【シャニマス】P「よし、楽しく……」-noctchill編- 【安価】 (550)

・シャニマスのSSです。二次創作や解釈違いを敬遠される方はブラウザバックを推奨します。

・途中提示される選択肢からPの行動を安価で決定してお話を進めていく形式です。

・エンディングにたどり着いたら、また最初からスタートします。n週目にはない要素がn+1週目に現れることがあります(n≧1)。

・選択肢による行動のとり方次第では、特定のアイドルでも異なったエンディングがあり得ます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1594223305

ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピ……

P「……っ」

P「……朝か」


P「いってきます。……って、まあ一人暮らしなんだけどな」

P「よし! 今日も一日頑張るか!」

~駅前~

P(事務所まであと少しだが……)

P「っ、暑いな、まったく……」

P「そうだ」


1.我慢できん……とりあえずコンビニに入ろう。
2.急いで事務所に行けばクーラーの効いた部屋が待っている!
3. 路地を歩けば涼しいかな……?

選択肢>>4

ごめんなさい間違えました。>>6

2

P(急いで事務所に行けばクーラーの効いた部屋が待っている!)

P(少し小走りで向かうか……!)タッタッタッタッ

~事務所~

P「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、っ……はぁっ、ぁあっ」

P「つ、着いた……」

P(日ごろの運動不足がたたってしまった……)

P(が、しかし!)

P「涼しい~~」バタリ

P(なんだか事務所に人の気配もしないし、玄関だけど座っちまうか)

P ハァッハァッ

P(……い、息が上がったままだ……)

P(もう少し身体を動かしたほうがいいのかな?)

P「あ……」


「――なんだ、変質者かと思ったらあなたでしたか」


P「あ、ああ。おはよう円香」ハァハァ

円香「ハァハァいいながら挨拶しないでもらえますか? 不快極まりないので」

P「ご、ごめん……」

P「駅前から走ってきたもんだから、こんなになっちゃって」

円香「いい年した大人が街中で走っちゃうなんて……あなたはドラマの主人公か何かなんですか? ミスター・ヒーロー」

P「いい年っていったってまだ20代だからな」

円香「もう20代、の間違いでしょ」

P「うう……涼しい部屋に早く入りたかったんだよ。よいしょっと」

P「いま事務所には、円香1人か?」

円香「ええ。不幸にも」

円香「だから玄関から息を荒げた人物の気配がしたときは通報する準備をして向かいましたよ」

P「すまない……それは怖かったよな」

円香「……冗談だっての」ボソッ

P「え?」

円香「ひとりごとです。お気になさらず」

P「ひ~か~りあつ~めて~ひ~びけとお~くへ♪」カチャカチャ

P「む~す~んだ~き~ず~な~し~んじて~♪」コポポポポ

円香「気味の悪い鼻歌を歌いながらコーヒー淹れるのやめてくれますか?」

P「気味の悪いって……お前らの歌だぞ」

円香「ええ。ですから、私たちの大切な歌に傷がつくので、やめてほしいと言ってます」

P「ひどい……その「私たち」にはプロデューサーである俺は入ってないのかよ」

円香「それは……」

P「……ははっ、そこで言い返さないあたり、円香は優しいな」

円香「なっ……!! さっきからサビの同じ箇所しか歌ってない人に言われたくありません!」

P「正直、スマンカッタ。あ、いや、歌詞とんじゃってな」

円香「最低」

P「じゃあ、今度はバッチリ歌詞覚えて歌うから、な?」

円香「結構です。これからレッスンまでの間、宿題をやるので、静かにしていてください」

P「わかった。そうするよ」

透「あ、樋口。来てたんだ」

円香「うん……って、これから一緒にレッスンあるでしょ」

透「あれ、そうだったっけ」

円香「じゃああんたなんでここに来たの」

透「ふふっ、ひみつ」

円香「……何それ」

透「樋口、ちょっとそこでジャンプしてみてよ」

円香「は? なんで」

透「小銭欲しくて」

円香「最初からお金貸してっていいなさいよ……」

円香「いくら必要なの?」

透「あ、くれるんだね」

円香「あげるんじゃない、貸すの。で、いくら?」

透「150円」

円香「ジュース1本ぶんくらいだけど」

透「うん。それでいい」

透「さっき飲み物買いにコンビニ入ったんだけどさ」

透「財布、忘れちゃってて」

円香「いい加減学びなさいよ」

透「コーヒーの匂いがする。もしかして、プロデューサーいる?」

円香「……いる」

透「うわ、樋口、すごい顔」

円香「話しかけたいならそうすれば?」

透「そうだね。そうする」


透「プロデューサー、おはよ」

P「お、透か。おはよう」

透「コーヒー、淹れてるんだね」

P「ああ、見ての通りな」

P「飲むか?」

透「いや、いらない。熱いの苦手っていったでしょ」

P「はは、そうだったかもな」

透「プロデューサーって、記憶力あんまりよくなかったりする?」

P「いや、そんなことはないと思うけど」

透「……」

P「透?」


1.もしかして、怒ってるのか?
2.俺の顔に何かついてるか?
3.アイスコーヒーなら好きなのか?

選択肢>>12

3

P「アイスコーヒーなら好きなのか?」

透「まあ、嫌いじゃないけど」

透「……」

透「……そういうことじゃない」

P「?」

透「いいや、向こうでスマホいじってるね」

P「あ、ああ……」

円香「何話してたの?」

透「ううん、特には」

円香「……そう」

透「やっぱここでスマホでもいじってようかなって」

円香「飲み物」

透「?」

円香「飲み物、買いに行くんじゃなかったの」

透「あ」

透「ふふっ、忘れてた」

円香「もう」

透「じゃ、買ってくる」

円香「いってらっしゃい」

P「よ~し、じゃあ仕事すっか」

円香「いちいち報告しなくていいので。どうかご静粛に」

P「わ、わかったよ。ごめんな」

円香「……」

ガチャ

P「お、誰か来たのかな」

タタタタタ

小糸「お、おはようございますっ!」

P「小糸か。おはよう」

円香「おはよ」

小糸「はいっ、プロデューサーさんおはようございます」

小糸「あ、円香ちゃんもう来てたんだ」

円香「浅倉ももう来てる」

小糸「そうなんだ? どこにいるの?」

円香「いまは飲み物買いにいってる」

小糸「あ、そうなんだね」

ガチャ

タ、タ、タ、タ

雛菜「やは~おはようございます~」

小糸「ひ、雛菜ちゃん! おはようっ」

円香「……」

P「おはよう雛菜。よし、これでnoctchillの全員が揃ったな」

雛菜「プロデューサーに小糸ちゃん、それに円香先輩も~」

雛菜「プロデューサーは、今日もお仕事?」

P「ああ、もちろん。アイドルのプロデュースに精を出してるところだ」

円香「まだ働いてないでしょ」ボソッ

P「そ、それは言うなって……」

雛菜「あは~プロデューサーと円香先輩、なかよし~って感じ~?」

雛菜「じゃあ、雛菜もプロデューサーと仲良し~ってする~」

P「ひ、雛菜、近いって……」

円香「あの!」

P「わっ」

円香「仕事、しなくていいんですか。ミスター・社会人(仮)」

P「そ、そうだな。悪いな雛菜、また後でな」

雛菜「うんっ、またあとでね~プロデュ~サ~」

円香「ふんっ」ムスッ

小糸「ぴゃっ……ま、円香ちゃん、怖い……」

円香「別に怒ってないから」ナデナデ

小糸「ふわぁぁ、……って、子どもじゃないんだから!」

雛菜「みんなしあわせ~って感じみたいだね~」

数時間後

P(今日のnoctchillはレッスン漬けだったよな)

P(あいつらのことだから心配しなくてもいいかもしれないけど……)


1.まあでも、様子を見に行くか!
2.仕事で疲れたし昼寝でもしよう。
3.休憩がてらはづきさんと話すか。

選択肢>>18

あーやっぱり間違ってたか

選択肢(再安価)>>20

3

P(休憩がてらはづきさんと話すか)

P(昼休みになったら話しかけてみよう)


はづき「んっ、あぁあぁ~」

P「ははっ、お疲れ様です。コーヒーでも淹れましょうか?」

はづき「あ、お願いします~」

P「今日はデスクワークなんですね」カチャ

はづき「ええ、そうですね」

はづき「ありがたいことにこの283プロも忙しくなってきてるわけですけど」

はづき「忙しくなったぶん、こうしてプロデューサーさんと何気なく会話するのも久々な気がしますね~」

P「そうかもしれないですね」コポポポ

はづき「そういえば、思ったんですけど」

はづき「プロデューサーさんとnoctchillのみんなの距離感って、なんだか不思議なものを感じるというか」

P「え、そうですか?」

はづき「はい。あ、別に変な意味とかじゃないですよ」

はづき「ただ、こう、どこか隠れた絆を感じるといいますか」

P「……俺のプロデュースがうまくいってる証拠ですかね」ドヤッ

はづき「ふふっ、いまのプロデューサーさんの顔、いい感じにうざいですね~」

P「そ、そうですか……」

はづき「冗談ですよ~」

P「まあ、何というか、良い意味で新鮮さはないですね。懐かしい感じというか、昔から知っていたような……」

はづき「あ、それです」

はづき「旧知の仲、みたいな感じがあるんですよね~」

はづき「透さんとか」

P「透ですか」

P「確かに、初めて会った気はしないんですよね」

P「ただ、それもあんまりはっきりとはしてなくて」

はづき「ドラマですね」

P「そういうロマンチックなものなんですかね、これって」

はづき「透さんがプロデューサーさんに向ける視線っていうのが、アイドルとプロデューサー、とは少し違う感じがするんですよ」

はづき「何かに期待しているような、一方で何かを不安に感じているような」

はづき「そんな感じですかね~」

P「アイドルが不安を抱えてるなら、俺がケアしてやらないとですね」

はづき「がんばってくださいね~」

はづき「あ、それから」

はづき「円香さんとは、どうですか? いつも色々言われてるみたいですけど」

P「あ、はは……ええ、いつも厳しいことを言われます」

P「でも、確かに最初の頃は本当に攻撃する意図で言っていたように思えるんですが」

P「最近はそうでもないっていうか、今更接し方を変えられないからとりあえず慣れてるほうで話してるみたいな感じはありますね」

はづき「あ、そうなんですね~」

はづき「それに甘んじちゃうプロデューサーさんは、ひょっとしてMなんですか?」

P「い、いえ、そういうわけでは……ないと思います」

はづき「別にプロデューサーさんがMでも私は軽蔑しませんから安心してくださいね~」

P「これはどうも……」

はづき「そう思うと、円香さんのあの接し方というのは、可愛らしさを感じますね」

P「……そうなんですよ」

P「本人がいたらまた罵倒されそうなんで言えないんですけど、最近はあの態度が少し可愛く思えてきて」

P「なんていうか、ひねくれた子どもを温かい目で見守る感じですかね」

P「正直イラッとくることもありますけど、この子はそういう接し方の中で何か見つけていくのかなって」

P「そう思うようになりました」

はづき「これは愛ですね~」

P「ちょっ、からかわないでくださいよ」

はづき「ふふっ、ごめんなさい」

P(昼休みははづきさんと話した)

P(なんだか、自分のプロデュースするアイドルを見つめなおすいいきっかけになったかもな)

P(よし、楽しく過ごせたぞ)

P(って、俺に言ってどうするんだろうな)

P(……あいつらが帰ってくるのを待つか)

P(もう少しであいつらも帰って来る頃だな)

ヴーッヴーッ

P「……? LINEか」

P「透から、だな」


透『いまそっちに向かうとこ』

透『このあと』

透『みんなが解散したあと、時間ある?』

透『よかったら、話したい』

透『他のみんなには内緒で』


P(何か込み入った事情があるのか?)

P(他のみんな……っていうのはnoctchillのメンバーのこと、だよな)

P(どう返信したものか……)

P(あの3人を撒くんだよな)

P「……」

ガチャ

P(え、もう来たのか?)

P(ど、どうしよう)

円香「お疲れ様です」

P「あ、あぁ、円香か……お疲れ」

円香「疲れてるところにそういう顔で出迎えられるとあり得ないくらい不快ですね」

P「ごめんな。別に円香だからどうってわけじゃないぞ。気にしないでくれ」

円香「……そんなこと言ってないし」ボソッ

円香「……チッ、そうだ」

P(し、舌打ち……)

円香「このあと、時間、ありますか?」

P「へ?」

円香「大変不本意ですが、それもあなたがプロデューサーとしての力があると思って、相談したいことがあるんです」

P(こ、これは……)


1.透に応える。
2.円香に応える。
3.2人とも断る。

選択肢>>28

(一旦ここまで)

1
おつ

安価は↓2とかにしてはどうでしょうか

では>>30

2

>>28

>>1です。

あ、おっしゃっていることがわかったかもしれません。いくつ下の安価を採用するか書くようにすれば良いということですかね。そうします。

P(透には悪いが、ここは円香に応えることにしよう)

P「ああ、時間ならあるぞ」

円香「わかりました。それでは、私は事務所に残りますね」

P(透に連絡しておこう)

P『すまない。別件があるから、今日は無理だ』

P『またの機会に埋め合わせするから、堪忍な』

P(これで、よし……)

P(その後、noctchillの全員が事務所に帰ってきて――)


透「プロデューサー」

P「あ、ああ、おかえり、透」

透「また今度、ね」

P「すまん。頼む」

透「いいよ、別に」

透「それじゃ、私は帰るから」

小糸「あっ、透ちゃん待って!」

雛菜「やは~私も透先輩と帰る~」

雛菜「あれ~? 円香先輩は帰らないの~?」

円香「うん、私は用事があるから、少しここに残る」

雛菜「そっか~、じゃあね~。ばいば~い」フリフリ

小糸「ま、まま、またね! 円香ちゃん」

透「もしかして別件って……」ボソッ

小糸「透ちゃん……?」

透「ううん。なんでもない。帰ろ」

小糸「そ、そうだね」

円香「……」


P(――という感じで、今に至る)

P(今は、事務所には俺と円香の2人だけだ。はづきさんはもうあがっているし)

P(社長は、今日一日仕事で席を外している)

P(気まずいな……)

円香「あの」

P「うぉわっ!」

円香「うわっ、びっくりした」

円香「女子高生相手に何キョドってるんですか? アイドルのプロデューサーともあろうお人が」

円香「もしかして、女の子と手をつないだこともなかったりして。ミスター・童貞」

P「……言ってくれるな。久々にキレちまったよ……」

円香「あ、そういうのいいんで」

P「そ、そうか」

円香「……」

円香「……さすがに今のは言いすぎでした」

円香「ごめんなさい」

P「いや、いいんだって。いつもの円香だろ」

円香「……何それ」

P「それで、話って、なんだ?」

円香「……いま、この事務所に私たち以外の人はいますか?」

P「いないな」

円香「じゃあ別にいいか。いえ、他の人にはあまり聞かれたくないので」

P「安心しろ。聞き耳立ててるやつはいない」

円香「……」

P「……ソロでの仕事を増やして欲しい、か」

P「円香からそういった提案があるとは、正直意外だったよ」

P「まあ、プロデューサーとしては、アイドル業に積極的になったのは嬉しいぞ」

円香「ええ、まあ……」

P(相変わらずの態度ではあるが)

P「一つ、聞いてもいいか?」

円香「なんでしょうか」

P「noctchillとして活動することに嫌気がさしたとか、そういうのはあるか?」

P「一応、聞いておきたくてな」

円香「そういうのはないです。別に」

P「なら良かった。お前ら仲良しだろうし、いらん心配だったかな」

P「それにしても、ソロの仕事、ね」

P「具体的にこうしたいっていうのはあるのか?」

円香「特には……あ、いえ、そうですね」

P「?」

円香「役者、とか」

P「お、……おお! そうか! 円香はそういうのがやりたいのか」

円香「ええ。演技を少し磨きたいですね」

P「いやぁ、なんだか、こう、ようやくプロデューサーとして円香に接することができたみたいで嬉しいよ」

円香「何を言ってるんだか。あなたは最初から私のプロデューサーでしょう?」

P「それもそうだな。いや、嬉しくてつい、な」

P「わかった。そういうことなら、頑張って仕事を見つけてみよう」

P「ただ、無理はさせたくないし、とりあえずいまの段階では円香はあくまでもアイドルとして売り出していくというのはOKか?」

円香「はい。それは大丈夫です」

P「そうか。まあ、あくまでもアイドルだから、こういうのがNGとかあったら、円香からも言ってくれよ。もちろん、事務所として、あるいはプロデューサーである俺として事前に設定することもあるけどさ」

円香「わかりました。どんだけ心配性なんですか。あとおせっかい」

P「だって……だって、なあ……」

円香「ニヤニヤしててキモい」

P「うぐっ、女子高生に言われると刺さるな……」

円香「それでは、帰りますので」

P「ああ、気をつけてな。仕事が片付かなくて送っていってやれないが」

円香「この時間なら気にする必要もないでしょ。もしかして、優男アピールですか? それなら遠慮しておきます」

P「はは、そうか。わかった。じゃあな」

円香「ええ」

タッタッタッ

ガチャ

バタン

P「……」

P「円香も変わった……な」

P(それから、円香の要望どおり、俺は円香に役者としての仕事がまわってくるよう努めた)

P(もちろん、円香自身もオーディションに参加しながら)

P(そうして、チョイ役ではあるが仕事がくるようになった)

P(円香もそれを淡々とこなしている)

P(俺は素直に感心していた)

P(円香が仕事を楽しんでくれればいいな、と思った)

P(態度は相変わらずだけど)

P(新人役者の円香としての仕事には、俺もマネージャー的な役割でついていった)

P(自然と、円香と過ごす時間は長くなっていった)

~事務所~

P「円香、円香はいるか?」

円香「連呼しなくても……ここにいますが、何ですか」

P「脇役だが準レギュラー的な仕事だぞ!」

円香「……そうですか」

P「ああ!」

円香「受けますので、その仕事。はい、もういいでしょ」

P「わかった! それじゃ先方にはそう連絡しておくよ!」ダダダ

円香「全く……ミスター・高燃費」

雛菜「あは~、円香先輩、ニヤニヤしてて気持ち悪~い」

円香「なっ! 何言って……」

雛菜「な~んて、ニヤニヤしてるのはうそ~」

円香「っ!」

雛菜「でも、なんかしあわせ~って感じの顔だった~」

円香「気のせいだから。ほんと」

雛菜「え~? そうかなぁ」

円香「そうなの」

雛菜「じゃあ、そういうことにしといてあげるね~」

円香「……ったく」

雛菜「あ、見てみて~」

円香「何?」

雛菜「いま雛菜が読んでる雑誌にね、ほら」

円香「……浅倉」

雛菜「そ~透先輩が載ってるんだ~」

雛菜「こうしてみると、透先輩ってやっぱかっこいいし綺麗~」

円香「はいはい、よかったわね」

雛菜「え~なんか円香先輩感じわる~い」

円香「感じ悪くて結構」

雛菜「でもね~」

雛菜「透先輩って、最近はアイドルの仕事よりも1人の仕事のほうを楽しみ~にしてる感じがするな~」

雛菜「円香先輩もそうだよ~」

雛菜「雛菜はね、そういうの、少し寂しいな~って思ったり~」

円香「……別に私は」

雛菜「やは~。先輩たちがnoctchillを避けてるとかいうつもりじゃないから安心して~」

円香「!」

雛菜「雛菜はね、雛菜がしあわせ~って思えることだけでいいの。noctchillのみんなでお仕事するのはしあわせ~」

雛菜「先輩たちがそれぞれソロで仕事してても、2人ともしあわせ~に思ってるなら、別に雛菜はしあわせ~って感じ」

雛菜「ちょっと寂しいけどね~」

円香「……ありがと」ボソッ

雛菜「ん~?」

円香「ううん、なんでもない」

~某市街地、雑誌の撮影~

P「透はこの雑誌によく呼ばれるようになったよなー」

透「ふふっ、イェーイ」

P「円香に続いて透も……徐々にソロでの活動が増えてきているな」

透「ねえ、プロデューサー」

P「なんだ?」

透「撮影終わったらさ、あそこ、いきたい」

P「あそこって?」

透「ほら、さっき通りすがりに見かけた公園」

P「あぁ、ジャングルジムのあったところな」

透「! そう。行きたいな」

P「わかった。じゃあ、撮影が終わったら行こう」

透「うんっ」

撮影後。

P「ジャングルジムは……」

透「使用禁止、って書いてあるね」

P「危険だから撤去するってことなのかな」

透「……」

P「登りたかったか?」

透「うん……」

P「それは、残念だったな」

P「まあ、でも、せっかく来たんだ。いい天気だし、そこのベンチに座ってゆっくり休まないか?」

P「あれなら、アイス買ってこようか? すぐそこにコンビニあるし」

透「……一番高いやつ」

P「え?」

透「アイス。そのコンビニで一番高いやつ買ってきて。それ食べたい」

P「……本当にいいのか?」

透「いいから。早く買ってきて」

P「わかった」

P「おまたせ」

透「一番高いやつは?」

P「お望みどおり、ほれ」ドカッ

透「……」

透「……ふふふふっ、な、なにこれ……」プルプル

P「だから、一番高いのを買ってきたんだ」

P「1リットルアイスな」

透「あははははっ、や、やられたよ、プロデューサー」

P「ああ、正直、俺も笑いをこらえるのが大変だった」

P「どうする? 食うか? 一応普通のアイスも買ってきたけど」

透「ううん、いい。腹いせにそれ全部食べてやるから」

P「無理するなよ」

透「んん゛~」

透「あ゛~」

P「どうした?」

透「頭痛い……」

P「まあ、あれだけアイス食ったらな……」

P「腹壊さないか心配だ」

透「そのときはプロデューサーにおなかさすってもらう」

P「なっ」

透「してくれないの?」

P「……透は、いいのかよ」

透「ふふ、変なの。私がお願いしてるのに」

P「わかった。じゃあ、痛くなったら言ってくれ」

透「うん、そうする」

透「樋口」

P「?」

透「樋口、最近ソロでの仕事増えたよね」

P「それは透もだろう」

透「でも、樋口が一番仕事してる」

透「テレビでも時々見るようになった」

P「まあ、まだまだ駆け出しとはいえ役者もやってるわけだからな」

P「そのために個別にそのためのレッスンやオーディションを受けてるよ」

P「あいつも成長したよ……あ、こう言ってたって円香には言うなよ。何言われるかわかったもんじゃないし」

透「言わないよ。いや、なんていうか」

透「なんで樋口が自分からソロで仕事するようになったのかな、って」

透「樋口って、私が心配でアイドルになったようなものでしょ」

P「それは……、あいつもこの世界の仕事が楽しくなってきたとかじゃないのか?」

透「それがないとは言えないけど、でもどうかな」

透「他に理由がある気がする」

P「そう、なのか?」

透「うん。私の勘」

P「透と円香は付き合い長いから妙に信憑性があるなそれは」

透「はあ……」

P「どうした。でっかいため息なんてついて」

透「んー」

透「ジャングルジム、登りたいなって」

P「使用禁止だしそれは……」

透「「てっぺん」、目指したくて」

P「……」

透「今はまだ、登ってる途中だけど」

透「今度こそ、目が覚めないうちに、登りたい」

透「それで、もう一度一緒に……」

P「透?」

透「ねえ、プロデューサー」グイィッ

P「う、うわぁっ」ヨロッ

P(って、近っ!)

P(透に胸倉を掴まれるような形でひっぱられ、いまにも唇が触れてしまいそうなくらいに顔が向き合っている)

P(透の綺麗な顔立ちから、目が離せない。透の視線から、逃れられない)

P(捕獲されたような、そんな感じ)

透「プロデューサーは、さ」

P(透の吐息を感じる。声に熱を感じる)

透「いま、目の前に誰が見えてる?」

P「そんなの、透に決まって……」

透「そういうことじゃなくて、ね?」

透「……答えて」

P「……」


1.「円香が見えてる」
2.「透が見えてる」
3.黙秘する。

選択肢↓2

P「……」

透「……」

P「……」

透「……なんで」

透「なんで、答えてくれないの」ポロ

透「どうして……」

P「透……」

透「グスッ……やっぱ、駄目なのかな」


透「……僕、待ってたんだけどな」


P「!」

透「帰るね。今日はもう無理みたい」

P「と、透!」

透「……」

透「……さよなら」

P「……」

数日後。

~ドラマの撮影所~

P「……」

P(透……)


透『……僕、待ってたんだけどな』


P「……」

「――ぇ、――いてます?」

P(あの子は……)

「ちょっと!」

P「っ! あ、ああ、すまん――」

P「――円香」

円香「だから、もう撮影終わったって」

P「え? 早くないか?」

円香「普通だと思います。どっかの誰かさんがぼーっとしていただけかと」

P「あ、あはは……そう、かもな。しっかりしないとな、俺」

円香「まったく……」

円香「何か気にかかることでもあったんですか」

P「お、円香もとうとう俺に気を遣ってくれるようになったのか……!」

円香「……しくった。やっぱり今のナシで」

円香「会話が続かないからと言って、あなたに優しくするような言い方をしたのを全力で後悔しています」

P「はは、それでも、会話が続くようにしてくれってことだよな」

円香「っっ!///」

円香「……うっさい! もう話しかけないでもらえますか」

P「話しかけてきたのはそっちなんだよなぁ……」

P「さ、じゃあ、帰るか。円香はもう家に直帰か?」

円香「それもいいですが」

円香「スタジオで息がつまりそうなんで、お台場にでも連れてってください」

円香「風通しの良いところに行きたい……」

P「わかった。行こうか」

~お台場付近~

P「天気もいいし、夕方で景色もいい。来て正解だったな、円香」

円香「ええ……まあ」

P「……いい風だな」

円香「はい」

円香「気持ちいい……」

P「……」

円香「目的」

P「え?」

円香「ここに来た、目的。実は、もう1つあるんです」

円香「いま私が出てるドラマ、今度、私が演じる女の子と主人公の男の子が、ここで2人で歩くんです」

円香「まあ、お話としては、主人公の恋愛相談に乗ってあげるっていうありきたりなもので」

円香「私は脇役ですから、アドバイスをしていい人を演じるんです」

円香「ちょうど、ここで」

P「おしゃれなレストランだな」

円香「夜はバーにもなるとか」

P「いい店だ」

円香「入りましょう」

P「……はい?」

円香「だから、入りましょう、と言いました」

円香「疲れたアイドルのケアくらい、したらどうです、“プロデューサーさん?”」

P「そ、そうだな。まあ、ちょうどいいし入るか。もちろん奢るから安心してくれ」

円香「ええ。遠慮なく」

P「なんていうか、俺なんかでごめんな」

円香「?」

P「いや、こういう店は、かっこいいやつとかおしゃれなやつと一緒に来たいもんじゃないか?」

P「それこそ、か、彼氏、とか」

円香「プロデューサーがアイドルに恋愛を勧めるんですか?」

P「い、いや! そうじゃないぞ。と言うか、それは困る」

円香「言ってることが滅茶苦茶……」

円香「まあ、最近はもう諦めてますので」

P「諦めてる?」

円香「あなたと、こうして長く過ごすこと」

P「そ、そうか……」

P「前だったらこんなことはあり得なかったよな……円香、俺のこと嫌いだったろ?」

円香「そうですね。正直嫌いでした」

P「言ってくれるなぁ……」

円香「あ、いまも嫌いかも」

P「……」

円香「さすがに嘘です。そんな悲しそうな顔しないで」

P「そんな顔してたか? 俺」

円香「この世のすべてに絶望したような顔をしていました。どんだけ悲しかったんですか、ミスター・思春期」

P「これだけ長く同じ時間を過ごしてるアイドルから実は嫌われてましたとかめちゃくちゃ辛いだろ」

円香「そうかもしれませんね」

P「そうだよ」

P「そういや、ドラマの撮影で使うんだっけか、ここ」

円香「ええ」

円香「なので、あなたには練習台になってもらおうかと」

P「えーっと、円香は主人公の男の子の恋愛相談に乗ってあげるんだよな?」

円香「そうですね」

円香「ふふっ……何か私に相談したいことはありますか? ミスター・発情期」

P「せめてそこは思春期のままでいさせてくれ……!」

P「相談、ね……」

P「恋愛相談じゃないかもしれないが、いいか?」

円香「構いません。聞くだけ聞いてあげます」

P「いやこれ相談なんだよな?」

P「……随分昔にさ、知り合った人がいて」

P「その人とは、ある種の絆みたいなものがあって」

P「そのうち離れ離れになって。俺はその人との思い出すら忘れちゃって」

P「でも、相手はずっと覚えていて」

P「それで、気づかないうちに再会してるんだけど、結局俺は最後までその人には応えられなくて」

P「……答え、られなくて」

P「傷つけて……しまったんだ」

円香「……」

P「……ごめんな、こんな話聞かせて。わけわかんないよな」

円香「……あなたは」

円香「あなたは、どうしたいんですか」

P「どうって……どうすることもできないよ……」

P「何が最善手か、わからなくなってしまったんだ」

円香「はぁ……」

P「いい年した大人が呆れるよな、こんなこと言って」

円香「そうですね。呆れて何も言えなくなりそう」

P「……」

円香「……」

円香「忘れちゃえばいいんじゃないですか」

P「え?」

円香「結局、あなたはずっと思い出せなかった、そういうことで」

円香「それなら、いままでと、同じでしょ。少なくとも表面上は」

円香「私はいま、アイドルとして、役者として前を向いて生きているつもり」

円香「そんな私のプロデューサーには、一緒に前を向いておいて欲しい」

円香「……一緒に、歩んで欲しい」

円香「そう思います」

P「円香……」

円香「いま、あなたの目には、誰が映ってるんですか」

円香「私ですか。それとも……」

P「……」

P「……っ、俺は」

P/円香「……わからない(ですよね)」

P「え」

円香「私、あなたという人間が分かってきた気がします」

円香「不本意ですが。非常に、不本意ですが」

P「な、何も二度言わなくても……」

円香「向けてあげます」

円香「私が、無理やりにでもあなたを私が向くのと同じほうに」

円香「だから、もう昔のことなんて忘れて」

円香「私を、見て」

P(それから、円香は役者として成長を続けた。一流の女優といっても良いくらいだ)

P(もちろん、アイドルとしてのnoctchillも健在だ。依然として人気は高い)

P(283プロには、事務員が数名新たに雇用されるようになった。まあ、事務所としてもお金を持つようになってきたから、ブラック同然の体制を変えようとしてのことだろう)

P(俺は、円香の専属プロデューサーになることを決めた。noctchillのプロデューサーには、人員補填で少しばかり暇になったはづきさんが就くこととなった)

P(最近は、デスクワーク以外の時間のほとんどは円香と過ごしている)

P(それが日常になった)

~283プロが購入したプライベートビーチ~

円香「ここが」

P「あの社長、実はこういうのに憧れてたんじゃ……」

円香「いいの? 私たちが使っちゃって」

P「社長も円香が事務所の看板だからって、利用者第1号の座を譲ってくれたんだ。まあ、遠慮しなくていいんじゃないか?」

円香「そう」

P「じゃあ俺はさっそく……」ガサゴソ

円香「……パソコン?」

円香「嘘でしょ。ここまで来て仕事なんてするつもり?」

P「いや、だって日焼けしたくないし……」

円香「そういうのは、いっぱしの俳優にでもなってから言ってください」

円香「……わ、私のような」ゴニョゴニョ

P「お、円香が自画自賛するなんて珍しいな」

円香「っ/// そ、そこは聞こえてないフリするところでしょ、ミスター・ラノベ主人公」

円香「せっかくのオフに仕事なんてさせないから」

円香「あ、あなたは……いっぱしのプロデューサーではあるんだから……」

円香「ここに連れてきたのは、過労死させないためでもあるんです」

P「そ、そんなに働いてるのか? 俺って」

円香「いまにも倒れそうですよ」

P「それは大変だ……」

円香「それに、言ったでしょ」

P「?」


円香「私を見て、って」ダキッ


P「っ!?」

円香「心配かけないで。お願い」ギュッ

P「わ、わかった。わかったって。ごめん」

円香「……なら許す」パッ

P「よ、よーし、仕事道具全部しまっちゃうぞー!」ゴソゴソ

P「ほら、手ぶらになった」

円香「あー、なんかあなたに抱きついたらベトベトしますね。一回シャワー浴びてきます」

P「うぐっ……もう駄目だ立ち直れない」

円香「ふふっ、冗談なのに」

円香「……」

円香「……一緒に浴びる?」


END.

樋口円香のエンディングが1つクリアされました。

冒頭に戻ります。

~Pの自宅~

ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピ……

P「……っ」

P「……朝か」


P「いってきます。……って、まあ一人暮らしなんだけどな」

P「よし! 今日も一日頑張るか!」


~駅前~

P(事務所まであと少しだが……)

P「っ、暑いな、まったく……」

P「そうだ」


1.我慢できん……とりあえずコンビニに入ろう。
2.急いで事務所に行けばクーラーの効いた部屋が待っている!
3. 路地を歩けば涼しいかな……?

選択肢↓3

(一旦ここまで)

P(路地を歩けば涼しいかな……?)

P(よし、入社直後に開拓したルートを行くことにしよう)

~事務所付近のとある路地~

P「ここを曲がって真っ直ぐ行けば……!」

ドンッ

P「うわぁっ!」

「ぴゃっ!?」

P「あ、危ない!」ガシッ

P「すみません! 大丈夫ですか? お怪我は……」

「あ、はい。だ、大丈夫で――って、プロデューサーさん?」

P「え、小糸じゃないか」

小糸「あ、はい。わたしです」

P「ごめんな。ぶつかっちゃって」

小糸「い、いえ。私も、前をよく見てませんでしたから」

P「小糸はいつもこの道を通って事務所に行くのか?」

小糸「あ、えと、普通は人通りの多いほうの道で来るんですけど」

小糸「き、気分転換が、したくて」

P「ははっ、そうか」

P「俺は涼しいかなと思ってこの道にしたんだよ」

小糸「あ、それわかります! 確かに涼しいんですよね! この道」

P「ああ、こっちのルートにして正解だった」

P「小糸にも会えたしな」

小糸「ぴゃぅっ! な、なな、何を言うんですか、もうっ」

P「よし、じゃあ事務所に向かうか」

小糸「あ、待ってくださーい!」

~事務所~

P「おはようございます」

小糸「お、おはようございますっ! ……あっ、円香ちゃんだ」

円香「おはよう、小糸」

円香「それに……」

円香「……ハァ」

P「さすがにひどくないか?」

円香「まだ何も言ってませんが」

P「言わずとも伝わることってあるんだぞ」

円香「そういう高度なコミュニケーションもとれたんですね。覚えておきます」

P「はいはい。よろしくな」

P「仕事はじめる前にコーヒーでも飲むか……」

P「ひ~か~りあつ~めて~ひ~びけとお~くへ♪」カチャカチャ

P「む~す~んだ~き~ず~な~し~んじて~♪」コポポポポ

円香「気味の悪い鼻歌を歌いながらコーヒー淹れるのやめてくれますか?」

P「気味の悪いって……お前らの歌だぞ」

円香「ええ。ですから、私たちの大切な歌に傷がつくので、やめてほしいと言ってます」

P「ひどい……その「私たち」にはプロデューサーである俺は入ってないのかよ」

円香「それは……」

P「……ははっ、そこで言い返さないあたり、円香は優しいな」

円香「なっ……!! さっきからサビの同じ箇所しか歌ってない人に言われたくありません!」

P「正直、スマンカッタ。あ、いや、歌詞とんじゃってな」

円香「最低」

P「じゃあ、今度はバッチリ歌詞覚えて歌うから、な?」

円香「結構です。これからレッスンまでの間、宿題をやるので、静かにしていてください」

P「わかった。そうするよ」


小糸「あっ、ぷ、プロデューサーさんっ。コーヒー、淹れてるんですか?」ピョコ

P「そうだぞ。飲むか?」

P「あ、でも、これブラックだし、小糸はそういうの苦手かも……?」

小糸「ひ、人を見た目で判断してもらっては困ります! わ、わわ、私は大人ですから、それぐらい余裕ですっ!」

P「はは、じゃあ、ブラックでついじまうぞ?」

小糸「望むところです!」

P(すぐに入れられるように砂糖とミルクを用意しておいてあげよう……)

小糸「にがい~」ウヘェ

P「知 っ て た」

P「ほら、砂糖とミルクあるから、入れとけ」

小糸「い、いえ! それには及びませんっ」グビッ

P「あ、おいそんな一気に飲んだら……」

小糸 ゴクッゴクッ

小糸 ゴクンッ

小糸「……」

小糸 サーッ

P(やばい……小糸の顔がみるみる青ざめていく)

P「大丈夫か?」

小糸「……」

小糸 フルフル

小糸「ちょっと、そこで横になってます……」

P「ああ、お大事にな……」

透「あ、樋口。それに小糸ちゃんも。来てたんだ」

円香「うん……って、これから一緒にレッスンあるでしょ」

小糸「……ソウダヨ」

透「あれ、そうだったっけ」

円香「じゃああんたなんでここに来たの」

透「ふふっ、ひみつ」

円香「……何それ」

透「あ、そうだ。樋口、ちょっとそこでジャンプしてみてよ」

円香「は? なんで」

透「小銭欲しくて」

円香「最初からお金貸してっていいなさいよ……」

円香「いくら必要なの?」

透「あ、くれるんだね」

円香「あげるんじゃない、貸すの。で、いくら?」

透「150円」

円香「ジュース1本ぶんくらいだけど」

透「うん。それでいい」

透「さっき飲み物買いにコンビニ入ったんだけどさ」

透「財布、忘れちゃってて」

円香「いい加減学びなさいよ」

透「コーヒーの匂いがする。もしかして、プロデューサーいる?」

円香「……いる」

透「うわ、樋口、すごい顔」

円香「話しかけたいならそうすれば?」

透「そうだね。そうする」


透「プロデューサー、おはよ」

P「お、透か。おはよう」

透「コーヒー、淹れてるんだね」

P「ああ、見ての通りな」

P「飲むか?」

透「いや、いらない。熱いの苦手っていったでしょ」

P「はは、そうだったかもな」

透「プロデューサーって、記憶力あんまりよくなかったりする?」

P「いや、そんなことはないと思うけど」

透「……」

P「透?」


1.もしかして、怒ってるのか?
2.俺の顔に何かついてるか?
3.アイスコーヒーなら好きなのか?

選択肢↓2

P「もしかして、怒ってるのか?」

透「!」

透「うん。そう。激おこ、かな」

P「激おこって今日日聞かないな……」

透「ふふっ、そうかも」

P「って、怒ってないだろ、透」

透「それは、ほら。笑いながら怒る人的な」

P「おもしろおじさん路線でいくのか……」

透「コーヒーさ」

透「アイスで飲みたいから、貰っておく。で、冷蔵庫で冷やす」

P「レッスン開始までに冷えるか?」

透「うーん。氷入れまくればいいかな」

P「薄まっちまうぞ」

透「確かに。じゃあ、レッスン終わった後に飲むね」

P「そうしときな」

透「間違って飲んじゃ駄目だよ」

P「間違えないって、俺は。まあ、事務所の冷蔵庫だからみんな使うし、心配ならラップに名前かいておけばいいんじゃないか?」

透「わかった。そうする」

円香「何話してたの?」

透「うん。まあね」

円香「楽しそうな顔」

透「楽しかったからね」

円香「……飲み物」

透「?」

円香「飲み物、買いに行くんじゃなかったの」

透「あ」

透「ふふっ、忘れてた」

円香「もう」

透「じゃ、買ってくる」

円香「いってらっしゃい」


P「よ~し、じゃあ仕事すっか」

円香「いちいち報告しなくていいので。どうかご静粛に」

P「わ、わかったよ。ごめんな」

円香「……」

小糸「プロデューサーサンガンバッテクダサイ」コゴエ

ガチャ

タ、タ、タ、タ

雛菜「やは~おはようございます~」

小糸「ひ、雛菜ちゃ……ヴッ、お、おはようっ」

円香「……」

P「おはよう雛菜。よし、これでnoctchillの全員が揃ったな」

雛菜「プロデューサーに小糸ちゃん、それに円香先輩も~」

雛菜「プロデューサーは、今日もお仕事?」

P「ああ、もちろん。アイドルのプロデュースに精を出してるところだ」

円香「まだ働いてないでしょ」ボソッ

P「そ、それは言うなって……」

雛菜「あは~プロデューサーと円香先輩、なかよし~って感じ~?」

雛菜「じゃあ、雛菜もプロデューサーと仲良し~ってする~」

P「ひ、雛菜、近いって……」

円香「仕事、しなくていいんですか。ミスター・社会人(仮)」

P「そ、そうだな。悪いな雛菜、また後でな」

雛菜「うんっ、またあとでね~プロデュ~サ~」

円香「……」ムスッ

小糸「……ま、円香ちゃん?」

円香「なあに?」ナデナデ

小糸「アッ、ううぅ~いまは触らないで……」

円香「えっ……触らないでって言われた……?」

雛菜「みんなたのしそ~」

数時間後

P(今日のnoctchillはレッスン漬けだったよな)

P(あいつらのことだから心配しなくてもいいかもしれないけど……)


1.まあでも、様子を見に行くか!
2.仕事で疲れたし昼寝でもしよう。
3.休憩がてらはづきさんと話すか。

選択肢↓2

P(まあでも、様子を見に行くか!)

P(いま向かえば、ちょうどあいつらも昼休みだろう)

~レッスン場~

P「お、やってるな」

ワンツーワンツー

P(なんていうんだろうな……授業参観にきた親の気持ちっていうのが、わかったような気がする)

ジャアキュウケイニシマショー

アリガトウゴザイマス!!

P「午前の部は終わったみたいだな」


P「よう、お疲れ様」

小糸「あっ、プロデューサーさん!」

透「来てくれたんだ」

雛菜「やは~、またプロデューサーに会えた~。しあわせ~」

円香「……」

P「午前にやる分の仕事を片付けて、見に来たんだよ。レッスンの様子が気になってな」

P「これから昼休みだろう? みんな飯はどうするんだ?」

小糸「わ、わたしはお弁当持って来てますよ」

雛菜「雛菜も~」

円香「……」

透「……あ、昼ごはん、ないわ。ふふっ」

透「お弁当、お弁当、1人飛ばして、ご飯抜き」

P「いやいや、あれだけ動いたんだから、きちんと食べなきゃ駄目だぞ?」

透「じゃあ、奢ってよ、プロデューサー」

P「それでたかるのかよ……まあいいけどさ」

雛菜「え~透先輩ずる~い。雛菜もプロデューサーとご飯食べた~い」

小糸「雛菜ちゃん……それだとお弁当が無駄になっちゃうよ」

雛菜「う~」

透「二人で抜けちゃおっか。プロデューサー」

P「さすがにこの状況で透一人をひいきすることはできないよ」

透「えー」

円香「……」

P「円香は、昼飯どうするんだ?」

円香「……チッ」

P「し、舌打ち……」

小糸「円香ちゃん……えと、その、プロデューサーさん」

小糸「円香ちゃんは、今日お弁当を持ってくるの忘れちゃったみたいなんです」

P「そうだったのか」

円香「……」

P「……」

円香「……」グー

円香「!」

円香「っ///」

P「はは、黙ってても答えは出たな」

P「よし、じゃあ俺の分も含めて、テイクアウトで調達してこよう」

P「みんなは休憩スペースで待っててくれ」

~休憩スペース~

P(さて、と)

P(どこに座ろうかな)

P(テーブルが小さいのばかりだから2:2にわかれちゃってるな)


1.透と円香が座っているところ。
2.小糸と雛菜が座っているところ。
3.あえてぼっちを選択。

安価指定忘れました

選択肢↓2

2

あ、83で書く予定だった安価指定を84に書いたってことになってますかね。時間かかってもアレなんで、とりあえず>>85を採用します。

P「よいしょっと」

雛菜「やは~プロデューサー来てくれた~」

雛菜「一緒にご飯食べよ~」

P「ああ、そうだな」

P「2人は弁当か。いいな、そういうの。懐かしい感じがするよ」

雛菜「プロデューサー、なんだかそれ、おじさんみた~い」

小糸「ちょっと雛菜ちゃん!」

P「あはは……まあ、お前たちにとっては、俺はおじさんかもな」

小糸「わ、私は、まだまだ若いと思いますよ!」

小糸「それに……」

小糸「うう、な、なんでもありません……」

P「? そうか」

雛菜「プロデューサーは雛菜たちくらいの頃ってどんなだったの~?」

ガタッ!

