千早「千早お姉ちゃん?」 (60)

千早「ふぅ…」

P「お、千早お疲れ!」

千早「お疲れ様です、プロデューサー」

P「今日のレコーディングもバッチリだったな。千早ならファーストテイクもできるんじゃないか?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1601192441

千早「ファーストテイク…って何ですか?」

P「YouTubeの企画だよ。元々は専用のチャンネルがあってそこで行われているんだが、今じゃあ色んな人がそれぞれのチャンネルでやってる企画だ」

千早「はぁ…」

P「CDのレコーディングと違ってこっちは何が起ころうと一発撮りだ。多少のミスもドキュメンタリーとしてそのまま流す」

千早「それは…面白そうですね…」

P「うちも最近YouTubeチャンネルを開設したからな…今は亜美真美のネタ動画とかゲーム実況、響チャレンジにやよいの料理動画なんかが上がってるが、千早が出るならそういうのがいいかもしれない」

千早「なるほど…そうなんですね…」

P「けど千早がファーストテイクを知らなかったのは意外だな」

千早「そうですか?」

P「あぁ、てっきり音楽系の知識なら備えてると思っていたよ」

千早「私はあまりYouTubeは見ないので…」

P「あぁ、確かに…というか千早はそもそも携帯を弄らないよな…最近の子にしては珍しい」

千早「私も音楽は携帯に入れていますよ?でもゲームとかネットにはあまり興味が無いので…」

P「うん、それならそれでいい。結構結構。流行りの分析や情報収集も大事だが、千早はそういうタイプじゃないしな…」

千早「春香ならそういうのも得意そうですね…」

P「春香もそうだが、伊織や美希なんかも流行りには敏感だな。個人的には響が一番しれっと流行に溶け込んでる感はあるが…YouTubeの企画に関しては亜美真美が一番かな…」

千早「亜美真美が?」

P「あぁ、なんせあの年頃の子たちはYouTube好きだろう?この前も自分たちがやりたい企画を律子に提出していたぞ?」

千早「そんなことまで…」

P「やれゲーム実況だの、やれドッキリだの書いては出してるな…とはいえ、やっぱり好きなだけあってあいつらの企画は概ね好評だよ…今日も確かこれから撮影だ」

千早「今日はどんな企画をするんですか?」

P「えーっと…今日の動画タイトルは…『【亜美真美プロフィール】自分たちのpixiv百科事典検証したら●●だった…』」

千早「…なんですかそのタイトル」

P「まあタイトルはどうしても長くなりがちなんだが…内容はよくあるネットの非公式プロフィールが正しいかどうかチェックする企画だな」

千早「非公式プロフィール?そんなものがあるんですか?」

P「まあある程度有名になれば誰にでもできるよ。因みにうちの事務所は…ほら、ここに全員分」

https://dic.pixiv.net/a/765PRO_ALLSTARS

千早「わ、私のことまで!?」

P「そりゃあ千早の分もあるだろ…ほら、ここにプロフィールも書いてあるよ。どれどれ、バストサイズは7…」

https://dic.pixiv.net/a/%E5%A6%82%E6%9C%88%E5%8D%83%E6%97%A9

千早「ちょっ!?何を読み上げてるんですか!?」ガシッ

P「あで!?ちょ、冗談だって…」

千早「全く…そんなの読んで何が面白いんですか?」

P「あくまで非公式だからな。主な情報源は番組やイベント、過去の雑誌の取材なんかで答えたことなんだが、中には根も葉もない噂もあるわけだよ」

千早「なるほど、その誤解を解いていく…というわけですか?」

P「そういう目的もあるけど、視聴者的には単純にどれくらい正しいことが書いてあるのか気になるんだろうな」

千早「なるほど…」

P「それに非公式には非公式の良さがある。公式プロフィールではわざわざ書くほどではないようなエピソードもファンからすれば大切な思い出であり情報だ。ファンの有志が編集しているからこそ、普通では知り得ないコアな情報が載っていることもある。その情報の正誤が知れるというのは、ファン心理からすればたまらないんだろう」

