比企谷小町の憂鬱 (62)

小町「...」

小町「...」

外の小鳥「チチチ...」

小町「...」

小町「...」

カマクラ「ニャァ」

小町「...」ナデナデ

小町「...」

小町「...いい天気だなぁ」




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1588167219

小町「...」

小町「...」

小町「...」

ガチャリ

小町「あれ...誰か帰って来たかなぁ」

八幡「だでーま」

小町「おかえりー、ごみいちゃん」

八幡「ゴミどころかコロナウィルスでも見たような顔でおかえりと言われてもな...」

小町「だってゴミ以下なんだもん」

八幡「小町ちゃん酷い」

小町「ってかさ、言いつけ通りにちゃんとダッツ買って来た?」

八幡「あのな、このご時世もうハーゲンダッツもまともに売ってないんだよ。
   そもそもコンビニ自体、2年前に比べて半分以下になっちまったし」

小町「はぁー、つっかえ」

八幡「小町、もう少し言葉遣いをだな...」

小町「いーじゃん、別に誰か目上の人に会う予定もないし。
   だいたい、高校の先生ですら始業式と終業式に一回会えるかどうかなんだからさ」

八幡「あー...」

小町「それにお兄ちゃんだって同じようなもんじゃないの?」

八幡「それに関しては全く問題はない。
   どうせ俺の通ってるFラン大学なんざ、スマホのオンライン講義で全て賄えるからな。
   ゼミも通わなくて済むし、正直俺の理想郷と言って差し支えない」

小町「あぁー...まぁお兄ちゃんならそうかもね」

八幡「小町は...どうなんだ、最近のオンライン授業は」

小町「つまんない」

八幡「そうか...
   まぁ授業というものは面白くないから授業として成り立つものだ。
   なまじ面白ければ、それは授業ではなく独学でも十分楽しくなってしまうからな。
   つまり畢竟、授業は面白くないように構成されているものである」

小町「なぁにそれ、意味分かんない」ハハハ...

八幡「まぁなんだ、あと半年の辛抱だろ」

小町「......ソンナノヤダ」

八幡「え?なんだって?」

小町「そんなの嫌だって言ったの!!」

小町「だいたいさぁ!!
   せっかくこの総武高校に入れたのに!!
   小町、高校に通ったのってこの3年間でたった10回位しかないんだよ!?」

八幡「...」

小町「それ以外は全部宿題で全部済ませようとするし、
   最近ようやくオンライン授業とかやるようになったけどさ、
   小町は自分のクラスで授業受けた事もないんだよ!?」

八幡「...」

小町「っていうか小町、高校に入ってから一人として新しい友達作れてないんだよ!?
   その時点でもうお兄ちゃん以下だよ!!」

八幡「...」

小町「ねえ!!いったい何なの!?このコロナってさぁ!!
   いつになったら流行って収まるの!?
   小町達、一体あと何年こうやって自粛期間を我慢すればいいの!?
   ねぇ!!教えてよお兄ちゃん!!」

八幡「...すまん。
   だが、俺にも分からん」

小町「...」グズッ

八幡「だがな小町、正直外は危険なんだよマジで。
   何しろあのコロナウィルスは流行を繰り返すごとに変異を重ねてだな、
   今じゃ致死率50%なんて事になっちまったからな」

小町「...」

八幡「それに一旦感染したら、速攻で肺炎が重体化して呼吸不能になって死ぬか、
   もしくは血管をやられて心筋梗塞や脳梗塞になって死ぬか、
   たとえ一旦回復しても、ヘルペスみたいに何度でも繰り返し陽性になって発症したり
   無症状でも間質性肺炎になって余命が10年以下になったりする、
   そんな恐怖のウィルスなんだよ」

小町「...」

八幡「俺はな、小町をそんな目に合わせたくねぇんだよ」

小町「...」

八幡「だから、もうちっと我慢してくれよ...」

小町「もう、もう嫌だよ、こんな生活...
   誰にも会わず、ただひたすらメールで送られてくる宿題をこなして、
   オンライン授業だとかオンライン予備校とかを時々スマホでチェックするだけでさ...

小町「だからってどこにも遊びにも行けないし、たとえ行ったところでどこも閉まってるか潰れてるかだし...
   TVだって最近はニュース以外全部再放送でもう見飽きちゃったし、
   好きな漫画のネット配信もどんどん終わるし、ツイッターも最近つぶやく人がめっきり減ったし...」

八幡「...まぁな、だいたいもうこの2、3年で日本だけでも2千万人が死んだからな...」

小町「もう、やだ...」ウッウッ

八幡「そうか...まぁ俺なんかは、別にこういう生活も悪くねぇなって思ってるけどな。
   確かに小町みたいな陽キャ志向のニュータイプオタクにとっては、地獄かも知れんな...」

