男「え?俺一年後に死ぬの?」天使「うん」(348)

昔書いたやつの書き直し



男「え?え?つーかここ人ん家」

天使「はい」

男「日本語わかる?」

天使「はい」

男「つか日本人じゃないよね?」

天使「神の使いと言いましょうか」

男「ップ」

天使「ッチ」キラン

男「ッッ!?うわぁ!!」

男「うっ、浮いてる!?」

天使「天使ですから」

男「はぁ」ポカーン

天使「まあ無闇やたらに力を使いたくないんですが」

男「手品じゃないよね?」

天使「こうして宙で脚を組める手品が人間界にあるとでも?」

男「あわかった!テレビのドッキリだ!」

天使「ッチ」キラン

男「うっ、うっわ!俺も浮いてる!?」

天使「ふん」キラッ

男「ぐえっ」ドサッ

天使「お分かりいただけました?」

男「あい……」

天使「さ、本題に戻りますが」

男「……痛てて、本題って……何だっけ?」

天使「貴方が来年の今日死ぬ話です」

男「……はぁ」

天使「誕生日なんですよね」

男「まあ」

天使「誰も祝ってくれてないですが」

男「……」

天使「まあ仮に生きていたとしても生涯童貞孤独を貫いていたわけですし」

男「えぇー」

男「ていうかごめん、話についていけない」

天使「それで構いません」

男「えぇ」

天使「伝えにきただけですので」

男「何でわざわざ伝えに来たのさ」

天使「それは……その……」

男「あっ」

天使「?」

男「俺の事好きなんだ……!」

天使「ッ」キラン

男「あっ嘘!冗談です!浮かすのだめ!やーなの!!」

天使「てっとり早く説明しましょう」

男「ッギャ!」ドスン!



ーーーー天界

神「死亡確認」「余命一年」「余命一年」「輪廻不可」ペタンペタンペタンペタン

神「あー忙し忙し」

天使「ねぇハゲ」

神「なんじゃい!」

天使「私のポイントってどのくらい貯まってる?」

神「390ポイントってとこじゃな」

天使「ひくっ!!」

神「お主素行悪いからの」

天使「どこが悪いってんだハゲ!!」

神「そーゆとこ!」

天使「スケベな目で見てきやがって!」

神「見とるわけないじゃろ」

天使「390ポイントって何でよ!」

神「そらそうじゃろ……天界での仕事もサボるし、下界でもろくに人助けせんし」

天使「判子ポンポンしてるだけのハゲが何を偉そうに!」

神「お前ホントにワシの子?」

天使「だからこんなサボり癖なんでしょ」

天使「私は10000ポイント貯めて人間界に転生するんだから!!」

神「10000ポイントって……」

天使「10000ポイント貯めれば私の望む通りの青春や結婚生活……忌野際まで大好きな旦那と寄り添い……」

天使「そんな生活が約束されるポイントなんだから!」

神「天使ちゃんさぁ……現実見ようよ」

天使「むっ」

神「天使ちゃんそもそも人間嫌いでしょ」

天使「好きではない」

神「この前も男の子の告白じゃましたよね」

天使「まあ気まぐれで」

神「なんでそういうことすんの」

天使「だってあの男の子胸のことばかり考えてるの!出てくるハート交尾のことだらけ!!」

神「男の子はそういうもんなの!」

天使「10000ポイント貯めたらイケメン幼馴染の子と一緒に登校して……もう付き合う前から友達公認の夫婦でー」

神「ハァ」

天使「イケメン君狙いたいけどあんたがいるからなあ……みたいに言われてー」

神「390ポイント」

天使「黙れハゲ」

神「天使ちゃんこのままだと1000も危ないよ」

天使「ハァ!?何とかしてよ!神でしょ!?」

神「そんなことしたら他の神達に怒られるわい」

天使「つっかえな……マジなんなんこのハゲ」

神「娘が反抗期で辛い」シクシク

天使「大体なに!?いつも判子押すだけとか!」

神「これもれきっとした仕事で」

天使「貸してよ!!」ガシッ

神「あ、こら!!」

天使「こんなん、これを!」ポン!

天使「ほら、こーするだけでしょ?」

神「あわわわわ……」

天使「ん???」

神「余命一年判子……」

天使「なに?」

神「寿命120歳の奴に捺しちゃってる……」

天使「……えっ?」

神「え、え、えらいこっちゃぁ!!」

天使「な、なに?どうなんの……?」

神「この判子は取り消せない!!!!」

天使「っ」ビクッ

神「事の重大さをわかってんのか!!!!」

天使「っ、……ど、どーすればいいの」

神「どーもこうもない!!! 」

天使「別にそいつはイツ死ぬかなんて知らないんだし」

神「天使ちゃんのポイントマイナスぶっちぎっちゃうよこれ!!」

天使「えっ」

神「これマイナス50000とかだよ!?」

天使「どどどどどどうなっちゃうの???」

神「来世は……軍手かゴキブリだの……」

天使「……い、……いやぁぁぁあー!!!」

天使「どーにかなんないの!?」

神「無理じゃの」

天使「えぇーーーー!」

神「いや、まあ………ポイントに関しては無理ではない……」

天使「本当!?」

神「この男の幸せレベル次第ではマイナスは回避できるかもしれん」

天使「幸せレベル……」

神「さらにはプラスになってもおかしくない」

天使「善は急げ!ソイツのとこ行かなくちゃ!」


ーーーー

天使「と、言うわけなんです」

男「人災じゃねーか!!」

天使「うるさい」

男「開き直ってるし!!」

天使「生きていたとしても、これなら100年120歳まで童貞孤独死のくせに」

男「ぐはっ」

天使「彼女いない歴で1世紀跨ぐくせに」

男「ごふっ」

男「ちょっとまて俺の人生悲しすぎるだろ」

天使「そんなもんですよ」

男「クソッ他人事だな…」

天使「そうでもないですが」

男「あー?ポイントだっけ?」

天使「そそ、取り返すために下界にわざわざきてるんですから」

男「え……てか来年本当に俺死ぬの?」

天使「うん」

男「……マジか……」

天使「あ」

男「なに?」

天使「ハゲが呼んでるから戻ります」

男「は、はぁ」

天使「また後程」






男「なんだったんだろ……」

男「夢か?」バチン!

男「痛い」

男「でも俺浮いてたよな?」

男「しかもさっきの子も光ったと思ったら消えたし」

男「…………」

男「寝るか!!!うん!!そうしよ!!!」

夜中

男「zzz... zzz. . .」

天使「起きてくださいな」ドゴッ

男「ゴッフォ!?」

天使「うるさいですよ」

男「ゴヘッ ゴホッ!?」

天使「戻ってきました」

男「ハァハァ……夢じゃなかったんだ……」

天使「浮きますか?」

男「やめて」

天使「まあなんですか、後一年頑張っていきましょう」グッ!

男「いや原辰徳みたいなガッツポされても」

天使「人間遅かれ早かれ死ぬわけですし」

男「いや大分早いよね」

天使「100年くらいじゃないですか」

男「100年だよ!? 1世紀!!」

天使「でも安心してください」

男「安心?」

天使「その100年分の奇跡、願い事として起こせます」

男「……?」

天使「まあなんていうんですか、後一年で死ぬあなたにボーナスみたいなものです」

天使「どんな願い事も5回まで叶えることができます」

男「寿命戻して」

天使「それは無理です」

男「願い事100に増やして」

天使「無理です」

男「嘘つき!!」

天使「範疇はありますよ」

男「じゃーパンツ見せて!」

天使「はぁ?」ヒラッ

男「!!?」

天使「?!!」

男「す、すごい……本当なんだ……」

天使「今死にますか?」

男「タンマタンマ!まさか本当になるなんて思ってなかったし!!」

天使「ハァ……ならこれで信じましたか?」

男「は……はい……」

天使「ていうかアホですね」

男「え?天使は白い下着しか履かないなんて思ってないよ」

天使「違いますよ」キラン

男「ごめんナチュラルに浮かさないで」

天使「5回の願い事のうち1つをもう使ってしまうなんて」

男「!!」

天使「奇跡に相当する願い事なのに……」

男「まあそれはいいとして」

天使「(いいのかよ)」

男「残り4回あるのか」

天使「死ぬまでですが」

男「ふーん でも死は回避できないの?」

天使「ええ 死んでください」

男「……」

天使「でもこの一年でとてつもなく幸せになってください」

男「それ自分の保身のためだよね」

天使「いやほら天使なんで」

男「一年後死ぬのわかってて幸せになれると思う?」

天使「あなたならできます!」

男「なんて無責任な棒読み」

天使「つべこべ言ってないで幸せになりましょう!」

男「……」

天使「あ、ちなみになんですけどね」

男「?」

天使「これから一年、どんなことがあっても貴方は死なないので」

男「マジ?」

天使「これは常に発動する奇跡というか呪いと思ってくれて構いません」

男「一年間死の恐怖で怯えるのか」

天使「ま、そういう事です」

男「君本当に天使?もうなんか悪魔にしか見えんのだが」

天使「失礼ですね……天界きっての美少女に対して……」

男「自分で言うなよ」

天使「事実なんで」

男「天界にもルックス云々あるんだ」

天使「天界にもいろいろありますが、私のいるところは人間界と変わらないです」

男「君のいるところは?」

天使「まあ私の地域は平和なので」

男「よくわからんが……」

天使「でも不純異性行為なんてしようもんならポイントがっつり下がりますから」

男「下がると来世に影響出ると?」

天使「ええガッツリ」

男「キスなんてしたら?」

天使「一度聞いたことがあるのは男女の合体まで行った二人の天使の来世は蛇とオオサンショウオになったそうです」

男「なんてことだ……」

天使「まあ面白半分で仲良ししたらしく罰せられたそうですが」

男「ふーん」

天使「きちんとしていれば罰せられることはないはずです」

男「でも君来世は軍手なんでしょ?」

天使「そうならないためにわざわざ下界に降りてきてるんですが」

男「(自分のせいじゃん)」

天使「さ、奇跡使いましょうよ」

男「えぇ……なんかまだ実感湧かないし」

天使「ハァ」

天使「ん?」

天使「あ、またハゲが呼んでるんで戻ります」

男「あ、はい」

天使「まあ信じるか信じないか」ファサッ

男「おぁっ!?羽!」

天使「聞くまでも無いんですけど」シュン

男「いや飛ばないで消えるんかい!」


天界

天使「なーにハゲ」

神「上手くできそうかの?」

天使「いい持ち主と巡り会える軍手になりたい」

神「諦めるなて」

天使「ハァ……どーしてこうなったの……」

神「(自分のせいでしょうが……)」

天使「で、なに?」

神「一応最大限の努力はつくしてみたんでの」

神「かくかくしかじか」

天使「ふーん100年分のラッキーね」

神「それと、彼の資料じゃ」

天使「アレの?」

神「うむ」

天使「まあ知っとかないと……」パラパラ

神「休んでる暇ないからの」

天使「うっさいなぁ」パラパラ

翌日 夜

男「……ぃま」ガチャ

男母「あ、おかえり」

男「……」

男母「ご飯は……」

男「イラネ」バタン!

天使「よろしくないですね」

男「!?」

天使「母親にそういう当たりかた」

男「関係ないでしょ」

男「というか不法侵入してるほうがよろしくないですが」

天使「人間界の法の話でしょう」

男「何しにきたんだよ」

天使「お知らせにきました」

男「悪い知らせだ」

天使「いい知らせですよ。さらにラッキーな話です」

男「はぁ?」

天使「これから一年で100年間分のラッキーがちらほら訪れます」

男「なにそれ」

天使「すごくないですか?100年分のラッキーですよ?」

男「いやだから現実味が」

天使「現に今日あったはずです」

男「今日……?」

ーーー

男『お、自販機のジュース当たった』

男『電車乗るの遅れたと思ったら電車も遅れてきててラッキー』

男『え?道ですか?ここを右に……そうです。ていうか橋本環七さんですよね!?』

環七『ありがとうございましたー!』

男『うぉ!生橋本環七……!』



天使「ね?」

男「……うん」

男「俺の100年ってもしかして相当幸薄い???」

天使「でしょーね」

男「生涯童貞だもんな」

天使「恋人はできてたみたいですよ」

男「マジ!?」

天使「まあ元気だしてください」

男「それ聞いてますます悲しくなった」

天使「めんどくさ……」

男「俺にも可愛い彼女がいればなぁ 」ビカッー

天使「!? 」

男「!?」

男「な、なんだ今の感じ」

天使「にょ」

男「にょ?」

天使「ちょ、にょ、ちょっと……帰ります」

男「え?あ、うん」

天使「で、では……」ファサッ

男「消えた」

男「まあいいか」

男「風呂入ろ」ガチャ

男母「誰か来てるの?」

男「……来てねーよ」

男母「でも話し声が……女の子の」

男「で?だったら?」

男母「ま、まあ彼女いたら紹介くらいしてね」

男「……」バタン!

