【艦これ】提督「執務室はいつも賑やか」 (26)


提督「今日も良い陽気だなあ」

阿武隈「ですねえ。こういう日はゆっくりお出掛けしたいですね」

暁「そうねえ……」

提督「いやー、気持ちいいな。なあ、暁」

阿武隈「そうだよね、暁ちゃん?」

暁「そうだけど……そうじゃないわよーっ!」

阿武隈「もう、暁ちゃん。どうしたの?」

暁「雷ってばーっ! 雷ってばもー!」

提督「雷がどうしたんだ?」

暁「暁を子供扱いしちゃって! 失礼しちゃうわ!」ぷんすか!

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阿武隈「雷ちゃんとなにかあったの?」

暁「聞いてよ阿武隈さん! 雷ってばね!」

暁「暁に忘れ物ない? ちゃんとハンカチとティッシュ持った? 身だしなみはしっかりしないとダメよ?」(雷の声真似)

暁「とか、事あるごとに暁に言うのよ!? 暁の方がお姉さんなのに! 暁の方がお姉さんなのにぃーっ!」

提督「大事なことだから二回言ったんだね」

阿武隈「てーとく、暁ちゃんをいじらないでください」

提督「アッハイ」

阿武隈「暁ちゃん、雷ちゃんは暁ちゃんのためを思って言ってるんだよ?」

暁「でも、暁を子供扱いしてるってことじゃない! 暁の方がお姉さんなのよ!」

阿武隈「それはね、暁ちゃん。雷ちゃんもお姉さんっぽく振る舞いたいんですよ」

暁「お姉さんっぽく? 雷が?」

阿武隈「はい。雷ちゃんも暁ちゃんと同じように、一人前のレディーになりたいんです。それで、暁ちゃんや他の子達に、お姉さんのように振る舞ってると思うの」

暁「そ、そうなのかな……なんだ、雷もかわいい所あるじゃない」

暁「ま、まあ雷はいつもかわいいんだけどね!」えっへん!