小町「そう言えば、最近雪乃さんとか由比ヶ浜さんに連絡取ってたりするの?」

八幡「何だよ藪から棒に...
   いや、最近はめっきりだな。雪ノ下は、アイツから連絡を取ってくる事自体滅多に無えしな。
   そういや由比ヶ浜からこの前メール来てたな。返してないけど」

小町「たまにはちゃんと返事出してあげないとダメだよ。
   お兄ちゃんに構ってくれる人なんてほとんど居ないんだから、希少価値高すぎるんだからさ」

八幡「アイツらはレッドデータアニマルだったのかよ」

小町「...小町ね、実は、高校に入ったらやりたかった夢があったんだ」

八幡「へぇ、何だ?
   実現可能なものならお兄ちゃんが代わりに叶えてやってもいいぞ」

小町「えー、多分もう無理だと思うなぁ...」

八幡「...高校に行かないと出来ない夢なのか」

小町「うん..まぁね。
   もうほぼ不可能だって分かったから、もうこの際に言っちゃうけどさ。
   小町ね...お兄ちゃんの奉仕部に、入りたかったんだ」

八幡「...マジでか」

小町「マジもマジ、本気だったよ。
   それでね、お兄ちゃんと、雪ノ下さんと、由比ヶ浜さんと一緒に、
   校内のいろいろな事件を解決するの。
   時には探偵、時には助っ人、時には必殺仕事人みたいな感じで」

八幡「必殺仕事人てまた懐かしい時代劇だな...」

小町「この前チバテレビで再放送やってたからずっと見てた。
   とにかくさ、そうやって学校の色々な場面で活躍するの、憧れだったんだ...」

八幡「だが奉仕部っつったって、現実はそんな華々しいもんじゃなかったぞ。
   小町だって知ってるだろ、俺があの頃どんだけ社畜みたいに働いてたか」

小町「当たり前じゃん。小町、あの時お兄ちゃんの悩みだとか散々聞いたんだからさ」

八幡「おいおい、俺がいつ小町にお悩み相談したんだよ」

小町「そうやって今さら韜晦しても意味ないって。
   まーいいじゃん、実際あの時、小町も楽しかったんだからさ」

八幡「いや俺は一向に楽しくなかったんだが...」

小町「もうちょっと時間が経ったら、お兄ちゃんも綺麗な思い出だけ残るかもしれないよ?
   小町も、最近はあの時の思い出ばっかり思い出すんだ」

八幡「忘れてくれ、あの頃の事は俺にとってはマジ黒歴史」

小町「忘れられるわけないよ。
   正直、小町の時間は、あの頃から止まったままなんだからさ...」

八幡「そうか...」

小町「...うん」

八幡「...なるほど」

小町「...?」

八幡「要は、新たな思い出をあの高校の中で作りたい、そういう事だな?」

小町「んー...まぁねー
   なんかそう言われると即物的っていうかアレだけど」

八幡「よし、分かった。
   小町、お前の願いを叶えてやるよ」

小町「へ?ほんと?」

八幡「ちょっと待ってろ。
   そんな大した準備をするわけじゃないが...
   思い立ったが吉日、できれば今晩にでも決行するぞ」

その日の晩

小町「じゃーーーん!
   どう?似合ってるでしょーーー!」

八幡「いや、似合ってるも何も制服だしな...
   それに小町が着れば何でも似合うぞ。
   今の八幡的にポイント高い!!」

小町「うわぁ...人の真似とか、相変わらず超ドン引きなんですけど。
   でもそんなお兄ちゃんでも微粒子レベルで仕方ないなぁと思えるのはお兄ちゃんの唯一の長所だよねー。
   って、今の小町的にポイント高い!!」

八幡「俺の発言を全否定しつつそれに乗っかるとか、
   小町ちゃんの毒舌はいっそ爽快感を伴うレベル。
   例えるならチョコミント食った時のような」

小町「小町はチョコミント嫌いなの知ってるでしょ。
   あんな歯磨き粉みたいなの食べられる人の気がしれないよ」

八幡「全国のチョコミント愛好家に謝れと言いたかったけど
   実際俺もそう思うから反論出来ないんだよなぁ...」

小町「っていうかさ、ダッツもそうだけどアイス自体最近まともに食べてないし。
   今年の夏なんか、家で砂糖水を凍らせたものしか食べられなかったよね。
   でもこんなんでも、人間慣れちゃうもんだよね」

八幡「まぁな」

小町「でも、それでもゆずれないものはあるよ...
   思い出とかさ...」

八幡「まぁ、それのまがい物でも良ければ
   今から作りに行くからな」

小町「ってかさ、お兄ちゃんも制服とっておいてたんだね。
   まぁまぁ似合ってるかも」

八幡「うむ、自分自身も二年半ぶりに着てみて
   こんなに違和感が無い事にびっくりしている。
   すなわち、社畜根性が未だに骨の髄まで染み込んでいるという事か」

