックだったのね」

麗奈「だ、だから……ッ!!」

「いい? 麗奈ちゃんのそのイタズラ好きなのを治そうとは私は思わない。でもね、今回のこれはさすがに度が過ぎてる。わかるわよね?」

麗奈(な、なんで………)

「確かに仲の良かったお友達に先を越されて悔しかったのかもしれない。その気持ちは私にもよ~く分かる」

麗奈(なんでこの人は……………)

「でもね、大切なお友達でしょう? だったらその子の成功を喜んであげるのもあなたの務めだったんじゃないかしら?」

麗奈(なんでアタシがこれをやったって前提で話を進めているの………?)





麗奈(それから家に電話されて親が迎えに来て…………そこから更に怒られた)

麗奈(何度も何度も身の潔白を訴えたけれども、結局誰にも信じてもらえなかった)

麗奈(両親はそんなアタシを見て、自分たちの教育の不甲斐なさに涙を流していた………………)

麗奈(でも、そんな事よりも、あの子にも信じてもらえなかったことの方が、私のショックは大きかった)

麗奈(そして翌日……………)





麗奈「な、なんで………なんであの子の家が更地になってるのよ!!」

麗奈(昨日の今日で引っ越すなんて…………カーメンの試合並みに展開が早すぎるわよ!)

「あら、デコ女。こんなところでなにしてるの?」ニヤニヤ

麗奈「なっ………! なんであんたここにいんのよ!!」

「たまたま通りかかっただけよ。そんな事よりも、聞いたわよ。アンタ唯一のお友達に酷いことしたんだってねぇ? あ、友達と思ってたのは向こうだけだったのかしら? アンタにとっちゃ邪魔者だったってわけね」

麗奈「……………ッ!」

「ふふふふ、誰からも信じられず一人ぼっちのでこっぱち。無様この上ないわね、ざまぁみろ!」

麗奈「ま、まさか……アンタの仕業!?」

「はぁ? 何言ってんのよ、あれをやったのはあんたでしょ? なんで私がやったことになるのよ」

麗奈「煩い!」グイッ!

「きゃっ! 何すんのよ触んな!!」

麗奈「アタシの事が嫌いならアタシに直接やってくればいいじゃないッ! この卑怯者ッ!!」

「はぁ!? 訳のわからないこと言ってんじゃないわよッ!!」ドンッ

麗奈「きゃっ!?」

「とっとと消えちまえ、このクズ女ッ!」タタタタッ!

麗奈「このっ……!」

麗奈(…………話さなきゃ! そして誤解をとかなくちゃ!!)


ー東京 某アイドルプロダクションビルー



麗奈「あの子の所属しているアイドル事務所ってここね………」キョロキョロ

麗奈「流石に忍び込むわけにはいかないしここで出待ちするしかないかしら……… そして、キチンと説明しなきゃ……… 誤解だってことを」


「はぁ~疲れたね」

「そうね。結構頑張ってたじゃないの」


麗奈「っ! いた! で、でも誰か他の人と一緒にいる……流石にこのまま突撃はレイナサマでも………」コソッ


「こっちはどう、もう慣れた?」

「う、うん。もう大丈夫だよ」

「出身は山形県だっけ? こっちの方ってゴミゴミしてるじゃない。向こうは静かなんでしょ?」

「そうだね。養成所のあったところは結構賑やかだったけど、家の周りは自然が多かったかなぁ」

「ふーん」

麗奈(くっ、全然別れる気配がない。こ、こうなったらこのまま突撃を………!)ガサッ

「でも向こうに友達もいたんでしょう? 養成所とかに」

「え、ああうん。学校には友達がたくさんいたよ。でも……」



「養成所に友達なんか1人もいないよ。向こうは友達と思ってたかもしれないけれどね」



麗奈(………………え?)


「どういうこと?」

「実はね、私よりももっと実力のある子がいたんだ。麗奈ちゃんっていうんだけどね。ふふふ、イタズラ好きで私に利用されたバカな子が」

麗奈(ど、どういう……!? 利用って…!)

「利用?」

「うん。その子友達がいなかったからさ、少し優しくしただけで私のことを友達だって言ってきてね。私はただ自分のレッスンを見てもらうためにその子を利用したかっただけなのに」

「だからそのお礼ってことでイタズラの内容を考えたりしてね。トレーナーさんに怒られない程度の奴を沢山。それが罠ってことに気づかないなんて……ふふふふ」

「罠って、どういうこと?」

「こっちに来る1日前にね、上手いこと言いくるめて養成所に赤いペンキを持って来させたの。でね、その時に私もこっそり赤いペンキを買っておいてね」クスクス

麗奈(ま、まさか…………!!)


「私がお母さんに買ってもらったお財布やバッグをペンキでグチャグチャにしてやったの! そしたらやっぱり麗奈ちゃんの仕業ってことになってね! 本当に上手くいったよ!あははは!」

「でもなんでそんなことをしたの? 別にそんなことする必要なんてないんじゃ」

「だって私じゃ麗奈ちゃんに勝てないもん。ダンスもビジュアルもボーカルも。変に懐かれちゃったから私と同じこのプロダクションに来ちゃうもん。そしたら私はすぐに落ちぶれちゃう」

「それに将来の敵を今の内に潰しておけば、私たちのお仕事も増えるしね。あの子の人生をこうしておけば私の人生は安泰でしょ」クスクス

「アンタ、見た目の割にいい性格してるじゃない」ニヤッ

「それはお互い様でしょ?」

「違いないわね」



「「あっははははは!!」」




麗奈(これは夢よ。ええ、そうに違いないわ…… こんな、ことって……悪い夢に決まってる………)



「「あっははははは!!」」



麗奈(だから………だからお願いッ!! 早く覚めて!! お願いだからッ!!)ギュッ!



「これももういらないや。もうっていうよりも最初からいらなかったけどね」ポイッ

「それじゃ帰りましょう」




麗奈(………………)

麗奈「………………」コツコツ

麗奈「…………………ゴミ箱」ガサゴソ

麗奈「アタシが作った……首飾り……………」



麗奈「……ぅ…ぐぅ……! ヒッ……あぁぁ………!」ポロポロ

麗奈「う…あぁぁ………ッ!」




麗奈「うわぁあああああああッッ!!!」ボロボロ



ー小関家 最寄駅近くー


麗奈「…………………………」フラフラ

麗奈(…………………もういいわ、アタシは全部してやられたって訳ね……)

麗奈(もう養成所にはいられない……アイドルになるなんて奇跡でも起こらない限り不可能よ……ふん、あの裏切り者のクズが……)

タスケテクレ-

麗奈(もうどうでもいい………アタシなんかもう……どうなっても………………)

タスケテ-- ヘルプ ミ--!!

麗奈「………なにか聞こえた?」

ダレカタスケテクレ--!! ギラギラ--!!

麗奈「助けてくれだなんて……アタシのセリフだっての。こっちの方かしら?」



ー公園ー



麗奈「もうアタシに怖いものなんてなにもないわよ……… 夜中で真っ暗だとしても……怖くなんてないわよ!!」キョロキョロ

タスケテレ--ッ!!

麗奈「この茂みの向こうね。ふん、もうお化けでも妖怪でも出て来なさい! このレイナサマに悲鳴をあげさせようだなんて100年早いのよッ!!」ガサッ!









シングマン「タスケテクレ~~ッ!!」

麗奈「キャアァァァーーッ!! モアイ像の超人が地面に埋まってるーーーーッ!!!」



ー東京某所 ライブバトル会場ー


巴「おりゃぁああああっ!! 自慢のコブシを喰らえぇえ!!」

裕子「むむむっ!!」サッ!

〈お嬢、30分以上の大死闘でボロボロになりながらも未だエスパーユッコへの攻撃をやめない!! しかし、その攻撃もかわされる!〉

裕子「サイキック・ハンドパワーッ!!」グワッ!

アビスマン「手首を取れ!!」

巴「おう!」

サイコマン「裕子!」

裕子「大丈夫です! ほいやぁああ!!」ガシィッ!

巴「な、なんじゃとぉおお!? う、うぉおおっ!?」

〈エスパーユッコ、突如低空タックルにスイッチし、お嬢の足首をハンドパワーで掴む!! そのまま上空へ跳躍!!〉

裕子「ハンドパワーを避けるために手首を取ろうとしてくる相手へ対策は完璧です!!」

アビスマン「しまった!」

巴「ぐうぅ! こ、この体勢は……噂に聞いとったサイキック・マグネットキャノンか!!」

裕子「いいえ、私は師匠の許しがない限りサイキック・マグネットパワーは使いません!! だからこれはっ!!」ブォン!

〈エスパーユッコ、お嬢から手を離し巨大なスポークを顕現させた!! この体勢は!!〉

裕子「背面刺しーーッ!!」グワッ!

巴(背面刺しじゃと!? イ、イカン!アビスの手前それだけはっ!!)

巴「ぬ、ぬぉおおあああっ!!」グルンッ!

〈なんとお嬢、空中で体を半回転させた!〉

裕子「無駄ですッ!! 喰らえッ!!」ザクッ!

巴「ぐぉ!!」

〈しかし避けるまでには行かなかったか!? スポークがお嬢の腹部に突き刺さるッ! そのまま落下ッ!!〉

裕子「これでとどめ!! オードブル・テイスティングッ!!」

巴「ぐあぁっ!!」ズドォオオン!

〈マットに落下! お、お嬢ピクリとも動けないッ!!〉


裕子「サイキック・大勝利ッ!!」

カンカンカーーンッ!!


〈お嬢、あのエスパーユッコと30分以上渡り合いましたが流石にその城壁を崩すことはできなかったーー!〉

巴「くぐ、アビスの言う通りこの女、只者じゃありゃせんかった………」

アビスマン「まさかここまでとはな…… 話には聞いていたが」

サイコマン「ニャガニャガ!」

裕子「むむむーん!」

巴「けったいな技を使ってくるかと思っとったが、まさか基礎技だけでうちがこんなにされるとは……くそっ!」

裕子「これでこのエスパーユッコ、314戦314勝314KO!! ああ、この美少女サイキッカーの実力が怖い!!」

サイコマン「ニャガニャガ! いいですよ裕子~! これならばあの伝説のアイドル、諸星きらりとかいうアイドルにも楽勝です!!」



蘭子「ねぇねぇ、プロデューサー。私たちあの人に勝てるようになるかな?」

カラスマン「うむ、私に任しておけ。飛鳥もだ」

飛鳥「ああ、期待しているよ」フッ

ペインマン「テハハハ~~ どうやらいつのまにかライブバトルが終わってしまったようだなァ~~」

菜帆「モグモグ、綿あめ美味しいです~」

蘭子「綿あめだ!? (甘美なる白き衣!?)」

菜帆「はい、どうぞ~~」

蘭子「ほわぁああ~~!! 美味しい~~ッ!! ねぇねぇ、飛鳥も!!」ズイッ!

飛鳥「うもっ!?」

仁奈「あははは! 飛鳥おねーさんの顔が埋もれたですよ!!」

菜帆「仁奈ちゃんと凛ちゃんも食べますか~?」

仁奈「いいでごぜーます!」

凛「うん」

菜帆「どうしてですか~?」

仁奈「光おねーさんが勝つように、好きなものを我慢してがんかけ?してるでごぜーます!」

凛「………ハナコ」


菜帆「うぅ~ん、分かりました。でも、甘いものが欲しくなったらすぐに言ってくださいね~」

凛「…………うん、ありがとう菜帆」

蘭子「そんなに落ち込まないで! 凛ちゃんの時は相手がズルをしたから!!」

飛鳥「確かに、あまり褒められたものではなかったみたいだね」

凛「でも、負けは負けだよ。私の………」

仁奈「凛おねーさん………」

蘭子「っ!? みんな、リングを見てッ!!」



巴「ふん、次はこうはいかんぞ。楽しみに待っとけや!」

裕子「もちろんです! でも私だってまだまだ鍛え続けて―――」


ヒュウゥゥゥゥ………


裕子「行きま……ん?」

巴「お、おい!? なにか降って来とるぞ!?」

アビスマン「巴っ!!」

サイコマン「裕子危ないっ!」


ズドォオオオオオンッ!!