阿武隈「ふふっ、雷ちゃんはかわいいですもんね。もちろん暁ちゃんも同じくらい、綺麗ですけど」

暁「暁は一人前のレディーだもの。当然よ!」


暁「でも、阿武隈さんも綺麗よね! ねっ、司令官!」

阿武隈「ふぇ!?」

提督「ああ、そうだね。阿武隈は美人さんだよ」

阿武隈「も、もう、からかわないでくださいよぉー」

暁「むー、本心なのに」

阿武隈「えっと。だからね、暁ちゃんはお姉さんとして、雷ちゃんに付き合ってあげてくれないかな?」

暁「もう、雷ってば世話が焼けるわね。分かったわ、雷もお姉さん振りたいお年頃だもの。暁は立派なレディーとして雷に付き合ってあげるんだから!」

阿武隈「はい! ありがとうね暁ちゃん!」

暁「暁は雷のお姉さんだもの! 当然よ!」

響「阿武隈さんの膝に座りながら言うことなのかい、それ」

暁「って響!? いつの間にここに来たのよ!?」

響「響だよ。その隠密振りから不死鳥の通り名もあるよ」

暁「隠密と不死鳥のどこに関係があるのよ!?」


響「でも阿武隈さんのお膝に座って喜んでいるようじゃ、立派なレディーとは言えないんじゃないかな」

阿武隈「別にそんなことはないと思いますけど」

提督「時として、素直に甘えるのも一人前のレディーには必要だと思うな」

暁「むー! 分かったわよ! どけば良いんでしょ! ほら!」

響「うん、それで良い――うらー」よじよじ

提督「って、響が阿武隈の膝に座るのか」

阿武隈「響ちゃん……あたしの膝に座るのは良いけど、一言断ってね」

暁「さては響が阿武隈さんの膝に座りたかったから、暁をどけたかっただけでしょ!? まったくもー!」


阿武隈「暁ちゃん、提督の膝が空いてますよ」

提督「おいおい、暁は阿武隈の膝に座りたいのであって、私の膝じゃダメだろう」

暁「しょうがないわね。暁はレディーだから、司令官の膝で我慢してあげるわ!」

とてとてとて――ぽすっ

提督「良いのか? 私じゃ座り心地良くないだろう?」

暁「阿武隈さんには及ばないけど、悪くないわ」

阿武隈「提督の膝は居心地良いですよ。もっと自信持ってください、てーとく」

提督「暁が良いなら私は構わないぞ」

暁「司令官、もっと阿武隈さんに寄って寄って!」

提督「ん? こうか?」

暁「ありがと。うん、これは良いわ!」

響「はらしょー」ぎゅ

暁「あら? 響、暁と手をつなぎたいの? しょうがないわね」

阿武隈「ふふっ、二人とも仲良いですねえ」

五十鈴「提督ーっ、以前話していた件なんだけど……あら?」

阿武隈「あっ、五十鈴姉? 提督に用事ですか?」

五十鈴「……ご家族の方ですか?」

阿武隈「ふえっ!?」

五十鈴「冗談よ」


『白露姉妹』

白露「いっちばーん、いっちばーん、いっちばんばーん!」

時雨「いっちばーん、いっちばーん、いっちばんばーん」

五月雨「いっちばーん、いっちばーん、いっちばんばーん!」

春雨「いっちばーん、いっちばーん、いっばんばーん!」

阿武隈「ふふっ、皆さんご機嫌さんですねえ」

提督「なんだい、その歌は」

時雨「白露の作詞作曲、『いっちばーんを目指して』さ」

五月雨「阿武隈さーん!」ダッ!

ポスッ!

阿武隈「ふふっ、どうしたの五月雨ちゃん」

五月雨「えへへ、えっとですねー」ぎゅーっ

阿武隈「なになに?」

五月雨「なんでもないですーっ」頭ぐりぐり

阿武隈「そっか、なんでもないんですね。でも五月雨ちゃんに甘えられるのは理由無くても大歓迎ですっ」ぎゅー


春雨「五月雨ばかりずるいですっ! 春雨もお姉様に甘えたいですっ!」

阿武隈「えへへ、春雨ちゃんも甘えん坊さんですねえ」

白露「まったく二人とも甘えん坊さんなんだから。時雨ー? 時雨も甘えたかったら白露お姉ちゃんに甘えても良いんだよ?」

白露「さあ、お姉ちゃんの胸に飛び込んでおいで?」

時雨「阿武隈、僕も良いかい?」

白露「時雨ーっ!? お姉ちゃんが手を広げて待ってるのにひどくなーい!?」

阿武隈「時雨ちゃんは照れ屋さんですから」

時雨「……別にそんなことないよ」

白露「もー! こうなったら白露も混ぜてもらうんだからねー! てりゃー! 白露の抱きつき攻撃ーっ!」

阿武隈「きゃあっ!? 白露ちゃん、急に飛び付いたら危ないじゃない」

白露「えへへー、ごめんごめん」

提督「あはは、阿武隈がすっかり囲まれちゃったなあ」


夕立「ぽいぽいぽーい! 夕立を仲間外れにして、みんなで楽しいことしてる気配がしたっぽい!」バンッ!

村雨「ずっるーい! 放置プレイは趣味じゃないんだってばー!」バンッ!

時雨「やあ夕立に村雨。阿武隈は既に僕達が占領済みだよ」

阿武隈「あたしを拠点扱いしないでください」

春雨「そうです、お姉様を拠点扱いするなんてヒドイですっ」

五月雨「えっ、でも阿武隈さんがいないと駆逐艦の子達の元気がなくなっちゃうからって、響ちゃんが言ってました!」

五月雨「ですから阿武隈さんが拠点として扱うのは合ってるんじゃ……」

阿武隈「響ちゃんは適当なこと言っているだけですから、本気にしちゃダメです」

若葉「そんなことはないぞ」ひょこ

春雨「きゃっ、若葉さん!?」

白露「どこから出てきたの!?」

若葉「阿武隈さんから放出される阿武隈エネルギーが不足すると、駆逐艦の元気がなくなる現象が現に報告されている」

五月雨「や、やっぱり……!」

若葉「この現象は、某朝潮型10番艦のK(仮名)において特に強く観測できたぞ」

時雨「朝潮型10番艦のK……いったいなにすみなんだ……!」

村雨「かすなんとかさん……まったく検討も付かないわ……!」

五月雨(ツッコンじゃいけないのかな……いけないんだろうなあ……)