翌日

男「ファ……朝か」

男「話し声……???」


天使「というわけなんです」

男母「まあ……男にこんな美人な彼女がいたなんて……」

天使「いえいえ美人だなんて」

男母「天使ちゃん可愛いわねぇ」


男「なにしてんの?」

天使「あっ、男君おはよう」

男母「彼女さんが訪ねてきたのよ」

男「彼女……彼女……!?」

男「(昨日のあの一声!?)」

男「あーー……あー……うん」

天使「もう男君ってば」

男「うわっ」

天使「あ?」

男母「天使ちゃんみたいな可愛い彼女いたなんて……」

男「ちょっと来い」グイッ

天使「きゃっ!?」

男の部屋

男「まさかとは思うけど」

天使「こっちのセリフです」

男「え?なにこれ」

天使「この可愛い天使ちゃんが彼女になったという事ですよ」

男「えっと……天使さん?はそれでいいの?」

天使「さんなんてつけないでください……」

男「……」ゾワッ

天使「貴方の願いは残り3つになりました」

男「えぇ」

天使「天界No.1のこの私を彼女にできるなんて相当の奇跡ですよ」

男「天界の男たちは節穴だらけか?」

天使「まあこれはこれで都合がいいです」

男「?」

天使「あなたの幸せバロメーターを上昇させることに尽力できますから」

男「絶対に恨んで死んでやる」

天使「させませんよ」

男「ハァ……てか本当なのかよこれ」

天使「えぇ、まだ信じてないんですか?」

男「うん」

天使「こんなに可愛い彼女が出来ても!?」

男「自分で言うなや」

天使「貴方、ひねくれてますよね」

男「うるせ」

男「大体俺は彼女いない歴で1世紀跨ぐだの本当は恋人いたのだの」

天使「どちらにせよ童貞です」

男「くそっ……!!!」

天使「……」サッ

男「なんだよ」

天使「やらせませんよ」

男「はい幸せバロメーター激下がりー」

天使「ッチ」

天使「こっちだって不純行為はポイント下がるんですけど」

男「しねーから」

天使「ふーん」

男「つーかさ」

天使「はい?」

男「何でそんな従順に彼女になんてなるわけ?」

天使「あなたの願いのせいでしょう」

男「えぇ」

天使「あなたを考えると胸がキュンキュンします」

男「うわ」

天使「真面目に」

男「なんかごめん」

天使「一年の辛抱と考えれば」

男「クソッ!」

天使「にしても」

男「ん?」

天使「貴方の資料を見ましたが」

男「資料だぁ?」

天使「お母様と仲良くできていないようですね」

男「……プライベートまるみえかよ」

天使「参考までに調べさせてもらいました」

男「なら仲良くねえのわかるだろ」

天使「えぇ、まあ」

男「あのババアが不倫してたせいで俺の人生めちゃくちゃなんだからよ」

天使「120歳まで生きるくせに」

男「種を残せずにな」

天使「残念ながら当然」

男「まあでも今なら彼女いるし」

天使「ふえっ?」

男「いやしねーよ」

天使「まあ……でも、……いいけど」

男「それ本心?」

天使「なんでしょう?この感じ」

男「なんか申し訳ない気してきたわ」

天使「なぜ?」

男「俺が願い成立させたせいで」

天使「気にしないでください」

男「めっちゃ気にする」

天使「かえって都合いいんで」

男「えぇ……なんか悔しくなったりしないの?


天使「不思議と心地いいです」

男「そ、そっか」



ある日


男「俺、本当に来年死ぬんだよね」

天使「何度も言ってるじゃないですか」

男「なら勉強しても意味ないか」

天使「フリーターが公務員の勉強ですか」

男「うるせ」

天使「ちなみに貴方は実際だと結局運送業に就職します」

男「あ、駄目だったんだ公務員」

天使「えぇまあ」

男「アホらし!勉強やーめた!!」

男「バイト増やして金稼ぐか」

天使「宝くじでも買えばいいじゃないですか」

男「いや、やめておく」

天使「願いが残ってるのに?」

男「勿体ない気がする」

天使「ふーん」

男「腹減ったな……」

天使「私も減りました」

男「えぇ」

天使「あそこ行きたいです サイゼリア」

男「……」


サイゼリア

天使「うまっ」

男「サイゼごときで満足するんか……」

天使「サイゼリアってなんかこう天使の絵無駄に飾ってあって心地いいって天使仲間から聞いたことあります」

男「確かに無駄に飾ってあるが」

天使「このエスカルゴ美味しい」

男「ひえっ……俺それ苦手」

天使「間違い探しあるじゃないですか」

男「勝負すっか?」

天使「いいでしょう」




男「はい10個目」

天使「くっ……」

男「弱いな」

天使「でも楽しかったです」

男「まぁ、うん」

天使「私帰りにアレ飲みたいです、タピオカ」

男「あーはいはい」

天使「うーんこれがタピオカドリンク」モチュモチュ

男「いや天使ちゃん下界に詳しいな」

天使「まあ次に転生狙ってる身ですから」モチュモチュ

男「できないかもなのに」

天使「っせーな」

男「ねぇ、俺本当に死ぬの?」

天使「毎日聞いてきますね、死にますよ」

男「まじか」

天使「いやー男さんも大分幸せでしょう?」

男「毎日がブルーなんですが」

天使「こんなに可愛い彼女がいて?」

男「言うほど彼女してるか?」

天使「な、なに言いたいんですか」

男「いやなんでも」

天使「あれですよ、こちとら手繋ぐだけでもポイント下げられるかもなんですから」

男「あーはいはい」

天使「まあ反比例で貴方のバロメーターが上がる可能性も否めないジレンマはありますけどね」

天使「それじゃ、私帰りますね」

男「あうんお疲れ様」

天使「なんですかそれは彼女に対して」

男「いやお仕事お疲れ様って意味」

天使「ッチ」

男「やっと一人になれるし」

天使「一人になってナニするんですか?」

男「ナニもしねーし」

天使「ふぅん」




男「……」ガチャ

男母「あ、おかえり」

男「……だいま」

男母「お母さんこれから夜勤だから」

男「……」バタン!