〈と、突如リング中央に何かが降ってきた!! 土煙でなにも見えない!!〉



「クックック、アーッハッハッハ!! アンタ達待たせたわね!!」

〈この声は!〉

麗奈「レイナサマ参上よ!! アーッハッハッハ!!」

シングマン「ギラギラ~~ッ!!」

〈レイナサマがプロデューサーの肩に優雅に座りながらリングイン!!〉


飛鳥「あれが小関麗奈か」

蘭子「むむーーー!!」

菜帆「そんなに悪い子には見えませんね~」

蘭子「菜帆さん、騙されちゃダメです!」


麗奈「ふん、完璧偶像協会の奴ら、プロデューサーを含めて全員集まっているようね。これ以上お誂えの舞台はないわ!! でしょうカタブツ?」

シングマン「ギラギラ~~!!」



カラスマン「シングマンもやはり地上に出てきていたのか。センカワは把握していなかったようだが」

ペインマン「テハハハハ! 気の遠くなるような長い付き合いではあるが、久しぶりではないかシングマン~ッ!!」

シングマン「ペインマン、カラスマン。久しぶりだな」

アビスマン「急に降ってくるんじゃねぇよ! ビックリしただろうが!!」

巴「つ、潰れるかと思うたぞ………」

裕子「サイキックテレポートでうまくかわせました!」

サイコマン「ホッ……」

アビスマン(ったく、急に降ってきてゴメンの一言くらい言えねえのかコイツは)

シングマン「急に降ってきてゴメン」ペコッ

アビスマン「」ガクッ...

カラスマン「ふっ、相変わらずだなシングマン。だがそれだけに解せん、なぜお前はこんなにも地上に出てくるのが遅れた? 恐らくガンマンに原因があるのだろうが……」

ガンマン「だから私はあんな奴のことは知らーん!」

凛「コイツはともかく仁奈のプロデューサーが酷いことをするとは思えないけど」

仁奈「そ、そうでごぜーますよ! この一つ目プロデューサーはともかく!!」

飛鳥「右に同じだね」

蘭子「うん!」

菜帆「はい~」

ペインマン「テハハハハ~~ ガンマンよ、信頼されているではないか~~!!」

ガンマン「やかましいわーーっ!!」ドシャ!

ペインマン「テハハハ、ノーダメージだ!」

ちひろ「ちょっとちょっとシングマンさん!?」シュン!

凛「うわっ!?」

仁奈「ちひろおねーさんが急に出てきたですよ!?」

裕子「サイキックですか!?」

サイコマン「あながち間違ってはいないかもしれません」

シングマン「おお、センカワ。久しぶりだな」

ちひろ「久しぶりだなじゃないですよ! あなた今まで何処にいたんですか!!」

シングマン「ならば教えてやろう。私がどのような目にあってきたかをな!!」


ー半年前 廃人墓場ー


ガンマン「ぐぬぬぬぬ~~ッ!!」

シングマン「ガンマン、そんなに難しく考えるな」

ガンマン「クソーーッ! やはり私にはプロデュサーなど向いていない!! こんな勉強なぞやってられるかー!!」

シングマン「だが我らが敬愛するザ・マンたっての希望だ。ゴールドマンに敗れてから墓場を出ることができなくなった彼が見つけた最高の娯楽なのだ。毎日推しアイドルのレコードを聴いているのをお前も知っているだろう」

シングマン「しかもそのアイドルが突然の活動休止だ。そのポカンと空いた穴を我々が埋めずして誰が埋めるというのだ」

ガンマン「分かってはいるが………」

シングマン(やはりアイドルプロデュサー資格試験に50回も落ちれば流石のガンマンも嫌になるか……)

ガンマン「センカワのヤロー! シャガァアアアアッ!!!」ダンッ!

シングマン「机を叩くな」

ガンマン「グガァアアア! はぁはぁ、シングマン………」

シングマン「情緒が不安定すぎるぞ。完璧超人らしくもない」

ガンマン「お前はとっくに資格試験に合格しているのだろう。私のことなど放ってとっとと地上へと出ていけば良い」

シングマン「ギラギラ、なにをバカなことを。私の1番の盟友であるお前を放っておくことなど出来るわけがないだろう」

ガンマン「だが!」

シングマン「我らは完璧超人始祖同士だ。共に高みを目指すのなら相応の協力は惜しまない」

ガンマン「………済まない、シングマン」

シングマン「ギラギラ~~! さぁ、もう一度テキストの最初から読み直せ!! 私も協力する!!」

ガンマン「うむ!」

シングマン「………………」

ガンマン「…………ぐっ」

ガンマン「……………………ぐぐぅっ」

シングマン「ガンマン?」

ガンマン「…………………………シャッガァアアアッッ!!! 分からんー!!!」

シングマン「情緒が不安定すぎる」

ガンマン「こうなっては仕方がない。奥の手を使う時が来たようだな」

シングマン「奥の手?」

ガンマン「行くぞシングマン!」

シングマン「行くって何処へだ?」

ガンマン「シャババババッ!!」

シングマン「おい答えろ!! それにあのミラージュマンがいるから我々はここから出れんぞ」

ガンマン「問題なーい。アイツはいま地上へ出てアイドルを探しているからな」

シングマン「う、うむ……… 心配だから付いて行こう」


ー????ー


ガンマン「というわけでここに900億超人ドルある!! これで私にプロデューサーの資格を寄越せーーッ!!」

「お、おぉ……威勢のいいにいちゃんやな。数えるからそこで待っといてや」

ガンマン「シャババババ! これでようやく―――」

シングマン「ガンマン! ここはアイドルプロデューサー連盟の裏口入会を受け持つ輩の吹き溜まりではないかーー!!」

ガンマン「うむ! ここを探し当てるのには我が真眼を持ってしても苦労を―――」

シングマン「お前はアホかーーーーッ!! こんな卑怯な手を使うなどどういうつもりだ!!」

「ん? なんや、900億超人ドルしかないやんか。プロデューサーになるには1000億超人ドルないとアカンで」

ガンマン「なにぃ!? そんなバカな、私は900億と聞いてきたぞ!!」

「今は1000億じゃないと無理なんや。1000億ないんなら帰ってくれ……ん?」

シングマン「ギラ?」

「おお、こいつはエエ金属やないか! ちょうどこんな風に頑丈なものを探しとったんや!」

ガンマン「ハァ!?」

シングマン「なにを言うかーー!!」

「どや、この金属をウチに譲ってくれんか? そしたら100億はマケといたる!」

ガンマン「そんなこと無理に決まっているだろう! シングマンは私の盟友なのだ!」

「でもアイドルプロデューサーになりたいんやろ? そのためにはここでどうにかせんと話にならんで」

ガンマン「グウゥ………」

シングマン「ふん、時間の無駄だったようだなガンマン。さっさと墓場へ帰るぞ。安心しろ、既にプロデューサーの資格を持つ私がマンツーマンでお前を―――」

ガンマン「…………」ガシィ

シングマン「………………ギラ?」

ガンマン「許してくれシングマン!!」グワァ!

シングマン「ギ、ギラ~~~!?」ポ-イ

ガンマン「完璧・漆式奥義 エルクホルン・テンペストーーッ!!」

シングマン「ギラガァアアアッ!?」ガガガギィ!

ガンマン「死ねーーーーッ!! エルクホルン・コンプレッサーーーッ!!」

シングマン「死ねってちょギラガハァアアアッッ!!」グワガァアアン!!

ガンマン「これでいいだろう! さぁて、とっとと私をプロデューサーにしろーーッ!!」

「え、ええぇ……………あの、この人は……」

ガンマン「ん? なんだそいつは。そんな奴私は知らーん」

シングマン「」チ-ン



ちひろ「」

ガンマン除く完璧超人始祖「」

アイドル達「」

シングマン「分かったか。私が受けた仕打ちを!!」グスッ

ちひろ「ガ、ガンマンさんーーーっ!!!」

ガンマン「なんだ!」

ちひろ「なんだじゃない!! このっ! もっ…この人!!」

アビスマン「そりゃコイツでもこうなるに決まってる! なんて奴だ!!」

ペインマン「テ、テハハ…ハ…… す、済まぬ、流石に笑えんなぁ」

カラスマン「あぁ……こやつ、何という愚かな………」

凛「………なんて言えばいいか。私、もっと麗奈に滅多打ちにされてた方が良かったかも……」

ミラージュマン「だ、だが待て! 私はなにも関係ないだろう!」

シングマン「お前が早々にプロデューサーとなって出て行っていなければこんな事にはならなかったのだ!! ガンマンを止めるのがお前の役目だろうッ!!」

ミラージュマン「ゴバッ!? それは逆恨みという奴だろう!!」

シングマン「うるさい黙れ!!」

ミラージュマン「逆恨―――」

シングマン「黙らんかーーーッ!!!」クワッ!

ミラージュマン「ゴバッ………」

仁奈「完全にとばっちりでごぜーます!! ほーりつに訴えるですよ!」

アビスマン(もうダメだ。こいつあまりのショックでアホになってやがる。もともと可愛げのあるアホだったが……)

サイコマン「ニャ、ニャガニャガ……その、シングマンさん。苦労されたようですね……」ポンポン

シングマン「触るなーーッ!!」バシッ!

サイコマン「ニョガッ!?」

シングマン「貴様のような奴に同情されるほど落ちぶれておらんわーーッ!!」

サイコマン「………………」

裕子「だ、大丈夫です師匠! このユッコは師匠の味方です! 絶対に一人ぼっちになんかさせませんからね!!」

サイコマン「ニャガァ…………」グスッ

ガンマン「ほう、あの男とは気が合いそうだなぁ」

凛「どの面引っさげてそんなこと言えるの?」



麗奈「ええい煩い! アンタらとっととリングを降りなさい! ほらほら!」

巴「分かっとる。分かっとるから押すな。アビス、行くぞ」

アビスマン「おう」

裕子「さ、師匠行きましょう」ギュ

サイコマン「ニャガァ………」グスグス

〈さて、リング上にはレイナサマとプロデューサーが残りました!〉

麗奈「勘違いするんじゃないわよ。コイツはアタシのプロデューサーじゃないわ。たまたま利害が一致しただけのドライな関係よ」

ちひろ「確かにシングマンさんは地上へ出て事務所を開いていません。だから我々も見つけられなかったんですけどね」

麗奈「まぁいいわ。カタブツ」バチン!

シングマン「ショルダーアーマリーよりキグルミのドームと小型犬のドーム放出!」

キャンキャン!