霞「はっ!?」

朝潮「どうしました霞」

霞「今、霞のイメージが著しく損なわれるような会話がどこかでされた気がしたわ!」

朝潮「そうですか? 私には全く分かりませんでしたが」


夕立「でも提督さんなら空いているっぽい!」

村雨「おおっ、ナイスアイデアー」

提督「こらこら、阿武隈が空くのを待ちなさい」

村雨「んー? 提督ってば恥ずかしがっちゃってこのこのー」

白露「なになにー? 提督、白露に抱きついて欲しいのー?」

時雨「もう、提督ってば……」テレテレ

提督「あまりからかうんじゃない」

阿武隈「そうですよ、あまり提督をからかっちゃダメですからね」

白露シスターズ「「「はーい」」」

若葉「まったく、阿武隈さんの周りには常に駆逐艦が多いな。近くでのんびり光合成もできないぞ」

春雨「お姉様をナチュナルに太陽光扱いしないでくださいっ!」

白露「そもそも若葉、光合成するの……?」

若葉「若葉だ。鎮守府の空気を良くするぞ」

白露「完全に植物!?」


『電と翔鶴』

電「阿武隈さん、ここの部分が良く分からないのです」

阿武隈「どれどれ、ここかあ。ここはね……」

電「あっ、そういうことだったのです! 良く分かったのです!」

提督「阿武隈は教え方が上手だな」

阿武隈「えへへ、あたしも以前、分からなくて苦労したところでしたから」

電「そうだったのです?」

阿武隈「でも、電ちゃんの方があたしより理解早いかも。電ちゃんすごいですっ!」

電「はわわ、そんなことないのです!」

翔鶴「あら、提督。阿武隈さんに、電さんも。お勉強ですか?」

電「なのです! 阿武隈さんにお勉強教えてもらったのです!」

翔鶴「ふふっ。良かったですね、電さん」

阿武隈「電ちゃんは頑張り屋さんですから、あたしもつい張り切っちゃいます!」

翔鶴「すごいですね、電さん」

電「電は阿武隈さんみたいな、立派な水雷戦隊旗艦さんになるのです!」


提督「そっか。電ならきっとなれるさ」ナデナデ

電「はわわ! 司令官に頭をなでられちゃったのです!」

阿武隈「えへへ、電ちゃんえらいえらい」ナデナデ

電「阿武隈さんからも褒められたのです! 嬉しいのです!」

翔鶴「電さんなら、きっと一番素敵な水雷戦隊旗艦さんになれると思いますよ」

電「あっ」

阿武隈「あっ」

提督「あっ」

翔鶴「……はい?」

提督「来るぞ……いっちばーんに敏感な一番艦が」

翔鶴「ま、まさか……」

ドタドタドタ――ガチャ!

春雨「待ってください! いっちばーんになるのは春雨です!」

電「って春雨ちゃんなのです!?」

提督「なにぃ!? 白露はどうした!?」


白露「ちょーっと待った! いっちばーんの水雷戦隊旗艦になるのは白露なんだから!」

翔鶴「きゃっ!? し、白露さん!?」

電「白露ちゃんなのです! フェイント仕掛けてくるなんてすごいのです!」

春雨「さすが白露姉さんですね……!」

阿武隈「別に白露ちゃんはフェイントのつもりなかったんじゃないかなあ……」

白露「あー! 電、阿武隈さんに頭なでてもらってるーっ! 白露もしてーっ!」ぴょん!

