武内P「もしも歴代シンデレラの皆さんがレベル5(超能力者)だったら」【Ⅱ】 (68)


【とあるファミレス】

周子「…あれ?今日の八つ橋、昨日食べたのと同じはずなのに味が違うような…あれ?」

フレデリカ「鯖缶!!今は鯖缶詰がキテルと思う訳だよ!!特にカレー(味)ねー♪」

ありす「…このいちごパスタ、なかなかイケますね…やはりC級グルメとは思えません」

ありす「文香さんもどうですか?」

文香「…今は、お腹が空いていないので…」ペラッ

ありす「そうですか…」

フレデリカ「ありすちゃんも食べる?鯖缶」

ありす「結構です。それと、橘と呼んでください」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1592740705


周子「…あ、そうそう、言い忘れてたんだけど…」

周子「今日は一人、私たちの下に就くことになったから」

ありす「…そうなんですか?」

フレデリカ「ふむふむ…ついにフレちゃんも焼きそばパンを買いに行かなくて良くなったわけだね!」

ありす「いつ買いに行ってたんですか…」

文香「…男性の方、ですか?」

周子「うん、何でも無能力者らしいけど上層部の決定だってさ」

ありす「…大丈夫でしょうか?どこかの組織のスパイとか…」


周子「んー…まぁ大丈夫じゃない?」

ありす「そんないい加減な…データを下さい、調べてみますから」

周子「いいけど、もうすぐ合流時間だから見た方が早いと思うよ」ピロン

ありす「何でもっと早く言ってくれないんですか…」(タブレット起動)

ありす「…え?」

フレデリカ「なになに?何が書いてるの?」


ありす「…性別、名前…これだけ?」

ありす「それに何ですか【プロデューサー】って、能力名か何かですか?」

周子「いや、確かに無能力者って言ってたから…それが名前なんじゃない?」

ありす「そんな馬鹿な…」

文香「…写真がないようですが、どのように見分ければ良いのでしょうか?」

周子「あぁ、それはあたしも聞いたんだけど…『見たら分かる』ってさ」


<イラッシャイマセー

ありす「…納得いきません、拒否するべきでは?」

周子「まぁまぁ、とりあえず会ってみてから…」チラッ

フレデリカ「そうそう、もしかしたらすっごく面白い人も知れないし」

ありす「面白い人って何ですか!何かあってからじゃ遅いんですよ」

フレデリカ「フレちゃん的にはお菓子とか作れる人だといいなー、甘ーいやつ!」

ありす「…」


ありす「はぁ…フレデリカさんに真面目な回答を期待した私がバカでした」

ありす「もういいです、こうなったら私が直接ビシッと…」

「あの、すみません」

ありす「何です…………か?」


武内P「…【アイテム】の、皆さんですか?」


続きもの

武内P「もしも歴代シンデレラの皆さんがレベル5(超能力者)だったら」
武内P「もしも歴代シンデレラの皆さんがレベル5(超能力者)だったら」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1582471267/)

