風太郎「四葉と最後の夏休み」 (221)


==注意書き==

このスレは五等分の花嫁の安価スレです

主人公の風太郎が恋愛シュミレーションゲーム風に姉妹を攻略していきます

一応メインヒロインは四葉に設定しています

エロ要素は安価で指定がない限りありません

ただし胸くそ悪いBADENDがあるのでR18にしました

NTR要素が満載なので優しい世界でなければ満足できない人はブラウザバック推奨でお願いします

最新話までの話題を含むのでその点も要注意です


風太郎(最近四葉の様子がおかしい)

風太郎(3年生の1学期の期末試験を無事赤点回避して夏休みだと大はしゃぎしていそうなもんだが)

風太郎(最近のあいつはいつも遠い目をしていた)

風太郎(進路のことで思いつめているのだろうか)

風太郎(俺も他人にかまっている余裕はないが)

風太郎(他人の幸せばかり願って自分を大事にしない四葉の悪い癖がまた悪い方向へ向かっているのではないかと心配で)

風太郎(ふと気がつくとあいつの方ばかりみていた)


==終業式の後 夏休み直前==

風太郎(夏休みの予定だの予備校の夏期講習だので教室は大騒ぎだ)

風太郎(二乃に海に誘われたり三玖に山に誘われたり相変わらず人生で三度しかないと言われる俺の最初のモテ期は続いている)

風太郎(だがこれまで恋愛経験もなく円滑な人間関係の構築を放棄していた俺は彼女たちの好意に答える方法がわからない)

風太郎(勉強で忙しいともっともらしい理由を付けて誘いを断った)

風太郎(あの修学旅行から一花と話す機会はめっきり減った。教室の中央で一花はクラスメイトの女子達と楽しそうになにかを話している)

風太郎(全部嘘の意味はわからない。俺はあれから一花に話しかけられずにいる)


風太郎(そんな夏休み前の気の抜けた教室から足早に抜け出して家に帰ろうとした時)

風太郎(久しぶりに四葉に声をかけられた)

四葉「上杉さん大事な話がありますっ。これから二人きりで屋上で話せますか?」

風太郎(四葉の表情はいつになく真剣だった)

風太郎(俺は頷き、四葉と共に教室を出て屋上へ向かった)

風太郎(そんな俺達の方をじっと見つめる五月が横目に入った。五月は何かを言いたげに憮然とした顔をしている)


風太郎(女の子に屋上に呼び出されるのは陶晴賢事件以来だ)

風太郎(あの時はまさか三玖に告白されると舞い上がって不覚を晒したが)

風太郎(今回はそうはいかない。なんて言ったって相手はあの四葉だ。)

風太郎(四葉が俺のことを好きって事はないだろう。以前学級長の仕事の時に確認したのだからな)

風太郎(俺たちが付き合うなどありえない。ということは四葉が俺のことを好きってこともありえないのか?)

風太郎(いや、本当にそうだとしたらショックだ。四葉からはそれなりに好かれていると信じたい)

風太郎(もちろん友達としての好意で他意はない。四葉には何度も助けられてきたのだから俺も四葉の事は好きだ)


風太郎(それでも屋上で女子と二人きり。いくら鈍感な俺でも意識してしまう。四葉から告白される可能性は0%じゃないんじゃないか?)

風太郎(もしかしたら50%くらいあるかも。先日購入し、早速通読した高校生のための恋愛ガイドにもこのシチュエーションは想定されていたな)

風太郎(屋上での告白。ベタだ。ベタすぎる。だがそれがいい。と筆者らは解説していたが)

風太郎「で、話ってなんだ?」

風太郎(俺は限りなくクールに尋ねた。しかし、声が1オクターブくらい上ずってしまった。うーん我ながら恥ずかしい)

四葉「驚かないで聞いてくださいよ、上杉さん。実は」

風太郎「実は?」



風太郎(四葉はそこで言い淀んだ。告白の確率が一気に50%から90%くらいまで上がったかもしれない)

風太郎(色々な想いが逡巡する。二乃への告白や、三玖の隠しきれない好意や、一花の全部嘘発言がフラッシュバックした)

風太郎(もちろん俺も四葉のことが嫌いなわけじゃない。だが四葉が俺の中で特別かと言われると)

風太郎(答えはまだ見つかっていない。選ばないといけない時がいずれ来るとしても)

風太郎(少し馬鹿っぽい、否、本物の馬鹿の馬鹿の四葉だが、誰かを思いやれて元気いっぱいの彼女の魅力はその欠点を補ってあまりあると俺は思う)

風太郎(それに高校生のための恋愛ガイドブックにも書いてあったじゃないか。付き合う女は少し馬鹿なくらいがちょうど良いと)


四葉「どうしたんですか?上杉さん、顔がにやけてますけど」

風太郎「ごほん、なんでもない。話を続けてくれ」

風太郎(ええい、舞い上がるな自意識過剰な上杉風太郎よ。いくらモテ期とはいえ、この上まさか四葉からも告白されては大変だ)

四葉「では続けます。実はですね」

四葉「先日、私、同級生の男の子に告白されたんです」

風太郎「……は?」

四葉「どうですか?驚きました?驚いたでしょう!」エッヘン

風太郎(そう言って四葉は得意げに胸を突き出した)

風太郎「……」

四葉「あれ?反応薄いですね?」

風太郎「あ、いや。薄かったか……」

風太郎(おめでとうって言うべきだったのか?それとももっと驚きのリアクションを取るべきだったか。クソッ。ガイドブックにこのパターンは載ってなかったぞ!)


四葉「えへへー、これで私も上杉さんと同じステージに登ったわけです。恋愛戦争において告白された回数は勲章ですよ!勲章!これでもう一花にもお子様扱いされなくてすみますっ!」

風太郎「うーん、そういうものなのかね」

四葉「そういうものですよ」

風太郎「で、話ってそれだけ?」

四葉「少しは興味ないんですか。私が誰に告白されたか」

風太郎(まあ四葉は顔もいいしスタイルもいいからな。運動神経も抜群、誰にも隔てなく明るく接する元気な女の子だ)

風太郎(俺以外に四葉の魅力に気付くやつがいてもおかしくはない、か)

風太郎(しかし、夏だな……)

風太郎(屋上にカンカンと真夏の太陽が照りつけている。人間も蝉と同じで暑くなると発情期にでも入るのだろうか)


風太郎「じゃあ一応聞くけど。相手は?」

四葉「よくぞ聞いてくれました!私が昔、女子バスケットボール部のお手伝いをしていた事はご存知ですね?」

四葉「そこで仲良くなった子経由で、男子バスケットボール部の部長さんが私の連絡先を知りたいという話からはじまりまして」

風太郎「それって3年生?俺達のクラスにいる?」

四葉「いいえ、隣のクラスです。でも女子の間では結構有名人らしいですよ。なんでもわが校のイケメン四天王の一人だとか」

風太郎「イケメン四天王!そんなギャグみたいな連中がいるのか」

四葉「名前は槍杉珍太郎君というのですが。名前に少しだけ親しみを覚えて、連絡をとってみることにしたんです」

四葉「で、先日、告白された、という訳です。どうですか?驚いたでしょ?」


風太郎(色々経過がすっ飛ばされているが。その槍杉とかいうイケメンが四葉の何に惹かれ、四葉とどんな会話をしたのか)

風太郎(とても気になる。気になるが、聞いたら負けな気がする。俺の中の何かが溢れてしまいそうだ)

風太郎「あ、ああ。驚いたよ。驚いた。で、夏休みは青春するわけか。そんなんで勉強は大丈夫なのか?」

風太郎「高校3年生の夏といえば、今後の人生が決まると言っても過言ではないほど大事な時期だ」

風太郎「まさに人生における関が原の戦いと言っても過言ではないだろう」

風太郎「そんな勝負の時期に、色恋沙汰に現を抜かして後の人生を棒に振るった奴を俺はたくさん知っているからな」

風太郎「俺は四葉がそうならないことを願うよ」

四葉「……」


風太郎(クソッ。少しいい方が嫌味っぽかったか?だが、まさか四葉に告白する男が現れるなんて)

風太郎(なんかもやっとするな。もちろん、四葉は俺の女ってわけでもないし、特別狙ってたってわけでもないんだが)

風太郎(四葉に彼氏か……)

四葉「あのー、少し勘違いされてますね、上杉さん。実はお付き合いを始めたわけはなくてですね」

風太郎「!!!」

四葉「お返事は、少し待ってもらうことにしたんです。で、今日これからお返事に行こうと思っていたんですが」

風太郎(それで思い悩んでいたのか、こいつ)

四葉「ずっと迷っていたんですけど、最後に上杉さんに相談してからにしようと思いまして」

四葉「上杉さん、私、告白、受けてもいいですか?」


風太郎(正直、告白される方が問題は簡単だったかもしれない)

風太郎(二乃の時みたいにとりあえず先延ばしも出来るからな)

風太郎(だがこの問題は俺と四葉だけの話じゃないわけで)

風太郎(四葉に告白してきた男のことはよくわからない)

風太郎(だが話から察するに多分悪いやつじゃないんだろう。四葉の魅力に俺の他に気がつくとは人を見る目はあるみたいだしな)

風太郎(イケメンでスポーツマン、四葉にはお似合いかもしれん)

風太郎(四葉だって今どきの女子高生だ。彼氏の一人くらい欲しいだろう)

風太郎(さっきは嫌味たっぷりに恋愛をディスったが、誰かを好きになって付き合うということを俺は以前ほど馬鹿には出来ない)

風太郎(だが四葉に彼氏か)

風太郎(俺の中で色々な感情が錯綜した。長い沈黙の間、四葉は真剣に俺の目を見続けていた)

風太郎(俺の答えは……)

↓1 四葉の質問になんて答えますか?

風太郎「告白受けてもいいぞ」

四葉「!」

風太郎「そもそも俺が決めることでもないだろう。正直俺はその槍杉某という男のことは知らん」

風太郎「お前がその男を見て、考え、付き合うに値すると思うなら」

風太郎「俺がお前の恋路に横槍を入れる権利も義理もない」

風太郎「俺に言える事は何もないんだ」

四葉「そうですよねっ、上杉さんには関係のない話でしたっ!」

四葉「変なこと聞いてすみませんでした」

風太郎(そう言って四葉は深々と頭を下げた)

四葉「聞いてくれてありがとうございます、上杉さん。私、精一杯、恋を楽しみますから」

風太郎「……」

四葉「上杉さんも早く彼女作ってくださいよっ、しししっ」

風太郎(頭を上げると四葉はとびっきりの笑顔で俺をからかい、そして背を向けた)

四葉「それじゃあこれから彼に告白のお返事してきますっ。さよなら、上杉さん」


風太郎(これで良かったんだ。俺は何も間違った事は言っていない)

風太郎(四葉の中で、俺は家庭教師。多分、勉強する上で問題ないか一応確認をとったんだろう)

風太郎(だがこの胸のもやもやはなんだろうか)

風太郎(恋愛において四葉に先を越された悔しさだろうか)

風太郎(それとも娘を嫁に出す父親の気持ちだろうか)

風太郎(いや、ひょっとして)

風太郎(それはない。100%ない。俺は四葉の事は……)


風太郎(夏休み最初の夜。この一件のせいで俺は夜、一睡も出来なかった)

風太郎(四葉がそのイケメンな男とお付き合いして、一夏を過ごすという事実を)

風太郎(想像するだけで胸が締め付けられる)

風太郎(あの時俺はどう答えるべきだったのか)

風太郎(俺は自分の気持に整理を付けられぬまま、高校生活最後の夏休みを迎えた)


続く


風太郎(駄目だ。夏休みだと言うのに勉強が手につかん)

風太郎(今年の夏休みは家庭教師の仕事も休んでひたすら自分の勉強に没頭すると決めていたのに)

風太郎(四葉のことが気になって俺はノイローゼ気味だった)

らいは「お兄ちゃん」

風太郎(槍杉珍太郎。一体どんな男なんだ。本当にお前は四葉に相応しいのか?)