阿武隈「わぷっ!?」

白露「えへへーっ、揚陸完了! 阿武隈さんの膝枕ー」

阿武隈「もー、仕方ないですねえ」ナデナデ

電「むー! 白露ちゃんずるいのですーっ!」

春雨「むー! 白露姉さんずるいです!」

島風「むー! 白露ちゃんずっるーい!」

提督「島風、いつの間に……」

島風「気づかなかった? そうよね、島風は速いもん!」

春雨「お姉様、春雨も膝枕してください!」

島風「島風もー!」

阿武隈「ほーら、ケンカしないの。順番にしてあげるからね」

翔鶴「ふふっ、阿武隈さんは人気者ですね」


――数日後

翔鶴「阿武隈さん、お疲れ様です」

阿武隈「あ、翔鶴さん! お疲れ様ですっ!」

翔鶴「あの……阿武隈さん、お願いがあるんですけど」

阿武隈「お願いですか? あたしに出来ることでしたら」

翔鶴「えっと……その……」

阿武隈「どうかしましたか?」

翔鶴「あの……私も膝枕してください!」

阿武隈「膝枕……ですか?」

翔鶴「え、えっと……迷惑ですよね?」

阿武隈「そんなことないですよ。はい、どうぞ」

翔鶴「良いんですか?」

阿武隈「もちろんです! 翔鶴さんにはいつもお世話になってますから、これくらいお安い御用です!」

翔鶴「いえ、普段からお世話になってるのは私の方で」

阿武隈「いえいえ、あたしの方が翔鶴さんにはお世話になってますから!」

翔鶴「そんなことありません! 阿武隈さんには私だけじゃなく、空母の皆さんがどれだけお世話になっているか……」

阿武隈「それだったら、あたし達みんな、翔鶴さん達にはとってもお世話になってます!」


翔鶴「それは……くすっ」

阿武隈「ふふっ、あたし達なにやっているんでしょうね」

翔鶴「本当ですね、でも楽しいですよ」

阿武隈「あたしもです……はい、どうぞ」ポンポン

翔鶴「それでは……失礼しますね」

翔鶴「……ふふっ、なんだかとっても落ち着きます」

阿武隈「そうですか? それなら嬉しいです」なでなで

翔鶴「……」

阿武隈「あっ、すみません。つい頭をなでてしまいました」

翔鶴「いえ、構いませんよ。ちょっとびっくりしましたけど、心地良いです」

阿武隈「いつも駆逐艦の子達にやっているから、つい」

翔鶴「良いお姉さんですね。阿武隈さんが慕われるのも分かります」

阿武隈「なんだか照れくさいです」


阿武隈「翔鶴さんも、瑞鶴さんの良いお姉さんですよね」

翔鶴「そうかしら……そう言ってもらえると嬉しいけど」

翔鶴「私は艦歴がそんなに長くないし、阿武隈さんみたいに上手く瑞鶴のお姉さんできているか、ちょっと不安です」

阿武隈「そんなことないですよ。瑞鶴さんが翔鶴さんを慕っていることは、誰か見たって分かります」

阿武隈「だから、もっと自信を持ってください」

翔鶴「そうね……ありがとう、阿武隈さん」

阿武隈「えへへ、どういたしまして」


翔鶴「……すー」

電「阿武隈さん――あ、翔鶴さんが阿武隈さんの膝でお昼寝しているのです」

阿武隈「ふふっ、電ちゃん静かにしてあげてくださいね」

電「分かったのです。翔鶴さんぐっすりなのです」

阿武隈「瑞鶴さんのお姉さんとしても、機動部隊の中核としてもいつも頑張ってますからね。たまにはゆっくりさせてあげないと」

電「なのです」

電「それにしても、阿武隈さんはやっぱり凄いのです」

阿武隈「すごい? あたしがですか?」

電「駆逐艦の子達はもちろん、翔鶴さんにもこんなに頼られているのです」

阿武隈「うーん、別にたいしたことじゃないけどなあ。でも、電ちゃん達がいつもあたしを助けてくれるから、あたしもしっかり出来るんですよ」

阿武隈「ありがとうね、電ちゃん」

電「はわわ、褒められちゃったのです」


提督「阿武隈、ここに……うん?」

瑞鶴「阿武隈ー、翔鶴姉見なかった――あれ?」

翔鶴「……すー」

瑞鶴「翔鶴姉……?」

翔鶴「ん……お母様」

阿武隈「ふふっ。なーに、翔鶴さん」

瑞鶴「……翔鶴姉、完全に安心してぐっすりね」

阿武隈「ですねえ」

提督「翔鶴も普段大変だからね」

電「瑞鶴さんも膝枕して欲しいのです?」

瑞鶴「え? いや私は別に」

電「電の膝が空いているのです。阿武隈さんの代わりに電が瑞鶴さんを膝枕してあげるのです」ぽんぽん

瑞鶴「いや膝を叩かれても。さすがにサイズ的にきついわよ?」


電「電も阿武隈さんみたいに頼られたいのです!」

瑞鶴「いや頼って欲しい部分がずれてるから」

霞「しょうがないわね! 電がダメなら霞が阿武隈さんの替わりに膝枕してあげるわ!」

瑞鶴「どっから出てきた!?」

白露「電や霞に負けないよ! 白露がいっちばーんに頼られるんだから!」

暁「むー! 暁だって阿武隈さんみたいに頼られるレディーなんだからね!」

時雨「ここは譲れない」

初霜「私も力になります!」

五月雨「五月雨も頑張っちゃいます!」

夕立「なんだかよく分からないけど、夕立もお手伝いするっぽーい!」

提督「いつものことだが、本当にどっから出てくるのかな君達は」

春雨「阿武隈姉さんの周りには、駆逐艦が最低十人はいると思ってください!」

瑞鶴「怖いわ!? あとさりげに阿武隈を自分の姉にしてるし!?」

阿武隈「もう、翔鶴さんが起きちゃうから静かにしないとダメですっ」

駆逐艦達「ごめんなさい」

神通「ごめんなさい」

瑞鶴「なんで駆逐艦の子達に混ざってるの神通」

これで終わりです。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。

乙です、善き哉善き哉
久々にあなたのSSが読めて嬉しい
どうかご自愛ください

おっつおつ
こういうとことん平和な鎮守府もいいものだ

お疲れ様でした。

>21さん
乙ありがとうございます。
温かい言葉、とても嬉しいです
>>21さんも体に気をつけてくださいね

>>22さん
乙ありがとうございます。
こういう鎮守府の話は私自身もっと読みたいです。

>>23-25さん
乙ありがとうございます。

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