歴代(第七回総選挙まで)のシンデレラがレベル5(超能力者)だったらという妄想

それ以外は過去最高順位でレベルを割り振り(例:2位~10位=レベル4)、一部例外あり


周子「あぁ、やっぱり…プロデューサーさん、でいいんだっけ?」

武内P「はい、宜しくお願いします」

周子「うん、よろしくー…こっちのことはどれだけ知ってる?」

武内P「…集合場所と、組織名を聞いてここに来ました」

周子「そっかそっか、じゃあ軽く自己紹介を…」

フレデリカ「はいはーい!遠くパリからやってきました、名はフレデリカ、性は宮本」

フレデリカ「ミドルネームは自称アンドレこと、フレちゃんだよー☆」

文香「…鷺沢、文香と申します」

ありす「え?あ…た、橘です!」


周子「で、あたしが塩見周子ちゃんね」

武内P「…塩見さん、鷺沢さん、宮本さん、橘さんですね。宜しくお願いします」

周子「じゃあ早速だけど、どこでも乗り捨てできる車を一台、持ってきてくれる?大きいやつね」

武内P「…承知致しました」


ありす「…」

フレデリカ「ビシッと?」

ありす「うっ…」グサッ


ありす「い、今のはその…ちょっと面を食らっただけで」

ありす「次に戻ってきたら、ちゃんと!」

周子「まぁまぁ落ち着いて、まずは結果を聞いてからにしようよ」

ありす「…結果?」

周子「文香ちゃん、あの人は能力者だった?」


文香「…いえ、あの方のAIM拡散力場は能力者のそれとは異なります」

文香「厳密には、『記述』してみなければ分かりませんが…」

周子「とりあえず、能力者ではない…と」

文香「はい」

周子「次、フレちゃん?」

フレデリカ「ラジャー!銃とかナイフみたいな分かりやすいものは持ってないかなー」

フレデリカ「あ、筋肉は凄そうだったよ!」

周子「危険物もなし、ね」


周子「…まぁそんところかな?それ以外に何か変わったとこがあったら教えてね」

文香・フレデリカ「「分かりました(はーい)」

ありす「…あの短時間で、そこまで分かったんですか?」

フレデリカ「初歩的なことだよ、ワトソン君?」

ありす「橘です。で、でも…まだ信用出来る訳ではないですよね?」

周子「うん、じゃああの人の監視役はお願いね」

ありす「…え?」


周子「気になるんでしょ?ならよろしくー」

フレデリカ「く~本当はフレちゃんがやりたいけど、リーダーの決定なら仕方ないか!」

文香「…お願い、します」

ありす「…」


武内P「…お待たせしました」


周子「おっ、早かったね…確保出来たの?」

武内P「はい、こちらです」


フレデリカ「おー!犯罪者が良く使ってるやつ(偏見)」

周子「速度は出るの?」

武内P「…それなりには」

周子「ならいっか、運転よろしくー」

武内P「分かりました」

周子「あ、ありすちゃんが助手席ね」

ありす「…」


【車内】

武内P「…」

ありす「…」ジー


周子「それじゃあ、改めて今日のお仕事を確認するね」

周子「ある研究所の研究員が、重要なデータを持ち逃げ」

周子「海外に逃亡しようとしているからこれを止める、生死は問わない」

周子「以上」

フレデリカ「わーお☆単純明快!」


周子「おそらく能力者を雇ってるという話だから、注意だけは怠らないように…だってさ」

周子「てことで、乗り込むのはあたしとフレちゃんと文香ちゃん、この三人ね」

周子「ありすちゃんとプロデューサーさんは、車内で待機ってことで」

ありす「橘です…って、え?」



武内P「…着きました」

周子「よし、じゃあ行きますか!」


ありす「…はぁ」

武内P「…」

ありす(この人がいなければ、私も中に入って皆さんの力になれたのに…)

ありす(それに一度も視線を合わせようとしませんし…何なんですかこの人)

武内P「…あの」

ありす「…!、な、何ですか?」


武内P「…クリーム、付いています」


ありす「………?」


ありす「……!?」バッ


ありす「…」

ありす「いつから、気づいていたんですか」

武内P「…初めてお会いした時から」

ありす「………」

武内P「すみません、私が指摘するのは…どうかと思ったのですが」

ありす「…はぁぁぁ」

ありす(私は、クリームをつけた顔で…この人を見ていたんですか)

ありす(死にたい)


武内P「申し訳ありません」

ありす「…いえ」

ありす(…文香さんは違うと思いますが、周子さんとフレデリカさんはたぶん気づいていたような気がします)

ありす(あの薄ら笑い、この人と二人きりにしたことに対してかと思いましたが…)

ありす「…目線を合わせないようにしていたのも、見ないようにするためですか?」

武内P「…」

ありす「…そうですか」

ありす(もしかして、運転中ずっと言うかどうか悩んでたんじゃ…)


ありす「…」

武内P「…」


武内P「…橘さんは」

ありす「え?」

武内P「アイテムとしての活動は、いつからされているのですか?」

ありす「あ、あぁ…最近です、そもそも【アイテム】が結成されたのも数週間前の話ですし」

武内P「…そうですか、意外でした」

ありす「何がですか?」

武内P「皆さん、とても仲がよさそうに見えたので」

ありす「…そうでもありませんよ」


ありす「周子さんは何を考えているかよく分からない時が多いですし、掴みどころがない人というか…」

ありす「…でも、周りのことをよく見て気配りも上手なんです、不思議なことに」

ありす「フレデリカさんもいい加減なことばかり言って、私のことを困らせて喜んでいますし…」

ありす「…まぁ、お仕事の時とか本当に苦しんでいる時は、ふざけたりしないんですけど」

ありす「あ、でも文香さんは違いますから!お淑やかでとても賢くて…尊敬できる方です!」


武内P「…」

ありす「……あ」

ありす(…ど、どうしよう…つい気が緩んで皆さんの事…)