凛「ハナコ!」

仁奈「キグルミでごぜーます!!」

麗奈「南条がアタシに勝てたら約束通りこれは持ち主に返すわ。でもアタシが勝ったら……分かるわよね」ニヤリ

凛「くっ…………」

仁奈「大丈夫でごぜーます! 光おねーさんが必ず勝つって仁奈は信じてるでごぜーます!」

凛「仁奈……うん、そうだね。私も、信じてる」

麗奈「アーッハッハッハ!! 馬鹿ね、そんな風に他人を信じるなんて! 人を信じても絶対に裏切られるわ! アタシは誰も信じない! 誰にも頼らない!! ゆえに最強なのよ!」

蘭子「そんなことない! 私と飛鳥は硬い信頼で結ばれてる!! 絶対に裏切ったりなんかしない!」

麗奈「へぇ?」

蘭子「ぅ……… ぜ、絶対そうだもん!」

麗奈「あらそう。そう思うならそう思っておきなさい。いざ裏切られた時、アンタの絶望に染まった表情を見るのを楽しみにしておくわ」

蘭子「むむむむ~~!! このっ――」

飛鳥「蘭子、もう止めておくんだ。彼女には僕らの声は届かない」

蘭子「飛鳥ちゃん…………」

飛鳥「理解ってもらうしかないんだ。彼女の心に……彼女自身で」

裕子「?? つまりサイキックということですね!」

巴「違う!! ………多分な」


麗奈「それにしてもアイツ遅いわね。クックック、まさかこのレイナサマに恐れをなして逃げ出したのかしらぁ?」

蘭子「光ちゃんはそんな子じゃない。本当に逃げたいのはそっちの方でしょ! この卑怯者!」

麗奈「アンタ一々癇にさわるような事言うわね。そんなに痛い目見たいなら遠慮なくやらせてもらうわよ!!」ブンッ!

〈レイナサマ、懐から取り出した麻袋のようなものをなんと観客席目掛けて投げつけた!!〉

蘭子「ぴぃっ!?」

菜帆「あ、危ないです! 誰かあれを止めないと!」

カラスマン「カラララ~~ その必要はないようだ」

タッタッタッタッ!


光「てりゃあああ!!」バシィッ!

〈なんと! 突如ヒカルが現れ麻袋をリングへ蹴り返したーー!!〉

麗奈「くっ……! モアイシールド!!」グイッ!

シングマン「なにをすグボァアッ!?」

〈そ、そのままシングマンの顔に麻袋が激突! 中から黒い粉が……胡椒でしょうか?〉

シングマン「ギラーップシュン! ギラーックション!!」

麗奈「ふん、来たわね」

光「アタシがいる限り、仲間に手を出すのは許さない!!」

蘭子「光ちゃん~~!!」

飛鳥(……クッ、格好いい!)

光「とおっ!!」タンッ!


〈ヒカル、そのまま華麗にリングイン!〉


麗奈「この麗奈様を前に逃げ出さなかったことは褒めてあげるわ!」

光「ヒーローの辞書に逃げると言う言葉ない。もちろん見捨てるという言葉もだ!」

麗奈「ふん……それよりもその衣装、いつもの物とは違うみたいねぇ? 小細工のつもり?」

光「違う。このライブバトルにこれ以上にピッタリな衣装はない、ただそれだけのことだ」

麗奈「……アンタ、アタシを舐めてんの? 私の見立てではそれ、特訓前の衣装よね。よくもそんな未完成な状態でアタシの前に立てたわね!!」

光「いいや、なんどでも言う。これが今この瞬間、キミの前に立つのに最も相応しい衣装だ! アタシはキミのことを少しも舐めてない」

麗奈「……まあいいわ。すぐに分かることよ」

ジャスティスマン「ヒカル」

光「ジャスティス、今回のライブバトルに関しては一切手出しはしないでくれ。この小関麗奈はアタシが自分の力で倒す!」

麗奈「カタブツもとっとと退きなさい! 邪魔よ」

シングマン「ギラーップシッ! ギラクショイッ!! 分かった……ション!」

〈シングマンがリングを降り、両者真正面から睨み合う!〉

麗奈「アタシを前にその物怖じしない表情、褒めてあげるわ。でもそれもいつまで持つのかしらねぇ」ニヤッ

光「…………………」

麗奈「さぁて、それじゃあ早速始めましょう。アンタを後悔のドン底に―――」

光「待て!」サッ

麗奈「あん?」

光「バトルを開始する前に言っておきたいことがある」

麗奈「ふん、命乞いでもする気?」

光「えっとだな……つまり………その……」

麗奈「はっきり言いなさいよ!」

光「ほら、アレだ。友達ってのは良いものだ! そう思わないか!」

麗奈「あ?」

光「友達がいるとすごくお得だぞ! 毎日が楽しくなるし、共に笑いあえるし、なにより切磋琢磨できる!」

光「友達とは馴れ合う相手のことを言うんじゃない! お互いが相手をリスペクトし敬意をもって接することができる人のことを言うんだ! 現にアタシたちだって、競い合い高め合いながら成長している!」

麗奈「……………………」

光「そこで思ったんだけどアタシと君って結構似てると思うんだ! 目指す場所は正反対だけど、そこに向かってまっすぐ進むところとか!」

光「だからだ、つまり…結構気があうわけで……つまり……その………結論から言うとだな! れ、麗奈ッ!!」



光「アタシと友達になってくれないか?」



蘭子「光ちゃん!?」

菜帆「な、なんとあんなことを言うなんてビックリです~!?」

飛鳥「ボクには理解る。恐らく何かの作戦だろうね」

カラスマン「いや、あのジャスティスの育てたアイドルがそのような小細工をするのは考えにくい。完璧な勝利を目指させるはずだ」

凛「光、一体何を!?」

仁奈「わ、分かんねーですよ! でも………!?」ゾクッ!!


麗奈「………………」ゴゴゴゴ


仁奈「め、めちゃくちゃおっかねーですよ!?」

凛「麗奈の雰囲気が変わった!」

巴「なんじゃアイツ。そげな事で怒り狂うとは」

裕子「め、めちゃくちゃキレてるじゃないですか! 光ちゃん、今のうちに謝っといたほうが……!!」



麗奈「何を言うかと思ったら………どこまでアタシを愚弄すれば気がすむのよッ!!」プルプル

光「ち、違う! ただアタシは麗奈と友達になりたいだけで―――」

麗奈「もういい喋るなッ!!」

光「ーーッ!!」ビクッ

麗奈「その小煩い口、2度と開けると思うんじゃないわよ! 徹底的に叩き潰してやるッ!!」

光「分かった………受けて立つッ!!」



ジャスティスマン(ヒカル……)

シングマン(頼むぞ……南条光!!)




光「アタシはアタシの守るものの為! アタシが信じる仲間の為に! そしてその素晴らしさを分かってもらう為に! 小関麗奈、お前を倒すッ!!」

麗奈「アタシはアタシだけが信じられるものの為に! アタシだけの為に! アンタの全てを否定する為に! 南条光、お前を叩き潰すッ!!」


〈それでは、ライブバトル開始ですッ!!〉


カーーンッ!










[バ-ン・アンド・ド-ン!!] 小関麗奈+
(無所属)


vs


[Trust me] 南条光
(16プロダクション)


〈さぁ、ヒカルとレイナサマのライブバトルが開始しました! 両者まずは睨み合う!〉


光「……………」ジリ

麗奈「ふん、なによ。威勢が良かったのは口だけかしら?」


菜帆「光ちゃんにしては珍しく慎重ですね~」

飛鳥「恐らく麗奈のギミックを警戒しているのだろう。あの衣装にどれだけの罠が仕掛けられているのかわからない以上、攻めるのは得策ではない」

カラスマン「その通りだ。まずは様子を見るというのは間違ってはいない」


麗奈「ほら、アタシを倒すんでしょう? とっととかかって来なさいよ!」ズイッ!

光「くっ!」

光(麗奈に隙がない。このまま攻めても何かしらの返り討ちにあうのは必須。ならば!)

麗奈「来ないというのなら……こちらから!!」グッ

光「今だ!!」ダダダッ!

麗奈「なッ!?」ビクッ


ガンマン「上手いな、相手が攻めようと身体に力を入れた瞬間に向かっていくとは」

アビスマン「動こうとした瞬間に相手に動かれて面食らい、一瞬硬直してしまったってわけだな!」


〈ヒカルの突然の突撃にレイナサマ対応できない!〉

麗奈「そんなわけないじゃない!!」スチャ!

光「むっ!?」

〈レイナサマ! 装着していたザ・エンペラーレイナ様砲を抜き素早くヒカルへと向ける!〉

麗奈「ドーンッ!!」ズドンッ!

光「ぐっ! くそっ!!」

〈レイナサマの放つ砲撃を横飛びでギリギリ回避! しかし攻め入るチャンスを逃した!〉

麗奈「チッ、反射神経がいいじゃない」カチャ

光「い、今のは一体!?」

麗奈「そんなことを一々教えるわけないじゃないッ!!」

光「ぐっ!!」ガシィ!

〈ここでレイナサマとヒカル、手四つの体勢となった! 純粋な力比べとなるがどうでしょうか!?〉


光「ぐッ……!!」

麗奈「………………」グググッ!


凛「光が押されてる!」

サイコマン「ニャガニャガ、彼女は貴方達のようにスカウトされたのではなく元々養成所でアイドルを目指していた身です。恐らく基礎能力は、私の裕子の次に高いと思われます」

蘭子「それに光ちゃん、いつもの衣装と違うから………」

凛「そうか、能力も少し下がっているのかも!」

ガンマン「だが下がっていたとしてもそこまで大きくは下がるまい。アレは自力による差が大きく影響している」

ミラージュマン「小関麗奈……」


麗奈「はんっ! ヘソで茶を沸かして欲しいのかしらぁ!!」グググッ!

光「う、うぐぐぐ………」

〈この力比べはレイナサマに分があったようだ! ヒカルはこのまま倒されてしまうのか!?〉

光「なんのーー!!」グッ!

〈いや! ブリッジで耐えている!〉

麗奈「ちっ、しゃらくさいわねッ!! これでも喰らいなさい!」ドゴッ!

光「くっ……!」


菜帆「ブリッジしてる光ちゃんの腿にダブルニードロップの連打!」

ペインマン「どうやらブリッジを崩すようだな~!」


麗奈「ほら! ほら! ほらぁっ!!」ドゴッ! ドゴッ!

光「なんのっ!!」バッ!

麗奈「くっ!」

〈ヒカル、ブリッジを自分から崩しレイナサマの胴を両足で挟み込んだ!〉

光「これでどうだ!!」ガキィッ!

麗奈「ぐっ!?」

〈そのままレイナサマの体を反転させ背後を取り、グラウンドのチョークスリーパーだ!〉


菜帆「私には分かります。あれはガッチリ決まってます~!」

蘭子「そのままやっつけちゃえ!」フンスッ!

仁奈「……いや、ダメでごぜーます! 光おねーさん逃げてくだせーッ!!」


光「なんだって!」

麗奈「遅いわよ! チョーカースピア!」ジャキン!

光「うあっ!?」グサグサッ!

〈おおーっと!? レイナサマのチョーカーの金属部分からトゲが突出しヒカルの腕に突き刺さる!〉

麗奈「チャンス! そらぁっ!!」

光「うがっ!!」ドボッ!

〈ヒカルが怯んだ隙にチョークスリーパーより脱出! そのまま鳩尾にエルボードロップの一撃ッ!〉

麗奈「コンクリートパッド装着! もう一発喰らえッ!! 」ダンッ!

〈レイナサマ、大きくジャンプしまたしてもエルボードロップを敢行! その肘にはコンクリートのパッド!!〉


シングマン「ギラギラ~~ コンプリートコンクリートで作られたパッドだ! 食らったらタダではすまんぞ」


麗奈「死ねーーッ!!」

光(まだだ。まだあと少し待って………!)

光「今だッ!!」サッ!

麗奈「なっ!?」

ガツッ!!

〈あーっと! エルボードロップの直撃する直前で倒立で回避!! レイナサマ、エルボードロップをマットに誤爆した!!〉

光「よしっ! これで………」

麗奈「これでどうしたってぇ!!」ブンッ!