雛菜「ん~?」

P「特にこれといって話すようなエピソードはないな

雛菜「え~」

エッ

P「そうだな……あの頃は……」


P「いまに比べると旧世代って感じがするな。今思えば、だけどさ」

P「スマホはまだ出始めで全然流行ってなかったし、雛菜たちみたいな女子高生はみんなガラケーにたくさんのストラップをぶら下げてたよ」

P「LINEじゃなくてメールだしな。早いんだぞー、打つのが。タッチパネルじゃなくてボタンだから、押す回数だって結構あるのに、こう、カチカチカチってな」

雛菜「そうなんだ~。全然わからな~い」

P「まあ、そうだよな。いまどき、小学生でもスマホ持ってる子いるもんな」

小糸「あ、あの!」

P「どうした? 小糸」

小糸「プロデューサーさんは、高校生の頃……好きな人とかいたんですか?」

雛菜「やは~それ気になる~」

小糸「もしかして、か、かかっ、彼女、とか、いました?」

P「それは……」


1.彼女がいたと答える。
2.彼女がいなかったと答える。
3.気になってる子はいたと答える。

選択肢↓1

P「気になってる子は、いたよ」

小糸「ど、どんな子か、聞いてもいいですか」

P「うーん、そうだなぁ」

P「というか、あまり思い出せないんだよな。これが」

小糸「そ、そうですか……」

P「どうも高校時代とかその辺がな……」

雛菜「ガラケーの話とか、あんなに覚えてたのに~?」

P「あ、確かに。それもそうだな」

P「余計に不思議だ……」

小糸「いえ、無理に聞こうってわけじゃないですし、わたしこそ変なこと聞いちゃってごめんなさい」

P「いや、いいんだよ。こうして楽しく話せてるわけだからな」

P「逆に聞くけど、小糸や雛菜はどうなんだ? その、学校で、異性とかいるだろうけど」

小糸「ぴゃっ!? わ、わわ、わたしですか……?」

P「やっぱりそういうお年頃なのかなって」

小糸「そもそも、アイドルに恋愛はご法度じゃないですかっ」

P「まあ、そうだけどさ」

P「それこそ、気にするのは自由なわけだし、何も好きな人がいちゃいけないなんて言ってないぞ?」

P「付き合うのは、確かにアイドルとしては問題あるけどな」

雛菜「雛菜はそういうの、よくわかんな~い」

P「そうなのか?」

雛菜「雛菜は雛菜がしあわせ~であればいいの」

P「はは、雛菜らしいな」

小糸「わ、わたしは……」

小糸「き、ききき、きっ、気になる、人、なら、います……//////」

小糸「あ、あうっ……」

雛菜「やは~小糸ちゃん顔真っ赤だね~。かわい~」

P「どんな人なんだ?」

小糸「そっ、それは秘密ですよ!」

P「お、そうか。まあ、無理に聞こうってんじゃないからさ」

P「みんな楽しそうな高校生活ってとこなのかね」

雛菜「だね~」

小糸「うぅ……」

P「おっ、やべっ、もうこんな時間か」

P「それじゃあ、俺は戻るから。お前ら午後も頑張れよ!」

雛菜「うん、がんばるね~」

小糸「お仕事頑張ってくださいね!」

透「あ、行っちゃった……」

円香「……」

P(昼休みはnoctchillのレッスンを観に行って、小糸と雛菜と一緒に昼飯を食べた)

P(高校時代に思いを馳せるなんて、それこそ思いもしなかったな)

P(……よし、楽しく過ごせたぞ)

P(って、俺に言ってどうするんだろうな)

P(……仕事するか)

P(もう少しであいつらも帰って来る頃だな)

ヴーッヴーッ

P「……? LINEか」

P「透から、だな」


透『いまそっちに向かうとこ』

透『このあと』

透『みんなが解散したあと、時間ある?』

透『よかったら、話したい』

透『他のみんなには内緒で』


P(何か込み入った事情があるのか?)

P(他のみんな……っていうのはnoctchillのメンバーのこと、だよな)

P(どう返信したものか……)

P(あの3人を撒くんだよな)

P「……」

ガチャ

P(え、もう来たのか?)

P(ど、どうしよう)

小糸「お疲れ様です!」

P「あ、あぁ、小糸か……お疲れ」

小糸「プロデューサーさん、もしかして疲れてますか?」

P「え? あ、いや、そういうわけじゃないぞ。気にしないでくれ」

小糸「それならいいんですけど……」

小糸「あ、あの!」

小糸「このあと、時間、ありますか?」

P「へ?」

小糸「プロデューサーさんに……その、相談したいことがあるんです」

P(こ、これは……)


1.透に応える。
2.小糸に応える。
3.2人とも断る。

選択肢↓3

(とりあえずここまで)

P(透には悪いが、ここは小糸に応えることにしよう)

P「ああ、時間ならあるぞ」

小糸「わ、わかりました。それじゃ、わたしは事務所に残りますね」

P(透に連絡しておこう)

P『すまない。別件があるから、今日は無理だ』

P『またの機会に埋め合わせするから、堪忍な』

P(これで、よし……)

P(その後、noctchillの全員が事務所に帰ってきて――)


透「プロデューサー」

P「あ、ああ、おかえり、透」

透「また今度、ね」

P「すまん。頼む」

透「……うん。いいよ、別に」

透「それじゃ、私は帰るから」

円香「では、私もこれで」

雛菜「やは~私も透先輩と帰る~」

雛菜「あれ~? 小糸ちゃんは帰らないの~?」

小糸「う、うん! わたしは用事があるから、ここに残るね」

雛菜「そっか~、じゃあね~。ばいば~い」フリフリ

小糸「みんな! ……ま、まま、またね!」

透「もしかして別件って……」ボソッ

小糸「透ちゃん……?」

透「ううん。なんでもない。帰ろ」

雛菜「うん~~~~???」
円香「……」


P(――という感じで、今に至る)

P(今は、事務所には俺と小糸の2人だけだ。はづきさんはもうあがっているし)

P(社長は、今日一日仕事で席を外している)

P(さて……)

小糸「プロデューサーさん!」

P「うぉわっ!」

小糸「ぴゃぅ!! ご、ごめんなさい。驚きましたか?」

P「いや……大丈夫」

小糸「それで……あの……」

P「そうだ、話があるんだよな」

P「遠慮せずに言ってくれ」

P「え? 俺のオフ?」

小糸「は、はいっ。次はいつなのかなって」

P(小糸の相談……なんだよな?)

P「次の日曜とかは休みだけど」

小糸「それなら……」

小糸「わ、わわ、わたしと……!」

小糸「でっ、で、で……」

P「?」

小糸「でー、……~~ディズニーランドに!」

小糸「……行って、欲しいなって」

P「お、おう……」

小糸「ごめんなさい。迷惑ですよね」

小糸「プロデューサーさんだって、疲れてるのに」

小糸「連れ回すようなこと……」

P「い、いや、迷惑なんてことはないぞ」

P「小糸がわがまま言うのは珍しいと思ってな」

小糸「ぴゃっ、や、やっぱりわがまま……ですよね」

P「はは、いつも人一倍努力して頑張ってるんだ。それくらいいいよ」

P「むしろ、小糸のそういう一面がわかって安心した」

P「俺の方こそ、小糸には無理をさせてないか心配があったからな」

P「……行こうか。じゃあ」

小糸「えっ、いいんですか?」パァッ

P「普段頑張ってる小糸へのご褒美だ」

小糸「や、やった! ありがとうございます! プロデューサーさん」

小糸「で、でも、あれですよね。もうアイドルだし、変装とかしないと駄目ですよね! 任せてください!」

P「いや、小糸はちっちゃいしわからないだろ」

小糸「~~~っ! もう!」

小糸「そんなこと言うプロデューサーさんなんて嫌いです!」

P「ははっ、小糸に嫌われるのは辛いな」

小糸「えっ……いや」

小糸「……うそだもん」ボソッ

~夢と魔法の王国~

P「いやぁ、久しぶりすぎるな」

P「学生の時以来……いや、それも高校の時か?」

小糸「わたしも久しぶりです。ずっとお勉強ばっかりだったから」

P「そうか。じゃあ、今日は楽しまないとな」

小糸「は、はい! よろしくお願いしますね、プロデューサーさん!」

P「ファストパスとかうまくやれば結構乗れるもんだな」

P「感覚を取り戻してきた」

小糸「プロデューサーさんは、結構ここには来てたんですか?」

P「小さい頃はしょっちゅう来てた気がするけど……成長するとともに頻度が、な」

P「ずっと好きで通い続けてるような人もいるらしいけどな」

小糸「そ、そうなんですか」

小糸「あ、そろそろお昼ご飯食べませんか? あそことかで」

P「そうだな。そうしようか」

P「お、小糸の頼んだやつ、うまそうだな」

小糸「食べたいんですか?」

P「え? いや、悪いよ。俺なんかより成長期の小糸が食べた方が良いだろ」

小糸「成長期……」

小糸「……」

小糸 チンマリ

小糸「ぴゃぅ」

P「わ、わるい、下手すりゃセクハラだよな今のは」

P「すまん」

小糸「い、いいんです……」

小糸「……あ」

小糸「でも……あげちゃいます!」

小糸「はいっ、プロデューサーさん」

P(こ、これは……)

P(いわゆる、「あーん」というやつ!)

P「あ、あーん」パクッ

小糸「あ、食べてくれた……」

P「うん」モキュモキュ

P「……」ゴクッ

P「うまい」

小糸「えへへ」

小糸「プロデューサーさんはわたしがいないとだめだめですもん!」

小糸「だから食べさせてあげますね」

P「全部そうする気か!?」

P(小糸に飼われるという生活……)

P(あ、アリ……なのか?)

P「食った食った」

小糸「そうですね! わたしもおなかいっぱいです」

P「あ」

小糸「?」

P「あそこのカップル、キスしてんなって」

小糸「ぴゃ!? き、きき、キスですかぁ?」

P「ほら、あそこ」

小糸「み、見ちゃだめですって」

P「それもそうか」

P「高校生くらいかなあの子たちは」

P「はは、青春ってやつだ」

小糸「……」

小糸「プロデューサーさんは」

P「?」

小糸「いま、彼女さんとか……いるんですか?」

P「え? いないよ。仕事が恋人になりつつあるな」

P「まあ、その仕事が楽しいから、いいんだけどさ」

小糸「じゃあ、いない……んですよね?」

P「そうだよ」

小糸「……、よかった」

小糸「わあっ! パレード!」

小糸「綺麗ですね! プロデューサーさん!」

P「そうだな。小さい頃は見るの好きだったけど、いつのまにかパレードの時間はアトラクションが空く時間っていう認識になっちゃったしな」

小糸「むっ!」

小糸「それって、わたしが小さい子みたいってことですか?」

P「あ、いや、そういうつもりじゃないよ」

小糸「えへへ、冗談ですっ」

小糸「……」

P「……」

P「綺麗、だな」

小糸「はい」

P「夢と魔法とは……あながち嘘じゃないのかもな」

小糸「プロデューサーさんは」

P「?」

小糸「プロデューサーさんは、わたしに……わたしたちに、夢を見せてくれました」

小糸「アイドルという夢」

小糸「こんなに楽しくていいのかなって、なっちゃうくらい」

小糸「でも……夢は、いつか覚めちゃいますよね」

小糸「プロデューサーさんの、プロデュースっていう魔法が解けたらやだな……」

小糸「って思っちゃいました」

ミナサマ、トーキョーディズニーランドハヘイエンジカントナリマシタ

P「もうそんな時間か」

小糸「すっかり遅くなっちゃいましたね」

小糸「でも、最後まで楽しめました!」

P「ああ、そうだな」

P「……帰ろうか」

小糸「っ、そうですね」

P「……」トコトコ

小糸「……」テテテテ

P「……」トコトコ

小糸「……」テテテテ

P(か、会話が……)

P(閉園時間になると知るやいなや、小糸のテンションは下がっていく一方のように思える)

P(もっとここにいたかったのかな)

小糸「ぷ、プロデューサーさん、歩くの、ちょっと早いです」

P「あ、すまん。早歩きになっちまってたか」ピタッ

小糸 テテテテ

小糸「えいっ、へへ、追いつきました」

小糸「……」

小糸「もうすぐ出口ですね」

P「あ、ああ……」

小糸「……」

小糸「しゃ、写真!」

小糸「写真撮りましょう! プロデューサーさん」

小糸「ここがいいです!」

P「お、いい感じだな」

小糸「ここに乗れば……っしょっと!」

小糸「えへへ、プロデューサーさんと同じ目線です」

P「小糸が急に大きくなった」

小糸「これで小さい子とは言わせませんよ!」

P「それはごめんって、ほんと」

小糸「撮りましょうか」

カシャ

小糸「……グスッ」

小糸「プロデューサーさんっ、ちょっとこっち向いてください!」

P「え?」クルッ


チュッ


P「」

小糸「グズッ……夢なら、覚めないでほしいなって」

小糸「魔法なら、とけないでほしいなって」

小糸「こ、こうすれば、大丈夫かなって」

小糸「……」

小糸「わたしは……」

小糸「うっ…… グズッ、ぷ、プロデューサーさんのことが」

小糸「だいすきです」

P(あれから……)


小糸『お返事は、いまはいいです』

小糸『アイドルにこんなこと……許されませんよね』

小糸『だから、いまはいいです』

小糸『……』

小糸『嘘です。本当は……』

小糸『本当は、プロデューサーさんの返事を聞くのが怖いだけ』

小糸『でも、いま聞いたら、だめになっちゃうかもしれないから』

小糸『……』

小糸『気持ちを伝えられてよかったです』


P(というわけで、小糸の気持ちを知ったまま、保留ということになった)

~某市街地、雑誌の撮影~

P「透は雑誌の仕事増えたよなー」

透「ふふっ、イェーイ」

P「俺が仕事とって来なくてもオファーくるんだもんなぁ」

透「ねえ、プロデューサー」

P「なんだ?」

透「撮影終わったらさ、あそこ、いきたい」

P「あそこって?」

透「ほら、さっき通りすがりに見かけた公園」

P「あぁ、ジャングルジムのあったところな」

透「……そう。行きたいな」

P「わかった。じゃあ、撮影が終わったら行こう」

透「うん」

撮影後。

P「ジャングルジムは……」

透「……使用禁止、って書いてあるね」

P「危険だから撤去するってことなのかな」

透「……」

P「登りたかったか?」

透「うん……」

P「それは、残念だったな」

P「まあ、でも、せっかく来たんだ。いい天気だし、そこのベンチに座ってゆっくり休まないか?」

P「あれなら、アイス買ってこようか? すぐそこにコンビニあるし」

透「……一番美味しそうなやつ」

P「え?」

透「アイス。そのコンビニで一番美味しそうなやつ買ってきて。それ食べたい」

P「……俺の感覚で選んじゃっていいのか?」

透「いいから。早く買ってきて」

P「わかった」

P「おまたせ」

透「一番美味しそうなやつは?」

P「お望みどおり、ほれ」

透「……ハーゲンダッツ」

P「これなら喜ぶかなって」

P「安直かとも思ったんだがな」

透「ううん。ありがと、プロデューサー」

透「プロデューサーに感謝しながら食べる」

P「俺が作ったわけじゃないけどな」

透「小糸ちゃん」

P「?」

透「小糸ちゃん、最近いきいきしてる」

P「それは透もだろう」

透「そういうことじゃなくて、さ」

透「前は無理してるって感じ、あったけど。いまは楽しそう」

P「……」

P「小糸は……頑張りすぎているほどに頑張ってるんだよ」

P「他の3人の実力を知ってるから。仲間外れにならないようにってさ」

P「でも、いまは、迷いなく自分が上を目指すために頑張れてる。良い傾向だよ」

透「なんていうか」

透「なんで小糸ちゃんは変われたのかなって」

透「まるで、見てほしい人がいるみたいな」

P「それは……、noctchillのファンとかか?」

透「それもそうだけど」

透「他にいる気がする」

P「……そう、なのか?」

透「うん。私の勘」

P「……」

P「お前ら4人は付き合い長いから……妙に信憑性があるなそれは」

透「はあ……」

P「どうした。でっかいため息なんてついて」

透「んー」

透「ジャングルジム、登りたいなって」

P「使用禁止だしそれは……」

透「でも登っちゃう」

透「よいしょっと」

P「……」

透「……」

透「「てっぺん」、目指したくて」

透「今はまだ、登ってる途中だけど」

透「目が覚めないうちに、登りたい」

透「それで、もう一度一緒に……」

P「透?」

透「ねえ、プロデューサー」

P「なんだ?」

P(壊れるかもしれないし危ないぞ――)

P(――と心のなかでは思ったが、なぜかそれが口に出せない)

P(透の綺麗な顔立ちから、目が離せない。透の視線から、逃れられない)

P(捕獲されたような、そんな感じ)

透「思い出して欲しいんだ」

P(切望するような眼差しに釘付けになる)

透「一緒に、登ってくれる?」

P「俺みたいな大人が登るのは……」

透「そういうことじゃなくて、ね?」

透「……答えて」

P「……」


1.「それはできない。できないよ、透」
2.「……もう撤去されちゃうし、登るか」
3.沈黙。

選択肢↓2

P「……もう撤去されちゃうし、登るか」

P「遊具も遊んでもらったほうが嬉しいだろ」

透「……やった」

P「近くで見ると結構大きいんだな、このジャングルジム」

P「てっぺんでの景色には期待できそうだ」

P「よい、しょっと……」

透「……」

P「どうした? やっぱり登るのやめるか?」

透 フルフル

P「ま、俺は登っちまうけどな」

P「透が登らないとしても、代わりに景色を見てきてやる」


P『俺が、行くからさ!』


P「っ!」

P「……いまのって」

カンッカンッ

P「あ、おい、透!」

透「なにしてるの、プロデューサー」

透「登らないなんて、言ってないから」

透「置いていっちゃうよ」

P「……ははっ」

P「待てよ、俺も行くからさ」

P「ふぅ」

透「なんか」

透「普通だね。景色」

P「まったくな」

P「確かに普段とは違う目線の高さだけど、まあ、それだけって感じだ」

P「……まあ、でも」

P「登ってよかった」

透「!」

透「うん。私も、そう思う」

透「これが、てっぺんなんだ」

透「登れたんだ、私」

P「でも、夢なんかじゃないぞ」

P「夢はいつか覚めるものだけど」

P「これは現実だ。俺たちが生きてる人生なんだよ」

P「だから、消えてなくなりなんてしないさ」

P「透、言ってたよな」

P「登っても登ってもてっぺんに着かないって」

透「……!」

P「人生でもさ、登り続けるジャングルジムはあるんだよ」

P「でもそれは、てっぺんがないんじゃなくて」

P「てっぺんがたくさんあるだけなんだ」

P「1つてっぺんにたどり着けば、そこをスタートにした別のてっぺんがある」

P「WINGはゴールであると同時にスタートでもある」

P「目的はあるところから先で手段にもなる」

P「そういうことなんだ」

透「プロデューサー……」

P「俺は、そんなジャングルジムを登るお前らについて行って、支えてやるのが仕事なんだよ」

P「あのときから何も変わってないさ」

P「一緒に登っていこう」

透「うん……、グスッ」

透「思い出してくれたんだ」

P「少し時間がかかっちまったけどな」

透「グスッ……ほんと、待たせすぎ」

透「でも、嬉しいな――」


透「――僕」


P「そうだよな。あのときはそうやって言ってた」

透「こういうキャラでいってみる?」

P「そうしたいのか?」

透「……いや、いいよ」

透「大切にしておきたいんだ」

透「僕と、プロデューサーの、2人だけの秘密ってことで」

P「はは、そうか」

P「じゃあ、そういうことで」

透「うん」

透「でも、あれだね」

透「プロデューサーは、私1人と登ってくれるわけじゃないんだよね」

P「?」

透「いいよ、別に」

透「まあ、そういうこともあるか」

透「これからも、noctchillをよろしくね」

P「おう、任せとけ」

数年後。

P(noctchillは、グループとしての活動を継続しているものの、高校卒業を期に各々がソロで動くことが増えていった)

P(皆、大学に進学した)

P(特に、小糸は芸能活動と勉強を両立して、都内の有名な大学に進学できた)

P(いまは、クイズ番組に出ないことはないくらいの、インテリ系アイドルとして、小糸はテレビに出演している)

P(そして……)

~Pの自宅~

ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピ……

P「……っ」カチッ

P「……」

P「……まだ5分寝れるだろ」

P「zzzZZZ」


「――て、あ――すよ!」

P「んぅぅ、うるさい……」

「おこ――すよ! も――」

バサアッ

P「うわっ!」

「もう! 二度寝しちゃ駄目です! 朝なんですから――」

小糸「――起きてください! Pさん!」

P「布団はがさないでくれよ~」

小糸「布団返しちゃったらまた寝ちゃうじゃないですか~!」

小糸「朝ごはん、せっかく作ったのに冷めちゃいます!」

P「わ、わかった……起きるよ」

小糸「そ、それでいいんです!」

小糸「わたしがいないとだめだめですね! Pさんは」

P「……」モキュモキュ

P「……」ゴクッ

P「……」

P「小糸もそろそろ4年生か」

小糸「そ、そうですけど……」

P「進路はどうするんだ?」

小糸「Pさん……な、なんだかお父さんみたいです」

P「まあおじさんではあるからな」

小糸「……まだまだかっこいいですよ」ボソッ

P「ありがとう」

小糸「ぴゃっ!? そそ、そこは聞き流してくれればいいんです!」

P「そういうもんか」

小糸「そうですよ」

小糸「とりあえず……いまのお仕事が続けられたらなって」

P「そうか」

P「それなら、いままでどおり俺も小糸のプロデューサーとして頑張るよ」

小糸「そ、それから……」

小糸「うぅ」

P「どうした? 腹でも痛いか?」

小糸「ち、違います!」

P「体調管理には気をつけろよ」

小糸「わかってますよ。Pさんこそ、外食は控えてください!」

小糸「Pさんの体に何かあったら……わ、わたし……泣いちゃいますよ!」

P「ごめんって。気をつけるから。な?」ナデナデ

小糸「ふわぁっ……って、ごまかされませんよ!」

小糸「この前Pさんのお財布にラーメン屋さんのレシートがたくさん入ってました!」

小糸「ご、ごはんならわたしが頑張って作りますから……その」

小糸「もう少し、わたしのことも考えてください」

P「小糸をないがしろにしてたわけじゃないんだ」

P「ごめん。ちゃんと気をつける」

P「その代わり、小糸に何か作ってもらおうかな」

小糸「!」パァッ

小糸「ま、任せてください! 余裕です!」

P「ありがとう、小糸」

P「ごちそうさまでした」

小糸「ごちそうさまでした!」

小糸「わたし食器洗っちゃうので、Pさんはお仕度しててください」

P「あ、ああ……」

P(テキパキと家事をこなす小糸を見て)

P(なぜか、自然と言葉に出た)

P「結婚しようか」

小糸「ぴゃい!? い、いま、なんて」

P「え、あ」

P「本音がつい、な?」

小糸「も、もも、もう一度お願いします」

P「ああ」

P「結婚してくれ、小糸」

小糸「っ!!」

小糸「Pさんっ!」ダキッ

P「うおっ」

小糸「わたし……わたし……」グスッ

小糸「……い、いいんですね? もう逃げられませんよ!」

P「逃げないよ」

P「ずっと、小糸のそばにいるさ」

小糸「わたし、ずっと不安だったんです」

小糸「プロデューサーさんには……Pさんには気持ちを伝えたけど、それでよかったのかなって」

小糸「でも、Pさんが好きで好きで仕方なくて……!」

小糸「こんな、お家に通っちゃったりなんかして……」

小糸「都合のっ、ズビッ……良い、おんなだって……思われたらどうしようって……」

小糸「ずっと泣いてて……」

小糸「もう、安心していいんですよね」

P「もちろんだ」

P「小糸は普段から言ってるだろう? 俺は小糸がいないとだめだめだって」

P「その通りだよ」

P「俺には、小糸がいないと駄目なんだ」

小糸「~~~~!」

小糸「かっ、顔!」

小糸「いまわたしの顔見ちゃ駄目です!」

P「な、なんでだよ」

小糸「嬉しすぎて変な顔してます!」

P「余計に見たくなってきたんだが」

小糸「だ、駄目ですってば~!」

小糸「あ、でも」

小糸「アイドル、引退しないといけないんですかね」

P「あ、その辺考えてなかった……」

小糸「もうっ、嬉しいですけど、そこは考えてくださいよ! ……えへへっ」

小糸「“プロデューサーさん!”」


P「それじゃ、仕事行ってくるから」

小糸「はい! わたしは2限があるので、合鍵で閉めておきますね」

P「ああ、頼んだ」

小糸 ニコニコ

P「はは、嬉しそうだな、小糸」ナデナデ

小糸「こ、子ども扱いしないでください!」

P「いいじゃないか。俺は嬉しいよ、そういう小糸がそばにいてくれて」

小糸「あぅ……そういうことを言うのは反則だと思います……」

P「じゃ、行ってきます」

小糸「……」

小糸「ま、待って!」

P「え?」クルッ


チュッ


小糸「えへへ、いってらっしゃいってことです!」

小糸「それから……」

小糸「……帰ってきたら、つづき、しましょう」

END.

福丸小糸のエンディングが1つクリアされました。

市川雛菜に関するエンディングに行くための条件が1つクリアされました(残り2つ)。

冒頭に戻ります。

~Pの自宅~

ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピ……

P「……っ」

P「……朝か」


P「いってきます。……って、まあ一人暮らしなんだけどな」

P「よし! 今日も一日頑張るか!」


~駅前~

P(事務所まであと少しだが……)

P「っ、暑いな、まったく……」

P「そうだ」


1.我慢できん……とりあえずコンビニに入ろう。
2.急いで事務所に行けばクーラーの効いた部屋が待っている!
3. 路地を歩けば涼しいかな……?

選択肢↓2

(一旦ここまで)

P(我慢できん……とりあえずコンビニに入ろう)

P(飲み物買いたいしな)

~駅前のコンビニ~

P「ふぃ~~~」

P(き、キンキンに冷えてやがるっ・・・・・・・・!)

P(コンビニは都会の避暑地だよなぁ)

P(まあ、長居すると体調が悪くなりそうな、それくらいの寒さだ)

P(さて……飲み物飲み物っと……)

「あ」

P「あ」

透「プロデューサーだ」

P「透もコンビニに来てたのか」

透「うん。飲み物、買いたくてさ」

P「奇遇だな。俺もなんだよ」

透「気が合うね」

P「だな」

P「よし、特茶……君に決めた!」パシッ

透「おじさんくさいね」

P「健康を大切にしてると言ってくれ」

P「こんな暑い日には、なんか燃える気がするんだよ」

透「燃えるの?」

P「ああ、脂肪とかな」

透「ふふっ、なんかプロデューサー、車みたい」

P「車?」

透「だって、油燃やして動いてるじゃん」

P「いや、どちらかと言えば動いてるから油が燃えてる感じなんだがな」

P「……透は何を買うんだ?」

透「私はね、これ」

P「アイスコーヒー?」

透「アイドルデビューの次は、コーヒーデビュー」

P「コーヒーなら事務所で淹れてやるのに」

透「熱いの、苦手なんだ」

P「あ……だから、アイスコーヒーなのか」

透「そういうこと」

P「よし、じゃあ買うか」

透「……」

P「どうした?」

透「奢って」

P「……まさか」

透「そ」

透「財布、ないから」

P「前科持ちじゃねーか」

P「それとも、キャッシュレスデビューもしたっていうのか?」

透「んー、そういうのはよくわかんないや」

P「はあ……」

P「まあ、奢ってやるけどさ」

P「渡せよ。買ってくる」

透「ありがと」

P「ほれ、望みの品だ」

透「どうも」

P「お前……俺がコンビニ来なかったらどうするつもりだったんだよ」

透「……」

透「……考えてなかった」

P「マジかよ」

透「プロデューサーが来ると思ってた」

透「それを信じて待ってたとしたら、どう?」

P「……ロマンチックだと?」

透「悪くないでしょ」

P「そういう問題かなぁ」

~事務所~

P「おはようございます」

透「私が来た」

小糸「あ、おはようございますっ! プロデューサーさんに、透ちゃん!」

円香「おはよう、小糸」

円香「それに……」

円香「……ハァ」

P「さすがにひどくないか?」

円香「まだ何も言ってませんが」

P「言わずとも伝わることってあるんだぞ」

円香「そういう高度なコミュニケーションもとれたんですね。覚えておきます」

P「はいはい。よろしくな」

雛菜「ふわ~~、ちょっと寝ちゃってた~~~~」ムクッ

雛菜「あ! プロデューサーだ~。おはよ~」

P「おはよう、雛菜」

雛菜「目が覚めたらプロデューサーに会えるとか、雛菜しあわせ~」

P「ありがとな」

雛菜「ん~~」ゴシゴシ

雛菜「! プロデューサーのとなりに透先輩だ~」

雛菜「しあわせ~」

P「……雛菜」

雛菜「な~に~?」

P「その、しあわせ~、に、だな~、ってつけて言ってみてくれ」

雛菜「しあわせだな~」

P「……くくっ、よしっ」グッ

透「ふふっ、なにそれ」

P「若大将だよ」

P「さて、特茶飲んで仕事すっか」

透「う~ん」

P「どうした透。スマホいじりながらうなったりして。ゲームでもしてるのか?」

透「そんなとこ。あっ……」

透「えいっ」

透「ふふっ。まだ、勝負はこれから」

P「なんのゲームか気になるな」

雛菜「マリカーってやつじゃな~い?」

P「ああ……そういえば流行ってるらしいな」

透「2周目まではあんまりだったけど」

透「ここで……よっ、と。巻き返す」

P「ははっ、白熱してるな」

P「ゲームか……久しくやってないな……」

P「……」

P「……仕事すっか」

数時間後

P(今日のnoctchillはレッスン漬けだったよな)

P(あいつらのことだから心配しなくてもいいかもしれないけど……)


1.まあでも、様子を見に行くか!
2.仕事で疲れたし昼寝でもしよう。
3.休憩がてらはづきさんと話すか。

選択肢↓2

P(仕事で疲れたし昼寝でもしよう)

P(体力回復に努めるんだ)

P「……」

P「zzzZZZ」

P「……」ウトウト

P「……はっ!」

P「こっ、ここは……どこだ?」

P「俺は……283プロの事務所で、昼休みだから寝てて……」

P「けど、ここって……」

「のぼってものぼっても……」

P「?」

P「誰か……いるのか?」

「へんなジャングルジム」

「降りれないし、終わらないし」

「長いなーって」

P「君……は?」

「……でも、気付いたんだ。『向こう側に誰かいる』って」

「誰かがいて、一緒にのぼってくれる」

「それはねーー」

P「な、なぁ! おい」

「……」

「思い出した?」

P「だ、だからなんの話だって……」

P「ここはどこなんだ?」

P「いや、違うな。場所だけなら覚えてる」

P「たしか……この前透と出会ったバス停……」

P「……」

P「……この前?」

P「君……誰なんだ」

P「なんで、君を見ながらここにいると」

P「懐かしい感じがするんだ……?」

「……ついてきて」タタタッ

P「あっ! 待ってくれ」


P「はあっ、はあっ……」

P「こ、ここって……」

P「……公園?」

「あのジャングルジム」

「あれにのぼりたいんだ」

P「ジャングルジム……」

「「てっぺん」目指したいんだ」

「一緒に行ってくれる?」

P「……わかった」

P「っしょ、よっ、と」

「んしょ、んしょ……」

P(なんだこのジャングルジム……本当に変だぞ?)

P(なんで登り続けてるのに、一番上に着かないんだ?)

「やっぱり、だめなのかな」

「……」

P「どうなってるんだよ、これ」

P「君の言ってたのってこれのことなのか?」

P「降りた方がいいかもな、もう」

「無駄だよ」

「降りれないって、言ったでしょ」

P「……そうだったな」

「ざんねん」

「僕ね、思うんだ」

「このジャングルジムは、2人一緒じゃないとのぼれないって」

P「だから、こうして2人で登ってるだろう」

「ううん。違うよ」

「いまは、各々が1人でのぼってるだけ」

「一緒じゃ、ないから」

「……また、だめなのかな」

「まあ、まだわからないよね」

P「?」

「僕、待ってるから」

「またね」

P「え、あっ、ちょっとーー」

P「ーーまだ話はっ!!」ガバッ

はづき「きゃっ」

はづき「ぷ、プロデューサーさん?」

P「え? あ、……あれ」

P(ゆ、夢か……いや、そりゃそうだよな)

はづき「夢でも見てたんですかー?」

P「ええ、まあ……お恥ずかしい」

はづき「なんか汗かいてますし、悪い夢だったんでしょうか」

P「悪夢ってわけじゃないんですけど……」

P「……」

P「あの子は……」

P(ふらふらと事務所の冷蔵庫の前まで来てしまった)

P(なんとなく何かから逃げたい時とか、気分転換したい時とかに、冷蔵庫を開けに来てしまうのはなんでなんだろう)ガチャ

P(うーん、開けたはいいものの……)


1.冷やされたコーヒーを飲む。
2.プリンを食べる。
3.何もせずにデスクに戻る。

選択肢↓1

(とりあえずここまで)

プリンに「透」と書いてあるかな?




「智代子」や「甜花」だったりして

P(お、プリンがあるな)

P(疲れた時の糖分補給……仕事の効率も上がるかな)

P(よし、プリンを食べよう)

P モグモグ

P「……」

P「……う、うまいな」

P(高いんじゃないのか? これ)

P(その後、noctchillの全員が事務所に帰ってきて――)


雛菜「あ~~~~っ!!」

雛菜「ない~!」

円香「雛菜うるさい。どうしたの」

雛菜「雛菜のプリンが消えちゃった~」

円香「ああ……あのちょっとお高いやつ」

雛菜「レッスンのあとの楽しみにしてたのに~」

P(ま、まさか……)

雛菜 グスッ

円香「明日一緒に買いに行ってあげるから」

雛菜「こんなの……しあわせ~じゃない~……」

P「……」

透「プロデューサー」

P「あ、ああ、透か」

透「この後、時間ある?」

透「2人で、話したい」

透「他のみんなには内緒で」

P「この後か……」

P(もう少しで仕事は片付くが……)


1.「わかった。あと少しで仕事終わるから、ちょっと待ってて」(透の誘いに乗る)
2.プリンの恨みが怖いのでこっそり買いに行って今度差し入れる(透の誘いを断る)。
3.透にプリンを食べてしまったことを打ち明けて一緒に買いに行こうと提案する。

選択肢↓2

P 「わかった。あと少しで仕事終わるから、ちょっと待っててくれ」

P(透にはプリンの件を打ち明けよう……)

透「うん。わかった」

透「ありがとね」

P「ああ……」

円香「それでは、私は帰りますので」

雛菜「プリン~……」

円香「それはわかったから。明日ね」

小糸「わ、わたしも帰りますね!」

小糸「あれ? 透ちゃんは帰らないの?」

透「うん。 わたしは用事があるから、ここに残る」

小糸「そ、そっか、じゃあね、透ちゃん」フリフリ

透「またね」

円香「……」

小糸「円香ちゃん……?」

円香「ううん。なんでもない。帰ろ」

P(――という感じで、今に至る)

P(今は、事務所には俺と透の2人だけだ。はづきさんはもうあがっているし)

P(社長は、今日一日仕事で席を外している)

P(さて……)

透「え、雛菜のプリンを?」

P「そうなんだ……」

P「おやつ代わりにな、冷蔵庫にあったから、つい……」

透「名前とか、書いてなかったの」

P「書いてなかった……と思う」

透「そっか」

P「そ、それでな? このままだと悪いと思って……」

透「プロデューサーが買ってあげる、ってこと?」

P「ああ……」

P「それで、一緒に買いに行ってほしいんだ」

P「店がどこかも知らないし、何より俺の感覚で選んで雛菜を余計に悲しませたくないしさ」

透「……」

透「……はあ」

透「もう、プロデューサーはだめだめだね」

P「返す言葉もない……」

透「いいよ、買いに行ってあげる」

P「ほ、本当か!?」

透「でも、忘れてないよね」

透「先約」

P「透は何か話したいことがあるんだよな」

P「わかってる。そのあとでいいんだ」

透「おーけー。プロデューサーがそう言うなら」

P「で、話ってなんなんだ? 透」

透「うん、えっとね」

透「ちょっと、ソロでも活動したいなって、思えてきて」

P「具体的にどういうことをしたいとかってあるのか?」

透「あー……」

透「いや、考えてなかった」

P「それじゃ俺としてもどうしたらいいのかわからないんだが……」

P「もしかして、noctchillのメンバーや仕事に不満があるのか?」

P「あれば遠慮なく言ってくれ」

透「不満……はないと思う」

透「……」

透「「てっぺん」目指したくて」

透「何が大切なのかって、自分なりに考えた」

透「それで、うん」

透「noctchillの目指すてっぺんと、私が目指す「てっぺん」は少し違うなって」

透「もちろん、noctchillが嫌だってわけじゃないんだけど」

透「それ以外の環境が、欲しい」

P「透にとってそれは、ソロでの活動って言うんだな?」

透「そういうこと」

P「……モデル、とかはどうだ?」

P「透はスタイルもいいし、オーラもある。顔立ちも綺麗だし透明感があって惹きつけられる」

P「そういう透の魅力は、静止画で最も発揮されるんじゃないかと思うんだ」

透「私は喋らない方がいいってこと?」

P「わ、悪く捉えればそうなる……」

P(鋭いな、透)

透「んー」

透「プロデューサーは、私がそれで「てっぺん」目指せるって思う?」

P「モデルの頂点か……それははっきり言えば相当険しい道のりだな」

P「やるならタレントとしての要素も込みで売り出していきたいと思う」

P「そこにギャップが生まれるからな。透の場合、良い方向に働くだろう」

P「どうだ?」

透「プロデューサーがそう言うなら、それを信じる」

P「透がどうしたいかも重要なんだぞ? 遠慮しなくていいから、何かあれば言ってくれ」

透「ううん。大丈夫。プロデューサーがそれが良いっていうなら、多分それで正解だから」

透「私はそれで、プロデューサーと目指したい」

透「私たちの「てっぺん」を」

P「? ……まあ、透が良いっていうならそうするんだが」

P「じゃあ、俺もその方向で営業することにするよ」

P「頑張ろうな、透」

透「うんっ」

透「あ、それじゃあ後は」

透「プリン、だね」

P「ああ……本当に申し訳ないことをしたよ……」

透「直接謝ればいいんじゃないの?」

P「ぐっ……正論だ」

P「なんていうか、年頃の女の子は何でキレらかわからなくてさ」

P「怖くてその勇気が出ないんだ」

P「ははっ……、情けないおじさんさ、俺は」

透「ふふっ、仕方ないプロデューサー」

透「でも、プロデューサーがそう思うなら、私は黙ってるよ」

透「2人だけの、秘密ね」

翌朝。

~事務所~

P(よし、noctchill全員揃ってるな)

P「お前ら~、冷蔵庫にプリンあるから、食べていいぞ~」

雛菜「プリン~!」テテテテ

雛菜「あ、プロデューサー、もしかして~」

P ギクッ

雛菜「プリン食べられちゃった雛菜のために買ってきてくれたの~~?」

P「っ、そ、そうだよ」

雛菜「あは~プロデューサーやさし~」

雛菜「ますます好きになっちゃうかも~」

P「みんなで仲良く食べてくれ」

円香「……」ジーッ

P ダラダラ

円香「……はぁ」

P「ま、円香も食べていいんだぞ?」

円香「ええ、そうさせてもらいます。ミスター・シーフ」

P(バレてる……)

>>1です。

急用でしばらく先を外すのでとりあえずここまで(再開は今日中を予定)。

>>1です。

>>167 先→席 (誤字でした)

再開します。

透「はい、プリン」

P「え? それ、透のだろ」

透「いい。あげる」

透「私の気持ちだから」

P「そうか……?」

透「うん」

P「じゃあ、まあ遠慮なく……」

P「……あ、そうだ」

P「甘いもの……甘いものといえば、コーヒーだ」

P「あくまで個人の感想だが」

P「淹れてくるか」

P「ひ~か~りあつ~めて~ひ~びけとお~くへ♪」カチャカチャ

P「む~す~んだ~き~ず~な~し~んじて~♪」コポポポポ

円香「気味の悪い鼻歌を歌いながらコーヒー淹れるのやめてくれますか?」

P「気味の悪いって……お前らの歌だぞ」

円香「ええ。ですから、私たちの大切な歌に傷がつくので、やめてほしいと言ってます」

透「いいじゃん。別に」ヒョコ

円香「浅倉?」

透「私も歌詞覚えてないし」

P「いや、お前は覚えてろよ」

透「ふふっ」

透「ねえ、プロデューサー」

P「どうした?」

透「私もそのコーヒー、飲んでみたい」

P「熱いぞ?」

透「がんばってみる」

透「駄目なら、冷蔵庫で冷やすから」

P「まあ、透がそういうなら別に止める理由もないけど」

P「もう少し待っててくれれば出来上がるはずだ」

P「カップ、あるか?」

透「あー、熱いやつ、入れるのだよね」

透「ないかも」

透「プロデューサーの使っちゃだめ?」

P「駄目ってことないけど……」

P「そういうの、女子高生的には気にするところなんじゃないのか? よく知らないけど」

P「来客用とか、予備のとか、あるのに」

透「プロデューサーのがいいんだって」

P「わ、わかったよ」

P「俺は予備のを使うから、ほれ」

P「俺のカップ」

透「わあい」

P「よし、完成だ」

P「ほら、カップ貸しな」

透「ん」

P トトトト

P「はい。どうぞ」

透「ありがと」

透「……」

透「熱そう」

P「無理しなくていいからな……?」

透「ううん。大丈夫」

透「言ったでしょ、がんばるって」

透「これで私も、プロデューサーデビュー」

P「なんだそれ」

透 ズズズ

透「っ、あつあつ……」

透「ふーっ、ふーっ」

透「……」

透 ズズ

透「……うん」

透「まあ、悪くないかな」

透「とか、言ってみる」

P「うまいってことか?」

透「いつもよりそう感じる」

P「そういうもんかね」ズズズ

透「プロデューサーの味がした――」

P ブフォォッ

透「――って言ったら、どうする?」

P「い、言ったらって……もう言ってるじゃないか……」

P「こ、こうなるよ……」

透「ふふっ、ごめんごめん」

透「タオル持って来るね」

数時間後。

P(今日、noctchillは、午前中レッスンで、午後はラジオの収録だ)

P(あいつらが帰って来るまで暇だな……今日やろうと思ってた仕事はもう片付いちゃったし)

P「……」

はづき「プロデューサーさ~ん」

P「あ、はづきさん。なんでしょう」

はづき「この前の領収書くださ~い」フリフリ

P「わかりました。ちょっと待っててくださいね」

P「確か……デスクの引き出しの上から2番目に……」ガララ

P「……?」

P(なんだこれ)

P(手紙、だよな)

はづき「? どうかしましたか? プロデューサーさん」

P「い、いえ。領収書でしたね。はい、どうぞ」

はづき「ありがとうございます~」

P「……」

P(中高生のときならラブレターかと思ってはしゃいでたかもしれないが……)

ペラッ

P(反対側には『あなたへ』とある)

P(俺宛……ってことでいいのか?)