小町「社畜って...お兄ちゃんはまだ就職どころかバイトすらして無いじゃん」

八幡「いやいや、学校というのは社会の縮図であり社会訓練の為の場である。
   また学校にて給金も出ないのに働かなければならないという状況は
   畢竟、社畜と言い換えても差し支えないレベル」

小町「えぇー」

八幡「それに小町、こんな大不況でバイトすら探すのむちゃくちゃ難しいんだぞ」

総武高校裏門

小町「えっ!?大丈夫お兄ちゃん?
   小町、この歳で不法侵入罪で逮捕とかされたら
   お兄ちゃんに略取誘拐されてここに連れて来られましたって言うけどいい?」

八幡「小町ちゃん酷い。
   つーかな、ここは昔からセキュリティが緩いんだよ。
   だからここから入っても用務員のおっちゃんとかに気づかれる事もない」

小町「ってか、ぼっちのお兄ちゃんが何でこんな陽キャっぽい学校裏情報知ってんの?」

八幡「ぼっちってあのなぁ...
   宿題忘れて、こんな時間に教科書取りに来た事なんか幾らでもあるからな」

ガチャリ

八幡「このドアから教室棟に入れるぞ」

小町「わぁーーー、なんか夜の学校の中って不思議な雰囲気だねぇ!
   ってか、そもそも高校に来る事自体、半年ぶりだけどさ...」

八幡「うむ、なかなかにおどろおどろしい感じだな。
   生徒が来なくなった事で、より一層廃墟感が増してるからかもな」

小町「もーさー、どーしてそうお兄ちゃんは興ざめな事言わないと気が済まないのかなー
   小町のちょっとウキウキした気分を返して欲しいんだけど」

八幡「すまんな小町。
   まぁぶっちゃけこの高校にはそんな良い思い出なんざありゃしないんでな...」

小町「それはお兄ちゃんの、ほんのいっときの感傷じゃん。
   でもいつか、ちゃんと良い思い出として定着する時が来るよ、きっとね」

八幡「そんなもんかね」

小町「そりゃお兄ちゃんはここで、社畜ばりに凄く働いてたって言うならそういう印象しかないのかも知れないよ?
   でもね、小町が入学する前、ここに文化祭とかで来た時には
   お兄ちゃんはガラにもなく輝いて見えなくもなかったんだよ?
   あ、これ小町的にポイント高い!!」

八幡「ガラにもなく、か...
   まぁ確かに、ガラにもなく無賃労働をしていた事は事実だが」

小町「あれ...?暗くて見にくいけど、廊下の向こうから誰か来たかも?
   やばいよ隠れた方が良くない?」

八幡「いや...その無賃労働を押し付けてくれた元凶が現れただけだ」

小町「?」



××「こんばんは、小町さん。
  お久しぶりね」

○○「やっはろー!小町ちゃん、ヒッキー!!」

小町「ああっ!?
   雪ノ下さん!?由比ヶ浜さん!?
   何でこんなところに...!?」

雪ノ下「何でも何も、今日の昼にいきなり比企谷くんから連絡が来て、
   来てくれって言うものだから。
   でも小町さんのためならという事で来たのよ」

由比ヶ浜「私も!ヒッキーに急に呼ばれてさー!
   でも小町ちゃんにも会えるし、せっかくだから協力するし!」

小町「雪ノ下さん...由比ヶ浜さん...!!
   こ、小町なんかのために...嬉しいです...!」

雪ノ下「良いのよ、小町さん。
   まあ私もちょうど...ちょっと退屈気味だったから...」

由比ヶ浜「私も私も!!
   もうさー、自粛自粛で嫌になってた所だったし!!」

小町「っていうか、お二人とも
   わざわざ総武高校の制服を着て来られたんですか!?」

雪ノ下「ええ...まぁ、せっかくだし...卒業はしたけど
   2年半ぶりに、ちょっとだけ袖を通すのも悪くないと思って...」

由比ヶ浜「でも制服ってなかなか捨てられないよねー!
   私も久しぶりに着られると思って、ちょっとワクワクしちゃったし!」

八幡「ふむ、まぁ年甲斐もなく意外に似合ってるじゃねーか」

雪ノ下「あら?貴方は誰だったかしら?
   2年半前の記憶を掘り起こすのも難しくなったわね...
   名前は確かヒキ...ヒキ...ヒキニート君だったかしら」

八幡「ゆきのん酷い。
   ってか、兄妹とも名字が比企谷なんだから
   そんな事を言うと小町にまで流れ弾が当たるぞ」

雪ノ下「あら...ごめんなさい、小町さん」

小町「いやー大丈夫ですよー
   どうせリアルヒキニートなのは比企谷家でもこのごみいちゃんだけですから」

八幡「人を粗大ゴミみたいに言わないで小町ちゃん」

雪ノ下「小町さんも制服姿、とてもよく似合うわ」

由比ヶ浜「うん!すごく可愛い!!」

小町「そ、そうですか?
   うーん、小町的にはまだ10回位しか着てないからまだしっくり来ないんですけどね。
   雪ノ下さんや由比ヶ浜さんは流石に着こなしてますよね。
   あれ?小町、いつの間にか敬称になってた。
   ...昔みたいに、雪乃さん、結衣さんって呼んで良いですか?」