光「なにっ!? くっ……!!」バシッ!

〈レイナサマ、肘を痛めた様子は全くない! すぐさま立ち上がりヒカルへハイキック!〉


シングマン「コンプリートコンクリートは攻守共に優れている。誤爆など恐るるにたらんわ!」


麗奈「上手く捌いたわね……と言いたいところだけど!!」ヒュッ!

光「うごっ!?」ドボォ!

〈間髪入れずローリングソバット! またしても鳩尾にクリーンヒット!!〉


凛「ヒカルッ!!」

ペインマン「テハハハハ~~ 膝立ちでダウンは免れたが大分苦しそうだぞぉ~~?」

飛鳥「……強いね、彼女」

裕子「えぇ。純粋に……強いです!」


麗奈「ナックルスピア!」ジャキン!

光「ぐっ……来いッ!」

麗奈「言われなくてもッ!!」ブンッ!

〈先のしぶりん戦でも見せたレイナサマの恐怖のナックルパート!! これは大丈夫かー!?〉

麗奈「ふんっ! せいっ!」ヒュンッ! ヒュッ!

光「くっ! せやぁ!」スッ

〈レイナサマのラッシュをステップでかわしていく!〉


アビスマン「だが、相手の方が動きが速い。このままでは危ないぞ」

巴「おい光! 早いとこ反撃せんかッ!!」


光(それは無理だよ巴! 麗奈のラッシュの隙をつくのは今のアタシには至難の業だ!)サッ!

麗奈「シッ!!」ヒュバッ!

光「ぐうっ!」スパッ!


裕子「掠った!」

仁奈「このままじゃ危ねーですよ!」

裕子「そうですよ光ちゃん! 光ちゃんの持ち味はどちらかと言うと攻撃の方です! 守ってばかりじゃ勝ち筋はありませんよ!」

蘭子「頑張れーーッ!!」


光「そ、そうは言われても……くッ!」ズバッ!


ガンマン「このままではいずれ打ち負ける。ジャスティスならばどうとでも対応させることは出来るだろうが」

ペインマン「ライブバトル前のあのやり取りから恐らくアドバイスすることはないだろうなぁ~!」

凛「………………」

凛(麗奈のあの動き……私の時と同じ。ワザと手に集中させている!)


麗奈(クククッ、そろそろ……!)スッ


凛「光ッ! 右足でカット! ローキックが来るよ!」


光「えっ……う、うん!」サッ

麗奈「なっ、うぐぅっ!?」ガキッ

〈レイナサマ、隙をついてのローキックでしたが、ヒカル上手く脛でカットした!!〉


麗奈「く……っ!」フラッ

光「チャンスっ!」

麗奈「チッ……このっ!!」

〈ヒカルのジャンピング回し蹴りに対抗しレイナサマもスピアナックル!!〉

光「アタシの狙いはお前じゃないッ!! こっちだーーッ!!」

麗奈「なっ!?」

光「ハンズネイキッドーーッ!!」

麗奈「うあっ!!」バシィッ! バシッ!

〈ヒカルの二段両回し蹴りがレイナサマのスピアグローブを場外へ弾き飛ばした!〉


飛鳥「よし、武装解除できたようだ」

菜帆「あぁ!? でもスピアがプロデューサーの方へッ!!」

ペインマン「テハハハハハハ!! ノーダメージだ!!」ポヨン

菜帆「ホッ……」

ペインマン「私の防御力を上げるとは美優殿のアップリケは素晴らしいではないかぁ~~!!」

サイコマン「いい加減外したらどうです?」



麗奈「チッ……」

光「よし、アタシの必殺パンチを受けてみろーーッ!!」ブオッ!

麗奈「舐めるなッ!!」スッ

光「なっ!? かわされた!!」

麗奈「そらぁっ!!」

〈ヒカル渾身のストレートパンチをかわしたレイナサマ! そのまま腕を取り一本背負いーーッ!!〉

光「な、なんのこれしき!」グイッ!

〈ヒカル、マットに叩きつけられる前に腕を強引に振りほどいた! そのまま着地! 一進一退の互角の攻防だーーッ!〉


カラスマン「互角の攻防? いいや、違うぞ」

アビスマン「ああ。あのチビ、まだデコ娘に一撃も有効打を与えられていない。反して相手の攻撃は何度かクリーンヒットしている」

サイコマン「自力の差ですか。本来それを埋めるのが我々プロデューサーの使命なのですが………」チラッ

ジャスティスマン「…………………………」

アビスマン「動かねぇだろうな」

サイコマン「このままでは南条光に勝ち目はありません」

裕子「そんなっ!?」

サイコマン「しかしもし南条光に勝機が見えるとしたら………」

カラスマン「勝機があると言うのか?」

サイコマン「えぇ」

サイコマン(恐らく彼女が最も近いと思われます。あの力に……!)


光「はぁ、はぁ……」

麗奈「ふっ!」スチャ!

光「なっ!」

麗奈「ドーーンッ!!」ズドォン!

光「うわぁっ!!」

〈レイナサマの不意打ちバズーカ攻撃をすんでの所でかわした! し、しかし避けられた先にあった鉄柱がひしゃげています!〉

光「な、なんて威力だ!」

麗奈「アタシの前で休もうだなんていい度胸してるじゃない」

光「しかし正体を見たぞ! その中から出ているのはコンクリートの砲丸だ! どうだ!」サッ!

麗奈「ええそうよ。それで?」

光「え?」

麗奈「それが分かったからなんだって言うわけよ」

光「なんなんだろう?」

麗奈「………………」

光「………………」

麗奈「ドーーンッ!!」ズドオッ!

光「うひゃあ!!」バッ!

麗奈「チッ、逃すかッ!」

〈な、なにか間がありましたが……レイナサマまたしてもバズーカ攻撃! しかしヒカルも上空に跳躍して避けた! そしてレイナサマもそれを追う!〉

光「おかしいぞ!? 普通ヒーローになにかを看破された敵役は狼狽えるのが常識なのに…………」ブツブツ


飛鳥「光。自分の世界に反逆の手が入ったことを嘆くのは後にするんだ。下から来る」


麗奈「喰らえ、バズーカビンタッ!!」ブンッ!

光「なんのっ……ッ!?」ビリビリ

〈レイナサマのバズーカビンタを両腕でガード!〉

光(な、なんて威力だ! ガードしても腕にダメージが入る!!)


麗奈「まだまだぁ!!」ヒュッ!

光「ミドルキック! でもそんなものっ! とぉっ!!」ガシィッ!

〈おおっとヒカル、レイナサマの蹴りを腕と脇腹で挟み込むように捕縛!〉

光「よし取った!! このままヒーローボムで―――」

麗奈「………クククッ」ニヤッ

光「!?」

麗奈「甘いのよバァーーカッ! ジェットブーツキック!!」ボシュウッ!!

光「なっ……グホッ!!」


凛「しまった、あれを忘れてた!」

菜帆「脇腹をそのまま振り切るように押し蹴られました~!」

サイコマン「マズイですね、完全に不意を突かれてしまったようです」


光「ぐっあ!!」

麗奈「さぁ、地獄の行進の始まりよッ!!」ヒュッ!

〈ミドルに鋭い蹴りを喰らいそのままなす術なく落下していく! その後をレイナサマも追い急降下!〉

麗奈「デス・マーチング落としッ!!」ドガガガッ!

光「うわあアァッ!?」ドボッ! ズボッ!

麗奈「これでっ……ラストォッ!!」

ズガアァァンッ!!

光「ゴホッ!!」

〈ヒ、ヒカルダウーーンッ!!〉


ガンマン「空中で鳩尾に五発のパンチ、そのままフライングボディシザースドロップでマットに叩きつける技か」

ミラージュマン「しかもダブルニードロップで鳩尾を撃ち抜く変形式のフライングボディシザーズドロップだ」

仁奈「仁奈や凛おねーさんの時もそうでしたが、同じ箇所をしつこく攻撃してくるでごぜーますよ!」

凛「そうだね。私も首を執拗に攻められたから」



ワ-ン ツ- スリ-


光「グッ……ゴホッ!ゴホッ!」

麗奈「アーッハッハッハッ! アタシに喧嘩を売ってくるからどれ程のものかと思ったけど、全然弱っちいじゃない!」

〈ヒカル、これは厳しいか!? 腹部を手で押さえて悶絶している!〉

麗奈「ヒーローごっこもこれで終わりよ。あの負け犬2人のせいでアンタまで大事なものを奪われてそれでおしまい。最高のエンディングねぇ!!」

光「ッ! そ、そうだった……」グググッ

麗奈「へぇ………?」

〈ヒカル、うつ伏せに体を反転させて立ち上がる体勢をとった!〉

ファ-イブ!  シ-ックス!  セブ-ン!

光「アタシには守るものがあるんだ。だから……まだ負けられないッ!」

〈カ、カウント7で立ち上がりました!〉


裕子「いいですよ光ちゃん!」

蘭子「頑張れーーッ!!」


麗奈「ふん、そんなクタクタな様子でアタシをどう倒そうってのかしら!!」ヒュン!

〈レイナサマ、ヒカルに飛び膝蹴りを敢行! もちろんその狙いは鳩尾!!〉

光「なんの!!」スッ!

麗奈「その程度でアタシの攻撃をかわせるとでも!!」


凛「光! バックステップでかわしてもジェットブーツキックが来るよ!」


麗奈「ジェットブーツキックーーッ!!」ボシュウッ!

光「分かったよ凛さん!」バッ!

麗奈「くっ!?」


裕子「かわしましたね! そのまま足にしがみついて!」


光「すりゃあっ!!」ガシッ!

麗奈「うおっ!?」


菜帆「関節技を極められます~!!」


光「アキレス腱固めッ!!」

麗奈「ぐううぁ!!」

〈ヒカル、空振ったレイナサマの脚を取りアキレス腱固めをかけてマットに落下!〉


光「そりゃぁあああっ!!」グググッ!

麗奈「ぐがああっ!!」グキッグギッ!


飛鳥「なるほど。確かに寝かせてしまえばパワーの差など無いに等しい」

蘭子「いいぞーー!!」

巴「気張れーーッ!!」


麗奈「ぐうぅ……! こ、このおっ!!」ブンッ!


凛「逆の脚で蹴りがくるよ!」

仁奈「その靴からも棘が出るから気をつけるでごぜーます!!」


光「分かった! とおっ!」

〈レイナサマの蹴りが振り下ろされる寸前、アキレス腱固めを解き蹴り脚をキャッチ!〉

光「次はこれだぁ!!」グルッ!

麗奈「うわっ!?」グギグギ

〈そのままレイナサマの体を反転させうつ伏せ状態にし、ボストンクラブ!〉

光「そりゃああああっ!!」グググッ!

麗奈「ぐっぐうぅ……っ!」

〈レイナサマ、苦悶の表情を浮かべている!〉

麗奈「こ、この程度の技……!」グググ!

〈レイナサマ、腕をマットに突っ張る様にして体を浮かせる!〉


仁奈「力尽くで降り落とす気でごぜーますよ! 逃げてくだせーー!」


麗奈「鉄柱に飛んで行け!!」ブンッ!

光「なんのっ! とぁああっ!」ビュン!

〈鉄柱めがけて放り出される寸前、自分から上空へと跳躍した!〉

光「ヒーロー落下アターック!!」ズドンッ!

麗奈「ぐはっ!!」

〈そ、そのままボディプレス気味に落下! 駄目押しの一撃だ!〉

光「よしっ!」

麗奈「ぐっ……」


蘭子「光ちゃんすごーい!」キャッキャッ!