1.手紙を開封して中身をあらためる。
2.得体が知れないので引き出しの奥に封印する。
3.――この選択肢はロックされています―― 

選択肢↓2(↓2に3.がレスされたら↓1で再安価)

ごめんなさい。安価の説明が分かりづらかったかもしれません。

普通に↓2で安価にして、もし誰かが間違えて該当レスで選択肢3.を選んでしまった場合に、そこから↓1を再安価先として採用する、という意味でした。

もう一度安価指定させてください。

今度は素直に↓1(選択肢は1.か2.)で。

P(まあ、俺のデスクに入っててこの宛先?なら開けてもいいだろ)

ペリペリペリッ

P(中身は……あ、紙が入ってるな。どれどれ)

ペラッ

P「……」

P(な、何も書いてないだと……?)

P(どういうことなんだこれは)

P(確かに、俺のデスクに入ってて、宛先?は『あなたへ』だ)

P(見た目も完全に手紙……なのにこれってどういうことなんだ?)

P(わけがわからん……)

P「……」

P(ただ、気になったのは)

P(確かに手紙の中身は何も書いてない紙が入っていたが)

P(その紙は、新品同様というには程遠くーー)

P(ーー明らかに何か手が加えられたような質感だった)

P(しかし、それ以上はどうしようもなかった)

P(俺は、手紙を元あった場所に戻した)

数ヶ月後。

~某市街地、雑誌の撮影~

P「透もモデル業がいたについてきたな」

透「イェーイ」

P「俺が仕事とって来なくてもオファーくるんだもんなぁ」

透「ねえ、プロデューサー」

P「なんだ?」

透「撮影終わったらさ、あそこ、いきたい」

P「あそこって?」

透「ほら、さっき通りすがりに見かけた公園」

P「公園……」

P「あぁ、……っ、ジャングルジムのあったところな」

P(ジャングルジム、か……)

透「……そう。行きたいな」

P「……わかった。じゃあ、撮影が終わったら行こう」

透「うん」

撮影後。

P「ジャングルジムは……」

透「使われちゃってるね、ちっちゃい子たちに」

P「そうだな」

透「蹴散らしてきちゃおっか」

P「やめろやめろ、騒ぎになる」

透「冗談なのに」

P「……本当に冗談で言ったんだよな?」

透「それはそうだよ」

透「空くまで待つよ」

P「あの子たちが飽くまで、か」

P「わかったよーー」


P「ーー一緒に待ってる」


透「!」

透「……」

透「うん」

サ、ソロソロカエルワヨー
ア、マッテヨー
アハハ、ワタシモカエルー

P「さ、遊んできたら?」

P「透、さっきからすごい見てるだろジャングルジム。行ってきていいんだぞ」

透「……っ」


「ーー……あっちで遊んできたら?」

「……え?」

「ジャングルジム、すごい見てるでしょ。行ってきていいよ」


透「プロデューサー……」

透「……」

P「なんだよ、じれったいな」

P「……」

P「じゃあ、透が登りたくなるようにしてやろう」

P「よいしょっと」

P「ほら」

P「俺が、行くからさ!」

透「っ」

透「…………」ポロ…ポロ…

透「うん!」


「あーっ、いいのかなぁ? きっと行きたくなるよーー」

「俺が、行くからさ!」


透「待ってよ、プロデューサー!」

透「僕も行く!」

P「はは、これがてっぺんか」

透「のぼっちゃったね、私たち」

P「『僕たち』ーーじゃなくて?」

透「もう……」

透「……ばか」

透「ふふっ、でも、いいかも」

P「今度はちゃんと、2人で登れたかな」

透「うん、登れたよ」

透「2人で」

P「そうか、よかった」

透「ねえ、もっと近くに行ってもいい?」

P「……いいぞ。ジャングルジムだから、気をつけてな」

透「んしょ、っしょ、っと」

透「プロデューサーのすぐ隣だ」

透「……」トン

P(透が俺の肩に頭を乗せてきた。体重を委ねるように、よりかかってくる)

透「~~~っ///」

透「やばい。なんていうか、これすごい」

透「壊れちゃうかも」

P「な、なんでだよ」

透「嬉しすぎて」

透「爆発しそう」

P「まあ、側からみればリア充だしな」

透「……いまなら」

透「いまなら、伝えられると思うんだ」

透「私の気持ち」

透「プロデューサー、私を見て」

透「……僕も、見て」

P「……見た。見てるよ」

透「ふふっ。……ふふふふっ」

透「こんなに……こんなに近くにいる」

透「いままでで、一番近い」

透「嬉しいな」

P「なあ、あんまり見つめあってると、こっちとしても照れるんだが……」

透「ドキドキ、してる?」

P「そ、そりゃ透みたいな綺麗な子に寄り添われて見つめあってたらな」

透「それ、お互い様だから」

透「手、貸してよ」

P「……? はい」

透「えいっ」

フニュッ

P「なな、な、なにして」

透「私の胸、触ればわかるかなって」

透「わかる? こう、心臓の動く感じ」

P「わ、わかる、わかるよ! だからその、手を……」

透「ふふ、こういうとこ触られるの、普段なら苦手……っていうか嫌なはずなのに」

透「いまは全然そんなことないんだ」

透「なんなら……揉んでみる?」

P「お、大人をからかうなって」

透「ごめんごめん。はい、手、返すね」

透「プロデューサー」

透「ううんーー」

透「ーーP」

透「好きだよ」

透「好き」

透「あのときから」

透「ずっと」

透「想い続けてた」

P「透……」

透「僕はあなたが好き」

透「私はプロデューサーが好き」 

透「浅倉透は、Pが、好きです」

P「……ありがとう。透」

P「俺h……むぐっ」

透「返事、いましなくていいから」

透「いまは私が言うだけ言って満足するだけでいい」

透「ちゃんとした返事は、私をもっと惚れさせてからでいいよ」

透「信じてるから」

P「……」

透「さ、帰ろう」

透「まだまだ目指すべきとこ、あるんだからさ」

P(それから、透はモデル兼マルチタレントとして成長を続けた。雑誌を開けば透あり、お茶の間の笑いあるところに透あり、だ)

P(アイドルとしてのnoctchillは臨時で活動するグループへと変化していき、メンバーが各々別で働くことがメインとなった)

P(283プロには、事務員が数名新たに雇用されるようになった。まあ、事務所としてもお金を持つようになってきたから、ブラック同然の体制を変えようとしてのことだろう)

P(俺は、透の専属プロデューサーになることを決めた。noctchillのプロデューサーには、人員補填で少しばかり暇になったはづきさんが就くこととなった)

P(最近は、デスクワーク以外の時間のほとんどは円香と過ごしている)

P(それが日常になった)

~滑走路~

P「こ、これが……」

透「283プロが購入したプライベートジェット、なんだよね」

P「ああ……」

P「あの社長、実はこういうのに憧れてたんじゃ……」

透「ほら、早く乗ろうよ」

P「ま、待ってくれ!」


P「……すごい景色だな」

透「すごい高度だからね」

透「これで私たち、また一つてっぺんにたどり着いたね」

P「はは……そうかもな」

透「物理的なてっぺん、だね」

P「でも、ほら」

P「宇宙はまだまだ広い」

透「うん」

透「だから、私たちも」

透「まだまだ、「てっぺん」を目指し続けることができる」

透「諦めずに、ずっと」

透「頑張ろうね、プロデューサー」

P「ああ! もちろんさ」

P「俺たち2人で、どこまでも!」

透「うん!」

END.

加筆:>>185のP「……すごい景色だな」 の前に~上空~を挿入

浅倉透のエンディングが1つクリアされました。

市川雛菜に関するエンディングに行くための条件のクリア状況には変化が起こりませんでした(条件は残り2つ)。

今回、ロックされた選択肢が観測されました。このような選択肢は、特定の条件がクリアされることによって解放されます。

冒頭に戻ります。

~Pの自宅~

ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピ……

P「……っ」

P「……朝か」


P「いってきます。……って、まあ一人暮らしなんだけどな」

P「よし! 今日も一日頑張るか!」


~駅前~

P(事務所まであと少しだが……)

P「っ、暑いな、まったく……」

P「そうだ」


1.我慢できん……とりあえずコンビニに入ろう。
2.急いで事務所に行けばクーラーの効いた部屋が待っている!
3. 路地を歩けば涼しいかな……?

選択肢↓2

(とりあえずここまで)

>>184

訂正

P(最近は、デスクワーク以外の時間のほとんどは円香と過ごしている)
→P(最近は、デスクワーク以外の時間のほとんどは透と過ごしている)

失礼いたしました。

P(急いで事務所に行けばクーラーの効いた部屋が待っている!)

P(少し小走りで向かうか……!)タッタッタッタッ

~事務所~

P「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、っ……はぁっ、ぁあっ」

P「つ、着いた……」

P(日ごろの運動不足がたたってしまった……)

P(が、しかし!)

P「涼しい~~」バタリ

P(なんだか事務所に人の気配もしないし、玄関だけど座っちまうか)

P ハァッハァッ

P(……い、息が上がったままだ……)

P(もう少し身体を動かしたほうがいいのかな?)

P「あ……」


「――なんだ、変質者かと思ったらあなたでしたか」


P「あ、ああ。おはよう円香」ハァハァ

円香「ハァハァいいながら挨拶しないでもらえますか? 不快極まりないので」

P「ご、ごめん……」

P「駅前から走ってきたもんだから、こんなになっちゃって」

円香「いい年した大人が街中で走っちゃうなんて……あなたはドラマの主人公か何かなんですか? ミスター・ヒーロー」

P「いい年っていったってまだ20代だからな」

円香「もう20代、の間違いでしょ」

P「うう……涼しい部屋に早く入りたかったんだよ。よいしょっと」

P「いま事務所には、円香1人か?」

円香「ええ。不幸にも」

円香「だから玄関から息を荒げた人物の気配がしたときは通報する準備をして向かいましたよ」

P「すまない……それは怖かったよな」

円香「……冗談だっての」ボソッ

P「え?」

円香「ひとりごとです。お気になさらず」

P「ひ~か~りあつ~めて~ひ~びけとお~くへ♪」カチャカチャ

P「む~す~んだ~き~ず~な~し~んじて~♪」コポポポポ

円香「気味の悪い鼻歌を歌いながらコーヒー淹れるのやめてくれますか?」

P「気味の悪いって……お前らの歌だぞ」

円香「ええ。ですから、私たちの大切な歌に傷がつくので、やめてほしいと言ってます」

P「ひどい……その「私たち」にはプロデューサーである俺は入ってないのかよ」

円香「それは……」

P「……ははっ、そこで言い返さないあたり、円香は優しいな」

円香「なっ……!! さっきからサビの同じ箇所しか歌ってない人に言われたくありません!」

P「正直、スマンカッタ。あ、いや、歌詞とんじゃってな」

円香「最低」

P「じゃあ、今度はバッチリ歌詞覚えて歌うから、な?」

円香「結構です。これからレッスンまでの間、宿題をやるので、静かにしていてください」

P「わかった。そうするよ」

透「あ、樋口。やっぱり来てた」

円香「うん……まあね」

透「レッスンだもんね」

円香「それ以外になにがあるの」

透「ふふっ、ひみつ」

円香「……何それ」

透「……そうだ、樋口。ちょっとそこでジャンプしてみてよ」

円香「は? なんで」

透「小銭欲しくて」

円香「最初からお金貸してっていいなさいよ……」

円香「いくら必要なの?」

透「あ、くれるんだね」

円香「あげるんじゃない、貸すの。で、いくら?」

透「150円」

円香「コーヒー1本ぶんくらいだけど」

透「うん。それでいい」

透「さっき飲み物買いにコンビニ入ったんだけどさ」

透「財布、忘れちゃってて」

円香「いい加減学びなさいよ」

透「ふふっ、コーヒーの匂いだ」

円香「……あの人のこと言ってる?」

透「うわ、樋口、すごい顔」

円香「話しかけたいならそうすれば?」

透「そうだね。そうする」


透「プロデューサー、おはよ」

P「お、透か。おはよう」

透「コーヒー、淹れてるんだね」

P「ああ、見ての通りな」

P「飲むか?」

透「熱いの苦手だけど……うん、飲んでみようかな」

P「苦手なのか」

透「前にそう言った気がするけど」

透「プロデューサーって、記憶力あんまりよくなかったりする?」

P「いや、そんなことはないと思う……」

透「……」

P「透?」


1.もしかして、怒ってるのか?
2.俺の顔に何かついてるか?
3.アイスコーヒーなら好きなのか?

選択肢>>12

間違えました。↓2で再安価です(

P「アイスコーヒーなら好きなのか?」

透「まあ、嫌いじゃないけど」

透「……」

透「……ふふっ、もう」

P「?」

透「いいや、向こうでスマホいじってるね」

P「あ、ああ……」


円香「何話してたの?」

透「ううん、特には」

円香「……そう」

透「やっぱ、プロデューサーはプロデューサーだなって」

円香「?」

透「ふぅ、時間まで、ここでスマホでもいじってようかな」

円香「飲み物」

透「?」

円香「飲み物、買いに行くんじゃなかったの」

透「あ」

透「ふふっ、忘れてた」

円香「もう」

透「じゃ、買ってくる」

円香「いってらっしゃい」

P「よ~し、じゃあ仕事すっか」

円香「いちいち報告しなくていいので。どうかご静粛に」

P「わ、わかったよ。ごめんな」

円香「……」

ガチャ

P「お、誰か来たのかな」

タタタタタ

小糸「お、おはようございますっ!」

P「小糸か。おはよう」

円香「おはよ」

小糸「はいっ、プロデューサーさんおはようございます」

小糸「あ、円香ちゃんもう来てたんだ」

円香「浅倉ももう来てるよ」

小糸「そうなんだ? 透ちゃんどこにいるの?」

円香「いまは飲み物買いにいってる」

小糸「あ、そうなんだね」

ガチャ

タ、タ、タ、タ

雛菜「やは~おはようございます~」

小糸「ひ、雛菜ちゃん! おはようっ」

円香「……」

P「おはよう雛菜。よし、これでnoctchillの全員が揃ったな」

雛菜「プロデューサーに小糸ちゃん、それに円香先輩も~」

雛菜「プロデューサーは、今日もお仕事?」

P「ああ、もちろん。アイドルのプロデュースに精を出してるところだ」

円香「まだ働いてないでしょ」ボソッ

P「そ、それは言うなって……」

雛菜「あは~プロデューサーと円香先輩、なかよし~って感じ~?」

雛菜「じゃあ、雛菜もプロデューサーと仲良し~ってする~」

P「ひ、雛菜、近いって……」

円香「……っ、あの!」

P「わっ」

円香「仕事、しなくていいんですか。ミスター・社会人(仮)」

P「そ、そうだな。悪いな雛菜、また後でな」

雛菜「うんっ、またあとでね~プロデュ~サ~」

円香「ふんっ」ムスッ

小糸「ぴゃっ……ま、円香ちゃん、怖い……」

円香「別に怒ってないから」ナデナデ

小糸「ふわぁぁ、……って、子どもじゃないんだからね!」

雛菜「あは~みんなしあわせ~って感じみたいだね~」

数時間後

P(今日のnoctchillはレッスン漬けだったよな)

P(あいつらのことだから心配しなくてもいいかもしれないけど……)


1.まあでも、様子を見に行くか!
2.仕事で疲れたし昼寝でもしよう。
3.休憩がてらはづきさんと話すか。

選択肢>>18

ああ……ほんとごめんなさい……共通ルートはコピーして使ってることもあるのでまた間違えてしまいました(実は会話は微妙に変わってるんですが)。

選択肢(再安価)↓1

P(休憩がてらはづきさんと話すか)

P(昼休みになったら話しかけてみよう)


はづき「んっ、あぁあぁ~」

P「ははっ、お疲れ様です。コーヒーでも淹れましょうか?」

はづき「あ、お願いします~」

P「今日はデスクワークなんですね」カチャ

はづき「ええ、そうですね」

はづき「ありがたいことにこの283プロも忙しくなってきてるわけですけど」

はづき「忙しくなったぶん、こうしてプロデューサーさんと何気なく会話するのも久々な気がしますね~」

P「そうかもしれないですね」コポポポ

はづき「そういえば、思ったんですけど」

はづき「プロデューサーさんとnoctchillのみんなの距離感って、なんだか不思議なものを感じるというか」

P「え、そうですか?」

はづき「はい。あ、別に変な意味とかじゃないですよ」

はづき「ただ、こう、どこか隠れた絆を感じるといいますか」

P「……俺のプロデュースがうまくいってる証拠ですかね」ドヤッ

はづき「ふふっ、いまのプロデューサーさんの顔、いい感じにうざいですね~」

P「そ、そうですか……」

はづき「冗談ですよ~」

P「まあ、何というか、良い意味で新鮮さはないですね。懐かしい感じというか、昔から知っていたような……」

P「昔から……」

P「……」

はづき「プロデューサーさん?」

P「はっ……はい」

はづき「それ、わかりますよ~って思ったんです」

はづき「旧知の仲みたいな感じがあるんですよね~」

はづき「特に、透さんとか」

P「透ですか」

P「……初めて会った気はしないんですよね」

P「ただ、それもあんまりはっきりとはしてなくて」

P「……」

はづき「ドラマですね」

P「そういうロマンチックなものなんですかね、これって」

はづき「透さんがプロデューサーさんに向ける視線っていうのが、アイドルとプロデューサー、とは少し違う感じがするんですよ」

はづき「何かに期待しているような、一方で何かを不安に感じているような」

はづき「何かを待っているような、一方で何かを悲しんでいるような」

はづき「そんな感じですかね~」

P「そ、そうですか……」

P「まあ、アイドルが不安を抱えてるなら、俺がケアしてやらないとですね」

はづき「私が力になれることがあれば、言ってくださいね」

はづき「私だって、アイドルのケアをしたいんですから」

P「はい。その時はお世話になります」

P「女性にしかわからないことってあるでしょうし」

はづき「あっ、プロデューサーさんプロデューサーさん」

はづき「アイドルのケアもいいですけど、私のケアもしてみませんか?」

P「は、はづきさんのケア……ですか?」ドキッ

はづき「いつもアイドルのことを考えてるプロデューサーさんかもしれませんけど」

はづき「同僚の私としては、私の話も聞いて欲しいな~って」

P「あ、はあ……そういうことですか」

はづき「?」

P「ええ、喜んで」

はづき「やった。プロデューサーさんとお話タイムです~」

はづき「えっとですね、プロデューサーさん」

はづき「最近、私が会得したスキルがあるんですよ」

はづき「なんだと思いますか~?」

P「はづきさんの新しいスキル、か……」


1.「フッ……ついに、必殺「よし、楽しく話せたな」を会得したな!! はづきよ!!」
2.「もしかして……まさかのはづきルート誕生!?」
3.「正解したらはづきさんシール114514枚くれますか?」

選択肢↓1

P「ククククク……」

はづき「?」

P「フッ……ついに、必殺「よし、楽しく話せたな」を会得したな!! はづきよ!!」

はづき「ふっふっふ~。ばれちゃ仕方ないですね」

はづき「何を隠そうこの七草はづき、なんとプロデュースのスキルを身につけ始めました!」

P「フッフッフ……え、マジですか?」

はづき「マジですよ~」

はづき「あ、もちろんプロデューサーさんのお仕事をとっちゃうつもりはないですからね」

はづき「いまはこの283プロも少人数ですけど、このまま成長していくと社長も人員補填を考えるでしょうし」

はづき「そうなったら、私がいましてる仕事も新しい人たちに引き継いでいくかなーと考えて」

はづき「アイドルも変化が求められる時代ですから、何があっても良いように、プロデュースとは、とか勉強してるんです」

P「そうだったんですね」

はづき「例えば、noctchillのメンバーの1人がソロで活動し始めたとすると」

はづき「それがうまくいけば、私がnoctchillのプロデューサになることで、プロデューサーさんはそのソロ活動をしてる子の専属になれる」

はづき「とか思ったわけです」

はづき「もちろん、可能性の話ですし、私はプロデューサーさんとアイドルの子達の意見を尊重しますけどね」

P「はづきさんのすごさには頭があがりませんよ」

P「なんでもできるじゃないですか」

はづき「なんでもはできませんよ~できることだけ」

P「ははっ、どっかで聞いたことのあるセリフですね」

はづき「眼鏡をかければよりそれっぽくなるでしょうか」

P ジーッ

はづき「……」

はづき「もう、プロデューサーさん? 視線がえっちですよ~」

P「ご、ごめんなさい、つい……」

はづき「プロデューサーさんなので、許してあげちゃいますね」

P「面目ない……」

P(昼休みははづきさんと話した)


はづき「もう、プロデューサーさ~ん? ふふっ」


P(よし、楽しく話せたな)

P(アイドルではないけど、はづきさんもふつうに――いや、かなり可愛いよな)

P(……スカウトしたらノッてくれるかな)

P「……」

P(さて)

P(あいつらが帰ってくるのを待つか)

P(もう少しであいつらも帰って来る頃だな)

ヴーッヴーッ

P「……? LINEか」

P「透から、だな」


透『いまそっちに向かうとこ』

透『このあと』

透『みんなが解散したあと、時間ある?』

透『よかったら、話したい』

透『他のみんなには内緒で』


P(何か込み入った事情があるのか?)

P(他のみんな……っていうのはnoctchillのメンバーのこと、だよな)

P(どう返信したものか……)

P(あの3人を撒くんだよな)

P「……」

ガチャ

P(え、もう来たのか?)

P(ど、どうしよう)

円香「お疲れ様です」

P「あ、あぁ、円香か……お疲れ」

円香「疲れてるところにそういう顔で出迎えられるととても腹立たしく思いますね」

P「ごめんな。別に円香だからどうってわけじゃないぞ。気にしないでくれ」

円香「……そんなこと言ってないし」

円香「……そうだ」

P(し、舌打ち……)

円香「このあと、時間、ありますか?」

P「へ?」

円香「大変不本意ですが、それもあなたがプロデューサーとしての力があると思って、相談したいことがあるんです」

P(こ、これは……)


1.円香に応える。
2.透に応える。
3.2人とも断る。

選択肢↓2

(とりあえずここまで)

今更だけどsR樋口のコミュ溶ける言葉で浅倉普通にコーヒー買って飲んでたから若干違和感が

>>215

>>1です。私の書き方が悪かったのかもしれないのですが、コーヒーが嫌いというわけではなくて、(私としては)透はPが淹れたばかりの激熱(熱々?)のコーヒーはちょっと……ってなってるだけ(のつもり)です。透のMorning⑧で「熱いの苦手なんだ(選択肢:「マグも、ちゃんと置いて」)」「うん……コーヒー、そんなに得意じゃないのに(選択肢:「シミになるかな」)と言ってるので、それをもとに書きました。まあ、コーヒー苦手じゃないならなんで(円香の件のコミュで)コーヒー買ってるんだって話なんですけどね。

見落としてる点があったらすみません。

では、再開します。

P(どちらかを特別扱いするのは……)

P(プロデューサーとして、どうなんだろうか)

P(……よし)

P「すまない、まだやらなきゃいけないことが残ってるんだ」

P「埋め合わせはするから、今日は勘弁してくれ」

P「ごめんな」

円香「……そうですか。じゃあもういいです」

P(もういいです、か)

円香「帰りますので、それでは」

P「他の3人は待たなくていいのか?」

円香「私が1人で帰るのに理由が必要ですか? あの3人と帰らなきゃいけない義務でもあるんでしょうか」

P「い、いや、そんなことはない……ぞ」

P「お疲れ様」

円香「……っ」

P「……」

透「プロデューサー」

P「あ、ああ、おかえり、透」

透「返事」

P「今日はまだやらなきゃいけないことがあるんだ」

P「すまん。頼む。埋め合わせはするから」

透「……いいよ、別に」

透「あれ、樋口は?」

P「えっ……円香なら、さっき1人で帰ったぞ」

透「えー」

透「もしかして、怒らせたの?」

P「そ、そんなことないぞ?」ギクッ

透「ふーん」

小糸「あっ、透ちゃん! 帰るの?」

雛菜「やは~私も透先輩と帰る~」

透「うん。あんまり帰りたくないんだけど、帰らなきゃいけないんだって」

小糸「?」

雛菜「そっか~、じゃあ帰ろ~」

雛菜「プロデューサー、ばいば~い」フリフリ

小糸「ま、また明日です! プロデューサーさんっ」

透「まだやらなきゃいけないこと、ね……」ボソッ

小糸「透ちゃん……?」

透「ううん。なんでもない。帰ろ」

小糸「そ、そうだね」

雛菜「~♪」

P「……」

P(はづきさんはもうあがっているし)

P(社長は、今日一日仕事で席を外している)

P(事務所に1人、か)

P「……はぁ」

P(嘘なんだよな。やることがある、だなんて)

P(透と円香、どっちかをとるような真似は――できない)

P(俺はプロデューサーとして正しい判断をしたんだ)

P(そうだろ?)

プルルルルル、プルルルルル

P(電話か)

カチャ

P「はい。283プロダクションです」

「――……」

P「……?」

P「あの、もしもし?」

「――……」ザザザ

P(いたずら電話か?)

「……けてっ……」

P「っ! もしもし!? もしもし!?」

「……わた……し、は……」

「――……」ザザザザザ

プーッ、プーッ、プーッ

P「な、何が起こってるんだよ」

P(でも、いまの声……)

P(当たって欲しくない予想があった)

P(……円香の声に似てる、だなんて)

P(その後、俺はいてもたってもいられなくなり、事務所に鍵をかけて飛び出した)

P(頭をよぎってしまったことが嘘だと信じたくて)

P(それを立証したくて)

P(目的地なんてないのに、無意識に俺は走っていた)

P(円香はこの道で帰るんじゃないか……そんなことを思って)

P(そして――)


P(――嘘だと信じたかったことは、信じきることができなかった)

P(嘘じゃ、なかったから)

P(俺が足を止めたのは、円香の自宅付近の通学路付近の路地だった)

P(アイドルの通学・通勤路は事務所側で把握していたから知っていた。円香のそれをうろ覚えではあるが思い出しながらたどった)

P(正規に登録されている道順には“なにもなかった”)

P(俺は考えてしまった)

P(「気分転換に通るなら、例えばこの道では……」と)

P(……)

P(もう暗かった。その路地は街灯すらないようなところだった)

P(半ば道をふさぐようにして横たわる人影を見つけた)

P(さっきまで、会話をしていたシルエットと同じだと気づいたのは、暗さに目が慣れたのと同時だった)


P「っ!! 円香っ!!!」ガシッ

円香「……」クルッ

P「……ぁ」

P(致命傷。見た瞬間に二度と息を吹き返さないことがわかるような大きな傷を、円香は胴体に負っていた)

P(見たことのない、知識でだけ知っているものが、円香からこぼれてくる――)

P「――っ! はぁっ、はぁっ、……」

P(ただ、1つ、不自然なものが混じっていた)

P(それは……手紙のようなものだった)

P(円香の“中”から、それが現れた)

P(俺は、それを手にとった)

P「……」

P「『あなたへ』」

P ペリペリペリペリ

P ペラッ

「最近物騒。この辺で1人の女の子をねらった事件が起きてる。
 この子である必要はなかった。たまたま、1人で、ここに、あ
 の時間に、来たから。それだけ。

 それだけ」

P「アッ、エ、エエッ」

P「……」

P「??? ! !?!?」

P「――あぁあああぁぁぁああぁぁあぁああアァッ」

END.

1.直前の選択肢に戻る。 
2.冒頭に戻る。

選択肢↓1

P(もう少しであいつらも帰って来る頃だな)

ヴーッヴーッ

P「……? LINEか」

P「透から、だな」


透『いまそっちに向かうとこ』

透『このあと』

透『みんなが解散したあと、時間ある?』

透『よかったら、話したい』

透『他のみんなには内緒で』


P(何か込み入った事情があるのか?)

P(他のみんな……っていうのはnoctchillのメンバーのこと、だよな)

P(どう返信したものか……)

P(あの3人を撒くんだよな)

P「……」

ガチャ

P(え、もう来たのか?)

P(ど、どうしよう)

円香「お疲れ様です」

P「あ、あぁ、円香か……お疲れ」

円香「疲れてるところにそういう顔で出迎えられるととても腹立たしく思いますね」

P「ごめんな。別に円香だからどうってわけじゃないぞ。気にしないでくれ」

円香「……そんなこと言ってないし」

円香「……そうだ」

P(し、舌打ち……)

円香「このあと、時間、ありますか?」

P「へ?」

円香「大変不本意ですが、それもあなたがプロデューサーとしての力があると思って、相談したいことがあるんです」

P(こ、これは……)


1.円香に応える。
2.透に応える。
3.2人とも断る。

選択肢↓2

(とりあえずここまで)

P(透には悪いが、ここは円香に応えることにしよう)

P「ああ、時間ならあるぞ」

円香「わかりました。それでは、私は事務所に残りますね」

P(透に連絡しておこう)

P『すまない。別件があるから、今日は無理だ』

P『またの機会に埋め合わせするから、堪忍な』

P(これで、よし……)

>>224

訂正


円香「……そうだ」

P(し、舌打ち……)


から


円香「……そうだ」

P(な、なんだろう……)



失礼いたしました。

P(その後、noctchillの全員が事務所に帰ってきて――)


透「プロデューサー」

P「あ、ああ、おかえり、透」

透「……」

透「……また今度、ね」

P「すまん。頼む」

透「いいよ、別に」

透「それじゃ、私は帰るから」

小糸「あっ、透ちゃん待って!」

雛菜「やは~私も透先輩と帰る~」

雛菜「あれ~? 円香先輩は帰らないの~?」

円香「うん、私は用事があるから、少しここに残る」

雛菜「そっか~、じゃあね~。ばいば~い」フリフリ

小糸「ま、まま、またね! 円香ちゃん」

透「別件、か……」ボソッ

小糸「透ちゃん……?」

透「ううん。なんでもない。帰ろ」

小糸「そ、そうだね」

円香「……」


P(――という感じで、今に至る)

P(今は、事務所には俺と円香の2人だけだ。はづきさんはもうあがっているし)

P(社長は、今日一日仕事で席を外している)

P(気まずいな……)

円香「あの」

P「うぉわっ!」

円香「うわっ、びっくりした」

円香「女子高生相手に何キョドってるんですか? アイドルのプロデューサーともあろうお人が」

円香「もしかして、女の子と手をつないだこともなかったりして。ミスター・童貞」

P「……言ってくれるな。久々にキレちまったよ……」

円香「あ、そういうのいいんで」

P「そ、そうか」

円香「……」

円香「……さすがに今のは言いすぎでした」

円香「ごめんなさい」

P「いや、いいんだって。いつもの円香だろ」

円香「……」

円香「ふふっ……何それ」

P「それで、話って、なんだ?」

円香「……いま、この事務所に私たち以外の人はいますか?」

P「いないな」

円香「じゃあ別にいいか。いえ、他の人にはあまり聞かれたくないので」

P「安心しろ。聞き耳立ててるやつはいない」

円香「……」

P「……ソロでの仕事を増やして欲しい、か」

P「円香からそういった提案があるとは、正直意外だったよ」

P「まあ、プロデューサーとしては、アイドル業に積極的になったのは嬉しいぞ」

円香「ええ、まあ……」

P(相変わらずの態度ではあるが)

P「一つ、聞いてもいいか?」

円香「なんでしょうか」

P「noctchillとして活動することに嫌気がさしたとか、そういうのはあるか?」

P「一応、聞いておきたくてな」

円香「そういうのはないです。別に」

P「なら良かった。お前ら仲良しだろうし、いらん心配だったかな」

P「それにしても、ソロの仕事、ね」

P「具体的にこうしたいっていうのはあるのか?」

円香「特には……あ、いえ、そうですね」

P「?」

円香「役者、とか」

P「お、……おお! そうか! 円香はそういうのがやりたいのか」

円香「ええ。演技を少し磨きたいですね」

P「いやぁ、なんだか、こう、ようやくプロデューサーとして円香に接することができたみたいで嬉しいよ」

円香「何を言ってるんだか。あなたは最初から私のプロデューサーでしょう?」

P「それもそうだな。いや、嬉しくてつい、な」

P「わかった。そういうことなら、頑張って仕事を見つけてみよう」

P「ただ、無理はさせたくないし、とりあえずいまの段階では円香はあくまでもアイドルとして売り出していくというのはOKか?」

円香「はい。それは大丈夫です」

P「そうか。まあ、あくまでもアイドルだから、こういうのがNGとかあったら、円香からも言ってくれよ。もちろん、事務所として、あるいはプロデューサーである俺として事前に設定することもあるけどさ」

円香「わかりました。どんだけ心配性なんですか。あとおせっかい」

P「だって……だって、なあ……」

円香「ニヤニヤしててキモい」

P「うぐっ、女子高生に言われると刺さるな……」

円香「それでは、帰りますので」

P「ああ、気をつけてな。仕事が片付かなくて送っていってやれないが」

円香「この時間なら気にする必要もないでしょ。もしかして、優男アピールですか? それなら遠慮しておきます」

P「はは、そうか。わかった。じゃあな」

円香「ええ」

タッタッタッ

ガチャ

バタン

P「……」

P「円香も変わった……な」

P(それから、円香の要望どおり、俺は円香に役者としての仕事がまわってくるよう努めた)

P(もちろん、円香自身もオーディションに参加しながら)

P(そうして、チョイ役ではあるが仕事がくるようになった)

P(円香もそれを淡々とこなしている)

P(俺は素直に感心していた)

P(円香が仕事を楽しんでくれればいいな、と思った)

P(態度は相変わらずだけど)

P(新人役者の円香としての仕事には、俺もマネージャー的な役割でついていった)

P(自然と、円香と過ごす時間は長くなっていった)

~事務所~

P「円香、円香はいるか?」

円香「連呼しなくても……ここにいますが、何ですか」

P「脇役だが準レギュラー的な仕事だぞ!」

円香「……そうですか」

P「ああ!」

円香「受けますので、その仕事。はい、もういいでしょ」

P「わかった! それじゃ先方にはそう連絡しておくよ!」ダダダ

円香「全く……ミスター・高燃費」

雛菜「あは~、円香先輩、ニヤニヤしてて気持ち悪~い」

円香「なっ! 何言って……」

雛菜「な~んて、ニヤニヤしてるのはうそ~」

円香「っ!」

雛菜「でも、なんかしあわせ~って感じの顔だった~」

円香「気のせいだから。ほんと」

雛菜「え~? そうかなぁ」

円香「そうなの」

雛菜「じゃあ、そういうことにしといてあげるね~」

円香「……ったく」

雛菜「あ、見てみて~」

円香「何?」

雛菜「いま雛菜が読んでる雑誌にね、ほら」

円香「……浅倉」

雛菜「そ~透先輩が載ってるんだ~」

雛菜「こうしてみると、透先輩ってやっぱかっこいいし綺麗~」

円香「はいはい、よかったわね」

雛菜「え~なんか円香先輩感じわる~い」

円香「感じ悪くて結構」

雛菜「でもね~」

雛菜「透先輩って、最近はアイドルの仕事よりも1人の仕事のほうを楽しみ~にしてる感じがするな~」

雛菜「円香先輩もそうだよ~」

雛菜「雛菜はね、そういうの、少し寂しいな~って思ったり~」

円香「……別に私は」

雛菜「やは~。先輩たちがnoctchillを避けてるとかいうつもりじゃないから安心して~」

円香「!」

雛菜「雛菜はね、雛菜がしあわせ~って思えることだけでいいの。noctchillのみんなでお仕事するのはしあわせ~」

雛菜「先輩たちがそれぞれソロで仕事してても、2人ともしあわせ~に思ってるなら、別に雛菜はしあわせ~って感じ」

雛菜「ちょっと寂しいけどね~」

円香「……ありがと」ボソッ

雛菜「ん~?」

円香「ううん、なんでもない」

~某市街地、雑誌の撮影~

P「透はこの雑誌によく呼ばれるようになったよなー」

透「イェーイ」

透「やったね」

P「円香に続いて透も……徐々にソロでの活動が増えてきているな」

透「……ねえ、プロデューサー」

P「なんだ?」

透「撮影終わったらさ、あそこ、いきたい」

P「あそこって?」

透「ほら、さっき通りすがりに見かけた公園」

P「あぁ、ジャングルジムのあったところな」

透「! そう。行きたいな」

P「わかった。じゃあ、撮影が終わったら行こう」

透「うん」

撮影後。

P「ジャングルジムは……」

透「……使用禁止、って書いてあるね」

P「危険だから撤去するってことなのかな」

透「……」

P「登りたかったか?」

透「うん……」

P「それは、残念だったな」

P「まあ、でも、せっかく来たんだ。いい天気だし、そこのベンチに座ってゆっくり休まないか?」

P「あれなら、アイス買ってこようか? すぐそこにコンビニあるし」

透「……うーん」

透「アイスはいいや」

透「最近、たくさん食べてるからさ」

P「そうか……」

透「あ、そうだ」

透「おにぎり」

P「え?」

透「おにぎり。そのコンビニで一番美味しそうなやつ買ってきて。それ食べたい」

P「……俺の感覚で選んじゃっていいのか?」

透「いいから。早く買ってきて」

P「わかった」

P「おまたせ」

透「一番美味しそうなおにぎりは?」

P「お望みどおり、ほれ」

透「……」

透「……ふふふふっ、な、なにこれ……」プルプル

P「だから、一番うまそうなのを買ってきたんだ」

P「塩むすびな。たくさんあるぞ」

透「あははははっ、や、やられたよ、プロデューサー」

P「ああ、正直、俺もずっとにやにやしっぱなしだった」

P「どうする? 食うか? 一応普通のおにぎりもいくつか買ってきたけど」

透「ううん、いい。腹いせにそれ全部食べてやるから」

P「無理するなよ」

透「うう゛~」

透「あ゛~」

P「どうした?」

透「飽きた……」

P「まあ、あれだけ塩むすび食い続けたらな……」

P「体調崩さないか心配だ」

透「そのときはプロデューサーに看病してもらう」

P「えっ」

透「してくれないの?」

P「……透が、それでいいのなら」

透「ふふ、変なの。私がお願いしてるのに」

P「わかった。じゃあ、つらくなったら言ってくれ」

透「うん、そうする」

透「……樋口」

P「?」

透「樋口、最近ソロでの仕事増えたよね」

P「それは透もだろう」

透「でも、樋口が一番ソロで仕事してる」

透「テレビでも時々見るようになった」

P「まあ、まだまだ駆け出しとはいえ役者もやってるわけだからな」

P「そのために個別にそのためのレッスンやオーディションを受けてるよ」

P「あいつも成長したよ……あ、こう言ってたって円香には言うなよ。何言われるかわかったもんじゃないし」

透「ふふっ……言わないよ」

透「いや、なんていうか」

透「プロデューサーはさ」

透「樋口が自分からソロで仕事するようになったのかな、って、思わない?」

透「樋口って、私が心配でアイドルになったようなものでしょ」

P「それは……、あいつもこの世界の仕事が楽しくなってきたとかじゃないのか?」

透「それがないとは言えないけど、でもどうかな」

透「他に理由があるんじゃないかな」

P「そう、なのか?」

透「うん。私の勘」

P「透と円香は付き合い長いから妙に信憑性があるなそれは」

透「あーあ」

P「どうした」

透「んー」

透「ジャングルジム、登りたいなって」

P「使用禁止だしそれは……」

透「「てっぺん」、目指したくて」

P「……」

透「今はまだ、登ってる途中だけど」

透「また、一緒に登りたい」

P「透?」

透「ねえ、プロデューサー」グイィッ

P「う、うわぁっ」ヨロッ

P(って、近っ!)