男「……ふぅ」

天使「まったく貴方は」

男「!?」

天使「ただいまも言えないんですか?」

男「さっきのさっきで帰ったんじゃねーのかよ」

天使「暇なんで」

男「いきなり部屋にいるな」

天使「半沢直樹見せてください」

男「ったく」

天使「お母さん、夜勤行きましたね」

男「看護師だからな」

天使「あんな当たりかたしなくてもいいんじゃないですか?」

男「別にいいだろ」

天使「……」

男「資料見たんだろ?」

天使「まあ、細かくは書いてないですが」

男「父親母親揃って別々に不倫してるんだから笑えるよな」

男「父親には邪魔者扱いされるし」

男「クラスじゃ居場所無くなるし」

男「あのババア同級生の母親と不倫してんだもん」

男「そりゃ面白おかしくイジメられるわ」

男「まあ、もう死ぬからいいけど」

天使「うだうだ言ってたってしょうがないじゃないですか」

男「うるせぇな」

天使「あぅ」

男「あ、ご、ごめん……」

天使「いえ、こちらも少し不用意な発言でした」

男「まあとにかく溝というか、そういう家庭環境なんでね」

天使「でもいい人でした」

男「どこがだよ」

天使「温和というか」

男「断れないだけだ」

天使「私と一緒ですね」

男「全然ちげえよ」

天使「……」

男「抱かせて」

天使「無理です」

男「ほら」

天使「ッチ」

天使「貴方はどーしたら幸せのバロメーター上がるんですか?」

男「そりゃ橋本環七みたいに可愛い子が嫁になってくれて天寿を全う出来れば」

天使「フッ」

男「ていうか俺って死ぬの?」

天使「ええ」

男「必ず?」

天使「必ず」

男「不可避?」

天使「不可避」

天使「毎回毎回しつこいですね」

男「……いや、ごめん」

天使「じゃ私は天界に戻りますね」

男「さっきも戻ってたじゃん」

天使「っさいなぁ」

男「また明日な」

天使「……ふん」ファサッ

男「天使……か……」

男「現実味わかねえなあ」

天界

神「死の回避?」

天使「無いの?」

神「無い事はない」

天使「!?ほんと!?」

神「因果律のメカニズムをいじくる方法がある」

天使「……??なにそれ??」

神「早い話、彼に子供ができるなりすれば新たな生命の誕生が因果を狂わせることになる」

神「それが吉となるかは結果次第じゃが」

天使「子供!?」

神「うむ」チラッ

天使「他に無いの!?」

神「んー……無いのお」

天使「ハァ!?」

神「調べてはいるんだが」

天使「こ、子供ってあれでしょ?あれがあーしての結果でしょ?」

神「うむ 養子では無理じゃの」

天使「…………」

神「?」

天使「ア、アホくさ」

神「天使ちゃん」

天使「……なに?」

神「私も不注意とは言え……君は一人の人生を壊してしまった」

天使「……知ってる」

神「……」



ある日

男「いいよ洗濯物とか」

天使「お母様のためにも私がやります」

男「それに食事も作らなくっていいって」

天使「彼女なんで」

男「いや、うん、俺が作るよ」

天使「!?」

男「あの、控えめに言って料理下手すぎ」

天使「控えてない!」

男「洗濯物もね、柔軟剤入れすぎ」

天使「っく」

男「気持ちはわかったから」

天使「このままでは天使としてのプライドが」

男「なんかできることないの?」

天使「できること……?」

男「うん」

天使「子作り?」

男「ぶっふぉ」

天使「下界の人間を孕むのはまさに地に堕ちるというものですが」

男「急にどーした」

天使「実は運命を変えられる方法に」

かくかくしかじか

男「なるほどね」

天使「確証は無いですが」

男「いやしないよ」

天使「えっ?」

男「するわけないでしょ」

天使「大丈夫ですよ!今なら死ぬ日までに日数は」

男「気持ちだけですごく嬉しいから」

天使「でも……」

男「そんなことしたら君が駄目でしょ」

天使「……」

男「そんなんまでして変えたくないから」

天使「……」

男「ごめんね」

天使「はい……」

男「まあ最近結構楽しいよ」

天使「……」

男「俺の幸せバロメーターってわかんないの?」

天使「わかりません……少なくとも私には」

男「そっか」

男「それに俺の願いみたいな形で彼女になってるわけじゃん?」

天使「……まぁ」

男「それが一番ひっかかるし」

天使「でも私は悪い気してませんよ」

男「それが願いだからでしょ」

天使「なっちゃったもんはしょうがないです」

男「言ってもさあ」

天使「それに一度彼女になった以上、別れる選択肢だって私にはあります」

天使「貴方の願いはあくまで彼女が欲しい。つまりその願いは一度達成されている」

男「確かに」

天使「そのあともこうして付き合っているのは私の意思です」

男「うぅん……まあそういうなら」

天使「何が心にひっかかるというのかは別れますが」

男「いやべつに」

天使「グスン」

男「やめろ白々しい」

天使「まあ願いとは別に100年分の幸運もちらほら表れるはずです」

男「ていうか幸運だけなん?不幸とか来ないだろうな?」

天使「そこら辺は調節してるんで」

男「ならいいけどさ」

天使「ご飯食べに行きましょーよ」

男「そうだな」

天使「お金持ってるんですね、案外」

男「一応来年か再来年に専門行こうと思ってて貯めてた」

天使「……ですか」

男「まあ今となっては仕方ない金だからな」

天使「……」

男「そんな暗い顔すんなよ」

天使「はい……」

男「彼女がそれだと幸せバロメーター下がるわー」

天使「……」

男「ほら、行くぞ」

天使「は、はいっ」


クラロー

天使「これが回転すし」

男「言うてタッチパネルから頼むんだけどさ」

天使「私寿司って食べたことないです」

男「マジ?天界ってそもそも何くってんの?」

天使「基本的に食欲ってあんまりないんですよね、天界にいると」

男「ふーん」

天使「食欲にしても下界は欲求の宝庫なので……気を付けないといけません」

男「もう5皿食べてる人が言っても説得力ねーな」

天使「っく」



帰り道

男「食ったな」

天使「もうしばらくお魚はいいです」

男「白子食いすぎじゃね?」

天使「あれ美味しいですね どこの部位なんでしょう」

男「精巣だよ精巣」

天使「ひえっ」

男「まあ白子食ったぐらいじゃポイント減らないつしょ」

男「夜なのに暑いな」

天使「そうですね」

男「天界にも季節ってあるの?」

天使「ないですね」

男「そっか」

天使「まあでも下界のファッションは好きですよ。四季折々なのが」

男「ふーん」

男「あのさ」

天使「何ですか?」

男「俺ってさ、来年死ぬんだよね?」

天使「しつこいですね……死にますよ」

男「ごめんごめん」

天使「あんまりしつこいと怒りますよ?」

男「確認よ確認」

天使「……」

男「どーしても現実味わかないじゃん?」

天使「死にます」

男「あい」

男「死因は?」

天使「さぁ?」

男「老衰かな……」

天使「そこらへんは神のみぞ知ると言いますか」

男「天使だよね?」

天使「神の使いなので」

男「はぁ」

2ヶ月後

男「お疲れ様でしたー」

周り「お疲れっす!」

男「……」

男「(何呑気にバイトなんてしてんだろ)」

男「(どーせ死ぬのに)」

天使「男さん」

男「うごっ!?」

天使「考え事ですか?」

男「あ、え、うん……」

天使「可愛い彼女が目の前にいるのに素通りなんですもん」

男「ごめんごめん、考え事しててさ」

天使「そうですか」

男「あ100円落ちてる」

天使「ラッキーじゃないですか」

男「……ハァ」

天使「拾わないんですか?」

男「うん」

天使「せっかくの幸運なのに……」

男「虚しくなるからやめて」

天使「もう2ヶ月ちょっと経ちましたね…」

男「だね」

天使「あのっ」

男「お腹空いてない?」

天使「えっ、あっはい」

男「どっか食べに行こっか」

天使「……はい」





男「雪か……」

天使「外でないんですか?」

男「やだよ寒いし」

天使「私雪初めてなんです」

男「だからなんだよ」

天使「雪合戦したいです」

男「そーか 一人でしてこい」

天使「さ、しますよ!」

男「えぇー……」

天使「フフフ!それー!」

男「んぼっふ!?」

天使「っしゃ!」

男「てめぇ……!」





男「ハァハァ」

天使「ハァハァ……そんなにムキになって……」

男「ムキになってねーし」

天使「どーでしょう?」

天使「でも次は負けませんよ」

男「もう今季は雪降らねえだろ」

天使「そうなんですか?」

男「あぁ、だから次はない」

天使「……」

男「もうすぐクリスマスだな」

天使「はい……」

男「天界にもそういう概念あるん?」

天使「無いですよ、サンタクロースって下界の住人ですし」

男「そっか」

天使「でも面白いですね、日本のクリスマス」

男「何で?」

天使「もともとはキリストの誕生日じゃないですか」

男「うん」

天使「それが今や色欲の夜というイベント」

男「それが日本人です」

天使「その一週間後には仏教にシフト」

男「そういうもんです」

天使「クリスマス前はキューピッド担当は激務ですからね」

男「キューピッド担当……」

天使「恋の担当ですよ」

男「なにすんの?」

天使「その成就を手助けするってだけです」

男「天使ちゃんもしてたの?それ」

天使「うっ」ギクッ

男「やってたなその顔」

天使「……まぁ」

男「やらかした顔じゃねーか」

天使「失礼ですね」

天使「大変なんですよキューピッドも」

男「ふぅん」

天使「ポイント貯まらないし!」

男「そういや天使ちゃんの今のポイントどうなってるん?」

天使「それが秘密にされてしまって…」

男「マジか」

天使「……」

男「……」

天使「まあこれも自分のしでかした事ですから」

男「そんな顔するなよ……ってもするよな」

天使「すいません」

男「…………俺、来年死ぬんだよね」

天使「……はい」

男「そうだよな、ならこうしちゃいられねえ」

天使「?」

男「1日1日精一杯生きるわ」

天使「なんです?それ?」

男「意気込み!」

天使「はぁ……?」

男「バイトももうやめる」

男「幸せバロメーター上げたるわ!!」

天使「なんか……ごめんなさい」

男「もうこれから謝るの禁止ね」

天使「でも」

男「どうせ無駄な100年過ごして120歳まで生きる人生だったわけで」

男「だったらそれを上回る濃い半年以上にすればいいだけよ」

男「見とけよ100年童貞野郎!」


男の家

男「……」ガチャン

男母「あら、お帰りなさい」

男「た、ただいま」

男母「!」

男「……」

男母「ご飯は?」

男「ま、まだ」

男母「じゃあ作るわね」

男「うん……ありがとう」

男母「!!」

天界

天使「(どうにかして男君の死を回避させてあげないと……)」パラパラ

神「お勉強かの?」

天使「何」ピタッ

神「死は回避できん」

天使「……」

神「死の因果律を変えるには新たな生命の誕生しか可能性は無い」

天使「それすら不確定なんだね……」

神「天使ちゃん……」

天使「ハァ……死って何なんだろ」

神「すべての生命に与えられた平等じゃよ」

天使「不平等じゃん」

神「終着は死。それは平等に与えられているからの」

天使「かたや戦争ですぐ死んじゃう子と平均寿命まで生きる人の死が平等だとは思わないけど」

神「その通りでもある。が、どんな人間にも死は必ず訪れる」

天使「……」

神「天使ちゃん、こんなこと言うのも……あれじゃが……今は自分のポイントのことだけ考えた方が……」

天使「神の発言とは思えないわね」

神「決まったものはしょうがない」

天使「……」

神「ましてや男君自身が覚悟を決めておる」

天使「知ってる、だからこうして」

神「私も最大限の手回しはする」

天使「……何よそれ」

神「天使ちゃん、一応は彼の恋人だからの」

天使「れきっとした恋人です」

神「うむ。じゃからある程度の行為に減算は起きないようにしてある」

天使「ある程度ってなによ」

神「それに、二人の愛が本物であれはどの程度であっても減算にあたらないものとしてある」

天使「どの程度って……」

神「合体じゃ!」

天使「死ねスケベジジイ」

神「手回ししてあげたのに……」

天使「まあ、そこはお礼言っておく」




男母「あら天使ちゃん、いらっしゃい」

天使「お邪魔します……って男君は?」

男母「あら?あの子出ていったきりだけど……一緒じゃなかったの?」

天使「いえ……」

男母「フフフ、まあいいわ!上がって上がって」

天使「はいっ」

男母「最近一緒にご飯を食べてくれるのよ」

天使「そうなんですか」

男母「私、男君にさんざん迷惑かけちゃったから……」

天使「そんなこと」

男「ただいま」 ガチャン

天使「あっ」

男母「おかえりなさい」

天使「遅かったですね」

男「ケーキ買ってきた」

天使「!!」

男母「まあ……クリスマスケーキね」

男「母さん明日から夜勤続きでしょ?今のうちにね」

天使「ケーキ好きです」

男「知ってる」

男母「フフフ、楽しいわね」

男「……」モグモグ

天使「楽しいです」モグモグ

男「まあ……せっかくのクリスマスだからな」

男母「まさか男君がケーキ買ってくるなんて思わなかったわ」

男「でしょうね」

天使「美味しいです」モグモグ

男「食うの早ぇーなお前」

男母「来年はちゃんと豪勢に料理作るからね?」

男「……うん」

天使「……」



クリスマス・イヴ

男「やっぱカップル多いな」

天使「私たちもその端くれですよ」

男「イルミネーションだのなんだのくだらねぇーって思ってたけど」

天使「?」

男「恋人がいるとこうも景色が違うんだな」

天使「……」

男「いつもは素通りというか視界に入れないようにするけどさ」

天使「まあ結構綺麗ですよね」

男「クリスマスかあ」

天使「……(もう、彼には来年のクリスマスは来ない)」

男「ここで毎年ペロペロキャンディー配ってる外人のオッサンいたんだけどさ」

天使「そうなんですか」

男「あ、いた」

ボブ「貰ッテケ」

男「な?」

天使「いかついですね」

ボブ「!!」

男「こっち見た」

天使「手招きしてますよ」

男「しゃーない貰ってやるか」

天使「行くんですか……」


ボブ「お二人さん、コレ」

男「あ、ありがとブラザー」

天使「……」ペコ

ボブ「……」ジーッ

男「? なんすか?」

ボブ「君達、運命って信ジル?」

男「ぶふっ、なんすか急に」

天使「……」

ボブ「お嬢サンは?」

天使「……まあ、あると思います」

ボブ「運命は、グルグル」

男「はぁ……?」

ボブ「君らの思っテル終わり、ソレは決して終わりジャナイ」

男「よくわかりませんが……まあ運命ってのはあるんでしょうね」

天使「……」

ボブ「仲良くシロヨ」

男「あい」

天使「はい」

ボブ「お二人サン」

二人「??」

ボブ「また、いつかな」

男「……来年から海外いるんで!」

ボブ「フッ」