凛「いい動きだね」

カラスマン「若き日のまだ荒削りだったジャスティスを見ているようだ」

サイコマン「しかし……彼女もこの程度では倒れないでしょう」


麗奈「ったく、やってくれるじゃない!」

光「あれだけの攻撃を加えたのにダウンせずに立ち上がってくるなんて……!」

麗奈「攻撃ぃ? はんっ、あんなの風が撫でた位にしか感じないわよ!」

光「アタシと麗奈の力の差……思っていたよりもずっと大きいようだ!」

光(それが、スカウトされたアタシと養成所に通ってずっとアイドルを目指していた麗奈の差。アイドルに対する想いの年月の違いッ!!)

麗奈「それよりも……アンタ情けないわねぇ」

光「なんだと!?」

麗奈「外野からアレコレ助けて貰ってアタシに一矢報いるなんて。まぁアンタみたいな1人じゃなにもできないお子ちゃまじゃ仕方がないのかしらね! アーッハッハッハ!」

光「助け合うことのなにがいけない!」

麗奈「助け合う? 冗談! それは利用しあってるって言うのよ」

光「利用しあってるだと?」

麗奈「そ。それで利用価値がなくなったらバッサリ……裏切られてはいお終い。そんなもんよ人間なんて」


蘭子「そんなことない!」

仁奈「そうでごぜーますよ! 仁奈たちはみんなお友達でごぜーます!」

裕子「もちろん! 私のサイキック・マグネットパワーよりも強い力で結ばれています!」


光「アタシもそう思ってる! アタシはみんなを信じている!」

麗奈「信頼だなんて、カス以下の価値もないわよ! どうせ誰だって裏切られて心を踏み潰されてッ! そして……絶望するの!」

麗奈「信頼だとか友情だとか! そんな確実性のない口約束なんて何にも意味なんてない! アンタたちのそれは友達とか友情とか信頼なんかじゃない! ただの利害の一致よ!」

麗奈「あいつら2人は自分の大切なものを取り戻すためにアンタを利用し、アンタ自身はそれを利用してアタシにライブバトルで勝利し、名を上げようとしている。そうでしょう!」

光「違うッ! アタシはアタシの正義のために戦っているんだ! ヒーローは人々を助ける義務がある! この世の平和を守るために!」

麗奈「ほらっ! つまり“あの2人を助けるアタシ、格好いいヒーローだ!” ってことでしょう! 利用しているんじゃないの!」

光「いいや! もしあの2人が大事なものを奪われていなくてもアタシはいずれ麗奈、キミと戦っていた!」

麗奈「何ですって……?」


光「アタシは困ってる人を助けたい。苦しんでいる人がいたら手を差し伸べたい! アタシが目指しているヒーローはそういうものなんだ!」

光「麗奈……キミの過去のことはシングマンから聞いた。キミがなぜそんな風に人を信じられなくなったのか、友情や信頼を嫌悪するのか全部知っている」

麗奈「なっ……!? こ、このォッ! カタブツーーッ!!」ギロッ!


シングマン「済まない。だが私自身が必要だと思ったから、彼女とジャスティスには全てを話している」


麗奈「そ、それが何なのよ! 騙されたアタシの間抜けな過去を知って! 嘲笑うため!?」

光「違う! アタシは麗奈を救いたい!」

麗奈「はっ……?」

光「麗奈は本当はそんな風に人を傷つけたいわけじゃないんだろう! でもそうでもしないと苦しいから……! 憎しみを周りにぶつけないと自分の心が壊れてしまうから! だから……だからそんなことをしているんだろう!!」

光「そんなの悲しいじゃないか! アタシは人に騙されたことなんてないから分からないけど……でも、麗奈が想像を絶する苦しみの中にいるのは分かっているつもりだ!」

光「アタシはそんな麗奈を救いたいんだ! その闇に支配されてしまった心を! アタシは解放してあげたい! だから……麗奈ッ!」スッ

麗奈「…ひ、光………アンタ……」

光「頼む…この手を……!」コツコツ

麗奈「…………アンタ、本当に馬鹿ね」クスッ

光「馬鹿でも構わない。ヒーローは周りから理解されないくらいに真っ直ぐなんだ!」

麗奈「本当にもう………」スッ

光「麗奈……手をッ!!」パアァ!



麗奈「徹底的にぶっ潰したくなる程にねええぇッッ!!」ガチャッ!

光「え……!?」

麗奈「ドーーーンッ!!」ズドオォッ!!

光「ぐっがはぁっ!!」

〈レ、レイナサマ……ヒカルを油断させ超至近距離でレイナサマ砲を発射!! 鳩尾にもろに砲丸を喰らい、そのままリングロープへと飛んでいく!〉


蘭子「なっ!? 油断している光ちゃんに至近距離で不意打ちするなんて!? この卑怯者ー!!」

飛鳥「な、なんてことを!! これは全アイドルに対する侮辱的な行為だ!!」


光「ぐううっ!」バウ--ン!

麗奈「ライブバトル中に隙だらけの状態で相手に近づくこいつの方がアタシを侮辱してんのよッ!! このっ………!」

〈ロープの反動でレイナサマの元へと戻ってくるヒカルを迎え撃つ!〉

麗奈「甘ちゃんがぁああっ!!」ビュ!

光「ぐぼっ!!」ドゴッ!

〈鳩尾に強烈な飛び膝蹴りを見舞いそのままの体勢で上昇!〉

麗奈「アタシを救いたい!? アタシが苦しんでいる!? そんな妄想垂れ流してんじゃないわよ! アタシはあの時よりも今の方が絶好調なのよッ!!」ガキッ!

〈そのままペディグリーの状態で落下!!〉


凛「まずい! 麗奈は光のお腹を鉄柱に打ち付ける気だ!」

仁奈「光おねーさん逃げてくだせー!!」

裕子「馬鹿力を発揮する時ですよーー!!」

サイコマン「いえ、無理です。あれだけの一撃を食らってはすぐに回避行動に移ることは難しいでしょう」


麗奈「アンタの夢見たヒーローゴッコもここで終了! 夢に溺れて溺死しろッ!!」ゴオォォッ!

光(だ、だめだ……逃げられないッ!!)


菜帆「ひ、光ちゃ―――」


麗奈「ストマックドロップアウトーーッ!!」

光「ぅ………………!」ドボォッ!!

〈鉄柱にヒカルの鳩尾が食い込む! ヒカル、声も出せない!!〉

麗奈「まだ、終わらせないわよッ!!」ダンッ!

〈な!? か、間髪入れず再びヒカルを担ぎ上げて跳躍!! ヒカルの腕を首に回している! あ、あの体勢は!!〉


凛「ジャイアントバックブリーカー!? ま、まずい!!」


麗奈「ここで油断も手加減も一切しない! 完全に叩き潰すッ!!」ヒュオォォォッ!!

光「ぐっ……ぉ……」

〈ヒカルをジャイアントバックブリーカーに捉えたまま落下!!〉

麗奈「ショッキング・シャッターチャンスッ!!」

ガゴォオオオオッ!!

光「ぁ………………」ドサッ!

〈こ、後頭部を鉄柱に叩きつけられたヒカル、そのままリングへダウン!〉


凛「ひ、ひか………うっ………」ブルブル

裕子「凛ちゃん?」

凛「わ、私のせいだ……私があの時麗奈に勝っていれば……光をこんな目に合わせずに済んだのにッ!!」

仁奈「に、仁奈もでごぜーます………」

菜帆「そ、それは違います! 光ちゃんだって麗奈ちゃんとその内戦っていたはずです~!」

ガンマン「おいお前たち、目をそらすな!」

凛「ッ!!」キッ!

凛「そりゃアンタみたいな血も涙も脳も足りてない様な奴は平気だろうけど! でも、でもッ!!」

ガンマン「まだ勝負は決していない! 目を逸らさず結末を見届けるのだ!!」

蘭子「ま、まだ勝負はついてない……? それってどういう………」


ワ-ン ツ- スリ- 

麗奈「カウントは不要よ! これだけ痛めつけて起き上がってこれるわけがないじゃない! それよりも………!」ズカズカ

シングマン「なんだ」

麗奈「アンタ、何様のつもりよ! なんでこんな奴にアタシのことを教えたわけ!?」

シングマン「それが必要なことだったからだ」

麗奈「必要!? はっ、冗談!! アンタもこのヒーローもどきのようにアタシが苦しんでいると思っているってわけ!! あらあらそうなの!! でもそれは残念! 勘違いもいいとこ!!」

麗奈「アタシはもう引き返さないわ! この世のありとあらゆるアイドルどもを絶望に染めてあげるの! それがアタシの夢なんだからッ!!」


ファ-イブ シ-ックス!

麗奈「ふん………帰るわよカタブツ。それとアンタ!」

ジャスティスマン「………………」

麗奈「約束通りこいつのヒーローベルトとやらは貰っていくわ。寄越しなさい」

ジャスティスマン「確かにこのライブバトルはそのような取り決めをしている。だが……」

麗奈「ならとっとと―――」

セブ-ン! エ-イト!

ジャスティスマン「それは私のアイドルに、まず勝ってから言うべきことだ」

ナイ--ン! テ...

麗奈「はぁ? 何言って………」クルッ



光「ぐっ………ぉおおっ!!」フラフラ

麗奈「な、何ですって!?」


〈な、なんと立ち上がった!! あれだけのダメージを負いながらなんとヒカル立ち上がったーー!!〉



麗奈「バ、馬鹿な!! なんでアンタ……!?」

光「こ、これの……おかげだ」スッ

〈ヒカル、後頭部に付着していた何か薄い膜のようなものを取り出した〉

光「さっき麗奈に打ち込まれたコンクリートの砲丸をアタシのヒーローパワーで薄く伸ばしたものだ。これで後頭部をガードしていたんだ」

麗奈「……あの時の!!」ハッ

光「ま、まだ勝負はついていないぞ……麗奈ッ!」ゴホッ! ゲホッ!

麗奈(な、なんて奴……まさかアタシのコンプリートコンクリートを利用するなんて!! てかヒーローパワーってなによ!?)

麗奈「ッ!!」キッ!

麗奈「はん! たとえ後頭部のダメージを無効化したとしても、ストマックドロップアウトとショッキング・シャッターチャンスによる鳩尾と首と背骨へのダメージは無効化出来てないはずよ。所詮は寿命が少し伸びただけーーッ!!」ダッ!!

〈レイナサマ、追い討ちをかけるべくヒカルの元へ向かっていく!!〉


裕子「光ちゃん、逃げてください!」

菜帆「麗奈ちゃんの言う通り、ダメージは深いはずです! 今は回避に専念してください~!!」


光(いや、ダメだ……今アタシが逃げたらもう2度と……麗奈を救う機会は巡ってこない………! だからもう…あれしかないッ!)


麗奈「やっぱり立っているのもやっとのようね!」スチャ!

〈レイナサマ、ザ・エンペラーレイナ様砲を振りかぶり、バズーカビンタを狙っている! ヒカルは棒立ちで動く様子がないーーッ!!〉

麗奈「これでトドメーーッ!!」ブンッ!


光「モードチェンジ……………」


仁奈「避けてくだせーーッ!!」

ペインマン「テハハハハ~~ 私でもない限りアレを食らうのは危ないぞぉ~~?」

裕子「は、早く逃げてーーッ!!」

サイコマン「…………ニャカニャガ」



光「Brave Soul of the Hero!!」ガキィイイイッ!

麗奈「なっにぃッ!?」


ビュワァアアアァッ!!


