メリー「私メリーさん、今あなたの目の前にいるの」(28)

男「…」

メリー「怖いだろ~?」

男「…」

男「ちっちゃい」

メリーさん(5cm)「おわ、急に喋るなよ、びっくりするだろぉ!」

男「…」

メリーさん「動くなぁ!動くなよぉ!」

メリーさん「私が虫のように臓物ブチまけて潰れた後処理なんかしたくないだろう!?」

男(必死だなぁ)

メリーさん「3度目の転生とはいえ、踏まれた瞬間はすごく痛いんだぞ!?」

男「あ、踏まれた経験はあるのね」

メリーさん「…さ、さぁ人間、これからお前を呪い殺してやろう」

男「…ちなみに聞きたいんだけども、君は今まで何人呪い殺してきたんだい?」

メリーさん「ふふっ、お前が初めてだぞ!」

メリーさん「光栄に思うんだな!」

男(あぁ、呪い殺す前に踏まれちゃったんだ)

メリーさん「さぁ、私の呪いの力を思い知るが良いっ…」

男(あ、ちょっと具合悪くなってきた…)

男(ちっちゃくても、呪いの力ってのは本物なのか?)

………。


メリーさん「どうだ、人間っ!」

メリーさん「お前はこれから重い病に倒れ伏し、命を落とす運命にあるのだぁ!」

メリーさん「はーっはっは!」

男「…」

~病院~

医者「典型的な風邪ですね…」

男「…だって」

メリーさん「うぬぅ」

~帰り道~

男「ほら、泣かないでメリーさん」

メリーさん「うぅ…」

男「…美味しいものでも食べて元気出そう?」

メリーさん「………」

メリーさん「…こんぺいとうがいい」

男「ん、わかった」

メリーさん「…私はな」

かりっ

メリーさん「頑張ってるんだ」

かりかりっ

メリーさん「頑張ってるんだけど、上手くいかないんだ」

かりかりかりっ

メリーさん「…必死なんだっ」

かりかりかりかりっ!

男(酔っ払ってるみたい…金平糖で)

メリーさん「都市伝説協会の奴らは現場の辛さを分かってないんだ…」

かりりっ

男(あ、そういう団体があるのね)

メリーさん「あいつらはノルマの事ばっか言いやがって」

かりかりっ

メリーさん「いつも、いーっつも合言葉みたいに」


メリーさん「『我々は忘れ去られたら最後、消えて無くなるしか道は無い』」

メリーさん「なんて言ってやがるっ」

メリーさん「そんなこと言うくらいならお前らが現場に出ろってなぁ!」

かりかりかりかりっ!

メリーさん「お前もそう思うだろぉ!?」

男「そうだねぇ」

男(絡み上戸だ…)

メリーさん「くそう、口裂け女の奴め…現役時代凄かったとか知らないわぁ!」

男(口裂け女がお偉いさんなのね…)

~30分後~

メリーさん「……」

すやぁ…

男「…寝てしまった」

男「金平糖、一袋も買ってきちゃった」

男「メリーさんには多すぎたかなぁ」

メリーさん「…ふがっ」

男「…無くなるまで、にしようかな」

男(驚く程に、自分自身が驚いていなかった)

男(突然、まるで元からその場に居たかのように彼女(?)は現れた)

男「…噂、というか通説では人形だった筈なんだけど」

ー私が虫のように臓物ブチまけて潰れた後処理なんかしたくないだろう!?

男(人形ではないと、彼女自身が言っていた)

男(メリーさんの話、背後に立った後のシナリオは様々だ…)

メリーさん「……」

すやぁ…

男「…そもそも、メリーさんて何処に住んでるんだ?」

メリーさん「…ふみぃ」

男「というか、あまりに馴染んでいて気にならなかったけど…」

男「そのお布団はどこから持ってきたんだメリーさん」

メリーさん「……ふみゃあ」

~翌日~

メリーさん「……ほわぁ!」

男「あ、起きた」

メリーさん「……」

きょろきょろ…

メリーさん「…ここ、どこぉ!?」

男「僕の家だよ」

男「家、というより部屋だけども」

メリーさん「お、お前はぁ!」

メリーさん「昨日呪ったはずなのに、なん…」

男「…」

メリーさん「…」

メリーさん「…風邪、大丈夫?」

男「うん、ありがとう」

メリーさん「…はぁ、また失敗か」

男「失敗って、呪いの事?」

メリーさん「呪いというか、目的というか…なんて言えばいいんだ」

男「あぁ、都市伝説通りにって事?」

メリーさん「…うむ、頑張ってはいるんだ」

男(頑張ると言うより、必死というか…)

メリーさん「だけど、実際問題難しいんだ…」

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