P(透に胸倉を掴まれるような形でひっぱられ、いまにも唇が触れてしまいそうなくらいに顔が向き合っている)

P(透の綺麗な顔立ちから、目が離せない。透の視線から、逃れられない)

P(捕獲されたような、そんな感じ)

透「プロデューサーは、さ」

P(透の吐息を感じる。声に熱を感じる)

透「いま、目の前に誰が見えてる?」

P「そんなの、透に決まって……」

透「そういうことじゃなくて、ね?」

透「……答えて」

P「……」


1.「円香が見えてる」
2.「透が見えてる」
3.黙秘する。(既読)

※以降、既に見たルートへの分岐には「(既読)」が付きます。

選択肢↓2

(とりあえずここまで)

P「透が見えてる」

P「俺には、透が見えてるよ」

透「……」

P「……」

透 ジッ

P ゴクリ

透「……もう」

透「嘘つき」

P「えっ?」

P(そう言うと、透はもとの体勢に戻った)

透「違うでしょ。プロデューサーの目に映ってるのは」

透「心の中では、私じゃない誰かを見てる」

P「透……」

透「でも、やばかった」

透「私が見えてるって言ってくれたとき」

透「刺さったかも」

透「……っ」

透「でも、でも、駄目だよ」ポロ

透「うっ……」グスッ

P「と、透……大丈夫か?」

透「だめ!」

P ビクッ

透「いまきちゃ、だめ」

透「……」

透「本当に、好きになっちゃうからさ」

P「……」

透「ごめんね。急に泣いたりして」

透「登ろ、ジャングルジム」

透「これで、最後だから」


P「よいしょっと」

P「ふぅ。久々に登ると運動不足を実感するな……」

透「ふふっ、プロデューサー、遅すぎ」

透「……あのときとは、順番が逆だね」ボソッ

P「え?」

透「なんでもない」

P「景色」

P「確かに普段とは違う目線の高さだけど、まあ、それだけって感じもする」

P「だけど、なんだろうな、この感じは」

P「無性に懐かしい気がするよ」

透「っ」

P「……昔さ」

P「男の子とジャングルジムに登ったんだ」

P「その子はさ、言うんだよ」

P「のぼってものぼっててっぺんに着かない、へんなジャングルジムがあるって」

P「たしか、そんなことを言ってたと思う」

P「もう古い記憶で、あんまりちゃんと思い出せなかったり、あいまいなところがあったりするけど」

P「なんだかとても大切な記憶な気がするんだよ」

P「って、変な話してごめんな。おっさんのよくわからない昔話とその感想なんて聞いてもしょうがないよな」

透「……ううん」

透「そんなことない」

透「きっと、喜んでるんじゃないかな」

透「その男の子も」

P「喜んでる?」

透「プロデューサーがそうやって、覚えていてくれて」

透「何気ない思い出だったとしても、その男の子にとっては、プロデューサーとジャングルジムを登れたことが、大きな一歩になってるかもしれないでしょ」

P「そういうものか?」

透「そういうものだよ」

P「じゃあ、そういうことにしておくか」

透「そういうことにしておいて」

透「そろそろ降りる」

P「満足したのか?」

透「あー」

透「うん、まあまあ、ね」

透「いまはいいかなって、思えたから」

P「?」

透「なんでもない」

透「よっと」

P「あ、透、待ってくれ」


P「っしょっと」

透「プロデューサー、降りる姿が頼りなかった」

P「そこは大目に見てくれ……」

透「もうちょっとかっこよくいて欲しかったかも」

透「んーっ」ノビーッ

透「はあっ。うん、スッキリした」

透「じゃ、帰ろ」

P「ああ」

透「あ、そうだ」

透「樋口と、仲良くね」

1ヵ月後。

~ドラマの撮影所~

P(よし、今日の撮影もうまくいったな)

P(ドラマの脇役の仕事――予想以上にうまくいってる)

P(自然体だが確かに演技はしていて、視聴者が日常とのギャップを感じずに入り込めるような、そういうスタイルなんだ、円香は)

P(円香の知名度もかなり上がっているし、次はメインキャラの仕事を取ってくることだってできるかもしれないぞ!)

円香「ふぅ」

円香「撮影、終わりました」

円香「……プロデューサー」

P「お、円香! お疲れ様」

P「今日の撮影もうまくいったな! プロデューサーとして鼻が高いよ」

P「お前は、俺の自慢のアイドルだ」

円香「っ/// そういう安直なコメントしかないんですか、ミスター・テンプレート」

P「と、とにかく、褒めてるってことだけは伝わってくれ……!」

円香「まあ、嬉しくないわけじゃないので」ボソッ

P「円香もとうとう俺に素直になってくれるようになったのか」

円香「……しくった。やっぱり今のナシで」

円香「というか、聞いてないフリするところなんじゃないですか? いまのは」

円香「あなたが困っているからと言って、優しくするようなことを言ったのを全力で後悔しています」

P「はは、円香は優しいよな」

円香「っっ!///」

円香「……うっさい! もう」

円香「ばか」

P「さ、じゃあ、帰るか。円香はもう家に直帰か?」

円香「……それもいいですが」

円香「スタジオで息がつまりそうなんで、どっか連れてってください」

P「どこか、ね。希望はあるか?」

円香「……」

円香「そうですね」

円香「遠くがいいです」

円香「ずっとずっと、遠いところ」

眠すぎるので寝ます。一旦ここまで。

P「なあ、円香」

円香「……なに」

P「遠くって、どこまで行けばいいんだよ」

P「ひたすら北上してるが……このままだと関東出ちまうぞ」

円香「わかってる。でも、もう少し進んで」

円香「あと二つ先で一般道に下りて」

P「……わかった」

円香「ふん……」


円香「そこ、左折して。あとはしばらく道なりだから」

P「了解した」

P「そろそろ目的地を聞いてもいいか?」

円香「そうやって急かすことしかできないんですか? ミスター・ハリー」

P「いや、でもな……目的地もわからずに運転させられてるっていうのは、こう、結構不安になるもんだぞ?」

P「円香にハイジャックされた気分だ」

円香「……ふふっ、なにそれ」

円香「私にハイジャックされるプロデューサー」

円香「……」

P「だから、な? 教えてくれよ」

円香「嫌です」

P「え?」

円香「嫌です」

円香「あなたをハイジャックできて、とても気分がいいので」

円香「はい、そこ、脇道に入っていって」

円香「行き止まりになったところが、目的地です」

P「はいよ。もう何も聞かないさ」


P「到着……か? ここって……」

P「温泉宿……いや、旅館か?」

P「幻想的な雰囲気だな。なんだか、非日常との邂逅という感じがする」

円香「一人思いにふけっているところ悪いですが、そろそろ降りませんか」

P「あ、そうだな。すまん」


P「案内されるままに来ちまったけど……」

P「え、その、泊まる、のか?」

円香「旅館って何のためにあるかご存じないんですか?」

P「泊まるため……」

円香「はい、正解」

P「予約とか必要なんじゃ……?」

円香「そんなあなたに、はい」

P「スマホの画面? ……予約済、か」

P「料金はどうしたんだよ」

円香「いま出演しているドラマのギャラで払いました」

円香「さ、入り口の前でたむろしてても迷惑でしょうし、早く入りましょう」

P「ま、円香……!」

円香「もう、なんなんです?」

P「円香は、俺と、泊まるってことで、いいのか?」

円香「っ///」

円香「……言わせないで、ばか」

~某温泉旅館~

――の1室。

P「ですよね――……」

円香「何か?」

P「いや、もうつっこまないぞ」

円香「出口の前に立ち尽くされたら目立つので、早く中に入ってきてください」

P「あ、ああ……」


P「ふぃー」ドカッ

円香「運転お疲れ様です。お茶淹れますね」

P「ありがとう」

P(円香……やっぱ変わったよな)

P(……変わりすぎなまである)

円香「どうぞ」コトッ

P「いただくよ」

P ズズズッ

P「はぁ~」

円香「……」

円香「どうですか、少しは気が休まりましたか」

P「ああ、これで温泉に入れば完璧だよ」

P「……もしかして」

円香「それ、あなたが言うとかっこ悪くなるやつですよ」

円香「だから――」

円香「――私に言わせて」ダキッ

円香「……」ギュッ

円香「ここに連れてきたのは、あなたを過労死させないためでもあるんです」ギュゥッ

P「そ、そんなに働いてるのか? 俺って」

円香「……いまにも倒れそうですよ」

P「それは大変だ……」

円香「運転、ずっとさせてしまってごめんなさい」

円香「私は、運転できないから」

P「高校生なんだ、仕方ないよ」

P「ん? 「あなたを過労死させないためで“も”ある」って、他に目的があるのか?」

円香「まあ……」

円香「……」

P「円香?」

円香「あっ、あなたと」

円香「っ……2人になりたくて!」

円香「一緒に、過ごしたくて」

P「円香……」

円香「いまの私の顔、見ないでください」

円香「見ないで……」

P「そもそも、円香が強く抱きしめてくるから、顔が埋もれちゃって見えないよ」

円香「ねえ」

P「なんだ?」

円香「もうしばらく、こうさせて」

円香「このままで……」

円香「……もう、大丈夫」

P「別に、遠慮しなくてもいいんだぞ?」

円香「遠慮なんてしていません」

円香「ふふっ、普段の態度から分かるんじゃないですか?」

P「確かに……」

円香「仕事」

円香「いま、順調です」

円香「おかげさまで」

円香「WINGにつづいて、またしてもあなたの力なしにはなし得ないことを、私はしてる」

円香「このままだと有名人ですね、私」

P「いいことじゃないか」

円香「ええ、仕事ではいいかもしれません」

円香「けど、有名になれば、それだけ世間の目を気にしないといけなくなる」

円香「そうなる前に、あなたとこうして旅をしたかった」

円香「そういうことです」

P「……また」

P「いや、いつだって、円香が臨むなら、俺は」

P「お前を連れて行くよ」

P「WINGの舞台に連れて行ったように、女優としてのステージに連れて行ったように」

P「どこにだって」

P「一緒に、歩んでいこう」

P「円k……ムグッ」

チュ

円香「んちゅ、はむっ……」

P「フグッ……ハフッ」

カツッ

円香「っ、いた……」

P「……」

P「歯、当たっちまったな」

円香「う、うっさい!」

円香「やっぱ……慣れないことなんてするんじゃなかった」ボソッ

円香「……」

P「……」

円香「//////」

P「ふぅ……」ポカポカ

P「いい湯だった」

P(家族用の貸し切り風呂も、混浴風呂もあったが)

P(円香はいなかったな)

P(さすがに欲しがりすぎか)

P「……」

P(何考えてるんだろうな、俺)


~部屋~

P「円香……遅いな」

ガチャ

円香「あ、もう来てたんですね」

P「円香こそ、ずいぶん長風呂だったみたいじゃないか」

円香「そうですか? 女子の風呂なんて、こんなもんでしょ」

P「そういうものかなぁ」

円香「そういうのに慣れてないプロデューサーには、わからないかもしれないですね」

P「あ、いまバカにされた気がするぞ」

円香「よくわかりましたね。日に日に知恵をつけているようで何よりです」

円香「がんばって知的生命体を目指してくださいね」

P「さらにバカにされた……」

円香 ニコニコ

P「飯も食ったし、もういい時間だよな」

円香「なんですか?」

P「いや、なんですか、って……」

P「もう寝ようかなって」

円香「随分と下手な誘い方ですね」

P「……別に、そんなんじゃないぞ?」

円香「まあ、でも――」

円香「――私はそのつもり」シュル

円香 ガバッ

P「え……うわっ」ドサッ

円香「……」

円香「あなたが、欲しいから」

P(それから、円香は役者として成長を続けた。一流の女優といっても良いくらいだ)

P(もちろん、アイドルとしてのnoctchillも健在だ。依然として人気は高い)

P(283プロには、事務員が数名新たに雇用されるようになった。まあ、事務所としてもお金を持つようになってきたから、ブラック同然の体制を変えようとしてのことだろう)

P(俺は、円香の専属プロデューサーになることを決めた。noctchillのプロデューサーには、人員補填で少しばかり暇になったはづきさんが就くこととなった)

P(最近は、デスクワーク以外の時間のほとんどは円香と過ごしている)

P(……もちろん、プライベートも含めて)

P(あれから、俺と円香は恋人同士になった)

P(円香がいつもあんな感じだから、あまり喧嘩というものがない気がする)

P(お互い遠慮してないような、そんな感じ)

P(仲睦まじく過ごしていた)

数年後。

~283プロが購入したプライベートビーチ~

円香「ここが」

P「あの社長、実はこういうのに憧れてたんじゃ……」

円香「いいの? 私たちが使っちゃって」

P「社長も円香が事務所の看板だからって、利用者第1号の座を譲ってくれたんだ。まあ、遠慮しなくていいんじゃないか?」

円香「そう」

円香「まあ、静かでいいかもね」

円香「この子はそういうところのほうが好きだと思うし」ナデナデ

「……んっ」

P「はは、そうだな」

P「かわいいなー、俺も撫でちゃう」ナデナデ

「や」

P「えっ」

「……や」

P「拒否された……」

円香「私に似てよくわかってるみたい」

円香「あなたの安直さが」

P「えぇ」

P「でも、ほら、このつぶらな瞳とか、俺に似てるんじゃないか……?」

「わたし、ぱぱににてるの?」

円香「安心して、あなたはママ似だから」

「よかったー」

P「この母にしてこの子ありだ!」

P「俺はいま、妻と子にいじめられている!」

円香「でもそれが?」

P「幸せだ!! ……って、言わせるなよ」

円香「なに照れてるんだか」

円香「……」

円香「……ふふっ」

円香「私も、幸せよ!」

END.

樋口円香のエンディングが1つクリアされました(2つめ)。

市川雛菜に関するエンディングに行くための条件が1つクリアされました(残り1つ)。

冒頭に戻ります。

~Pの自宅~

ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピ……

P「……っ」

P「……朝か」


P「いってきます。……って、まあ一人暮らしなんだけどな」

P「よし! 今日も一日頑張るか!」


~駅前~

P(事務所まであと少しだが……)

P「っ、暑いな、まったく……」

P「そうだ」


1.我慢できん……とりあえずコンビニに入ろう。
2.急いで事務所に行けばクーラーの効いた部屋が待っている!(既読)
3. 路地を歩けば涼しいかな……?

選択肢↓2

(とりあえずここまで)

P(路地を歩けば涼しいかな……?)

P(よし、入社直後に開拓したルートを行くことにしよう)


~事務所付近のとある路地~

P「ここを曲がって真っ直ぐ行けば……!」

ドンッ

P「うわぁっ!」

「ぴゃっ!?」

P「あ、危ない!」ガシッ

P「すみません! 大丈夫ですか? お怪我は……」

「あ、はい。だ、大丈夫で――って、プロデューサーさん?」

P「え、小糸じゃないか」

小糸「あ、はい。わたしです」

P「ごめんな。ぶつかっちゃって」

小糸「い、いえ。私も、前をよく見てませんでしたから」

P「小糸はいつもこの道を通って事務所に行くのか?」

小糸「あ、えと、普通は人通りの多いほうの道で来るんですけど」

小糸「き、気分転換が、したくて」

P「ははっ、そうか」

P「俺は涼しいかなと思ってこの道にしたんだよ」

小糸「あ、それわかります! 確かに涼しいんですよね! この道」

P「ああ、こっちのルートにして正解だった」

P「小糸にも会えたしな」

小糸「ぴゃぅっ! な、なな、何を言うんですか、もうっ」

P「よし、じゃあ事務所に向かうか」

小糸「あ、待ってくださーい!」

~事務所~

P「おはようございます」

小糸「お、おはようございますっ! ……あっ、円香ちゃんだ」

円香「おはよう、小糸」

円香「それに……」

円香「……ハァ」

P「さすがにひどくないか?」

円香「まだ何も言ってませんが」

P「言わずとも伝わることってあるんだぞ」

円香「そういう高度なコミュニケーションもとれたんですね。覚えておきます」

P「はいはい。よろしくな」

P「仕事はじめる前にコーヒーでも飲むか……」

P「ひ~か~りあつ~めて~ひ~びけとお~くへ♪」カチャカチャ

P「む~す~んだ~き~ず~な~し~んじて~♪」コポポポポ

円香「気味の悪い鼻歌を歌いながらコーヒー淹れるのやめてくれますか?」

P「気味の悪いって……お前らの歌だぞ」

円香「ええ。ですから、私たちの大切な歌に傷がつくので、やめてほしいと言ってます」

P「ひどい……その「私たち」にはプロデューサーである俺は入ってないのかよ」

円香「それは……」

P「……ははっ、そこで言い返さないあたり、円香は優しいな」

円香「なっ……!! さっきからサビの同じ箇所しか歌ってない人に言われたくありません!」

P「正直、スマンカッタ。あ、いや、歌詞とんじゃってな」

円香「最低」

P「じゃあ、今度はバッチリ歌詞覚えて歌うから、な?」

円香「結構です。これからレッスンまでの間、宿題をやるので、静かにしていてください」

P「わかった。そうするよ」


小糸「あっ、ぷ、プロデューサーさんっ。コーヒー、淹れてるんですか?」ピョコ

P「そうだぞ。飲むか?」

P(あ、でも、これブラックだし、小糸はそういうの苦手かも……?)

P(しかし、何もあげないってのもな……)

P(小糸の視線がアツい――気がする)

P(よし)

P「ほら、飴をあげよう」つ飴

小糸「ぴゃ! い、いいんですか?」

P「口が寂しいっていったところだろ」

小糸「ま、まあ、そうかもしれません」

小糸「ありがとうございます! プロデューサーさん」

タッタッタッ

透「あ、樋口。それに小糸ちゃんも。来てたんだ」

円香「うん……って、これから一緒にレッスンあるでしょ」

小糸「そうだよ、透ちゃん!」

透「あれ、そうだったっけ」

円香「じゃああんたなんでここに来たの」

透「まあ、いつもの?」

円香「何それ」

透「あ、そうだ。樋口、ちょっとそこでジャンプしてみてよ」

円香「は? なんで」

透「小銭欲しくて」

円香「最初からお金貸してっていいなさいよ……」

円香「いくら必要なの?」

透「あ、くれるんだね」

円香「あげるんじゃない、貸すの。で、いくら?」

透「150円」

円香「ジュース1本ぶんくらいだけど」

透「うん。それでいい」

透「さっき飲み物買いにコンビニ入ったんだけどさ」

透「財布、忘れちゃってて」

円香「いい加減学びなさいよ」

透「コーヒーの匂いがする。もしかして、プロデューサーいる?」

円香「……いる」

透「うわ、樋口、すごい顔」

円香「話しかけたいならそうすれば?」

透「そうだね。そうする」


透「プロデューサー、おはよ」

P「お、透か。おはよう」

透「コーヒー、淹れてるんだね」

P「ああ、見ての通りな」

P「飲むか?」

透「いや、いらない。熱いの苦手っていったでしょ」

P「はは、そうだったかもな」

透「プロデューサーって、記憶力あんまりよくなかったりする?」

P「いや、そんなことはないと思うけど」

透「……」

P「透?」


1.もしかして、怒ってるのか?
2.俺の顔に何かついてるか?
3.アイスコーヒーなら好きなのか?

選択肢↓1

P「俺の顔に何かついてるか?」

透「んー」

透「まあ、顔がついてるけど」

P「ははっ、なんだよそれ」

透「記憶力の良くなさそうな顔がついてる」

P「それは……困ったな」

P「印象が悪そうだ」

透「ほんと、困ってるよ」

透「私が」

P「透が困ることあるのか?」

透「うん」

透「ちゃんと、思い出してね」ボソッ

P「え?」

透「あっちでスマホいじってくる」

P「あ、ああ……」

円香「何話してたの?」

透「うん。まあね」

円香「……何かいいことでもあった?」

透「?」

透「んー」

透「まあまあ、かな」

円香「あ、飲み物」

透「?」

円香「飲み物、買いに行くんじゃなかったの」

透「……」

透「ふふっ、忘れてた」

円香「もう」

透「ま、いいや」

透「プロデューサーが淹れてたコーヒー、氷り入れて飲む」

円香「……そ」


P「よいしょっと」ギィ

P「よ~し、じゃあ仕事すっか」

円香「いちいち報告しなくていいので」

P「わ、わかったよ。ごめんな」

透「う~ん」

P「どうした透。スマホいじりながらうなったりして。ゲームでもしてるのか?」

透「まあ、そんなとこ。あっ……」

透「はぁ」

透「まだ一回しか勝ててないや」

透「何周しても微妙」

P「なんのゲームなんだ?」

雛菜「マリカーってやつ~」

雛菜「レーシングゲームってつい熱中しちゃうよね~」

P「ああ……そういえば流行ってるらしいな」

透「あーあ」

透「難しいね」

P「ははっ、苦戦してるみたいだな」

雛菜「透せんぱ~い、がんばれ~」

透「ふふっ、ありがと、雛菜」

P「ゲームか……久しくやってないな……」

P「……」

P「……仕事すっか」

P(そういえば、気づかないうちに雛菜も来てたんだな)

P(noctchill全員集合、か)

P(今日も、がんばれ……!)

P(あいつらのためにも、仕事頑張らないとな)カタカタ


数時間後。

P(今日のnoctchillはレッスン漬けだったよな)

P(あいつらのことだから心配しなくてもいいかもしれないけど……)


1.まあでも、様子を見に行くか!
2.仕事で疲れたし昼寝でもしよう。
3.休憩がてらはづきさんと話すか。

選択肢↓1

P(仕事で疲れたし昼寝でもしよう)

P(体力回復に努めるんだ)

P「……」

P「zzzZZZ」

「――サーさん」

「おー――う。お昼――は――したよ」

P「っ!!」ガバッ

「きゃっ」

P「い、いけない……つい爆睡してしまった……」

「もう――」

はづき「――いきなり飛び起きるからびっくりしちゃいましたよ」

P「あ、はづきさん」

はづき「おはようございます、プロデューサーさん」

P「ご、ごめんなさい。もう昼休み終わってますよね」

はづき「今終わったところなので、まだ大丈夫ですよ」

はづき「あと、お願いがあるんですけど」

はづき「先日メールで送ってもらった企画書、紙媒体でファイリングしたいので、コピーいただけますかー?」

P「わかりました。ちょっと待っててくださいね」

はづき「はーい。私のデスクで待ってますね」

P「はい。印刷が終わったら持っていきます」

はづき「ではでは」タタタ

P「えーっと」

P「確か……企画書が入ったUSBはデスクの引き出しの一番上に……」ガララ

P「……?」

P(なんだこれ)

P(手紙、だよな)

P「……」

P(中高生のときならラブレターかと思ってはしゃいでたかもしれないが……)

ペラッ

P(表には『あなたへ』とある)

P(裏には……『あけなきゃだめ』か)

P(とりあえず俺宛……ってことでいいのか?)

P(まあ、開けろって言われてるんだから、開ければいいんだろう)ペリペリ

P(えーと、なになに?)


『間違えないでね』


P「???」

P「一体何のことだ?」

はづき「プロデューサーさん? どうしました?」

P「い、いえ。企画書のコピーですよね!」

P カタカタ

P タンッ

P「はい、いま印刷機から出てきますので、もうちょっと待ってください」

はづき「はーい」

P「……」

P(俺は、手紙を元あった場所に戻した)

それからさらに数時間後。

P(もう少しであいつらも帰って来る頃だな)

ヴーッヴーッ

P「……? LINEか」

P「透から、だな」


透『いまそっちに向かうとこ』

透『このあと』

透『みんなが解散したあと、時間ある?』

透『よかったら、話したい』

透『他のみんなには内緒で』


P(何か込み入った事情があるのか?)

P(他のみんな……っていうのはnoctchillのメンバーのこと、だよな)

P(どう返信したものか……)

P(あの3人を撒くんだよな)

P「……」

ガチャ

P(え、もう来たのか?)

P(ど、どうしよう)

小糸「お疲れ様です!」

P「あ、あぁ、小糸か……お疲れ」

小糸「プロデューサーさん、もしかして疲れてますか?」

P「え? あ、いや、そういうわけじゃないぞ。気にしないでくれ」

小糸「それならいいんですけど……」

小糸「あ、あの!」

小糸「このあと、時間、ありますか?」

P「へ?」

小糸「プロデューサーさんに……その、相談したいことがあるんです」

P(こ、これは……)


1.小糸に応える。
2.透に応える。
3.2人とも断る。

選択肢↓2

(とりあえずここまで)

P(透には悪いが、ここは小糸に応えることにしよう)

P「ああ、時間ならあるぞ」

小糸「わ、わかりました。それじゃ、わたしは事務所に残りますね」

P(透に連絡しておこう)

P『すまない。別件があるから、今日は無理だ』

P『またの機会に埋め合わせするから、堪忍な』

P(これで、よし……)

P(その後、noctchillの全員が事務所に帰ってきて――)


透「プロデューサー」

P「あ、ああ、おかえり、透」

透「また今度、ね」

P「すまん。頼む」

透「……」

透「帰るね」

円香「では、私もこれで」

雛菜「やは~私も透先輩と帰る~」

雛菜「あれ~? 小糸ちゃんは帰らないの~?」

小糸「う、うん! わたしは用事があるから、ここに残るね」

雛菜「そっか~、じゃあね~。ばいば~い」フリフリ

小糸「みんな! ……ま、まま、またね!」

透「別件……」ボソッ

小糸「透ちゃん……?」

透「ううん。なんでもない。帰ろ」

雛菜「うん~~~~???」

円香「……」


P(――という感じで、今に至る)

P(今は、事務所には俺と小糸の2人だけだ。はづきさんはもうあがっているし)

P(社長は、今日一日仕事で席を外している)

P(さて……)

小糸「プロデューサーさん!」

P「うぉわっ!」

小糸「ぴゃぅ!! ご、ごめんなさい。驚きましたか?」

P「いや……大丈夫」

小糸「それで……あの……」

P「そうだ、話があるんだよな」

P「遠慮せずに言ってくれ」

P「え? 俺のオフ?」

小糸「は、はいっ。次はいつなのかなって」

P(小糸の相談……なんだよな?)

P「次の日曜とかは休みだけど」

小糸「それなら……」

小糸「わ、わわ、わたしと……!」

小糸「でっ、で、で……」

P「?」

小糸「でー、……」

小糸「……っ」

小糸「はぁ」

小糸「……一緒に、次のお仕事の下見に行って欲しいなって」

P「そういえば、今度街歩き系の番組に小糸1人でゲストとして呼ばれてたよな」

P(小糸にいろいろと餌付けしたら視聴者が癒される映像を流せる――ってのが制作側の魂胆ではあるが、これは黙っておこう)

P「確かにそろそろ収録の時期ではある」

小糸「ごめんなさい。迷惑ですよね」

小糸「プロデューサーさんだって、疲れてるのに」

小糸「連れ回すようなこと……」

P「いや、迷惑なんてことはないぞ」

P「小糸が仕事に対して真剣になっていると実感できて俺は嬉しいよ」

P「あ、いままでが真剣にやってきてなかったってわけじゃないからな」

P「改めてそう思ったってことだ」

小糸「は、はい……あ、いえ!」

小糸「このくらい余裕だし当然のことです! 私はプロなんですよ!」

P「はは、いつもだって人一倍努力して頑張ってるのに、小糸は偉いな」

P「よし、そういうことならこの俺が、全力で小糸に同伴しよう!」

(選択肢の前ですが多忙と眠気につき一旦ここまで)

数日後。

~ロケ予定地~

P「田舎ではあるけど、ほどよく活気があって、いい街だな」

P「番組で回る予定のコースでいけばいいか?」

小糸「は、はい! それでお願いします」

P「よし、じゃあ、せっかくだし楽しもうな」

小糸「っ! そ、それはそうですね……!」


~街の某食堂~

P「ここ、創業60年以上の食堂だってよ」

小糸「ろ、60年……!」

P「俺が生まれる何十年も前だ」

小糸「想像つかないですね」

小糸「あ、プロデューサーさんは、何を頼むんですか?」

P「そうだなぁ。俺はガッツリいきたいし、このカツカレーにしようかな」

小糸「いいですね! おいしそうです」

小糸「うぅん……、でも量が多いです」

P「ははっ、確かにな。俺が腹いっぱいになるくらいの量だ」

小糸「今日は暑いので、わたしはこのおそばにしますね!」

P「おっ、いいね。涼しげだ」

小糸「カツカレーも魅力的だったんですけどね……えへへ」

店員「はい、こちらカツカレーになります」

P「おうふ……空腹にトドメを刺された……」

店員「ふふ……、あ、はい、こちら、くるみそばですね」

小糸「あ、ありがとうございます」

小糸「わぁ……おいしそう」

P「じゃあさっそく」

P・小糸「「いただきます」」


P(小糸はうまそうにそばを食ってはいるが……)

P(チラチラと俺のカツカレーに熱い視線をよこしてるな)

P「……少し食べるか?」

小糸「ぴゃ!? い、いえ! プロデューサーさんのですし、そんな悪いですよ!」

P「でも、さっきから見てただろ?」

小糸「うぅ……ば、ばれてたんですか」

P「バレバレだったな」

P「いいよ、結構量あるし、全部食うのはしんどくても、シェアするくらいならちょうどいいんじゃないか?」

小糸「で、でも……」

P「まあ、無理にとは言わないけど」

小糸「そうじゃなくて……ですね」

小糸「プロデューサーさんからもらうと、その……」

小糸「か、かかか――」

小糸「――間接キスに……! ……なっちゃいます///」

P「あ、はは、そ、それもそうだな……」

P(なんかこっちまで照れてくるな)

P「そういうことなら、このカレーは俺が全部食うよ」

小糸「待ってください……!」

小糸「い、いやだなんて……その、言ってませんよ」

小糸「ください……プロデューサーさんのが食べたいです」

P「お、おう……ほれ、あーん」

小糸「あむっ」パクッ

小糸「! お、おいしい……!」

小糸「も、もっとください!」

P「ほい」

小糸 ハムッ

小糸「~~~!」

P(癒されるな……これは)

P(いい番組になりそうだ)

P(なにより、小糸が幸せそうなのがいい)

P(この笑顔は、守りたいな)

小糸「じゃあ、わたしからも、はいっ!」

小糸「お返しです!」ニパッ

P「お、あぁ……ありがとう」

P(そばはビジュアル的にあーんの難易度が高そうだが)

P(……なんとかなったな)チュル

P「甘みと塩気が香りとともに引き立てられている……うまいな、これ」

小糸「えへへ……プロデューサーさんが食レポを始めてしまいました」

P「えぇ? いやいや、そんな大したことないって」

P(そうか、そうだったな)

P(これ、仕事の下見に来てるんだった)

P(でも……なんだかそういうの抜きで)

P(楽しいんだよな)

P(その後も、小糸とロケ地となる店や施設を回った)

P(もちろん、仕事の準備として来てはいるが)

P(それとは別に、純粋に小糸との時間が楽しかった)

P(そして、楽しい時間というのは、早く過ぎるものだ)


小糸「これで全部……ですね」

P「そうだな。結構楽しかったな」

小糸「! は、はい! わたしも……楽しかったです」

小糸「あっという間でした」

P「はは、奇遇だな、俺もだ」

小糸「……お、お仕事の」

小糸「下見で来ましたけど」

小糸「……っ、わ、わたしは!」

小糸「プロデューサーさんとの、このお出かけを」

小糸「でっ、で、で……」

P「?」

小糸「でー、……」

小糸「……ふぅ。っ――」

小糸「――デートだって、思いました!」

P「小糸……」

小糸「えへへ、言えちゃいました」

小糸「最後の最後で出した勇気です」ポロ

小糸「あ、あれ……」ツー

小糸「わたし……」ポロポロ

小糸「なんで、泣いてるんだろ」

小糸「ご、ごめんなさい。今日の私、なんだか変ですね!」

小糸「帰りましょう……もう暗くなってきましたし」

P「……小糸!」

小糸「ぴゃ!? な、なな、なんですか?」

P「また行こう」

P「また、俺は小糸とデートがしたい!」

P「ははっ、こんなこと、俺みたいな歳のやつが言うのは変だろうけどな」

P「さ、さあ! 車に乗ってくれ。小糸の言うとおりもう暗く――」

ギュッ

P「――なって……」

小糸「えへへ……私もそう思います」

小糸「プロデューサーさんと、もっと一緒にいたいです」

数年後。

P(noctchillは、グループとしての活動を継続しているものの、高校卒業を期に各々がソロで動くことが増えていった)

P(皆、大学に進学した)

P(特に、小糸は芸能活動と勉強を両立して、都内の有名な大学に進学できた)

P(いまは、クイズ番組に出ないことはないくらいの、インテリ系アイドルとして、小糸はテレビに出演している)

P(そして……)

~283プロ・カリフォルニア支部~

小糸「ぴゃぅ!? た、高すぎますよこれ!」

P「ガラス張りの超高層ビルのオフィス……なんだか落ち着かないな」

P(俺は、アメリカの大学院に進学することになった小糸と、社長が新たに設けた海外支部を見に来ていた)

P(いまはエンターテイメントもオンラインの時代だからといって、IT業界で知らない者はいないシリコンバレーのあるこの地に居を構えたらしいが……)

P「あの社長、実はこういうのに憧れてたんじゃ……」

小糸「わたしがこっちに来たら、ここでお仕事を続けるんですよね」

P「ああ、しばらくは現地のテレビ番組やショーにコンスタントに出つつ、平行して動画配信サイトで知名度を上げていく方針だ」

P「もちろん、小糸の勉強に支障のないように配慮はするからな」

小糸「あ、はい。ありがとうございます」

小糸「でも、わたしが気になるのはそこじゃなくて……」ボソボソ

P「?」

小糸「だ、だって……! わたしがアメリカに来ちゃったら、もうプロデューサーさんとは……」

P「ああ、そのことなら気にしなくていいぞ」

P「ほら、これが俺の新しい名刺だ」

小糸「……! これって」

P「そうだ。今日から俺は――」

P「小糸担当、小糸専属のプロデューサーだ」

P「だから、俺も小糸と同じ時期からアメリカ暮らしさ」

P「うちの事務所も最近人員補填をしてな。noctchillのプロデューサーははづきさんが引き継いでくれるから心配しなくていいぞ」

小糸 パァァ

P(あ、嬉しそう)

小糸「に、にやけてなんてませんよ!」

P「別に言ってないが……」

小糸「でも……良かった」

小糸「これからもよろしくお願いしますね! プロデューサーさん!」


END.

福丸小糸のエンディングが1つクリアされました。

市川雛菜に関するエンディングに行くための条件のクリア状況には変化が起こりませんでした(条件は残り1つ)。

冒頭に戻ります。

~Pの自宅~

ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピ……

P「……っ」

P「……朝か」


P「いってきます。……って、まあ一人暮らしなんだけどな」

P「よし! 今日も一日頑張るか!」


~駅前~

P(事務所まであと少しだが……)

P「っ、暑いな、まったく……」

P「そうだ」


1.我慢できん……とりあえずコンビニに入ろう。
2.急いで事務所に行けばクーラーの効いた部屋が待っている!(既読)
3. 路地を歩けば涼しいかな……?(既読)

選択肢↓2

(とりあえずここまで)

~駅前のコンビニ~

P「ふぃ~~~」

P(き、キンキンに冷えてやがるっ・・・・・・・・!)

P(コンビニは都会の避暑地だよなぁ)

P(まあ、長居すると体調が悪くなりそうな、それくらいの寒さだ)

P(さて……飲み物飲み物っと……)

「ふふっ」

P「あ」

透「待ってた」

透「プロデューサー」

P「透もコンビニに来てたのか」

透「うん。飲み物、買いたくてさ」

P「奇遇だな。俺もなんだよ」

P「……ん? いや、さっき待ってたって言ったか? 透」

透「言った」

透「プロデューサーがここに来ると思ったから」

P「はは、そうか」

透「気が合うね。私たち」

P「だな」

P「よし、特茶……君に決めた!」パシッ

透「おじさんくさいね」

P「健康を大切にしてると言ってくれ」

P「こんな暑い日には、なんか燃える気がするんだよ」

透「燃えるの?」

P「ああ、脂肪とかな」

透「ふふっ、なんかプロデューサー、車みたい」

P「車?」

透「だって、油燃やして動いてるじゃん」

P「いや、どちらかと言えば動いてるから油が燃えてる感じなんだがな」

P「……透は何を買うんだ?」

透「私はね、これ」

P「アイスコーヒー?」

透「アイドルデビューの次は、コーヒーデビュー」

P「コーヒーなら事務所で淹れてやるのに」

透「熱いの、苦手なんだ」

P「あ……だから、アイスコーヒーなのか」

透「そういうこと」

P「よし、じゃあ買うか」

透「……」

P「どうした?」

透「奢って」

P「……まさか」

透「そ」

透「財布、ないから」

P「前科持ちじゃねーか」

P「それとも、キャッシュレスデビューもしたっていうのか?」

透「んー、そういうのはよくわかんないや」

P「はあ……」

P「まあ、奢ってやるけどさ」

P「渡せよ。買ってくる」

透「ありがと」

P「ほれ、望みの品だ」

透「どうも」

P「お前……俺がコンビニ来なかったらどうするつもりだったんだよ」

透「え? 言ったじゃん」

透「待ってたって」

P「……マジかよ」

透「プロデューサーを信じてたから」

透「こういう一途なのって、どう?」

P「……切ない、か?」

透「えー、そうなるの?」

P「いや、わからんが……」

P「最初からたかるつもりってことだろ」

透「イェーイ」

透「あ、「僕はキメ顔でそう言った」って付け加えとく?」

P「怒られそうだからやめとけ」

透「僕……」ボソッ

P「透?」

透「ううん。なんでもない」

透「行こ」

P「ああ」

~事務所~

P「おはようございます」

透「ふふっ、……私が来た」

小糸「あ、おはようございますっ! プロデューサーさんに、透ちゃん!」

円香「おはよう、小糸」

円香「それに……」

円香「……ハァ」

P「さすがにひどくないか?」

円香「まだ何も言ってませんが」

P「言わずとも伝わることってあるんだぞ」

円香「そういう高度なコミュニケーションもとれたんですね。覚えておきます」

P「はいはい。よろしくな」

雛菜「ふわ~~、ちょっと寝ちゃってた~~~~」ムクッ

雛菜「あ! プロデューサーだ~。おはよ~」

P「おはよう、雛菜」

雛菜「目が覚めたらプロデューサーに会えるとか、雛菜しあわせ~」

P「ありがとな」

雛菜「ん~~」ゴシゴシ

雛菜「! プロデューサーのとなりに透先輩だ~」

雛菜「しあわせ~」

P「……雛菜」

雛菜「な~に~?」

P「その、しあわせ~、に、だな~、ってつけて言ってみてくれ」

雛菜「しあわせだな~」

P「……くくっ、よしっ」グッ

透「あ、なんだっけ、それ」

P「若大将だよ」

透「それそれ」

P「よく知ってたな」

P「……さてっ、特茶飲んで仕事すっか」

透「う~ん」

P「どうした透。スマホいじりながらうなったりして。ゲームでもしてるのか?」

透「そんなとこ。ふふっ」

透「いまいいところなんだ。勝てるかも」

P「なんのゲームか気になるな」

雛菜「マリカ~」

P「ああ……そういえば流行ってるらしいな」

透「……まだまだわからない」

P「ははっ、白熱してるな」

P「ゲームか……久しくやってないな……」

P「……」

P「……仕事すっか」

数時間後

P(今日のnoctchillはレッスン漬けだったよな)

P(あいつらのことだから心配しなくてもいいかもしれないけど……)


1.まあでも、様子を見に行くか!
2.仕事で疲れたし昼寝でもしよう。(既読)
3.休憩がてらはづきさんと話すか。

選択肢↓1

P(まあでも、様子を見に行くか!)

P(いま向かえば、ちょうどあいつらも昼休みだろう)


~レッスン場~

P「お、やってるな」

ワンツーワンツー

P(なんていうんだろうな……授業参観にきた親の気持ちっていうのが、わかったような気がする)

ジャアキュウケイニシマショー

アリガトウゴザイマス!!

P「午前の部は終わったみたいだな」


P「よう、お疲れ様」

透「あ、来てくれたんだね」

小糸「あっ、プロデューサーさん!」

雛菜「やは~、またプロデューサーに会えた~。しあわせ~」

円香「……」

P「午前にやる分の仕事を片付けて、見に来たんだよ。レッスンの様子が気になってな」

P「これから昼休みだろう? みんな飯はどうするんだ?」

小糸「わ、わたしはお弁当持って来てますよ」

雛菜「雛菜も~」

円香「……」

透「……あ、昼ごはん、ないわ。ふふっ」

透「お弁当、お弁当、1人飛ばして、ご飯抜き」

P「いやいや、あれだけ動いたんだから、きちんと食べなきゃ駄目だぞ?」

透「じゃあ、奢ってよ、プロデューサー」

P「それでたかるのかよ……まあいいけどさ」

雛菜「え~透先輩ずる~い。雛菜もプロデューサーとご飯食べた~い」

小糸「雛菜ちゃん……それだとお弁当が無駄になっちゃうよ」

雛菜「う~」

透「二人で抜けちゃおっか。プロデューサー」

P「さすがにこの状況で透一人をひいきすることはできないよ」

透「えー」

円香「……」

P「円香は、昼飯どうするんだ?」

円香「……っ」

P「?」

小糸「円香ちゃん……えと、その、プロデューサーさん」

小糸「円香ちゃんは、今日お弁当を持ってくるの忘れちゃったみたいなんです」

P「そうだったのか」

円香「……」

P「……」

円香「……」グー

円香「!」

P「はは、黙ってても答えは出たな」

P「よし、じゃあ俺の分も含めて、テイクアウトで調達してこよう」

P「みんなは休憩スペースで待っててくれ」

~休憩スペース~

P(さて、と)

P(どこに座ろうかな)

P(テーブルが小さいのばかりだから2:2にわかれちゃってるな)


1.透と円香が座っているところ。
2.小糸と雛菜が座っているところ。(既読)
3.あえてぼっちを選択。

選択肢↓1

P「よいしょっと」

透「プロデューサー」

透「いらっしゃい」

円香「……」

P「失礼するぞ」

透「……」モグモグ

円香「……」モキュモキュ

P「……」

P(か、会話が続かないな……)

P「き、今日のレッスンさ」

P「1日中だけど、どうだ? 負担にはなってないか?」

円香「……無理してる」

P「え?」

円香「無理に女子高生と話そうとしてると言ってるんです」

円香「アイドルのプロデューサーともあろう方が女子に不慣れな様子を晒している……プロデュースされるアイドルとして、穴があったら入りたい」

P「うう……すまん」

透「まあまあ」

透「せっかくこっちの席に来てくれたんだしさ」

透「いてくれるだけでもいいよ、プロデューサー」

透「樋口も、そうだよね」

円香「私はそんなわけ……」

P「はは、ありがとうな」

P「悪い、空回りしてたよな……」

P「なんだか、高校の時を思い出したよ」

P「こうやって席を寄せて昼飯食うなんてさ」

P「……俺もおじさんだな」

透「高校のときに女子と食べてたの?」

P「え? あ、いや、そういうわけじゃないけど……」

P「まあ、雰囲気的な話……かな」

透「……そっか」

透「高校生のときのプロデューサー……」

透「……っ」

P「?」

透「思い出話」

透「聞かせてよ、プロデューサーが高校生のときのこと」

P「俺が高校生のときか……」


1.「そういえば……小さい男の子とジャングルジムに登ったな」
2.「バス停……」
3.「うーん、たいした話はないよ」

選択肢↓2

P「そういえば……小さい男の子とジャングルジムに登ったな」

透「!」

P「まあ、高校だったか……ひょっとしたら中学のときかもしれないけど」

P「とにかく、中高生のとき、だな」

P「バス停にさ、男の子がいて……」

P「……歩いたほうが早いよって、教えてくれた」

P「けど、時間もあったし、俺は待つことにして」

P「そうしたら、その子も一緒に待つって言うんだ」

P「けどさ、ジャングルジムを凝視してるんだよ、その男の子」

P「だから、俺は言ったんだ。行ってきていいよって」

P「その子は自分から行こうとはしなかった」

P「なんでだったんだろうな、あれは」

透「……怖かったんじゃないかな」

P「ジャングルジムが高いからか?」

透「ううん。そうじゃなくて」

透「ほら、てっぺんってさ――」

P「――のぼってものぼっても……たどり着かない」

P「あ、あれ……なに言ってるんだろ、俺」

P「でもそうだ。確かにその子はそう言ってた」

P「夢の話だと聞いたけど」

P「ただの夢以上の意味があったんだと思う」

P「俺は、自分が登りに行くことで、その子がジャングルジムに登ってくれるような気がした」

P「登って欲しかったんだ――あの子に」

P「おっ、やべっ、もうこんな時間か」

P「それじゃあ、俺は戻るから。お前ら午後も頑張れよ!」

透「うんっ。頑張れ頑張れ」

円香「はぁ……」

雛菜「あ、プロデューサー行っちゃった~~……。待って~」

小糸「ひ、雛菜ちゃん……! プロデューサーさんにもお仕事があるし、仕方ないよ」


~事務所~

P(昼休みはnoctchillのレッスンを観に行って、透と円香と一緒に昼飯を食べた)

P(高校時代に思いを馳せるなんて、それこそ思いもしなかったな)

P(それに……あの記憶)

P「……」

P(……仕事するか)

数時間後。

P「……うーん」

P(集中が切れてきた……)


P(ふらふらと事務所の冷蔵庫の前まで来てしまった)

P(なんとなく何かから逃げたい時とか、気分転換したい時とかに、冷蔵庫を開けに来てしまうのはなんでなんだろう)ガチャ

P(うーん、開けたはいいものの……)


1.冷やされたコーヒーを飲む。
2.プリンを食べる。
3.何もせずにデスクに戻る。

選択肢↓1

P「……」

P(いや、あいつらがレッスン頑張ってるのに、俺がこんなんでどうするんだ)

P(しっかりしろ、俺)

P パシン

P「よしっ……」

P(仕事仕事っと)

P(もう少しであいつらも帰って来る頃だな)

ヴーッヴーッ

P「……? LINEか」

P「透から、だな」


透『いまそっちに向かうとこ』

透『このあと』

透『みんなが解散したあと、時間ある?』

透『よかったら、話したい』

透『他のみんなには内緒で』


P(何か込み入った事情があるのか?)

