ココア「ココロの鍵は」チノ「あなたの中に」 (16)

チノ(今日、12月4日は私の誕生日。だけど、もう日は既に落ちていて。年に一度のこの日はもうすぐ終わりそう)

チノ(目の前でココアさんが祝ってくれている。祝ってくれてるのだけど……)

チノ「……ココアさん、もう一度説明をお願いします」

ココア「このノートにはプレゼントの隠し場所が書かれてるんだー」

チノ「隠し場所が書かれている。なるほど」ペラッ

《うびきではえそのらじけえあえのぴきこにいばぶだえおわ》

チノ「……書かれている内容が理解できないんですが」

ココア「暗号だからね!シストみたいに頭を使って、冒険して探し出すんだよ!!」

チノ「今日、12月4日は私の誕生日。だけど、もう日は既に落ちていて……。冬のこの時間から暗号を解いて冒険しろと!?」

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ココア「まあまあそう言わずに。一見複雑そうなこの暗号、実は"鍵"を知っていれば簡単なの。その鍵はチノちゃんが持ってるよ!」

チノ「私が持ってる……?」

ココア「うん。チノちゃん、大切な友達を一人思い浮かべてみて!」

チノ「大切な友達、ですか」

チノ(……リゼさんのことを考えてみよう)

ココア「思い浮かべたらその子の名前を考えてね」

チノ「名前……。なるほど、暗号は26文字。R,I,Z,Eの4文字のあるべき場所に書かれている文字は……」

ココア「LIZEかもしれない」

チノ「それだとイが小文字になるのでは」

ココア「ィゼちゃんだね」

チノ「それ発音どうやって……。とりあえず、RIZEで"こらわは"ですね?みんなの名前が鍵、ってことですか」


ココア「真っ先に選ばれるリゼちゃん。流石ラビットハウスの古参従業員」

チノ「初対面の時はここまで仲良くなれると思っていなかったかもしれません」

ココア「初対面の女の子に銃を突きつける女の子」

チノ「初対面の女の子にガンを飛ばす女の子」

ココア「でもその後はすごく優しい」

チノ「それにとても頼りになります。お仕事の時なんて、接客も料理もラテアートも上手です」

ココア「優しくて頼り甲斐があるんだから、絶対いい先生になれるよ」

チノ「間違いないですね」

ココア「きっと、生徒のどんな言葉も聞き逃さないよね。寝ていても”リゼせんせー”に反応するんだもん」

ピロン

ココア「リゼちゃんから」

チノ「メッセージ……?」

≪リゼ先生って聞こえた気がした≫

ココア「」

チノ「」

チノ「なんで聞こえてるんですか……」

ココア「つ、次の鍵を考えよう!」

チノ(今度は千夜さんとシャロさんで)