雪ノ下「もちろんよ。むしろ、そう呼んでくれた方が嬉しいわ」

由比ヶ浜「もっちろーん!小町ちゃーん!!」ガシッ

小町「むぎゅっ!
   ゆ、結衣さん、く、苦しいですって」

八幡(何と言う圧倒的な胸の暴力!!っていうか卒業式の頃よりも更にボリュームが増えてないか?)

雪ノ下「その路地裏にあるバケツに詰め込まれた生ゴミまみれの腐った魚の眼のような目線、相変わらずね。
   汚物が谷くん」

八幡「流石にそれは描写記述が長すぎるだろ...」

雪ノ下「で、これからどうするのかしら?」

八幡「ああ、とりあえず例の所に行くか」

奉仕部部室

由比ヶ浜「わぁーーー!!懐かしいなぁーーー!!」

八幡「おいお前ら、ちょっと声のトーン落として静かにしろ。
   流石に用務員さんに見つかっちまうだろうが」

雪ノ下「まああまり叫んだりしなければ大丈夫でしょう。
   何しろ、もともとこの空き教室は一般的な動線からは離れた位置にあったのだし
   それが故に、ずっと前から空き教室になっていたらしいわ」

八幡「そーいやそーだったな。
   俺らの教室からはイヤに遠かったし、歩きずらい場所にあるなぁと思ってはいたが」

小町「ふーん、ここが奉仕部の部室だったんですねー」

由比ヶ浜「小町ちゃんこっちこっちー!
   ここがねー、ゆきのんの席で、こっちが私の席で、そこら辺がヒッキーの席ね!!」

小町「へー、そうだったんですかー」

由比ヶ浜「それでね、こうやって座って、時々ゆきのんが入れてくれる紅茶を飲んで、
   ゆきのんやヒッキーとたわいもない話をしながら待ってると、向こうの扉から
   平塚先生がやってきてさ、色々な案件を持ってきてくれたんだよねー」

小町「なんかそれって良いですねー!
   まったりと過ごせそうな感じが!
   でも、平塚先生?という方が居たんですか?」

八幡「あー、平塚先生な...」

由比ヶ浜「そういえば、平塚先生って別の高校に異動したんだよね。
   いま頃どうしてるかなぁ?」

八幡「平塚先生なら...この前、亡くなったらしいぞ」

由比ヶ浜「...えええええ!?マジ!?」

雪ノ下「それが本当らしいの...
   例によって、あの新型コロナに感染したらしいわ」

由比ヶ浜「そ、そうなんだ...」

八幡「ああ、だいたい先生はヘビースモーカーだったしな。
   長期間の喫煙ですでに肺がズタボロになってただろうし、感染したらイチコロだったんだろう」

由比ヶ浜「うわぁ...」

雪ノ下「それでは小町さん、ちょっとやって欲しいことがあるのだけれど」

小町「はいはーい、何でしょう雪乃さん?」

雪ノ下「まずは、こちらの用紙に必要事項を記入して頂戴」ピラッ

小町「えっ?これは...」

八幡「小町、まずは受け取れ」

小町「あっ、うん」ピラッ

八幡「ほうほう...これはまた懐かしくも忌まわしいモノを...」

小町「これって...!?」

由比ヶ浜「私もそれ、ゆきのんに言われて慌てて出しに行ったなー、
   なんか懐かしいねー!」

八幡「つーかこれ、どこにあったヤツだよ...
   フォーマットがまんま同じじゃねーか」

雪ノ下「ええ、実は私が昔、もし新しく入部希望の人が現れた時に
   すぐに渡せるようにとっておいたものなの。
   用紙は少し古くなっているけど、用は足せるから問題ないでしょう」