P(他のみんな……っていうのはnoctchillのメンバーのこと、だよな)

P(どう返信したものか……)

P(あの3人を撒くんだよな)

P「……」

ガチャ

P(え、もう来たのか?)

P(ど、どうしよう)

透「プロデューサー」

P「あ、ああ、透か」

透「この後、時間ある?」

透「2人で、話したい」

透「他のみんなには内緒で」

P「この後か……」

P(もう少しで仕事は片付くが……)


1.「わかった。あと少しで仕事終わるから、ちょっと待ってて」(透の誘いに乗る)
2.「仕事が終わらないんだ、すまない」(透の誘いを断る)
3.――この選択肢はロックされています―― 


選択肢↓2(いま選べるのは1.か2.です)

(とりあえずここまで)

P「わかった。あと少しで仕事終わるから、ちょっと待ってて」

透「うん。ありがと」

P(その後、noctchillの全員が事務所に帰ってきた)

P(事務所から帰ろうとしない透に対して円香が声をかけて)

透「あ、ちょっと、あるから。ここに残る」

P(透がそう言った。俺は円香に睨まれた)

P(しかし、結局透以外は皆帰って言った)

P(何か事情があると悟ったのだろうか)

P(俺は……透に何を聞かされるのだろう)

P「で、話ってなんなんだ? 透」

透「うん、えっとね」

透「ちょっと、ソロでも活動したいなって、思えてきて」

P「具体的にどういうことをしたいとかってあるのか?」

透「モデルがいいな」

P「モデルか……いいかもしれないな」

P「透はスタイルもいいし、オーラもある。顔立ちも綺麗だし透明感があって惹きつけられる」

P「そういう透の魅力は、静止画で最も発揮されるんじゃないかと思うんだ」

透「ふふっ……それ、私は喋らない方がいいってことじゃん」

P「え、あ、いや、そういうわけでは……」

透「いいよ、始末書も書いたことあるし」

透「わかってる」

透「で、プロデューサーは、私がそれで「てっぺん」目指せるって思うんだ」

P「モデルの頂点か……いや、それははっきり言えば相当険しい道のりだな」

P「やるならタレントとしての要素も込みで売り出していきたいと思う」

P「そこにギャップが生まれるからな。透の場合、良い方向に働くだろう」

P「どうだ?」

透「プロデューサーがそう言うなら、それを信じる」

P「透がどうしたいかも重要なんだぞ? 遠慮しなくていいから、何かあれば言ってくれ」

透「ううん。大丈夫。プロデューサーがそれが良いっていうなら、それで正解だから」

透「私はそれで、プロデューサーと目指したい」

透「私たちの「てっぺん」を」

P「? ……まあ、透が良いっていうならそうするんだが」

P「じゃあ、俺もその方向で営業することにするよ」

P「頑張ろうな、透」

透「うん」

>>1です。

>>286でも言ったように忙しいので、文章化と打ち込みにかかる時間を踏まえると、これからしばらくは更新の頻度が下がります。
したがって、選択肢の前じゃなくても一時停止することがあります(前例あり)。
なお、(お話は出来上がっていて)完結させる予定ですので、読み続けてくれるという方は、これからもよろしく、です。

では。とりあえずここまで。

P「あとは、何かあるか?」

P「この際だし、話したいことがあれば遠慮なく言ってくれ」

透「あー……、うん」

透「……」

P「?」

透「プロデューサーってさ」

透「好きな人、いる?」

P「えっ?」

P「い、いきなりだな……」

透「ごめんごめん」

透「でも、それ聞いてみたくて」

P「いや……いないよ」

P「仕事もあるし、そういう余裕がないな」

P「俺にとっては、お前たちをプロデュースできれば、いまはそれでいいかもな」

透「彼女とかもいないんだよね?」

P「そりゃ、好きな人がいないからな……十分条件だろ」

透「そっか」

透「愛を誓ったことも?」

P「ないよ……好き以上のやつじゃないか、それは」

透「うん……」

透「わかった。うん、ならいい」

透「そろそろ帰る」

P「そ、そうか。よし、送っていくよ」

透「いまはいいかな」

P「?」

透「1人で帰りたい気分」

P「まあ、まだ外も真っ暗ってわけじゃないが……」

透「ふふっ……そういうこと」

P「なんか、機嫌いいな、透」

透「そう?」

透「……そうかも」

透「だから、あんまり見られたくない」ボソボソ

透「……恥ずかしいし」ボソッ

P「ニコニコしてるな」

透「うるさい」

透「ばーか、なんて……ふふっ」

翌朝。

~事務所~

P(よし、noctchill全員揃ってるな)

透「プロデューサー」

P「透か。どうした?」

透「イェーイ」

P「?」

透「写真」

透「ツーショット」

透「撮ろう?」

P「え、いや、あの……」アセアセ

パシャッ

透「ふふっ、撮れた」

透「変な顔してるね、プロデューサー」

P「ほ、ほっとけ……」

雛菜「あ~~、プロデューサー、いいな~~~」

雛菜「雛菜も透先輩と写真撮る~~」

透「イェーイ」

雛菜「いぇ~い」

雛菜「やは~~、やった~~~!」

円香「はしゃいじゃって……もう」

小糸「た、楽しそうだね……」

P(和むな……)

P「いつも以上に機嫌がいいじゃないか、透」

透「うん、まあね」

透「順調だから」

P「?」

雛菜「ゲームの話だよね~~」

P「そういえばマリカーやってたな」

P「あ、そろそろだな。仕事だ仕事」

P「よし、じゃあ局に行くぞ」

P「頑張ろうな」

~テレビ局~

P(内心やらかさないかと心配だが……)

P(それがあいつらに伝わらないように気をつけないとな)

P ズズズ

透「ねえ」

P「お、透か」

透「緊張してきたかも」

P「透もそう感じるか」

P(緊張かどうかわからないが、俺もドキドキだ)

P(……いろんな意味で)

透「それ飲ませて」

P「これか……?」

透「そう、プロデューサーが飲んでたそのお茶」

P「別に同じやつを買ってやるけど」

透「それがいいの」

P「……まあ、透がそう言うなら。ほれ」

透「ありがと。んっ……」

透「ぷはっ……よし」

透「充電完了」

P「気にしないのか?」

透「え、何を?」

P「何をって……それ、俺が飲んだやつだぞ」

透「うん、知ってる」

透「だから飲んだ」

透「……」

透「関節で……すれば、もっとやる気出るかなって思った」

ソロソロジカンデスー

透「あ、行かなきゃ」

透「行ってくるね」

P「あ、ああ……」

間接な

とりあえずここまで。

>>330 ご指摘ありがとうございます。

>>329訂正
透「関節で……すれば、もっとやる気出るかなって思った」
→ 透「間接で……すれば、もっとやる気出るかなって思った」

待ってるぞー

>>1 です。

>>334 ありがとうございます。しばらくは書き込める余裕のあるときに少しずつ進めていきます。


少しだけ投下しますね。

収録後。


P「みんなお疲れ様。大成功だったな。良かったぞ今日のは」

円香「はいはい。わざわざ楽屋までどうも」

円香「やらかさないかどうか、内心不安だったくせに」ボソッ

P「ははっ……」

P(まあ、その通りなんだけど、円香には隠せなかったか)

P「それでも、信じて仕事を託すのが、プロデューサーだよ」

小糸「あ! プロデューサーさん! お疲れ様です」

雛菜「やは~、プロデューサー、お疲れ~」

P「おう、お疲れ」

P「……あれ、透はいないのか?」

円香「……」

小糸「と、透ちゃんなら、収録が終わってここで着替えるやいなや、どっかいっちゃいました」

雛菜「プロデューサーを探してたのかもね~」

円香「あいつ……」

P「そ、そうか。わかった」

P(透を探しに行こう)

~テレビ局、ロビー~

P「はぁっ、はぁっ……」

P「どこ行ったんだ、透……」

P「! あ、いた」

タッタッタッタッ

P「……さ、探したぞ」

透「あ」

透「お疲れ様、プロデューサー」

P「え? あ、ああ……お疲れ様」

P「収録、良かったよ」

P「今日は大成功だな」

透「イェーイ、だね」

P「なんで楽屋で待機してなかったんだ?」

透「飲み物、欲しくてさ」

P「飲み物なら楽屋にあっただろ」

透「気分じゃなかった」

P「お前な……」

透「これ、買いたくて探してた」

P「それって」

透「そ。プロデューサーが買ってたやつ」

パキュ

透「喉渇いた……んっ」

透「……ぷはっ」

透「……にが」

P「そういうお茶だからな」

透「でも、嫌じゃない」

透「プロデューサーも、飲む?」

P「……そうだな。俺も買うか」

透「買わなくていいよ」

P「?」

透「ここに、あるからさ」

P「いや、それは」

透「さっきもらったの、そのお礼」

透「ね?」

P「……」

P「透がそう言うなら……じゃあ、もらうよ」

P「んっ」

P「……」

P「……ほら、返すよ」

透「どういたしまして」

透「これでよし、なんて」ボソッ

P「さ、楽屋に3人が待ってる。戻るぞ、透」

透「うん」

数時間後。

~事務所~


P(あいつらを家に送り届けてきたし、あと少し仕事片付けたら俺も帰宅だな)

はづき「プロデューサーさ~ん」

P「あ、はづきさん。なんでしょう」

はづき「領収書くださ~い」フリフリ

P「わかりました。ちょっと待っててくださいね」

P「確か……デスクの引き出しの上から2番目に……」ガララ

P「……?」

P(なんだこれ)

P(手紙、だよな)

はづき「? どうかしましたか? プロデューサーさん」

P「い、いえ。領収書でしたね。はい、どうぞ」

はづき「ありがとうございます~」

P「……」

P(中高生のときならラブレターかと思ってはしゃいでたかもしれないが……)

ペラッ

P(反対側には『あなたへ』とある)

P(俺宛……ってことでいいのか?)


1.手紙を開封して中身をあらためる。(既読)
2.得体が知れないので引き出しの奥に封印する。
3.――この選択肢はロックされています―― 

選択肢↓2(いま選べるのは1.か2.です)

(とりあえずここまで)

P(まあ、俺のデスクに入っててこの宛先?なら開けてもいいだろ)

ペリペリペリッ

P(中身は……あ、紙が入ってるな。どれどれ)

ペラッ

P「……」

P(な、何も書いてないだと……?)

P(どういうことなんだこれは)

P(確かに、俺のデスクに入ってて、宛先?は『あなたへ』だ)

P(見た目も完全に手紙……なのにこれってどういうことなんだ?)

P(わけがわからん……)

P「……」

P(ただ、気になったのは)

P(確かに手紙の中身は何も書いてない紙が入っていたが)

P(その紙は、新品同様というには程遠くーー)

P(ーー明らかに何か手が加えられたような質感だった)

P(しかし、それ以上はどうしようもなかった)

P(俺は、手紙を元あった場所に戻した)

数ヶ月後。

~某市街地、雑誌の撮影~

P「透もモデル業がいたについてきたな」

透「イェーイ」

P「俺が仕事とって来なくてもオファーくるんだもんなぁ」

透「ねえ、プロデューサー」

P「なんだ?」

透「撮影終わったらさ、あそこ、いきたい」

P「あそこって?」

透「ほら、さっき通りすがりに見かけた公園」

P「公園……」

P「あぁ、……っ、ジャングルジムのあったところな」

P(ジャングルジム、か……)

透「……そう。行きたいな」

P「……わかった。じゃあ、撮影が終わったら行こう」

透「うん」

撮影後。

P「ジャングルジムは……」

透「使われちゃってるね、ちっちゃい子たちに」

P「そうだな」

透「空くまで待つよ」

P「あの子たちが飽くまで、か」

透「……ほんとは、あの子たちを蹴散らしてでも登りたいけど」

P「……さすがに冗談だよな?」

P「騒ぎになるぞ」

透「冗談だよ。ふふっ、プロデューサー、焦ってる」

P「そりゃそうだ……まあ」

P「わかったよーー」


P「ーー一緒に待ってる」


透「うんっ」

サ、ソロソロカエルワヨー
ア、マッテヨー
アハハ、ワタシモカエルー

P「さ、遊んできたらどうだ?」

P「透、さっきからすごい見てるだろ、ジャングルジム。気にせず行ってきていいんだぞ。他に人もいないしさ」

透「……っ」


「ーー……あっちで遊んできたら?」

「……え?」

「ジャングルジム、すごい見てるでしょ。行ってきていいよ」


透「……」

P「なんだよ、らしくないな」

P「……」

P「……はあ」

P「じゃあ、透が登りたくなるようにしてやろう」

P「よいしょっと」

P「ほら」

P「俺が、行くからさ!」

透「もう……ほんとに……」ポロ…ポロ…

透「待たせすぎなんだから」

P「何か言ったか?」

透「なんでもないよ」ボソッ


「あーっ、いいのかなぁ? きっと行きたくなるよーー」

「俺が、行くからさ!」


透「ふふっ」

透「待ってよ、プロデューサー!」

透「僕も行くよ!」

P「はは、これがてっぺんか」

透「また、のぼっちゃったね、私たち」

P「『僕たち』ーーだろ?」

透「……ばか」

透「あってるけどさ」

P「透の言ってることがようやくわかった気がする」

P「……」

P「待たせた、よな」

透「うん」

P「ごめんな」

P「あの時の男の子は……いや、あの子は、透で」

P「透は、気づいてたんだよな。俺だって」

P「だからこその、思い出して欲しい、か」

P「すまなかった……俺は、お前を忘れていて……」

透「忘れっぱなしじゃなかったし、いいよ」

透「言ったでしょ、思い出して欲しいって」

透「時間がかかっても、私が求めてたところには、たどり着けそうだから」

透「だから、許す」

P「そうか、よかった」

透「……ねえ、もっと近くに行ってもいい?」

P「……いいぞ。人もいないし」

P「ジャングルジムだから、気をつけてな」

透「んしょ、っしょ、っと」

透「プロデューサーのすぐ隣だ」

透「……」トン

P(透が俺の肩に頭を乗せてきた。体重を委ねるように、よりかかってくる)

透「~~~っ///」

透「やばい。なんていうか、やっぱこれすごい」

透「壊れちゃうかも」

P「な、なんでだよ」

透「嬉しすぎて」

透「爆発しそう」

P「まあ、側からみればリア充だしな」

透「……」

透「……ふぅ」

透「プロデューサー、私を見て」

透「……僕も、見て」

P「……見た。見てるよ」

透「ふふっ。……ふふふふっ」

透「こんなに、近くにいる」

透「いままでで、本当に、一番近い」

透「……嬉しいな」

P「なあ、あんまり見つめあってると、こっちとしても照れるんだが……」

透「ドキドキ、してる?」

P「そ、そりゃ透みたいな綺麗な子に寄り添われて見つめあってたらな」

透「それ、お互い様だから」

透「手、貸してよ」

P「……? はい」

透「えいっ」

フニュッ

P「なな、な、なにして」

透「私の胸、触ればわかるかなって」

ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、ドッ......

透「わかる? こう、心臓の動く感じ」

P「わ、わかる、わかるよ! だからその、手を……」

透「ふふ、こういうとこ触られるの、普段なら苦手……っていうか嫌なはずなのに」

透「いまは全然そんなことないんだ」

透「……」

透「揉んで」

P「大人をからかってるのか?」

透「違うよ」

透「むしろ、子ども扱いしないで欲しいかな」

透「もっと、感じたくて」

透「……だめ、かな」

P「っ、こ、ここは、ほら、公園だし」

P「“おおやけ”の“その”と書いて公園だぞ? さすがにまずいって」

透「そっか……」

透「わかった、ごめんね」

P「……」

P「あー、でも、なんだ」

P「もしこれが、だれの目にも届かない場所で」

P「だれにも邪魔されない透との時間が過ごせたのだとすれば」

P「……そ、その」

P「いますぐにでも、押し倒したいくらいだ」

P「……」

透「……」

P「……あ、やっぱいまの……」

チュ

P「んっ」

透「はむっ」

透「ぷぁっ」

透「……えへへ」

透「プロデューサー」

透「ううんーー」

透「ーーP」

透「好きだよ」

透「好き」

透「あのときから」

透「ずっと」

透「想い続けてる」

P「と、透……」

透「僕はあなたが好き」

透「私はプロデューサーが好き」 

透「浅倉透は、Pが、好きです」

透「もっと言えば」

透「愛してる」

P「……ありがとう。透」

P「俺は、お前のことをしばらく忘れてた」

P「都合の良いことを言ってるってわかってる、でも……」

P「……俺も、いま、同じ気持ちだ」


P「いまわかった。バス停で会ったあの時から、俺は透に惹かれていたんだ」

P「自分を僕という透との再会であり、自分を私という透との出会いだ」

P「プロデューサーとしてアイドルのスカウトをした、という以上の魅力を、既に俺は感じていたのかもしれない」

P「俺と透の出会いは必然だったんだよ」

P「透があの時の子だってわかったとき、偶然という言葉はふさわしくないと思ったんだ」

P「だって、俺も、透が好きになってたから」

P「好きな子との運命を信じるくらい、いいだろって思った」

透「照れる」

透「そんなこと言われたら照れるって……あれ……」ポロポロ

透「ふっ……ふふっ……」ポロポロ

透「涙、止まんないや」ポロポロ

透「ほんと、嬉しくて……」ポロポロ

P「透……」

透「今度は、あなたの口から聞かせて」

透「言葉で」


1.「俺は、浅倉透を、愛している」
2.「俺は、浅倉透が、好きだ」(既読)
3.「それは、待ってくれないか」

選択肢↓2

P「俺は、浅倉透を、愛している」

透「うん」

透「うん……、うん……っ!!」

透 ダキッ

透 ギュゥゥゥ

P「じゃ、ジャングルジムの上だし、あんまり抱きつくとあぶないぞ」

透「やだ。離さない」

P「別に逃げたりしないから……」

透「それでも、だめ」

透「少なくとも待たされたぶんだけ抱きしめてたい」

透「それくらい、いいでしょ」

P「あ、ああ……」

透「あと、ハンカチ持ってないから、涙と鼻水拭くところが欲しい」

P「……、いや、おいおいおいおい」

P「俺がティッシュ持ってるからそっちで……って」

透「ごめん、もう拭いちゃった」

P「うわ……べっとりついてら」

透「まあ、マーキング? ってことで、さ」

P「帰るときどうしろっていうんだよ……」

透「自然乾燥」

P「後でひどくなるだろそれは、知らんけど」

P「はあ……透は透だな」

透「なに、私のことそんなに言えるほど知ってるの?」

透「まだまだ、甘いよ」

透「もっと知ってもらわなきゃ」

透「私も、プロデューサーのこと、もっと知りたい」

P「ははっ、そうだな」

P「これから、時間はいくらでもあるさ」

P「プロデューサとしての俺と、アイドルとしての透」

P「もちろん、仕事ではそうだけど」

P「本当の意味で2人で歩んでいくのは、これからだよな」

透「よろしくね。これからも」

P「こちらこそ」

透「……だいすき」

~某タワー~

透「ふふっ、人がゴミのようだ」

P「……まさかそれ言うためだけに来たって言うんじゃないだろうな」

透「……」

P「マジか……」

透「ううん。マジっぽい顔してみただけ」

透「プロデューサーと過ごすために来た、っていうのが本音」

P「っ……お前なぁ」

透「もしかして、照れてる?」

P「言うな言うな。大の大人が恥ずかしいだろ」

透「別にいいのに」

P「俺が気にするんだよ」

P「しかし、あれだな。透は、高いところが好きなのか」

透「高いところがっていうか、まあ、てっぺん、というか」

透「まあ、タワーの展望台は、てっぺんじゃないけど」

透「うーん」

透「やっぱ、プロデューサーがいればなんでもいいや」

透「なんていうか」

透「もうジャングルジムはこの前登ったし、せっかくデートするなら、こういうところがいいかなって」

透「上にのぼるって意味じゃ一緒だし」

P「高さはえらい違いだけどな」

透「ふふっ、まあね」

透「すごいね、景色」

P「ああ、さすがの高さだ」

P「道で歩いてるときに見ると高い建物も、ここからなら全部が小さく見える」

透「……」

透「この前までの私には、見えてなかった景色」

透「見上げることしかできなくて、いろんなものが大きくて、長くて、立ちふさがってるような気がしてた」

透「でも、今は違うよ」

透「あなたに、伝えられたから」

透「あなたと、通じ合えたから」

透「ああ長いなぁって感じてたのも、感じ方が変わった」

透「あなたとなら、人生なんていくらでも長くていい」

透「だって、あなたがいるから」

P「透……」

P「……そうだな。これから俺たちがしていくのは、2人で上を向いてジャングルジムを登っていくことじゃない」

P「前を向いて、共に人生を歩んでいくこと、だな」

P「これからの景色を、俺と一緒に見ていこう」

P「きっと、いいものが見れると信じて」

透「楽しみだね」

P「ああ、俺もそう思う」

P(透が俺の手を取る)

ギュ

P(手を握って腕を組む形になり、透が少しばかり体重をこちらに預けてきた)

透「身長」

P「え?」

透「プロデューサーも、こんなに近いってだけじゃなくて、見上げなくてもちゃんと感じられる」

透「大きくなったからさ」

P「最初に会ったときよりは、そりゃあな」

透「いろいろと成長してるから。ほら」フニュ

P「……反応に困る」

透「そっか」

透「あー、喜んでおけばいいんじゃないかな、とりあえず」

透「この身体を好きにできるんだし」

P「その言い方だと俺が身体目当てみたいに聞こえるぞ」

透「そうなの?」

P「いや、違うが……」

透「じゃあいい」

P「ははっ、透は面白いな」

透「ここ、雲の上になることもあるんだってね」

P「これくらいの高さがあれば、そうかもな」

透「雲の上の存在になれちゃう」

P「物理的にはもうなれたってか」

P「あとは……アイドルとして、だな」

透「モデルとしてもね」

P「そうだな」

P「プロデュース、頑張るよ」

P「透のために、俺は全力を尽くすよ」

透「私は、プロデューサーを信じるよ」

透「だから、導いてね」

透「アイドルとしても」

透「モデルとしても」

透「なにより、愛を誓い合った者どうしとしても」

P「最後のは、時には導き導かれ、っていうのもいいんじゃないか?」

透「私が導く……何かできるかな」

P「まあ、思いつきで言ったから俺にもよくわからん」

透「ふふっ、そっか」

透「あ、できること、あった」

P「なんだ?」

透「秘密」

P「言ってくれないのか」

透「知ったらプロデューサーは無理しちゃうかもしれないから」

透「過労死は、させない」

P「透がそう言うんなら、まあそれでいいか」

透「ねえ」

P「どうした?」

透「いや、幸せだなって」

P「急だな」

透「いつも思ってるよ」

透「急なのは、言葉になったことだけ」

P「俺も幸せだよ」

P「なんていうか、こう、安心できるというかさ」

P「タイミングこそずれてしまったけど、お互いにお互いを思い出す瞬間というのがあったわけで」

P「俺たちは、再会する喜びを、共に上を目指すという過程を、共有できるだろ」

P「それが、心地良いんだ」

透「私も同じこと思ってた」

透「僕が出会った人、私が好きになった人、浅倉透が愛した人は……」

透「いつだって、導いてくれて」

透「いまはこうして気持ちと時間を共有することもできて」

透「それが幸せ、かな」

P(それから、透はモデルとアイドルという2足のわらじで頑張っていった。いまや、知らない人はいないタレントだろう)

P(もちろん、noctchillも健在だ。依然として人気は高い)

P(283プロには、事務員が数名新たに雇用されるようになった。まあ、事務所としてもお金を持つようになってきたから、ブラック同然の体制を変えようとしてのことだろう)

P(その後、俺は、透の専属プロデューサーになることを決めた。noctchillのプロデューサーには、人員補填で少しばかり暇になったはづきさんが就くこととなった)

P(最近は、デスクワーク以外の時間のほとんどの時間を透と過ごしている)

P(……プライベートも含めて、だ)

P(俺と透は恋人同士になった)

P(いや、恋人と一言で片付けられるような関係ではないだろう)

P(透との間には、愛と同時に絆があるからだ)

P(友情の上位互換ともいえるような感覚が、愛情と共存している)

P(2人でその幸せを噛み締めながら日々を過ごしていた)

P(そして……)

~田舎の一軒家~

P「おーい、透」

透「ん。どうしたの」

P「いや、お前また水やるのわすれただろ」

透「……あ」

P「ちゃんと世話してやれよ」

透「ごめんって。次から気をつけるからさ」

P「次から、じゃなくて、いまから、な」

P「ほれ、如雨露やるから」

P「これで水あげてこい」

透「うん。そうする」

P「あとな、水あげすぎるのも駄目だぞ」

透「わかってるって」

P「本当かなぁ」

P「ちゃんと調べなおしておけよ、キンレンカ 育て方、ってな」

透「ふふっ、世話焼きだね」

P「そういう仕事もしてるからな」

透「うーん、プライベートでの世話焼きは、プロデューサーというより、お母さんって感じかも」

P「家族……ではあるがまさかお母さんポジとは……」

透「それか、樋口」

P「円香に怒られるぞ」

透「うん」

P「……言ったことあるって顔だな」

透「怒られたからね」

P「やっぱり」

P「自分で買った花の面倒は自分でみてやれって。どうしても忙しいときは、俺もやるけどさ」

透「自分でスカウトしたアイドルの面倒をここまで見てくれる人に言われると、言葉の重みが違うね」

P「揚げ足をとるなよ……」

透「まあいいや、行ってくる」タタタ

P「ふう……まったく」

P「世話焼き、か」

P「ははっ……好きでやってるんだ、いいだろ、別に」

P「それが幸せなんだよ」


透「おーい、キンレンカやーい」ツンツン

透「水が欲しいかー?」

透「……」

透「あげるのやーめた」

透「……」

透「と、見せかけて、やっぱりあげる」

ジョボボボボ

透「……」

透「虫が寄り付かない花」

透「食用にもなる花」

透「別名は、ナスタチウム」

透「……」

透「虫が来ないってことは、そのぶんにぎやかにはならないよね」

透「せめて、たくさん花が咲くように、水はあげるよ」

透「また来るね」


P「水、ちゃんとあげてきたかー?」

透「うん。土から喜ぶ声が聞こえた」

P「ははっ、そっか」

透「嘘だけど」

P「いや……うん、そうだろうけどさ」

透「いつ食べよっか、あれ」

P「もう食う気かよ。育てる段階からそんなこと考えてやるなって」

透「冗談だよ」

P「飯、できてるぞ」

透「水やりに行ってからお腹空いてたんだ」

P「やっぱ花食べる気まんまんじゃねーか」

透「冗談」

P「本当かよ……」


P ズズズ

透 モキュモキュ

P「……」

P「……のどかだな」

P(透と田舎で二人暮らしを始めて1ヶ月になる)

P(透と円香が出演していたドラマがあり、どちらも準主役級の役だったから、ここしばらくは休養期間といったところだ)

P(駆け出しの頃とは違うのだと、改めて思った)

透「田舎暮らしが? それとも、2人暮らしが?」

P「田舎で暮らすこと自体はのどかだけど、よく考えたら、透と過ごす時間はにぎやかだったな」

透「私は楽しいよ」

P「もちろん、俺もだ」

P「もう、人生が長いとは思えないだろ?」

透「うん。むしろあっという間だっていつも思うようになった」

透「あなたのおかげ」

P「透のおかげでもある」

透「私、何かしたっけ」

P「いや? 別に」

透「?」

P「ただ、そばにいてくれてるからさ」

透「っ/// ……不意打ち、刺さる」

透「あ、でも、またしばらく忙しくなるよ」

P「透に直接オファーが来たのか?」

透「うーんと、まあ、そんなところ?」

P「仕事の話となれば、プロデューサーとして把握しないわけにはいかないんだが」

透「大丈夫、ちゃんと話すよ」

透「まあ、あとでね」

P「あ、ああ……」

透「うん」

ヴーッ、ヴーッ

P「お、事務所から電話か。ちょっと出てくるよ」

ガチャ、バタン

透「……ふぅ」

透「……」ガサゴソ

透「……」つ母子手帳

透「ふふっ」

透「どうやって教えてあげようかな」


END.

浅倉透のエンディングが1つクリアされました。

市川雛菜に関するエンディングを開放するための条件がすべて揃いました。

冒頭に戻ります。

~Pの自宅~

ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピ……

P「……っ」

P「……朝か」


P「いってきます。……って、まあ一人暮らしなんだけどな」

P「よし! 今日も一日頑張るか!」


~駅前~

P(事務所まであと少しだが……)

P「っ、暑いな、まったく……」

P「そうだ」


1.我慢できん……とりあえずコンビニに入ろう。(既読)
2.急いで事務所に行けばクーラーの効いた部屋が待っている!(既読)
3. 路地を歩けば涼しいかな……?(既読)
4.あれ、部屋の鍵ちゃんと閉めたっけ……。

選択肢↓2

(とりあえずここまで)

P(あれ、部屋の鍵ちゃんと閉めたっけ……)

P(なんだか不安になってきたな)

P(……まだ出勤のタイムリミットまではあるな)

P(よし、戻ろう)

~Pの自宅の近所~

P(ここを曲がれば……って、あれ)

P(あそこにいるのは、雛菜か?)


雛菜「~~~(スマホを片手に会話中)」


P(誰かと電話中か)

P(気づかれずに通りたいけど、この道でいかないとえらい遠回りになっちまうんだよな……)

P(ええい、行くしかないか)


雛菜「!」


P(やっぱ気づかれるよな、そりゃ)

雛菜「~~~~(スマホを片手に会話中)」

雛菜 ポチッ

雛菜「プロデューサーだ~おはよ~」

P「お、おう、雛菜か。こんな朝から、偶然だな」

雛菜「そうだね~」

雛菜「雛菜はプロデューサーに会えてしあわせ~」

P「ああ、俺も嬉しいよ」

雛菜「やは~プロデューサーもそうなんだ~!」

P「でも、悪いことしちゃったよな。電話の邪魔だっただろ、俺」

雛菜「うーん、まあ、いいよ~」

雛菜「それよりプロデューサーは、ここで何してるのー?」

P「自分んちの部屋の鍵を閉めたか不安になっt……」

P(まずい、ここが近所だって担当のアイドルに知られるのはいろいろと良くないのでは……)

P(しまったな……)

雛菜「プロデューサーのおうちがあるの~!?」

P「あ、ああ……まあ、な」

雛菜「雛菜もついてく~」

P「いや、アイドルが……それ以前に女子高生が1人で、それも大人の男と2人きりで部屋にいくとか、いくらなんでもまずいだろ」

雛菜「え~」

P「ほら、今日はnoctchillでのレッスンもあるだろ。雛菜は早く事務所に向かうんだ。いいな」

雛菜「……は~い」

P「よし、頼んだぞ」

P タッタッタッタッ

雛菜「……」

~Pの自宅前~

P ガチャガチャ

P「よかった……鍵はかけてたな」

雛菜「よかったね~」

P「うおあぁっ!?」

雛菜「あは~プロデューサーおどろいた~」

雛菜「面白い顔~」

P「雛菜っ! お前なんで……」

雛菜「雛菜がしあわせ~って思えるのは、プロデューサーを追いかけることかなーって思って」

P「お前な……」

雛菜「もしかしてー……怒る?」

P「うっ」

P(そんな顔、声で言われたら怒るに怒れないだろ……)

P「忘れ物を思い出した。だからついでに部屋にも寄っていく」

P「入ってくるなよ。さすがに問題になるからな」

雛菜「ここにいていいの~?」

P「変装用の帽子とメガネをかけていてくれるならな。おとなしくしていてくれ」

雛菜「わかった~りょーかい」

P「はあ……」

P(まあ、忘れ物があるっていうのは嘘だけどな)

P(とりあえずあの場を切り抜けたくて部屋に入ってきちまった)

P(部屋の前にいさせてるのは……やっぱりまずいよな)

P(今から言って事務所に行くよう説得しよう)

ガチャ

P「おい、雛菜――」

P「――って、あれ。いないな」

P「……」

P(どこに行ったんだ?)

P(……スマホに通知が)


雛菜『雛菜、プロデューサーのことすきだから、いまはいい子でいてあげるね~』

雛菜『事務所で会おうね~』


P「ふぅ……」

P「一安心、なのかな」

~事務所~

P「おはようございます」

透「プロデューサー、おはよ」

小糸「あ、おはようございますっ! プロデューサーさん!」

円香「……ハァ」

P「さすがにひどくないか?」

円香「まだ何も言ってませんが」

P「言わずとも伝わることってあるんだぞ」

円香「そういう高度なコミュニケーションもとれたんですね。覚えておきます」

P「はいはい。よろしくな」

雛菜「あ! プロデューサーだ~。おはよ~」ダキッ

P「うぉっ。……おはよう、雛菜」

雛菜「目が覚めたらプロデューサーに会えるとか、雛菜しあわせ~」パァッ

P「あはは……ありがとな」

P「ほら、あんまりくっついて大人をからかっちゃだめだぞ」

雛菜「え~」

円香「珍しく意見が一致しますね」

円香「ほら、雛菜。あんまりくっついてると汚れるよ」

P「結局そういう扱いなのかよ!」

雛菜「別にいいも~ん」

雛菜「ね? プロデューサー」

P「俺に聞かれてもな……」

透「……」

小糸「雛菜ちゃん……」

数時間後

P(今日のnoctchillはレッスン漬けだったよな)

P(あいつらのことだから心配しなくてもいいかもしれないけど……)


1.まあでも、様子を見に行くか!(既読)
2.仕事で疲れたし昼寝でもしよう。(既読)
3.休憩がてらはづきさんと話すか。
4.社長がいないから、適当な理由つけて少しサボっちゃおうかな……。


選択肢↓1

P(社長がいないから、適当な理由つけて少しサボっちゃおうかな……)

P(なんというか、仕事が手につかない)

P(いまは忙殺されているわけでもないし)

P「あの、はづきさん」

はづき「? どうしましたー?」

P「スカウトのために外出てきます」

はづき「いま、ですか?」

P「は、はい……」

はづき「別に私は何も言いませんけど、ちゃんと今日の分の仕事は今日のうちに終えてくださいね」

P「それはもちろん……では、行ってきます」

ガチャ

P「……ふぅ」

P「本当にサボっちまったな」

P(適当にブラついてみたが……)

P「……」

P(なんか、無意識のうちにレッスン場の近くをぐるぐるしてるな)

P(仕事に対する責任感からなのか、それとも……)

「あ! プロデューサーだ~」

P「……え?」

雛菜「やは~こんなところでも会えるなんて偶然だね~」

P「お、お前……レッスンはどうしたんだよ」

雛菜「え~その話になるの~……?」

P「当たり前だろ、だって今日は1日中その予定で……」

P(絶賛サボり中のやつが何言ってるんだって感じだな)

P(しかし、あくまでもプロデューサーとして振舞おう)

雛菜「……レッスンはねー」

雛菜「なんか簡単だったから、何回も大変な思いして繰り返すの、しあわせ~じゃない~ってなって」

雛菜「そう思ってたら、トレーナーさんが怒り出して」

雛菜「やる気がないなら帰りなさい! ……って言うから」

雛菜「帰ってきちゃった~」

P「なにやっt……」

P(いや……)

P(それ以上言う資格が今の俺にあるか?)