チノ「えっと、C,H,I,Y,AとS,Y,A,R,Oにあるのは……」

ココア「ヘボン式だとSYAROじゃなくてSHAROらしいよ」

チノ「 "きのらおう"、"におうこの"ですね」

ココア「スルー!」

ココア「チノちゃん、千夜ちゃん。シャロちゃんはそれぞれ別のお店で働いている身。大切な友と戦わなければならない運命……!」

チノ「それほど深刻な話じゃないですよね。去年のクリスマスだって、二人ともうちを手伝ってくれたじゃないですか」

ココア「あはは、冗談だよ?あの日はパーティーだけじゃなくて、働いてる時もいつも以上に楽しかったね!マヤちゃんとメグちゃんもいたし」

チノ「……そうですね、楽しかったです」

ココア「またいつか、みんな一緒にラビットハウスで働けたら良いね!」

チノ「はい。きっと、いつか」

ココア「そういえば、あの日のシャロちゃんの接客っぷりは凄かったよね。千夜ちゃんもいてくれて無事にお店を回せたよ」

チノ「二人は本当に頼りになりますよね」

ココア「うんうん!」

チノ「そういえば、さっきはリゼさんが頼りになるって話でしたし、私たちには頼りになる友だちがいっぱいいますね」

ココア「うんうん!」

チノ「リゼさんも千夜さんもシャロさんも、ココアさんよりお姉ちゃんみたいです」

ココア「うんうn…… そ ん な ! ? 」

チノ「冗談ですよ」

ココア「つ、次行ってみよう!」

チノ「大切な友達といえば、マヤさんはメグさんは外せません。チマメ隊ですから」

ココア「つまり、M,A,Y,AとM,E,G,Uの場所も大事になるはずだね!」

チノ「……ココアさん、まさか忘れてます?」

ココア「忘れてる?何を?」

チノ「メグさんの本名はメグミさんですよ」

ココア「?」

チノ「メグさんの本名はメグミさんです」

ココア「…………あっ!?」

ココア「で、でもMもIも、もう出てるから大丈夫だよ!セーフだよ!」

チノ「つまり重複は考えなくても良いと。なるほど。じゃあMGUで"あそば"ですね」

ココア「バレちゃった!? ……コホン。チノちゃんと二人との付き合いは長いよね。リゼちゃんと同じくらいに」

チノ「中学に入学した時からずっと一緒でしたから」

ココア「三年分の思い出は、三人の絆の強さの証だね」

チノ「……三年分だけじゃないです。未来の思い出もです」

ココア「そうだね。チマメ隊、ふぉーえばー!」

チノ「学校が離れてもへっちゃらです」

ココア「そっか、チマメ隊も春には高校生になるんだよね」

チノ「そうですね」

ココア「高校生になったら正式にバイトもできるから、チマメ隊三人が一緒に働くところが見られるね!」

チノ「二人がどこでバイトするかはわからないですよ」

ココア「……じゃあ、もし、甘兎やフルールで働くことになったら!やっぱり大切な友と戦わなければならない運命……!」

チノ「それ言わなきゃいけないのがココアさんの運命なんですか?」

ココア「ところでチノちゃん」

チノ「なんですか」

ココア「私の名前はいつになったら出てくるの!?」

チノ「……すみません、本人の前で大切な友達と言うのが照れくさくて」

ココア「えー?照れなくてもいいのに」

チノ「それと一つ聞いておきたいんですが、ココアさんってCOCOAですか?KOKOAですか?」

ココア「COCOAだよ?」

チノ「……CもOもAも既に出てます。千夜さんとシャロさんで」

ココア「……ほんとだ」

ココア「さあ、集まった文字を組み合わせよう!私の名前は必要なかったけど!!!」

チノ「ヤケにならないでください。……こらわはきのおうにのあそば。これ、アナグラムですね?」

ココア「うん、そうだよ」

チノ「……13文字のアナグラムを解くのって難しくないですか?」

ココア「バラバラにすることしか考えてなかったよ」

チノ「解く人のことも考えてください!何かヒントはありませんか?」

ココア「うーん……。そうだ!隠し場所は、うちのどこかだよ!」

チノ「うちの?冒険して探し出すんじゃ」

ココア「時間が足りなくなるだろうからやめておけってリゼちゃんが」

チノ「流石リゼ先生です」

ココア「つまり、今からでも時間はあるよ!頑張って解こう!」

チノ「……あ、一応13文字から"裏庭"が作れなくもないですね」

ココア「おおー!」

チノ(この反応は当たり?じゃあ……裏庭には木があるから)

チノ「"木のそば"に置いてあっても不思議ではないですよね?」

ココア「流石チノちゃん!解読まであと少しだよ!」

チノ(これも当たり。残った文字で作れるのは……)