小町「こ、これは...奉仕部への入部届じゃないですか!!」

小町「う、嬉しいです...これでようやく...
   小町もちゃんと総武高校の生徒になれる気がします...」ウルウル

雪ノ下「ふふっ、小町さん。
   私達はいつでも貴方を歓迎するわ」

八幡「さ、小町。
   とっとと書いちまえ」

小町「えっ、あっ。
   小町、ペン持ってきてないや...」

八幡「ふっ、こんな事もあろうかとな」ピッ

小町「お兄ちゃんサンキュー」スラスラ



小町「...よっし!
   書きましたっ!雪乃さん、
   じゃない、雪ノ下部長!!」ピラッ

雪ノ下「見せて頂戴...
   はい、必要事項の記入を確認しました。問題ないでしょう。
   奉仕部にようこそ、比企谷小町さん」

由比ヶ浜「いらっしゃい!!小町ちゃん!!」

小町「ふゔぁぁぁぁぁ...」

小町「ね、念願の奉仕部に入れて...う、嬉しいです!!
   雪乃さん、結衣さん!!」

雪ノ下「そう...良かったわ。
   私としても、奉仕部をやってきた甲斐があったわ」

八幡「まーな」

由比ヶ浜「よーし!
   それじゃーさぁ、小町ちゃんの歓迎会しよーよ!!」

小町「えっ!?本当ですか!?」

八幡「おいおい...
   歓迎会っつったって、どこでやるんだよ...
   こんな時間じゃもうどこのサイゼもやってねぇだろ」

雪ノ下「まあサイゼリアはともかく、
   この完全自粛体制下では夜遅くまでやっているレストランはもう殆ど無いわね」

小町「うーん...
   あ、じゃあウチなんかどうですか?

八幡「はぁ!?」
   おい小町、お前な...」

小町「でもウチの両親、結局テレワークとかしないで今も会社で残業じゃん。
   まだ帰って来てないから大丈夫でしょ」

雪ノ下「私達は構わないのだけれど...
   小町さん、本当に良いのかしら?」

由比ヶ浜「出来ればウチにおいでよ!って言いたいところだけれど、
   ウチもパパがずっと在宅だし...」

雪ノ下「そうね...私のところも、本家に引っ越してそのままだし...」

小町「やっぱりそうとなれば、ウチでやりましょう!」

八幡「おいだから小町」

小町「いーじゃんお兄ちゃん、そんな減るもんじゃ無いし?
   それじゃ、善は急げ!って事で
   レッツゴー!!」

八幡「おい小町待て、そんな廊下をはしゃぎながら走るなって...」



○×「ゴホッゴホッッ!!」

小町「ヒエッッ!?」

八幡「小町!?
  ソイツから早く離れろ!!」

小町「わわわわわっ!!」タタタッ

○×「おぉい!!君たちぃゴホゴホッ!!
  こんな夜遅くにダメだヨォゴホゴホゴホ!!」

由比ヶ浜「あ…学校の用務員さん!?」

雪ノ下「申し訳ありません。
  ちょっと忘れ物を取りに来ていただけですので、
  すぐに立ち去りますわ」

用務員「ゴホッゴホッ!!
  あぁーそーなら早く帰んなさいねぇーゴホッゴホゴホッ!!」

八幡「小町、大丈夫か?」

小町「うゔゔぇええ…
  小町、あの人の咳を思い切り顔に浴びちゃったよぉ…」グズッ

雪ノ下「小町さんちょっとこっちに…
  あら大変…さぁ、この除菌シートで顔を拭いて頂戴」

小町「うゔぇえええええ…」グシュグシュ

用務員「まぁー今回は見逃してあげるからぁゴホッゴホッ!!」

八幡「用務員さん、ちょっと良いですか。
  その咳はいつ頃から出てましたか?それに熱とか味覚障害とかはあるんですか」

用務員「ハァー、そんなん知らねえよぉゴホゴホッ!!
  まぁーちょっと熱っぽいかもしらんねぇゴホホッ!!
  でもなぁー、ワシがいっつも行ってるパチンコ屋なんてみーんなこんな風に咳してるから
  ワシャあ気にした事ねーぇなーゴホゴホゴホッッッ!!」

八幡「チッ…
  パチンカスだったのかよ」ボソッ

八幡「小町!大丈夫か」

小町「うぇえええ…お兄ちゃん…
  どうしよう小町、コロナに掛かっちゃうよぉ…」

雪ノ下「小町さん、それは違うわ。
  小町さんはまだ若いし、感染しても無症状か重篤化する確率は少ないでしょう」

八幡「いや、それはどうだろうな…
  変異で猛毒化した最近のコロナは若くても油断出来ないとか」

由比ヶ浜「ヒッキー!!それ以上はダメ!!