らいは「おにいちゃーん」

風太郎(四葉は告白の返事を受けると言っていたがまだ付き合うと決まった訳じゃないよな)

風太郎(だが四葉のあの反応は告白を断るという感じでもなかったような)

らいは「……」

風太郎(もし付き合ったとしたら。今頃二人でどっかデートでも行ってるのかな)

風太郎(まさか今頃ペアルック選びとかか。それとも公園で一緒にブランコ漕いでたり……)

風太郎(駄目だ、想像しただけで最悪な気分になる。でも俺は別に四葉の特別な存在ってわけでもない)

風太郎(四葉がそれで幸せなら。一人の友だちとして祝福するべきじゃあないのか、上杉風太郎よ)

らいは「お・に・い・ちゃ・ん!聞こえてる!?」

風太郎「らいは。お前は彼氏とかいないよな?中学生になって告白とかされてないか?今どきの中学生は進んでるというからお兄ちゃん心配だぞ」

らいは「もーっ、人の心配より自分の心配しなよ。夏休み初日から目つきすごい悪いよ。そんなんじゃ五つ子さんに嫌われちゃうよ」


らいは「そうそう、お兄ちゃん。自分の携帯見てる?」

風太郎「あ?」

らいは「五月さんから電話。お兄ちゃんに何度も電話したのに繋がらないからって私にかけて来たんだよ」

風太郎「!」

らいは『五月さんごめんねっ。お兄ちゃん朝からずっと机に向かって上の空なの。今代わるから』

五月『上杉君ですか?五月です。今お時間よろしいでしょうか?例の件のことで話が』

風太郎『!なんだ?』

五月『貴方にはこれで伝わると思いますが… これより先は電話ではちょっと。今から駅前のファミレスに来れますか?』

風太郎(十中八九 四葉の件だ)

五月『あなたが彼女のことを……少しでも気にかけているのなら待ってます』ピッ

風太郎(それだけ言うと五月は一方的に電話を切った)

風太郎「らいは、今日の夕御飯はいらないから」

らいは「うん。いってらっしゃい」

風太郎「ああ、行ってくる」


五月「デミグラスハンバーグ定食、LLサイズ1つ」

風太郎「焼肉定食焼き肉抜きとかできますか?あ、無理ですか。すみません、じゃあライス小を1つ」

風太郎(ファミレスに呼び出されはしたものの、四葉の一件でとても食欲は湧いてこない)

五月「さて、それじゃあご飯を待ちながら話をしましょうか」

五月「上杉君。どうして私があなたを呼び出したのかは当然わかっていますよね?」

風太郎「ああ」

五月「そうです。私は彼女の姉妹として。家族として。あなたに確認しないといけないことがあります」

風太郎「……」

五月「どうしてあなたは終業式の日四葉を振ったのですか?」

風太郎「……は?」


五月「私見ましたよ。あの日、屋上へ行く二人を」

五月「そして屋上から一人降りてきたのはこの世の終わりのような顔をした四葉」

五月「これはもう、四葉の告白をあなたが振ったとしか思えません」

五月「理由を聞かせてください。納得のいく理由を!ことと次第によっちゃあタダじゃおきませんよ」

風太郎(そう言って五月は凄んできた)

風太郎「まて、五月。お前何か勘違いしているぞ」

風太郎「あの日、俺は四葉を振ったという事実はない。というか、そもそも告白された訳じゃない」

五月「?」

風太郎「あの時俺が四葉から聞かされたのは、あいつが他のクラスの男子から告白されたって話だけだ」

五月「ええっ!?」


風太郎「なんだお前、姉妹なのに知らないのかよ。なんでも四葉はわが校のイケメン四天王の一人から愛の告白をされたらしいぞ」

五月「イケメン四天王??」

風太郎「四葉に告白したその男の名は槍杉珍太郎。男子バスケ部部長でわが校の四本の指に入るイケメンらしい」

五月「そんなイケメンが四葉に告白!?で、四葉はなんと?」

風太郎「告白は受ける、と」

五月「ちょっと待ってください。四葉がそんなことを……信じられません」

風太郎「だが事実だ。あの時四葉はそう言っていた」

風太郎(五月は混乱しているようだ)

五月「で、その槍杉某というのはどんな人なんですか?」

風太郎「さあ?お前知らないのか。女子の間では有名人らしいぞ」

五月「……」

風太郎(そういえばこいつがクラスの女子と話している姿みたことないな)

風太郎「その、まあ有名人とはいえ俺も知らなかったから。案外大したことはないのかもしれんな、イケメン四天王という連中も」



……

五月「うん、このデミグラスハンバーグ。ファミレスなのにジューシー、悪くないですね」モグモグ

五月「で、上杉君はそれでいいんですか?」

風太郎(五月は熱々のハンバーグを頬張りながら問うた)

風太郎「なぜ俺にそれを聞く。四葉も、五月も」

五月「それは……ううっ、こればかりは四葉の許可がないと言えませんが……

とにかくっ!上杉君は本当にそれでいいんですね?

四葉が、そのどこの馬の骨ともわからない男の人とお付き合いすることになっても!」

風太郎(昨日から一睡もせずその問と格闘していたのに、五月にそれを聞かれた時、俺は言い淀んでしまった)

風太郎(ここでそんなの許せない!と言ったら、じゃあなんで?となるだろう)

風太郎(俺は四葉のなんなんだ?それで四葉の恋路を邪魔して俺は四葉をどうしたいんだ)


風太郎「五月はどう思う?四葉が、そのイケメンと付き合う事」

五月「私は納得できません」

風太郎「じゃあどうする?邪魔でもするか?お前案外嫌な女なんだな。

四葉がイケメンとお付き合いする、別に何も悪いことじゃない。

お前だって付き合うならイケメンがいいだろ?ほら、二乃もそんな事言ってたし」

五月「上杉君、それ本気で言ってるんですか?」

風太郎「……」

風太郎(俺も気持ちは五月と同じだ。心の何処かで納得出来てはいないのだ)


風太郎(それから俺たちは黙々と飯を食った)

風太郎(なぜだろう。四葉の幸せを俺たちは素直に祝えないでいた)

風太郎(でも、俺よりも四葉のことを良く知っている五月が納得できないのなら)

風太郎(この四葉の恋はどこか幸せじゃない。そんな気さえしてくる)

五月「ごちそうさまでした。さて、上杉君。最後に聞きますよ」

五月「もし上杉君が望むなら、私は四葉を説得してみようと思います。そんな見てくれだけで中身のない男を選ばないように、と」

五月「これは母の教えでもありますから。男の人は慎重に選ばなければなりません」

五月「ですが、上杉君が望まないのであれば。私はもう何もいいません」

五月「どうします?」

風太郎「……」

↓1 五月に説得を頼みますか?



風太郎「余計な事はやめろ、五月」

五月「!」

風太郎「四葉が自分で選んだんだ。俺たちに出来ることは何もねーよ」


風太郎(もし五月に説得を頼み、それが上手くいった時俺はどうしたらいいんだ)

風太郎(高校生のカップルなんてどうせ別れるに決まっている)

風太郎(だがそういう経験を繰り返していつかは共に人生を歩むことになる特別な人を見つけるのだ)

風太郎(そんな四葉の第一歩を、俺達のなんとなく納得出来ないという理由で妨害して何の意味がある?)

風太郎(これから先、四葉に彼氏が出来るたびに俺と五月で妨害し続けるのか?)

風太郎(やめよう。そんなの虚しいだけだ)

五月「見損ないましたよ上杉君」

風太郎「はっ。邪魔したいならお前が勝手に邪魔すればいい。俺はそれで四葉の恨みは買いたくないからな」

五月「さよなら!」バンッ

風太郎(五月は机を思いっきり叩いて、ファミレスから出ていった)

風太郎「あの、ここの会計は……」


風太郎(財布が寂しくなるのも悲しかったが、五月とのやり取りの後俺の心にぽっかりと穴が空いて)

風太郎(この穴はもう塞がらないような気がして、とてつもない恐怖が俺を襲った)

続く


風太郎(五月の提案を拒否して俺は四葉の一件からは完全に手を引こうと思っていた)

風太郎(あいつが幸せであればそれでいい)

風太郎(そう心に決めたはずなのに)

風太郎(勉強するために机に向かっても四葉のことが気になって仕方がなかった)

風太郎(大丈夫だろうか。もしかして悪い男に引っかかってるんじゃないだろうか)

風太郎(俺は無性に四葉の彼氏のことが気になって)

風太郎(もし四葉の彼氏がイケメンな上に人格者で、非の打ち所のない奴なら俺も満足して勉強に集中できると思って)

風太郎『今時間いいか?教えて欲しいことがあるんだ』

前田『あ?何だコラ 学年1位の優等生が俺に教わることなんてあるのかコラ』

風太郎(修学旅行を経て連絡先をゲットした数少ないクラスメイトにまさか電話で教えを請うことになるとはな)


風太郎『もちろん勉強の事じゃない。お前、この学校のイケメン四天王を知ってるか?』

前田『イケメン四天王……?なんだ?そいつらは喧嘩が強いのか?知らねーぞコラ』

風太郎(イケメン四天王……意外と知名度ないじゃあないか!)