P(雛菜はレッスンをサボったも同然。でも俺も、仕事をサボってる)

P(説教垂れることなんて……)

P「……」

雛菜「?」

P「……そう、だよな」

P「辛くて大変じゃないと頑張ったことにならないなんて、そんなのは間違ってる」

P「雛菜が前に言った通りかもな」

P「雛菜、お前は悪い子だよ」

雛菜「え~そんなこと言うの~?」

P「そして、俺は悪い大人だ」

P「悪い大人だから、悪い子な雛菜と一緒に、どっか行こうなんて思ってる」

雛菜「!」

雛菜「やは~それはしあわせ~」

P「マイナスとマイナスをかけるとどうなる?」

雛菜「プラスになる~!」

P「よし、今日は雛菜の“しあわせ”を大切にする日にしよう」

P「行こう、雛菜」

雛菜「うん!」

P(レッスンを抜け出した雛菜を探すために俺は急遽捜索に向かったということにし、2人で遊ぶことにした)

P(放課後に寄り道をする高校生みたいに)

P(俺は、社会人であることを忘れて、雛菜との時間を楽しんでいた)

P(ゲーセンに行って、レーシングゲームやシューティングゲームで対戦をしたり、クレーンゲームで景品を取ってやったり、プリクラを撮ったりした)

P(カラオケにも行った)

P(そして……)


~某所 スイパラ~

雛菜「ん~おいし~」

P「はは、おじさんには少し重いな……」

雛菜「え~、プロデューサーってそんな歳じゃないでしょ~」

P「まあ、社会人としちゃまだまだ全然若いけどさ」

P「それでも、高校生の元気と比べちゃうと、だいぶ劣るってものさ」

雛菜「高校生のときのプロデューサーか~……どんなだろ~」

P「別に、面白いことはないぞ? 普通の高校生だったよ」

雛菜「プロデューサーが雛菜たちと同じくらいに生まれてて、同じ高校に通ってたら良かったのにな~」

P「ははっ、……でも、それじゃあ今みたいにアイドルとしてプロデュースしてやれてないよ」

雛菜「それでもいいよー」

P「雛菜はアイドルやっててしあわせにはならないか?」

雛菜「そんなことは言ってないけどー……」

雛菜「アイドルじゃなくても、雛菜がしあわせ~になる方法はあると思うな~」

雛菜「いまはいまでいいけどね~」

P「そうか……」

雛菜「……プロデューサー、大丈夫~?」

P「え? どうして」

雛菜「いまのプロデューサー見てると、ぜんぜんしあわせ~な感じがしないから」

雛菜「もしかして、雛菜がそうさせちゃってる……とか~?」

P「い、いや、そんなことはないぞ!」

P(そう……だよな)

P(でも……俺はなんで仕事をサボろうとしたんだろう)

P「……」

雛菜「今日のプロデューサーはね~……雛菜の好きなプロデューサーだよ」

雛菜「だけど……こうやって一緒に過ごしてると、プロデューサーがしあわせじゃないのは、雛菜もしあわせじゃないかも~」

雛菜「雛菜がしあわせならそれで良いけど、プロデューサーがしあわせ~ってなってたらもっとしあわせ~になれるって思うな」

P「雛菜……」

雛菜「ごめんね~、雛菜はプロデューサーになにかしてあげられるわけじゃないのに」

雛菜「他の人のことなんて、わからないもん」

P「俺こそすまない。アイドルに気を遣わせて、何やってるんだろうな、ほんと……」

雛菜「プロデューサーは悪くないよ~……誰かが悪くなきゃいけないなんて、おかしくない~?」

雛菜「雛菜ね、よくわからないけど~……」

雛菜「プロデューサーがずっと頑張ってるってことはわかるよ~」

雛菜「それも、プロデューサーが雛菜がしあわせ~ってなるように考えてくれたからなんでしょ?」

雛菜「頑張らなくていいときもあるのかな~って思うな」

P ポロ・・・

P「え、あれ……」

P「な、涙が……」

P「どうして……」

P「悪い、雛菜、ちょっとトイレに……」

雛菜「隠れて泣いちゃだめなのはなんで~?」

P「なに言って……」

雛菜「頑張ってる人は頑張り続けてないといけないの~?」

雛菜「小さい頃はどこで泣いても良かったのに、大きくなったら泣いちゃいけなくなるのはどうして?」

雛菜「正直じゃないのは、しあわせ~って言えるのかな……」

P「……」

雛菜「お店出よ~。目立っちゃう、よね」

~河川敷~

雛菜「あは~ここなら誰も見てないよ~」

P「いや、ここまで来る間にもういろいろ引っ込んだよ……ははっ」

雛菜「その苦しそうな笑い方きらい~」

P「……ごめんな」

雛菜「すぐ謝るのもきらい~~」

P「……」

雛菜「どうしたらプロデューサーがしあわせ~になるか、雛菜考え中~」

雛菜「う~ん」

P「……前に言ったこと、覚えてるか」

雛菜「?」

P「雛菜にとっての『楽しい』っていうのは、『楽をする』ことじゃないって話」

P「『ここまででいいや』って考え方は、いますることじゃないとも言った」

P「でも、今の俺は、ここまででいいやっていうノリで、楽をしてるような気がするんだ」

P「やりたいことを仕事にして、雛菜に言わせれば、しあわせ~ってなってるはずなのに」

P「今の俺には、それがない……」

P「どうして、なんだろうな……」

雛菜「どんなに好きなお仕事でも、同じことを繰り返さないといけないってこと……あるんじゃないかって思うな~」

雛菜「アイドルもそうでしょ~? ……今日のレッスンもそう」

雛菜「雛菜はね、別にうまくいかないからいやだ~ってなったわけじゃないんだよ」

雛菜「うまくいってるのに、辛い~ってなるくらい何回も繰り返さないといけないなんて~って思ったの」

雛菜「いまの雛菜たち、似た者どうしなのかもね~」

P「俺は……」

雛菜「プロデューサーは、プロデューサーのこと、自分で頑張ってるな~って思う~?」

P「そりゃ……アイドルが輝けるように、精一杯……」

雛菜「プロデューサーは、プロデューサーのためにお仕事をしてるわけじゃないの~?」

雛菜「雛菜、それがわからないな~」

雛菜「雛菜は雛菜のためにお仕事してるよ? もちろん、プロデューサーがしあわせ~ってなればいいな~って思ってすることもあるけどね~」

雛菜「プロデューサーに出会ってからね、雛菜、誰かのために……誰かのしあわせ~のために頑張るってことも少しはわかった気がしたんだ~」

雛菜「ちょっとだけどね~」

雛菜「でも、やっぱりわかんないや」

雛菜「だって、いまのプロデューサー、ぜんぜんしあわせ~に見えないよ?」

雛菜「すごく辛そうに見えるもん」

P「……アイドルのためでもあり、自分のためでもあると思っていたんだ」

P「自分のプロデュースするアイドルが活躍するのを見て、素直に誇りに思った」

P「嬉しかった。感動した」

P「自分の努力が報われるような結果が得られたと実感できた」

P「noctchillはまだまだ成長していくアイドルユニットだが、駆け出しの時代はもう終わりを迎えているだろう」

P「人気が安定してからのプロデュースというものについて、俺はあまり考えていなかったのかもしれない」

P「それが原因かもわからない……けど」

P「俺は今……なにをして生きてる?」

P「なんのために生きてるんだ?」

P「お前らアイドルには、レッスンに行け、仕事を頑張ってこいと言う……それは何のためだ?」

P「わからない……わからないんだよ!」

P「なあ、雛菜……教えてくれ。しあわせ~って、なんなんだ?」

P「俺は、もう……」

雛菜「よしよし~」ギュッ

P「!」

雛菜「細かいことはね~……よくわからないよ。プロデューサーはプロデューサーだし、雛菜は雛菜だから」

雛菜「でもね~、雛菜は、プロデューサーに頑張って欲しいって思わないよ~?」

雛菜「プロデューサーのおかげでアイドルにはなれたけど、しあわせ~になれたのかは、よくわかんない」

雛菜「それでも、いまの雛菜はね~……プロデューサーとしあわせを探せたらって思ってるんだ~」

雛菜「いまのままじゃ、もううまくいかないね」

雛菜「大変だったよね~。プロデューサー、頑張ったよね」ナデナデ

雛菜「雛菜たちのために、頑張ってくれてありがと~」

雛菜「雛菜たちのために、何度も何度も、いろいろと駆け回ってくれたんだよね~うれし~」

雛菜「だからもう、頑張るの禁止~」

P「うっ……お゛……」ボロボロ

P「ひぐっ……お、俺は……」ボロボロ

雛菜「うんうん。泣いたって、別にいいよ~」

雛菜「泣いたぶん、後でしあわせ~ってなれれば、問題ないよね~」

雛菜「……」

雛菜「しばらくこうしてよ~っと」

P「雛菜っ……」グスッ

雛菜「今日まで頑張ってくれたプロデューサーが、ちゃんとしあわせ~になれますよ~に」ギュッ

選択肢はありませんが、とりあえずここまで。

P(その日、俺と雛菜は、結局事務所には戻らなかった)

P(俺は社長命令で精神科にかかることになった)

P(そして、しばらくの間、仕事ができないことになった)

P(はづきさんは、どうやら以前からプロデュース業に関して勉強していたようで、俺の代わりにプロデューサーをやってくれるようだった)

P(右肩上がりの業績だった283プロは、数名の事務員を雇用し、いまでも問題なく運営できているという)

P(すべて、入院しながら人づてに聞いた話だ)

P(俺は……なにをしているんだろう)

P(見舞いに来てくれたのは、はづきさん、小糸、円香だった)

P(社長は忙しいらしく、なかなか来れないとのことだった。もっとも、俺の顔なんてみたくもないのかもしれない)

P(透も来なかった。なぜだかは知らない。何の連絡もなかった)

P(でも、俺にとっての問題は、別にあった)

P「雛菜に……会いたい」

P(あれから、雛菜は連絡をくれるものの、何かと理由があって見舞いには来てくれていなかった)

P(俺は……お前に会いたいのに)

P(それを言い出す勇気も資格も、たぶん俺にはなかった)

コンコン

P「……はい」

ガララ

小糸「ぷ、プロデューサーさん! こんにちは」

P「ああ……小糸か」

P「元気か?」

小糸「それはこっちのセリフですよ! わ、わたしは元気です」

P「仕事は……順調か?」

小糸「あ、はい。はづきさんがプロデューサーさんになって、おかげさまで変わらずアイドルしてますよ」

小糸「プロデューサーさんも、早く元気になって、前みたいに一緒にお仕事しましょう……」

小糸「ぴゃ、で、でも、いまははづきさんがプロデューサーさんで……いまわたしの前にいるのもプロデューサーさんで……」

小糸「あ、あれ?」

P「ははっ……」

P「もう、俺はプロデューサーでもなんでもないさ」

P「……」

小糸「ぴゃぅ……」

P「身体に異常があるわけじゃない」

P「なのに、仕事もなにもせずに、俺はなにしてるんだろうな……」

小糸「ぷ、プロデューサーさんの心が大変なら、それで理由としては十分だと思いますけど」

小糸「前のプロデューサーさんは働きすぎだったんですよ! だ、だから、いまくらい休んだって誰も文句言いません!」

P「小糸にそう言ってもらえて、なんだか助かるよ」

小糸「え、えへん! まったく、わたしがいないと――」

P「――だめだめ、だな。ほんと……」

小糸「あっ……いまのは、その……」

P「いや、いいんだ。気にしないでくれ」

小糸「そ、そうだっ。りんご持ってきたんです! だから、剥いてあげます!」

P「いいって!」

小糸「ぴゃっ!?」

P「……すまない。大きな声出して」

P「一人にしてほしい」

小糸「ご、ごめんなさい……グスッ」

小糸「今度は、剥いてから持ってきますね……」

小糸「ま、また来ますから!」

P「……」

小糸「っ! ……」ダッ

P「……」

P(一人になりたいだなんて、嘘だ)

P(何故……何故来てくれないんだ……)

P「雛菜……」

コンコン

P「……はい」

ガララ

円香「……っ」

P「円香か……」

円香「私で悪かったですね」

P「……そうは言ってない」

円香「どうだか」

円香「生存確認ができたので、もう帰ります」

P「ああ……」

円香「……」

P「……」

円香「っ!」

ガラララ バンッ

P「……」


タッタッタッタッ

円香「うぐっ……グスッ」タッタッタッタッ


円香『私……泣きませんので』


円香「ひぐ……ううっ」タッタッタッタッ


~病院 屋上~

円香「はぁっ……はぁっ……」ポロポロ

円香「どうして……どうして……」ポロポロ

円香「私は……こんな泣き方……望んでないのに……!」ポロポロ

コンコン

P「……」

はづき「入りますよー」

ガララ

はづき「もう、ぼーっとしてちゃだめじゃないですかー」

P「……」

はづき「今日は、noctchillの皆さんの近況報告をしにきました。主にお仕事の話を」

P「……」

はづき「まずですね――」


はづき「――という感じで、最近はバラエティへの出演が増えてますね」

はづき「そうだ。今度、新曲が出るんですけどね」

はづき「そこで雛菜さんが……」

P「雛菜……」

はづき「……」

P「……」

はづき「……今日はここまでにしておきますね」

はづき「資料、ここに置いておきますから、よかったら読んでください」

はづき「では、また」

ガラララ

P「……」

P「雛菜……」


雛菜『隠れて泣いちゃだめなのはなんで~?』

雛菜『頑張ってる人は頑張り続けてないといけないの~?』

雛菜『小さい頃はどこで泣いても良かったのに、大きくなったら泣いちゃいけなくなるのはどうして?』

雛菜『正直じゃないのは、しあわせ~って言えるのかな……』

雛菜『どんなに好きなお仕事でも、同じことを繰り返さないといけないってこと……あるんじゃないかって思うな~』

雛菜『アイドルもそうでしょ~? ……今日のレッスンもそう』

雛菜『雛菜はね、別にうまくいかないからいやだ~ってなったわけじゃないんだよ』

雛菜『うまくいってるのに、辛い~ってなるくらい何回も繰り返さないといけないなんて~って思ったの』

雛菜『いまの雛菜たち、似た者どうしなのかもね~』


P「……」


雛菜『でもね~、雛菜は、プロデューサーに頑張って欲しいって思わないよ~?』

雛菜『プロデューサーのおかげでアイドルにはなれたけど、しあわせ~になれたのかは、よくわかんない』

雛菜『それでも、いまの雛菜はね~……プロデューサーとしあわせを探せたらって思ってるんだ~』

雛菜『いまのままじゃ、もううまくいかないね』

雛菜『大変だったよね~。プロデューサー、頑張ったよね』

雛菜『今日まで頑張ってくれたプロデューサーが、ちゃんとしあわせ~になれますよ~に』


P「……っ」

ヴーッ ヴーッ

P(こんな時間に着信……?)

――着信:市川雛菜 携帯電話――

P「!!」

P「ひ、雛菜っ……!」

ポチッ

P「……」

雛菜『あは~、プロデューサー、ひさしぶり~』

雛菜『いままでお見舞いに行けなくてごめんね~』

雛菜『雛菜ね、考えたの~……』

雛菜『プロデューサーはどうしたらしあわせ~ってなってくれるのかな~って』

雛菜『雛菜には、わからなかったけど~……』

雛菜『やっぱね~、雛菜とプロデューサーの2人でならわかるんじゃないかって思ったんだ~』

雛菜『……ね~プロデューサー』

雛菜『雛菜と~……一緒にならない~?』


1.雛菜と一緒になる。
2.雛菜と一緒にならない。


選択肢↓1

(とりあえずここまで)

P「……俺は」

P「俺は、雛菜と一緒にいたい」

P「だから、……来てくれ! 雛菜!!」


ガラララ


P「っ!?」

雛菜「やは~プロデューサー、雛菜を選んでくれた~」

P「お前……なんでそこに」

雛菜「サプライズ~……? ってやつ~」

雛菜「雛菜を選んでくれたプロデューサーにご褒美~って感じ~……」

P「……っ。雛菜……」

P「雛菜っ……!!」ダキッ

雛菜「う~ちょっと抱きしめすぎ~……。痛いよ~」

P「うぐっ……。お、俺は、俺はお前を、……ずっと待っていた……!」

雛菜「そっか~。ずっと、待っててくれたんだ~……」

雛菜「雛菜ね~、決めたんだよ」

雛菜「雛菜のしあわせ~のために、プロデューサーと一緒にいたいな~って」

雛菜「……ううん。違う」

雛菜「プロデューサーが必要なんだな~って」

P「俺のほうこそ……雛菜が……雛菜が必要で……!」

P「もう……離れないでくれ……」

P「そばに……いて欲しいんだ」

雛菜「うんうん。そうだね~」

雛菜「大丈夫~。どこにもいかないから~……」

P(その後、俺は天井社長に退職願を提出した)

P(社長はそれを受け取り、けれども受領はしてくれなかった)

P(いつかまた、このプロダクションに俺が戻ってくる――社長はそう言うのだった)

P(ともかく、俺はプロデューサー業から降りた)

P(noctchillのメンバーは4人から3人になった。雛菜が活動休止となったためだ)

P(雛菜はアイドルとしての活動を休止し、事務員として283プロに再登録された)

P(といっても、以前のはづきさんのような仕事をするわけじゃない)

P(雛菜の業務は、俺のリハビリのための、付き添いだった)

P(雛菜がいれば精神が安定する。そんな俺のために、雛菜はそのポジションに収まった)

P(俺と雛菜は、天井社長がこっそり買っていた田舎の社用の住宅で静かに暮らすことになった)

数ヵ月後。

雛菜「プロデューサー。今日はいい天気だね~」

P「本当にな。都会じゃ味わえない、心地の良い朝だ」

雛菜「あとで雛菜と一緒におさんぽしよ~?」

P「ああ。そうだな」

雛菜「ご飯できてるから、早く下りてきてね~」


P「おいしそうだな」

雛菜「でしょ~? 頑張ったんだよ~」

P「いただきます」

雛菜「いただきま~す」

P ムグムグ

P「……うまい」

雛菜「ほんと~?! やった~!!」

P「一緒に暮らし始めた頃はどうなることかと思ったけどな」

雛菜「あは~……それは言っちゃだめ~」

雛菜「おいしいもの食べればプロデューサーも雛菜もしあわせ~ってなれると思って、すっごく練習したんだよ~?」

雛菜「レッスンよりも頑張った~」

P「はは……そこはレッスンのほうを――」

P「――いや、なんでもない」

P「もう、俺はプロデューサーでもなんでもないんだ」

雛菜「あ~、そういうこと言わない~」

P「雛菜も、俺をプロデューサーだなんて呼ばなくていいんだぞ」

雛菜「名前で呼んで欲しいの~?」

P「……別にそういうわけじゃ、ないけど」

雛菜「そのうちね~」

P「ごちそうさまでした」

雛菜「ごちそうさまでした~」

P「食器洗うの、手伝うよ」

雛菜「え~、いいのに~」

P「いいから、俺もやるよ」

雛菜「じゃあ、一緒にやろ~?」


カチャカチャ

P ゴシゴシ

雛菜 ~♪

P「……」

P(
市川雛菜
年齢 15歳
身長 165cm
体重 56kg
BMI 20.57
出身地 神奈川県
3サイズ B87/W60/H86
誕生日 3月17日
星座 魚座
血液型 A型
利き手 左


P「……」

雛菜「よ~し、これで終わった~」

P ギュッ

雛菜「?」

P「雛菜……」

雛菜「あは~、もう、プロデューサー……」

P「……まだ、何も言ってないぞ」

雛菜「言わなくてもわかる~」

雛菜「我慢できないの~?」

P「……ああ」

雛菜「そっか~……」

雛菜「うん。じゃあ、いいよ~……」

P「雛菜っ……」


P「はあっ……はぁ……」

雛菜「頑張ったね~プロデューサ~」

P「ごめん……俺……」

雛菜「いいよ~。いっぱいしあわせ~ってなったもん」

雛菜「プロデューサーは、しあわせ~……?」

P「あ、ああ……もちろんだ」

雛菜「やは~よかった~」

雛菜「雛菜、ちょっとお着替え探してきちゃうね~」

雛菜「そしたら、一緒にお風呂いこ~」

雛菜 テテテテ

P「……」

P「……俺は」

雛菜「おさんぽ~」

P「あ、スマホ置いてきちまった」

P「先に外に出ててくれるか? すぐ行くから」

雛菜「わかった~。じゃあ、庭にいるね~」

P「ああ、すまない」


P「……おまたせ。じゃあ、行こう」

雛菜「うん」ジーッ

P「なに見てるんだ?」

雛菜「このお花~」

P「黄色とオレンジの花だな」

P「もともと植えてあったのが咲いたのかな」

雛菜「かわいいな~って思いながら見てた~」

P「ははっ、雛菜らしいよ」

P「よし、それじゃあ行こうか」

雛菜「うんっ! れっつご~」

~林道~

P「……雛菜は、さ」

P「アイドル、またやりたいか?」

雛菜「ん~、どうだろ~」

雛菜「プロデューサーがまたプロデューサーやってくれるなら、やってもいいかな~」

雛菜「プロデューサー以外なら、もういいや~って感じ~……」

P「そうか……」

雛菜「またお仕事したい~?」

P「……わからない」

P「また、あいつらに迷惑をかけてしまうかもしれない。もちろん、お前にも」

P「俺は、またプロデューサーとしてお前らを導いてやれる自信がないんだ」

P「そんな状態で、仕事をすることは、できない……」

雛菜「そっか~」

雛菜「……」

雛菜「ねえ……」

雛菜「……Pさ~ん」

P「!?」

雛菜「やは~プロデューサー、おどろいた~」

雛菜「決めた~。雛菜、プロデューサーって呼ぶのやめる~」

雛菜「これからは名前で呼んであげるね~」

P「……どうして?」

雛菜「さ~? どうしてでしょ~」

雛菜「やは~」

P「……ふっ、なんだよそれ」

雛菜「Pさんはね~」

雛菜「雛菜を、しあわせ~にしてくれたと思うよ~」

P「まあ、そもそも雛菜自身、自分がしあわせ~(?)であることを第一としてるしな」

雛菜「ううん。そういうことじゃなくてね~」

雛菜「Pさんに会うまでは、雛菜は自分が自分でしあわせになることしか考えてなかったし~……してこなかったよ~?」

雛菜「アイドルになって、誰かにしあわせ~にしてもらうとか、誰かとしあわせ~になるとか、そういうことがわかったんだ~」

雛菜「これもPさんのおかげだね~」

P「……そうか」

雛菜「だからね~。雛菜はね、何度でも言うよ」

雛菜「雛菜は、Pさんのこともしあわせにしてあげる!」


雛菜『だからね~……』

雛菜『プロデューサーのこともしあわせにしてあげる!』


P「雛菜……」

雛菜「雛菜がPさんのことをいちばん褒めて撫でてあげるし~……」

雛菜「Pさんがもうだめだ~って思っても雛菜がぎゅ~ってしてあげるし~……」

雛菜「雛菜は、ちゃんとPさんの隣にいてあげる~」

P「そうか……そうだよな」

P「俺を見てくれているのは、雛菜で……」

P「雛菜さえいれば、俺は……」

雛菜「あ、でもリビングのおっきなソファは雛菜の特等席だから、ゆずってあげな~い」

P「……ははっ、それはどうかな」

P「いつでもその座を狙ってるからな?」

雛菜「あ~、もう~」

雛菜「絶対守りぬくんだから~」

P(いつぶりだろう)

P(こうして、冗談を言い合って笑いあったのは)

P(乾いた笑いではなかったのは確かだ)

P(久々に、アイドルとプロデューサーの関係のときの、楽しい時間がよみがえった気がした)

P「そろそろ林道もおしまいか」

雛菜「たしか~この道を抜けると喫茶店があったよね~」

P「そうだな」

P「そういえば、まだ入ったことはなかったな」

雛菜「せっかくだし、行ってみようよ~」

P「ああ、そうしよう」

雛菜「じゃあ、そこまで競走ね~!」ダッ

P「あっ、こら、危ないぞ!」

雛菜「転びそうになったらPさんが助けてくれるから~」テテテテ


P『危ないぞ!』

雛菜『転びそうになったら』

雛菜『プロデューサーが助けてくれるでしょ~~~?』


P「……ははっ」

P「よし、負けないからな!」

P ダッ

P「はあっ……はあっ……」ゼェゼェ

P(い、息が切れてしまった……)

P(運動不足だな……)

P「情けないな、俺」

P「……ってか、やばい。雛菜を見失ったぞ」

P「あれ、ここ、どこだ?」

P(通ったことがあるはずの道だけど……)

P(いままで気づかなかったが、もう1本道があるな……)

P「ど、どっちに行けばいいんだ……」

「雛菜はまっすぐの道に行ったよ」

P「そうか、ありがとう……」

P「……え?」

「久しぶり、プロデューサー」

透「元気だった?」

一旦ここまで。

P「と、透……?」

P「なんでここに……」

透「プロデューサーたちが住んでるとこ、283プロの持ち物だし」

透「住所ならすぐにわかるよ」

P「そ、そうか……」

P「久しぶりだな、透」

P(そういえば、透は俺が入院してたときも見舞いには来てないし……)

P(……本当に久しぶりだ)

透「……」

透「……ねえ、いつ戻って来れるの」

透「私、ずっと待ってた」

P「……待ってた、か」

P「見舞いには来なかっただろ」

透「それは……っ」

透「……」

P「いや、悪い。透が悪いわけじゃないよな」

P「悪いのは、全部俺だ」

透「……思い出して欲しいんだ」ボソッ

P「え?」

透「ねえ、プロデューサー」

透「私は、プロデューサーと一緒にアイドルをやっていきたい」

透「私のプロデューサーは、1人しかいないよ」

P「透……」

P「……すまない」

P「今の俺に、アイドルの――透のプロデューサーは、できない」

P「雛菜と暮らすことで得たものはたくさんあるんだ」

P「俺は……透に応えてやれる自信も資格も、ない」

透「っ……!」

透「なんで……」

透「っ、なんで!?」

透「私は……私は……」

P「……」

「Pさ~ん?」

P(この声は……雛菜か?)クルッ

雛菜「もう~、待たせすぎ~」

P「あ、ああ。すまない、いま透に会ってな……」

雛菜「え~? 透先輩~? どこどこ~?」

P「いや、ほら、そこに……」

P「……あれ?」

P「いない、だと……」

P(そこには、足跡だけが残されていた)

~喫茶店~

雛菜「Pさんが待たせたせいで、雛菜お腹ぺこぺこ~~」

P「わ、悪かったって……好きなだけ食べてくれ」

雛菜「やは~、そうするね~」


雛菜「わ~、サラダにお花が入ってる~!」

P「ははっ、おしゃれなサラダだな」

雛菜「食べれるお花なんて、おもしろ~い」ムシャムシャ

P「たしかに、花を食べるってあんまりしないよな、普段は」

雛菜「だよね~」

P「そういえば、メニューに説明があったな……どれどれ」

P「ナスタチウムの入ったサラダ、か」

P「この花はナスタチウムって言うんだってさ」

雛菜「へ~、聞いたことない名前だね~」

P「そうだな……」

雛菜「プロデューサーも、食べる~?」

P「ああ……いただくよ」

雛菜「はい、あ~ん」

P「あむっ」

P「……うん、悪くないな」

雛菜「あは~雛菜もそう思う~」

雛菜「このサラダ、雛菜は半分たべたから、もう半分はPさんにあげるね~」

P「いいのか? 好きなだけ食べていいんだぞ?」

雛菜「? だから、好きなだけ食べたよ~?」

P「半分でいいのか」

雛菜「うんっ」

P「じゃあ、遠慮なく……」ムシャムシャ

雛菜「あ、そだ、そのお花のこと調べてみるね~」

雛菜「検索~」

雛菜「へ~」

P「何かわかったか?」

雛菜「うんとね~」

雛菜「なんか、キンレンカとも言うんだって~」

雛菜「ほら~」

P「お、おう……なんだかいろいろと書いてあるな」

P「……っていうか、これ」

P「うちの庭に咲いてたやつじゃないか?」

雛菜「あ~! ほんとだ~!」

雛菜「じゃあ、あのお花も食べられるんだね~」

P「食べちゃうのか?」

雛菜「う~ん、別にどっちでもいい~」

P「そうか」

~Pと雛菜の家(仮)~

雛菜「やは~。ただいま~」

P「散歩のつもりだったけど、ずいぶんと帰りが遅くなっちまったな」

雛菜「お腹いっぱい食べれたし、雛菜は満足~」

P「ははっ、満腹ってか」

P(そういえば、あのあと透はどうしたんだろう)

P(いつの間にか姿を消していたが……)

P(LINEでもしてみるか?)

P(……なんだか、勇気が出ないな)

P(間接的にではあるが、とりあえずはづきさんに聞いてみるか)


P『突然すみません。はづきさん、今日、透は事務所に来ましたか?』

はづき『あ、プロデューサーさん。こんばんわ~』

はづき『透さんですか? さっき事務所に顔を出して、すぐ帰っちゃいましたね』

P『そうですか。ありがとうございます』

はづき『何かあったんですか?』

P『いえ、たいしたことじゃないです』

はづき『わかりました~』


P(良かった……とりあえず、無事に帰れたようだな)

雛菜「Pさ~ん」

雛菜「こっちで一緒に映画見よ~」

P「ああ、いま行くよ」

雛菜「やは~~~……すっごく面白かったね~」

P「ああ……映画に夢中になったのなんていつぶりだろう」

雛菜「ん~~~っ! ずっと座りっぱなしで疲れちゃった~」

P「ははっ、ずっと雛菜を乗せてた俺の足も限界だ」

雛菜「それって……雛菜が重いってこと~~?」

P「……レッスンしなくなってから、少しはふっくらしたんじゃないか?」

雛菜「も~~!! Pさんきらい~~~~」ポカポカ

P「いてて……こらこら、叩くなって」

雛菜「う~、雛菜、ダイエットしたほうがいいのかな~」

雛菜「雛菜が痩せたほうが、Pさんはしあわせ~?」

P「……いや、別にいいよ」

P「雛菜が雛菜でいてくれれば、俺はそれでいい」

雛菜「~~~~~っ」

雛菜「そういうとこ、雛菜はだ~いすきだよ~」ダキッ

雛菜「Pさ~ん」スリスリ

P「よしよし」ナデナデ

P「……あ、ほら、雛菜、空見てみろ」

P「今日は星が一段と綺麗じゃないか?」

雛菜「ん~? ……っ! ほんとだ~~~!!」

P「ちょっと外に出てみよう」

雛菜「うんっ! 雛菜も行く~」

雛菜「すご~~い!! 綺麗だね~!」

P「ああ、ここに住み始めてから、星空自体は珍しく感じなくなったけど……」

P「ここまで綺麗なのは初めてだ」

P(思わず、見入ってしまって言葉が出てこなくなる)

P(星空の美しさに、圧倒されていた)

雛菜「……ね~、Pさん」

P「ん? どうした?」

雛菜「雛菜ね、この空を見て思ったよ」

雛菜「たぶん~……この世界には、たーっくさんのしあわせ~なことがあって」

雛菜「普段は気づかないけど、このお星さまたちみたいに……雛菜たちの見えるところできらきら~ってしてるんだろうな~って」

P「雛菜……」

雛菜「下を向いてたら、しあわせもお星さまも見えないんだね」

雛菜「だからね、雛菜は前を――上を見続けるんだ~」

雛菜「あなたはどう~? Pさん。ううん――」


雛菜「――プロデューサー」


P「!」

P「……ああ、雛菜の言う通りだ」

P「下を向いてたら、見るべきものを見なければ……大切なものも欲しいものも、見えてこないし見つけられない」

P「ありがとう、雛菜」ダキッ

雛菜「やは~、プロデューサーに抱き寄せられちゃった~」

P「俺は、ずっと下を見続けていたんだな」

P「上を向いていくよ。これからは、前を見据えて」

P(俺は、ずっと見失っていたんだ――自分は何のためにそこにいるのか、なにがしたいのか)

P(目的と手段の区別が曖昧になって、自分で自分の首を絞めていたんだな)

雛菜「ね~プロデューサー」

雛菜「頑張ることがしあわせ~ってことも、あるかな~?」

P「ああ、もちろんだ」

雛菜「誰かのために働くことも、しあわせ~ってなる?」

P「それが、プロデューサーって仕事だからな」

雛菜「そっか~……プロデューサーは、プロデューサーのしあわせを見つけられたんだ~……」

P「雛菜のおかげだよ。でも……そうだな」

ギュッ

P「この星空を、雛菜と見つけられたように」

P「俺は、これからの自分の幸せを、雛菜と一緒に見つけていきたい」

P「一緒に幸せに、なっていきたい」

P「雛菜……俺と生きてくれるか?」

雛菜「うんっ! 雛菜も、おんなじ気持ちだよ~!」

P(雛菜を強く抱きしめる。雛菜も俺を強く抱きしめてくる。この感覚を、忘れたくない)

P(プロデューサーとして、雛菜のパートナーとして、これからの人生を精一杯幸せに生きよう)

P(よし、楽しく生きていこう!)


END.

市川雛菜のエンディングが1つクリアされました。

「――――――――――――――――――――――――――――――――」

冒頭に戻ります。

~Pの自宅~

ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピ……

P「……っ」

P「……朝か」


P「いってきます。……って、まあ一人暮らしなんだけどな」

P「っ……なんか、頭痛いな」

P「まあ、特に辛いってほどのものでもないけど……」

P「……よし! 今日も一日頑張るか!」


~駅前~

P(事務所まであと少しだが……)

P「っ、暑いな、まったく……」

P「そうだ」


1.我慢できん……とりあえずコンビニに入ろう。(Read)
2.急いで事務所に行けばクーラーの効いた部屋が待っている!(Read)
3. 路地を歩けば涼しいかな……?(Read)
4.あれ、部屋の鍵ちゃんと閉めたっけ……。(Read)

選択肢↓2

(とりあえずここまで)

P(あれ、部屋の鍵ちゃんと閉めたっけ……)

P(なんだか不安になってきたな)

P(……まだ出勤のタイムリミットまではあるな)

P(よし、戻ろう)


~Pの自宅の近所~

P(ここを曲がれば……って、あれ)

P(前にも、こんなことなかったか……?)

P(家に向かう途中で……)

P(いや、よくわからん。まあ、いいか)

P スタスタ

P「ん?」

P(あそこにいるのは、雛菜か?)


雛菜「~~~(スマホを片手に会話中)」


P(誰かと電話中か。なんか、あまり穏やかな雰囲気ではない感じもするが)

P(うーむ。気づかれずに通りたいけど、この道でいかないとえらい遠回りになっちまうんだよな……)

P(ええい、行くしかないか)


雛菜「!」


P(やっぱ気づかれるよな、そりゃ)

雛菜「~~~~(スマホを片手に会話中)」

雛菜 ポチッ

雛菜「……プロデューサーだ~おはよ~」

P「お、おう、雛菜か。こんな朝から、偶然だな」

雛菜「そうだね~」

雛菜「雛菜はプロデューサーに会えてしあわせ~」

P「ああ、俺も嬉しいよ」

雛菜「やは~プロデューサーもそうなんだ~!」

P「でも、悪いことしちゃったよな。電話の邪魔だっただろ、俺」

雛菜「あ~……電話ね~……。うーん、まあ、いいよ~」

ヴーッ ヴーッ

P「あれ、俺のスマホか? 透からか」

P「はい、もしもし」

透『はづきさんが呼んでる』

P「マジか」

透『プロデューサー、いつもより事務所に来るの、遅くない?』

P「そ、そうか?」

透『とりあえず、伝言、したから』

P「ああ……ありがとう」

プツッ

P(部屋の鍵は……うーん)

P(まあ、大丈夫だろう。鍵を閉めるのはいつもの癖だ)

P「よし、それじゃあ事務所に向かおうk――」

P「――って、あれ?」

P(雛菜がいない……だと?)

P「さっきまで、ここにいたよな」

P「LINEで聞いてみるか……って、もう向こうから来てるな」


雛菜『雛菜、ちょっと寄る所あるから~……先に行ってるね~』


P「そういうことか」

P「事務所での集合時間には遅れるなよ、……っと。送信」

P「俺も向かうか」

~事務所~

P「おはようございます」

透「おはよ」

小糸「あ、おはようございますっ! プロデューサーさん!」

雛菜「ふわ~~、ちょっと寝ちゃってた~~~~」ムクッ

雛菜「あ! プロデューサーだ~。おはよ~」

円香「……ハァ」

P「さすがにひどくないか?」

円香「まだ何も言ってませんが」

P「言わずとも伝わることってあるんだぞ。そういう高度なコミュニケーションもとれるからな」

円香「まるでこっちの考えを読んでるみたいな言い方……。はい、覚えておきます」

P「ははっ、よろしくな」

P(さっきの円香とのやりとりは、なんだか自然に言葉が出てきたな。円香ならこう言うだろうって)

P(俺も、プロデューサーとしてアイドルの考えていることがだんだんとわかってきたのかな)


透「……」

P「どうした透。スマホみながら険しい表情で」

透「えっ……いや、別に」

透「いらないアプリとか、消してた」

P「スマホって、あんまり考えないで入れたアプリとかゲームを使いもせず放置しがちだよな」

P「ゲームか……久しくやってないな……」

P「……」

P「……仕事すっか」

数時間後

P(今日のnoctchillはレッスン漬けだったよな)

P(あいつらのことだから心配しなくてもいいかもしれないけど……)


1.(Deleted)
2.仕事で疲れたし昼寝でもしよう。
3.休憩がてらはづきさんと話すか。

選択肢↓1(2.? 3.?)

P(仕事で疲れたし昼寝でもしよう)

P(体力回復に努めるんだ)

P「……」

P「zzzZZZ」


P「……んっ、あれ」

P「ここは……どこだ?」

P「俺は、事務所で昼寝をして……それから……」

P「……」

P「知らない建物だな、ここは。夢でも見てるのか?」

P「窓からの景色を見る限り、近くには海があるみたいだけど」


「せっかくのオフに仕事なんてさせないから」


P「いまの声は……円香か?」

P(様子を見に行ってみるか)


円香「あ、あなたは……いっぱしのプロデューサーではあるんだから……」

円香「ここに連れてきたのは、過労死させないためでもあるんです」

P「そ、そんなに働いてるのか? 俺って」

円香「いまにも倒れそうですよ」

P「それは大変だ……」

円香「それに、言ったでしょ」

P「?」

円香「私を見て、って」ダキッ


P(な、なにしてるんだ円香……!)

P(……っていうか、抱きつかれてるのは……俺?)

P(いや、俺はここに……)ズキッ

P「うっ……」

P(ず、頭痛が……)

P(駄目だ……意識が……もたない……)

P バタッ

P「……っ」

P「ここは……」

P(夢と魔法の王国……だよな)

P(なんでこんなところで倒れてるんだ、俺)

P「よいしょっと」スック

P(これは、さっきの夢の続きなのか?)


「えへへ、プロデューサーさんと同じ目線です」


P「……小糸?」

P「あそこにいるのは……小糸と……俺、だよな」

P(物陰から見ていよう……のぞきみたいで気が引けるが)

P(もう1人俺がいる以上、なんだか迂闊なことをしてはいけない気がする)


P「小糸が急に大きくなった」

小糸「これで小さい子とは言わせませんよ!」

P「それはごめんって、ほんと」

小糸「撮りましょうか」

カシャ

小糸「……グスッ」

小糸「プロデューサーさんっ、ちょっとこっち向いてください!」

P「え?」クルッ

チュッ

P「」

小糸「グズッ……夢なら、覚めないでほしいなって」

小糸「魔法なら、とけないでほしいなって」

小糸「こ、こうすれば、大丈夫かなって」

小糸「……」

小糸「わたしは……」

小糸「うっ…… グズッ、ぷ、プロデューサーさんのことが」

小糸「だいすきです」


P(小糸に告白されてるな……俺)

P(いや、でも……こんなの俺の記憶にはないぞ……?)

P(ない……よな?)

P「……うっ、ぐあっ」ズキィッ

P(またしても頭痛か……)

P(意識が……)

P ドサリ

P「……、……はっ!?」パチリ

P(こ、ここは……? 今度はどこなんだ!?)

P(って、この格好は……まるで客室乗務員みたいな……)


「……すごい景色だな」

「すごい高度だからね」


P(……透と俺の声だ)

P ソローッ


透「これで私たち、また一つてっぺんにたどり着いたね」

P「はは……そうかもな」

透「物理的なてっぺん、だね」

P「でも、ほら」

P「宇宙はまだまだ広い」

透「うん」

透「だから、私たちも」

透「まだまだ、「てっぺん」を目指し続けることができる」

透「諦めずに、ずっと」

透「頑張ろうね、プロデューサー」

P「ああ! もちろんさ」

P「俺たち2人で、どこまでも!」

透「うん!」


P(透は……なんだかいつもとは違う表情を見せてるな)

P(すくなくとも俺は……ここにいる俺は、その顔を見たことがない)

ガタガタガタッ

P(な、なんだ……!?)

P(急に機体が揺れ始めて……あ、ベルト着用のサイン……)

P(俺の……スタッフ用の席はどこだ?)

ガタガタッ

P「うおぁっ!」

P(やばい……このままだと備品棚に頭をぶつけ――)

――ガンッ

P「……ぅゎぁっ!」ガバッ

P「はあっ……はあっ……」

P(こ、ここは……)

P(さっきも見た……円香と俺がいた場所だ)

P(同じ……場所だ……)


「私に似てよくわかってるみたい」

「あなたの安直さが」


P(円香の声だ)

P ソローッ


P「えぇ」

P「でも、ほら、このつぶらな瞳とか、俺に似てるんじゃないか……?」

「わたし、ぱぱににてるの?」

円香「安心して、あなたはママ似だから」

「よかったー」


P(今度は子どももいる……だと?)

P「……」


P「この母にしてこの子ありだ!」

P「俺はいま、妻と子にいじめられている!」

円香「でもそれが?」

P「幸せだ!! ……って、言わせるなよ」

円香「なに照れてるんだか」

円香「……」

円香「……ふふっ」

円香「私も、幸せよ!」


P(さっきから……この夢はなんなんだ?)

P(俺と、アイドルが、幸せそうにしている様子……)

P(夢にしては……やけにリアルだが……)

P(俺の記憶には、こんな経験はない)

P ズキズキ

P(くそっ。また頭痛か)

P ギリギリギリ

P「ぐあああっ」

P「はあっ……くっ」

P(もし、この頭痛に耐えたら……)ズキズキ

P(試してみるか)ズキズキ

P「くそおおっ」グッ

「――無駄だよ」

P「あっ……」

P バタリ

P フラフラ

P「……」

P(気づいたら、日本ではないどこかにいた)

P(人々が話しているのが英語だというのはすぐにわかった)

P(なんなんだ……この夢は)

ドンッ

P「いてて……すみません……」

通りすがりの外国人「Watch where you're walking, fuckin' asshole!」

P「……」フラフラ

P(……ん? あれは。間違いない、小糸と俺だ)

P「……」

P(とにかく、追いかけてみよう)

P ダッ


P(俺は、2人が入っていったガラス張りの超高層ビルへと進んだ)

P(さすがは夢、というか、ロックがかかっていたりセキュリティの厳しいゲートであったりを俺はなんなく通過できた)


「だ、だって……! わたしがアメリカに来ちゃったら、もうプロデューサーさんとは……」


P(2人は……あっちか)

P(ここからなら、声が聞こえるし、姿もそれなりに見える)

P「……」


P「ああ、そのことなら気にしなくていいぞ」

P「ほら、これが俺の新しい名刺だ」

小糸「……! これって」

P「そうだ。今日から俺は――」

P「小糸担当、小糸専属のプロデューサーだ」

P「だから、俺も小糸と同じ時期からアメリカ暮らしさ」

P「うちの事務所も最近人員補填をしてな。noctchillのプロデューサーははづきさんが引き継いでくれるから心配しなくていいぞ」

小糸 パァァ

小糸「に、にやけてなんてませんよ!」

P「別に言ってないが……」

小糸「でも……良かった」

小糸「これからもよろしくお願いしますね! プロデューサーさん!」


P(今度はそうきたか)

P(小糸は勉強熱心だし、アメリカに留学しててもおかしくないかもな)

P(あの2人がいる場所の近くにある表札らしきプレートには……どれどれ)

P(283プロ・カリフォルニア支部、か)

P(それに……事務所の人員補填とか言ってたな、あそこにいる俺は)

P(たしかに、いまのうちの運営状況だと、そうしてくれればありがたいが……)

P(夢のくせに……事情が妙にリアルなんだよな……)

P「うっ……!」ズキイッ

P(この夢のシーンは……ここまで、か……)ドサッ

P「……っ」パチリ

P キョロキョロ

P(……ここ、学生のときに来たことがあるな。東京で1番高いタワーだ……展望台のある。それに、ここはその展望台のある階だ)

P(ここに、俺と誰かがいるんだろうな……ここまでの流れを踏まえれば)

P「……」スタスタ


「すごいね、景色」

「ああ、さすがの高さだ」


P「!」

P(あれは……透と俺だ)


P「道で歩いてるときに見ると高い建物も、ここからなら全部が小さく見える」

透「……」

透「この前までの私には、見えてなかった景色」

透「見上げることしかできなくて、いろんなものが大きくて、長くて、立ちふさがってるような気がしてた」

透「でも、今は違うよ」

透「あなたに、伝えられたから」

透「あなたと、通じ合えたから」

透「ああ長いなぁって感じてたのも、感じ方が変わった」

透「あなたとなら、人生なんていくらでも長くていい」

透「だって、あなたがいるから」

P「透……」

P「……そうだな。これから俺たちがしていくのは、2人で上を向いてジャングルジムを登っていくことじゃない」

P「前を向いて、共に人生を歩んでいくこと、だな」

P「これからの景色を、俺と一緒に見ていこう」

P「きっと、いいものが見れると信じて」

透「楽しみだね」

P「ああ、俺もそう思う」


P(なにやら2人で語り合ってるな……それも、幸せそうだ。透は……あんな表情や態度もできるんだな……)

P(いや、これがただの夢なら、俺の抱く幻想という可能性だってあるが……これをただの夢だと思えない俺がいる)

P(俺が見ているのは、一体何なんだ?)


透「あ、ちょっと、ね。行ってくる」


P(ん? 2人でいたのに、なんかこっちに向かってきてないか?)

P クルッ

P(って、ここトイレの前じゃねぇか!)

P「やばっ……」ズルッ

ガンッ ...バタリ

P(くそ……頭打っちまった……)

P「うう……」

透「……」

P(と、透……?)

P(なんで、“俺”を見てるんだ……って、意識――が――……)

P「っ、はっ!」

P「今度はどこだ……って、森? ……いや、林か?」

P(林道と呼ぶべき場所に出たな……)

透「久しぶり、プロデューサー」

透「元気だった?」

P「と、透……? ……っていうか、え?」

P「この俺に、話しかけてるのか?」

P(今回は、いままでとは違うのだろうか)

P「なあ、ここは……」

透「プロデューサーたちが住んでるとこ、283プロの持ち物だし」

透「住所ならすぐにわかるよ」

P(俺“たち”が住んでる、だと?)

P(わ、わけがわからん……)

透「……」

透「……ねえ、いつ戻って来れるの」

透「私、ずっと待ってた」

P「……」

P(透は一体何を言ってるんだ)

透「ねえ、何か言ってよ」

透「……」

P「いや、その……」

透「……思い出して欲しいんだ」ボソッ

P「え?」

透「ねえ、プロデューサー」

透「私は、プロデューサーと一緒にアイドルをやっていきたい」

透「私のプロデューサーは、1人しかいないよ」

P「透……」

P(事情もよくわからない俺が、ここで何か発言して良いものなのか?)

P(くそっ……どうすればいい?)

透「っ……!」

透「なんで……」

透「私は……私は……」

「Pさ~ん?」

P(この声は……雛菜か?)クルッ

P「……って、あれ?」

P(確かに、雛菜の声らしきものが聞こえた……のだが)

P(振り返ったそこには、透がいた)

P(さっきまで俺と向き合ってた以上、振り返ってそこに透がいるなんて、おかしいはずだ)

透「……」

透「目を……」

透「目 を 覚 ま し て(目を覚ましてください? メヲサマシテヨ めを……)」

P「ぁぁぁぁぁあああああっ!!」ガバァッ

「きゃっ!?」

P「はぁ、はぁ、はぁ……」

P「こ、今度はどこだ!?」

はづき「お、落ち着いてください、プロデューサーさん。ここは事務所ですよー……」

P「は、はづきさん?」

はづき「お昼休みが終わったので、起こしてあげようかなーって思ったんですけど」

はづき「もう、いきなり飛び起きるからびっくりしちゃいましたよ」

P「す、すみません……」

はづき「おはようございます、プロデューサーさん」

P「昼休み終わってるのに、俺……」

はづき「今終わったところなので、まだ大丈夫ですよー」

はづき「あと、お願いがあるんですけど」

はづき「先日メールで送ってもらった企画書、紙媒体でファイリングしたいので、コピーいただけますかー?」

P「わかりました。ちょっと待っててくださいね」

はづき「はーい。私のデスクで待ってますね」

P「はい。印刷が終わったら持っていきます」

はづき「ではでは」タタタ

P「えーっと」

P「確か……企画書が入ったUSBはデスクの引き出しの2番目に……」ガララ

P「……?」

P(なんだこれ)

P(手紙、だよな)

はづき「? どうかしましたか? プロデューサーさん」

P「い、いえ。企画書でしたね。はい、どうぞ」

はづき「ありがとうございます~」

P「……」

P(中高生のときならラブレターかと思ってはしゃいでたかもしれないが……)

ペラッ

P(反対側には『あなたへ』とある)

P(俺宛……ってことでいいのか?)