八幡「あ、あぁ…そうだった。
  ともかく小町、すぐに家に帰ってシャワーを浴びた方がいいぜ」

小町「う、うん…」

雪ノ下「とりあえず2週間は様子を見て…
  それから、大丈夫そうならまた会いましょう」

由比ヶ浜「うん!小町ちゃんなら大丈夫だよ!!
  普段の体調とかに気をつけてれば病気にならないって!!」

小町「は、はい、そうですよね!」

八幡「じゃ、いくか」

小町「うん。
  じゃあ小町達、先に帰りますね!
  雪乃さん、結衣さん、今晩はありがとうございました!!」

雪ノ下「くれぐれも気をつけてね」

由比ヶ浜「元気でね!!」ノシ

小町「はい!!それじゃー!!」

3週間後

八幡「…」

八幡「…」

雪ノ下「あら、比企谷くん
   どこにいるのかと思ったら、そのベンチにずっと座っていたのね。
   病室には、行ったかしら?」

八幡「…いいや、まだ行ってねぇ。
   つーか、今日もまた電車事故で待ちぼうけくらったんでな…」

雪ノ下「あら、私は自家用車で来たから分からないけど、
  相当酷いらしいわね…」

八幡「あぁ、もう京葉線も東金線も総武線も全部スタボロだ。
   まぁ、武蔵野線は昔からズタボロだったけどな」フッ

雪ノ下「道路状況も正直、似たようなものよ。
   高速道路は全線不通状態だし、一般道もそこかしこに事故が発生していて、
   事故車が片付けられていないどころか、遺体すら放ったらかしの現場もあったわ…」

八幡「電車なんかもっと酷えよ。
   ホームで待っている奴がどんどんポックリ死んでいくんでな、
   もう駅員もホームの隅だとかレールの脇に遺体を放置したままにしてんだよ。
   何しろ駅員自体どんどん死んでくし、手が回ってねえんだろ」

雪ノ下「…ますます悪くなっているわね。
   ついに新幹線全線と航空路線が運行を完全中止したそうだし、
   地方では既に大規模な計画停電も始まってしまったわ」

八幡「それに、TVも昼間と深夜は停波しちまったしな。
   もう深夜アニメは見れねぇ」

雪ノ下「それどころか、地方局の30%はもう完全に沈黙してしまったという話よ…
   地方から先に、どんどん人が死んで行っているみたいだわ…」

八幡「お前が持っているの、新聞か?」

雪ノ下「ええ…もう今や、こういうタブロイド版しか発行されていないのよ。
   新聞記者も続々と亡くなっているようね」ピラッ

八幡「ふむふむ、WHOの統計によれば、
  この新型コロナによって既に全世界で35億人が死亡と推定、か…」

雪ノ下「世界人口は、3年前の半分以下になってしまったわ。
  このままだと、滅ぶわね、人類は…」

八幡「そう言えば、由比ヶ浜はどうしたんだ?」

雪ノ下「あら、比企谷くんは聞いていないのね…
   …由比ヶ浜さんも、ついに発症したそうよ」

八幡「…マジかよ」

雪ノ下「ええ、こちらの病院じゃなくて、
   駅前のホテルを使った仮設病院に収容されてしまっているみたいだから
   今、雪ノ下家のコネクションで、この高級病院に、
   何とか転院出来ないか試みているところだけれど…」

八幡「っつってもなぁ…今、どこの病院も満杯だしなぁ。
   …そうか、由比ヶ浜がな」

雪ノ下「ええ…由比ヶ浜さんのお宅、もうご家族全員が亡くなられているから
   もし万一の事があっても、身元引き受け人が居ないみたいなの…」

八幡「…それじゃあ、お前の家で…」

雪ノ下「実を言うと、私の家ももう無理そうなの…
   お父さんが先日に亡くなって、お母さんももうECMOに繋がれてて長くなさそうなの…」

八幡「陽乃さんは…?」

雪ノ下「失踪してしまったわ…ここに居てもつまらないからって。
   でも、多分どこかでのたれ死んでいるのではないかしら」

八幡「そうか…」

ナース「ハァッハァッ、すいません、比企谷さんのご家族ですか!?」

八幡「はい、そうですが」

ナース「比企谷小町さんの容体が急変しました!今すぐこちらに来て下さい!!」

ICU(集中治療室)

八幡「こ、小町…」

小町「お…おにい…ちゃ…」

八幡「小町…大丈夫だ…もうすぐ治るから…」

小町「…んん…だったら…いいな…」

八幡「小町…何かして欲しい事、無いか?」

小町「んん…大丈夫だよお兄ちゃん…それよりも…」

八幡「な、何だい?」

小町「小町…先に…お父さんとお母さんのところに…行くけど…
   お兄ちゃんだけは…まだ来ないでね…」

八幡「バッカお前…お前だってまだ早えんだよ…俺より先にいくなんて
   あと100年早えんだよ…」

小町「…ふふっ…」



医師「これ以上はもう…人工呼吸器を付けないと呼吸が不能になります」

八幡「でも、そうしたらもう小町は喋れなくなるんでしょう?」

雪ノ下「というか…多分もう…」

医師「はい…」

八幡「…クソッ!!」



八幡(小町はその日の晩、眠るようにして天へと旅立った)

さらに3週間後



ピッピッピッピ

八幡(...)シュコー シュコー

八幡(...)シュコー シュコー

八幡(...)シュコー シュコー

雪ノ下「比企谷くん…容体はどうかしら?」

八幡(...)シュコー シュコー

雪ノ下「ふふっ、人工呼吸器に繋がれていても腐ったような目で私を見るのね、
   そういう所、本当に相変わらずだわね…」

八幡(...)

