京太郎「京ちゃんクエスト?」優希「だじぇ!」【最終第三ステージ】 (431)



~ここまでの簡単なあらすじ~ 

1、トラックにはねられた拍子に、須賀京太郎は魔法と剣の異世界へと転生してしまった!

2、元の世界に戻るため冒険者になった京太郎。なんやかんやあったけど王宮公認の“神位の勇者”になった!

3、魔王にさらわれたサキ姫を救い出すため、宮永照、荒川憩、新子憧、園城寺怜、東横桃子の五人の仲間と共に冒険の旅に出た!

4、旅の途中、邪淫王竹井久などの凶悪なる魔物たちとのバトルを経て、パーティメンバーはその結束を強め、各自の能力も高めて大きく成長したのだった…!

5、そしていよいよ最終決戦の地、魔王城のある暗黒島へとやってきた! 京太郎たちは大魔王コカジンを倒しサキ姫を救い出せるだろうか?


遂に魔王城のある暗黒島オプスキュリアに上陸した勇者パーティ一行…!

だが、そのとき魔王城最上階の魔王の間では…

ジャージ姿の大魔王コカジンが、その永き眠りから目覚めようとしていた!


健夜「・・・・zzzz・・」グーグー 

健夜「ん… こーこちゃん… だからシチューにカレー混ぜないでよぉ…」ムニャムニャ


 バタンッ!


晴絵「コカジン様! いつまで寝てるんですか? 早く起きて下さい!」

健夜「ん~…? 赤土さん…?」ムム…

健夜「今日はオフなんだからゆっくり寝かせてよ…」フワア…

晴絵「昨日話したじゃないですか、勇者の一行がこの魔王城に向かってきていると…」

健夜「勇者・・・?」

VIPの方に立てたいんやけど、どうしてもRに立っちゃうので、もうこっちでやってみます


・前々スレ→京太郎「京ちゃんクエスト?」優希「だじぇ」【第一ステージ】
     京太郎「京ちゃんクエスト?」優希「だじぇ」【第一ステージ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1533529379/)

・前スレ→京太郎「京ちゃんクエスト?」優希「だじぇ」【第二ステージ】
      京太郎「京ちゃんクエスト?」優希「だじぇ」【第二ステージ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1535191929/)

・今回も安価コンマ形式。だけど第二ステージとはまた形式が異なり、バトルはわりとテキトーかも。


≪サキ姫奪還・魔王コカジン討伐パーティ 各自ステータス≫

「須賀京太郎(勇者)」 
戦闘レベル64 HP1526 MP20
能力 スマイル、「ギア○めいた厨二病的台詞(呪文代わり)で全体バフできる」
装備 甲冑、手甲、覇者の聖剣(神器)、ちゃちゃのん水着写真集

「テルテール・ミヤナーガ(第一王女)」
戦闘レベル69 HP1221 MP2100
能力 照魔鏡、黄金のコークスクリュー、ギギギーってやつ、方向オンチ、「お菓子を召喚して武器にできる」
装備 サキアルバム、サキパンツ、お菓子

「新子憧(賢者・法術師)」
戦闘レベル54 HP1176 MP2300
能力 火・水・雷・風・光の五属性のあらゆる精霊術、各種召喚術、「集中するとスーパーコンピューター並の演算が出来る」
装備 巫女服、各種呪符、箒神、マルチ召喚デキャンター(神器)

「園城寺怜(時空属性専門魔道士・太ももソムリエ)」
戦闘レベル47 HP1011 MP2800
能力 未来予知、枕神トキちゃん召喚、時空操作によるあらゆる次元干渉(時の流れを操る、時空間移動、アカシックレコード読み取りetc.)、「相手を、自分を献身的に看病させたくなるようにマインドコントロールできる」
装備 魔杖、チャクラム(円月輪)、リーチ棒、時空風呂敷、時空腰帯、強制ひざまくら券etc.

「荒川憩(聖級医術師)」
戦闘レベル42 HP1521 MP1900
能力 各種治療、回復魔法(ヒール)、直観映像記憶素質、バイタル読み取り、解毒、結界発動、神撃、「ウイルスなどの微生物を召喚、操作できる」
装備 ナース服、メスなどの各種医療器具、薬袋、マジックマッシュルーム

「東横桃子(斥候・諜報員)」
戦闘レベル44 HP1401 MP1600
能力 ハイパーステルス、超感覚(グレートファイブセンシズ)、 「一分間だけ無味無臭の気体になれる」
装備 ダガーナイフ、各種スパイアイテム(透視眼鏡、スパイダークロー、魔道石板etc.)、超電導フリスビー