菜帆「きゃっ!? すごい風圧です~!!」

裕子「あ、あれはあの時の!!」

凛「Brave Soul of the Hero! 全ての能力を一時的に引き上げる光の技!!」

蘭子「おぉっ!!」

飛鳥「確かにパワーは上がっている。だが果たして麗奈相手にどこまで通じるのか」


〈レイナサマのザ・エンペラーレイナ様砲を片手で鷲掴み!〉

麗奈「く、くそっ! 離しなさいよッこのヒーローもどきがッ!!」ブンッ!

光「ふっ!」ガシィッ!

〈レイナサマのハイキックに対しもう片方の手でガード! そのまま脇に挟み込む!〉

麗奈「はんっ! この馬鹿がッ! ジェットブーツ―――」

光「ドラゴンスクリューフライトォッ!!!!」グルッ!

麗奈「きゃあっ!?」

〈ジェットブーツキックが放たれる前にドラゴンスクリュー! その強い勢いでレイナサマを上空高く放り投げた!!〉

麗奈(ぐっ!! 急にこいつの力がさっきの数倍に膨れ上がった! これは―――)

光「とぉっ!!」

麗奈「なっ!? は、早っ!?」

光「ヒーローライダーキーーック!!」

麗奈「ぐっ、このっ!!」バキィッッ!

〈上空へ放り投げたレイナサマへ下から突き上げるような飛び蹴り! しかしレイナサマも腕をクロスしそれをガード!〉


麗奈「喰らいなさいッ!!」ビュ!

〈レイナサマ、怯むことなくそのまま空中で光の首元へモンゴリアンチョップ!!〉

光「なんのぉっ!!」パシッ! パシッ!

〈しかし手首を掴み、それをカット!〉

光「ハンドカットスープレックスッ!!」グワァッ!

麗奈「うっ、わっ!!」

〈手首を掴んだまま巴投げの要領でレイナサマごと体を後ろに反らせ、そのままリバーススープレックス気味に落下!! レイナサマの背中をマットに叩きつける気だ!!〉

麗奈「ぐがぁああああっ!!」ググググッ!

光「くっ!? す、すごい力だ!!」

麗奈「こんちくしょうがぁあああっ!!」グワアッ!

光「うわぁっ!?」

〈な、なんとレイナサマ! 自らの腹筋の力のみで光もろとも身体を起き上がらせた! そのままヒカルをリフトアップ!!〉

麗奈「ふんりゃぁ!!」

〈そのままキングコングスラムでヒカルをマットめがけて投げるーーッ!!〉

光「とぁっ!」スタッ

麗奈「チッ……」スタッ

〈しかしヒカル、体勢を整え着地! レイナサマもその後に続く!〉


蘭子「これでまだ勝負はわからない!!」

仁奈「光おねーさん頑張れーーッ!!」

巴「そんな技があるんならハナから使っとけやッ!」

凛「いや、できなかったんだよ! あの強化にはタイムリミットがあったはず!」

菜帆「短期決戦に持ち込むんですね~!」

凛「うん。でも……」

飛鳥「まだ麗奈を圧倒しているわけじゃなくあくまで互角に持ち込んだだけ。あの麗奈もそこまで甘くはないはずだ」

裕子「大丈夫です! 光ちゃんのあの状態はこのエスパーユッコを驚かせたパワーです! 大丈夫! 絶対に大丈夫です!」

巴「こいつを驚かせた力じゃと? どんなもんか見せてみぃ!!」


麗奈「やっとアタシに太刀打ちできる程度になったってことかしら? クックック………」

光「グッ………」ハァハァ

光(まさかこの状態になってもまだ麗奈の方が上手だなんて………)

麗奈「今更になって使ったってことはその力、どうやら最後の切り札のようね。でもそれはつまりッ!!」カチャッ!

光「ッ!! バズーカ!!」

麗奈「アンタがアタシに追い詰められてるってことよッ!! ドーーーンッ!!!」ズドォッ!

光「なんのぉッ!!」ダダダダッ!

〈バズーカから放たれた砲丸を素早くかわしレイナサマへ向かっていく!〉

麗奈「チッ……やっぱり早い!」

光「行くぞ麗奈ッ!!」

麗奈「クッククク………」ニヤリ

光「!?」


仁奈「光おねーさん! 後ろでごぜーます!!」


光「なんだって!? なっ!?」チラッ

ゴォオオオオッ!!

麗奈「アッハハハ! ボールバウンドストライクッ!!」

〈な、なんと先ほど打ち出したコンクリートボールがヒカルの背後より迫っている!!〉

光「そうか、リングロープでバウンドさせたんだ!! くうぅっ!!」バッ!

麗奈「はんっ! そっち側に避けると思ってたわよ!! ジェットブーツキーーック!!」ボシュッ!

光「ぐううっ!!」バキィッ!

〈横っ飛びでボールを避けたヒカルを待ち受けるように移動していたレイナサマ! そのままジェットブーツキックでヒカルを蹴っ飛ばす!!〉

光「ガードしていたから直撃は免れた!! この勢いを利用して!!」ダンッ!

〈鉄柱の側面に足から着地! そのままレイナサマの方へ跳躍!!〉

光「とぉおおあっ!!」

麗奈「そんなチンケなパンチ!!」

バキィイイッ!

〈レイナサマ! ヒカルのフライングパンチをザ・エンペラーレイナ様砲で受け止めた!!〉

光「硬い!」

麗奈「アタシの最高傑作をそう易々壊せると思うんじゃないわ!!」

光「でもっ!!」グルッ!

〈パンチを止められたヒカルでしたが、しかしそのバズーカを利用して逆上がりの要領で回転!!〉

光「ヒーローライズキーック!!」ビュ!

麗奈「しまっ……ぐあっ!!」ドガッ!

〈そのままサマーソルトキックのようにレイナサマの顎を蹴り上げる!!〉


麗奈「ぐっう……」フラァ

光「てりゃああっ!!」ヒュッ!

麗奈「ぐぼっ!?」ドボッ!

〈フラつくレイナサマに飛び蹴りの追撃! レイナサマ、ロープでバウンドして戻ってくる!!〉

麗奈「こっのぉおおっ!!」ブンッ!

光「そのパンチ、見切った!!」スッ!

麗奈「ぐっ!?」

光「ヒールフライトーーッ!!」バアァッ!

〈戻ってくるレイナサマのパンチを体勢を低くしてかわし、そのままショルダースルーッ!!〉

光「とおぉ!!」バンッ!

〈その後を追って跳躍!〉

光「ふんっ! 捉えたぞ!!」ガシッ! ガシッ!

〈そしてレイナサマの両脚を掴みパワーボムの体勢に捉えた!!〉

光「くらえっ! ヒーローボム!!」ゴォオオオッ!


裕子「よしっ! これで光ちゃんの逆転勝利です!!」


麗奈「調子に乗るなァアアアッ!! ブーツスパイクッ!」ジャキィッ!

光「うぐっ!?」ザクザク!

麗奈「貰ったぁ!!」ガキィッ!!

〈レイナサマのブーツ全体から棘が露出! 思わず手を離してしまったヒカルの隙を突いてブルドッギング・ヘッドロック!〉

麗奈「そりゃああっ!!」

ガギィイイイッ!!

光「うがっ!!?」

〈そのままマットにヒカルを叩きつけたーーッ!!〉

麗奈「ハァハァ……こ、これでどうよ!」

光「うぅ………くそぉ……」ブルブル

〈ま、まだ立ち上がるか!?〉


麗奈「こ、こんのぉおおおっ!!」グイッ!

光「ぐあっ!?」

〈レイナサマ、ヒカルの胸ぐらを掴み上げ無理やり立たせる!!〉

麗奈「いい加減諦めなさいよォッ!!」ビュッ!

バシッ! バシッ! バシッ!

光「ぐっ! あっ! がっ!!」

〈そのまま往復ビンタ!!〉

麗奈「なんなのよアンタは! いい加減に諦めろッ!!」

光「ぐっあ………い、嫌だ……!」バシッ バシッ!

麗奈「ああっ!?」

光「ここで諦めたら………仁奈ちゃんもっ……凛さんも………麗奈、君も……誰も救えない…じゃないかっ!!」バシッ! バシィッ! バシイッ!!

麗奈「……ッ!! あ、アンタ……この期に及んで…………まだそんなことをぉおお!!」ビュッ!

光「ぐぁあっ!!」ベキッ!

〈レイナサマ、身体を大きくひねったスピンエルボーバットでヒカルを吹っ飛ばす!!〉


凛「光!!」

ガンマン「ふむ、やはり地力が違う」

裕子「ま、まずいですよ! 辛うじてロープに捕まってダウンは免れていますが……」

菜帆「もう疲弊しきっています!」

蘭子「こ、このままじゃもう負けちゃう……!」

飛鳥「いや、まだそれは分からないよ蘭子」

蘭子「へ!?」

凛「どういう事、飛鳥?」

飛鳥「あの麗奈の様子を見るんだ。ライブバトルで優位に立っている表情ではないし様子もおかしい」

蘭子「う、うん……確かに」

飛鳥「彼女の心の揺らぎ、それがもしかしたらこのライブバトルの結末に大きく関わるかもしれない」

ペインマン「テハハハハ~ 我々完璧超人はそのような事がないよう、感情という物を失くした」

菜帆「プ、プロデューサー………」

カラスマン「うむ……だからこそ…………」

アビスマン「お前ら人間にしかアイドルは出来んのだ」

巴「ふん、お前らに感情があったところでそのナリでアイドルなんぞできはせんわ」



仁奈「えーっと……」ポワボワ


ミラージュマン『みんな~今日は来てくれてありがとー♡』


仁奈「おえーー!!」

ミラージュマン「に、仁奈!? どうした仁奈ァアアアアッ!!」



サイコマン「ニャカニャガ、手厳しいですがその通りですねぇ」


麗奈「アンタ……ふざけんじゃないわ!! アタシはアンタなんかに助けてもらうほど落ちぶれちゃいないのよ!!」

光「……ふ、は………ゲホッ……… れ、麗奈……」

麗奈「もうアタシのことなんか放っておきなさいよ! アタシはアンタの差し出した手をこれ以上ないくらい酷い方法で返したのよ!? それなのにまだそんな事を!!」

光「………ふふ、優しいんだな、麗奈は」

麗奈「は、はぁ!?」

光「もういい、無理をするな麗奈。本当は麗奈もこんな事はしたくないんだろう? 誰かに助けてもらいたいんだろう?」

麗奈「な、なにを!! そんなわけないじゃない!!」

光「それじゃあなんで……麗奈はそんなに悲しい顔をしてるんだ!」

麗奈「なっ………」

光「麗奈の顔は正に心の底から苦しんでいる人にしかできない表情だ! そしてそれを必死に隠そうとしているッ!」

麗奈「ッ…………!」

光「もう無理をするな!! 嫌われようと……孤独になろうとするなッ!! このままじゃ麗奈! 君の心が壊れてしまうッ!!」

麗奈「………煩い」

光「アタシが麗奈を救ってみせる! だからもう自分から苦しむ方向へ走っていく必要はないんだ!!」

麗奈「う、るさいっ! 煩いッ!!」

光「アタシは絶対に麗奈を裏切らないッ! だから麗奈、アタシと友達になって―――」



麗奈「黙れェエエエエエッッ!!!」ブンッ!



〈レ、レイナサマの蹴りでブーツに付いていた緑の飾りがヒカルの方へ飛んでいく!〉

光「っつあ!?」バシャ!


凛「あ、あれはアシッドボム!?」


光「ぐ、ぐうぅ………」シュウゥゥゥ...

〈中の液体が降りかかり皮膚が爛れていく!!〉

麗奈「もうとっとと倒れなさいよぉおおっ!!」ヒュッ!