風太郎『この学校のスクールカーストの最上位に位置する4人の男達のことだ。その一人、槍杉珍太郎という男のことを知りたい』

前田『槍杉…?ああ知ってるぞ』

風太郎『!』

前田『なんだ上杉、お前あいつと喧嘩する気か?正気かコラ』

前田『奴は強えぇぞ。バスケ部だけあってタッパはあるし体もゴツい。オメーには勝てねぇぞコラ』

風太郎『前田よ、その槍杉という男はどんな奴だ?いいヤツなのか?悪いやつなのか?教えてくれ』


前田『そんなの知らねえぞコラ。でもよ、確かあれは2年生の夏頃だったかな』

前田『俺がいち……中野さんに一途に恋してた頃、確かその槍杉ってクソヤローを喧嘩でボコった事はあるぜ』

前田『あいつが俺の前で、"巨乳の五つ子と犯りてー、一花と犯りてー"とか囀ったからよォ』

前田『ソッコー〆た。二度といち……中野さんを侮辱する気すら湧かないようにボコって詫び入れさせたぞコラ』

前田『俺ぁ、その槍杉みたいなチャラチャラした男が嫌いでよォ』

前田『漢は純愛してナンボだろコラ。お前なら分かるだろぉ』

前田『それはそうとテメー、中野さん幸せにしねーとぶっ飛ばすぞコラ』



風太郎(前田の情報ではその槍杉珍太郎という男は)

風太郎(年柄年中、女と犯りたい、女と犯ることしか考えていない猿みたいな奴らしい)

風太郎(チャラチャラして顔とノリだけで女を食い物にして欲望を満たすだけの最悪の屑)

風太郎(俺は前田との電話を終えた後、トイレに行って、腹の中のものをすべて吐き出した)

風太郎(なぜ俺は、あの時、四葉に告白を受けろなんて言ってしまったのか)

風太郎(なぜあの時、俺は五月に四葉の説得を頼まなかったのか)

風太郎「あぁぁ~~」

風太郎(俺はこの時、便器の前で情けない声を上げて髪をかきむしり、唇を噛んだ)


風太郎(まだ間に合うか……?)

風太郎(まだ夏休みが始まって2日目だ。四葉が槍杉という男の毒牙にかかっていないかも知れない。まだ間に合うかもしれない)

風太郎(俺は携帯電話を取り出した)

風太郎(今からでも電話するべきだろうか。あの時と状況が変わったのだ)

風太郎(四葉の相手は、彼女を幸せにする意志もない屑だ。それがわかったのに、みすみす四葉を食い物にさせるわけにはいかない)

風太郎(でも、もし四葉がすでにその男のものになっていたら。その時俺は……)

風太郎(予感がある。俺は多分、発狂してしまう)

風太郎(そのリスクを犯してでも、今からでも四葉に電話をするべきだろうか)

↓1 四葉に電話をかけてみますか?


風太郎「いいや、駄目だ。電話をかけるぜ」

風太郎(俺は震える手で四葉の番号を選び、通話ボタンに指をかけた)

風太郎(だが、体が固まって動かない)

風太郎(早くしなければ。四葉の身に危険が近づいている)

風太郎(一刻も早く、俺は四葉に槍杉珍太郎という男の本性を伝えなければならない)

風太郎(そして、あの時の発言を撤回するのだ)

風太郎(槍杉との縁を切るよう、四葉を説得しなければ!)



風太郎「……」

風太郎(時間だけが虚しく過ぎていく)

風太郎(1時間以上俺は携帯の画面に四葉の番号を出したまま固まっていた)

風太郎(どうやって四葉を説得するか。必死に頭の中でシュミレーションしながら)

風太郎(その実、勇気を必死に振り絞っていた)

風太郎(もし四葉が俺の説得に応じず)


四葉「私は珍太郎君が好き。上杉さんは邪魔しないでください。関係ないですよね」

珍太郎「俺の女に手ぇ出すんじゃねえよガリ勉君。四葉の体はもう俺のものなンだわ」

四葉「あんっ……上杉さんが見てます、ここではやめてくださいっ♡」


風太郎(なんてことになっちまったら……)


風太郎(それが怖くて俺は電話をかけることが出来なかった)

風太郎(俺は恐怖に屈した)

風太郎(家庭教師になりたての頃、彼女のおかげで俺は徐々に五つ子達に認められるようになった)

風太郎(四葉に助けられ、四葉に救われて、俺は凡人になれたのに)

風太郎(この土壇場で俺は四葉を救えないのか……)


風太郎(俺はこの時精神的に槍杉珍太郎という男に負けていたのだ)

風太郎(四葉を奪い取れず負けてしまうという恐怖に屈していたのだ)

風太郎(俺は諦めて携帯電話を閉じ、勉強もやめて眠りにつこうした、そんな時だった)

携帯電話「ピコンピコン」

風太郎「四葉か!?」

風太郎(携帯電話が光り、俺は慌てて画面を開いた)

『中野 二乃』

風太郎「二乃か…」

風太郎(二乃は知ってるのかな、この事)

風太郎(そうだ、姉妹の中では1番社交的で、友達も多い二乃なら、槍杉珍太郎が最悪の屑だということを知っていてもおかしくはない)

風太郎(そして1番姉妹思いの二乃なら!二乃なら、なんとかしてくれるかもしれない!)



風太郎『もしもし』

二乃『!あ、やっと出たわね!昨日も電話したのに、携帯ちゃんと見てる?』

風太郎『すまない。今のっぴきならない事態になっててだな、携帯チェックどころじゃあなかったんだ』

二乃『何よ、どうせ勉強してたんでしょ』

風太郎『で、突然夜に電話して何の用だ』

二乃『用がなきゃ電話しちゃ駄目なの?』

風太郎『普通は用事が無いと電話しないだろ。通信料金だって馬鹿にならん』

二乃『私からかけてるんだからフー君はタダよ』

風太郎『それは助かるが』


二乃『だからお話しましょ!面白い話があるのよっ。ウチの料理当番は昔は五等分だったんだけど今は全部私になってるの』

二乃『なんでだかわかる?』

二乃『一花はいっつも出前で済まそうとするし、五月はご飯の量が全部自分基準で食べきれないくらい作るし、四葉はフィーリングで分量めちゃめちゃだし』

二乃『それでもまあ五月や四葉の料理は食べられない味じゃないわけ』

二乃『で、問題は三玖!あの子、いつもドクロマークが浮かぶような、まさに魔界の料理を作るのよ』

二乃『それで私達みんな三玖の当番の日は憂鬱で、結局、三玖のプライド傷つけないように、1番料理上手の私が全部作るってことにしてたんだけど』

二乃『そんな三玖がまた料理当番やりたいって言って、私と五月は反対したわ。でも一花と四葉が三玖の料理でも食べるって言って』

二乃『昨日、久しぶりに三玖がみんなの料理作ったんだけどね、相変わらず色合いが変で、シチューなのに紫色していたんだけど』

二乃『これが案外食べれる味なのよ。よくわからない隠し味が大量に入ってたけど、極めて際どいバランスの上に成り立った奇跡の一皿って感じで、変な味してるのに意外と最後まで食べれる」

二乃『ジャイアンシチューならぬ三玖シチュー、三玖は今度フー君に食べさせると張り切ってたわ』

二乃『で、今後は料理当番も5日に1回は三玖がすることになったわけ。あの未知の味のシチューはなかなか刺激的だったわ』

二乃『もしかしたら将来三玖、料理の道に進もうとしているんじゃないかしら。フー君はどう思う?』

風太郎(俺は適当に相槌を打ち二乃の話を聞きながら四葉の話をするタイミングと内容を伺っていた。)

風太郎(しかし二乃の奴、よくこんな意味のない話をべらべら喋るな。夜にわざわざ電話して話すような内容じゃないだろ…)

二乃『そうだ、今度の三玖の料理当番の日にウチに夕食食べに来なさいよ!妹ちゃんも一緒に!』


風太郎『いや、それは遠慮しておく』

風太郎(今、四葉に会いたくないから……)

二乃『何よ、三玖の料理の腕が信用できない訳~?』

風太郎『そうじゃなくてだな。そもそも三玖の料理の腕を最初に認めたのは俺だぞ』

二乃『それは失礼しました』

風太郎『まあ、確かに三玖の奴、最近料理頑張ってるよな』

二乃『フー君、料理上手な子がタイプなんでしょ?』

風太郎『あの時の適当な俺の好みのタイプの話、まだ信じてるわけか』

二乃『嘘なの!?あの子、それ信じて頑張ってる節あるわよ』

風太郎『嘘というか、あれはらいはのことだから』

二乃『でも結局フー君は妹ちゃんみたいな子が好きなんでしょ?このシスコン!』

風太郎『シ、シスコンちゃうわ!』

二乃『じゃあ何よ、あんたの本当の好みの女の子のタイプ教えてよ』

風太郎(俺の好みか……)

↓1 なんて答えますか?

風太郎『二乃みたいな子かな』

二乃『……』

風太郎『……』

風太郎(おいおい、いきなり黙ったぞこいつ)

風太郎(もしかして俺、やっちゃいました?)

風太郎(やべえ、急に恥ずかしくなってきた。これって、二乃に勘違いさせてしまうんじゃないか)

風太郎(二乃に告白されて、大分時間が経ったから忘れてたけど)

風太郎(二乃って俺のこと好きなんだよな)

風太郎(だが、今、二乃と付き合うというのは……)

風太郎(四葉の事も解決していないのに。というか、二乃に四葉のこと相談しないと!)

風太郎『すまん、忘れてくれ。今の失言だ。それより大事な話が』

二乃『フー君。私も大事な話あるんだけど』


二乃『夏休みの前、私が海誘ったの覚えている?』

風太郎『ああ。だが3年生の夏休みだ。勉強も忙しいし』

風太郎(とはいえ、今の俺の精神状態じゃ勉強が全く手につかない)

風太郎(早く四葉の問題解決しないと、俺の快適な夏休みの勉強ライフが台無しだ)

二乃『受験勉強がフー君にとって大事なのは理解できる。でも私、どうしても今年は海行きたいわ』

風太郎『なら姉妹で行けば』

二乃『駄目なのよ。高校最後の夏、姉妹とじゃなくて私自身の思い出が欲しい』

二乃『こんなの多分、フー君と出会う前の私だったら考えなかったと思う』

二乃『好きな男の子と海行くってのが、私の目標』

二乃『それでフー君と二人っきりで行きたかったのよ』

風太郎(二乃はこういうことをはっきり言う。それでも多分、電話の向こうで顔を真赤にしているんだろう)

風太郎(俺も同じだ。二乃に真っ直ぐな好意を向けられて気恥ずかしくて素直に答えられない)


二乃『それでフー君に断られた後、私、2年生時のクラスメイトだった男の子に海に誘われたの』

風太郎『!!!』

二乃『最初はもちろん断ったわよ。フー君に告白してるんだから、そんなの相手の男の子にも悪いじゃない』

二乃『でも何度も何度もしつこく誘われて。少し迷ってる』

風太郎(二乃のその言葉にドキッとした)

風太郎『どんな男だ!まさか槍杉珍太郎じゃあないだろうな!?』

二乃『槍杉君?あんなの私のタイプじゃないわ。誘われても絶対パス。生理的に無理』

風太郎「ほっ」

二乃『相手の男の子は、池杉麺太郎君。名前くらいはフー君も聞いた事あるかしら?』

風太郎『いけすぎ…めんたろう?まさか、イケメン四天王の一人…』

二乃『やっぱり有名よね。そうよ。わが校のイケメン序列第一位の彼に、まさか私が誘われるなんて、思ってもいなかった』


風太郎『その池杉って奴は俺よりもイケメンなのか?』

二乃『フー君、自意識過剰よ。渋谷の女子高生100人に聞いたら100人が池杉君の方がイケメンって言うわ』

風太郎(そんな絶対的にイケメンなやつがわが校にいたのか!)