布団から身を起こした魔王コカジン…

よれよれのジャージ姿だが、その寝ぐせのついた頭の両側には魔族特有の立派な角が生えている。


健夜「また勇者…? 最近勇者多くない?」

晴絵「勇者は魔王を攻めるくらいしかすることがないですからね」

晴絵「しかも最近の人間界では勇者認定の規定が緩くなって、勇者が巷に溢れてるそうです」

健夜「そうなんだ… 勇者って今全部で何人くらいいるの?」

晴絵「自称も含めれば多分一万人は超えるかと…」

健夜「そんなに? 勇者だけで街が一つできちゃうじゃん…」


コカジンの側近らしき赤毛の女は魔王の秘書である。

元々は“アチガ村のレジェンド戦士”と呼ばれた人間だったが、魔王に倒されて魔族として転生… 以後、優秀な魔王軍参謀としてコカジンに仕えていた。


健夜「そんな掃いて捨てるほどいる勇者が来たからって、わざわざ毎回私が出てく必要ないでしょ。 四天王の誰かに追っ払ってもらってよ」

晴絵「四天王の皆さんは昨夜の飲み会で飲み過ぎたみたいで… 二日酔いでまだ寝てますね」

健夜「えー…? 戒能さんも?」

晴絵「戒能さんは、この時間は日課の朝のトレーニングに… 煉獄の谷へワイバーン狩りに出かけてます」

健夜「はー… 相変わらずストイックだね戒能さんは」


健夜「じゃあとりあえずどんなパーティなのか見せてよ。 映像出る?」

晴絵「はい、それでは… 出でよ魔道幻影!」ポワアアアァ…!


晴絵が手元のタブレットのような機械…「魔道石板」を操作すると、空中にTVモニターのようなスクリーンが現れた。

そこには、ちょうど島に上陸したパーティ一行が映されていた…


“照『遂に着いたね…』”

“桃子『ここが暗黒島・オプスキュリアっすか…』”

“怜『流石は魔族の総本山やな。 空気中の魔素濃度がハンパないで…』”

“憩『みんな、ここからはもうどこから敵が現れるか分からんからね… 気ぃ引き締めていくんやでっ!』”

“京太郎『……』ブルブル”

“憧『京太郎何震えてんのよ。 ビビッてんの?』”

“京太郎『ちげーよ! これは武者震いだっ!』”


晴絵「ご覧の通り、今回は6人のパーティ… あの背の高い金髪の男が勇者です」

健夜「ふーん… けっこうカワイイ男の子だね♪」


晴絵「いや、見た目に騙されてはいけませんよ魔王様… 彼は、6つある勇者の階級でも最高位の“神位”の勇者…!」

晴絵「大陸のダンジョンでは、この魔王城の戦闘執事・萩原さんを倒しています」

健夜「え?ハギヨシさん倒しちゃったの? それは困るなぁ…」

晴絵「彼はサイボーグなので、回収して修理すれば大丈夫ですよ」


“京太郎『へっくしょいっ!』=3”

“怜『ん、なんや京太郎、風邪か? うちに伝染さんといてな』”

“憩『潮風に当たったからかなーぁ…? 熱は無いみたいやけど』スッ”

“京太郎『あ、だ、大丈夫ですよ/// きっと、誰かが俺の噂してるんですって』”

“憧『ふふっ、もしかしたらその噂してるのって、魔王かもねw』”


健夜「……」


“京太郎『ところで・・・』”

“京太郎『今さら聞くのもおかしい話だけどさ、魔王って、どんなヤツなんだよ?』”

“憧『ほんとに今さらね…』”

“桃子『魔王は、全ての魔族たちを束ねる魔物たちのトップ…! その強さはもはや神以上とすら言われてるっす』”

“照『これまで、数知れない冒険者が魔王を倒しに行ったけど、ことごとく返り討ちにあってる…』”

“怜『いや、そうは言うても、それは全盛期の魔王の話や。 今の魔王はアラフォーのロートルっちゅう噂やで』”

“憩『確かに…アラフォーになってから更年期障害に苦しむようになったっちゅう噂はうちも聞いたなーぁ…』”

“京太郎『ふうん、アラフォーですか…』”



健夜「アラサーだよっ!!」=3

ーーーーー

 “ ア ラ サ ー ダ ヨ オ オ ォ ッ !!!”ブワアァッ!!


京太郎「どひっ!?」
照「ふぇっ!?」
憧「はぁ!?」
怜「もはっ!?」
桃子「っすぅ!?」
憩「ぷげらっ!?」


 ビュ――ン・・・ボチャアァンッ!!