雪ノ下「先日、由比ヶ浜さんを荼毘に付してきたわ…
   葬儀場自体が閉鎖されてしまったから、自衛隊の仮設焼却場でだけれど…」

八幡(...)

雪ノ下「それで、遺品を取りに由比ヶ浜さんのお宅にもお邪魔したのだけれど、
   もう幕張の集合マンションも団地も、完全に巨大な墓地みたいになってしまったわ…
   近くの公園には、小さな子供の腐乱死体が幾つも転がっているのに、
   もう親御さんも亡くなってしまっているから誰も引き取りに来ないの…」

八幡(...)

雪ノ下「それだけじゃなくて、駅も、ビルも、路上も、車の中も、
   新型コロナによる心不全や脳卒中で急に亡くなった遺体でもう埋め尽くされていて、
   そこらじゅうに蛆が湧いてハエが真っ黒な雲のように群れをなして飛び回っているわ…
   バスも電車も、走っている途中で止まってしまって、中には急死した運転手や乗客の腐乱死体で一杯なの…
   地下鉄とか地下街なんて、もう腐乱死体から沸き出る硫化水素で充満しているから
   入って行く事すら出来ないどころか、地下からの通気口から出る腐敗ガスに引火している所もあるわ…」

八幡(...)

雪ノ下「そういえば、この新型コロナがなぜここまで猛毒化したかについて、
   どこかの研究所で最後まで生きていた研究者が発表していたけど、
   以前、比企谷くんが推測していた通りだったわ。
   例の新型コロナはどうやらパチンコ屋の密集状態でクラスター化した際に、
   遺伝子が交雑したお陰で変異・猛毒化して、
   それがパチンコ客を通じて市中へと蔓延したらしいわ…
   小町さんはその市中感染第一号だったみたいね…」

八幡(...)

雪ノ下「でも、そんな事が今更分かったところで、もう意味が無いわね…
   先日、アメリカ大統領も亡くなったそうだし…
   アメリカも日本も他の国も、政府がもう機能していないし…
   噂では、人類の人口は推定で十五分の一以下になってしまったそうよ…」

八幡(...)

雪ノ下「実を言うと、私も今はもう39度以上の熱が出ているし…
   咳も段々と出始めてるの…時々すごく息が切れて苦しくなるし…
   だから…多分もう…ここには来れないと思うの…」

八幡(...)

雪ノ下「だから…これでお別れね…
   でも安心してちょうだい…
   きっと…いずれまた…あの世で会えるわ…」

八幡(...)

雪ノ下「そこで…小町さんと…由比ヶ浜さんと…一緒に…
   今度こそ…ちゃんと…奉仕部の活動が…
   出来ると…いいわね…」

八幡(...)

雪ノ下「ゴホッッゴホッゴホゴホ!!
   もう…限界ね…私も…少し…休むわ…」

八幡(...)





雪ノ下「それじゃ…さようなら…」

署名訂正


八幡(それから数日後、俺は死んだ)





八幡(思えば、俺の人生は憂鬱だらけだった)



八幡(だが、少なくとも最後に、小町の憂鬱を少しでも軽減出来たのなら…
   俺の人生も、少しはマシになれたのだと思いたい)



八幡(さて、あの世で小町に会ってくるか。
   といっても、もはやあの世は一気に人口が数十億人も増えて満員御礼状態になってるだろうから
   小町を探すのにも一苦労しそうなのだが)





八幡(それから最後に…新型コロナはマジヤバい、あとパチンカスはやっぱりクソ)





小町「うーんうーん…お兄ちゃん、雪乃さん、まだこっちに来ちゃだめぇ…」ムニャ

八幡「おい小町、起きろ」ユサユサ

小町「コロナが、コロナがあ……」

八幡「起きろって言ってるだろ」バシッ

小町「いたっ…あれ、お兄ちゃんが生きてる?」

八幡「兄を勝手に殺すな」

小町「雪乃さんや結衣さんは?コロナは?」キョロキョロ

八幡「まだ寝ぼけてんのか。コロナは収まってるとは言いきれないが緊急事態宣言は解除されて今日から学校が始まるだろ。せっかく総武に通えるようになったのに遅刻するぞ」

小町「え、あ、時間ヤバッ!なんでもっと早く起こしてくれなかったの!?」

八幡「勝手なことを…早く飯食って準備しろ。チャリで飛ばせばそこまで切羽詰まってねえから」

小町「うん」



小町(なんだ、夢だったのかぁ)

小町(考えてみればおかしなとこいっぱいあったもんね。平塚先生が新担任になったのに面識ないふうだったり)

小町(ネットでやってた『コロナ悪化の最悪パターン』なんかを寝る前に見ちゃったからあんな夢を…)

放課後
奉仕部部室


小町「お兄ちゃん、雪乃さん、結衣さん、新入部員の比企谷小町です!今日からよろしくお願いいたします!」

八幡「おう」

雪乃「ようこそ奉仕部へ。歓迎するわ小町さん」

結衣「いらっしゃい小町ちゃん。これからよろしくね」


小町(コロナのせいでいろいろ出遅れたけど、手遅れになったわけじゃない)

小町(失ったものもあるし取り戻せないものもあるけど、それでもまた前を向いて歩いていく)

小町(コロナなんかに絶対負けない!)