二乃『私も、正直、見た目だけなら池杉君の方が上だと思う』

風太郎『!』

二乃『勘違いしないで。もちろんフー君は私のタイプなの。カッコいいと思ってるわ。でも、池杉君みたいな超絶イケメンに言い寄られて、揺れない女の子なんていない』

二乃『で、海の話なんだけど。私、池杉君のお誘い受けようか迷ってるのよ』


二乃『好きな男の子と一杯夏の思い出つくりたい。それが私の目標だし、いつまでも待ってられないの。この夏は最後なんだから』

風太郎(イケメンと水着姿の二乃が海ではしゃぐ光景が目に浮かんだ)

風太郎(二乃は面食いを公言して憚らない。そんな彼女にとってイケメンな彼と過ごす一夏をきっとかけがえのない思い出になるだろう)

風太郎(学生カップルなんて99%が結局別れることになる。そんな事みんな分っているんだ)

風太郎(それでも、若い時に後悔のないように青春に全力投球する生き方は俺には眩しく見えた)

風太郎(俺が告白の返事をせず、いつまでも二乃を待たせ、それで結局最後に振ることになったら?)

風太郎(二乃にとって、一生の思い出になるはずの女子高生の最後の夏を棒に振らせてしまうことになるだろう)

風太郎(いい加減、待ちきれないということか、二乃も。でも、俺も彼女のことを真剣に思うなら、俺はもう選ばなければならないということだ)

二乃『フー君。あなたが私と一緒に海に行ってくれないなら。私、彼と海行ってもいい?』


風太郎(あの時、告白の返事を二乃は受け取らなかった)

風太郎(俺はそれに甘えて、二乃との関係を曖昧なままにしていたんだ)

風太郎(だが、今、二乃が暗に求めているのは、あの時受け取らなかった返事だ)

風太郎(断るのは簡単だ。でも、その場合、二乃はイケメンな同級生と夏を過ごすことになる)

風太郎(俺はそれを許せるか?)

風太郎(その池杉某という男の本性はわからない。頭を過ぎったのは四葉の一件だった)

風太郎(しっかり者の二乃だから、四葉のように悪い男にひっかかる事はないと信じたいが)

風太郎(二乃だって四葉と同じ恋愛初心者だ。おそらく恋愛というフィールドでは百戦錬磨であろうイケメン四天王に騙されている可能性は否定できない)

風太郎(どうする?俺は二乃を……どうしたいんだ?)


↓1 二乃の質問になんて答えますか?


風太郎『ごめん俺は二乃と海にはいけない』

二乃『!』

風太郎(四葉の件が解決していない状態で、二乃と楽しく海で過ごせるか?)

風太郎(過ごせるわけない。そんなの二乃にも失礼だ)

風太郎(それに、二乃も卑怯だ。イケメンに言い寄られて、乗り換えられるタイミングであの時俺がしようとした受け取らなかった告白の返事を今求めるなんて)

風太郎(流石に筋が通っていないだろ)

風太郎『池杉くんとお幸せに』

風太郎(だから俺はその時嫌味の一つを言ってやったんだ)


二乃『……そう…』

風太郎『……』

二乃『はっきり言ってくれてありがとう』

風太郎「!」

風太郎(二乃は涙声に俺はドキッとした)

二乃『それじゃあ電話、切るわね。さよなら、フー…タロー…』

風太郎(それで電話が切れた)

風太郎(これで一つすっきりした。二乃との曖昧な関係もこれで綺麗さっぱりだ)

風太郎(だが俺は全く清々しい気分にはなれなかった)

風太郎(二乃との色々な思い出が頭の中でごちゃまぜに錯綜し、俺はまた眠れぬ夜を過ごすことになった)


続く

四葉「んっ あっ」

四葉「あっ あっ あっ」

珍太郎「ふぅーふぅー」パンパン

四葉「あっ あっ ああっ くっ」

珍太郎「四葉、ここ引っかかるの好きだろ」パンパン

四葉「違っ あっ あんっ あんっ」

珍太郎「ふーぅ、ふぅー!」パンパン

四葉「あっ あっ ああんっ」

珍太郎「イクぞ!四葉!フォー!!」ズパンズパン

四葉「んっ!イクッイクッ」ビクンビクン

珍太郎「うっ」 ドピュドピュッ

四葉「はぁーっ、はーっ……」

珍太郎「あー、四葉のエロい体サイコー。何回でもするぞ、セックス」ギンギン

四葉「あっ ちょっと休ませてください……ああぁ……」



風太郎「うわぁぁぁぁ!!!」

風太郎「はぁ、はぁ……夢、か……」

らいは「ムニャムニャ……お兄ちゃん、どーしたの?」

風太郎「な、なんでもない。すまない」

風太郎(久しぶりに寝たら酷い悪夢だ。四葉のあんな姿想像してしまうなんて)

風太郎(しかも相手は……)ドクンドクン

風太郎(心臓が激しく脈を打っている。おぞましい夢を見た)

風太郎(四葉が男と寝ている夢だ。お子様の四葉に限ってそんな事は無いと思うが)

風太郎(お付き合いしたら二人はもうデートくらいしただろうか)

風太郎(手くらいつないだかも知れない。ペアルックを選んだかもしれない。四葉のおすすめのお店や公園で楽しく遊んだかもしれない)

風太郎(そしてキス……も)

風太郎(俺は唇に手を当てた。鐘の下でのキスの感触を生々しく思い出した)


風太郎(それから俺は布団の中でうずくまりながら、必死に彼女のことを忘れようとしていた)

風太郎(だが、四葉と彼の関係が気になって、まともに眠れなかった)

らいは「お兄ちゃん!?聞いている?」

風太郎「あ、ああ」

風太郎(夏休みの昼下がり、俺はただ無為に机に向かっていた)

風太郎(寝不足で頭が回らず、朝から勉強しているにもかかわらず、問題集が2ページしか進んでいない)

らいは「おつかい。頼まれてくれない?」

風太郎「いや今勉強で忙しい」

らいは「もーっ、そんな目の下に隈作ってまで勉強しなくてもいいじゃん。働かざるもの食うべからず!おつかい行ってきて!」


風太郎(結局らいはの使いっ走りで俺は外に出た)

風太郎(学校とバイトがないと一日中家の中だ。まあ中学校、高校とずっとこうして過ごしてきたから慣れっこだが)

風太郎(せっかく勉強できると意気込んでいたのに全く集中できない事に腹が立つ)

風太郎(四葉が誰と、どうなろうと俺の知ったことではない)

風太郎(そう言い聞かせるたび、夢の中で、知らない男に抱かれる四葉の姿を思い出し、腹がムカムカするのだ)

男「愛しているよ、ハニー」

女「私も愛している、ダーリン」

風太郎(街ゆくカップルにさえ殺意が湧く)

風太郎「理解不能だ」

風太郎「!」

三玖「フータロー…」

風太郎「三玖か!お前とはこの辺りでよく会うな」

三玖「ぐ、偶然だね…」

風太郎(買い物に行く道中、俺は三玖とばったり出くわした)


三玖「フータロー、大丈夫?顔色悪いけど……ちゃんとご飯食べてる?もしかしてお金ないんじゃ」

風太郎「金はお前らへの家庭教師のバイトで貯めたから、この夏は大丈夫そうだ」

風太郎「勉強がちょっと忙しくてな」

風太郎「3年生の夏は勝負の時期だろ。勉強、根つめてやらないと」

三玖「勉強も大事だけど健康も大事…」

風太郎「そういえば三玖はこの辺りのスーパーよく来るのか?」

三玖「うん。ここ、家から遠いけど新鮮な魚売ってるから。次は魚料理に挑戦しようと思って」

風太郎「頑張ってるんだな、お前は」

三玖「こんどフータローにとびっきりスタミナ付く夏料理作ってあげる」

風太郎「サンキュ」


風太郎(澄ました顔でスーパーで食材を選ぶ三玖を見て俺は不安になった。ひょっとしてこいつも、四葉や二乃のように男作ろうとしているんじゃ)

風太郎(三玖は俺のことを)

風太郎(好き、だと思う)

風太郎(いや確信が持てない。流石に嫌いってことは無いと思うが)

風太郎(異性を好きになる、付き合うという事を俺はまだよく分からなかった)

風太郎(前田が昔言っていた気がする。なぜ付き合いたいのかと言うと、とどのつまり相手を独占したいからだと)

風太郎(俺は四葉を……独占したかったのだろうか。そして三玖は……俺を独占したいのだろうか?)

三玖「な、なに!?フータロー、ジロジロ見て……は、恥ずかしいよ……」モジモジ

風太郎「わ、悪い」

風太郎(三玖に指摘されて慌てて俺は目をそらした)


三玖「あ、またライン……」ポチポチ

風太郎(買い物の最中、やけに三玖はスマホをいじっていた)

三玖「ぷっ……ぷぷぷ……」ポチポチ

風太郎(なんか面白いことでもあったのだろうか)チラチラ

三玖「?」

風太郎「どうしたんだ?五月がなんか面白いことでもやらかしたか?」

三玖「ううん。前のクラスの人から。フータローも写真見る?」

風太郎(そう言って三玖は俺にスマホを見せてきた)


風太郎(写真には一人の男が写っていた。赤い甲冑を着て付け髭をした男が格好を付けたポーズで武将の銅像の隣に立っている)

風太郎(髭に兜でわかりにくいが中々男前だ)

三玖「信玄公のコスプレ……似合ってなさすぎ……ぷくく」

風太郎「おい、三玖、誰だこいつ」

三玖「前のクラスで一緒だった武杉将太郎君。実家が山梨で帰省してるんだって」

風太郎「……」

風太郎「お前武将好きなの秘密だろ?」

三玖「いつの間にか広まってた。でも、意外と同級生にも戦国武将好きが多いみたい……そんな少数派じゃないって最近自信持てたんだ」

三玖「3年生の中でも戦国武将クラスタってのが出来てて色々盛り上がってる。武杉君もその一人」

三玖「私が信玄公が好きって言ったら実家が山梨だからって、色々ゆかりの地の写メ送ってくれている」


風太郎(それで最近俺の前であまり武将トークしないのか……話相手が出来たから)

風太郎(三玖もこいつはこいつなりにコミュニティー持ってるんだな……)

風太郎(しかし、その武杉将太郎って。三玖にさっきからラインしすぎじゃないか?)