大魔王の「アラサーだよっ!!」は城の壁を通り越し、猛烈な衝撃波となって周囲に拡散…

京太郎たち6人は木の葉のように吹っ飛ばされ、海に落とされてしまっていた。


京太郎「い、一体、何が… もががががっ」ブクブク

憩「み、みんな! とりあえず岸まで泳ぐんや!」=3

ーーーーー


健夜「まったくもぉ、失礼しちゃうなぁ…!」=3

晴絵「さあ、どうします、魔王様?」

健夜「え?」

晴絵「魔王城に潜入されたら色々と厄介ですから、今のうちに追い払った方がいいですよ」

健夜「そーだね、お城のどこか壊されたりして、また修繕費かかったりするのヤだもんね」

晴絵「魔王様自ら行けば一瞬でケリがつくと思いますが…」

健夜「私はやだよ… 着替えるのめんどくさいもん。 誰か出ていける人いないの?」

晴絵「そうですね、今手が空いてるのは・・・こちらですね↓」


1、コーチ

2、カツ丼

3、じいや(大沼プロ)

4、その他(名前指定)


晴絵「誰に行かせますか、魔王様?」

健夜「うーん…じゃーあー……」


☆すこやん、誰を選ぶ?(最も早く2票入った人がパーティ討伐に出陣。4の場合は、提案レスに賛同レスが一つついた場合に決定。連投不可)

※魔王軍先鋒・カツ丼出陣! 京太郎パーティを殲滅せよ!


大魔王コカジンの命を受けた晴絵は、靖子の元へ向かった…


晴絵「………」コツ、コツ、コツ、コツ…


 ガチャッ


晴絵「失礼します。藤田さん、仕事ですよ」

靖子「・・・ん、赤土さん? おいおい、私今、見ての通り朝飯食ってんだけど…?」モグモグ

晴絵「魔王様直々の指令です。 勇者たちが島に上陸したので、追い払って欲しいんですが…」

靖子「勇者だぁ…?」チッ


靖子「めんどくせーな…」ムグムグ

晴絵「藤田さんは朝からカツ丼なんですね…」

靖子「まーね、私は朝昼晩と一日三回はカツ丼を食べる。 間食でカレー大盛りとかも食べるけどな」ガツガツ

晴絵「大根おろしのトッピングですか。 美味しそうですね…」ゴクッ

靖子「うん、最近のマイブーム。 朝はいつもこれ、カツ丼特盛の飯増しおろしトッピング」モグモグ

晴絵「特盛の飯増し…? って、こんな話してる場合じゃないんです。 食事中申し訳ありませんが出陣して下さい」

靖子「ちっ… 私のカツ丼、つまみ食いすんなよ?」ザッ

晴絵「食べませんよ!」

靖子「ふ…w ま、勇者ごとき、そのカツ丼のメシが冷える前に片付けてくるさ…w」ニタアァ…


魔王軍特務曹長藤田靖子…! 戦闘力は四天王に及ばないが、特異な能力による殲滅戦を得意としていた。

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ーーーーーーーー
ーーーー


京太郎「ふぇっくしょいっ!!」=3

怜「う~…さぶっ! 風邪ひいてまうでほんまに…」グッショリ…

桃子「ひどい目にあったっすね…」ブルブル

照「なんだったんだ…? さっきの衝撃波は…?」

憩「魔王城の方から来たみたいやったけど…」

憧「私たちが上陸したことを察知されて、何かの防衛システムが作動したのかもね」


大魔王の「アラサーだよっ!」で吹っ飛ばされ、海に落とされたパーティ一同はなんとか再上陸… たき火を囲んで体を温めていた。


怜「なあ新子、あんたの魔法で服とか乾かせへんのか?」

憧「ん? そりゃ、出来ないことはないけど…」

憧「戦闘前にあんまりMP消費したくないんだよね…」


?「そんな心配はいらん。 お前たちの旅もここで終わりだからな」


憧「!?」バッ


突然の声に振り返ると… 5mほど離れた場所に、のん気に切り株に腰掛けてキセルをふかしている女がいた…


憧(な…? コイツ、いつの間に?)

桃子(私の索敵レーダーに引っかからなかった…? この人、一体…?)


靖子「お前たち… 私の至福のカツ丼タイムを妨げた罪は重いぞ…」ユラア…


ゆっくりと立ち上がった靖子の体から、黒々としたオーラが湧き立ち、その目が赤く光り輝く…


憩「遂にお出ましかいな… 魔王直属の魔物やな?」

靖子「ふん…」プカァー…

 
靖子の口からゆらゆらと紫煙が浮く。


靖子「ちょっとだけ遊んでやるよ。 かかってきな!」


じり…!