千早「そうなんですね…」

ガチャッ

亜美「あ、兄ちゃん。こんなところに居た!」

真美「もう!何やってんのさ!早く来てくんないと始められないっしょ!?」

P「おお、すまんすまん。それじゃあ千早、俺はYouTubeの撮影に行くから。次の仕事まで少し休んでおいてくれ」

亜美「…というわけで千早お姉ちゃん」

真美「バイバーイ!」

P「うわっ!?ちょ、お前ら…じゃあな!千早!」

千早「はい、プロデューサー…ってもう行っちゃった…」

千早「それにしても、非公式のプロフィールなんてものがあるのね…自分の分はさっき見たけれど、亜美真美の分は…」スマホスッ

千早「あら、凄いわね、『双海亜美』『双海真美』『亜美真美』の三つもあるのね…」

千早「どんなことが書いてあるのかしら…」アミマミポチッ

https://dic.pixiv.net/a/%E4%BA%9C%E7%BE%8E%E7%9C%9F%E7%BE%8E

千早「どれどれ…『仲良しでいつも一緒に居るためかセットでこう呼ばれる事がある。(ファンの間でも同様) 』…確かに…その通りね…ん?」

「今日は亜美たちが勝手にお名前付けちゃうよ~」

千早「何かしら、この項目…」ポチッ

双海亜美真美姉妹は、人を勝手な名前で呼ぶことで有名である。
名付けられる名前は大半は「天海春香の『はるるん』」のように本人の「元の名前」をもじったモノが多い。
ファンとしては新しいキャラが どんな名前になるか楽しみなところ。

千早「確かに…これは公式のプロフィールには書いていないわね…確かにあの子たちは…」

千早(あれ?そういえば私は…)

しかし、その中にファーストネームのあとに“お兄ちゃん”“お姉ちゃん”が付く呼称が点在する。
おそらく、これは双海亜美真美姉妹にとっての【親しみやすさポイント】が一定値以上に達したときに名付けが行われるようであり、そのポイントが一定値以上になると「お姫ちん」のような特別な名前がもらえるようだ。

千早「!?」

ただし…ポイントが一定値に足りなかった場合、亜美真美にとって『とっつきにくい相手』という判断がくだされ“お兄ちゃん”あるいは“お姉ちゃん”呼びになるとされる。

亜美『…というわけで千早お姉ちゃん』

千早「私は…千早…“お姉ちゃん”…」

千早(私は…亜美と真美にとって…)

千早「…当然よ、最初が最初だったもの…『アイドルに興味ありません』って…私が言ってたから…自分の…自業自得じゃない…」

千早(でも…少し…いや、かなり…)

ガチャッ

あずさ「おはようございます~…って、千早ちゃん?」

千早「あずささん…おはようございます…」

あずさ「どうしたの?」

千早「どう…とは?どう意味ですか?」

あずさ「なんだか…泣きそうだったから」

千早「!?べ、別に…そんなことは…あずささんはどうして事務所に?」

あずさ「私?私は、亜美ちゃんと真美ちゃんと一緒にYouTubeの撮影に呼ばれたのよ」

千早「あずささんも?」

あずさ「そうなのよ…でも、撮影する部屋がわからなくて…あっちの方かしらね…」

千早「あ、案内しますから!だから勝手に動かないでください!」

YouTube撮影部屋

あずさ「あら、ここで撮るのね~」

亜美「あずさお姉ちゃん!」

千早(そういえば、あずささんもお姉ちゃん呼びね…)

