美少女「アネモネの花言葉って知ってる?」 (12)
ひそひそ.....
あそこのウチの子よ....確か....
お父さんが殺人で.....
妹「お兄ちゃん.....」
男「気にするな.....幼稚園行くぞ」
・・・・・・・・
男「3日前親父が人を殺した....職場の人と口論になってカッとなって殺してしまったらしい」
男「確かにキレやすい人で俺や妹もよく手を上げられていたが普段は優しい人だった」
男「今は刑務所に入ってて俺と妹は二人暮らしだ」
・・・・・・・・・・
男「すいません 今日もお願いします」
幼稚園先生「はい....いろいろ大変ですね」
男「ですね...でも俺がクヨクヨしてると妹まで不安にさせちゃうんで」
幼稚園先生「なにか私に出来ることがあったらなんでも言ってくださいね!」
男「ふふ.....」
幼稚園先生「どうしたんですか??」
男「久しぶりに妹以外の人と話したなって....」
幼稚園先生「私ぐらいだったら!いつでも話しますし!あっ!そうだ!なんなら電話番号とか!」
男「気持ちだけで充分ですよ」
幼稚園先生「・・・・・・//」
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男「おはようございます」
同僚「・・・・・・・・」
社長「・・・・・・・・」
見ての通り無視されている
狭い町なので父が人を殺したのが町中に伝わるのはすぐだった
少し前まで冗談を言い合ってた同僚も今は口を聞いてくれない
社長「男君」
男「なんですか?」
社長「ウチもちょっと経営がピンチでね 君を雇っている余裕がないんだよ」
男「えっ......」
社長「つまりね クビだよクビ」
男「ちょっと待ってください!俺がここをクビにされたら妹は!!」
社長「知らないよ 強盗でもして稼いだらいいじゃない?君には犯罪者の血が入ってるんだからそれぐらい余裕だろ?」
男「くっ!!」
社長「殴るのかい?嫌だねぇ犯罪者の息子は」
男「わかりましたよ!やめればいいんでしょ!!」
公園
男「どうしよう.....俺が妹を食べさせて行かなきゃならないのに」
美少女「男君だよね?」
男「えっと確か高校の時同じクラスだった 美少女か?」
美少女「卒業してまだ1年しか経ってないんだから忘れないでよ」
男「ごめん....」
美少女「どうしたの?なんか暗いよ?」
男「いろいろあってさ.....」
・・・・・・・・
美少女「そっか大変だったね....そうだ!」
美少女「ウチで働きなよ!」
男「えっ.....いいの?」
美少女「いいよ!いま花を隣町からトラックで運んでくれる人をちょうど探してたんだ!」
美少女「早速お父さんに聞いてみよう」
・・・・・・・
美少女「はいってはいって」
男「お邪魔します」
美少女パパ「君が男君か....いろいろ大変だったようだね」
男「はい....やっぱり人殺しの息子はダメですか?」
美少女パパ「ダメじゃないさ 悪いのは君じゃないし君は幼い妹を食わせていこうと頑張ってるじゃないか」
男「!!雇ってもらえるんですか!?」
美少女パパ「ああ、明日からウチの軽トラで片道2時間の所まで花を取りに行ってもらうことになるけど大丈夫かい?」
男「もちろん!やらせてもらいます!」
美少女「よかったね」
男「ありがとう 美少女のおかげだよ」
美少女「えへへ....どういたしまして」
男「あっ!そろそろ幼稚園に妹を迎えにいかないと」
美少女「もうそんな時間なんだね 明日からよろしくね」
美少女「今度ご飯作りに行ってあげるよ 男君料理とか出来なさそうだから」
男「実際料理できないんだけど 楽しみに待ってるよ 妹も喜ぶだろうし」
幼稚園
妹「お兄ちゃーん」抱きつき
男「おまたせ ご飯買って帰ろうか」
妹「またコンビニのお弁当?」
男「ああお兄ちゃんの作った焦げた目玉焼き食べたいか?」
妹「コンビニ弁当で我慢する」
幼稚園先生「あの....よかったら晩御飯作りに行きましょうか?」
男「えっ?いや悪いですよ」
幼稚園先生「いやいや妹ちゃんにちゃんとしたもの食べてもらいたいしその先生として当然のことです」
妹「先生がご飯作ってくれるの!!やったー!!」
男「えっと.....じゃあお願いしようかな」
・・・・・・・・・
妹「先生の作ってくれるご飯美味しかったよ!毎日食べたいな」
幼稚園先生「じゃあ毎日作りに来ちゃおうかな」
妹「本当?やったー!」
男「いやでも悪いですって」
幼稚園先生「あの....敬語やめない?」
幼稚園先生「同い年だし....今は保護者と教師じゃないから距離感感じて寂しいし」
男「ああ....うん」
妹「なんで二人とも赤くなってるの?」
男「な、なんでもないよ」
幼稚園先生「そうだよなんでもないよ....//」
幼稚園先生「じゃあまた明日も食材持ってくるね」
男「ああ 今日は本当にありがとう」
幼稚園先生「妹ちゃんもおやすみね」
妹「おやすみなさいー」
翌日
男「おはようございます」
幼稚園先生b「・・・・・・・」
男「あれ?いつもの先生は?」