小町(奉仕部の活躍は)

小町(ここからだ!)




完結です
遅くなってもうしわけない
パチンコで感染させたやつまじ◯ね

test

再開します
>>37からの続きですね。
ちなみに40と41は違う方なので...

さらに2週間後





雪乃(あれから...もう、何日が過ぎたのかしら)

雪乃(秋雨ははてしなく降り続け...)

雪乃(私は、学生時代から住み続けている、豪華な三部屋つづきのマンションの寝室で、一人で息をひきとりかけていた...)

雪乃(私の顔は熱のためにもえ、唇は黒くひびわれ、時々全身にはげしい痙攣が走った)

雪乃(汗と熱のにおいのムッとするベッドの傍に、小型のテレビとラジオがつけっぱなしになっている)

雪乃(おちくぼんだ眼蓋をとじてあらい息をしている私は、時おり思い出したように、カッと眼をひらき、皮膚のカサカサになった手をのばして、狂気のようにテレビのチャンネルをきりかえ、ラジオのダイアルをまわした)

雪乃(ーーだけど、テレビの液晶パネルには、ブルースクリーンのまま時々こまかいノイズ模様が、しろっぽく走っているだけでなんの姿もうつし出さなかった。ラジオもただブツブツいうだけだった)

雪乃「なにかいって!」

雪乃「おねがい!ーーーなにか話しかけて……」

雪乃(部屋の中は煮えるような暑さだった)

雪乃(この十数階建ての高級マンションでは、一週間前から電気が止まり、水道も止まった)

雪乃(三日前、私は高熱を圧して、バケツに水を汲みに、1階まで降りていった。廊下では、三人の男女の死骸が36度の暑熱の中で、しずかにくさっていた。毛が抜けて、歯をむき出した、フレンチプードルやシャム猫の死骸もあった)

雪乃(街路は森閑と静まり、今は黒煙さえ立ち上っていなかった)

雪乃(ガレージの中では、何台もの高級自家用車がすでに埃をかぶり、マンションのガーデンにあるプールにも死体が三つ、ーーー花模様のプリント地のワンピースを着た、十二、三の女の子、ポロシャツ姿の銀髪の紳士、それに細いズボンを履いた若者……。若者の死体はすでに大分経つらしく、相撲取りのように脹満して、すでに眼球が流れ出していた)

雪乃(私は、プールの傍で長い間ためらったけれど、結局プカプカ浮いている死体から一番離れた所の水を汲み上げた。水道は一階でも止まっており、他に水が無かったからだ)

雪乃(三日間、私はその悪臭のする水を飲んで、渇をいやしていた。ーーーだけど、今はもうバケツの水も蒸発しきってしまい、私は終末の近い事をさとった)

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雪乃(凄まじい炎暑に、火あぶりの悪夢に苛まれながらも私は、それでもベッドの上でうつらうつらしながら、生きながらえていた。ーーーそして時たま、世界中で自分だけが生き残った夢を見ては、恐怖のあまり目を覚ます)

雪乃「いやよ!」

雪乃(私は思わず、自分以外はもう誰も居ない部屋なのに、かすれた声で叫んでしまった)

雪乃「たった一人で死ぬなんて………いや」

雪乃(声がガランとした室内に、かすかにこだまする)

雪乃(私は、まるで枯れ枝のように痩せ細った腕を伸ばし、また基地外のようにしてリモコンでテレビのスイッチを入れてチャンネルを慌ただしく切り替えたり、または携帯ラジオのダイアルをガリガリと回す。ーーー静寂)

雪乃(私はついに、完全に気がふれたようにして髪の毛をかきむしり、鳥のような叫び声をあげた。ーーーだが、実際は声は出ず、耳には何も聞こえない)

雪乃(ふと、枕元に置いてあるスマホが鳴ったような錯覚を起こして、夢中でスマホを取り上げた)

雪乃(しかし、実際にはどこかはるか離れた部屋で、風鈴がチリ、チリとかすかに鳴っているに過ぎない)

雪乃(耳に押し当てたスマホの奥で、電話がこの地域ではまだ生きていることを知って、私は呆然とした)

雪乃(夢のような感覚の中で、私は手当たり次第に登録してある番号へ掛けたり、または当てずっぽうにランダムに電話番号を入力した)

雪乃(突然、声が聞こえてきた。私はギョッとして、スマホに向かって叫んだ)

このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月20日 (水) 05:17:19   ID: S:3BSSDj

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