1.手紙を開封して中身をあらためる。(Read)
2.(Deleted)
3.手紙を話題のネタにしてはづきさんに話をふってみる。

選択肢↓1

P「……はづきさん」

はづき「? なんですかー?」

P「はづきさんって、手紙書いたことあります?」

はづき「ありますけどー……、どうしたんですか? 突然」

P「いえ、その、手紙を、もらいましてね」

P「なんとなく、聞いてみただけです」

はづき「そういうことですかー」

はづき「そうですね……私が手紙を書いてたのは、小学生とか中学生のときですかね」

はづき「転校しちゃった子に書いてあげたりとか、仲の良いグループの子たちで渡し合いしたりとかー、そんな感じです」

はづき「プロデューサーさんはどうだったんですか?」

P「俺は、そういうのとは無縁でしたね」

P「だから、いま手紙を貰って、なんだか妙な気分になっているというか……」

はづき「ラブレターかもー……って思ってます?」

はづき「それも、アイドルから、とか」

P「アイドルからっていうのは職業柄あり得ますけど、ラブレターではないんじゃないですかね」

P「まあ、中高生のときなら、そう思って舞い上がってたかもしれません」

はづき「もしかして、その手に持ってるのが、いま話に上がってる……」

P「はい。そうなんです」

はづき「差出人は何て書いてあるんですー?」

P「それが、書いてなくて……」

P「まだ中身は見てないんですけど、表には『あなたへ』とだけ……」

はづき「開けないんですか?」

P「……」

P「……開けますか」

P「中身、気になりますし」

ペリペリペリッ

P(中身は……あ、紙が入ってるな。どれどれ)

ペラッ

P「……」

はづき「な、なんて書いてありました……?」

はづき「って、まだ読んでる途中ですよね、ごめんなs――」

P「――いえ、それは気にしなくて大丈夫です」

はづき「……?」

P「ほら」

P「何も書いてないんですよ」

はづき「ほんとですね……」

はづき「でも、変じゃないですかー?」

はづき「その紙、確かに何も書いてませんけど、新品同様というには程遠いというか」

はづき「明らかに何か手が加えられたような質感……ですよね」

P「俺も、まさにいま同じことを考えていました」

P「うーん、どうしたらいいんですかね……」

はづき「……あっ」

はづき「そういえば、昔……」

はづき「友だちに書いた手紙に、遊び心であぶり出しの細工をしたことがありました」

はづき「その時は、友だちが手紙を読むときに火を使って軽く騒ぎになっちゃって」

はづき「私とその子ですごく怒られたのを覚えてますー」

P「あぶり出し……」

はづき「なんか、それを思い出しましたよ」

P「はづきさん、ここにライターってありますか?」

はづき「あ、はい。備品なら倉庫に」

P「わかりました」

P「……試してみます」

P「持ってきました」

はづき「……いよいよ、ですね」ゴクリ

P「はい……」

カチッ

ボォッ

ジジジジジ

P「……」

はづき「……」

P「……あ」

はづき「だんだん浮かび上がってきましたね!

キーを押し間違えて書き込んでしまいました。投下しなおしますので、しばしお待ちを。

P「持ってきました」

はづき「……いよいよ、ですね」ゴクリ

P「はい……」

カチッ

ボォッ

ジジジジジ

P「……」

はづき「……」

P「……あ」

はづき「だんだん浮かび上がってきましたね!」

P「!」


~~~~~~~~~~~~

    マリカー
  ジャングルジム
     ぼく

   おもいだして

~~~~~~~~~~~~


はづき「? 何かの呪文なんでしょうか……」

はづき「プロデューサーさんは、これ、わかります?」

P「いえ……わかりません」

P「でも、ただのイタズラとも思えないんですよね」

P(どういう意味なんだ? これは……)

P(結局、手紙の謎のメッセージについては、解決せず……)

P(俺とはづきさんは仕事に戻った)


数時間後。

P「……うーん」

P(集中が切れてきた……)


P(ふらふらと事務所の冷蔵庫の前まで来てしまった)

P(なんとなく何かから逃げたい時とか、気分転換したい時とかに、冷蔵庫を開けに来てしまうのはなんでなんだろう)ガチャ

P(うーん、開けたはいいものの……)


1.冷やされたコーヒーを飲む。
2.プリンを食べる。(Read)
3.何もせずにデスクに戻る。(Read)

選択肢↓2

(とりあえずここまで)

P(おっ、冷やされたコーヒー発見)

P(そういえば、俺は今日コーヒーを淹れてないけど……)

P(親切な人もいたもんだな。誰が淹れたのかわかればお礼でも言えるのに)ゴクゴク

P「ふぅ……」

P(やけにリアルな夢といい、意味不明のメッセージが記された手紙といい、今日はいろいろあったが)

P(これで少しはリフレッシュできた気がするな)

P「よしっ……」

P(仕事仕事っと)

P(もう少しであいつらも帰って来る頃だな)

ヴーッヴーッ

P「……? LINEか」

P「透から、だな」


透『いまそっちに向かうとこ』

透『このあと』

透『みんなが解散したあと、時間ある?』

透『よかったら、話したい』

透『他のみんなには内緒で』


P(何か込み入った事情があるのか?)

P(他のみんな……っていうのはnoctchillのメンバーのこと、だよな)

P(どう返信したものか……)

P(あの3人を撒くんだよな)

P「……」

ガチャ

P(え、もう来たのか?)

P(ど、どうしよう)

透「プロデューサー」

P「あ、ああ、透か」

透「この後、時間ある?」

透「2人で、話したい」

透「他のみんなには内緒で」

P「この後か……」

P(もう少しで仕事は片付くが……)


1.「わかった。あと少しで仕事終わるから、ちょっと待ってて」(透の誘いに乗る)
2.「仕事が終わらないんだ、すまない」(透の誘いを断る)
3.透に例の手紙を見せてみる。(NEW)


選択肢↓1

----------------------------------------------------------------------------

>>431の選択肢に書き忘れたことがあったので訂正

訂正前:
1.手紙を開封して中身をあらためる。(Read)
2.(Deleted)
3.手紙を話題のネタにしてはづきさんに話をふってみる。

訂正後:
1.手紙を開封して中身をあらためる。(Read)
2.(Deleted)
3.手紙を話題のネタにしてはづきさんに話をふってみる。(NEW)

訂正内容:選択肢においてロックが解除された表示をつけるのを忘れていたため追加

安価が来ないので再安価で、とりあえずここまでにして寝ます。


>>442のP(もう少しで仕事は片付くが……)のつづき

1.「わかった。あと少しで仕事終わるから、ちょっと待ってて」(透の誘いに乗る)
2.「仕事が終わらないんだ、すまない」(透の誘いを断る)
3.透に例の手紙を見せてみる。(NEW)


選択肢↓1

訂正:
P(さすがは夢、というか、ロックがかかっていたりセキュリティの厳しいゲートであったりを俺はなんなく通過できた)
→P(さすがは夢、というか、ロックがかかったドアであったりセキュリティの厳しいゲートであったりを俺はなんなく通過できた)

P「……その前に、見てもらいたいものがあるんだが」

透「?」

P「えーっとだな……」ガサゴソ

ガチャ

P(! noctchillのほかのメンバーが帰ってきた)

P(俺はとっさに手紙を取り出すのをやめる)

P「わ、わかった。あと少しで仕事終わるから、話はちょっと待っててくれ」

透「……うん。ありがと」

P(それから、事務所から帰ろうとしない透に対して円香が声をかけて)

透「あ、ちょっと、あるから。ここに残る」

P(透がそう言った。俺は円香に睨まれた)

P(しかし、結局透以外は皆帰って言った)

P(何か事情があると悟ったのだろうか)


P(いまは透と2人きり、か)

透「見てもらいたいもの」

P「へ?」

透「何か、私に見せようとしてなかった?」

P「あ、ああ。そうなんだ……」ガサゴソ

P「これを見てくれ、透」

透「これ……。手紙?」

P「そうだ。差出人は書いてなくて、宛先も『あなたへ』としか書かれてない」

P「そして、その中身が、これだ」

~~~~~~~~~~~~

    マリカー
  ジャングルジム
     ぼく

   おもいだして

~~~~~~~~~~~~

透「どれどれ……」ヒョコ

透「……っ!」ピクッ

P(一瞬だが、明らかに動揺したな)

P「なあ、透――」

透「――知らない」

P「え?」

透「私はそんな手紙、知らない」

P「……そうなのか?」

P「この手紙の中身を見たとき、明らかに動揺したように思えたぞ」

透「っ、知らないったら……!」

P「透、落ち着いてくれよ。俺はただ、これについて透が……」

透 ダッ

P「あ、ちょっ、おい……!」

P(透は、自分の荷物を手にして、逃げるように帰ってしまった)

P「……なんだっていうんだ、一体」

翌朝。

~事務所~

P「……っ」

P(まずいぞ……今日はnoctchill全員での仕事なのに)

P(透が、来ない)

小糸「透ちゃん、来ませんね……」

雛菜「透先輩早く来ないかな~」

円香「……」

P「最悪、3人には自分たちでテレビ局に行ってもらって、俺が1人で透を……」

円香「私が行きます」

P「円香?」

円香「私が浅倉を連れてきます。だから、あなたは小糸と雛菜をテレビ局に」

P「し、しかし……」

円香「はぁ」

円香「私のほうが付き合いは長いんです。だからわかるの」

円香「いま、あなたが浅倉にできることは、何もない」

P「っ……」

P「……わかった」

P「円香を信じるよ」

P「透を、頼んだ」

円香「……まったく、なに格好いい風に言ってるんだか」

P「よし、じゃあ、小糸と雛菜は車に乗ってくれ。先にテレビ局に向かうぞ」

小糸「は、はいっ。わかりました!」

雛菜「やは~、了解~」

~テレビ局~

P「……」ソワソワ

P(円香からの連絡はまだない。既読もついてない)

P(ちゃんと、時間には間に合うのだろうか……)

P(俺の、せいだろうか)

P(昨日、例の手紙を透に見せたときとそのあとの透の行動は尋常ではなかった)

P「……マリカー、ジャングルジム、ぼく」ボソッ

小糸「ぴゃっ? な、何か言いましたか? プロデューサーさん」

P「え、あ、いや……」

雛菜「なになに~? 面白いこと~?」

P(この2人に聞いて解決するのか?)

P(……まあ、いろんな意見が聞けるっていうのは意味があるか)

P「なあ、これから言う3つのキーワードから思うことを教えて欲しいんだ」

小糸「何かのクイズですか?」

P「そんなところだ。俺もまだ答えがわかってなくて苦戦しててさ」

P「マリカー、ジャングルジム、ぼく」

P「……どうだ?」

小糸「ど、どうと言われても……」

P「キーワードから思いつくこと、何かないか?」

小糸「うーん」

P「雛菜も考えてみてくれ」

雛菜「わかった~」

小糸「マリカーはゲームの名前、ジャングルジムは……公園の遊具、ぼく――は一人称の僕でしょうか」

小糸「つ、つながりが……見えない……」

P「……うん。単語ごとの意味は俺もそうだと思ってるんだが、これら3つがセットになってるのがヒントなんだよ」

P「関連が……ある、のか?」

雛菜「雛菜、よくわからないけど~」

雛菜「……あ!」

P「わ、わかったのか!?」

雛菜「そういえば、透先輩がこの前スマホからマリカー消してた~」

雛菜「飽きちゃったのかな~? あは~」

P「そ、そうか……」

雛菜「あれ~? 雛菜、あんまり役に立ってない~?」

P「いや、いいんだ……そもそもが意味不明な問いかけだし」

~テレビ局、ロビー~

P(小糸と雛菜にはスタンバイをするように言ってから、俺は飲み物を買いにテレビ局のロビー付近にある自販機に来ていた)

P(謎の緊張感と透が間に合うかどうかの焦燥感で口の中がカラカラだったからだ)

P「と、とりあえず特茶でも……」ピッ

ゴトッ

P ゴクッゴクッ

P「……ぷはぁっ」

P(俺は、スマホを確認する)

P「!」


円香『浅倉と一緒。もうすぐで局に着く』


P「ふぅ~~……良かった」

P(あまりnoctchillに悪いイメージはついてほしくないからな……)

P(これで仕事に穴を開けずに済みそうだ)

P ドサッ

P(糸が切れた操り人形のように、俺はすぐ近くにあったベンチに座り込む)

P「……」

P(結局、何も解決してないんだよな)

P(あの夢といい、あの手紙といい、謎は一切解決していない)

P「はぁ……、っっ!?!?」ズキイッ

P(こんなときに、頭痛だと!?)


「なんで楽屋で待機してなかったんだ?」

「飲み物、欲しくてさ」


P(また……あのときの夢のような……)


透「これ、買いたくて探してた」

P「それって」

透「そ。プロデューサーが買ってたやつ」

パキュ

透「喉渇いた……んっ」

透「……ぷはっ」

透「……にが」

P「そういうお茶だからな」

透「でも、嫌じゃない」


P(この光景は……)

P(頭痛が治まっていく。それと同時に、目の前にいる“俺と透”の姿も消えていく)

P(しかし、頭痛の軽減とは反比例するかのように)

P(俺の意識は遠のいていく)

「――っと! ね――すか!?」

P(誰だろう……透――じゃないな。この声は……円香、だ)

「浅k――連れて――。あなt――」

P(駄目だ……意識が……)

P「……ん」パチリ

P「ここは、……事務所、だな」

P(でも、何かがおかしいということはすぐにわかった)

P(日付は平日を指していて……時計の示す時刻は昼下がり……)

P(はづきさんがいないのは、どう考えても不自然だ。出勤の記録はあるみたいだし、この曜日は終日いるはずだ)

P「とりあえず外に出てみるか……?」


P(結論から言えば、外には出れなかった)

P(物理的に外に通じるものは、扉も窓も、すべてが強力な接着剤で固定されているんじゃないかというくらいに動かなかった)

P(この空間は、明らかに異常だ)

P(一体、俺はどこにいるというのだろう)


P(何気なく、自分のデスクのPCを起動する)

P「いまのところ、いつも通りの画面だな……」

P(……と、そこで、ログインした後に、デスクトップに見知らぬアイコンがあることに気づいた)

P(ファイル名は『とおるーぷ』……わけがわからない)

P「トーループ……じゃ、ないよな。フィギュアスケートの」

P「まあ、どうせ夢か何かだろうし、開いてみるか」カチッ


----------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2005726
[FOR T.A.]

>やりなおしログ(記録用)

>1周目:ぜんぜんだめ。今回は諦めるしかない。
>2周目:前回より良いけど、微妙。思い出せたから、まあ次回以降に期待。あと、アイスはもうちょっと面白いのを期待してた。
>3周目:及第点。でも、まだまだ。これまでの中ではいちばんだけどね、いまのところは。てっぺんとか言って空に行くとは思わなかった。
>4週目:間違えちゃったんだね。今度からは、そうならないように少し助けてあげようかな。でも、結局(Deleted)にいっちゃうんだ。あ、アイス飽きたからおにぎりをお願いしたけど、今回はまた笑ったよ。
>5周目:駄目そうだったから今回はモデルやらなかったよ。はい、次。
>6周目:ほんと、待たせすぎ。でも、待ってよかったね。これでしあわせ。それに、愛してるって言ってくれた。もう、この愛に変わりはないよね。これなら、人生なんていくらでも長くていい。ジャングルジムより高いこの場所で、そう思ってる。
>7周目:......(NOW LOADING ------ 処理に時間がかかっています)
>8周目:(待機中)
----------------------------------------------------------------------------------------


P「な、なんだ? これ」

P(ファイル名からして……まさか……)

P(『とおるーぷ』って、透とループがかかってる……のか? なんてセンスだ……)

P(いや、いまはそんなのは問題じゃない)

P(3周目と6周目の記述……俺は、“見ている”)

P(空に行ったことも、透が人生をいくら長くてもいいと言ったことも――)

P(――俺は、“知らない”けど、この目で“見た”)

P(それは、あのやけにリアルな夢の中で)

P(ここ最近の奇妙な出来事を踏まえれば、俺がいまただならぬ状況に置かれていることはわかる)

P(問題は、それが具体的にどういう状況なのか、ということだ)

P(いま開いてローディング中のファイルの上にある「やりなおし」とは、何を意味するんだろう。考えろ、俺)

P(もし、透がループしているというファイル名を信じたとすれば)

P(この「やりなおしログ」は、透が人生をやり直した記録ということになるのか……?)

P(3周目と6周目は、俺と一緒になる“エンディング”だ)

P(そして、3周目と6周目の違いは、俺と透が愛を誓ったかどうか、か)

P(俺がこれまでに夢のような形で見てきた光景とあわせれば……)

P「……」

P(いまローディング中の7周目は、おそらく俺と雛菜が一緒になる結末だろう)

P(そして、待機中の8周目は、……“この俺”が過ごす時間のはずだ)

P「あ、ローディングが終わっt……」









































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OS Version 2.8.3.2005726
[FOR T.A.]

>やりなおしログ(記録用)

>1周目:ぜんぜんだめ。今回は諦めるしかない。
>2周目:前回より良いけど、微妙。思い出せたから、まあ次回以降に期待。あと、アイスはもうちょっと面白いのを期待してた。
>3周目:及第点。でも、まだまだ。これまでの中ではいちばんだけどね、いまのところは。てっぺんとか言って空に行くとは思わなかった。
>4週目:間違えちゃったんだね。今度からは、そうならないように少し助けてあげようかな。でも、結局(Deleted)にいっちゃうんだ。あ、アイス飽きたからおにぎりをお願いしたけど、今回はまた笑ったよ。
>5周目:駄目そうだったから今回はモデルやらなかったよ。はい、次。
>6周目:ほんと、待たせすぎ。でも、待ってよかったね。これでしあわせ。それに、愛してるって言ってくれた。もう、この愛に変わりはないよね。これなら、人生なんていくらでも長くていい。ジャングルジムより高いこの場所で、そう思ってる。
>7周目:なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
>8周目:......(NOW LOADING ------ 処理に時間がかかっています)
----------------------------------------------------------------------------------------

P「うおあぁぁぁっ!?」ビクッ

P「……び、びびった」

P(あれだけ待たせるから何が出るのかと思えば……)

P(「なんで」か……)

P(勝手な推測だが、透と愛を誓い合ったはずの俺が、次に雛菜と一緒になったことに対する「なんで」なのだろうか)

P(俺は、この想いにどうやって向き合えばいいんだ)

P(俺は“8周目の俺”だ)

P(1周目から7周目も確かに俺――俺と何もかも同じ人間だろうが……)

P「……」

P「……このウィンドウ、8周目をローディングしてるみたいだけど、終わるのか?」

P「8周目っていまだよな……ゲーム風に言えば、まだ結末を迎えていないわけだし……」

P(どうする……夢なら覚めるときが来るだろうが、このやけにリアルな夢からはまだ覚めないような気がしてならなかった)

P(そもそも、これが夢なのかすら怪しいが)

P「手紙……」ボソッ

P(あぶり出しでわかった手紙のメッセージ……)


~~~~~~~~~~~~

    マリカー
  ジャングルジム
     ぼく

   おもいだして

~~~~~~~~~~~~


P「これが解決してないんだよなぁ……」

P(1行空いてからの「おもいだして」は重要なのだろうか)

P「……くそっ。こんなときに限って、7周目までの光景が見れないなんて」

P(俺の意思とは無関係に、俺ではない俺の記憶が現れる)

P(また……見ることができたなら)

P(手紙の意味がわかるかもしれないのに)

(とりあえずここまで)

ウィンドウ“>8周目:......(NOW LOADING ------ 処理に時間がかかっています)”

P「……」

P(ローディングを待ち続けてどのくらいの時間が経ったんだろう)

P(そもそも、この状況に時間なんて概念が意味をなすのだろうか)

P「……」

P(コーヒーとか、飲めるのかな)


P(なんとなく事務所の冷蔵庫の前まで来てしまった)ガチャ

P(おっ、冷やされたコーヒー発見)

P「……って、これ前にもあった――というか見たような」

P「まあ、いいか」ゴクゴク

P「ふぅ」

P(気分転換になるかとも思ったけど、まあ、そう簡単にはいかないか)

P グラァッ

P「うっ……」

P(し、視界が歪んでいく――……)

P(まだ、PCで調べたいことがあったんだけどな……)

P バタリ

P「……はっ」ガバッ

P「っ……ここは?」

P「うーん、バス停? ――だろうか」

P(さっきは事務所――の形をした謎の空間――にいたのに)

P(もしかして、夢から覚めたのか?)

P「そうだ、スマホ……」

P(しかし、スマホは圏外になっていた。圏外なんてあり得ない場所のはずなのに)

P キョロキョロ

P(というか、そう、ここは――)

P「――透と出会ったバス停だ」

P「……」


P「――のっ、乗ります……っ」

P「――――ああ……行っちゃったか…………」

P「ふぅ……」

「歩いた方が早いよ」

P「……え? あ……――」

「駅でしょ。バス、あと40分くらい来ないから」

P「ありがとう。――40分かぁ……」


P(そうだ。あのとき、俺はバスに乗り遅れて……)

P(歩いたほうが早いって、女の子に言われたんだ)

P(その子が、透だった)


P「その……アイドルに興味ないかな?」

「……え?」

P「いや……急にごめん。俺、アイドルのプロデューサーやってて」

P「向いてるんじゃないかと思うんだ、君。これ、名刺で――」

「いい。……行くね」

P「……あっ、ごめん! ごめん、待ってくれ!」

P「待って――」

「……しつこいよ。そういうのいいから」


P(ははっ、そうそう。最初は断られてさ)

P(まあ、いきなりあんなこと言われて、怪しむのも無理はないかもしれないけど)

P(これが出会い……か)


P「――いや、じゃなくて……」

P「俺が、行くからさ!」


P「うっ……」ズキィッ

P「なっ、急に……頭痛、だと?」

P(確かにあの時、俺はそう言った――「俺が、行くからさ!」と)

P(そうだ……「なんか君のことを見てつい……」とも)

P(不自然だ。何の前提もなしに出る台詞とは思えない)

P(俺は、何かを忘れている……?)

「歩いた方が早いよ。駅でしょ」

P「……」

「ねえ、聞いてる?」

P「え、あ、俺か?」クルッ

P(後ろから声をかけられて振り向いた)

「他に誰もいないと思う」

P(ということは、目の前にいるこの小さい男の子は、いつもの夢見たいな映像とは違って、“俺”に話しかけているのか)

P(俺はバスに乗ろうとしてる――設定?――なのかな。とりあえず、話を合わせておくか)

P「――あ……バス、まだまだか。どうもありがとう」

「……行かないの?」

P「そ、そうだな。うん。ほら、その……ここ気持ちいいし……時間あるから」

P(適当なことを言ってるけど大丈夫かな……)

P「えっと……君は?」

「僕もいい。一緒に待ってる」

P「え、あ、あはは……」

P(君は誰なのかって意味で聞いたんだけど、なんだかズレた反応が返ってきたような気がする)

P(まるで透みたいだ――……)

「……」

P(あ……ジャングルジムがあるな、あそこ)

P(この子くらいの年齢で男の子なら、ジャングルジムで遊んでたほうが楽しいんじゃないか?)

P「……」

P「……ジャングルジム、ね」

「?」

P「いや、別に」

P(あの手紙を思い出さずにはいられなかった)

P「ジャングルジム、すごい見てるでしょ。行ってきていいよ」

「……いい……」

P「そうか? 時間があるなら、別に大丈夫なんじゃないか」

「…………でも」

P(でも――とは言うけど、そんな顔をされたら連れて行ってでも遊ばせてやりたくなってしまう)

P(こんな状況で小さな男の子の世話するっていうのも変な話だが……他にすることもないしな)

P スック

「どうしたの? 急に立ち上がって」

P「――――っ、ははっ」

「え、急に笑い出した……」

P(なぜだろう――そこから口から出た言葉は、まるで用意されていたかのように、あるいは既にそういった経験があったかのように)

P(何も考えずに出てきた)

P「あーっ、いいのかなぁ?」

P(男の子は上目遣いで俺を見つめている)

P「きっと行きたくなるよ――」

「……えっ」

P「俺が、行くからさ!」

P(それは、アイドルとしてスカウトしたあの日に、俺が透に対して言った言葉と同じだった。いや、それは逆で、きっと……)

「…………っ」

P(そう、それで、次に俺はこう言うんだ)

P「来たくなったら、おいでよ」

「……」

P(男の子の輪郭がぶれる。一瞬、透らしき人物に見えて……また男の子に戻った)

「……行く」テテテテ

P「ジャングルジム、登ろうぜ」

「……」

P「怖いのか? 高いところがだめだとか?」

「そうじゃ……ないけど」

P「はあ、じれったいなぁ、もう」

「っ」プイッ

P(機嫌悪いのか……?)

P(まあ、いいや。このくらいの子なら片手で抱きかかえられるだろう)

P「よいしょっと」

「うわぁっ! な、なにして――」

P「てっぺんまで連れて行ってやろうと思ってさ」

「!」

P「ちゃんとつかまっててくれよ。時々抱えてる手も使うから」

P(俺は、男の子を抱えてジャングルジムに登った)

P(明日は筋肉痛だろうな……まあ、この世界での疲労なんて知ったことか)

P「ほら、着いたぞ」

「わぁ……」

P「ふぅ……頑張って登っただけあって、てっぺんからの景色は格別だ……なんてな」

「……ふふっ」

「登れたんだ、僕」

P「なんだ、やっぱり怖かったんじゃないか」

「そうじゃないし。……違うもん」

「ただ、夢を見て……」

P「夢?」

「へんなジャングルジムの夢」

「のぼってものぼっても……降りれないし、終わらないし」

「長いなーって」

「そういう夢」

「……でも、気付いたんだ。『向こう側に誰かいる』って」

「誰かがいて、一緒にのぼってくれる」

「それは――あなただったんだね」

P「そう……なのかな? はは……“俺”にはよくわからないよ」

「そっか」

P(この子なら……あの手紙の意味を知ってはいないだろうか)

P(「僕」――ぼく――という一人称とジャングルジムという単語から、俺はそう思った)

P「なあ、マリカーについてどう思う?」

「……とつぜんどうしたの?」

P(もっともな反応が返ってきてしまった……)

P「スマホのマリカーだよ、ほら……」

「まってまって、なに言ってるか、ぜんぜんわかんない。ていうか、スマ……ホ?」

P「スマホ知らないのか?」

「うん。なんか、名前は聞いたことがあるような気も……するけど」

P「ほら、こういうやつ」つスマホ

「画面しかないんだね」

P「それで十分なんだよ。って、本当に知らないんだな……」

P(まるで、この子と俺との間には大きなタイムラグが生じているかのような、そんな感じがした)

P「……ん? 待て」

「?」

P(なんで、“俺”はスマホのマリカーだと思ったんだ?)

P「ねえ、君。マリカーってなにで遊ぶ?」

「DSとか、Wiiとか、かな」

P「そうか……」

P(手紙には「マリカー」としか書かれていない……それなのに、俺が真っ先に思い浮かべたのはスマホのマリカーだった)

P(これは、手がかりになるんじゃないか? まあ、この子から聞ける情報はこれまでかもしれないな)

P「ちなみに、Switchってゲーム機は知ってるか?」

「知らないよ。ふふっ、なんか、未来人みたいなこと言うね」

P(未来人、か……)

P「すっげぇから楽しみにしてなよ――そのうち、買えるようになるからさ」

P「……はぁ」

「どうしたの? ……元気、ないみたい」

P「元気、か」

P「いま、自分の周りで何が起きているのか、わからないんだ」

P「俺は、アイドルのプロデューサーとして283プロで働いていて、noctchillをプロデュースしてて……」

P「それ以上でもそれ以下でも、ないはずなんだけどなぁ」

「よくわかんないけど、悩んでるんだね」

P「ああ……。でも、わかってきたこともある」

P「どうやら俺は、残酷な事実をつきつけて女の子を傷つける損な役回りを演じないといけないのか、ってさ」

P「……それでも、俺はやるよ」

P「たぶん、その子のやってることは正しくないから」

P「プロデューサーとして、正しいほうに導いてやんないとな」

「かっこいいね」

P「かっこつけてるだけだよ」

「がんばってね」


チュッ


P「……」

「こ、これは、……その、お、応援っ!」モジモジ

P(男の子にキスされてしまった……)

P「お、男どうしだぞ?」

「……はぁ」

P「?」

「これは、苦労しそうだなぁ」

「ねえ、もっと近くに来てよ」

P「え、あ、いや、その……」アセアセ

「……じゃあいい」

「僕がそっちに行くから」ズイッ

「もっと、見て――」

「――私を」

P「!?」

「んちゅ」

P(その男の子――?――からの2度目のキスは、とても子どもとのそれとは思えないもので……)

P(唾液が交わる――大人の――……)

P「!!!」

P(な、流れ込んでくる――)


透「う~ん」P「どうした透。スマホいじりながらうなったりして。ゲームでもしてるのか?」透「そんなとこ。あっ……」透「えいっ」透「ふふっ。まだ、勝負はこれから」P「なんのゲームか気になるな」雛菜「マリカーってやつじゃな~い?」P「ああ……そういえば流行ってるらしいな」透「2周目まではあんまりだったけど」透「ここで……よっ、と。巻き返す」P「ははっ、白熱してるな」P「ゲームか……久しくやってないな……」
透「う~ん」

P「どうした透。スマホいじりながらうなったりして。ゲームでもしてるのか?」透「まあ、そんなとこ。あっ……」透「はぁ」透「まだ一回しか勝ててないや」透「何周しても微妙」P「なんのゲームなんだ?」雛菜「マリカーってやつ~」雛菜「レーシングゲームってつい熱中しちゃうよね~」P「ああ……そういえば流行ってるらしいな」透「あーあ」透「難しいね」P「ははっ、苦戦してるみたいだな」雛菜「透せんぱ~い、がんばれ~」透「ふふっ、ありがと、雛菜」P「ゲームか……久しくやってないな……」

透「う~ん」P「どうした透。スマホいじりながらうなったりして。ゲームでもしてるのか?」透「そんなとこ。ふふっ」透「いまいいところなんだ。勝てるかも」P「なんのゲームか気になるな」雛菜「マリカ~」P「ああ……そういえば流行ってるらしいな」透「……まだまだわからない」P「ははっ、白熱してるな」P「ゲームか……久しくやってないな……」
P「いつも以上に機嫌がいいじゃないか、透」透「うん、まあね」透「順調だから」P「?」雛菜「ゲームの話だよね~~」P「そういえばマリカーやってたな」

透「……」P「どうした透。スマホみながら険しい表情で」透「えっ……いや、別に」透「いらないアプリとか、消してた」P「スマホって、あんまり考えないで入れたアプリとかゲームを使いもせず放置しがちだよな」P「ゲームか……久しくやってないな……」


P(――俺の知らない、俺の記憶が……)

「ぷはっ」

P ボーッ

「ゆ、勇気――出してみた///」

「……どう、だった?」

P「ど、どうと言われても……」

「えーっ。……もっと、感想とか、あってもいいんじゃないかな」プクッ

P「はは……」

P「そ、そろそろ別の遊具で遊ぼうぜ! な?」

「……うん。そうする」


P「ふう。公園で遊ぶのなんて久しぶりだ……」

「おじさんみたいなこと言うんだね」

P「まあ、君にとってはおじさんだろ、俺は」

「そう、かな?」

P「あ、そうだ。公園で遊んだ後は、ちゃんと手洗わないとな」

P「トイレ行こうぜ」


P「おーい、そっちは女子トイレだぞ」

「もう! 怒るよ、いいかげん」

P「?」

「僕は! 女の子! だよ!」

「……もう」

「ばか」ボソッ

P「……」

P「……手、洗うか」


P「この網に入れられた石鹸も久々に見たな……衛生的にどうなんだよ、これ――って今だから思うが」

P ジャブジャブ

P「よし、これで――」

P(手を洗って、何気なく顔を上げて鏡をしっかり見た)

P「――え、お、俺?」

P(鏡には、中高生くらいのときの俺の顔が映っていた)

P「……そうか」

P「……」

「……」ツーン

P「な、なあ、機嫌直してくれよ。悪かったって」

「……アイス、買ってきて」

「一番高いやつ」

P「え?」

「コンビニで一番高いやつ買ってきて。それ食べたい」

P「……本当にいいのか?」

「いいから! 早く」

P「わかった」


P「おまたせ」

「一番高いやつは?」

P「お望みどおり、ほれ」ドカッ

「……」

「……ふふふふっ、な、なにこれ……」プルプル

P「だから、一番高いのを買ってきたんだ」

P「1リットルアイスな」

「あははははっ、や、やられた……」

P「ああ、正直、俺も笑いをこらえるのが大変だった」

P(でも、何故だろうか)

P(一番高いアイスを買ってきてとこの子に言われて、これを買うしかないと思ったんだよな)

P「どうする? 食うか? 一応普通のアイスも買ってきたけど」

「ううん、いい」

「一緒にたべよ」

「なかなか減らないね」

P「だ、だな……」

P「無理せずこっちのカップアイス食べてもいいんだぞ?」

「でも……その大きなアイスはどうするの?」

P「……こうする!」ガツガツ

「あ……」

P ガツガツ

P「ぐっ……頭痛ぇえっ」

「あはは、それはそうだよ」

P「は、ははっ……うっ!?」ズキン

P(あ、あれ……やばい、シャレにならないほど痛い)

P「うぐぐぐぐ……」

「だ、大丈夫?」

P(この頭痛は――もしや……)

P「あ゛あっ! ……くそっ」

P(駄目だ。もがいてももがいても……頭痛はひどくなるばかり)

P「と……お、る……」

P(苦しみながら口から出たのは、透の名前だった)

P(何故透の名前を口にしたのかはわからない)

「……」

P(男の子――もとい女の子は、途中から冷静にこちらを眺めている。地面でじたばたする俺を)

「……」ジーッ

「……」ニイッ

P「っ!?」

P(わ、笑った……よな、いま)

P(あ、もう、意識が……)スゥーッ

P(消えゆく意識の中、最後の一瞬では――)

P(――その子の姿はなく、同じ場所は透がいて、こちらを見ていた……)

~病院 病室(個室)~

P「……」

P「……っ、んん」

はづき「! プロデューサーさん……!」

P「ん……はづき、さん……?」

はづき「はい……はいっ、私ですよ、プロデューサーさん」

P「俺は……」

P(長い夢を見ていた――のか?)

P「……っ! そ、そうだ、あいつらの仕事……!」

P「テレビ局での仕事があって、円香が透を連れ出しに行って、それで俺は……っ!」ガバッ

はづき「あっ、落ち着いてないとだめですよー!」

はづき「お仕事なら、無事に終わりましたよ。透さんの元気がなかったのは気になりましたけど、なんとかなりました」

P「そ、そうでしたか……よかった……」

はづき「円香さんが透さんを連れてきてくれたんです……テレビ局のロビーまで連れて行ったところで、倒れたプロデューサーさんを見つけたそうですよ」

P(ということは、あそこが現実と夢が切り替わったポイントだったのか)

はづき「アイドルの子たちもお見舞いに来てたんですよ」

はづき「なかなか目を覚まさないプロデューサーさんが心配だったんでしょうね」

はづき「社長もさっきまでいたんですけど、お仕事があって帰られて……いまは私だけです」

P「……あれから――俺が倒れてから、どれくらい経ちましたか」

はづき「今日で3日目、ですかねー」

P「そうですか……」

P(思ったよりも経ってたな)

一旦ここまで。

P「あれから、透はどうですか」

はづき「どう……ですか。まあ、いつもより元気がないのかなーというくらいで、みんなと一緒にお仕事してるのには変わりありませんけど……」

P「そうですか……」

P「俺、もう退院できるんですかね」

はづき「お医者様曰く過労とのことですし、もう目が覚めたってことは、すぐに退院できるんじゃないでしょうか」

はづき「あ、そうだ。私、看護師さん呼んできますねー」

ガラララ バタン

P「病院、か」

P「ここも、はじめてな気がしないな」

P「なんでなんだろうな……ははっ」

P(乾いた笑いしか出てこない)

P(俺が置かれている状況の異常さは、俺の肉体と精神の両方を蝕んでいる)

P(良くない連鎖があるはずなんだ)

P(俺は、それを断ち切ろう)

翌々日。

P(俺はすぐに退院した)

P(検査でも特に異常は見られなかったらしい。いま俺の身に起こってることは、医者にはわからない何か、ということなのだろう)

P(そして、いつも通り――?――に、出勤した)


~事務所~

P「おはようございます」

小糸「ぷ、プロデューサーさんっ!!」

雛菜「やは~プロデューサーだ~!」

P「ああ、2人とも、おはよう」

小糸「も、もう、大丈夫……なんですか?」

P「もちろん、この通り元気だよ」

円香「はぁ……さんざん人に心配させておいて……その顔」

P「おっ、円香もいたのか。おはよう」

円香「あなたに影が薄いみたいに言われると無性に腹が立ちますね」

P「す、すまん……別にそういう意味で言ったわけじゃないぞ」

雛菜「円香先輩、血相変えて心配してたくせに~」

円香「ばっ……言うなっての……」

小糸「でも、復帰できて良かったですよ! ほんとに」

P「心配かけたな。これからも仕事頑張るから、よろしくな」

小糸「も、もうっ、頑張っちゃだめです!」ウルウル

雛菜「あは~ジレンマだね~」

円香「過労死したら、承知しないから」

P「あ、あはは……」

P「じゃあ、まあ、ほどほどに、な」

P「……そういえば、透はいないのか?」

小糸「今日はお休みするって、LINEのグループで言ってましたよ」

雛菜「透先輩、最近元気なさそうだよね~」

円香「……」

P「……そうか」

P「まあ、今日はレッスンしかないし、透も体調が悪いなら無理に来る必要もないよ」

P「来れるメンバーだけで頑張ろう、な」

P(……とは言ったものの)

P(透に会わなければならない)

P(そうだ、お見舞いと称して家に上がらせてもらうか)

P(いや、そもそも俺に会ってくれるのかという問題もある)

P「……」ジーッ

円香「……あの」

P「なんだ?」

円香「あんまり見つめられると、困るのですが」

P「あ、ああ……すまん」

円香「何か用でも? なければレッスンに向かいます」

P「……!」

P「そうだ、1つ、頼まれてくれないか!」


円香「浅倉のお見舞い?」

P「そ、そうだ」

円香「それに私がついていけと」

P「正確には、円香がお見舞いに行って、俺はサプライズ登場だ」

円香「なんでそんな回りくどいことを……まさか、あんた透に何かしたんじゃ……!」

P「え? あ、ち、違う! そういうんじゃない!」

P(いや、まあ、少し嘘だが)

P「気を遣わせたくないんだ。円香なら透と遠慮しない仲だろうし、プロデューサーとして透を心配して訪ねてくるのは変じゃないだろう?」

P(ちょっと苦しいか……? 無理やりに思えるだろうか……)

円香「……」

P「……」

円香「……はあ。まあ、わかりました」

P「本当か!?」

円香「うわ……まぶしい視線。はいはい、本当ですよ。嘘ついてどうするんです」

P「ありがとう! 恩に着る!」

円香「そ、そこまで……? おかしな人ですね、まったく」

円香「じゃあ、レッスンが終わったら一緒に行きましょう」

円香「あ、小糸と雛菜に変な想像されたくないんで、一旦別々に移動して、集合場所決めて会いましょう」

円香「一緒に帰っていろいろと詮索されても嫌だし……」

P「わ、わかった。そうしよう」

P(やってること自体はそっちのほうがやましい気分になりそうだけど……)

夕方。

~透の家の最寄り駅~


円香「……遅い」

P「わ、悪い……。片付けなきゃいけない仕事を1つ忘れててさ」

円香「はぁ……まあいいです。行きましょう」

P「お、おう」


P「つ、着いたな……」ゴクリ

円香「あまり挙動不審に見られないようにしてください」

P「気をつける……」

円香「先に私が話をつけてくるので、そこで待っていてください」

円香「何の前触れもなしにプロデューサーが来たら、おばさんびっくりするだろうし」

P「よし、頼んだぞ……!」


P(それから、円香は透の家にあがっていった)

P(玄関でのやり取りが、俺にも少し聞こえた。おそらく、透のお母さんと円香が話しているのだろう)

P(そして、円香が出てきた)

円香「おばさんに事情は話したから、ほら、あがりますよ」

P(俺は透のお母さんに挨拶をし、家にあげてもらった)

P(お母さんは用事があるらしく、留守を円香に託して出かけて行った)

P(信頼されてるんだな……円香)


コンコン

円香「浅倉。私だよ」

円香「おばさんに聞いてるでしょ。様子見に来たって」

「……」

円香「いいね? 入るよ」

円香「……あとは、あなたの仕事です」ヒソヒソ

P「ああ。ありがとうな、円香」ヒソヒソ

円香「別に、お礼を言われることなんて……」ヒソヒソ

円香「は、早く行って……。私は、廊下にいますので」ヒソヒソ

P「おう」

>>477 訂正:
P「つ、着いたな……」ゴクリ

円香「あまり挙動不審に見られないようにしてください」


~透の自宅~

P「つ、着いたな……」ゴクリ

円香「あまり挙動不審に見られないようにしてください」

>>445で行った訂正に参照先がありませんでした。すみません。これは>>428における訂正でした。

ガチャ

「……っ!?!?」

P「よ、よお。透……」

バタン

透「ど、どうして……」

P「そりゃ、透が心配だからだよ」

P(すまん。それだけじゃあないんだ)

透「……帰って」

P「まあまあ、そう言わず……」

透「帰ってよ!」

P「……」

透「……っ」

透「もう、だめなんだ」

透「ぜんぶ……ぜんぶ……」

P「透……」

透「どこまで知ってるの?」

P「え?」

透「あの紙を私にわざわざ見せてきて、つまりはそういうことなんじゃないの?」

P「……っ」

透「全部……知ってるの?」

P「……」

P「……やりなおし」

透 ビクッ

P「透は……何度もやり直してきたんじゃないか?」

P「俺が思い出せるまで……いや、それだけじゃなく、俺が透と愛を誓うまで」

P「俺は、そのプロセスを知らない――“この俺”は」

P「でも、確かに透は何度も俺と――みんなと過ごしてきたんだろう? そして、長い道のりを経て、望む結末にたどり着いた」

透「……」

透「欲張りすぎたのかな」

透「焦りすぎたのかな」

透「ちゃんと、待っていればよかったのかな……」

P「……」

透「そうだよ、プロデューサー」

透「私は、何度もやり直してきた」

透「あなたと……一緒になりたくて」

透「こうなってほしいなーって人生になるまで、何度も、何度も」

透「そうだよ。私は、思い出して欲しかった」

透「ううん。それだけじゃなくて、愛して欲しかった」

透「やり直していくうちに、なんとなく仕組みがわかってきて」

透「6周目で、たどり着いた」

P「……」

透「ははっ……母子手帳、見せたかったな」

透「……なのに」

透「ゴールだった、はずなのに」

透「てっぺんだった、はずなのに」

透「いつもみたいに、リセットされちゃった」

透「なんでって思った。おかしいって感じた」

透「それでも、私には繰り返すことしかできなくて……」

透「もう一度同じように過ごせば良いと思った」

透「でも、7周目のプロデューサーは、私の想像とは全く違う行動をとって……」

透「なんで……」

透「ねえ、なんで!?」ガシッ

P「ぐっ」

透「私じゃ、だめだったの……!? あのまま……あのまま2人で……」

透「なんでっ……」

透「あの雛菜の立ち位置は……私のっ……」

P「お、俺は、この8周目の俺でしかない」

P「他の俺のことなんて、わからない」

P「俺には、どうしてやることもできないよ……」

透「うっ……ぐすっ……」

透「うわぁぁぁぁぁぁ」ポロポロ

P(辛い……透のしてきたことはそう簡単に許されることじゃないんだろうが、それでも……)

P(想いを無下にしなければならないなんて……)

P(……この連鎖は、俺が断ち切る)

P(すべて突きつけて、解決して、連鎖を断ち切って)

P(そうしたら、俺が透に想いを伝えよう)

P(透を辛いままにしてなんて、おけない)

P(もう、前みたいな意味で、透に「人生は長い」だなんて言わせたくないから)

P(だから、これは、俺と透が再び一緒に歩むために、必要なことなんだ)

透「うっ……ん……」グスッ

P「ジャングルジム、一緒に登ったよな」

透「!」

P「あのバス停で、透と出会ったこと。もう忘れないよ」

P「もちろん、アイドルにスカウトしたときのことじゃなくて――」

P「俺は中高生で、透はもっと小さかったときのことだぞ」

P「あの時、俺は男の子だと勘違いしてた」

P「なかなか思い出せなかったのは、それもあるのかもしれない」

P「でも、もう“思い出してる”」

透「っ……そっか。そっか」

透「えへへ、……それは、嬉しい」

P「一人称が僕なんだもんな……ただの美少年としか思わなかったよ」

P「まあ、それはともかく」

P「これまでの――7周目までの俺がどうだったかなんて知らない。どうでもいい」

P「8周目だろうとなんだろうと、俺は俺だよ」

P「そして……この俺は、透の望む俺だよ」

P「だからさ、こんな連鎖断ち切って、また、幸せな――いくら長くてもいいと思えるような人生に、してみないか?」

透「ぷ、プロデューサー……」

透「いいの、かな……」

透「私に、そんな資格なんて――」

P「――なければ俺が与えてやる!」

透「っ!」

P「俺が、透が望む人生を透が過ごしてもいいって資格……与えてやるよ!」

P「他の誰でもない……俺が!」

透「……Pさん!」ダキッ

透「私……僕……ずっと怖かった……!」ポロポロ

透「思い通りに、ならないことが」ポロポロ

透「もう、そんな風に気にしなくても……いいんだよね?」ポロポロ

P「ああ……! そうだ」

P「お前には、俺が着いてるよ」ナデナデ

透「ねえ、私のこと、見て」

P「ああ――」

――ハムッ チュッ...