三玖「……(無表情でスマホポチポチ)」

風太郎(三玖のやつもまんざらじゃないって感じだし)

風太郎(なぜかわからんがムカムカする)

三玖「?」

風太郎「あー、三玖。お前、そいつのことが好きなのか?」

三玖「えっ!?えええぇ~~!?す、好き……という訳じゃ……私が好きなのは……」チラッ

風太郎「じゃあ嫌いなのか?」

三玖「嫌いじゃない!信玄公を好きな人に悪い人はいない!」

風太郎「そうか?それにその武杉とかいう奴、本当に武田信玄のことを好きなのか疑問だぜ」

風太郎(チャラそうな顔して、お前が本当に好きなのは武田信玄じゃなくて三玖なんだろ?ああん?)


三玖「そういうフータローこそ信玄公の事知ってるの?」

風太郎「ま、多少はね?(だが戦国武将に関して勉強したのは三玖に出会った頃が最後か…)」

三玖「じゃあ久しぶりに問題ね」

三玖「信玄公の終生のライバルが上杉謙信というのは有名な話で、二人は第1次から第5次まで川中島の戦いを10年以上かけて死闘を繰り広げるわけだけど」

三玖「その戦いの中で信玄公の伝説的軍師として後世に語り継がれている、啄木鳥戦法を考案した軍師は誰?」

風太郎(久しぶりにめっちゃ喋った!)

三玖「5択問題」

三玖「A 山本五十六 B 山本十兵衛 C 山本勘助 D 山本太郎 E 山本浩二」

風太郎(5択問題……これを間違えたら、三玖の信頼を失いかねん)

風太郎(頼む、正解は……これだ!)

↓1 A~E どれにしますか?



風太郎「答えはA」

三玖「ファイナルアンサー?」

風太郎「ファイナルアンサー」

三玖「っ……」

風太郎(あれ?間違った?)

三玖「そっか」

三玖「フータローってやっぱり勉強は出来るけど、テストに出ない問題は知らないんだね」

風太郎(しまったっ!間違えたかっ……!というか、山本五十六は連合艦隊司令長官だろ!なんで間違えたんだ、俺!)

風太郎(駄目だ。四葉の件で寝不足で……こんな簡単な問題さえ間違えるくらい、頭回ってないんだ)

三玖「フータローの事は尊敬している。もちろん、こんな簡単な問題を間違えたからって、今まで教わった事の感謝は揺らがないけど」

三玖「なんか、ちょっとさみしい、かな」

風太郎「三玖…」

三玖「私が戦国武将のことが好きって知って、必死にフータローは昔勉強してくれたよね」

三玖「私は何よりそれが嬉しかった。五人の中で1番の落ちこぼれの私に勉強を教えてくれようと、必死に手を差し伸べてくれたフータローの温かい気持ちが、嬉しかった」

三玖「私はフータローの好きなことを一杯知りたかったし、フータローには私の好きなこと一杯知ってほしかったのに」

三玖「バイバイ、フータロー」

安価の取り方変えたら?下3くらいまで取ったほうがええんやないか?


風太郎(逃げるように走り出した三玖を追いかける体力は、今の俺にはなかった)

風太郎(夏休みに入ってから俺の運勢は最悪だ)

風太郎(四葉の一件から何かボタンを掛け違えてしまったように、何もかもが上手くいかなくて)

風太郎(少しずつだが、あいつらとの心の距離が開いていくようで)

風太郎「くそっ……どうしてこうなるんだよっ……」

風太郎(俺はふと、ケータイを開いた)

風太郎(勉強にかまけて、開いていないメールボックスには、姉妹からメールがたくさん来ていた)

風太郎(その中には、三玖からのメールもあった)

風太郎(そういや、三玖の奴、同級生の男子と楽しそうにメールしていたな)

風太郎(多分、その男は三玖のことが好きなんだろう。好きだからマメに連絡を取るし、気を引こうと三玖の好きな武田信玄の話題を必死に振る)

風太郎(今の三玖にその男に対する恋愛感情があるとはあまり思わないけど)

風太郎(多分、このままだといつか三玖の心も動いてしまう。そんな予感がする)

風太郎(俺は、三玖とこの夏になるまで何も連絡をしていなかった)

風太郎(俺のことを好きなんだろう、思ってはいたけど、俺自身が三玖とどう向き合えばいいのか分からず、こっちからは何もアプローチをしていなかった)

風太郎(その間に武杉将太郎とかいう馬の骨は三玖にコツコツ接触して、三玖の好きな武将をきっかけに連絡を取り合う仲にまでなったんだ)

風太郎(それはきっと、四葉や二乃に対しても言えるだろう)

風太郎(そうやって、俺は何もせず、その間に彼女たちは……)


風太郎(このままじゃまずい)

風太郎(俺も変わらないと。このままでは夏休み明けたら家庭教師の仕事クビになってる最悪のBADENDまであるぞ)

風太郎(そして四葉のことも心配だ)

風太郎(二乃だって、三玖だって、俺の大事な生徒だ。どこの馬の骨ともわからねー奴らに好きにされて気持ちがいいわけがない)

風太郎(彼女たちと向き合わないと。もっと真剣に、まだ家庭教師になりたてで認められていなかったあの頃のように…!)

風太郎(ここはこれ以上俺への好感度が下がらないよう、必死にアプローチしていくしかないな)

風太郎(さて、まずは誰に連絡を取る?)

↓1-3 ※コンマが最も高い相手に連絡を取ります

続く

>>103の意見を参考に安価の取る方法を変えてみました。以後、問題がなければこの方式でいこうと思います

風太郎(こんな時頼れるのはやっぱりあいつだよな)

風太郎(四葉を見捨ててしまったことや、五月と喧嘩してしまったことや)

風太郎(二乃を泣かせてしまった事や三玖の信頼を失ったことや)

風太郎(これらの様々な問題に関して、まず解決するには俺には味方が必要だ)

風太郎(まずは一花に連絡しよう)

風太郎(でも一花とは)

風太郎(修学旅行の時、俺は彼女を冷たくあしらった。彼女を信じられないと突き放した後)

風太郎(一花は俺にキスして、全部嘘と)

風太郎(あの言葉の意味を俺はまだわからない)

風太郎(彼女に連絡するのが、少しだけ怖かった)

風太郎(あれから一花は露骨に俺と距離を取っているし)

風太郎(俺の方からも一花には何もアプローチしていなかったから)

風太郎(意を決して電話をかけるのに1日の時間を要した)


風太郎『もしもし』

一花『もしもし。フータロー君?こんな時間にどーしたの?というか珍しい!電話なんて初めてじゃない?』

風太郎(結局、電話は夜遅くになってしまったが)

風太郎『今、時間ちょっといいか?』

一花『うん、いいよ~でもさっきまで仕事してて声眠いけどごめんねっ』

風太郎『仕事こんな遅くまでやってるのか?』

一花『今の監督、リテイク多いんだよ。もー、大変』

風太郎『今どんな映画とってるんだ?』

一花『企業秘密♡封切りは来年の今頃かなーっ、スクリーンでのお姉さんの勇姿を乞うご期待!』

風太郎『ああ楽しみにしてるぞ』

一花『?今日のフータロー君、なんか変だぞっ。キミ、そんな無駄話するキャラじゃないでしょ?』

風太郎『無駄話、しちゃ駄目か?』

一花『だ、駄目じゃないけど。はははーん、ひょっとしてずっと一人で家に引きこもって勉強してたら寂しくなってお姉さんに電話してきたんだな?』

風太郎『……』

一花『あははっ、なんだか調子狂うね。どうしたのフータロー君。なんかあった?』

風太郎(さて、一花に何の話題を振ろう……)

↓1-3 最大コンマ採用

① 三玖に変装した意図を問いただす
② 二乃のことを相談する
③ 三玖のことを相談する
④ 四葉のことを相談する
⑤ 五月のことを相談する
⑥ 自由


風太郎『実はお前に聞きたかったことがあるんだ』

風太郎『あれは確かお前の映画がクラスで話題になった日の放課後だったな』

風太郎『俺はあの時、図書館に行く前に三玖に呼び止められた』

風太郎『その三玖が言っていたことを俺は覚えている』

風太郎『お前も覚えているよな』

一花『フータロー君、それはもう……済んだ話だよね』

風太郎『あれも嘘なのか?』

一花『!』

風太郎『あの時の三玖が、言っていた言葉は嘘なのか?』

一花『……』

風太郎『それになぜ京都で、三玖の姿をしたんだ?』

風太郎『そしてあの時。お前は俺に、昔会ったことがあると言ったな。6年前、京都で……俺の人生を決定づけたあの日、俺を孤独から救ってくれたのはお前なのか?』

風太郎『俺と昔会ったことがあるってのも嘘なのか?』


風太郎(電話の向こうで、一花が長いこと沈黙していた)

風太郎(尋問するような言い方になってしまったかもしれない)

風太郎(だが、これだけはずっと聞きたかったんだ)

風太郎(お前が全部嘘と言ったのは俺達の出会い、そしてこれまでの関係すべてをお前は嘘にしたかったのか?)

一花『あんまり女の子をいじめないでよ……』

風太郎『あ、いや、悪いっ。そんなつもりじゃ』

風太郎(電話の向こうで一花が鼻をすする音がした。もしかして泣いてるんじゃないだろうか…)

一花『嘘じゃないよって言ったらどうする?』

一花『あの時の"三玖"が言ってた事は本当だとしたら、フータロー君はどうするの?』



風太郎(あの時の三玖……一花が俺のことを好きだと言っていた。つまり、それは一花が俺のことを好きなのは嘘じゃなければ)

風太郎『……』

一花『……』

風太郎(息が詰まるほど長い沈黙だった)

風太郎(俺は一花の事は……)

風太郎(6年前のあの日。俺を救ってくれたあの子が一花だとはどうしても思えないのだ。だから俺は一花のことを今でも信じられずにいる)

風太郎(しかし、一花は俺のことを好きというのはおそらく嘘じゃあない)

風太郎(この時、俺の脳裏には四葉、そして二乃、三玖、五月の顔がよぎった)

風太郎(まだ俺は一花の想いに答えるには……)




一花『ほんと、意地悪だよ……こんなタイミングで、電話してくるなんて』

一花『もうキミの事さっぱり忘れようと思っていたのに』

風太郎『……』

一花『実はね、私、いい加減彼氏作っちゃおうと思ってたんだ』

風太郎『!』

一花『ほら?私って結構モテモテじゃん。自分で言うのもあれだけど、クラスの男子からは結構告られたり、よく話しかけられたりするし』

風太郎(そういや前田の野郎も一花に告ってたな)

一花『それで明日、事務所の友達に誘われた合コンに行こうと思ってたんだ。今まではこういう話、全部断ってたんだけど』

風太郎『!!!』

一花『相手は大学生のモデルの男の子達。そこで大人なカッコいい人でも見つけようかなって』

一花『女優なのに恋愛経験ないってちょっち恥ずいし』

一花『それで色々覚悟決めてたのに、その前日にフータロー君から電話だなんて』

一花『揺らいじゃうよ、あはは』


風太郎(一花なら相手は選り取り見取りだろう)

風太郎(イケメンの大学生とお付き合いしている姿が簡単に想像できてしまう)

風太郎(その時、俺の胸にこみ上げてくるものがあった)

風太郎(もう二度と、通学路で俺の隣を歩いてからかってくる一花はいなくなる)

一花『じゃあそろそろ切るね。明日も早いし。キミも勉強忙しいでしょ?』

風太郎『ちょ、待て!一花!』

一花『何?』

風太郎『お前は……それでいいのか?』

一花『それをキミが聞くんだ。相変わらずデリカシーないなぁ』

一花『どこかで区切り付けないと。私は、姉妹を傷つけたんだし……隣にいる資格なんてない』

一花『一緒に過ごすことだって、もう……いつかは離れ離れになる。私達姉妹ですらいつまでも一緒にはいられないよ』

風太郎『……』

一花『はぁー、でも心のどこかで納得は出来ていないんだよね。うん、こういうのはスッキリさせないと』

風太郎『!』

一花『私、明日合コン行ってもいいよね?』

風太郎(俺は一花を……どうしたいんだ…?)