ありす(うぅ、変なこと言ってないでしょうか…)

ありす「…そ、その」

武内P「橘さんは、皆さんのことをよく見ているのですね」

ありす「し、仕事をする仲間として、最低限円滑にコミュニケーションを行えるように知識を蓄えているだけです!」

ありす「それだけですから!」

武内P「…」

ありす「い、今少し笑いませんでしたか!?」

武内P「…いえ」


ありす「と、とにかく…今言ったことは忘れてください!いいですね?」

武内P「…善処します」

ありす「…」

ありす(くっ…このままでは私が隙だらけの子供みたいに思われてしまいます)

ありす(何か、何か情報を引き出して優位に立たないと…)

ありす「…そ、そういえば!」

武内P「…?」


ありす「あなたの名前、プロデューサーとしか資料には書かれていませんでしたけど…」

ありす「いったい何のプロデューサーなんですか?」

武内P「…」

ありす「…別に、本名を名乗って欲しいとまでは言いませんけど、それくらい教えてくれてもいいんじゃないですか?」

ありす「……一応、仲間ですし」

武内P「…いえ、隠しているというわけでは無かったのですが…」

武内P「…」

ありす「…?」

<プルルルルルルル

ありす「!…た、橘です!」ピッ


周子『あぁ、ありすちゃん?迎撃準備お願い』

ありす「え?あ…はい!」

周子『ほとんど始末出来たんだけど、研究者の1人を逃しちゃったみたいでさー』

周子『どこから出るか分からないんだけど、とりあえず出入口で待機しておいて』

ありす「…分かりました、準備します」

周子『うん、よろしく』


<ピッ

ありす「…研究者の1人が逃げたみたいです、私が迎え撃つのでプロデューサーさんは待機してください」

武内P「…分かりました」

ありす「私は裏口に向かうので、こちらに怪しい人物が出てきたら連絡を…」

武内P「橘さん」

ありす「…?」

武内P「一つ、提案があります」

ありす「…な、何ですか?」


【???】

「はぁ…はぁ…はぁ…」

白衣の男が、息を切らしながら暗闇の中を走る

その顔は恐怖と絶望によって酷く歪み、足取りは今にも倒れそうだった

「くそ…くそ!!上層部の犬どもが…!!!」

時折吐き捨てるように言葉を発し、手で頭を掻きむしりながら現実から目を背ける

…分かってはいた

近いうちに自分を消すための駒が送り込まれてくることくらい、容易に想像できた

しかし…それが、学園都市の頂点に位置する【レベル5】が率いる組織が来るなど、思ってもいなかった


はした金で雇った能力者どもは瞬く間に倒され、武装した協力者(道ずれにした同僚達)も気が付けば拘束されていた

それらを囮に何とかここまで脱出出来たものの、状況は最悪だ

「…私は!こんなところで終わって良い人間じゃない!!」

希望はある、私の研究成果を評価している海外の施設に向かえば、ひとまずは安全が約束される

そこから必ず這い上がり、この学園都市に復讐を果たしてみせる!!!

後はあの角を曲がった先にある階段を上れば、外に出て脱出用の車に乗り込める

…その、はずだった


「…!?」

今まで一度も止まることのなかった彼の足が、ピタリと止まる

「……あ、あ…」

それもそのはずだ

今まで彼が走ってきた通路は、施設の研究者の中でもごく一部の関係者しか存在を知らない秘密の通路

その出口の前に、なぜ人が立っているのか?


「…」

薄暗いためはっきりとは見えないが、耳に着けている通信機のようなもので会話しているようだ

声色、そして薄っすらと見える外見から、小中学生程の少女のように見える

…通常、大の大人が逃げる際に障害として考えることは、そうないはずだ

しかし、男は知っている

ここ学園都市において、危険度を判断する材料に、外見は全く意味をなさないことを


「…」

会話が止まり、こちらに向けて歩き出す少女

どうする、元来た道を戻るか?

いや、もし万が一先ほどの連中と鉢合わせたら、それこそ助かる道はゼロだ

出口にあの少女がいるということは、研究室にある隠し扉を発見され反対側からも追いかけてきている可能性が高い

やはり、前に進むしか道はないはずだ

…やるしかない!