男「面白い人だったな、宗教チックだったが」

天使「うん」

男「んでさ、天使、これ」

天使「ふぇっ?」

男「クリスマスだし……はい」

天使「あぅ、プレゼントですか」

男「大したもんじゃないけど」

天使「開けていいですか?」

男「うん」

天使「……イヤリング」

男「まさに天使の羽根の」

天使「左右非対称なんですね」

男「こっちの柄はアンモライトって石が使われてるんだ」

天使「アンモらいと?」

男「まあ宝石みたいなもんよ」

天使「でもこの柄、結構好きです」

男「それはよかった」

天使「さっそく着けていいですか?」

男「えぇ……なんか恥ずかしいな」

天使「フフフ」

男「うん、似合ってる」

天使「クリスマスって……悪くないですね」

男「そうだな」

天使「……」

男「天使がいてくれてから、楽しいんだと思う」

天使「あのっ」

男「楽しいって感じる度に少し胸が苦しくなるけど」

天使「っ……」

男「それでもさ、なんていうか……ありがとう」

天使「男……君……」ギュッ

男「ッ!?おい手なんて握ったら」

天使「平気です」ギュッー

天使「不純ではありませんから」

男「……」ギュッ

天使「(周りの幸せなカップルも、また来年幸せが訪れるのに……)」

天使「(なのにこの人は……)」

男「ありがとな」

天使「……」

男「天使のおかげで毎日一生懸命生きていけてる」

男「母さんとも仲直りできてるし」

男「毎日が楽しいよ」

天使「……はい」

男「帰ろーぜ」

天使「……はい」

男「俺はさ、決して不運だとは思っちゃいないよ」

天使「……」

男「まあ、心の準備が追い付いてないってだけよ」

天使「……はい」

男「そっちの手違い?ミス?そのものが運命だったのかもしれないし」

天使「男君は優しいですね」

男「よく言われます」

天使「すぐ調子に乗りますが」

男「あい」

天使「フフフ」

男「ある意味『この日に死ぬ』って知ってるって幸運だとも思ってるよ」

天使「そう……なんですか?」

男「明日が普通に来ると思ってる中で死ぬってのが嫌かも」

男「ましてや俺は元々種も残せずのらりくらり死んでくワケだったし」

男「もしかしたら生まれた時から死ぬ運命だったんじゃないかな?って思ってる」

天使「そんなこと無いです!貴方は確かに生きるべき存在でした!」

男「生きるべきかなあ?」

天使「……」ギュッ

男「死ぬのかぁ……」ギュッ

男「天使ちゃん帰らなくて平気なん?」

天使「……」コクン

男「そっか」

天使「……」

男「ココア作るから待っててね」

天使「はい……」

男「(これは)」
男「(性の6時間に突入するわけですが)」
男「(相手は天使ですよ!)」
男「(いやだめだなら俺は賢者でないと!)」

天使「……」

男「顔赤いけど……風邪?」

天使「ひいてません」

男「はい、ココア」

天使「どーも」

ふう

男「俺さ」

天使「?」

男「天使ちゃんのこともっと知りたい」

天使「とのととととと言うのは」

男「天界でどういう生活してるのかとか」

天使「……なるほど」

男「なんだと思ったん?」

天使「い、いえ……」

男「生まれて初めての、最期の彼女のことだし」

天使「……」

男「聞かせてよ」





天使「と、言うわけです」

男「へぇー、天使にも試験だのあるのか…」

天使「まぁ私のような優秀な天使には落第など無縁でしたけどね」

男「今まさに転落中だが」

天使「コホン、なんとかしてみせます」

男「うん……なんとかしなきゃな」

天使「……」

男「そもそも幸せバロメーターってなんだ?」

天使「天使学校ではその人が納得いく過程や成果を感じるほど上がると教わりました」

男「納得…」

天使「早い話、死を選択していても本人が納得さえすれば幸せバロメーターは上がってしまうんです」

男「なるほど……」

天使「そんな人はほとんどいません」

男「自殺とかは?」

天使「あくまで苦悩から逃れるための手段にすぎませんよ……」

男「やっぱそうか」

男「(そもそも幸せって何なんだろ……)」

天使「……」

男「(俺にとって幸せって何なんだ…)」

天使「あのっ」

男「?」

天使「私たち、恋人ですよね?」

男「う、うん……」

天使「……」

男「俺は……そう思ってる……」

天使「私もですよ」

天使「私、あなたと過ごしていると落ち着きます」

男「そう……なん?」

天使「あなたの願いのせいではなく、私の本心に芽生えた気持ちです」

男「うん」

天使「後ろめたさ、感じてますよね?」

男「そりゃね…彼女欲しいなんて言ったから」

天使「あなたの死期を早めた当人に対して後ろめたさを感じるのも変な話ですが」

男「いやぁ……まあ」

天使「……なんで私がまだ帰らないか、理由わかりますか?」

男「えっ……」

天使「イヴの夜に」

男「童貞にそんな質問する?」

天使「私、減算されませんよ」

男「えぇ!?」

天使「だって、れきっとした恋人同士ですもん」

男「いやいやいやいやいやいや……この前と言ってることが」

天使「実はかくかくしかじか>>89

男「と、言われても」

天使 「そんなに魅力ないですか?私」

男「いやいやあるよ、ありますありまくり」

天使「ですよね」

男「高飛車なところもいい」

天使「そんな私がこうしてOK出してるのに」

男「キスもしてないのに?」

天使「ッッ、キ、キ、キスだなんて破廉恥な!!」

男「??!!!????」

天使「もうっ……」

男「え?えっ?」

男「今合体するかしないかの流れだったよね?」

天使「……///」

男「キスするかしないかでそうなるの!?」

天使「っさいですね…!」

男「(基準がよくわからん)」

天使「キスってあれですよね、壁ドンの顎クイのやつですよね」

男「ん?う、うん…(そういう趣向好きなのかな……)」

天使「し、したいんですか??」

男「いやべつに」

天使「ふーん」

男「……したいけど」

天使「ふっーん……しゃうでしゅか……」

男「いや顔あかっ!」

天使「そうでもないです……」

男「……?ちょっとオデコかせ」

天使「ふえっ?」

男「(熱…!)」

天使「男くん……?」

男「風邪ひいてるよっ天使ちゃん」

天使「風邪……」

男「熱すごいもん!」

天使「人間風邪をひいてしまったのでょうか」

男「ぼーっとしない?」

天使「むあ、クラクラするくらいですかね」

男「してますね」

天使「まあ、でも大したことないですよ」

男「あるよっ!!」

天使「ッ」ビクッ

男「ほら、横になろ?」

天使「あぅ」

男「(こんな形で俺のベッドに彼女が寝るとは……) 」

天使「ボーっとひます……」

男「天使ちゃん、天界には帰れないの?」

天使「なんか……力が入らなくて……」

男「めっちゃ風邪のせいやん」

天使「聞いたことあります……人間風邪ひくと厄介らしくて……」

男「そうなんか…」

天使「ケースによっては命を落とす場合もあるそうです……」

男「急に具合悪くなってきたな」

天使「なんか急に力が……」

男「助け呼べないの?」

天使「呼ばないです……」

男「よ、よべないの?よばないの??」

天使「……」ハァハァ

男「(すげぇ熱……)」

男「(天使……きっと精神的に追い詰められてたんじゃねーのかな)」

男「(……)」

天使「……」ハァハァ

男「すぐ治してやるからな」サッ

天使「……‥??」

男「(これで……)」

天使「……あれ、なんだか……」

男「(残り三回か)」

天使「身体が軽くなったような気がします……」

男「すぐよくなるよ」

天使「……これって、まさか……」

男「ん、使った」

天使「……」

男「かなり有意義な使い方だと思う」

天使「でも」

男「大切な存在のために使える力ほど幸せなもんはないよ」

天使「でも……」

男「お、顔色良くなってきたな」

天使「ありがとうございます」

男「天使ちゃん、無理してない?」

天使「……無理?」

男「こうさ、俺との事で精神的に」

天使「……」

男「だからきっと体調崩しちゃったんじゃないかな?」

天使「男……君……」

男「どした?」

天使「えっと、その、天使ちゃんじゃなくて天使がいいです…」

男「え?あ、うん」

天使「それと、あの……」

男「?」

天使「……ギューしてみたいです……」

男「牛……?ぎゅー?」

天使「ぎゅーです」

男「……!抱き締めるってこと?」

天使「ってことです」

男「減算は平気なんだよね?」

天使「はい」

男「立って」

天使「……ん」

男「えっと……(これでいいのかな……?)」

天使「…………」

男「(もっと力強くていいかな……?)」ギュッ

天使「…………」ギュッ

男「いいな……これ……」

天使「……」コクン

男「もう少しいいか?」

天使「……」コクン

男「なぁ天使」

天使「……何ですか?」

男「俺、君に出逢えてよかった」

天使「……」

男「心の底からそう思ってる」

天使「でも」

男「ありがとう」

天使「……」ギュッ




年末

男「もう今年も終わりか」

天使「クリスマスムード、ホントにすぐ終わるんですね」

男「26日には門松出す文化ですから」

天使「忙しいんですね」

男「天界って新年どうこうないの?」

天使「んー、特に無いですよ」

男「そうなんだ」

天使「まあ基本的に幸せムードが継続するので天界としては仕事がしやすいんです」

男「へぇー」

男「人生最後の年末だけど……特に何がどうこうってワケにもいかねえな」

天使「行きたい場所とかないんですか?」

男「んー?んーまあ色々あるけど」

天使「色々あるんかい」

男「あるよそりゃ」

天使「何処ですか?」

男「え?天界」

天使「ッ、なるほど」

男「行けないもんかな」

天使「無理……じゃないですか?」

男「俺の願い使えば!」

天使「使って行くほど大した場所じゃないですよ」

男「えぇ……」

天使「別に雲の上にあるわけでもないし」

男「でも神様ってのに会ってみたいな」ゴキゴキ

天使「指ゴキゴキ鳴らしながら言う台詞じゃないですよ」

男「天使ちゃんのお父さん神様なんでしょ?」

天使「ええ、まあ……神の1人と言いましょうか」

男「神ってたくさんいるんだ……」

天使「神なんて概念というか役職みたいなものです」

男「天使仲間とかはいないの?友達みたいな」

天使「いることはいますが……今の時期みんな忙しいので……」

男「ポイント集めですか」

天使「まぁ……」

男「でもどーしたら390ポイントしか稼げないわけよ」

天使「うっ……それは……」


過去

天使『はー早く転生したいなぁー』

天使『どっかに幸せを生みそうな芽は無いかな?』

天使『あっ!告白してる!』

男子「す、好きですっ!」おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい

天使『頭の中胸のことだけだなぁ……』

天使『ボッシュートで!!』

女子「ごめんなさい!」

男子「ぐはぁ!」

天使『これで良しッ……!』

天使『バレンタインねぇ』

女子A「あ、あのっ……これ!」

男子「えっ……俺に……?」

天使『おーおーいい感じ』

天使『でも何か刺激欲しいな……あ、そーだ』

女子B『待って!私のチョコも』

女子C『受け取ってよ!!』

天使『んー、モテ期……いや修羅場かな?』

男子「えっ?えっ??」

女子A「男くん……」

天使『しーらない、帰ろ』

男「貴方それでよく390ポイントも貯めましたね」

天使「それほどでも……」

男「それで目指してる10000点は現実味あるの??」

天使「厳しいですね」

男「まあでも大分貯まってるんじゃないかな」

天使「いや……マイナスぶっちぎってますよ」

男「でも俺はこれで幸せなわけだしマイナスってことはないと思うよ」

天使「……」

男「ここまで1日1日を真剣に生きられるなんて一生無かったと思う」

天使「でも貴方死ぬんですよ」

男「まあ……しゃーないよ」

天使「これから生きる20代30代40代が無いんですよ?」

男「んー……まあどういう人生になったかは知らんけど結局独り身ってんなら」

天使「そういう問題でしょうか……?」

男「知ってるか知らないかは大きいよ」

天使「……」

男「なんて言えばいいかわからないけど……それでもこういう人生になったことに不思議と悲しくないんだ」

男「悲しくなれない人生を送ってたってだけだけど」

男「……」

天使「……」

男「……ちょっと」

天使「?」

男「やっぱり……ちょっと死ぬのは怖い……かも……」

天使「あのっ」

天使「あの……」

男「何??」

天使「あの……1つ……お願いしていいですか?」

男「お、お願い?」

天使「その……何て言えばいいのかわからないんですけど、えっと……」

男「遠慮せずに」

天使「……強がらないで、ほしいです……」

天使「私に気を使ったりしないで、思ってることを伝えてほしいです」

天使「私のせいでこんなことになっているのに……こんなこと言うのもおこがましいですけど……」

男「わ、わかった……」

天使「私、貴方の恋人なんですよね?」

男「はい……」

天使「男くんって」

男「?」

天使「尻に敷かれるってやつなんですね」

男「そ、そーかな」

天使「きっと家庭を持ったらそうなります」

男「まあ持つ事なかったわけだが」

天使「いいえ、きっといつか持ちますよ」

男「でも俺死ぬわけで」

天使「貴方は、生まれ変わりって信じますか?」

男「んぁー輪廻転生みたいな?」

天使「えぇ」

男「正直……まあ、信じてはないけど」

天使「まあ普通はそうですよね」

男「でも天使にはあるんだよね」

天使「ケースはあれど人間にもありますよ」

男「そうなんだ……ってもだから何って感じだなあ」

天使「まあそうなりますよね」

男「俺であって俺じゃないし」

天使「……ですよね」

男「ごめん、励まそうとして言ってくれたのに」

天使「いえ、きっといい家庭を持てると思います」

天使「(きっと……そのために私がポイントをとにかく集める)」

天使「(男くんの来世のために)」



大晦日

夜中

男「もうすぐ年越しだな」

天使「人多いですね」

男「天使が天満宮にいるとかすごい図だよな」

天使「確かに」

男「寒くないか?」

天使「大丈夫です……でも……」

男「?」

天使「右手が、寒いですかね……」

男「……」 ギュ

天使「フフフ」

男「天使、変わったよな」

天使「……まぁ、自分でも思います」

男「高飛車の世間知らずお嬢様みたいな感じだったのに」

天使「うぐっ……否定できませんっ……」

男「まあ俺が願い使ったせいなんだけど」

天使「違います」

男「そうかなぁ…」

天使「スタート地点はそうであれ、私が変われたのはあなたのおかげです」

ゴーン ゴーン

10!9!

天使「わっ、な、なんですかっっ」

男「カウントダウン」

天使「あぁ……」

男「俺が死ぬときもやる?」

天使「やりません」

2!1!ゼロー!!