↓1-3 なんて答えますか? ※コンマが最も高いものを採用 そして続きはまた後日書きます。



風太郎(駄目だ。俺の本心は一花に合コンなんぞに行って欲しくない)

風太郎(一花は俺の大事な教え子だ。一花と一緒に過ごした1年近くの楽しかった日々が終わるのは受け入れられない)

風太郎(俺はずっと内心嬉しかったんだ。一花みたいな美人に慕われて、一緒に登校する時優越感すら覚えていた)

風太郎(一花が合コンでチャラチャラした男に食い物にされるのは腸が煮えたぎる思いだ)

風太郎(だからこの時俺は素直になれた)

風太郎合コンにはいかないでくれ』

一花『!でも、約束しちゃったし…』

風太郎『一花のことが好きだ』

一花『えっ…』

風太郎『俺は一花のことが好きだから、合コンにはいかないで欲しい』



一花『あ、いや……お姉さん、びっくりだ』

風太郎(四葉や二乃にはこれが言えなくて、悩む羽目になった。もうあんな胸が締め付けられる思いはしたくない)

風太郎(一花は俺のことが好きなはず。あの時の"三玖"が教えてくれた)

風太郎(だから俺はこれで一花の暴走を止められると思っていた)

一花『ごめん、フータロー君。少し考えさせて』ピッ

風太郎『あ、一花、待て』

風太郎(一花は返事をせず電話を切った)

風太郎(……早まったか?勢いで告白するしかなかったが)

風太郎(俺は確かに一花の事は好きだ。それに嘘偽りはない。しかし一花が5人の中で特別かと言うと正直なところまだ分からなかった)


風太郎(一花は俺のことが好きなはずだ。あの時の”三玖"が教えてくれた)

風太郎(だから、多分告白もOKだと思って……しかしまさか返事ももらえないなんて)

風太郎(丸一日俺はケータイの前で一花の返事を待った)

風太郎(次の日の夜になっても一花から連絡がない)

風太郎(まさか、合コンに行ってるんじゃないだろうな)

風太郎(せめて合コンに行くか行かないかくらいは教えてくれてもいいだろ!?)

風太郎(やきもきする……これで振られたらどうするんだよ、俺……どんな顔して夏休み明けに一花と会えばいいんだ)

風太郎(ああ、告白なんてするんじゃなかった!)

風太郎(……これが二乃の気持ち、なのかな……告白がこんなに怖いなんて知らなかった。勇気がいる行為と三玖が言っていたのも分かるぜ)

風太郎(そう考えると二乃も三玖もすごい奴らだ)



風太郎(一花の返事は気になる。だが、他の姉妹の問題も解決しないと夏休みだというのに勉強に手がつかない)

風太郎(どうしよう。こんな時こそ誰かと話したい)

風太郎(電話、してみるか……)

↓1-3  誰に連絡を取りますか?(コンマが最も高いものを採用)

風太郎(一花のことが気になる…合コンに行ったんだろうか)

風太郎(ええい、もう待てん!電話するぞ)

風太郎(こうして俺は電話を一花にかけた)

風太郎(耳元で電話の発信音が鳴る間、俺は気が気じゃなくて)

風太郎(何度も電話を切ろうか迷った。それくらい長いこと一花は電話に出なかったが)

一花『……』

風太郎『遅くにすまん。今電話大丈夫か?』

一花『うん』

風太郎『気になって電話したんだが。合コン、どうだった?』

一花『風邪引いたから、断ったよ。行く前に熱測ったら上がってたから』

風太郎『!』

風太郎『体大丈夫か!?病院行ったか!?お父さんに診てもらえ!』

一花『あはは、心配してくれるんだー…』

風太郎『まあ、一応、タチの悪い風邪もあるというしな』

一花『うん、ありがと……』


風太郎(とりあえず合コンには行かなかったみたいなので一安心だ…)

風太郎『……』

一花『……』

風太郎(しかし、気まずい。会話が続かん。俺、一花に告白しちゃったんだよな)

風太郎(話の流れとは言え)

風太郎(一花は俺の事、どう思ってるんだろう)

一花『フータロー君。昨日のことだけど』

一花『あの告白、本気なの?』

風太郎『ああ』

一花『そっか。なんか意外だったからびっくりしちゃった。案外男らしい一面もあるんだね』

風太郎『どういう意味だ…』

一花『なんかフータロー君、そういう欲なさそうだったし。女の子と付き合いたい!ってギラギラしてないもん』

風太郎『まあ学生時代の恋愛なんて、ほぼ100%別れるからな。高校生の頃からのカップルがそのままゴールインなんてメルヘンの世界だ

だから俺は今は勉強して、まずはらいはを不自由なく生活させられるような経済力を付けてから、恋愛をしようと思ってた』

一花『じゃあなんで告ったの?』

風太郎『正直わからん。俺もなんでか……気がついたら、お前の事好きになってたんだよ』

一花『うん…』


風太郎『で、返事は?』

一花『それ急ぎで知りたい?』

風太郎『ああ。まだるっこしい事は嫌いな性格だから』

一花『私も好きって言ったら、どうする?』

風太郎『あ……』

風太郎(どうするんだ?俺は一花と……恋人になるって事だろうが)

風太郎(四葉のこと……二乃や三玖のことが心配だ)

風太郎(だが、一花と付き合ったら……・あとは俺に出来ることは多分もう何もなくなる。あいつらも幸せにやってくれることを願うだけでいいのだろうか)

風太郎(いや。それくらいの覚悟を持たないと駄目だったんだ。なのに、俺は中途半端な覚悟で告白したのかもしれない)

風太郎『つ、つき……つき……つきあう、ってことになるだろ?』


風太郎(付き合うってどういうことだ?恋愛ガイドブックの定義では"二人の男女の仲睦まじい関係。近年では男-女に限らず男-男や女-女の組み合わせも社会的な認知を受けるようになってきている”と書かれていたが)

一花『うん。フータロー君は私とお付き合いしたいってことだよね?』

風太郎『ああ』

一花『ふー……なんか、涙出てきた』

風太郎『大丈夫か!風邪が悪くなっているんじゃ』

一花『大丈夫だよ。でも、返事する前にどうしても聞いておきたいことがあるの』

一花『私って結構面倒な性格で、お付き合いした後、フータロー君が別の女の子と楽しそうにしてたらきっと胸が痛くなっちゃうんだよね』

一花『だからすごい意地悪な事、先に聞いておきたいんだけど』

一花『フータロー君って私と三玖、どっちの方が好き?』

風太郎『!』

風太郎(一花と三玖。三玖の事は……三玖は俺の1番の生徒で……あいつが武杉将太郎とかいう謎の男にアプローチをされて、三玖がその男の話をするのを聞いた時)

風太郎(俺も胸が痛くなった。もしかして、一花と付き合った後、俺が他の女に好かれているような素振りを見せたら)

風太郎(一花が胸が痛くなる、というのもわからんでもない)

風太郎(だが、一花と三玖。どっちの方が好きかと言われても、俺は……)

↓ どちらがが好きと答えますか?
A 一花 B 三玖 C ふたりとも好き

先に3票得たほうを採用します

風太郎(三玖の事は気になる)

風太郎(しかし告白した手前、ここで三玖の方が好きと言うのは筋が通ってないな)

風太郎『一花、お前の方が好きだ』

一花『!』

一花『なら二乃は?』

風太郎(二乃は……今頃、池杉麺太郎とかいう奴と仲良くやってるんだろうか)

風太郎(あいつが水着でイケメン男子と海で恋のサマーバケーションを満喫しているのは)

風太郎(今でもどこか納得出来ないところはあるが)

一花『二乃に告白されていたよね?あれ、どうなったの?』

風太郎(結局、俺は二乃を振ったってことでいいのか…?)

風太郎(はっきりと振ったわけじゃないのかもしれないけど、他の男と海行っていいって答えて、二乃も了解していていたし)

風太郎(なんて答えるべきか)

↓ なんと答えますか?
A 二乃の事は振ったと答える
B まだ二乃の事は振っていないと答える

先に3票得たほうを採用します

風太郎(ここは振ったと答えた方がいいよな)

風太郎(実際、振ったという認識で間違いないだろうし)

風太郎『二乃の事はもう振ったぞ』

一花『嘘…』

風太郎『本当だ』

風太郎(一花に告白するのはその時別に想定していた訳じゃないが)

一花『なんか、もうお姉さん色々びっくりだよ』

一花『そっかー……もう、そこまで覚悟してくれてるんだね』

風太郎『なあ、もう質問は終わりでいいだろ?次は一花が答える番だ』

風太郎(これ以上は俺の胃も痛い。一花の事は好きだけど、別に他の姉妹と比べた訳じゃない)

風太郎(一花に告白したのは、四葉や二乃や三玖の一件があって、その上一花まで他の男に取られるのが耐えられなくなったからで)

一花『ごめんね。嫌な女だよね、私。姉妹と比べさせちゃうなんて』

一花『でもこれが本当に最後の質問だから。これ答えてくれたら、告白の返事します』

一花『四葉と私どっちの方が好き?』



風太郎『それは……』

風太郎(一花の方が好きっていうのが正解なんだろうが)

風太郎(この時、俺の頭をよぎったのは四葉の悲しそうな顔だった)

風太郎(そのせいで、俺は少し言い淀んでしまった)

一花『質問を言い換えるよ、フータロー君。6年前にキミの運命を変えた女の子と私のどっちが好き?』

風太郎『え?』

一花『ゆっくり考えていいよ。電話切るから。答えが見つかったらまた電話ちょうだい』

一花『……待ってるから』

風太郎(そう言って一花は電話を切った)

風太郎(6年前の京都。あの時、俺の人生を変えたのは……)