光「ぐあっ!!」ドゴッ! バキッ!

〈ヒカルが怯んだ隙にレイナサマのナックルラッシュ!!〉

麗奈「もうこれ以上アタシに構うなっ!! アタシのことを救おうとするのはやめろーーッ!!」ドゴッ! バギッ!

光「……や、だ! 嫌だッ!!」ガシイッ!

麗奈「なっ!?」

光「アタシは……絶対にこの世界の全てを……救ってみせるんだーー!!」

麗奈「ぐごっ!!」ドゴッ!

光「ふっ! でりゃあっ!!」ヒュッ! ヒュッ!

麗奈「ぐっ! んぐっ!!」

〈レイナサマのパンチを受け止めそのままミドルキックの連打!!〉

光「これがアタシの心だーーッ!!」ヒュッ!

麗奈「こっのぉ!!」バシッ!

〈レイナサマ、ヒカルの蹴り足を掴んだ!〉

麗奈「壊れろっ!!」ビュッ!

〈そのまま軸足にローキックを放つ!!〉

光「そうは行くかっ!!」ダンッ!

麗奈「ぐっ!?」

〈な、なんと!? 軸足でそのままジャンプしレイナサマの顔を両足で挟み込んだ!!〉

光「フランケンシュタイナーッ!!」ビュッ!

麗奈「あっ、ぐがぁっ!?」

〈そのままフランケンシュタイナーでレイナサマの脳天をマットに叩きつけた!〉

光「ここだっ! ここが最後のチャンスっ!!」ガシィッ!

麗奈「しまっ!?」

光「とおぉっ!!」ダンッ!

〈そ、そのままレイナサマの両脚を掴み上空高く跳躍!!〉


光「ふんっ!」

麗奈「ぐっ!! でもまだ……」

光「逃がさないッ!!」バシッ!

麗奈「ぐうっ!!」ガキィッ!!


凛「あ、あの体勢は!!」

裕子「上空で両脚をリバースインディアンデスロックに捉え、両手を後頭部に組ませその上から自らの手で押さえつける! 私も一度セットアップに持っていかれたあの技!!」

カラスマン「あの技は……ジャッジメント・ペナルティの反転バージョンか?」

アビスマン「両脚どころか両手すらも封じてしまっている。脱出不可能の大技だな」

凛「うん。光の必殺奥義……“正義執行”!!」


麗奈「ぐ、グギギギ!!」

光「無駄だ! この技は一度セットアップしてしまえば外すことはできない!」

麗奈「く、くそぉっ!!」

光「行くぞッ!! 正義のヒーロー、禊の必殺技だーーッ!!」

ゴォオオオオッ!!

〈そ、そのまま猛スピードでマットへと落下ーーッ!!〉



光「行くぞ! 南条光 必殺奥義!! 正義執行!!」




光「ジャスティイィィィスッ!!!」



ドガアァァァァンッ!!!



凛「うわぁっ!!」

巴「なんちゅう衝撃じゃ! 前が見えんぞ!!」

裕子「あ、あの時よりも威力が上がってます!!」


仁奈「す、砂煙がスゲーです……!」

凛「ちょっとアンタ! なんとかして!」

ガンマン「ふん、真眼ッ!!」カァアアアアッ!!


〈おおっと、煙が晴れていきます! その中には……………え?〉



光「な、なんだと!?」

麗奈「……クックク、アーッハッハッハ!! 馬鹿ねぇ! アタシがアンタの必殺奥義の対策を何もしてないわけないじゃない!!」



凛「こ、これは!?」

菜帆「麗奈ちゃんの下にクッションが敷かれてます~!!」

仁奈「あ、あれはなんでごぜーますか!?」

巴「服に付いとった飾りじゃ……… アイツが付けとった紫のドクロの飾りが巨大化してクッションになったんじゃ!!」

凛「そ、そんな!?」

飛鳥「つまりダメージがゼロになったということか……」

蘭子「そ、そんなぁ~~!!」



光「く、くそッ………ち、力が…もう………」

麗奈「はんっ!! この勝負、アタシが貰ったわッ!!」ダンッ!

〈レイナサマ! ヒカルの拘束を振りほどきリフトアップしたまま上空へ飛び上がった!!〉

麗奈「クリミナルチェーンッ!!」ビュワッ!

光「うあっ!」

〈そ、そのまま衣装の鎖でヒカルの両手を後ろ手に縛り上げた!!〉

麗奈「そして、こうよっ!!」ガンッ!

光「あぐっ!!」

〈そのままヒカルの身体を上下反転させ後頭部を踏みつけ、両脚を片手でクラッチし背中を反らせ背骨を極める!! この体勢は!!〉


仁奈「や、やべーでごぜーます!! アレは!!」

凛「麗奈の必殺奥義!! ダメッ! 逃げて光ッ!!」

巴「お、おい……あのまま落下したら光の顔が鉄柱に叩きつけられるぞ!?」

サイコマン(…………ダメでしたか。やはりあの力はそう易々と発現できるものではありませんか)



麗奈「もう本当にこれでおしまい。アンタのふざけた妄想も……アンタの全てが否定され、そしておしまい」

光「れ、麗奈………!」

麗奈「そしてアタシは……この世の全てのアイドルを滅ぼしてやるわ。その第一弾が、アンタ………」

麗奈「もうこれで………本当に……全部おしまい。結局アンタも……アタシを救うことなんてできないのよ」

光「れ、麗奈………」グギギギ

麗奈「もういいわよ。アンタの方こそ無理をするもんじゃないわ。アタシなんかと友達になれる子なんて……結局この世界に誰一人としていないのよ…………」

光「れ、麗……奈…………」ポロポロ

麗奈「………そんな目でアタシを見るな。その哀れな奴を見るような目で……泣きながら………アタシを見るなッ!!」

ゴォオオオオオオッ!!!

〈そ、その体勢のまま落下!! このままではヒカルの顔が鉄柱に……!!〉

麗奈「…………もう、これでっ! 本当に最後よッ!!」

 


光(麗奈………ごめん…)ボロボロ

光(あれだけ麗奈を救うと言ったのに……失望させてごめん……………)

光(麗奈に希望を持たせちゃって……そして、それを裏切っちゃって…………ごめん………アタシは……ヒーローになれなかった……)ボロボロ

光(麗奈………………)



麗奈「………………」ボロボロ

光(ッ!?)



光(麗奈……泣いている!?)

光(……アタシが…失望させちゃったから………アタシのせいで…………)

光(アタシが………アタシが諦めたから………アタシが不甲斐なかったから………………)




光(違うッ!!)グッ!



光(アタシはヒーローだ! 決して諦めないみんなのヒーローだ!! でも………)

光(今だけは……)

光(この一瞬だけは………………)




光(麗奈だけのヒーローになるんだッ!!)



麗奈「これで……これでトドメーッ!! 小関麗奈必殺奥義!! 征服の夜明けーーーッ!!」ゴォオオオオッ!!

光「う、お……………」グギギギギッ!




光「うおおォオオオオッ!!!」カアァァァッ!!

麗奈「な、なにっ!?」



凛「きゃあっ!?」

裕子「ま、眩しい!! な、なんなんですかこの輝きは!?」

ガンマン「ぐうぅ……この私にも何も見えん!」

ミラージュマン「ぐっ………これは一体!?」

サイコマン「やはり………この力……ッ!!」



ジャスティスマン「…………………ヒカル」

シングマン「…………………………」



光「うっだあぁあああああっ!!!」ググググッ!

ビキッ! ベキッ………



バッキイィイイイッッ!!!



光「でりゃぁああああっ!!」ガシィィィッ!!

麗奈「な、なんですって!?」

〈な、なんとヒカル! クリミナルチェーンを破壊し、両手で鉄柱を支え顔面から落下するのを防いだーーッ!!〉

麗奈「ば、馬鹿なッ!? クリミナルチェーンを破壊するなんてそんな……!!」

光「すりゃああああっ!!」ブンッ!

麗奈「あぐっ!!」

〈ヒカル、自分の脚を掴んでいたレイナサマを力尽くでマットに振り落とした! そ、それにしてもこのヒカルの発光現象は一体!?〉

スタッ

光「麗奈……すまない」

麗奈「ぐうぅ……な、何がよ!」

光「アタシは一度諦めた………麗奈を救うことを。でも……もう諦めない!!」

光「アタシは絶対に諦めない!! 麗奈と友達になるっ!! いや、それはもう少し違うかもしれないな」

麗奈「……………ッ う、煩い!! そんなのアタシは望んでなんか………望んでなんか!!」

光「もういいんだ、麗奈。そんな風に全てを背負いこむ必要なんてない。弱いところを見せてくれてもいいんだ。だって………」


光「アタシ達はもう、友達だろ?」ニコッ


麗奈「ち、違う違うッ!! もうこれ以上アタシに構うなァ!! アタシに希望を持たせるなッ!! もうこれ以上………アタシを、惑わせるなァアアアッ!!」ブンッ!

光「麗奈……………」パシィッ!

〈レ、レイナサマのパンチを片手で受け止めた!!〉

麗奈「お願いだから……もう、やめてよぉ……! もう……アタシに、………優しく……しないでよぉ………」ボロ ボロ...

光「麗奈………この技で、全て終わりにしよう……… でもこれはただの終わりじゃない………」

麗奈「……ぇ?」

光「この技は……アタシ達二人の、新たな物語の始まりだ…………!!」

ガシッ ガシッ!

光「とおぉっ!!」バンッ!

〈ヒカル、レイナサマの両脚を掴み跳躍!!〉

光「麗奈……君はアタシの友達だ! だからこそ……アタシ自身の手で麗奈に全力でケジメをつけさせる!! だから麗奈も全力でこの技を返してみろーーッ!!」ガキィッ!

〈ま、またしても正義執行を放つつもり…………い、いや違う!! よく似ているがこれは違う技だ!!〉


凛「な、なにあの技は!? 正義執行じゃない!!」

裕子「正義執行とは麗奈ちゃんの向きが逆です! あれは一体!?」

カラスマン「あれはジャッジメント・ペナルティーか!!」

ミラージュマン「ジャスティスの最高にして最強の奥義だ………」

凛「あ、あれが! で、でも光はその技を習得できなかったって言って――」

サイコマン「ええ、そうです。しかし今の彼女にはあの力があります。だからあの技を出す事は不可能ではないのかもしれません」

蘭子「あの……力?」


麗奈「こ、こんな技ッ!!」

光「行くぞ麗奈!! これがアタシの全力だーーーッ!!」

ゴォオオオオオオッッ!!

麗奈「ぐっ……このっ! このぉっ!!」ググググッ!

麗奈(両手がフリーなのに……全然外せないッ!! 一体……この、力は何なのよッ!?)



光「麗奈………今まで一人ぼっちで辛かったんだよね」

麗奈「えっ?」

光「もう安心してくれ。これからはずっとアタシが麗奈と一緒にいるから………だから……………!!」




光「南条光 特定最終奥義!! Judgement of your Hero!!」




光「Trust Meeeeee!!!!」


ズガアァアアアアアアッッ!!!


裕子「きゃああっ!! す、凄い衝撃です!!」

仁奈「目を開けてられねーです!!」

アビスマン「くそっ、どうなったのか分からねぇ!!」

ガンマン「真眼!」カァアアアアッ!!



〈も、物凄い衝撃です! 全くなにも見えません!! あ、でも急に土煙が晴れていっている! リ、リング上は一体!?〉


シュウゥウウウウウ………………


光「………………麗奈」

麗奈「……………ガハッ!!」

〈き、決まった!! ヒカルの新技、Judgement of your Heroがレイナサマに完全に決まっているーーッ!!〉

光「とぉっ!」スタンッ!