男「はい、おめでと」

天使「何もおめでたくないんですけどね」

ゴーン ゴーン

男「恋人と年越しできるなんて思ってなかった」

天使「人生最期の年越しですね」

男「んー、うん」

天使「……」

男「…………みんなお参りしてるなぁ」

天使「しますか?」

男「俺はいいけどさ……天使はいいのかよ」

天使「しておきましょう、お手並み拝見ですよ祀り神様と」

天使「なんてお参りするんですか?」

男「んー…………」

天使「?」

男「明日も価値のある1日でありますようにってお願いしとくか」

天使「明日のことですか」

男「うん 1日1日が大切だし」

天使「確かに……そうですよね」

男「天使は?」

天使「私ですか?私はお願いしませんよ」

男「天使のプライドか」

天使「もちろんです」

男「ま、神頼みはそこらへんにして」

天使「?」

男「屋台で何か食おうぜ」

天使「待ってました!私きりたんぽの串のやつがいいですっ」

男「急に元気になるな」

1月


男「ねえ母さん」

母「あら、なあに?」

男「俺、今年の夏から海外に行くことにると思う」

母「えぇっ!?」

男「遠く離れると思うんだ」

母「海外ってどこなの?話せるの?天使ちゃんは知ってるの?」

男「心配しなくていいよ」

母「でも」

男「大丈夫」

男「天使も一緒だから」

母「そ……そう……」

男「まあそういうことだからさ」

母「二人は結婚するの?」

男「うん、結婚前提にお付き合いしてるよ」

母「そうっ……!」



天使「お義母さまは夜勤なんですね」

男「あれなんかお義母呼びしてる」

天使「結婚を前提にと言われてしまったので……」ポッ

男「人間風邪か?」

天使「むぅ あの言葉は嘘なんですか?」

男「言うて半年後に死んでるし」

天使「嘘だったんですね……」グスン

男「おら泣き真似やめろ」

天使「やん」

男「(なんか今日ちょっと露出度高くねーすか??)」

天使「暇なんで夜だけど来ちゃいました」

男「(誘ってません?これ)」

天使「どうしたんですか?」ジーッ

男「どうもしてないけど……」

天使「顔赤いですよ?」

男「(クッ!コイツの術中にハマるわけには……!!)」

天使「男くーん?」ジーッ

男「な、なに」

天使「なんで避けるんです??」

男「おめー誘ってんな……」

天使「ッ……フフフ、だったら何なんです?」

男「否定せずに開き直るとは!」

天使「結婚だなんて……」

男「いやあれは」

天使「嘘なんですか?」

男「いや、いや……」

天使「嬉しかったのに」

男「でも俺死ぬから」

天使「子作りしましょうよ」

男「おいおいどうした」

天使「可能性はあるんですから」

男「しない」

天使「何でですか?」

男「何でもかんでもしない!」

天使「したくないんですか?」

男「しッ……たい……けど……」

天使「ふぅん……」

男「どうしたんだよ」

天使「……ちょっと、暴走してみました」

男「かなりしてるぞ」

天使「そうですかね」

男「子作りってお前……」

天使「う……自分で言ってて恥ずかしくなってきました……」

男「なぁ天使さ」

天使「?」

男「俺は天使のこと好きだよ」

天使「ッ……」

男「愛してる」

天使「……」

男「だからこそ幸せになってほしい」

天使「……」

男「俺はもう半年後にはいないから」

天使「だから何なんですか」

男「え、いやだから俺のことは」

天使「忘れろっていうんですか?」

男「そうは言ってないけど」

天使「愛してるとかかっこつけた事言うなら」

男「??」

天使「……」プイッ

男「……(こんなん俺にもわかるってーの……)」

天使「フン……」

男「ほら、天使」クイッ

天使「っ……」

天使「ん……」

男「天使」ギュッ

天使「ひゃっ!?」

男「……」ギュッー

天使「男くん……??」ギュッ

男「まあ残り半年ちょい気ままに生きるよ」

天使「気ままになんですか?」

男「気負いせずにってこと」

天使「……」ギュッ

男「今はそんなこと言ってるけどさ、多分俺……」

天使「最期まで隣にいさせてください」

男「かなり取り乱すと思う」

天使「隣にいさせてください」

男「……うん」






二月

天使「なんでチョコレートなんですか?」

男「知らねーよ」

天使「私チョコレートなんて作っ」

男「いや天使は台所にたたなくていい!」

天使「何でですか?」

男「天使ちゃん?チョコレートにタバスコは必要ないんだよ?」

天使「タバスコ美味しいじゃないですか!」

男「もう俺が作るから」

天使「本当ですか!?楽しみですっ!」

男「ぎゃくじゃね?逆じゃねーのこれ?」

天使「バレンタインチョコ……」wktk

男「(まぁいいか……)」

天使「甘めでお願いします!」

男「はいはい」

そして

6月

男「雨か……」

テレビ「再来週には梅雨明けの模様」

男「……」

男「もうすぐか」

男「……」

天使「男くん」

男「ん?いたのか」

天使「えぇ」

男「雨、やまないな」

天使「そうですね」

男「……」グゥー

天使「ご飯食べないんですか?」

男「んー……んー、腹減ってない」

天使「お腹鳴ってるのに?」

男「食欲がないのかな?」

天使「昨日のお昼からほとんどなにも食べてないですよね?」

男「まあ」

天使「最近、痩せましたね」

男「……」

天使「ご飯作ります」

男「すまん」

天使「どうぞ、召し上がれ」

男「なんつーかほんと」

天使「フフフ」

男「ここまで料理上達するとはな」

天使「愛の力です」

男「えぇ……」

天使「男くんやお義母さんがたくさん料理教えてくれたから」

男「……美味い」

天使「そうでしょう」

男「変わるもんだな」

天使「昨晩もそんなに寝れていないんでしょう?」

男「うん……」

天使「食べたら少し横になってください」

男「いや」

天使「顔色も悪いし……ね?」

男「……ん」

天使「ねぇ男くん」

男「どうした?」

天使「男くんは生まれ変わったらまた人間になりたいですか?」

男「えぇ?……まあ、そうだなぁ」

天使「…」

男「人間じゃなくても……大切な存在と一緒にいれる一生なら」

男「それこそ幸せなんだろうなぁ」

天使「……」

男「天使?」

天使「私、用事思い出したので戻ります」

男「??!」

天使「では!」シュバッ

男「お、おいっ!」

男「……???」


神「本気なのかい」

天使「ん、本気」

神「それはあまりにも……」

天使「彼の命を授かるにはもう時間が無いの」

神「人の子を授かるとは……」

天使「なに?勘当でもする?」

神「下界に降りるのかね……天使ちゃん」

天使「上も下も無いから、こんな世界」

神「リスクが大きすぎる……!」

天使「でも」

男「ここが天界か」

神「!?」

天使「!?」

男「わ、この人天使ちゃんのお父さん?」

天使「なっ」

神「願いを使ったか……」

男「使わせていただきました」

天使「男くん……」

男「天使と話したいって願ったら」

男「ここにいた」

男「天界だけにまさかの展開」

天使「私と話したい……ってだけ?」

男「うん」

天使「ッッ、そんなんで願い使うなんて……本当に馬鹿ですねあなた」

男「てっきり俺の部屋に天使ちゃんが戻ってくるもんだと思ってた」

天使「……」

神「ふむ……」

男「はじめまして……」

天使「あーもういいです話しかけないでくださいよこんなハゲに」

神「ぐっ」

男「ハゲいうな」

男「天使ちゃん、話は聞いたけどさ」

天使「……」

男「ありがとね、色々かなり考えててくれて」

天使「……これが最善です」

男「不確定すぎるっぽいし」

天使「……でも」

男「ありがとね」

天使「男くん」

俺「ん」

天使「私、必ず貴方を幸せにしてみせます」

神「……」

男「天使ちゃん」

天使「私のポイント、あなたの来世のために」

神「天使ちゃんそれは」

天使「あうっ」

男「(……、)」

男「俺生まれ変わるんですか?」

神「何とも言えんの……」

天使「……」

男「天使」

天使「な、何ですか……?」

男「……、帰ろうよ」

天使「……」

男「いや帰ろうって言い方もおかしいな」

天使「でもまだ」

男「天使……ちゃんさ、その、自分のポイント犠牲にして俺を助けようとそんな感じの事考えてるでしょ」

天使「それは……」

男「ありがとね。でもそういうのは望んでない」

天使「貴方が望んでいなくても私は」

男「そんな方法望んでないし願ってない」

天使「でも、でも……!」

男「俺の家に戻ろ?アイス食べるんでしょ?」

神「天使ちゃん……」

天使「わ、わだ、わだし……」

男「今俺にとって幸せな時間は君との何気ない時間なんだよ」

天使「……はい」

男「戻ろ?」

天使「……はいっ」

神「……」

男「あの、それともう一度だけここに来てもいいですか?」

神「もう一度?」

男「はい」

神「……」

男「……」

神「構わんよ。一度だけ許可しよう」

天使「一度だけとかケチくさいこと言ってんじゃねーよハゲ」

神「ぐふっ」

男「(娘に弱すぎだろ)」





男の家

男「あれ、そんな時間経ってない!?」

天使「まあ天界とは少しラグがありますから」

男「はぇー……」

天使「にしても天界に来るとは驚きました」

男「こっちが驚いた」

天使「そんなに私に会いたかったんですか?」

男「うん……なんとなく」

天使「何となくで願いを使うなんて……」

男「何でかな?……なんか……うん、よくわかんないけど」

天使「ねぇ男くん」

男「?」

天使「あと一ヶ月足らずで死ぬんですよ?」

男「知ってる」

天使「怖くないんですか?」

男「いやまあ怖いよ」

天使「そんな風に見えませんが」

男「現実的な話ってわけでもないじゃん?」

男「それにちょっとなんかミラクル期待してたりさ」

天使「そ、そのミラクルが例えば私がににににんにに、にんしん……とか……」

男「しても俺が死んだら?」

天使「うっ」

男「天使はどうするの?子供はどうなるの?」

天使「……」

男「もっと悲しい結果になるかもしれないじゃん……さすがにそこに賭けたくない」

天使「はい……」

男「君の事が好きだからね」

天使「はい」

男「ぷっ、何キザなセリフ言ってんだ俺」

天使「自分で笑わないでください」

男「誰かに好きだなんて言える人生」

天使「……」

男「その言葉を受け止めてくれる人がいる幸せ、普通に生きてたら無かったと思う」

天使「それはわからないですよ」

男「いーや、ない」

男「残り短いけれどよろしくね」

天使「本当に…いいんですか?」

男「うん」

天使「私のせいで死ぬんですよ」

男「違うよ」

天使「違くないです」

男「きっとこうなる運命?だったと思う」

天使「私がもっと……真面目であればこんなことにならかった……!」

男「えーでもそれじゃ天使に会えないじゃん」

天使「でも貴方にはきっと残りの100年で素敵な出会いや体験があったはずです」

男「いいよそんなん 童貞なんだし」

天使「結婚や異性関係だけが幸せではありません」

男「まぁそうだろうけどさ」

天使「私が奪ったんです」

男「奪ったっていうほど人生じゃないと思うけど」

天使「貴方は優しいからそういうことが言えるだけです」

男「それでも天使に会えなかったのを考えると俺はこっちの人生選ぶけどね」

天使「……」

男「まあ天使の方は乗り気じゃないだろうけどさ……」

天使「んーん」フルフル

天使「貴方のおかげで変わりましたもん私」

男「確かに」

天使「もっと別の形でお会いしたかったです」

男「んー……そうだよなぁ」

天使「男くん、お腹空いてません?」

男「まあ少し」

天使「夜食作ります」

男「それじゃあ、お言葉に甘えて」

天使「~♪」

男「(料理ドドド下手だったのに)」

天使「フンフンーン」

男「(ここまで手際よくなるんだもんなあ)」

男「(きっと天界でもいいお嫁さんになれるな)」




男「美味しかった」

天使「フフフ、それほどでも」

男「もうこんな時間か……」

天使「そうですね」

男「戻らなくて平気なの?」

天使「む……帰したいんですね」

男「い、いやいやそうじゃなくて」

天使「フーン」プイッ

男「いつも戻ってる時間だからさ」

天使「冗談ですよ。でも、帰りたくはないです」

男「う、うん……」

天使「ちょっと戻らなきゃいけないので、また明日」

男「うん、また明日な」

天使「……それじゃぁッーん……」

男「……また明日な」

天使「口にケチャップつけたままキスしないでくださいよ」

男「えッ!? ンムッー」

天使「…………、もうとれましたよ」

男「……」ドキドキドキドキ

天使「フフフ、ではっ」ファサッ

男「うん」

男「……」

男「ありゃ小悪魔だろ」

男「なんかもうこの流れだと我慢できそうにもない……」

男「あれか?死に間際に子孫を残そうとするあれか??」

男「…………」

男「俺、死ぬんだよな……」

男「寝よ……」

天界

悪魔「おっひさー」

天使「悪魔ちゃぁぁん!」ガバッ

悪魔「あんっ 節操無い子」ヨシヨシ

天使「グスン」

悪魔「んで、どったの?」

天使「実はね……」

かくかくしかじか

悪魔「うげっ!天使ちゃんも鬼だね」

天使「いや、まあ……うん……」

悪魔「親子喧嘩で人間の余命一年にしちゃうとか、あーしでもやらないわ」

天使「これ内緒だからね皆には」

悪魔「んもー、そゆことあんまりペラペラ喋っちゃ駄目だっつーの」

天使「悪魔ちゃんは信用してるから……」

悪魔「やん」キュン

天使「どうにか方法無いかなって……」

悪魔「にゃるほどねぇ」

天使「その、一応賭けとして私が……彼のね……」

悪魔「エッチしたの?」

天使「してないっ!」

悪魔「あん、怒んにゃいで」

天使「でも彼はそれを望んでいないし…」

悪魔「ふーん……天使ちゃん前にして欲情しないとかホモなんじゃない?」

天使「あ、でもキスは……した……」

悪魔「キスなんて挨拶でしょーそんなん」

天使「うぅ」

悪魔「やん顔真っ赤」