真美「もう遅いYO!」

あずさ「ごめんなさい、部屋がわからなくて…千早ちゃんに教えてもらったの」

真美「そうだったんだ…」

亜美「千早お姉さんもありがとね!」

千早「え、えぇ…それじゃあ私はこれで…」

真美「えぇ!?千早お姉ちゃんも出ようYO!」

千早「いや、私は…」

P「そうだぞ、千早は疲れてるし、この後も仕事だからな」

亜美「そんなぁ…」

P「そんな中来てくれてありがとな、千早」

千早「はい、それでは失礼します…」

P「ほら、お前らも…」

亜美「ちぇー…そんじゃあ時間も押してるから…早速…」

真美「はろはろー!765チャンネルの時間だYO!」

亜美「今日は…」

翌日

千早「ふぅ…」

P「お疲れ様、ところで千早、昨日のYouTube見たか?」

千早「いえ、まだ見てないですけど…」

P「そうか、いや、昨日気になってたみたいだったからさ…」

千早「別に気にしては…」

P「次の仕事まで時間あるし…車の中も暇だろう?ほら、再生してみろよ」

千早「え?ちょ、ちょっと…」

真美「はろはろー!765チャンネルの時間だYO!」

亜美「今日は亜美と真美の『あみまみチャンネル』。今回のゲストはあずさお姉ちゃんだYO!」

あずさ「よろしくお願いします~」

真美「よろよろ~」

亜美「さて、今日の企画は…」

真美「pixiv百科事典検証~!」

亜美真美「「いぇーい!」」

あずさ「いぇ~い!」

亜美「このコーナーでは、pixiv百科事典に載ってる亜美たちの情報が本当に正しいかどうかを検証するYO!」

真美「それでは早速…『双海』で…検索検索ぅ♪」

あずさ「あらあら、亜美ちゃんたちたくさん項目があるのねぇ~」

あずさ「あらあら、亜美ちゃんたちたくさん項目があるのねぇ~」

亜美「凄い凄い!【双海亜美】【双海真美】だけじゃなくて、【双海亜美・真美】とか【双海姉妹】とかもあるYO!」

真美「まぁ真美たち人気者だかんね!」

あずさ「亜美ちゃんたちが名前をつけたからかしら、【お姫ちん】なんて項目も出てきてるわ~」

亜美「流石765のインフルエンザ!」

あずさ「インフルエンサーね~」

真美「亜美ぃ、どれから見る?」

亜美「うーん、こういうのって大体コンビの項目を見るよね?」

真美「ってことは?」

亜美「もちろん【亜美真美】からっしょ!」



千早(これ…昨日私が見てた…)

真美「りょーかい!どれどれ…」

芸能事務所、765プロダクションに所属する双子アイドルの双海亜美・双海真美の事。

仲良しでいつも一緒に居るためかファンや共演者にもセットでこう呼ばれる事がある。

あずさ「凄いわねぇ、こんなことまで書いてあるなんて…」

道産子っぽい癖のあるしゃべり方が特徴で、特に悪巧みをするときに「んっふっふ~」とほくそ笑むことでも有名。

亜美「ほくそ笑むってwww」

真美「言い方www」

共通する特徴としては「無邪気」「イタズラとゲームが好き」「料理が出来ない」「勉強が苦手」等。
基本的に似ている二人だが、真美はややませていたりと微妙に性格や趣味の違いが存在する。

真美「ぎゃぁぁぁぁあ!?見破られてるぅ!」

亜美「ぐへへへ、真美ぃ、恥ずかちぃかい?」

あずさ「ファンの人はよく見てくださってるのね~」

父親は医者であり、「双海クリニック」を営んでいる。
家族との仲は非常に良く、一緒にゲームをしたりして遊んでいる。

真美「おぉ、この辺は合ってるねぇ」

亜美「ほんで、次は次は?」

「今日は亜美たちが勝手にお名前付けちゃうよ~」

亜美「ん?」

真美「何これ?」

双海亜美真美姉妹は、人を勝手な名前で呼ぶことで有名である。
名付けられる名前は大半は「天海春香の『はるるん』」のように本人の「元の名前」をもじったモノが多い。

あずさ「確かに、亜美ちゃんたちはあだ名で呼んでることが多いわねぇ~」

亜美「こんなことまで書いてあるの!?」

しかし、その中にファーストネームのあとに“お兄ちゃん”“お姉ちゃん”が付く呼称が点在する。
おそらく、これは双海亜美真美姉妹にとっての【親しみやすさポイント】が一定値以上に達したときに名付けが行われるようであり、そのポイントが一定値以上になると「お姫ちん」のような特別な名前がもらえるようだ。