麗奈「………ぅ……」バタンッ!

〈ヒカルがセットアップを解くと、レイナサマの四肢が力なくマットに放り出された。こ、これは……………〉



光「ダウンカウントは必要ない。アタシの勝ちだ!」



カンカンカーーーンッ!!



〈け、決着です!! ヒカルが、ついにっ! あのレイナサマを打ち倒したーーッ!!〉


巴「よっしゃぁあああっ!! よくやりおった!!」

蘭子「光ちゃんーーッ!!」

飛鳥「心湧き踊る最高のライブバトルだった!!」

菜帆「今日は祝勝会です~~!!」

裕子「…………………………」

サイコマン「どうしました? 裕子」

裕子「あの光ちゃんの最後のパワー。あれは一体…………」

サイコマン「ニャガニャガ、いずれ分かります」

仁奈「………………」ウルウル

凛「光………ありがとう!」


光「はぁ、はぁ………今までで1番の強敵だった………」

ジャスティスマン「よくやった、ヒカル」

光「ジャスティス!」

ジャスティスマン「最高のライブバトルだった。ヒーローとしてこれ以上の結果はないだろう」

光「うん、うんっ!!」

シングマン「南条光よ」

光「シングマン!」

シングマン「すまない、苦労をかけたな」

光「苦労だなんてそんな……」

シングマン「ありがとう、ヒーローよ」

光「そ、それよりも……麗奈っ!!」




麗奈「なによ………この甘ちゃん」

光「大丈夫か!?」

麗奈「んなわけないでしょ。もうヘトヘトに疲れ果てて……指一本動かせないわよ」

光「麗奈、ありがとう。最高のライブバトルだったよ!」

麗奈「そりゃアンタは勝ったからでしょ。アタシにとっちゃ最低最悪のライブバトルよ………」フフッ

光「その割には憑き物が落ちたようじゃないか!」

麗奈「ふん、誰のせいだと思ってんのよ。あぁ、それと………カタブツ。あれ、お願い」

シングマン「マッ!!」ガゴォオオッ!

バリーーンッ!

キャンキャンッ!!

バサッ!!


凛「ハナコッ!! あぁ、良かった!! うわ!? なんか凄く綺麗にトリミングされてる!?」

キャンキャンッ!

仁奈「仁奈のキグルミが帰ってきたでごぜーますッ!! やったーーーッ!! うわ、スゲーふかふかになってやがります!?」

シングマン「これでいいか、麗奈よ?」

麗奈「上等よ」

光「麗奈、ありがとう」

麗奈「なに礼言ってんのよ、馬鹿じゃない?」

光「ふふふ」

麗奈「チッ………」グググ

光「大丈夫か?手を貸すぞ」

麗奈「アタシを舐めんじゃないわよ」フラッ

光「それなら、ほら!」スッ

麗奈「………なに?」

光「握手だよ。アタシ達の友情に」

麗奈「ケッ………」スッ

光「れ、麗奈! やっと握手を―――」ギュッ!





















ブウゥゥゥゥ~~ッ!!



光「へ?」

麗奈「」ニヤッ


麗奈「拡声器を用意して、と………アンタこんな時にオナラするなんてどういうことよーーーッ!!!」ビリビリッ!!

光「はっ、ちょっ!? ち、違っ!!」


凛「あ、あーうん………」

菜帆「ほ、ほらアレですよ~ 緊張の糸が緩んじゃってですよね~?」

巴「………うちはなにも言わん。なにも聞いとらんからのぉ」

蘭子「ひ、光ちゃん……そのっあのぉ……!?」

飛鳥「蘭子、静かに。なにも気を惑わすことなんてなかったさ。そうだろうみんな?」

仁奈「に、仁奈のキグルミを取り戻してくれた格好いいヒーローですよ!」

光「~~~~~~~~!!!!」カアァァァッ!!




麗奈「ぷっ………くくくっ……あは、は………」ブルプル

麗奈「アーッハッハッハ!! まんまと引っかかったわねぇ!! 手にブーブークッションを仕込んでおいたのよ!! これで今日からアンタはオナラヒーローよ!!!」

〈そ、そんなことだろうとは思いましたが!! でもこれ全宇宙同時中継……!!〉

麗奈「明日から全宇宙のネットで色々書かれるでしょうね!! 転んでもタダじゃ起きないわよ!! アーッハッハッハッハッハ……ガホッゲホッ!!」

光「………………」プルプル

麗奈「イーッヒッヒッヒッヒッ!! アーッハッハッハッハッハ!! クッハハハハハハッ! ゲホッゴホェッ!! アッハハゴホッ!」

光「」ブチィッ!!!



麗奈「アーッハハハッ!! はぁ、はぁ、こんなに笑ったのいつぶりかしらね。さて、それじゃ帰るわよカタブツーーーッ!!!」ダダダダッ!!

光「待てゴルァァアアアッ!!」ダダダダッ!

麗奈「待てと言われて待つ麗奈様じゃないわよ! 悔しかったら追いついて……って顔怖!! ヒーローのしていい顔じゃないわよ!?」

光「おま、お前ェエエエエエッ!! もういっぺん Judgement of your Hero かけちゃる~~~ッ!!」ダダダダッ!

麗奈「ヒィッ!? ど、どこがヒーローよ!! モンスターの間違いじゃないのぉ!!? た、助けてーーーッ!!」ダダダダッ!!

光「逃すかーーーッ!!」ダダダダッ!!



〈…………………………〉

〈え、えぇーっと……走ってどこかいっちゃったけど、大丈夫なの?〉

凛「ちょっとアンタ達、追ったほうがいいんじゃ」

シングマン「いや、問題ない」

凛「でも……」

シングマン「あんなに楽しそうな麗奈を見たのは初めてだ。もう大丈夫だろう、なぁ?」

ジャスティスマン「」コクリ

シングマン「さて、これで片方は片付いた。では………」

〈それでは今回予定していたライブバトルも全て終了しましたし、今回の放送はこのくらいで――――〉



シングマン「ギラァァアアアッ!!」ズガァアアッ!!

ガンマン「シャッグァ!?」

凛「きゃぁっ!?」

裕子「シ、シングマンが急にラリアット攻撃を!?」

ガンマン「ぐぅうううっ! 貴様急になにをするかーーっ!!」ズウゥンッ!

〈シ、シングマンの突然の攻撃に宙を舞うガンマン! しかしすぐに体勢を整えリング中央に着地!!〉

シングマン「今回という今回は私も我慢の限界だ!! 今度という今度はガンマン、貴様を殺すっ!!」ズンズンッ!

〈も、ものすごい形相でリングへと向かっていくシングマン!〉

カラスマン「お、落ち着けシングマン!」

アビスマン「そうだ! ちょっと頭を冷やしてから―――」

シングマン「はなせ2人とも!!」バシッ! バシィッ!



シングマン「殺してやるんだーーッ!!」ダダダダッ!


シングマン「ギラーーーッ!!」バシィッ!!

ガンマン「痛っ!! なにさらんすじゃーーい!!」ビシバシッ!

シングマン「だまらっしゃい~~~~~!!」ビシッバシッ!!


凛「」ガクッ!

ペインマン「さぁ、帰るとしよう~!」

巴「ええんか!? 奴ら、のほほんと殺し合いしとるぞ!?」

カラスマン「問題ない。いつものことだ」

サイコマン「ええ、どうせまたシングマンさんが勝ってガンマンさんが思い出して終わりです」

裕子「は、はぁ………」

ミラージュマン「というよりもルールなしの戦いでシングマンから勝ちをとるのはザ・マンですら無理なことだ。まぁシングマンもザ・マンに勝てんがな」

アビスマン「あとコイツもな」

ペインマン「テハハハハ~~~!!」

仁奈「す、スゲー………」

蘭子「よーし、打ち上げだーー!! 光ちゃんの祝勝会!!」

菜帆「は~い! もちろん麗奈ちゃんも誘いましょう!」

凛「た、多分来ないんじゃない? でも祝勝会を開くのは賛成かな」

飛鳥「うん。もうこれ以上何事もないだろうし」

仁奈「そう言えば光おねーさんは!?」キョロキョロ

光「こ、ここに……いるぞ………」フラフラ

巴「お、おい大丈夫なんか!」

光「麗奈に逃げられた……………ガクッ」

ジャスティスマン「…………どうやら我々は向かえないようだ」

アビスマン「いや待て、主役が不在だなんて意味がないだろ」

サイコマン「ニャガニャガ、それでは日を改めるということでよろしいでしょう」

裕子「ええ! それでは私たちのプロダクションでパーティーです! 師匠、早く帰って片付けしましょう!」

ペインマン「テハハハハ~~ッ! では今日は皆帰るとするか!」

ミラージュマン「では私に任せろ! 来い、マックスラジアルーーッ!!」



ズドドドドトドドッ!!


ラジアル「バルルルルーー!!」

凛「早っ!!」

ラジアル「話は聞いていたぞ、乗れーーッ!!」

グニョングニョン………

ミラージュマン「よしみんな乗れーーッ!!」

飛鳥「ボク達のプロダクションは京都にあるんだけど大丈夫かい?」

ミラージュマン「特に問題はない。このラジアルの送迎は完璧だ」

凛「うん、早く帰ろう。行くよハナコ」

キャンキャ-ン!

蘭子「へ? 放っておいていいの!?」

凛「へ、何を?」

蘭子「」

ペインマン「テハハハハ~~! 厚い信頼関係の賜物だなぁ~~!」

サイコマン「無理に気遣い見せなくてもいいんじゃないですか?」

凛「東京の自宅までお願い」

アビスマン「それじゃあ広島まで頼む」

裕子「サイキック・おねがいしまーすっ!」

ジャスティスマン「光を自宅まで連れて帰る。徳島までだ」

光「よ、よろしく…頼む……ガクッ」

ラジアル「よし行くぞ! 完送の名にかけて全員無事に送り届けてやるぜ!!」


ズトドドドドド!!!





シングマン「さて、帰るとするか」

麗奈「ゼェゼェ……お、終わったのかしら……」

シングマン「麗奈、お前も無事に逃げられたようで何よりだ」

麗奈「無事じゃ…な、い………ガクッ……」

シングマン「む……疲労で気絶したか……」

麗奈「スゥスゥ……」

シングマン「私が初めて見る安らかな寝顔だな。ありがとう、南条光よ」











ーリング上ー

ガンマン「シャバンシャバ~~~ン………………」




ー魔界ー


「お呼びでございますか」

「貴様も知っているだろうが、あのザ・マン率いる始祖どもがアイドルプロデューサーをしている」

「はっ」

「貴様に一つ命令を与える。この小娘をアイドルとしてスカウトし、この拾式のアイドルを倒せ」ピラッ

「はっ……?」

「お前にしかこの小娘は扱えん。質問も受け付けん。行け」

「は、ははぁっ!」シュンッ!



「…………………………」

『兄さん、ありがとうございます』

「あの時の借りは返す。ただそれだけだ」

『でもあのアシュラマンの顔……兄さんの気でも狂ったか?とでも思ってるような顔でしたね』

「……それよりも、本当にお前が渡してきたこの小娘で拾式に勝てるのだろうな?」

『大丈夫です。強さの問題では無く相性の問題で間違いなく勝てるでしょう』

「ならば特にいうことはない」

『それでは私はこれで。念話も疲れますので』

「うむ」








裕子「むむ、サイキックテレパシー!? なんか強敵が来る予感!!」

サイコマン「裕子、サボってないで早くプロダクションの掃除をなさい」パタパタ

裕子「分かりましたお母さん!」

サイコマン「サイコマンです!」


おしまい

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