小町「結衣さんと雪乃さんと何かあった?」 (27)
八幡「ああ、実は二人から告白されちまってな」
小町「……え?」
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(しばし沈黙)
小町(いやいやいやいや! え、展開はやすぎでしょー! なにこの人朝から爆弾発言しちゃってんの? この前までちょっと近づいたかなとか思ってたら、急に近づきすぎだよ! いやでも小町的にこの展開は……アリ?)
八幡「まあ、告白に近いといったほうがいいかもしれんが……」
小町「えーと、もうちょっと細かく聞かせてもらっていい?」
八幡「ああ。……あれは、修学旅行で京都を観光しているときのことだ」
~回想シーン~
由比ヶ浜『ここで石を回してお願い事するんだって』
八幡『おお』
由比ヶ浜『じゃあ、一緒に回そう』ゴロゴロ
(由比ヶ浜二拍する)
由比ヶ浜『…………ヒッキーにとってのマッ缶になれますように』
八幡『え……なに、どうしたの由比ヶ浜』
由比ヶ浜『……なりたいの』ジットミツメルー
~回想終わり~
(しばし沈黙)
小町(えー……結衣さん、えー……その言い方はないですよ……。なんかもっと他に言い方とかあったでしょーに……。確かにマッ缶はお兄ちゃんにとってないと生きていけないくらい大事な存在なんだけど……。いやーそれにしてもねえ……。っていうか、お兄ちゃんの反応は――)
小町「……」チラッ
八幡「……まあ、マッ缶になってくれるってのも」
小町(いや、おい、否定しなさいよ。なに、「ちょっとありかな……」みたいな空気出してんの。ないから。絶対ないから。結衣さん、マッ缶なれないから。違うから)
小町「……普通、そういうのってお味噌汁作ってあげたいとかいうんじゃないの」
小町(小町的にそういうのポイント高い)
八幡「いや、味噌汁には糖分足りてないぞ」
小町(いや、ね? むしろ、お兄ちゃんの頭に糖分足りてないからね? 味噌汁は当分補給するための飲み物じゃないから。キッコーマンに謝りなよ! このごみいちゃんめ!)
小町「えーと……うん、結衣さんは分かったよ。で、雪乃さんはなんて?」
八幡「ああ、そうだな。……あれは、先生と雪ノ下とラーメンを食べた帰りのことだ」
~回想シーン~
八幡『じゃあな』
雪ノ下『ええ……おやすみなさい。……その』
雪ノ下『……比企谷くん。私……あなたとマックスコーヒーしたいわ』
八幡『え……なに、どうしたの雪ノ下』
雪ノ下『したいの……』
~回想おわり~
小町(ちがあああああう! 雪乃さん、それなんか違う! しかも、結衣さんと言葉被っちゃってるような気もするんだけど! それどうなの! 流行ってるの! いや、流行らせないから! おかしいから!)
小町「いや、マックスコーヒーしたいって何語なの……」
八幡「無論、千葉語だ」
小町(いや、ないからね? 千葉語とかないから。うん。……え、あるの?)
小町「えーと……色々言いたいことはあるんだけど……。お兄ちゃんはなんて返事したの」
八幡「あー、それなんだがな」
~回想シーン~
由比ヶ浜『……なりたいの』
八幡『……俺も、なりたい』
~回想おわり~
小町(おおおおお! なんか言葉は間違ってる気がするけど、通じ合ってる! もう千葉語でもなんでもいいよ! 前進しすぎて小町うれしい!)
八幡「……俺、マッ缶になるのが夢だったんだ」
小町「」アタマカカエー
小町(違う。そうじゃない。そうじゃないよ、お兄ちゃん。小さいころに「保育園になりたい!」とか言っちゃうバカな子みたいだよ。うん、保育園にはなれないから。マッ缶にもなれないから)
小町「え……でも、告白されたってさっき言ってたじゃん」
八幡「ああ。いや、俺はそのときそんなつもりで言ったんじゃなかったんだけどな。なんか、そういうことだったみたいでややこしくなってんだ」
小町「……うん、なんかもういいや。それで、雪乃さんの方にはなんて答えたの?」
八幡「ああ、それなんだがな……」
~回想シーン~
雪ノ下『したいの……』
八幡『俺は違うな』
(しばし沈黙)
雪ノ下『そう……、あなたがそう言うなら――』
八幡『むしろ、もうしてるくらいだ』
雪ノ下『え……?』
八幡『俺は、もうマックスコーヒーしてんだよ』
雪ノ下『比企谷くん……』
~回想おわり~
八幡「まあ、これも雪ノ下なりの告白だったみたいなんだ……。だから、余計こじれちまってな」
小町「」アタマカカエー
小町(いや、もう分かったよ。この人、なんも分かってないよ。うん、もう駄目だよこの人)
八幡『俺、もうマックスコーヒーしてんのかな……』
小町「お兄ちゃん、回想シーンみたいな声まだ出てるよ……」
小町(話を聞こうとした小町がダメだったのかも……。もう末期だよ)
小町「それで……、お兄ちゃんはどっちと付き合うの」
小町(小町的に、そっちのが大事だよね)
八幡「……それが、俺から小町への依頼だ」
小町「え……?」
八幡「小町、頼まれてくれるか?」
そうして、比企谷小町は立ち上がった。
こんな兄だけれども、血は繋がってる。
どうしようもない状況は、必ず変えることができる。
――だって、小町がついているのだから。
小町「小町にお任せあれ!」
時に安請け合いは身を滅ぼす。
このときの比企谷小町はそれさえも気づいていなかった。
頑張れ、小町! どうしようもない兄のために!
――――
――
―
小町「……あー、なんかすごい嫌な夢見た」
その日、比企谷小町は兄への無用な詮索を含む発言を控えた。
おわり。
このSSまとめへのコメント
>>1は夢オチ好きだなwww
ま た お ま え か
安定の夢オチ