悪魔「んで、あーしにも何か方法無いか調べて欲しいって事ね」

天使「うん……魔界にも何か策はないかと思って……」

悪魔「任しといてよっ!」

天使「ありがとぉー!!」

悪魔「……」キュン

天使「悪魔ちゃん?」

悪魔「ほんと天使だわ」

天使「???」


男 残りの願いは2つ

男「……」

男「(天使が訪れたのは7月7日……)」

男「(俺はその日に死ぬ)」

男「(どうやって死ぬんだろ)」

男「(デスノートみたいに心臓麻痺かな?)」

男「(痛いのかなあ……死ぬって……)」

天使「男くん」

男「ウオッー」

天使「間抜けな顔して」

男「びっくりした」

天使「何考えてたんですか?」

男「えー?んー、死ぬって痛いのかなって」

天使「どうなんでしょう……」

男「あとさ」

天使「?」

男「俺ってさ死んだらどうなるの??」

天使「それは……言えません……」

男「あ、そうなの?」

天使「ごめんなさい……それは極秘なので」

男「クソッ!めっちゃ知りたい!!」

天使「私も詳しくは知らされていません」

男「神のみぞ知るってこと?」

天使「まあ、そんなのころです」

男「そっか」

天使「気になりますよね」

男「いや、んー、ていうかさ」

天使「?」

男「死んでも天使に会える可能性あるのかなーって」

天使「、」

男「いやまあほら天使なわけじゃん?俺は召される側じゃん?」

天使「それは……」

男「それは……?」

天使「……グスッ、それは……わがり……ません……」

男「そっか」

天使「……」コクコク

男「会えないんだな」

天使「……グスッ」

男「そんな号泣されちゃ答え言ってるようなもんだよ」

天使「ずみまぜん‥ッ」

男「会えないんだな」

天使「……グスッ……」

男「あぁもうそんな号泣すんなよ」

天使「ヒグッ……だっで……」

男「ほらもう可愛い顔が台無しだぞ」

天使「グシュッ」

天使「男くん……」

男「どした?」

天使「……」

男「(……キスしろってこと?)」

天使「……ん」

男「……」

天使「最後まで諦めないでください」

男「え?え、うん」

天使「まだ可能性が残っている以上そこに賭けるしかないんです」

男「可能性?」

男「なんかそれ危ない賭けだったりしない?」

天使「そ、それは……大丈夫な、はずです」

男「目泳がせながら言うなよ」

天使「あう」

男「危ない方法試そうとしてない?」

天使「……してません、ただ友人に相談したので」

男「そっか」

天使「その方は天界ではなく冥界や魔界の住人なので」

男「すげえの出てきたな」

天使「あちらの世界に何か手掛かりがないものかと」

男「魔界……」

天使「親友なんです」

男「なんかよくわからん世界だの」

天使「種族は違えど平和なので」

男「ふーん」

天使「……」

男「俺は大丈夫だって」

天使「大丈夫じゃないです」

男「まあ、大丈夫……じゃないかもだけど」

天使「……」

男「……」

天使「……私、帰りますね」

男「うん」

天使「む 引き留めないんですね」

男「一緒に寝るの?」

天使「い、い、一緒にですか!?」

男「冗談だよ」

天使「ッ、……」

男「なんやかんやウブというか」

天使「もう帰ります!!!」

男「あ、怒った」

天使「また明日!」

男「うん またね」

男「……」

男「また明日か……」

男「俺、死ぬんだよな…………」

男「そうだよな、俺死ぬんだった」




TV「今年の七夕はー」

男母「もうすぐ誕生日ねえ」

男「え?あぁ……(命日でもあるけど)」

男母「どこか食べにでも行く?天使ちゃんも一緒に」

男「いや、もうその日には俺海外に出発してるんだよ」

男母「あらそうなの?」

男「うん」

男母「残念ねぇ」

男「もしかしたら、もう日本には戻って来ないと思う」

男母「そうなのっ?」

男「うん」

男母「そう……」

男「母さんも新しい人と幸せになるんでしょ?」

男母「知ってたの?」

男「息子だよ?わかってたよ」

男母「男君にはすごく悲しい思いさせちゃったからね……」

男「気にしないでよ」

男母「ごめんね、母親失格なのに……」

男「俺の母さんは母さんだけだよ」

男母「男くん……」

その後男は手当たり次第に


男「今までありがとう」

男「お世話になりました」

男「またいつか会いにくるよ」

数少ない友人やバイト時代の仲間、親族へ挨拶にまわる

男「えっと」

男父「男母から聞いた、海外行くんだってな」

男「うん……」

男父「お前には辛い思いしかさせてない……すまなかった!!」

男「わっー!?土下座とかやめろって!!」

男父「……」

男「ほらもう頭あげてよ!」

男「もう過去のことなんていいから」

男父「……」

男「その、母さんに何かあったらよろしくね」

男父「わかってる」

男「父さんも新しい生活あるんだし」

男父「こっちに帰ってきたら顔出してくれ」

男「……うん、でも」

男父「?」

男「もう帰ってこない……かな……」

男父「そうか……達者でな」

男「うん」




天使「挨拶まわりですか」

男「うん……疲れた……」

天使「お疲れさまです」

男「もう梅雨あけるなあ」

天使「7月入るころには明けるそうですね」

男「じめじめしてる中死ぬのは嫌だからな」

天使「……」

男「ねえ」

天使「はい?」

男「俺、死ぬんだよね」

天使「……はい」

男「これと言って身体に変化無いなあ」

天使「まだ1週間以上あるじゃないですか」

男「いやさ、死ぬ週は病院のベッドで過ごしたりされたら勿体ないじゃん」

天使「まあ確かにそうですよね」

男「だから早めにみんなに挨拶しといたけど」

天使「なるほど」

男「この歳で終活するとは……」

天使「それは何ですか?」

男「手紙、母さんに」

天使「……そうですか」

男「預金も全部おろしてきたし」

男「やることやっとかねえとな」

男「突然死が理想なんだけどなあ」

天使「うぅ」

男「何しろそれがわからないからさ」

天使「すいません……」

男「いや謝るなって 教えられないんだろ?」

天使「そうじゃ無くて……そもそも私のせいでモゴッ」

男「はいもうそれ以上は禁句な」

今さらだけど>>55は「同級生の父親」だわな

天使「でも、でも私が壊したんですッッ!あなたの人生……」

男「天使」グイッ

天使「きゃっ」

男「壊れてなんかないよ」ギュッ

天使「……」ギュッ

男「この一年、きっと100年生きててもやり遂げられなかった事全部出来た」

男「100年よりも重い1年なんだよ」

天使「貴方、優しいですよね」

男「そうかな?」

天使「私も随分感化されたと思います」

男「まあ天使ちゃん変わったよね」

天使「はい……」

男「最近泣いてばっかだねぇ」

天使「だって……」

男「当の本人は元気なんだし泣くなって」

天使「あぃ…」







天使「では、戻りますね」

男「うん また明日」

天使「また明日」

男「寝よ……」

男「……」

男「…………」

男「ッ」ガバッ

男「ハァハァ……寝れない……」

男「(あと1週間……?もう……?)」

男「(天使の前ではかっこつけたけど……)」

男「(……)」

男「(何で?)」

男「(そもそもなんで俺は死ぬんだ……?)」

男「……ハァハァ 」

男「何で……」

男「…………たくない……」

男「死にたくない…………ッ、……」ブルブル

天使「男君」

男「!?」

天使「戻ってきちゃいました」

男「ッ、……んな時間に……」

天使「……一緒に寝ていいですか?」

男「ええっ?」

天使「隣、いいですか?」

男「……うん」

天使「眠れませんか?」

男「ごめん、なんかやっぱ寝付けない」

天使「私の天使の力で脳波を和らげます」

男「ほぁ?」

天使「それくらいはさせてください」

男「んーなんかリラックスしてきた……」

天使「死ぬの、怖いですよね」

男「まぁな……色々気になるじゃん」

天使「?」

男「来週からの出来事、全部わからないわけだし」

天使「これから起こる未来ですか」

男「些細な事までも気になってくるんだよ、来週のジャンプの内容すらも」

天使「……そうですか」

男「関係無い事だって割りきっても」

天使「そう簡単には割り切れないでしょう」

男「んー、わかっててもねぇ」ウトウト

天使「眠いですか?」

男「ん……」

天使「これからは毎晩私と寝ましょうね」

男「フフフ……なんないやらしいな……そのワード」

天使「いやらしい意味でも大丈夫ですよ」

男「またそういう事を……」ウトウト

天使「おやすみなさい」ギュッ

男「(やわらけ……)」

男「(本当に天使に抱かれてるって感じだな…………)」

男「……zzz……zzz……」

天使「男君……好き……」

男「……」

翌日

男「おはよう」

天使「おはようございます」

男「よく眠れた……久々に……」

天使「なら良かったです」

男「すごいんだな天使って」

天使「すごくないです」

男「一応聞くけどこの安眠のためにポイント使ってたりしないよね?」

天使「してないですよ」

男「そか」

男「そんでな、俺天界に行きたいんだが」

天使「へ?」

男「一度だけ許可しようって言われてるし」

天使「なるほど……」

男「神様と話がしたい」

天使「ちょっと待ってくださいね」

男「うん」

天使「OKだそうです」

男「うん」

天使「手を」サッ

男「……」サッ


ーーー天界

神「ふむ」

男「どうも」

天使「何が ふむ だ」

男「ねぇ天使ちゃん」

天使「何ですか?」

男「俺、この方と二人で話したい」

天使「二人で?」

男「いいかな?」

天使「ハゲと何話すんですか?」

男「ちょっとね」

天使「気を付けてくださいね」

神「何をじゃ」

天使「外にいますね」バタン

男「うん」

神「話とは……」

男「この会話、天使には聞かれてませんよね?」

神「安心してくれたまえ」

男「そうですか」

神「私の権限をもって、出来る限りの質問に応えよう」

男「ありがとうございます」

男「まず、死因は極秘と聞いたんですが」

神「いかにも」

男「その、死亡時刻までは五体満足?というかピンピンしている状況なのかは教えてもらえますか?」

神「そう思ってくれて構わない」

男「死亡時刻は……」

神「私が捺印してしまった時刻は日本時間7/7の夜22時17分43秒となる」

男「なるほど……ありがとうございます」

神「して、願いがあるんじゃろう」

男「見透かされてましたか」

神「……申してみてくれ」

男「はい、願いは二つ」

男「まず一つは……」






男「ありがとうございました」

神「しかと聞き入れた」

男「宜しくお願いします」

神「男君」

男「?」

神「これから先も天使を宜しく頼む」

男「いや、支えられてるのはこっちですよ」

神「悲しくも運命として受け入れてくれた事、心から感謝している」

男「まあこの一年楽しかったですから」

天使「まだ話してるのっ?」バン!

男「あ」

神「こらっ」

天使「またこのハゲが話長かったんでしょ?」

男「いや、俺が色々文句言っちゃってさ」

天使「もっと言っていいですよこんな奴」

男「いや当たり強いな」

神「昔は可愛かったのに……」

男「それじゃ戻ります」

天使「戻りましょ」

神「……」

男「……」ペコ

天使「頭下げなくていいですよ、ハゲますよ?」

神「ぐふっ」

男「(娘に弱い)」



天使「何話したんですか?」

男「んーちょっとね」

天使「む」

男「そんな大した話じゃないよ」

天使「ふーん」

男「何だよ」

天使「隠し事するんですね」

男「い、いや別に隠し事ってわけでも……」

男「まあ天使のマイナス減算とかについてさ」

天使「……」

男「俺は何も怒っても咎めてもないからそこらへん宜しく頼むって感じの事話した」

天使「そう……ですか……」

男「うん」

天使「やっぱりまだ隠し事してますね」

男「おぇっ?」

天使「フフフ ほら」

男「ってないし!」

天使「男君、浮気とかすぐバレるタイプですね」

男「いやしないし」

男「ったく、もう寝る!」

天使「そうですね」

男「……あそっか」

天使「何がです」

男「天使も一緒に寝てくれるのか」

天使「はい」

男「昨日のあれすげえ眠れた」

天使「そんなに抱き締められたいんですか」

男「……まあ、うん」

天使「フフフ」

男「(今週死ぬのか……)」

天使「男さんは生まれ変わったら何になりたいですか?」

男「んー?んー……やっぱ日本人かなあ」

天使「そうですか……」

男「次は……」ウトウト

天使「?」

男「誰かを幸せにできる人生……がいい……」ウトウト

天使「……そうですね」ギュッ

男「……zzz」

天使「(その人生、必ず私が……)」

天使「(それがせめてもの償いだから……)」

天使「おやすみなさい、男君」

翌日

男「雨か……」

天使「午後からは晴れるみたいですよ」

TV「来週から公開される」

男「あーあの続編やるんだ」

男「そっか」

天使「……」

男「ま、どーでもいいことか……」

TV「本日未明に発生した事故で男女3人が亡くなりました」

男「この人たちは」

天使「?」

男「今日自分達が死ぬって知らなかったよな 」

天使「えぇ、まあ……」

男「こういう事故死でも天界で決まってるの?」

天使「まあ、ほとんどはその運命が決まっています」

天使「天使含めて神もその事象には逆らえません」

男「へぇ……」

天使「神は認可を捺すだけでそれに抗う事も基本的には認められていません」

男「なんか神より上がいるみたいな」

天使「まあ似たような存在はいますよ」

男「明日死ぬってわかってるのと」

男「何も知らないまま死ぬのって」

天使「…」

男「どっちがいいのかな」

天使「そんなの、どっちも不幸ですよ」

男「まぁねぇ」

天使「……」

男「なぁ」

天使「?」

男「天使は俺が死んだらまた天界に戻るんだろ?」

天使「はい」

男「ポイント、貯まってるといいな」

天使「はい……」

バチチチ

男「!?」

天使「!?」

バチチチッッッ!!!