懐から銃を取り出す

威力は控えめだが、当たり所次第では十分致命傷になるはずだ

「…」

壁に張り付き、気配を殺す

とにかく、逃げるだけの隙を作れればいい

例え能力者であろうと、不意打ちで銃を撃たれて平然としていられる人間は極少数だ

必ず活路はある、自分に言い聞かせるように心を落ち着かせる

コツ、コツ、コツ…

一歩、また一歩と距離が近づく、音で距離を計算して対象の位置を把握する

そして、

(……今だ!!)


走り出すと同時に、引き金を引く

バンッ、バンッ、バンッ、バンッ!!

放たれた弾のほとんどがあらぬ方向へ飛んでいき、地面や壁に突き刺さる

だが、

「…っ!」

当たった!!

しっかりと見ていないため定かではないが、おそらく一発だけ左肩に当たったはずだ

これなら、右側から通り抜ければ反撃を貰うことはない

そう考え、通路の右端を通り過ぎようとしたその時、

「…本当に」

ありす「学園都市の研究者は、ろくな人間がいませんね」

一瞬の出来事に、理解が追いつかないまま

僅かに触れた少女の手から放たれた何かに、体は進行方向を前か横に変化させ、

宙を舞い、壁にめり込んだ


【数分前】

武内P「地下通路の出口に、行って頂けないでしょうか」

ありす「…地下通路?」

武内P「はい、この建物には別の敷地に続く地下通路が存在します」

武内P「…それを利用して逃げたという確証はありませんが、通常の出入口で待機するより可能性は高いかと」

ありす「…どうしてプロデューサーさんがその通路を知っているんですか?」

武内P「私の同僚から、事前に情報提供がありました」

武内P「もし取り逃がすことがあれば、可能性の一つとして考慮するようにと」

ありす「…」

武内P「…どこに向かうかは、橘さんにお任せします」

武内P「ですが、もし私を信用して頂けるのであれば…」

武内P「協力させて頂けないでしょうか」


ありす(…普通に考えれば、悪くない提案のように見えます)

ありす(しかし、この提案が何らかの罠である可能性も…)

ありす「…」

武内P「…」

ありす「…分かりました」

ありす「周子さんに確認します、それでダメなら諦めてください」

武内P「…ありがとうございます」

ありす「期待はしないでください、一応聞くだけですから」


周子「『おっけー』

ありす「…」


ありす「…周子さんからの了承は得られましたが、2人で向かう必要はないと思います」

武内P「では、私が…」

ありす「いえ、その場所には私が向かいます…プロデューサーさんは車で待機して下さい」

ありす「相手が丸腰とは思えませんし、万が一不意を突かれたら危ないですから」

武内P「…」

ありす「…その目は、私では力不足だと言いたいんですか?」

武内P「いえ、そういうつもりでは…」

ありす「心配いりませんよ、少なくとも…無能力者に遅れは取りません」

ありす「私の能力に、隙はありませんから」


そして時は戻り【地下通路】出入口付近


重力に従い、ドサリと地面に落下する


「…が、ぐ…」


思考がまとまらない、何が起きた?目の前の少女の横を通り過ぎようとした瞬間、体が宙に浮いた…?