風太郎(四葉の事は俺の心に棘のように刺さっていた。これを解決しなければ、おそらく一花と付き合っても俺は救われないだろう)

風太郎(俺は彼女達のことを考えながら、眠れぬくらい熱い真夏の夜を過ごした)


続く

前ってどれ

珍太郎「ふーっ、どうだった?四葉ちゃん、俺とのセックス」

四葉「はぁ はぁ はぁ」

珍太郎「スポーツ万能でも男の体力には敵わないっしょ?四葉ちゃんまだ慣れてないし」

四葉「はーっ はーっ ……」

珍太郎「気持ちよかった?」

四葉「ううぅ……知りません……」

珍太郎「嘘ぉ。イクイク叫びながらヨガってたじゃん。俺のテクで昇天させてやったんだからありがとうございますだろ?」

四葉「……」

珍太郎「まだ分ってねえみたいだな。オラ、股開け。もう一発やるぞ」

四葉「も、もう止めてくださいっ」

珍太郎「上の口はなんか言ってるみたいだけど下の口は正直だぜ?ほら、白くて粘っこい本気汁出してヒクついてんぞぉ」ヌチャッ

四葉「!」ビクンッ


珍太郎「……そういや四葉ちゃんって俺以外に好きな男いる?」

四葉「い、いませんよ、そんな人」

珍太郎「嘘付くなや。一発ハメたら分かるんだよ、女のアソコの具合とか……愛液の感じで見分けるんだぜ。『愛液の味』を舐めれば確実に分かるぜ。フフフ……」レロッ

四葉「ひゃっ。き、汚いです」

珍太郎「嘘つきは泥棒の始まりですってお母さんに教わらなかったか?四葉ちゃん、この味は嘘を付いている味だぜ」レロレロ

四葉「あっ やっ 舐めないでっ」

珍太郎「まあいいや。この槍杉珍太郎は三度の飯より女とのセックスが好きだが……

中でも最も好きなのは、俺の事を何とも思ってない舐めたクソアマが最後には『珍太郎様のチンポなしでは生きてけません』っておまんこで認める瞬間なんだよ

さーて、夏休み、じっくり時間かけて分からせてやるか……覚悟しとけよ、四葉ちゃん」

四葉「あっ、あっ、ああぁ……助けて……」


風太郎「うわわぁぁぁぁ!!!」

風太郎「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

風太郎(また夢を見た。四葉がひどい目に合わされている夢だ)

らいは「大丈夫?さっきからずっとうなされてたよ?」

風太郎「すまん」

らいは「もー、夏休みなってからお兄ちゃん変!」

風太郎(らいはを心配させてるようじゃ兄失格だな…)

風太郎(しかし、欲求不満なんだろうか。夢に出てくるのはあられもない姿をした四葉の姿で……)

風太郎「トイレ行ってくる。先寝てろ」

らいは「はーい」

風太郎(あの夢の後、俺はいつもパンツを汚していた)

風太郎(本格的にヤバイかもしれん。四葉に催すなんて……)

風太郎(でも、もし俺も一花と付き合ったら……一花とあんなことやこんなことを……)

風太郎(駄目だ、駄目だ!欲望に身を任せたら勉強どころじゃなくなる。学生の本分を忘れるんじゃないぞ上杉風太郎!)


風太郎(それから俺は数日間、四葉の夢のうなされていた)

風太郎(夏真っ盛り。外では蝉がうるさく鳴いている)

風太郎(二乃は今頃、彼氏と海で遊んでいるんだろうか)

風太郎(三玖も男と山にでも行っているんだろうか)

風太郎(そして四葉は……駄目だ、想像するな)

風太郎(でも、まあそろそろキスくらいはしちまったかもなぁ)

風太郎(どうしよう。四葉の事、整理してから一花に連絡したいところだが)

風太郎(一花のことをあまり待たせるのも…)

風太郎(そろそろ動き出した方がいいかもしれん)

↓1-3 誰に連絡しますか? (最もコンマが高いのを採用)



一花『もしもし。連絡待ってた』

風太郎(俺はあの後、ずっと四葉に連絡をしようか迷っていた。しかし、四葉に連絡する事は出来なかった)

風太郎(四葉の心が、俺から離れてしまって、ただの知り合いの会話になってしまうのが)

風太郎(心のどこかで怖いのだ)

風太郎(だから、俺は一花に連絡を取った。いつまでも彼女を待たせるのは…)

一花『……電話くれたってことは、この前の答え、聞けるんだよね?』

風太郎(四葉と一花、どちらが好きか)

風太郎(同じ顔をした二人だけど、性格は全然違う。もちろん二人共、それぞれの良さがある)

風太郎(比べられるものじゃあない。でも、選ばないといけないんだ。今は、多分、選ぶ時だ)

風太郎『ああ。あの時の宿題を今答えるぞ』
 
風太郎『俺は……』

↓ どちらが好きと答えますか?
A 一花 B 四葉 C ふたりとも好き

先に3票得たほうを採用します


風太郎『一花の事が好きだ』

風太郎『四葉よりも、一花の方が好きだ』

一花『!』

風太郎『だから、お前だけは俺の側にいてくれ』

一花『わたしも……好きだよ』

風太郎『!』

一花『えへへ、言っちゃった。ずっと大好きだったの』

風太郎『嘘、じゃないだろうな』

一花『嘘じゃないもんっ。フータローの事考えると、ずっと胸が……苦しくなってたんだよ』

風太郎『一花、あのときは本当に悪かった。修学旅行の時、お前の事を信じられなくて、突き放してしまって』

一花『いいの。私もごめん。もう三玖のフリなんて二度としないから。中野一花として、フータロー君と一緒にいていいんだよね』

風太郎『ああ。望むところだ』


一花『浮気したらお姉さん許さないぞっ。でも大丈夫だよね。私だけを見てくれるってことでいいんだよね』

風太郎『一花と付き合ってたら他の女なんか眼中になくなるだろ。それくらいお前魅力的…というか、お前こそ俺なんかでいいのか?』

一花『うんっ。フータロー君は特別だよ。あんなロマンチックな思い出あるんだから。私にとってキミは王子様だ』

風太郎『よせ、照れる……』

風太郎(そんな感じでお互いがお互いをどんなに好きかをたっぷり1時間は語らった)

風太郎(電話を切ったあと、通話料は俺負担なことを思い出して、残念だったが)

風太郎(まさか、一花と付き合えるとはな)


らいは「お兄ちゃん、昨日まで唸ってたと思ったら今はなんか笑顔が気持ち悪い!励まそうと思って上杉家特製カレーを作ったのに」

風太郎「らいはよ、これはカレーに対する喜びだ」

らいは「で、誰と付き合うことにしたの?」

風太郎「っ!そ、そんなことは断じてない。学生の内から付き合うだの、男女交際だのは不純だと前々から言ってるだろ」

らいは「目が泳いでる!お母さん、とうとうお兄ちゃんに春が来ました」

風太郎「……///」

らいは「照れるな照れるなお兄ちゃん。で、誰を選んだの?ひょっとして四葉さんだったりする!?だとしたら私も合法的に四葉さんの妹に……」

風太郎「あ、いや……四葉じゃ……ない」

らいは「あっ」

風太郎「……」

らいは「きょ、今日はお父さん遅いなー いつも仕事大変だよねー」

風太郎「ああ。今日のカレー、少し辛いな」モグモグ


風太郎(らいはの奴もマセてきたな。あいつももう中学生だ……変な虫がつかないか心配だぜ)

風太郎(でもらいはは四葉に懐いてたよな。いや、四葉がらいはに懐いてたとも言うべきか…)

風太郎(四葉か五月なららいはとも上手くやってけそうだけど。一花は大丈夫か?)

風太郎(なんか距離あるからな……俺としてはらいはと仲良くやってくれる嫁が1番いいんだが)

風太郎(って気が早いわ。別に結婚前提に付き合うって年でもねーだろ、俺達)

一花「やっほー、お待たせ」

風太郎「よ、よぉ」

一花「待った?」

風太郎「いや、今きたとこ」

一花「ん~、デートに遅刻しない、フータロー君、まずは一花ポイント1ゲット!」

風太郎「なんだよ、そのポイントは」

一花「えへへ、たくさん貯めるといいことあるぞっ、フータロー君♪」

風太郎(付き合って初めての一花とのデート。駅前で待ち合わせして、街をぶらぶら歩くことにしたけど)

風太郎(やっぱ一花可愛いわ。変装用の眼鏡かけてるけど、服装もお洒落だな……通り過ぎる男が2人に1人は振り向くぞ。女優オーラが隠し切れてないな)

風太郎(こんな可愛い彼女ゲットしたんだ、俺もそれに相応しいふるまいをしなければ)


一花「フータロー君、緊張してる?さっきから表情怖いよ」

風太郎「そうか?」

一花「結構見られてるね、私達。高校生カップルって珍しいのかなぁ」

風太郎「そりゃお前のせいだ。女優の隣に歩いているのがモブみたいな奴ならこれはラブ・ロマンスじゃなくてB級コメディだ」

一花「なら今日はフータロー君改造計画だ!一緒にお店回って色々お洒落を学ぼー!お姉さんの見立てではフータロー君は二枚目のポテンシャル十分あるよ」

風太郎(こうして俺は一花に連れ回され、着せ替え人形のように色々な服を着せられたりした)

風太郎「一花、も、もういいだろ……服着すぎ。疲れた……」

一花「えーっ、まだあっちのV系の服試着してないよ」

風太郎「もう十分だ……ただの布が俺の1日のケーキ屋のバイト代と同じかそれ以上ってどういうこっちゃ」

一花「ブーブー。お洒落にはお金かけなきゃ」


風太郎(俺はまだ一花と付き合っていることに実感が持てずにいた)

風太郎(デートの最中も特にドキドキすることはなく、友達同士のノリのままという感じ)

風太郎(だとしたら俺達が付き合う意味はなんなんだろうか)

風太郎(前田の野郎は、相手を独占したいからとかなんとか言っていたな)

風太郎(確かにきっかけはそうだった。合コンに行って欲しくない一心で、好きとは言ったが)

風太郎(俺はまだ、自分の中で一花が本当に特別なのか、納得出来ていないところもった)

風太郎(四葉は大丈夫なんだろうか……四葉も今頃、その槍杉某とかいう男とデートして楽しんでるのかな)

一花「ちょっとフータロー君、今別の女のこと考えてたっしょ」

風太郎「!」


風太郎「そ、そんなことはないぞ。あー、この服とか!一花に合うんじゃあないか?」

一花「あ、これいつも四葉が着てるブランドじゃん」

風太郎「428のロゴか……」

一花「流石にこれ着たら四葉に怒られちゃうかな、あはは」

風太郎「……」

一花「……」

風太郎(なんか最初は一花も元気一杯だったけど、俺が楽しくなさそうにしていると思ったのか、少ししょんぼりしている)

風太郎(上手く表現出来ないが、俺は一花と一緒にいるだけで十分楽しいのだが)