男「な、なに!?何だぁ!?」

天使「これは……!!」

悪魔「やほっー」

天使「悪魔ちゃん……!!」

男「誰っ!?」

悪魔「悪魔ちゃん登場だよっ」

男「……誰?」

天使「私の親友です」

悪魔「冥界美少女の悪魔ちゃんです」

男「は、はぁ」

悪魔「びっくりさせて許せぽねっ!」

男「??? そ、そんで何しに??」

悪魔「ンッフッフッ、天使ちゃんの彼ピかあ」

悪魔「君がねえ……死なない方法」

男「((近い))」

悪魔「へぇ……童貞なんだ」クンクン

天使「ちょ、近いよ悪魔ちゃんっ」

悪魔「あんっ 怒んないで」

男「て、てか死なない方法??」

天使「……! な、何かあったの!?」

悪魔「あることにはねぇ……ンッフッフッ」

天使「ど、どんな!?どんな!?」

悪魔「ニャハハ、天使ちゃんがっつかないでぇ」

男「……」

悪魔「君さぁ、冥界においでよ」

男「?」

天使「!?」

悪魔「人間やめてさ、冥界にくればいいんだよ」

男「???」

天使「そ、それは……」

男「冥界?ってのは……天界みたいなところ?」

悪魔「似たよーなもん!可愛い子も多いよ!」

男「いや、まあ、まだちょっと話についていけなくて」

悪魔「悪魔に魂を売るってこと」

男「えぇ……」

悪魔「誤解されてるけど悪い意味でもないんだよぉ?」

男「いゃ……うーん……」

悪魔「ただね」

男「?」

悪魔「冥界と天界の異性は接触禁止なの」

天使「……」

男「と、いうことは……」

悪魔「まあ天使ちゃんには会えないねえ」

男「……そっか、いやそもそも冥界に行く気とないけど」

天使「……」

悪魔「死なない方法はそれくらいしかなかつまたからねぇ」

天使「で、でも男君」

男「?」

天使「死なない事は死なないんですよ?」

男「二人ともありがとう」

悪魔「そだ!君の願いっての使えば何かと融通聞くんじゃにゃいの?」

天使「!」

男「いや」

悪魔「いや?」

天使「?」

悪魔「んーー??」ジーっ

男「いや近いっす」

天使「むぅ」

悪魔「……君、願い使い切ってるじゃん」

天使「ぇ?」

男「……うん」

天使「あれ?男君、あと2つあったはずですよね?」

男「うん、使った」

天使「何に使ったんですか?」

男「んー?んー……秘密」

天使「むぅ」ムスッ

男「いや別に大したことじゃないよ」

天使「じゃあ教えてくれていいじゃないですか」

男「それは、……できない」

悪魔「ふーーーん……」ジー

男「ガン見やめて」

悪魔「君、優しいんだね」

男「ッ……」

天使「???」

悪魔「ごめんね、天使ちゃん」

天使「謝らないで」

悪魔「死なせないにせよこんな方法しか見つからなかった」

天使「調べてくれてありがとう……」ギュッ

悪魔「ひゃっ」

男「あ、あの悪魔さん」

悪魔「にゃーに?」

男「ちょっといい?」

悪魔「んー?」

天使「む、二人でなにコソコソ話すんです?」

男「いやちょっとさ」

天使「むー」

悪魔「大丈夫大丈夫 親友のかれぴには手出さないからっ」



男「その、俺の願いとかわかったの?」

悪魔「うん、あーしには特別な目があるの」

男「そっか」

悪魔「天使ちゃんには秘密にしておくから安心して」

男「……うん」

悪魔「君、冥界来ればいいのに」

男「遠慮しておく」

悪魔「あーしの目はね色んなコトが視えるの」

男「?」

悪魔「君は運命って信じる?」

男「勿論……いや、まあ信じてるのは宿命に近いけど」

悪魔「運命ってのはねぇ、ある意味掴みとるものなんだよ」

男「?」

悪魔「二人の運命……視ててあげる」

男「……」

天使「何話してたんですか!?」

男「ん、いやちょっと冥界に誘われた」

天使「っ、……行くんですか?」

男「行かないよ」

天使「そうですか……あ、あの別に私のことは気にせずに」

男「それは無理」ギュッ

天使「ッ……」ギュッ

男「もう俺の人生、天使でしか廻ってないから」

天使「それはこっちも同じです……」

男「天使、俺が死んだらどうすんのさ」

天使「それは……それは……」

男「絶対に自分の幸せのために生きてほしい」

天使「……」

男「俺に対しての贖罪とかそういうの背負ってほしくない」

天使「それは無理ですよ」

男「無理じゃないよ」

悪魔「あーコホン」

天使「っ」

男「っ」

悪魔「んー、今晩は眠れない夜になりそうですな」

男「な、何が言いたいのさ」

天使「……///」

悪魔「それじゃ、あーしは邪魔になっちゃうし帰るね」

男「ありがとう悪魔さん」

天使「ありがとうね悪魔ちゃん」

悪魔「ンッフッフッ!ばいび!」

男「雨、止んだな」

天使「ですね」

男「散歩がてら少し出ようと思う」

天使「いいですね」

男「……手繋いでいくか」

天使「はいっ」

散歩中

天使「あっ」

男「あっ」

カキーン

天使「イヤリングが……」

男「壊れた?」

天使「んー、少し……壊れてますね……」

男「アンモライトのとこ割れてるな」

天使「ごめんなさい、いきなり落ちたので」

天使「不吉やの……いやまあもう死ぬわけだが」

男「これだけ割れてるとなあ」

天使「悪魔ちゃんに修理依頼するので」

男「悪魔さんに?」

天使「冥界に凄腕の修復士がいるんです」

男「ほぉ」

天使「せっかくの男君からの贈り物ですから……きちんと直したいです」

男「……うん(なんか恥ずかし)」



悪魔「おっけー、もしかしたら時間かかるかもだけど」

天使「うん、お願いします」

悪魔「アンモライト……」

天使「悪魔ちゃん?」

悪魔「へ?あ、ご、ごめん預かっておくねっ!」

天使「はいっ」

悪魔「……」

悪魔「(都合よく壊れるのも……運命ってやつなのかな?)」

悪魔「……」


男の部屋

天使「ねえ男君」

男「ん?」

天使「その……抱かないんですか?」

男「えっ」

天使「意味わかりますよね?」

男「う、うん……合体ってこと?」

天使「……」

男「え?え!?言わせてそれ!?」

天使「うぅ……」

男「顔真っ赤やん」

天使「私にそんな魅力ないですか?」

男「いやあるよ!ありまくりだって」

天使「私、男君がいいです」

男「いゃ……俺、死ぬんだよ?」

天使「はい」

男「……」

天使「……」

男「それは……できない……」

天使「どーしてですか?」

男「だって天使はこれから先恋人ができると思う」

天使「できません」

男「ちょいちょいモテ自慢してきたくせに」

天使「自慢じゃなくて事実です」

男「それに処女じゃないあーだこーだ言ってたやん」

天使「私の恋人は貴方です」

男「その先は?」

天使「いません」

男「できるよ」

天使「できません」

男「だから」

天使「……グスッ」

男「ちょいちょいモテ自慢してきたくせに」

天使「自慢じゃなくて事実です」

男「それに男と付き合うときは処女じゃないといけないとかあーだこーだ言ってたやん」

天使「私の恋人は貴方です」

男「その先は?」

天使「いません」

男「できるよ」

天使「できません」

男「だから」

天使「……グスッ」

天使「……何なんですか」

男「天使」

天使「だっだら、だったら……最初から恋人なんてしないでよッ……」

天使「優しくなんてしないでよ……」

男「ごめん」

天使「もういいです……私戻ります」

男「あ、うん……」

天使「……」

男「あのっ」ガシッ

天使「っ、離してください」

男「いや、その」

天使「離せってんだろ!」グイッ

男「っ」パッ

天使「父との会話でわかってると思うけど、これが本来の私だから」

天使「恋人ごっこももう終わり」

天使「ふざけた願いで恋人になんてされて……キスまでして……」

天使「ふざけんなッ……!」

男「……(駄目だ……)」

男「(その通りだ……言葉が出てこない……)」

天使「じゃ、帰るから」ファサッ

男「あっ」

朝 7/5

男「……寝れねえ」

男「ハァ」

男「(まあでも……これでよかったのか)」

男「ハァ……」

男「どーせ死ぬんだからな……」

男「さてっ」

男「母さん」

男母「あら?今日出るんだっけ?」

男「ん、まあ色々あってさ」

男母「天使ちゃんは?」

男「天使は……別れた……」

男母「っ、そう……」

男「ほらやっぱ海外ってなるとさ」

男母「そうねぇ」

男「誕生日になったら机とか整理しといてよ」

男母「捨てちゃっていいの?」

男「まあ戻ってこないし……」

男母「……そう」

男「(机の中に手紙とお金は入れておいたから)」

男「母さん」

男母「?」

男「生んでくれてありがとう」

男母「ううん、あなたこそ……生まれてきてくれてありがとう」

男「じゃ、俺行くから」

男母「行ってらっしゃい……!!」



電車

男「(ハァ……ほんとは二人で行くはずだったんだけどなあ)」

男「(でもこのほうが天使にとってよかったもんな)」

男「(そもそも俺が天使を恋人にしたせいだ)」

男「(最初から一人で適当に一年過ごして死んどけばよかったんだ……)」

男「……死にたい」

男「(この間までは死にたくない死にたくないだったのに……)」

男「(笑えるな)」

>>258
日付間違えた 7/6や

宿

女将「いらっしゃいませ」

男「あ、どうも……」

女将「ご予約の方ですか?」

男「はい 7/6に予約していた男です」

女将「本日予約の……2名様一泊二日ですね」

男「あ、それでなんですけど」

女将「こちらへどうぞ」

男「えっ、あの」

天使「早く行くわよ」

男「えっ!?」

天使「何間抜け面してんのよ、ほら荷物持ってよ」

男「いやなんで」

女将「こちらになります」

男「あ、どうも」

女将「お食事は食堂でのご利用でよろしかったですか?」

男「あ、は、はい」

女将「個室でのご利用もお気軽にお声かけくださいね」

男「ありがとうございます」

女将「それでは、失礼しました」

男「……」

天使「……」

男「……」

天使「……」

男「……あの」

天使「……なに」

男「何故ここに」

天使「悪い?」

男「いや、よくわかったね」

天使「別に恋人の場所くらい把握しててもおかしくないでしょ」

男「……いや、うん」

天使「ねえ」

男「?」

天使「……私の記憶、消すんだね」

男「!!!!!!」

天使「……実はね」

ーーー

天使『もう知らないあんな奴!』

天使『グスッ……』

神『男くんの元へいてやらんのか?』

天使『もうどうでもいい』

神『しかし』

天使『あんなやつどーでもいい』

天使『勝手に死ねばいいし……知ったこっちゃない……』

神『それは許されん』

天使『許されないならどうぞ』グスッ

神『天使ちゃん……』

天使『蛇にでもなんでもしてください』

神『天使ちゃん……男君は……』

悪魔『天使ちゃんっ』

天使『悪魔ちゃん……グスッ』

悪魔『あ、はげちゃぴオジ様ちーっす☆』

神『ぐふっ』

天使『悪魔ちゃんあのね……』

悪魔『ねえ天使ちゃん』

天使『?』

悪魔『男君はね、願いの一つを使って天使ちゃんの記憶を死ぬときに消すんだよ』

天使『……え?』

悪魔『内緒にしとくって言ったんだけどねえ』

天使『……』

悪魔『ま、あーし悪魔だし』

悪魔『流石にこの状況じゃ秘密にはしておけないからね』

天使『記憶を……?』

神『うむ、その通りじゃ』

天使『ならもう一つは?』

悪魔『単純に……天使ちゃんの幸せを願ってたよ』

天使『……』

悪魔『これから死ぬっていうのに、優しいね彼』

天使『……ん、』

天使『私の恋人だもん』

悪魔『ぇぇー?別れたんじゃないの?』

天使『別れてない』

悪魔『今からあーしが思い出作りにでも行こうかと思ったのに』

天使『だめっ!』

悪魔『ンッフッフッ』

天使『私が側にいるから……』ファサッ

悪魔『行ってら』

神『……』

ーーー

男「悪魔ちゃんめ……うわぁ!?」

天使「……」ギューー

男「天使?」ギュッ

天使「……」

男「その、記憶を消すことを黙っててごめん」

男「俺は背負ってほしくないし」

男「君にはきちんと幸せに生きてほしい」

天使「……」コクン

男「怒ってるよな」

天使「……」フルフル

天使「……好き」

男「俺も天使のこと大好きだから」

男「ここまで好きになるって思ってなかった」

天使「ん……」

男「……」

天使「あと残り1日しかないけど」

男「うん」

天使「全身全霊で本気で私を愛して?」

男「……うん」





7/7



男「俺ほんとにこれから死ぬのか?」

天使「うん」

男「心臓麻痺かなあ……」

天使「……お股ジンジンする」

男「……そりゃあんだけすればね」

天使「……綺麗な星空」

男「この海岸はさ」

天使「?」

男「両親が仲良いころ毎年来てたんだ」

天使「そうなんだ」

男「夜になると星が綺麗でね」

天使「七夕ってやつですもんね、今夜は」

男「……うん」

天使「……」

男「……」

男「天使、素敵な一年をありがとう」

天使「やめてください、私は奪ったんです」

男「最高の一年だった」

天使「違う……私のせいで」

男「100年ぽっちじゃ割に合わないくらい幸せだったよ」

男「両親とも仲直りできたし」

男「色んなこと体験できた」

男「やっぱり残念なのは」

天使「……」

男「毎年同じ季節を好きな人と過ごせないってことかな」

天使「私、まだ貴方に伝えきれてない想いがたくさんあるのに」

天使「まだ……たくさん……」

男「天使」

天使「んっ」

男「天使ならきっと素敵な天使になれる」

男「ポイントだって貯まるし素敵な人生になる」

男「だから自分のために生きてほしい」

天使「……」

男「ありがとう」

天使「男くん……好き」



ーーープツン

天使「…………???」

天使「はえ?」

天使「ここ……どこだ???」

天使「海岸??ベンチ??」

男「ここは○○県の○○海岸ですよ」

天使「……下界!?」

天使「何で私下界にいるんだ」

男「ベンチで……少し疲れて寝ていたみたいでしたよ」

天使「あ、どうも……」

男「それじゃ、私は行くので」

天使「……」

男「ありがとう」ニコッ

天使「あっ、…………誰……??」




>>222

男『その、死亡確定時刻の5分前に天使の記憶を消してください』

神『……わかった』

男『後の事はその、任せるので』

神『本当にいいのかね?』

男『あまりにも重すぎます……俺なんかの事で背負ってほしくないです』

神『……ふむ』

男『きっと、真面目な天使でいると思いますよ彼女』

神『どうかの』

天使「なーんで下界に降りてきたんだろ私」

天使「んー、でも星めっちゃ綺麗」

天使「ね、綺麗だね?」

天使「……?」

天使「(何……誰に話かけたの私……??) 」