いや、それ以前に銃弾を受けて能力を行使出来るなど、並の能力者に出来るはずが…


ありす「…目標と思われる人物と接触しました。今から確認します」

「…ッ」


光を当てられ、顔を確認される

やはりそうだ、襲撃してきたレベル5のグループの一人に違いない

…逃げなければ、何か、何か策は…


ありす「確認しました、間違いないようです。周子さんたちは今どうしていますか?」

『先ほど別部隊に研究者たちの引き渡しが終わったそうです』

ありす「…分かりました。では私が出口付近までは連れていきますので、近くで待機を…」

「…」ググッ

ありす「…どこへ行くつもりですか?加減はしましたが、次も出来る保証はありませんよ?」

「はぁ…はぁ…」

ありす「…」


朦朧とする意識の中、必死に出口目指して這いずり進む

先ほどの一撃、右肩に当たったはずの傷が一切ないことから防がれたのは間違いない

おそらく能力、それもかなり高レベルの力で防いだはずだ

ありす「やっぱり、骨の一つくらい折らないと分かりませんか」

…ならば、まだやれることは残っている

ありす「…!」


キィィィィィィィィィィン

起動とともに甲高い音が周囲に響き渡る

耳鳴りが頭を刺激するが、おかげで意識ははっきりとしてきた

ふらつく体を無理やり動かし、目の前の少女に話しかける

「…その顔、よく見れば【暗闇の五月計画】の被験者か」

「であれば、能力もだいたい予想が付く…」


「銃弾を的確に弾けるほどの精密な防御性能、となれば」

「周囲に衝撃波を発生させる能力【理論武装(オブジェクトアーマー)】、レベルは4といったところか」

「…名前は、何だったかな?」

銃口を向けながら、名前を尋ねる

ありす「…ぐ、う…」

先ほど私を壁に突き飛ばした少女は、ついにその場に跪いた


ありす(…な、なんですか…これ、演算が…出来ない!?)

「試作型だが、ちゃんと機能したようで安心したよ」

ありす「な、なにを…!」

「くく、まだ名前は決まっていないが…AIM攪乱装置とでも呼ぼうか」

「本来トラック一台分ほどの発電機がなければ使えない代物だが、小型化したものをあいつから奪うのには苦労した」

「その代わり範囲は約2M程しかなく、数分間の使い切りとなってしまったがね」

ありす(…そんな、ものが…!)


「そうそう、ついでに先に言っておくと、これは通信機器にも影響を及ぼすようでね」

「その機械は、先ほどから意味をなしていないだろう」

ありす「…!」

「…さて、先ほど私に手加減したとか言っていたが…」

「これはそのお礼だ」

バンッ!!

ありす「!!!」

「おっと、頭を狙ったつもりだったが…左肩に当たってしまったか」


ありす「…っ、…」

「……ふー、いや、本当はこんなことをせず早く逃げるべきなんだが」

「実験動物の分際で、私に?手心を加えた…?」

「……一体何様のつもりなんだ!!!あぁ!?」ドスッ

容赦のない蹴りが、ありすの脇腹を襲う

ありす「っ!?」

「くそっ、くそくそくそ!!どいつもこいつも私を!!コケにしやがって!!」ドスドスドス

「量産型能力者計画も!絶対能力進化計画 (レベルシックスシフトケイカク)も!!全て白紙になった!!!」

「…………あいつさえいなければ!!」ギリッ


ありす「…ぅ、く…」

ありす(…時間を、稼がないと)

ありす「…ぁ、………」

ありす(………声が、出ない)

身体は震え、全身から血の気が引いていくのが分かる

ありす「…」

「…はー、はー…」

「…」

「私は、まだこんなところでは終われない」スチャッ

ありす「…!」

「お前を人質にしようかとも考えたが、貴様らに仲間を思いやる気持ちがあるとも思えん」

「せいぜい苦しんで、逝け」


ありす(…正直、そこまで長生きいたいとも思わなかったけど)

ありす(……もう少し)

ありす(皆さんと一緒に、居たかったな)


「死ねぇぇぇ!!!」


バンッ!!


ありす「………」


ありす「……え?」

「なっ!?」


銃弾はまっすぐありすの額に目掛けて発射されたが、とある地点で僅かに軌道がズレて地面に突き刺さった

ありす(…能力が、使える?)