ただし…ポイントが一定値に足りなかった場合、亜美真美にとって『とっつきにくい相手』という判断がくだされ“お兄ちゃん”あるいは“お姉ちゃん”呼びになるとされる。

亜美「え?」

真美「は?」

あずさ「あらあら…私は『あずさお姉ちゃん』って呼ばれてるから…とっつきにくいと思われてたのかしら?」

亜美「ち、違うYO!」

真美「そーだYO!真美たち、あずさお姉ちゃんのことも千早お姉ちゃんのことも大好きだもん!」



千早「え?」

あずさ「あら?そうなの?」

亜美「当たり前っしょ?そうじゃなきゃ普段あんなに甘えないYO!」

あずさ「ふふふ、確かにそうねぇ。この前なんか膝枕で…」

亜美「うあうあー!?そ、それは内緒って言ったじゃんかー!」

真美「あずさお姉ちゃんも、千早お姉ちゃんもお姉ちゃんっぽいからそう呼んでるだけだもん」

あずさ「私たちがお姉ちゃん?」

亜美「うん!そりゃはるるんたちもお姉ちゃんはお姉ちゃんなんだけど…」

真美「ひびきんとかゆきぴょんたちはどちらかと言えばイジッてあげた方が美味しくなるし…」

あずさ「そ、それは言わないであげた方がいいかもね…」

亜美「でも、あずさお姉ちゃんと千早お姉ちゃんは本当に“お姉ちゃん”って感じだし…」

真美「うん、なんかこう…無条件で甘えさせてくれる感じの…」

あずさ「膝枕したりとか?」

亜美「うあうあー!?だからそれ言わないでYO!」



千早「あずささんはともかく…私はお姉ちゃんらしくなんて…」

真美「千早お姉ちゃんも優しいんだよ。宿題とか、歌のこととかめっちゃわかりやすく教えてくれるし…」

亜美「まこちんにダンスのこと聞いたら『ガンッ…とやってドン』とか普通に言われるもんね」

真美「ミキミキがお昼寝してたら毛布かけてあげてるしね」


千早「ど、どうしてそれを…」

亜美「ミキミキ、あれわかってわざと毛布かけずに寝てるもんね」

真美「全くミキミキは甘えん坊ですなぁ」


千早「…そうだったのね」

亜美「お昼寝と言えば、千早お姉ちゃんの子守唄は最強だよね」

真美「あれに勝るものはありませんなぁ」

あずさ「あら?そうなの?」

亜美「あずさお姉ちゃんの膝枕、遊んだ後の兄ちゃんの背中に匹敵するね」

真美「真美たちはこれを『765プロ三大熟睡兵器』と呼んでるよ…」

亜美「いつかこれを全部揃った空間でお昼寝することができたなら…」

真美「ミキミキでなくても起きられないこと間違い無しだね!」

あずさ「千早ちゃんの歌はともかく、私の膝とプロデューサーさんの背中を同時には無理じゃないかしら…」

亜美「た、確かに…」

アハハハハハ

モ-.アミッタラ-

千早「…」

P「どうだった?“千早お姉ちゃん”?」

千早「…気づいてたんですね?」

P「まぁ何となくだけどな…」

千早「ふふふ、プロデューサーには敵いませんね」

P「馬鹿言え、これくらいわからないで千早のプロデューサーが務まるかっての」

千早「そうですか?」

P「…なあ、千早」

千早「はい?」

P「心配しなくても、亜美真美は…いや、あいつらだけじゃない。少なくとも765プロはみーんな、お前のことが大好きで、仲間だと思ってる」

千早「…はい」

P「千早はきっと、誰よりも優しいんだ。優しいからこそ、色んなことが見えちゃって、色んなことを考える」

千早「そう…でしょうか…」

P「俺がそう思うんだからそうなんだよ…それで誤解されることもあるかも知れないけど、俺たちは…765プロのみんなはそれをちゃんと知ってるから」

千早「…」

P「亜美真美だって、ちゃんと見てるさ。お前の背中を。だからあんなこと言ったんだ。…やっぱり千早は“お姉ちゃん”だな」

千早「それは…」

P「ま、しっかりしすぎて一人で抱え込むところがたまに傷だけどな」

千早「ちょっ!?」

P「ははは!冗談冗談!…だけどさ…」

千早「?」

P「お前は“お姉ちゃん”だけど今みたいに辛くなったら、誰かに頼ればいいんだよ」

千早「誰かに…」

P「俺や、律子…何ならあずささんでもいい。もちろん社長や小鳥さんでも…」

千早「そんな、子供じゃあるまいし…」

P「かと言って別に“大人”でも無いだろう?まあ、そもそも俺だって“大人”かと言われたらわかんないけどさ…」

千早「…」

P「俺たちに言うのが嫌なら春香でもいいさ。みーんな、もれなくお前の味方だよ」

千早「…はい」

P「ほら、ついたぞ…って、あれ?亜美と真美じゃないか?」

千早「え?」

亜美「うあうあー!?」

真美「助けてー!」

千早「ちょ…どうしたのよ?二人とも」

亜美「次のCDで歌うカバー曲が激ムズなんだYO!」

P「あぁ…カバー曲は普段劇場やライブでは歌わないしなぁ…」

真美「だから教えてもらおうと思ってここで待ってたの!」

律子「ごめんね、千早…二人には私が教えるって言ったんだけど、千早が良いって言って聞かないのよ」

千早「そう…ふふ、二人とも頼るのが上手ね…私も見習わないと…」

律子(いや、多分千早に甘えたい気分だったんだと思うけど…)

P(それと昨日の動画を思い出して恥ずかしくなったんだろうな…何とか次の動画があがるまで見せないように気を引くつもりか…まあ見せたんだけどな…)

亜美「ねぇ、お願い」

真美「真美たちに教えて…」

亜美真美「「“千早お姉ちゃん”」」

千早「ふふ、そうね。わかったわ」

 この後、亜美真美は結局動画を見られたことを知り悶え狂うが、それはまた別のお話。

終わり

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