風太郎(しかし会話が続かん)

風太郎(勉強の話ならいくらでも出来るんだが…)

風太郎(ここは彼氏として一花に話題を振るか…)

↓1-3 一花にどんな話をしてみますか?(コンマが最大のものを採用)


風太郎「そういえばお前よく通学路で飲んでる飲み物。あれってなんなんだ?」

一花「フラペチーノだよ。美味しいお店があるの」

風太郎「好きなのか、そのフラなんとかってお洒落な名前の飲み物」

一花「まあ、良く飲むかな~」

風太郎「今度その美味い店教えてくれよ」

一花「うん!一緒に行こう!」

風太郎「他に食べ物とかはなんか好きなのあるのか?」

一花「食べ物かー……塩辛?」

風太郎「渋いな。酒の肴だろ。俺の家でも親父がたまに一人で食ってるぞ」

一花「ご飯のおかずにも結構合うよ」

風太郎「他に何か好きなものとかあるか?」


一花「うんっ、動物ならカバさんかな」

風太郎「カバ……(馬鹿だからかな?)」

一花「あのユーモラスな生き物、日本にいない感じがいいよね。昔動物園で見た時、面白かったなー、口がガバーって開いて、あくびしてたの」

一花「フータロー君はカバ好き?」

風太郎「俺はゴリラが好きだ」

一花「ゴ、ゴリラ!?なぜ…?」

風太郎「カバよりはカッコいいだろ?」

一花「カバの方が強いよ。サバンナで最も獰猛なんだぞ、カバさんは」

風太郎「ゴリラの腕力ならならカバもワンパンだろ。カバとかひっくり返したら起き上がれなさそうだし、パンチでひるませて転がせてマウント取ったらジ・エンドだな」

一花「ひっくり返せるかなあ?カバの体幹、すごい安定してるよ。あとフィールドが水場ならゴリラは手も足も出ない」

風太郎「ジャングルならゴリラに分があるぜ」

風太郎(好きなことを話すというのはとてもいいものだ。お互い熱くなれる。一花はフラペチーノと塩辛とカバが好きと)

風太郎(俺は心のメモ帳に記録した)


一花「番組だと海外セレブが出てくるのがいいよね。セレブって憧れる~!」

風太郎「俺はブルジョアが嫌いだ。奴ら、汗水垂らさずに莫大な不労所得で生活してるんだぜ」

一花「僻まない僻まない。フータロー君ならいい大学でていい仕事ついてお給料たっぷり貰っちゃえるよ」

風太郎「稼ぎといったら女優の方がいいだろ」

一花「養って欲しい?」

風太郎「流石にヒモは恥ずかしいな」

風太郎(一花に甘えたら駄目になってしまいそうだが……こいつ駄目な男の方が好きそうなんだよな……)

風太郎(好きなものを聞いたら一花も楽しそうに話してくれて、俺達のデートはそこそこ盛り上がってた)

風太郎(一花のおすすめの美味しいフラペチーノのお店で駄弁りながら、今まであまり話さなかったような、お互いの趣味のこととか、将来のこととかを話しながら…)

風太郎(なんだか順調だな、と思っていた、その時だった)

五月「上杉君に、一花…?お二人ですか…?」

一花「あっ。五月ちゃん…」

風太郎(フラペチーノとケーキを4つくらいお盆に載せた五月と、俺達はデート中ばったり出くわした)

風太郎(それは波乱の幕開けだった)

続く


一花「五月ちゃんは……一人?」

五月「はい」

風太郎(五月とは、四葉の一件で喧嘩したままだから気まずい…)

五月「……」ギロッ

風太郎(めちゃ睨まれてるゥー!)

五月「前に一花からフラペチーノのチーズケーキが美味しいと聞いていたので。勉強の息抜きにと。上杉君、隣失礼しますね」

風太郎「えっ」

一花「ちょ、五月ちゃん・・・!?」

五月「いやー、一人で来たのはいいものの、ほぼ満席で知らない人と相席することになるのかと憂鬱になりましたが一花がいてよかったぁ」チューチュー

五月「うん、このフラペチーノ、クリームがなめらか、氷がシャリッとしてて美味しい」チューチュー

五月「さすが一花が推すだけありますね!」

一花「で、でしょー!?」チラチラ

風太郎(五月…!なんて空気の読めないやつなんだ。せっかくデートでいい雰囲気になってたところに…!)

風太郎(一花がチラチラこちらを見ながら、机の下で俺の足を小突いてきた)

風太郎(五月を追い出せってことか…一花は五月に甘いからな…言いにくいんだろう)


五月「一花チーズケーキ食べます?」

一花「あ、ありがと」

五月「う…上杉君も…ここの一欠だけなら」

風太郎「お、おう…」

五月「そういえば最近みんな家にいないから勉強捗りますね。上杉君も受験勉強順調ですか?」

風太郎(こいつだけ男の匂いが全くしないんだが…大丈夫か?)

風太郎「まあ、高校生最後の夏、勉強だけってのも寂しいだろ?五月もたまには友達とどっか遊びに行ったらどうだ?」

五月「何言ってるんですか、高校最後の夏こそ勉強しましょうよ。目指せ志望校合格!ですよ!」

五月「そうそう上杉君に教えて欲しい問題があったんです、ええっと、教科書どこだったかな…」

一花「ね、ねぇ!フータロー君!わ、私達結構ここ長居しちゃったよね!?席も混んできたしっ、そ、そろそろ」

風太郎「あ、ああ!他に待ってる客に悪いかもな!」

五月「注文追加すれば大丈夫じゃないですか?店員さーん」


一花「わ、わー!!五月ちゃん、もうお腹一杯だよぉ」

五月「ずいぶんと少食ですね。そういえば一花と上杉君が二人って珍しいですね……」

一花「あっ……その……」チラッ

風太郎(一花はすごい言いにくそうにしている。まあ姉妹に自分の恋愛の話するのは恥ずかしいのかもな。俺もらいはには照れて上手く言えないし)

五月「二人はどういう関係でしたっけ?」

風太郎(試されている気がするが……俺と一花の関係……なんて答えよう)

↓1-3 ※コンマが最大のものを採用




風太郎「そりゃもう結婚の約束をした婚約者さ」

一花「!」

五月「何冗談言ってるんですかー」

風太郎「HAHAHA」

風太郎(なんとなく、五月に本当のことを言うのはまずい気がする)

風太郎(こいつ多分四葉と俺をくっつけようとしてたし)

一花「……」

風太郎(一花と付き合っていることを、五月に誤魔化した)

五月「そういえば上杉君。あれから四葉と連絡とってますか?」

風太郎「!いや…連絡は…」


五月「とってないんですね…」

一花「ん?何の話?」

五月「実は終業式の日、四葉が上杉君に告白したんです」

風太郎「待て!それは大きな誤解だ!」

一花「へぇ、詳しく聞かせて」

五月「私が聞いた話では、まずイケメン四天王の一人が四葉に告白し、その四葉は上杉君に告白の返事をしていいか聞いたとか」

五月「多分、四葉は上杉君の事が好きです。理由は私の口からは言えませんが…四葉の恋はとても健気で応援したくなるんです」

五月「それなのにこの鈍感男は四葉に、そのイケメン四天王と付き合っていいとデリカシーのない返事をしたんです」

一花「さすがデリカシーのデの字を学ばなかった男」

五月「それで四葉はとても悲しそうな顔で、上杉君に告白した屋上から駆けるように降りてきたのを私は目撃しました」

五月「それで、私は上杉君に問いただしたんです。四葉を救いたいかと。私は四葉を救う手助けをすると」

五月「でも、上杉君はにべもなくその提案を拒否しました」

一花「うわぁ」

五月「それからしばらく自宅に引きこもっていたようですが。そんな男らしくない上杉君に二乃も三玖も幻滅したみたいですね」

一花「で、肝心の四葉は?」


五月「四葉は結局、そのイケメンの男子とお付き合いすることになりましたが」

五月「その男は相当の屑みたいで、四葉に無理やり体の関係を迫った挙げ句、半ばレイプで既成事実を作りました」

五月「頼まれると断れない性格の四葉に漬け込んだのでしょうね」

五月「そこら辺は多分母譲りなんでしょう。だからあれほど、男の人は慎重に選びなさいと口を酸っぱくして言ったのに」

五月「一花は大丈夫ですか?」

五月「で、傷心の四葉の話に戻りますが……」

五月「その四葉に告白した男というのが最悪で、無垢な四葉の心が折れるまで犯したみたいです」

五月「股から血が垂れて、腰砕けになっている四葉を何度も 何度も 何度も 犯したみたいですね」

五月「それから四葉は縛り上げられて、色々な男の慰みものにされました」

五月「逆らうと、暴力で屈服させられて、心も体もめちゃくちゃにされた四葉は」

五月「自分のお腹に忌々しい男たちの種を植え付けられたのを知り」

五月「痙攣して気絶しました」

五月「そしてその男は四葉が死んでいると勘違いしたのでしょう」

五月「動かなくなった四葉を見て 焦り 彼女を処理することにしました」

五月「四葉をドラム缶に入れて中にガソリンをトプトプ 流し込みました」

五月「それから男は火を


風太郎「うぎゃあああああ!!!!」

らいは「お、お兄ちゃん!?ど、どうしたの?」

風太郎「はぁ、はぁ、はぁ……ゆ、夢、かぁ……」

らいは「最近のお兄ちゃん、情緒不安定!昨日はすごい楽しそうにケータイ弄ってたのに」

風太郎「すまん、変な夢みたんだ」

風太郎(一花とのデートの翌日の昼下がり……机に向かって昼寝をしている時、俺は変な夢を見た)

風太郎(五月が乱入したデートは、あの後ゲームセンターで一花と五月と遊び、夕ご飯も三人で食べた)

風太郎(一花は少し不満気だったけど、五月が加わったことで俺達の間にあったギクシャクした感じもなく、まあ楽しい感じのデートに終わったんだが)

風太郎(五月は四葉の話を一言もしなかった。それが、俺には逆に怖くて)

風太郎(四葉の奴は本当に大丈夫なんだろうか)

風太郎(……俺はもう一花と付き合っている身だ。だから四葉の気持ちには答えられるわけもないのだが……)

風太郎(うぬぼれでなければ、四葉が俺に別の男と付き合っていいか聞いてきたのは、つまりそういうことだよな)

風太郎(四葉は俺の事、多分、好きだったんだよな)


風太郎(怖い夢を見たあと、俺は無性に誰かと話したくなった)

風太郎(四葉が無事か心配だ。多分、姉妹の誰かに連絡すれば、四葉が無事かどうかくらいはわかるだろう)

風太郎(どうしよう。誰に電話してみようかな)


ケータイを見た。 今日は 8月15日だ。

日本が戦争に負けた日だ。

誰に電話をしますか?

↓1-3 コンマが最大のものを採用します



続く 

次か次の次くらいで終わりです



>>164
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