勇者A「…なぁ？もういい子ちゃんはやめようや。ここまできたらもう殴り合うしかねえだろ」

魔法使いA「ちょっと！」

勇者A「先輩！！！」

魔法使いA「っ…」

勇者A「…何心配してんすか…演習っすよ…殺しあったりしませんよ…」

魔法剣士A「…そうだな…話し合って決着がつくことはなさそうだな…」

勇者A「てめぇがクソザコだってことをその体で理解させてやるよ」

魔法剣士A「薬草は足りてるか？ないなら買ってくることを勧めるぞ」

勇者A「口だけは達者か？悪いが結果を残せないやつはウチのパーティーには要らねぇんだよ！！いくぜっオラァ！」ｽﾞﾊﾞｯ!!

魔法剣士A「不当解雇には全力で抵抗させてもらう！！」ｶｷﾝｯ!!

勇者A「ｵﾗｵﾗｵﾗｵﾗｵﾗｵﾗ!!!」ｽﾞﾊﾞｽﾞﾊﾞｽﾞﾊﾞ!!

魔法剣士A「お前勇者とは思えないガラの悪さだなっ…ぐっ…」ｶｷﾝｯｶｷﾝｯ

勇者A「死ねや雑魚が！」

魔法剣士A「ふっ…俺には魔法があることも忘れるなよ！火炎魔法っ！！」

勇者A「ぬわっっつぃ！！」

魔法剣士A「迂闊に近づきすぎなんだよ馬鹿が！」

勇者A「てめぇこらオイ！俺に火傷負わせやがったな…ザコがイキがりやがって…もう手加減すんのはやめだ…」

魔法使いA「ちょ、ちょっともうそろそろやめようよ…」

勇者A「安心してくださいよ。これで終わるんで…」

魔法剣士A「お、お前まじか…その技…」

勇者A「いくぜ…よく見とけよ…。俺の…『神速一閃』」

魔法剣士A「神速なんて言うほど早くないだろ」

勇者A「そういう事はこの技を避けてから言うんだなぁ！」

魔法剣士A(確かに実際早い…人間相手に使っていい技じゃない…。間違いなく俺をマジで殺す気だ…)

勇者A「俺は元々魔法剣士って職が嫌いなんだよ…。魔法使うのか剣使うのかハッキリしろや…」

魔法剣士A「どっちも使うんだよ」

勇者A「けっ…そういうどっちつかず……浮気なんかしてるからよぉ…」ｼｭﾝｯ

魔法剣士A「っっっ…！！」

勇者A「避けられねぇんだよ…」ｽｯ

魔法剣士A「っっ…ぐっ…ｶﾞﾊｯ…」

魔法使いA「ちょ、ちょっと！！！」

勇者A「手加減したんで。ちょっと回復してやってください…そしたら死にはしませんよ…」

魔法使いA「もうっっ…演習で本当に切ったりしちゃダメだよ…」

勇者A「……すんません」

～病院～

魔法剣士A「…………ここは…」

医者「目覚めたかい」

魔法剣士A「……病院…？」

医者「病院の前で君が倒れていてね。中に運び込んだんだ」

魔法剣士A「そうだったんですか…」

医者「……何があったんだい？」

魔法剣士A「……魔物に襲われて…」

医者「……」

魔法剣士A「俺…弱いんで……負けて逃げてきたって感じです…」

医者「…そうか。実力以上の相手に挑んでしまったか？気をつけた方がいい。今回はたまたま助かったが…次はどうなるか分からないからな」

魔法剣士A「……はい」

～集会所～

魔法剣士A「っていう訳で、俺パーティーをクビになったんですけどどうすればいいですか？」

受付男「あーはいはい。そうなったら選択肢は4つ」

魔法剣士A「4つ？」

受付男「1つ目は君がパーティーのリーダーになって仲間を探す(雇う)」

魔法剣士A「はい」

受付男「2つ目はまた他のパーティーに雇われるのを待つ」

魔法剣士A「ふむ」

受付男「3つ目は、自分みたいな陰キャは仲間と仲良くなんて無理だと悟って一生ソロで活動する」

魔法剣士A「ふ、ふむ」

受付男「4つ目は、勇者だ魔法剣士だなんざやめて実家の農業をつぐ」

魔法剣士A「投げやりになってないか？」

受付男「なってない。わりといるんだよそういう人」

魔法剣士A「そうか…」

受付男「で？どうする？」

魔法剣士A「…そうだなぁ…パーティーのリーダーになって人を雇う方が楽そうだが…そんな金ないしな…。やはり、また他のパーティーに雇われるのを待つ方が楽か…」

受付男「まあ皆だいたいそうだよ。待つのはいいけど、他にも待ってるやつが犬の糞並に多くいるから覚悟しといた方がいいよ」

魔法剣士A「まじか…」

受付男「不況だからな。皆パーティーをクビになって次の就職先探してるんだよ」

魔法剣士A「魔王退治どころじゃなくなってるな…」

受付男「じゃあパーティー待ち登録しとくから、君の情報を教えてくれ」

魔法剣士A「ああ」

受付男「職業は魔法剣士…と。資格は？」

魔法剣士A「えーと…魔法全般取扱い2級、サバイバル検定3級、特殊鍵開け2級、薬剤取扱い3級…あと馬に乗れる」

受付男「はぁーどれもクソ微妙な資格だな？中途半端というか。まあそれなりに頑張りましたって感じの…真面目系クズか？」

魔法剣士A「お前は不真面目系クズか？悪口を言うのが仕事じゃないだろ。とっとと次を頼む」

受付男「悪い悪い。最近クビになって困ってここに来るやつが多いんだよ。おかげ仕事が増えてな。疲れてるんだ。給料は増えないが仕事は増える…やってられないよ」

魔法剣士A「不況のせいで受付も大変なんだな…」

受付男「まあな。来世は死んでも受付なんて仕事はしないよ。で、希望の月給は？」

魔法剣士A「まあ…魔法剣士で資格もそこそこだし…月々27万ゴールドは貰いたいな」

受付男「お客さん、いつの時代からやってきたんだい？」

魔法剣士A「なに？」

受付男「このスペックで27万なんてのは一昔前の話だよ。まあ今の時代なら22万くらいか…」

魔法剣士A「なに！？そんなに低いのか！？」

受付男「もう今時魔法剣士なんて職業は珍しくもない。それにこの資格も…どれも古いよ。新しい資格もたくさん出てるし、需要があるのはそっちだ。こんな古い資格持ってるやつを探してる変わり者はいないよ」

魔法剣士A「そ、そんな…」

受付男「クビになるのも当然だな…」

魔法剣士A「お前の接客態度どうにかならんのか？」