天使「……???」

天使「うーん……」

天使「…………」

天使「心なしかお股がむずむずする」

天使「(天界に帰ろ……)」

天使「…………待って、……」

ピーポー ピーポー

ピーポー ピーポー ピーポー

天使「……(何かとてつもない事を見落としてるような……忘れているような……)」

天使「何だろうこの胸騒ぎ…… 」

ピーポー ピーポー …………

天使「……」

神「天使ちゃん」

天使「……ハゲ」

神「帰ろう、天界に」

天使「うん」

神「……」

天使「……待って」

神「?」

天使「さっきの、さっきの人は???」

神「はて?」

天使「さっきいた人!!さっきの人どこ!!?」

神「もう……おらんじゃろ」

天使「よ、よくわからないけど……私あの人に会わなきゃ……」

神「……」

天使「え?あれ?なんで泣いてるんだろ?あれっ?ウケるなにこれ」

神「天使ちゃん……」

天使「……グスッ」

神「もう、彼はいない」

天使「でもさっきまでいたもん……グスッ」

神「帰ろう……」

天使「…………」






「天使ちゃんポイントトップだねえ」
「急に目覚めたようにポイント稼ぎだしたもんね」
「一時は落ちこぼれていたとは言え、流石は主席入学だよ」

天使「ねえハゲ」

神「なんじゃ」

天使「私のポイントを言ってみたまえ」

神「10050ポイントじゃ」

天使「つっえぇーい!!」

神「ハァ」

天使「やっぱ私ってすごいのね」

天使「なんか生まれ変わったように人助けしちゃうし」

天使「これもひとえに才能ってやつ?」

神「(彼のおかげじゃろ……)」

天使「なんかこうモヤモヤはあるけど」

天使「ついに私の幸せを掴む時がきたわね!!!!」

天使「はぁ、憧れの転生幸せライフ」

天使「想像しただけで笑いが止まらない……!」

悪魔「天使ちゃん!」

天使「悪魔ちゃん……!久しぶり!」

悪魔「おめでと!10000ポイント達成したんだって?」

天使「うんっ」

悪魔「そっか……よかったね」

天使「会えなくなるのは寂しいけど」

悪魔「うん……」ギュッ

悪魔「天使ちゃん」

悪魔「これ、持ってきたよ」

天使「……イヤリング?」

悪魔「アンモライトのイヤリング、治ったよ」

天使「……これ‥……」

悪魔「(アンモライト……宝石言葉は過去を断ち切る……でも……)」

天使「これ……」

悪魔「私はね、運命だと思って今日持ってきたよ」

神「……」

天使「……とても……とても大切な人から貰った気がする……」

天使「あれ?なんでだろ?思い出せない……」

天使「あれ?あれっ……??グスッ あれ?」

天使「グスッ……大切なはずなのに……思い出せない……」

悪魔「天使ちゃん……」

天使「これ……くれたの誰??」

悪魔「それは」

神「もうこの世にいない」

天使「……そっか」

天使「その人、死んだの?」

神「亡くなった」

天使「転生は?」

神「未定じゃ」

天使「ねえハゲ」

神「ぐふっ?」

天使「私のポイント、全部その人の転生に使って」

悪魔「えぇ!?」

神「っ」

天使「使えるでしょ?」

神「使えるが……それだと天使ちゃん」

悪魔「天使ちゃんそれじゃあ0で転生になっちゃうんだよ!?」

天使「うん」

悪魔「うんって……」

神「本当にいいのか?」

天使「うん、なんかモヤモヤすっきりした」

天使「その人に使ってほしい」

神「頑張って貯めた10050ポイントじゃぞ?」

悪魔「自分の幸せのために貯めたんでしょ?」

天使「うんっ、私の幸せ……この人に使いたい」

天使「それが私の幸せなの」

天使「お願い」

悪魔「0ポイント転生って……良くて爬虫類だよぉ?!」

天使「私のことはどうでもいいっていうか」

天使「なんだろ?」

天使「ハゲ、お願いね」

天使「それが私の幸せなの」

神「……」



男『それと最後の願いは保険なんですけどね』

神『?』

男『もしかしたら天使が自分のポイントを俺に使うかもしれないんです』

男『何かの拍子に思い出したりとか』

男『でもそんな事言い出しても、天使の幸せのためにポイントはお願いします』

男『多分言っても聞かないだろうし』

男『俺は天使の幸せだけを願ってます』

神『……』

天使「その人の幸せが」
男「自分にとって一番大切なんです」

神「あいわかった!!」

神「二人の願い……」

神「一世一代、神の権限をもって実現させよう!!!!!」クワッ

神「我が娘よ……幸せに……!」








男「へー」

女「な、なに……?」

男「それって貝?」

女「うん……図鑑……///」

男「見せて見せて」

女「あっ、……うん……」

男「貝ってさー」

女「ん」

男「なんでグルグルしてるんだろうね」

女「わ……わかんない……///」

男「あ、これチョココロネみたい」

女「クスッ」

男「っ」ドキッ

女「?」

男「(女ちゃん……笑った顔可愛いなあ)」

「あ、男と女が仲良く本読んでやがる」
「ラブラブだー!」「結婚だー!」「ひゅーひゅー!」

女「ッ……」

男「うっさいなぁ」

女「ご、ごごめんなさい……」

男「何で女ちゃんが謝るのさ」

女「私なんかと……」

男「それに僕らまだ小学生だから結婚できないし」

女「しょしょしょういう問題じゃないと思う…」

男「あ、アンモナイトだこれ知ってる!」

女「有名だもんね」

男「なんか聞いたことある」

女「うん……私も……」

男「貝ってさー、耳に近づけると波の音聞こえるって本当なのかな」

女「う、うん 本当だよ」

男「やっぱそうなんだ……」

女「正確にはね、波みたいな音……かな……」

男「へぇー」

男「しじみからは聞こえなかった」

女「クスッ しじみじゃ無理だよ」

男「やっぱそうなんだ」

女「巻き貝じゃないと」

男「そっかぁ…」

女「あ、あ、あの……」

男「?」

女「わ、わわはわ私のね、家にね、……あ、あるけど……」

男「貝?」

女「……うん」

男「すげー!なんで!?」

女「海に行った時に拾ったやつとか……」

男「いいなぁー」

女「み、見に来る?」

男「いいのっ!?」wktk

女「う……うん……」


ーーー女の家

男「凄いたくさんあるんだね」

女「う、うん」

男「これとか凄い綺麗」

女「……///」

男「わっ、これ何!?」

男「こんな貝いるの!?」

女「こ、これはね……貝に飾りや色つけてるだけで元は白いよ」

男「へぇー じゃあこの写真立ても女ちゃんが?」

女「う、……うん」

男「すごっ!!!」

女「……///」

男「女ちゃんって図工の時もすごく綺麗に作るもんね」

女「そ、っそうかな……」

男「あっ」

女「?」

男「これは……?」

女「これ?これはね、私が一番最初に創ったやつだよ」

男「天使の羽?」

女「よ、よくわかったね……お父さんもお母さんもわからなかったのに……」

男「……んー、うん……なんか、うん」

女「天使の羽に見えにくいかな……?」

男「いや、逆だよ」

男「なんか……こういうの、見たことある……っていうか……」

女「?」

男「うーん……見たことあるような気がする」

女「クスッ 天使さんを?」

男「まあ見たことあるわけないか!」

女「あ、あのっ」

男「?」

女「これ……あげるっ」

男「えぇ!?」

男「ももも貰えないよっ!」

女「貰ってほしい……です……」

男「い、いいの?」

女「……ん」コクコク

男「わぁ……、大切にするね」

女「うんっ」




ーーー中学生

美術の授業

先生「では今回の課題は皆さんの想い描いたモノを描いてください」

男「想い描いたモノ……」

先生「欲しいモノ 大切なモノ 存在 眼を閉じて浮かんだものをぼんやりとでいいので描いてくださいね」

友「うーん、そういわれると難しいよな」

男「うーん」

友「なんだろうなぁ」

男「……うーん」

「なんでもいいんですかー?」

先生「えぇ、何でも構いませんよ」

「じゃあ俺ラーメンにしよ!」「大切なものって言ったらお金だろ」
「犬……」「サッカーゴールにしよ」
「ククク……漆黒の闇を描くとしよう」「黒く塗り潰すだけじゃねーか」
「男君っ」

男「……」

「男君っ」

男「……(あれっ?)」

『男君っ』

男「っ、」

女「男君??」

男「ッッ、女さん……」

女「真剣に悩んでるね」

男「えっ?あ、まあ……」

女「何描くの?」

男「んー未定!」

女「ふーん」

男「女さんは?」

女「私?描いてみたけどどうも違くて」

男「早っ!!見せて?」

女「えっとね……」スッ

男「……白子?」

女「雲です」

男「な、なんか独特だね」

女「なんかこんな場所に住んでた気がする」

男「ブフッ、雲の上に?」

女「よく夢に出てくるんだもん」

男「夢にかぁ」





男「描けた」

友「いやうまっ!」

女「これ……天使?」

男「かな?」

友「この天使女ちゃんに似てね?」

男「そ、そそそそうかなぁ」

友「……」ニヤニヤ

女「男君……///」

男「気のせいだって!」

中学生 卒業式

男「女さん……俺と付き合ってください」

女「……はい!宜しくお願いしますっ」

男「……ホッ」

女「……」

男「……」

女「……」

男「(なんだこの間は)」

女「男君……は……」

男「?」

女「いつから……私のこと……好き?」

男「えっと……」

女「私はね」

男「一目惚れってやつかな?」

女「ッ……」

男「小学生の時から……俺は好きだった……」

女「フフフ、じゃぁ一緒だねっ」

男「……マジすか」


高校生

後輩「す、好きですっ!付き合ってください!」

男「ごめん。彼女いるんだ」

後輩「やっぱりぃー!!」

男「ごめんね」

後輩「こちらこそ……」



モブ「えー?ホントに告ったの!?」

後輩「うん……彼女いるって……」

モブ「だから先輩彼女いるって言ったじゃん」

後輩「でも学校ではそれっぽい人見かけなかったもん!」

モブ「あんたが見た事ないだけでしょ?」

後輩「えー誰だろ……」

モブ「他校だよ」

後輩「!……そうだったのね……」

モブ「あたし見たことあるけど聖天女子の制服着てたよ」

後輩「よりによって天女ですか」

モブ「あんた可愛いんだから大丈夫だって」

後輩「モブちゃん……!」

モブ「天女の人には負けるけど」

後輩「ファック」


ーーー

ギャル「はっ!」

女「わっ、……ど、どうしたの?」

ギャル「男君が告られている気がする……!」

女「ええっ!?」

ギャル「あーしの勘だけど」

女「でもギャルちゃんの勘すごく当たるよね」

ギャル「ま、男君は断ってるし大丈夫っしょ!


女「うん……」


男「お待たせ」

女「んーん 私も今来たところなの」

女「ね、ねぇ男君」

男「?」

女「……や、何でもないです……」

男「???」

女「(聞きにくい……)」

男「今日はちょっと違う道で帰ろっか」

女「う、うん」

女「ここって男君の高校の最寄り駅だよね?」

男「ん」

女「○高の人結構多いね……たくさん……」

男「ん」

女「男君?」

男「俺さ……今日後輩の子に告白されたんだ」

女「!!(ギャルちゃん……すごい……)」

男「前に別の子に……まぁ……」

女「そ、ほ、そうなんだね……」

男「そこで思ったのが俺は彼女がいないと思われているらしくて」

男「隠してるつもりも無いんだけどね」

女「(男君、中学のころも小学生の時も人気だったもんなぁ……)」

男「それに何度か断ってるうちに俺がホモなんじゃないかって噂まで出てきて」

女「!?」

男「だからこうして」ギュッ

女「!?」

男「ノロけていればそういうのも無くなると」

女「あ……あい……」

クリスマス 高校三年

男「やっぱ夜は寒いね」

女「そうだね」

男「ん?あれギャルさんじゃないか?」

女「ホントだ……」

ギャル「あっ!おーい!!」ブンブン!

男「気付いた」

女「何売ってるんだろう?」

男「ギャルさん」

ギャル「よく来たねー!来ると思ってた!」

女「それ、ペロペロキャンディー?」

ギャル「そ!あーしのオジサンの手伝いしてんの!」

ボブ「ヤァ」

男「あっ」

ボブ「?」

男「あっ?い、いや何でもないです……」

ギャル「……」

ボブ「……」

男「す、すいません何か」

ボブ「クリスマスイヴに皆に配ってるカラ、ハイコレ」

男「あ……ども……」

ギャル「はい女ちゃん!」

女「ありがとー!」

ギャル「二人とも受験頑張ってね!」

男「ギャルもな」

ギャル「ん!」




帰路

男「ペロペロキャンディーねぇ」

女「フフフ」

男「?」

女「男君、小学生のころアンモナイトのことペロペロキャンディーみたいって言ってたの思い出しちゃった」

男「そ、そうだっけ?」

女「それにしても……あのオジさんどっかで見た気がする」

男「やっぱり!?俺も!」

女「どこでだったかなあ?」

男「それがわかんないんだよねえ」

大人になって

男「めっちゃ星綺麗だね」

女「うん」

男「つーか今日七夕なんだね」

女「そう言えば……」

男「天ノ川は…………見当たらないな」

女「8月とかだからね、見えるの」

男「そうなんか」

女「……」

男「……」

女「……」

男「どうしたの?」

女「何かね……ここにいるとすごく悲しく気分になるの」

男「具合悪い?」

女「そうじゃなくて……なんか……わからないけど……」

女「ごめんね……」

男「……」ギュッ

女「……」ギュッ

男「なぁ女、今幸せ?」

女「え……うん」

男「俺さ、たまに女がベンチで一人で泣いてる夢見るんだ」

女「えっ?」

男「ごめんなんかキモい話して」

女「んーん……」

男「その度に何か言い残したことっていうか、何か言わなきゃいけないのにそこで目が覚めるんだよね」

女「……」

男「何度も何度も見るんだけど……俺の方から遠く行っちゃうんだよ」

男「ってごめん、これ夢の話だからね俺女のこと」

女「男君……好き……」

男「…………女」

女「……グスッ、ご、ごめんなさい……何か急に……グスッ……」

男「あの夢の日」

女「……」

男「あの日言えなかった事を言うよ」

男「俺と一生一緒に生きて欲しい」

男「最期の時までずっと隣にいてほしい」

男「俺、女と一緒にいるときが一番幸せなんだ。だからッー」

女「ッー、うん、私も幸せだよ」

女「だから来年も再来年も10年20年……笑顔でいさせてください」

男「あぁ……!」



つーわけでおしまいね。ちょっと蛇足だったわ

なぜ僕がこのようなSSを書こうと思ったのか……それははだしのゲンを読んだからです

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