透「んっ……ぷぁっ」

P「と、透……」

透「わがままで、何度も繰り返してきた私だけど……」

透「もう、世界にはわがまま言わないから――」

透「――Pさんには、わがまま言ってもいいかな」

P「お、俺に応えられることなら……」

透「なら、受け止めて」シュル...

P「いきなり……脱いで何してるんだよ……」

透「言わせるの?」

P「いや、いい。言わなくてもわかったから」

透「ありがと」

透「愛してる……」


透「思ったよりも早かったね」

P「うるせ」

透「だって、前より早かったし」

P「……他の男とのことか?」

透「違うよ。6周目のときのこと」

P「複雑な気分だな……自分と比べられるとは」

透「ふふっ、そうだね、確かに変な話かも」

P「……あ」

透「どうしたの?」

P「円香が外にいるんだった……」

透「あちゃー……だね」

P「あいつに殺されるかもしれん」

透「ふふっ、大丈夫。私が守るよ」

P「どちらかと言えば俺が透を守ってやりたい立場なんだが……」

透「でも、うん……さすがに樋口をずっと待たせるのも悪いかも」

P「そうだな」

P(よし、それじゃあ、話に決着をつけないとな)

P(透が繰り返してきた連鎖を断ち切るには、あの『とおるーぷ』とかいうアレな名前のファイルが鍵になるはずだ)

P(それと、マリカー――おそらく、マリカーというのは隠語だろう)

P(『とおるーぷ』はコンピューター上のファイルだった。あれが透の行っている“繰り返し”に関連しているのは間違いない。と、すれば……)

P(それか、それに類似したシステムがスマホで開けてもいいはずだ)

P(そもそもがおかしかったんだ)

P(スマホのマリカーは、2周目までしかないはず)

P(2周目以降に巻き返すという透の発言は、矛盾している)

P(やってなかったから調べたけど、たぶんそういうことだろう)

P(だから、あのマリカーとその周回というのは、透が繰り返してきた軌跡のことだ)

P(調子の良し悪しというのは、たぶん透の思い通りになってるかどうかということだろう)

P(その辺は徹底して追及しないといけない……連鎖を断ち切る鍵になるはずだ)

P(そうして、俺と透は、6周目のような――いや、もっと幸せな人生を送ろう)

P(そう、決めたんだ)

P「なあ、透……」

透「? なに?」

P「スマホに、あるんだろう? 繰り返しに関する何かが」

透「っ。……うん」

P「あ、いや、そんな緊張しないでくれ。別に何か怒ろうっていうんじゃないだ」

P「この連鎖を断ち切るためなんだよ」

P「その……マリカー、だろ?」

P「気づかなかったよ。スマホのマリカーのこと、よく知らなくてさ」

P「あれが、透の周回を意味してたって気づいた頃には、もういろいろと遅かったのかもしれないけど……」

P「確かに、俺は8周目だし丸腰というか何も記憶がない状態だったけど」

P「何度か夢で見たんだ。ひどい頭痛と一緒に」

P「これまでの……記憶を」

P「そして、この手紙だよ」ピラッ

P「あぶりだしとはまた……透も洒落たことをしたよな」

P「いろんなことがあった」

P「まあ、だからこそ、これまでに得た情報を組み合わせて、ちゃんと結論にたどり着いたわけだけど」

P「だからさ、その辺のことは、ちゃんと教えて欲しいんだ」

P「透、頼む」

透「プロデューサー……」

P「あ、別に、言いたくなってからでいいけど……いや、でも早いほうがいいし……」

透「ちょっと、落ち着いてってば」

P「はっ……す、すまん。変にテンションがあがっちまってた」

P「すぅー……はぁー……」

P「……よし、落ち着いたぞ」

透「もう……」

透「あのね……まずはさ、プロデューサー――」



透「――私、手紙なんてあげてないよ?」






P「…………は?」






ガチャ キィィィィ



パタン



「や

   は
     ~
      ふ

        せ
         い

           か
            い
             ~」

P(それは、聞き覚えのありすぎる声で)

P(この場で聞くはずのない声で)

P(でも、確かにその声で)

P(背後から聞こえたその声に、思わず俺は振り向く)


雛菜「あは~、おどろいた~?」

P(驚いて声もでない――なんて、まさかこんな平凡な日常の1コマみたいな場所で経験すると思わなかった)

P(「?」が脳内を埋め尽くす)

P「え? いや、……え?」

雛菜「プロデューサーめっちゃおどろいてる~!」

P ハァッハァッハァッハァッ

P(だめだ……呼吸が荒くなりすぎて声が出せない)

P(いや、そもそも声に出す言葉もうまく紡がれない)

P(何が起きている? 何が起きて何が何が何が何が何が何が何が)

雛菜「あ~……制服汚れちゃったな~」

P「せ、せせせ、せいふっふっふふうふふふく??????」ハァッ...ハァッ

P(雛菜の姿をよく見てみる――刹那、後悔する)

P(雛菜の服装はいつもと一緒だった――服装、は)

P(リボンのついた白のワイシャツに、胸に可愛らしいワッペンのついた薄黄色のカーディガン)

P(少しでも汚れがついたら目立ってしまいそうなその服は……)

P(赤く、黒く、赤黒く……)

P(いや、茶色? 赤、黒、赤、黒、赤赤赤赤茶黒赤赤茶黒赤赤茶黒赤赤茶黒……)

P「くはぁっ……はあ、はあ……」

P(なんとか息を整える)

P(……そうだ! と、透は……!?)クルッ

透「……」ボーッ

P(透は、放心状態でいる。い、いまは目の前の事実に向き合うしかない……!)

P「ひ、雛菜? どうしてここに……」

雛菜「どうしてもこうしてもないよ~。透先輩がわがまますぎるんだもん」

雛菜「あと、ついでに~……、ミステリーごっこみたいにしてるプロデューサーが、ちゃんと答えにたどり着けたのかな~って思った~!」

雛菜「まあ、だめだったみたいだけどね~」

P「だ、だめって、どういうことだ……!」

雛菜「え~、言葉の通りなのに~」

P「だって、俺は……!」

P(ん? いま、俺は何か大事なことを忘れてないだろうか)

P(……そうだ。手紙!)

P「と、透!」

P「手紙を書いたのがお前じゃないって、……一体どういうことなんだよ!?」ユサユサ

透「ぁ……」

P「透なんだろ……!? この繰り返しの何もかもを動かしてて、時にはやばいことまでして……!!」

P「手紙をよこしたのも、8周目の俺に7周目までの記憶を見せたのも……!!!!」

透「……」

P「なあ答えてくれよ!!!! 透ッ……!!」

雛菜「も~……雛菜、ちょっとがっかり~」

雛菜「プロデューサー、ほら、みてみて~」

P「へ?」

ドサッ

雛菜「いろいろと思い出したところまではよかったのにね~」

雛菜「これ、忘れてない~?」

P「こ、こここ、こっ、これって……お前っ……」

P(知らない知らない知らない知らない知らない知らない知らない知らない知らない!!!!!!!)

P(俺は知らない!!)

P(俺は……知ら……な……)

雛菜「知らない……けど、見たよね~」

P「う゛っ……ああっ!!」ズキッ

P「はあっ……はあっ……」

P「……っ!?」


P『っ!! 円香っ!!!』ガシッ

円香『……』クルッ

P『……ぁ』

P『――っ! はぁっ、はぁっ、……』

デロッ...パサッ

P「……』

P『『あなたへ』』

P ペリペリペリペリ

P ペラッ

『最近物騒。この辺で1人の女の子をねらった事件が起きてる。
 この子である必要はなかった。たまたま、1人で、ここに、あ
 の時間に、来たから。それだけ。

 それだけ』

P『アッ、エ、エエッ』

P『……』

P『??? ! !?!?』

P『――あぁあああぁぁぁああぁぁあぁああアァッ』


P「――あぁあああぁぁぁああぁぁあぁああアァッ」

P(思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した)

P(いいいやちちち違う違う違うそうじゃないないないないないないないないない)

P(これは……俺じゃない俺の……)

雛菜「やは~、もしかして、これだけは“見なかった”んだ~」

雛菜「じゃあしょうがないかもね~」

雛菜「でも~……透先輩が円香先輩を殺すなんて、天地がひっくりかえってもありえなさそ~」

P(俺の目の前に、雛菜に投げ捨てられたそれは――)

P(――“見たことのある”致命傷を負った円香だった)

P「な、ななっ、なんで、雛菜が円香を……!?」

雛菜「え~? なんでって……」

雛菜「こうすれば、もうそんな選択肢選ばないかなって思った~」

P「は? そ、それだけ?」

雛菜「それだけだよ?」

P(嘘だろ……という言葉すら出てこなかった)

雛菜「あ、それは4周目の話ね~。いまのは~……まあ、再確認用~って感じ~」

P(雛菜からは、何の悪意も感じ取れない)

P(子どもが蟻を踏み潰すのを怒られてきょとんとしているくらいの感情しか伝わってこない)

P(恐ろしさのあまり、俺は立っていられなくなった)

透「……そっか」ボソッ

P「……え?」

透「電話、かけてきたの……雛菜だったんだ」

雛菜「あ~! それ正解~!」

P「で、電話?」

透「繰り返しの最初……私はずっと記憶を持ってるわけじゃないんだ」

透「事務所に行く途中に電話がかかってきて、それで全部思い出す」

透「繰り返しに関すること、なにもかも」

雛菜「そうするとね~、やりなおしログってのが更新され始めるんだ~すごいよね~」

P「……!」

P(やりなおしログ……『とおるーぷ』っていうあのファイルか!)

雛菜「あ~、もしかしてプロデューサー、やりなおしログを書いてるのが透先輩だって思ったの~?」

雛菜「やは~それも違う~。あれ書いたの雛菜だもん」

雛菜「[FOR T.A.]っていうのは透先輩のログだからってことで外せなかったけど~……」

雛菜「文面は透先輩っぽく書いてみた~。雛菜、透先輩好きだも~ん。それくらいできるよ~」

P「じゃ、じゃあ透は……透は繰り返しについては……!」

雛菜「使ってるだけで他は何も知らないよ~。ね~、透せんぱ~い」

P「そ、そうなのか……?」

透「……うん」

透「私はただ、電話をもらって」

透「しあわせになるための手助けって言われて」

透「プロデューサーと……Pさんと……」

P「そんな……」

P(透に電話……一体誰g――っ!)

P(なんで……忘れてたんだ、俺は……!!)

P(こんなの、“俺でも知ってる”のに……!)


P『ん?』

雛菜『~~~(スマホを片手に会話中)』

雛菜『!』

雛菜 ポチッ

雛菜『……プロデューサーだ~おはよ~』

P『お、おう、雛菜か。こんな朝から、偶然だな』

雛菜『そうだね~』

雛菜『雛菜はプロデューサーに会えてしあわせ~』

P『ああ、俺も嬉しいよ』

雛菜『やは~プロデューサーもそうなんだ~!』

P『でも、悪いことしちゃったよな。電話の邪魔だっただろ、俺』

雛菜『あ~……電話ね~……。うーん、まあ、いいよ~』


P「……っ!」

雛菜「透先輩がまだしあわせ~じゃない~って言うから……雛菜、毎回電話かけて教えてあげてたんだよ~?」

透「でも……それならどうして……7周目からは……」

雛菜「それは透先輩が悪いんだよ……6周目でしあわせ~ってなったはずなのに、また、なんて……」

雛菜「雛菜の目的には、それ以上いらな~いって感じだったからね~」

雛菜「だから~、7周目と8周目には、“嘘”を教えたんだ~」

透「!」

雛菜「嘘っていうのは正確じゃなくて~、本当は……まあ、いいや~。とにかく~」

雛菜「ね~? だから思い通りにならなかったでしょ~?」

P「ぐっ……雛菜、お前はどうして……ここまでして何がしたいんだ……!」

雛菜「いつも言ってるけど~」

雛菜「しあわせ~になるためだよ」

P「そんなんじゃわからねぇよ! 雛菜のしあわせって、なんなんだよ!!」

雛菜「それは雛菜にもわからな~い」

雛菜「わからないから、こうしたっていうのが、答えかな~」

P「……何言って」

雛菜「雛菜ね~、プロデューサーに出会って考えるようになったの」

雛菜「雛菜以外のしあわせ~って、自分じゃないほかの人のしあわせ~って、なんなんだろ~って」

雛菜「プロデューサーは、プロデューサーのしあわせじゃなくて、雛菜とかのアイドルのしあわせのために生きてるでしょ~?」

雛菜「だから~……雛菜もやってみようと思ったんだ~」

雛菜「他の人をしあわせにしてみよ~って」

雛菜「そうすれば、何かがわかるのかな~ってね~」

雛菜「6回かかったけど、雛菜、ちゃ~んと透先輩たちのしあわせ~を見れたよ」

雛菜「だから、もういいや~ってなっただけ~」

雛菜「う~ん、まだわからないことだらけだけどね~」

P「なんで……透に記憶を持続させたんだ……?」

P「透に繰り返させた……透に目をつけたのは、なんでだ?」

雛菜「円香先輩と小糸ちゃんはプロデューサーと一緒になるためだけにそんな必死にならないも~ん」

雛菜「でも~……透先輩だけは、違うよね~?」

雛菜「アイドルになってからの透先輩見てればわかるよ~。幼馴染でもあるし~」

P(一番動かしやすい奴に目をつけたってだけ、か……)

P「お前な……お前みたいなやつが透の幼馴染名乗っていいと思うのかよ……」キッ

雛菜「……その顔こわ~い……きらい~」

雛菜「名乗っていいかどうか、なんて知らないよ~。雛菜は雛菜のことしか知らないよ~……」

P(話になると思わないほうがいいな……これは……)

雛菜「まあ、雛菜としては~……プロデューサーと幸せ~になれた7回目を続けてもよかったんだけど~」

雛菜「繰り返しを切り忘れてまた戻っちゃった~! やは~、雛菜、ドジだよね~」

雛菜「まあ、別にいいけど~……」

雛菜「それこそ~、好きなだけ繰り返してしあわせ~がわかるまで考えればいいかな~って思う~」

雛菜「あ、透先輩にはもう記憶あげなくていいよね~」

雛菜「これ以上面白くならなそ~だし~」

P「……聞きたいことはまだ山ほどあるが」

P「逃げるぞ、透」

透「ふぇ?」

P「俺がおぶるから、ほら」

雛菜「え~、これからどうするの~?」スタスタ

P「ほら、早く!」

透「う、うん」

雛菜「どっから逃げるのかな~……って、あ~!」

ガララララ

P「透、つかまれ――」ダッ

ドサァッ

グッ...

タッタッタッタッ

雛菜「窓からとか~……」

雛菜「……」ニパァッ

雛菜「じゃあ、雛菜ももうちょっと遊ぶ~!」テテテテ

P「はぁっ……はぁっ……」ドタドタ

透「プロデューサー……もう……」

P「い、いいや! 逃げるんだ、透!」ドタドタ

透「そんなんじゃもうもたないよ……!」

P「いいから……しっかりつかまっとけ!」ドタドタ

透「かっこつけてる場合じゃないでしょ。私、もう立てるから……ね?」

P(透を背負って走るのは想像以上に体力を奪われた……見栄張ってる場合じゃない、か)

P「わかった……、一緒に走ろう」

透「……うん」


P ゼェゼェ

透「さすがに休んだほうがいいよ、ほら、こことか……」

P「路地……か……」

P(さすがに、これ以上走り続けるのは不可能だった――俺の体力的に)

P「……」

透「……」

P「……くっ、はははははは」

P「まったく、どうなってやがる……」

透「……」

P「俺は、とんだ道化師だな」

P「誰もが、雛菜の思うとおりだったというわけか」

透「7周目のとき……」

P「……?」

透「私に記憶と繰り返しを教える電話には、いつもすぐ後にメールが来るんだ」

透「そこで、必要な情報とか、アプリとかを知るんだけど」

透「せっかくたどり着いたのを無駄にされたから……」

透「ccのアドレスも含めて全部に送ってやった」

透「「なんで」って、いっぱい」

透「意味があったのかは知らないけど、さすがに頭にきて、何かしてやらないと気がすまなかったから」

P「……そうか」

透「8周目――今回は、メールもアプリも全部消した」

透「まあ、それも意味ないのかもしれないけど」

P「……っ、そうか」

透「ねえ、プロデューサー……」

透「……ううん、Pさん、私は――」


雛菜「ごろ~ん♡」ズバァァァッ


透 バサッ

P「と、透……?」

雛菜「んしょっと……呼ばれて飛び出て~ってやってみた~!」

雛菜「あ、呼んでなかった~?」

P(透の中から……雛菜が出てきた……?)

P「ひ、ひぃっ!」ダッ

雛菜「まだ追いかけっこするの~?」

P ダダダダダ

雛菜「あは~、まあ、いっか~」テテテテ


P(走った。走った。走った)

P(逃げることに意味があるかなんてわからない)

P(それでも、本能的にこうせざるを得なかった)

P「はぁっ、はぁっ……くそっ、はあ……っ」


~公園~

P「はぁ、はぁ、はぁ……」

P(み、水……! 水を飲みたい……!)

P(公園にある蛇口をひねり、水をこれでもかというくらい飲む)

P「ぶはぁっ、……んぐっ、んぐっ」

P「……っ、ふぅ……」

P「……」

P フラフラ

P ペタン

P(何やってるんだろう、俺)

P(まあ、でも、こんな世界じゃ、どうしようもないか)

P「……」

「ねえ、だいじょうぶ?」

P「あ?」

「顔色……わるいよ」

P(とうとう幻覚が見えるようになってきたか……やばいな)

P「いや、駄目そうだ――」

P「――透」

とおる「……そっか」

とおる「僕になにかできることはある?」

P「そうだなぁ……じゃあ」

P「そばにいてくれよ」

とおる「うんっ。わかった」

P「しあわせって、なんだと思う?」

とおる「……そんなの、わかんない」

P「ははっ……そうか」

P「俺もなぁ……わかんないんだ」

P「なあ、お前……好きな人、いるか?」

とおる「……ひみつ」

P「……そうか」

P「俺が当ててやろう。片思いだろ?」

とおる「っ!」

P「しかも、相手は年上」

とおる「ひょっとして……エスパー……!」

P「まあ、そんなとこかな」

とおる「なんか、くやしい」

P「いいじゃないか、女の子が恋する様は可愛いだろ」

とおる「女の子って、わかるんだ」

P「どうみたって女の子だよ」

とおる「……どう、だろ」

とおる「かわいい……とか思う?」

P「最高に可愛い」

とおる「んなっ!?」

P「アイドルにしちゃいたいくらいだ」

とおる「アイドルになんて、ならないよ」

P「わからないぞ? 運命、ってあるもんだからな」

とおる「?」

P「いや、いいんだ。忘れてくれ」

P「……あ、この公園、ジャングルジムあるな」

P「……また、登らないか?」

とおる「!」

とおる「……のぼる」

P「よし、決まりだ。また抱えて登ってやるよ」


P ゼェゼェ

とおる「お、重かった……?」

P「なんのこれしき……ってやつだ。気にするなよ」

P「てっぺん、また着いたな」

とおる「そうだね」

P「後でアイス食おうか。また奢るよ」

とおる「おっきいのは、やだよ?」

P「ははっ、あれは冗談だから」

P「今度はハーゲンダッツ、買ってきてやる」

とおる「……やたっ」

P「……」

P「このまま、どこかに飛んでいけないかな……」

とおる「……何言ってるの?」

P「いや、もっと遠くに逃げたいんだよ」

P「……そう、逃げなきゃ、いけない」

P「それ以外、どうしようもないんだ」

とおる「そっか」

P「だから、飛べたらっt――ぐぶふっ!?」

ズブズブ

ズシャァッ

とおる「……やはっ」ニイッ

P「え……」ドクドク

とおる(?)「……もう逃げなくていいよ~」

P(俺を見つめる笑顔は……既に一度見たことのあるものだった)

P(そして、目の前の幼い頃の透の姿がぶれる)

P(次の瞬間、俺を見ていたのは――)

雛菜「あは~、小さい頃の透先輩がいまいるわけないって~」

雛菜「2回透先輩になってみたけど、小さい頃の透先輩も好き~かわいいよね~」

雛菜「やは~、プロデューサー、とにかくお疲れ様です~」

雛菜「これ以上プロデューサーにできることはないよ~」

P「ひ……な、な……」

P「……ま、だ……」

雛菜「は~い、おやすみなさ~い」

P グッタリ

雛菜「は~……」

雛菜「noctchillのみんなをしあわせ~にして、雛菜もプロデューサーと一緒になってみて……」

雛菜「……でも~、まだわかんないな~」

雛菜 ポチポチ

雛菜「もう、安価はいらないよね~」

雛菜「次からはどういう風にしたらいいんだろ~」

雛菜「まあ、とりあえず、また繰り返すことには変わりないか~」

雛菜「enzaから入ってもいいし~、スマホかタブレットのシャニマスアイコンを押してもいいし~」

雛菜「じゃ、またね~」ピッ


――――――――---……---―――――――― ブツンッ

とりあえずここまで(まだ続きます)。

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OS Version 2.8.3.2007125
[THE REMADE FILE]

>修正を反映しました。
>参照先のファイルに欠損が見られる箇所があります。処理を続行しますか? Y/N
>Y
>処理を続行します。
>Now Loading...
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起動しました。

>読み込み終了

冒頭に戻ります。

ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピ……

P「……っ」

P「……朝か」


P「いってきます。……って、まあ一人暮らしなんだけどな」

P「よし! 今日も一日頑張るか!」

~駅前~

P(事務所まであと少しだが……)

P「っ、暑いな、まったく……」

P「そうだ」


/*
1.(Deleted)
2.(Deleted)
3. (Deleted)
4.(Deleted)

(Deleted)
*/

P「……ん?」

P(何かが一瞬頭をよぎったような……)

P(気のせいか?)

ヴーッ

P「LINE? ……いや、メールだな、これ」


『FROM:-----------------------------
件名 :走って家に戻れ。いつもの道で。
本文 :(本文はありません)     』


P「なんだ? これ」

P「差出人のところ、なんで書いてないんだよ」

P「ったく……スパムか何かか」

P「とにかく事務所に行って一息つこう。早くこの暑さから逃れたい」

~事務所~

P「おはようございます」

P「……って、誰もいないのか」

P「とりあえず涼むか」


P(今日は――っと)

P(担当アイドルは一日中レッスン、俺は事務仕事だな)

P「ははっ」

P(アイドルのプロデューサーなんてやってるけど、随分と地味な日だな、今日は)

P(まあ、それもあいつらのため……)

P(……ん?)

P(まあ、いいか)


雛菜「やは~、おはようございます~!」

P「お、雛菜か。おはよう」

雛菜「朝からプロデューサーに会えて雛菜しあわせ~」

P「はは……ありがとな」

雛菜「……プロデューサー、元気ないの~?」

P「いや? そんなことないぞ?」

P「でもまあ、そうだな。もう少し人がいてくれると、この事務所もにぎやかだと思ったんだ」

雛菜「……たしかにね~」

P「雛菜が頑張ってくれてるとはいえ、アイドル1人だと今の時代なかなかなぁ……」

P「ユニットとか、組めるくらい人がいればいいんだけどな」

雛菜「プロデューサーはそれがいいの~?」

P「雛菜はいやか?」

雛菜「ううん~、そんなことないよ~」

雛菜「雛菜、レッスンまでそこでスマホいじってるね~」

P「ああ。遅刻はするなよ」

雛菜「わかってま~す」

雛菜「と、いうわけで~~……ソファーに……」

雛菜「ごろ~ん♡」ボフッ

P ビクッ

雛菜「? どうしたの~?」

P「い、いや、なんでもない……」

P(急に寒気が……風邪でもひいたか?)

雛菜 ポチポチ

雛菜「は~」

P「あ、そうだ、雛菜――」

雛菜 ピッ


――――――――---……---―――――――― ブツンッ

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OS Version 2.8.3.2008228
[THE REMADE FILE]

>修正を反映しました。
>Now Loading...
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ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピ……

P「……っ」

P「……朝か」


P「いってきます。……って、まあ一人暮らしなんだけどな」

P「よし! 今日も一日頑張るか!」


~駅前~

P(事務所まであと少しだが……)

P「っ、暑いな、まったく……」

P「そうだ」


/*
1.(Deleted)
2.(Deleted)
3. (Deleted)
4.(Deleted)

(Deleted)
*/

P「……ん?」

P(何かが一瞬頭をよぎったような……)

P(気のせいか?)

ヴーッ

P「LINE? ……いや、メールだな、これ」


『FROM :-----------------------------
 件名 :走って家に戻れ。いつもの道で。
 本文 :スマホを奪ってお前が出ろ  』


P「なんだ? これ」

P「わけわからんな」

P「……」

P「ったく……スパムか何かか」

P「とにかく事務所に行って一息つこう。早くこの暑さから逃れたい」

~事務所~

P「おはようございます」

円香「やは~、おはようございます~」

P「ああ、――……」

P(あれ、名前が……)

P「と、とにかく、おはよう」

円香「元気ないんですか~?」

P「そ、そんなことはないぞ! 今日も仕事頑張るからな」

円香「●●もレッスン頑張る~!」

P「頑張れよ」

P(耳の調子でも悪いのかな……)

タ タ タ タ

透「あ、●●~。来てたんだね~」

円香「うん~……っていうか~、これから一緒にレッスンでしょ~?」

透「あれ~? そうだったっけ~~」

円香「じゃあなんでここに来たの~?」

透「ふふっ、ひみつだよ~」

円香「何それ~」

P「まったく、お前らは仲が良いな」

P「同じ口調にする必要はないと思うが……まあ、いつものことだな――」

P「――ん?」

P(何か……)

タタタタタ

小糸「おはようございます~」

P「――……おはよう」

P(また名前が……)

円香「おはよ~」

小糸「プロデューサーさんおはよう~」

小糸「あ~、●●先輩もう来てたんだ~」

円香「○○ももう来てるよ~」

小糸「そうなんだね~」

ガチャ

タ、タ、タ、タ

雛菜「やは~おはようございます~」

小糸「雛菜だ~おはよ~」

円香「おはよ~!」

P「おはよう雛菜。よし、これで――……」

P「……っ、と、とにかく、全員揃ったわけだ」

P「よし、じゃあお前ら、レッスン頑張ってこいよ」

円香透小糸雛菜「やは~、「やは~、「やは~、「やは~、がんばりま~す」がんばりま~す」がんばりま~す」がんばりま~す」

P「っ、ひ、ひぃっ!?」

円香透小糸雛菜「どう「どう「どう「どうしたの~?」したの~?」したの~?」したの~?」

P「い、いや、お前ら息ぴったりだと思ってさ、あ、はは……」ビクビク

4人「ん~?」

P(目の前にいる4人は同時に声を発して顔を見合わせる)

P(すると、雛菜と呼ばれる子だけがこちらを向いて……)

雛菜「あ~、なんかしっぱいしちゃったかも~」

P(そういう子以外の3人は、固まって石像のように動かない)

P「はぁっ、はぁっ……ぐっ」

雛菜「そんな顔しないで~……」

雛菜「ん~、どうしたら~……」ポチポチ

雛菜 ピッ


――――――――---……---―――――――― ブツンッ

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OS Version 2.8.3.2009219
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>修正を反映します。
>多数の障害が発生しています。診断ツールおよび復元プログラムを実行しますか? Y/N
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>診断:同期異常。外部からの不正アクセス。
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>復元を行います。
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>Y
>処理を続行します。
>Now Loading...
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起動しました。

>Now Loading...(時間がかかっています)
>読み込み終了

冒頭に戻ります。

ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピ……

P「……っ」

P「……朝か」


P「いってきます。……って、まあ一人暮らしなんだけどな」

P「よし! 今日も一日頑張るか!」


~駅前~

P(事務所まであと少しだが……)

P「っ、暑いな、まったく……」

P「そうだ」


/*
1.(Deleted)
2.(Deleted)
3. (Deleted)
4.(Deleted)

(Deleted)
*/

P「……ん?」

P(何かが一瞬頭をよぎったような……)

P(気のせいか?)

ヴーッ

P「LINE? ……いや、メールだな、これ」

P「2件か」


『FROM :-----------------------------
 件名 :走って家に戻れ。いつもの道で。
 本文 :スマホを奪ってお前が出ろ  』

『FROM :-----------------------------
 件名 :家の鍵は閉めたのか?
 本文 :急げ            』


P「……」

P ダッ

P タッタッタッタッ

P(何故だろう……)

P(家の鍵なんて、習慣的には閉めてるはずだし、そんなこと気にしないのに)

P(確認に向かわないといけない気がする)

P(それに――)

P(――急がなきゃいけない理由が、ある気がしてならない)

P「はぁ、はぁ、……くそっ」タッタッタッタッ

P(運動不足か……世話ないな)

P(でも、急がないと……)

~Pの自宅の近所~

P(ここを曲がれば……いた)

P(あそこにいるのは、雛菜だ)


雛菜「~♪」


P(鼻歌を歌いながら歩いてるな……)

雛菜「!」ガサゴソ

雛菜「電話~? う~ん」

P(スマホを取り出した……!)


――――スマホを奪ってお前が出ろ――――


P「ええい! いくしかない!!」ダッ

雛菜「誰だろ~。まあ、いいか~。出ちゃお~」

P「押すなぁぁぁっ!!」

雛菜「え? プロデューサー?」

P「えいッ!」

P(俺は、雛菜のスマホをひったくり――)

雛菜「あ~~~~!! なにするの~~!?」

P ポチッ

P「……」

P(――電話に、出た)

「――――」ジジジジジーッ

「――――」ピーッ

P「……」

「これは、電話をとった者に送られています」

「(Pのフルネーム)に無条件で権限の88%を付与します」

「次に鳴る発信音の後に、指定されたメッセージを、電話に向かって自分の声で喋ってください」

P(根拠はないけど、確信していることがある)

「指定されたメッセージは、パスの役割を果たします。一言一句違わず、日本語で送信されたもののみ受け付けます」

「メッセージのヒントとして、現在、「シャイニーカラーズ」・「プロデューサー」の2つの単語が登録されています」

「メッセージのヒントの変更は、管理者権限でのみ実行できます」

P(俺は、俺として在ればいい)

「まもなく、発信音が流れます」

「メッセージがパスとして承認された場合、管理者権限に移行します」

「メッセージが間違っている場合、管理者権限には移行しません」

P(俺だから……言えること……)

「――――」ピーッ

「メッセージをどうぞ」

P「……」

P「よし、楽しく話せたな」

「――――」ジジジジ......

「承認されました」

「前回の承認から長い時間が経過しています。処理には時間がかかります。そのままお待ちください」

「――――」ジジジジ......

「――――」ジジジジ......

「引継プログラム実行」

P「!!?!?!?!?!!?!?!??!??!?!?!??????!!!!!!!!!?!?!?!?!?!?!?!??!?!!?!!!!!?!?!?!?!?!?!!!?!??!?!」

P(記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正修正記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元復元記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴履歴記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶)

P「……」

「――再起動します」

----------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2009219
[THE REMADE FILE]

>ようこそ。管理者。
>音声であなたの構想を反映します。
>半角英数字でRを入力してEnterキーを押し、できるだけ具体的に述べてください。終了するには、半角英数字でEを入力してEnterキーを押してください。
>R
>…………
>…………
>…………
>…………
>…………
>…………
>…………
>E
>データの処理を行います。しばらくお待ちください。
>処理が完了しました。
>音声は問題なく認識されました。情報の追加を希望するにはHを入力してEnterキーを押してください。以上で終了ならば、何も入力せずにEnterキーを押してください。
>
>実行しますか? Y/N
>Y
>承知しました。新しいシステムに移行します。なお、このプログラムは一定時間後に破棄されます。
>Now Loading...
----------------------------------------------------------------------------------------

再起動します。

――――――――---……---――――――――

>Now Loading...(時間がかかっています)
>読み込み終了
>表示を通常モードに移行

起動しました。
プログラムを実行します。

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OS Version 2.8.3.2018424
[FILE : STABLE]

>自動診断ツール起動。
>......
>エラーは見つかりませんでした。正常と判断されます。
>ようこそ。管理者。
>スタートします。
----------------------------------------------------------------------------------------

THE IDOLM@STER SHINY COLORS

Now Loading...


P(283プロダクションに入社して数か月……いよいよ俺が、アイドルをプロデュースする時が来た)

P(ずっと憧れていた仕事をようやく任されたんだ、これから精一杯頑張るぞ!)

P「……」

P「……なんてな」ボソッ

P「おはようございます! って、天井社長……?」

社長「おはよう、お前を待っていたぞ――」


はづき「――……ふわぁ~? なんですか~急に大きな声出して~……」

社長「は、はづき……なぜ床で寝ているんだ」

はづき「すみません、ソファへ着く前に、眠気に負けてしまいまして~……」

P(はは、そうだったそうだった。相変わらずだ)

社長「せっかくまじめな雰囲気を出したというのに……――」


はづき「――ですので、精一杯頑張っていきましょ~! 私もたくさんサポートさせていただきますね~」

社長「……少しアドバイスしておくが、お前は、283プロダクションのプロデューサーだ」

P「担当アイドルと他のアイドルたちを交流させることも重要になってくる、ですよね?」

社長「む、ま、まあ、そうだが……。わかっていればよろしい」

はづき「では、そろそろお仕事に移ってもらいましょうか」

はづき「今回プロデュースするアイドルは――」


P(アイドルのプロデュースは、あらかじめ決められた選択肢から選んでするものじゃない)

P(それに、他の可能性を探ってみたかったり都合が悪かったりで何度も繰り返すものじゃない)

P(俺は俺が思うように、1度きりのプロデュースで、アイドルを輝かせるために全力を尽くす)

P(これが、俺の望んだ“世界”――選択肢と繰り返しの生むものを知り、それを拒否して、俺の知る悲劇の可能性を排除した環境)

P(この“世界”で全力を尽くしてこそ、俺は心からこう言えるんじゃないか――)

P(――よし、楽しく話せたな。と)


-noctchill編- END.

ドキドキ文芸部が元ネタなんだろうか

noctchill編はこれにて終了です。ありがとうございました。
追加要素があるので、もう少しここで投下していく予定です。

また、このSSとは関係ありませんが、私のアイマスのSSの過去作には以下のようなものがあります。
・【デレマス(デレステ)】黒埼ちとせ「私の望みは――」
【デレマス(デレステ)】黒埼ちとせ「私の望みは――」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1558883455/)
・【デレマス(デレステ)】久川颯「はーはPちゃんが好きなの」(←SS速報Rで書いたものなので注意)
【デレマス(デレステ)】久川颯「はーはPちゃんが好きなの」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1554736389/)

とりあえずここまで。

>>529 タイトルは知ってるんですが、プレイしたことはないんですよね。いろんな噂は耳にしましたけど。

>>523 訂正:

「これは、電話をとった者に送られています」

「(Pのフルネーム)に無条件で権限の88%を付与します」



「これは、電話をとった者に送られています」

「受信者を読み込んでいます」

「完了。受信者、(Pのフルネーム)」

「(Pのフルネーム)に無条件で権限の88%を付与します」

―おまけ1―

~Pの自宅~

ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピ……

P「……っ」

透「おはよ、プロデューサー」

P「……浅――倉か」

透「ふふっ」

----------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2019313
[THE ADDITIONAL FILE]

>カーット!!!
----------------------------------------------------------------------------------------

透「怒られちゃった」

P「そりゃそうだろ」

P「……」

P「いや、なんでうちにいるんだよ」

透「来ちゃった……」

透「……それじゃ、だめかな」

P「……」

P「可愛いからOK」

----------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2019313
[THE ADDITIONAL FILE]

>ダメデスヨ-
----------------------------------------------------------------------------------------

完。

―おまけ2―

P「1周目と4周目でさ」

P「プライベートビーチに一緒に行ったわけだけど」

円香「は? 暑さにやられて記憶までおかしくなったんですか?」

円香「あなたと一緒にビーチだなんて……行ってませんよ」

P「いや、いいんだ。とにかく聞いてくれ」

円香「はぁ……」

P「ビーチといえば水着だろ? 水着といえばこの前のコスチュームガシャだろ?」

円香「ちょっと待って……本当になにを言ってるんですか?」

P「円香――……水着姿、最高だったぞ」

円香「は、はあ? もう……ほんとなに言って……」

P「何がとは言わないけど思っていたよりいろいろと幼かった……」

P「……だが、それがいい」

円香「あなたの言ってることは一切わかりませんが、とりあえず敵意を向けないといけないということだけはわかりました」

----------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2019313
[THE ADDITIONAL FILE]

>さすがにメタすぎ。
----------------------------------------------------------------------------------------

完。

―おまけ3―

P「小糸ってさ……」

小糸「は、はいっ。な、なんでしょうか……」

P「たまにゆっくり霊夢みたいな顔するときあるよな」

小糸「……?」キョトン

P「気のせいか?」

小糸「あの、プロデューサーさんがなにを言ってるのか、ちょっとわからないんですけど……」

P「……」

小糸「プロデューサーさん?」

P「わっ!!!」

小糸「ぴゃ!?」

P「その声は……」

P「それはよく素材になってるのにな」

小糸「??????????????」

----------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2019313
[THE ADDITIONAL FILE]

>ゆっくり霊夢アレンジ(?)の小糸(あるいは小糸アレンジ(?)のゆっくり霊夢)描いてる人
>っているんでしょうか......
----------------------------------------------------------------------------------------

完。

―おまけ4―

~事務所~

P「おはようございます」

雛菜「やは~、プロデューサーだ~! おはよ~」

雛菜「雛菜、朝からプロデューサーに会えてしあわせ~」

P ナデナデ

雛菜「わぁ~~……なでなでされちゃった~~~~」

P「……」ナデナデ

雛菜「ん~~?」

雛菜「プロデューサー、あんまり楽しくなさそ~」

雛菜「元気ないの~?」

P「いや、そうじゃないんだ」

P(うん、そういうことではない)

P(これでいい。雛菜は無邪気で自分の信念にまっすぐだから、ただの女の子でいいんだ)

P(なんでもありの力なんて持ったら……いけない)

P「よし、雛菜。今日は一緒に昼飯食うか!」

雛菜「あは~、それいい~!」

P「もちろん俺のおごりだからな」

雛菜「どこに連れてってくれるの~?」

P「ああ、最近おしゃれな喫茶店を見つけてさ。しっかり食べられるようなメニューもあるんだ」

P「そうそう、食べられる花が入ったサラダ、なんてのもあるみたいだぞ?」

雛菜「なにそれ~! おもしろ~い。そんなのあるんだね~」

雛菜「はじめて聞いた~~」

雛菜「雛菜、楽しみにしてるね~」

P「……ははっ」

P「っし、じゃあ午前中のレッスン頑張ってこい!」

雛菜「は~い、行ってきま~す!」

完。

―おまけ5―

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OS Version 2.8.3.2018424
[FILE : STABLE, ADMIN SETTINGS]

>ようこそ。
>ログインを音声認識で行いますか? Y/N
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>>543 キー操作をミスって投下してしまったので、投下しなおします。

―おまけ5―

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OS Version 2.8.3.2018424
[FILE : STABLE, ADMIN SETTINGS]

>起動しました。
>ログインを音声認識で行いますか? Y/N
>Y
>ログインに必要な情報を音声で認識します。
>お名前をどうぞ。
>
>照合中です。しばらくお待ちください。
>承認。
>パスをどうぞ。
>
>照合中です。しばらくお待ちください。
>承認。
>ようこそ。こちらは、管理者権限による設定画面です。
>最新のログインはあなたではありません。これに関して情報の開示を求めますか? Y/N
>N
>展開中です。しばらくお待ちください。
>展開完了。
>ご希望の操作は何でしょうか。
>_
>■■■■■■■■
>Now Loading...
----------------------------------------------------------------------------------------

完。

おまけは以上です。

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