チノ「裏庭、木のそば、青の箱 が答えですか?」

ココア「大正解!」

チノ「一つの単語でも文章でもない!」

チノ「……ありました。こんな大きな箱、いつの間に置いたんですか」

ココア「今日こっそりとね。サプライズだよ!」

チノ「これってひょっとして、みなさんからのプレゼントなんですか?」

ココア「そうだよ!びっくりさせたかったから内緒にしてもらってたんだー」

チノ(今度会ったらお礼を言わなきゃ。でもまずは)

チノ「ありがとうございます、ココアさん」

ココア「どういたしまして!」

チノ(みんなからのプレゼント。嬉しいに決まっている。……でも、なにか物足りない。なんだろう)

ココア「ふっふっふっ。お姉ちゃんお手製の暗号も楽しんでくれたかな?」

チノ「"お姉ちゃん"……?それです!」

ココア「どれです!?」

チノ(ココアさんは私のお姉ちゃん……"COCOA IS MY SISTER"でいいのかな?。さっきと同じで重複しないならCOAISMYTER)ペラッ

《うびきではえそのらじけえあえのぴきこにいばぶだえおわ》

チノ(さっきと同じように当てはめると……)

チノ「"木の裏に青い箱"」

チノ「木の裏には……やっぱり。プレゼント、もう一つあったんですね」

ココア「隠しワードに気づいてくれるなんて、お姉ちゃん嬉しいよ!」

チノ「ココアさんがお姉ちゃんに拘ってるのは、最初にうちに来た時から変わらないですからね」

ココア「なんとしてでもチノちゃんを妹にするよ!」

チノ「なんですかその宣言。……その明るさも、笑顔も、あの時から変わらないです」

ココア「えへへ、そうかな」

チノ「そうですよ。いつもそばで笑うココアさんがいるから、毎日がすごく楽しいんです」

ココア「ふえ?」

チノ「それに、ココアさんのお陰で、大切なみんなとも仲良くなれたんですよ。きっとココアさんは、私たちの心を開く鍵を持ってるんです」

ココア「チノちゃんどうしちゃったの」

チノ「ココアさん、これからも私のそばで、私の少し前を歩いてください。そんなミライが、きっと楽しいから」

ココア「//」

チノ「どうして照れるんですか」

ココア「急にここまで褒められるとは思わなかったから」

チノ「リゼさんも千夜さんもシャロさんも褒めた後なのに」

ココア「普段のチノちゃんだったら私にはツンだよね!?」

チノ「じゃあ、今日はこのプレゼントのお礼ですよ。ありがとうございます、大切にしますね」

ココア「そのままお姉ちゃんって呼んでくれても」

チノ「勢いで押し通そうとするなんて、とんだダメ姉ですね」

ココア「 ど う し て 」

チノ「普通におねえちゃんと呼ぶのは照れくさいので」

ココア「どうしてそこで照れちゃうの!ダメ姉でも嬉しいけど!」

ココア「でも、なんとしてでも!いつの日か絶対に!お姉ちゃんって呼ばせるからね!」

チノ「5年くらい先になりそうですね」

ココア「長くない!?……もう!こうなったら今以上に姉力を高めちゃうよ。チノちゃん、覚悟して!!」

チノ(……おねえちゃんとこれからも一緒なら、もっと、もっと楽しく暮らせそう。なんて)

ココア「っ!今お姉ちゃんって聞こえたような!?」

チノ「っ!?言ってません。絶対に言ってません!言ってないですよね!?」

ココア「ぐぬぬ、チノちゃん本人が認めてくれないなら仕方ないね」

チノ「そういうことです。もっと姉力高めてください」

ココア「精進します……!」

チノ(……口はちゃんと閉じていたつもりだったのに。どうやら私のココロの鍵は───)

ココア「チノちゃん、どうしたの?」

チノ「なんでもないですよっ」

チノ(───あなたの中にあるみたい)


~おわり~

ここまで読んでくれてありがとう
というわけでチノさんハッピーバースデイ
ノートと聞く度にどうしても某ゲームの無ドニ冷凍銃やミニタツマキが浮かぶ

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