「ば、馬鹿な!?まだ時間は十分にあるはずだ!!こんなことがあるはずが…」

「…はっ!?」

まさに、一瞬の出来事だった

それは、突然目の前に現れたと説明するしかないほど、理解を超えた速さで現れ、

「お、おま!!!」

「ブッ!!??」

男が何かを言い終わる前に、拳が彼の顔面を崩壊させた


ありす「………ぁ」


「…申し訳ありません、遅くなりました」


武内P「大丈夫ですか?」

ありす「」トゥンク

ありす「…っ、…」コクッ

武内P「…止血します、痛むとは思いますが…」

ありす「…」チラッ

武内P「大丈夫です、確実に意識を奪いました」

武内P「機械の方も破壊しましたので、いずれ能力も使えるようになるかと」

ありす「…そう、ですか」


ありす「…」

武内P「申し訳ありません」

ありす「?」

武内P「待機命令を受けていましたが、勝手な行動を取ってしまいました」

ありす「…どうして、ここに?」

武内P「…通信が途絶えた後、橘さんの身に何かあったのではないかと思いまして…」

武内P「塩見さん達にも連絡を取ってみましたが、ちょうど別の部隊と連絡を取っていたようで繋がりませんでした」

武内「そこで、自己判断でこの場所に向かい、今に至ります」

ありす「…」

武内P「…ひとまず、応急処置は終わりました。すぐに病院へ向かいましょう」ヒョイ


ありす「…へ?え//ちょっ…ちょっと待ってくださ…いっ!?」ズキ

武内P「…すみません、本来なら担架などで運ぶ怪我なのですが、時間が惜しいので」

ありす「じ、自分で歩けます…から」

ありす「それに…その人はどうするんですか?」

武内P「問題ありません、ロープで縛り引きずって行きます」ガシッ

男「」

ありす「えぇ…」


【研究所 敷地内】

フレデリカ「…お?おお?あれはもしやもしかして…?」

周子「へー、なるほどねぇ」

文香「…ご無事で、何よりです」


ありす「…戻りました、すみません」


周子「お疲れありすちゃん、どんな感じ?」


ありす「…もう大丈夫です、ご心配をかけてすみませ…」

周子「いや、そっちじゃなくてそっち(お姫様抱っこ)の方」

ありす「………」

武内P「塩見さん、救護の担当の方は?」

周子「あぁごめんごめん、あっちね…後ろのそれは置いて行っていいよ」

武内P「…分かりました、お任せします」

周子「うん…あぁ、それと」

武内P「…?」


周子「ありすちゃんを助けてくれて、ありがとう」


武内P「…いえ、当然のことをしただけです」


武内P「では、お願いします」

救護隊員「分かりました」

ありす「…あ、あの」

武内P「はい」

ありす「…ありがとうございます、おかげで助かりました」

ありす「…すみません、今更ですけど…言っておきたくて」

武内P「…はい」

ありす「…その、また…」

ありす「…」


武内P「ご迷惑でなければ、お見舞いに行っても宜しいでしょうか?」

ありす「…!」

ありす「は、はい…!」

武内P「…」コクッ

空気を読んだ隊員「はい、前通りマース」

武内P「…」

<プルルルルルルル


武内P「はい」ピッ

「お疲れ様です、無事終わったみたいですね」

武内P「…はい」

「アイテムの皆さんだけでも問題ないとは思いましたが、念のため貴方にお願いして正解でした」

「まさかAIM拡散力場に干渉できる装置を持ち歩いているとは…あの人の技術力も侮れませんね」

「まぁ、研究と実験に関しては3流以下でしたけど…早めに消しておいて良かったです」

武内P「…」


「ひとまず、しばらくの間はアイテムの皆さんと行動を共にしてください」

「例の計画の後始末が主ですが、今回のようなことを企てる輩が他に現れるかもしれません」

「…現に、陰で何やら動いている人もいるようですし、そちらの対処もお願いしますね」

武内P「…承知しました」

「必要なものがあれば何でも言ってください、『アシスタント』として出来る限りのことはさせて頂きますので」

「…それでは、また連絡します」

武内P「…」ピッ

武内P「宮本さん、お待たせしました」


フレデリカ「なんと!フレちゃんの盗み聞きを見破るとは…やるね~♪」

武内P「…ほとんど隠れていなかったと思いますが、どうかされましたか?」

フレデリカ「いや~ちょっと怖い顔をしてたから、気になっちゃって」

武内P「怖い顔…ですか」

フレデリカ「うん、何か困ったことでもあったのかなって」

武内P「…いえ、大丈夫です。宮本さんは他の方をよく見ているのですね」

フレデリカ「いや~そんな美人で可愛くて気立てが良いだなんて~♪」

武内P「…ところで、塩見さんはどちらにおられますか?」


フレデリカ「シューコちゃんなら向こうでお話してると思うけど…まさか!?」

武内P「もうしばらく、皆さんに協力させて頂けないか確認を取りたいのですが…」

フレデリカ「なーんだ、お仕事の話かー残念!」

武内P「…」

フレデリカ「でもでも、そういう話なら大歓迎!きっと皆喜んでくれると思うよ!」

武内P「…そう思って頂けると、ありがたいですね」


フレデリカ「それじゃあ、シューコちゃんのところにレッツゴー!」

武内P「…」


『プロデューサー!はやくはやく~!』


武内P「…ッ」ズキ

武内P「…」

フレデリカ「…どうかした?大丈夫?」

武内P「…すみません、行きましょう」


第二章完

続きは未定

ドリームランカー編楽しみですね

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