幼稚園先生b「昨日の夜から家に帰ってないそうです....気安く話しかけないでください」
男「・・・・・・・」
・・・・・・・・・
男「免許取っててよかった....仕事中は街から離れてるから少し心が安らぐな」
美少女「仕事はどう?」
男「運転して花を運ぶだけだからすぐ慣れそうだよ」
美少女「よかった そろそろ妹ちゃん迎えに行くんだよね?」
美少女「私も一緒に行くよ 帰りにスーパー寄って帰ろ?ご飯作るよ」
男「ありがとう....そういえば昨日から幼稚園先生が家に帰ってないらしいだけどなにか聞いてないか?」
美少女「んー知らないなぁ」
美少女「そんなことどうでもいいでしょ?行こ?」
男「あ、ああ なにか分かったら教えて」
美少女「うーん わかったよ」
幼稚園
妹「お兄ちゃん」抱き
美少女「はじめまして美少女だよ」
妹「はじめまして」
男「今日はこの人がご飯を作ってくれるって」
妹「うん.....」
この日は妹は終始元気がなかった
妹「幼稚園行きたくない」
男「どうした?何かあったのか?」
妹「みんなで私を虐めるから.....」
男「・・・・先生は止めてくれないのか?」
妹「うん......見てるだけ」
男「いいよ....もう行かなくて」抱き
・・・・・・・・
美少女パパ「そうか...仕事の間ウチで別に面倒見るのは構わないが」
美少女ママ「新しい子供が出来たみたいでいいじゃない」
美少女「ほらお姉ちゃんと遊ぼうか?」
妹「わーい」
そしてそんな生活を続けて数ヶ月が経った
男「えっと話って?」
美少女パパ「実は東京にウチの花屋の2号店を出すことになってね」
美少女パパ「君と美少女に任せようと思うんだ」
男「俺と?」
美少女パパ「もちろん妹ちゃんも一緒にだ」
美少女パパ「あっちなら妹ちゃんも幼稚園に行けるだろうし」
男「いいんですか?」
美少女パパ「ああ君になら娘と店を任せられる」
・・・・・・・・
美少女「二人で仕入れに遠くの街まで来たけどやっぱり海がある街はいいね」
男「そうだな....潮風が気持ちいいよ」
美少女「お父さんから話聞いた?」
男「ああ 東京の支店の話だろ」
美少女「うん 私は君と行きたいって思ってるよ」
美少女「ずっと君をそばで支えたいって」
美少女「東京に行って三人で幸せになろう」
男「なんか告白みたいだな」
美少女「うーん 一応そのつもりなんだけど」
美少女「ずっと君のことが好きだったんだよ」
美少女「君に卒業するとき渡した花覚えてる?」
男「アネモネ...」
美少女「アネモネの花言葉ははかない恋なんだよ」
男「あ.....」
美少女「それで返事は?」
男「俺も好きだよ」抱き
美少女「嬉しいよ...約束して三人で幸せになるって」
男「約束するよ.....」
男「あのさ..妹 美少女と東京で花屋をやることになったんだ」
男「嫌じゃないよな?」
妹「いやじゃないけどパパは?」
妹「置いて行っちゃうの?」
男「あっ.....」
刑務所
親父「おう....デカくなったか?」
男「あんまり変わってないと思う」
親父「悪いな....迷惑かけて」
男「本当だよ....親父のせいで俺と妹がどれだけ苦労したことか」
親父「本当にすまない....なぁ罪を償ったらこの街で三人でやり直そう」
男「そんな勝手なこと....」
親父「頼む....お前らまで居なくなったら俺は」
男「・・・・・・・・」
男「美少女パパにちゃんと説明して東京の支店の件は無しにしてもらおう....あんなんでも家族だからほっとけない」
自宅
美少女「話ってどうしたの?」
男「あのさ....俺東京行き無しにしてもらおうと思って」
美少女「....なんで?」
男「父さんがこの街でやり直したいってだから俺と妹で待っていたいんだ....だから美少女は東京に行って...いつか俺の方から行くから」
美少女「話が見えないよ.....私と三人で幸せになろうって約束したのに....」
男「ごめん....」
美少女「私が支えるって言ったのに....失望したよ....私じゃなくてお父さんを選ぶんだ」
美少女「私と一緒に東京に来るって言って」ハサミを突きつけて
男「とりあえずハサミをしまってくれ!」
美少女「嫌だよ....言ってくれないと嫌」
妹「何してるの?」
男「妹!来るな!」
美少女「そうだよね....この子も居なくなれば私しか見えなくなるよね」走って妹の元へ
男「やめろ!!」美少女の足を掴む
美少女「うわっ!?」美少女のポッケに入っていた火炎瓶が窓にあたりカーテンに火がつく
男「妹逃げて!!」
美少女「君は君だけは離さない」
・・・・・・・・・
妹「自宅焼失事件から5年が経ちました」
妹「お兄ちゃんはいないけどパパと二人で生活しています」
妹「美少女さんの遺体は見つからなかったけど多分....」
妹「お兄ちゃんのお墓....アネモネの花が置いてある」
美少女「アネモネの花言葉知ってる?見捨てられたっていうんだよ」
完
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