靖子を囲むように半円の陣形を取るパーティ一同…

1VS6… 圧倒的有利にも関わらず、靖子の何か底知れない迫力に、誰も動くことが出来ない。


怜「おい… 京太郎」チョンチョン

京太郎「え、はい?」

怜「お前、早く敵と戦いたくてうずうずしとったんやろ。 とりあえず突っ込んでみいや」

京太郎「……」


靖子「………」ゴゴゴォ…

京太郎(なんだ…? 隙だらけに見えるのに…全く隙がないような気もする…)

京太郎(くそ、向かい合ってるだけでなんか嫌な汗出てくんな… これが魔王直属の魔族か…)

京太郎(でも、俺だってあのハギヨシさんといい勝負出来るまで成長したんだ。 力が通じないはずはねえ…!)グッ


腰を落とし、刀身を自分の身体で隠すように引いて構える京太郎……


靖子「…? なんだ? 誰も来ないなら私から…」スッ

京太郎「! だっ!!」バッ!


靖子が一歩前に踏み出そうとした瞬間…

京太郎が地を這うように前進し、斜め下から擦り上げるように剣を振った。


靖子「おっと」スイッ


スウェーで間一髪かわす靖子。 だが…


京太郎「しゃあああっ!」ブンッ

靖子「!」


即座に、返す刀で今度は上から袈裟切りの斬撃を撃ち込む!


 ガキイイイィンッ!!


京太郎「へ・・・は?」

靖子「軽いな… 本当にこれが“神位の勇者”の斬撃か?w」


京太郎(ば、バカな…? 俺の覇者の聖剣の一撃を、片手で…キセルで受け止めた??)

靖子「・・・飛べ」ブンッ

京太郎「うおっ!?」


靖子が軽くキセルを振っただけで、後ろに大きく吹っ飛ばされる京太郎…


憧「!? ぐ、“グラビティ・ブレス(重力魔法)”!!」パアァッ!

京太郎「…うっ!」ピタッ!


憧が両手を掲げると、大木に激突する寸前のところで京太郎の体は止まっていた。


京太郎「…わ、わりぃ憧…」

憧「考え無しに飛び込んでんじゃないわよ… この魔法疲れるんだからね!」


照「みんな、気をつけて… コイツの戦闘レベル、120もあるよ…!」ショーマキョー

憩「ひゃ、120…? ウチらの倍以上やんか…!」


靖子「…お前らの貧相な脳味噌でも分かると思うけどさ、たとえ6人がかりでも私には勝てな…ん!?」ガキィンッ!

桃子「っす!?」


死角からのダガーナイフの一撃…!

だが、それも靖子はキセルで受け止めていた。


桃子(ど、どういうことっすか…? こいつ、ステルスモードの私が見えてるっすか?)バッ

靖子「ふふっw、可愛い顔してるねあんた。 人間にしておくには勿体ないわねぇ…」ニイィ…

桃子「…!」ゾクッ


憧「み、みんな、一人ずつ攻撃してもダメ! 連携してくよっ! “ファイヤーアロー”!!」ブワァッ!


憧、ダンジョン戦でのどっちを吹っ飛ばしたあの炎の塊を靖子に撃ち込む…!

だが…


靖子「なんだこんなもん… ふざけてんのか?」スイッ

憧「へ!?」


まるでハエでも払うように片手を振っただけで、その業火の炎は消滅してしまっていた…


憧(う、ウソでしょ…? くそっ、これが魔王直属の力…?)ギリッ

靖子「ふん… しょせん人間が使える魔法なんか、私たち魔族にとってはお遊び程度でしかないんだよ…w」クク…

靖子「愚かな人間どもに見せてやろう… 真の魔法というものを!」バッ

靖子「出でよ森羅万象を司る精よ・・・! “オーバー・エレメント”ォ!!」ブワアァッ!


 ピカァッ! バリバリバリバリバリバリバリ・・・!!


?「ギョッヴェエ゙エ゙エ゙エ゙エエェェェッッ!?!?」=3=3


響き渡る悲鳴…! そして…!


 ぼんっ!=3


?「ああぁっ!?」
?「げえっ!?」
?「ん、んなっ、アホな…!?」


カツ丼「……」ホカホカホカ…


嗚呼、なんたることか…

靖子がキセルを上空に掲げると、巨大な落雷が発生…!

その電撃に撃ち抜かれた○○が、なんと、美味しそうなカツ丼に変身してしまったのだ!


靖子「フフ…w これが私の力… “万物をカツ丼へと変える能力”だ!w」


※誰がカツ丼になった?(HP-120)

>>26コンマ以下数 
01~16→憩   
17~32→桃子 
33~48→怜   
49~64→憧  
65~80→京太郎

81~96→照   
97~00→6人全員仲良くカツ丼(全滅)

53→憧、カツ丼へ


 ピカァッ! バリバリバリバリバリバリバリ・・・!!


憧「ギョッヴェエ゙エ゙エ゙エ゙エエェェェッッ!?!?」=3=3【-120】[HP1176→1056]


 ぼんっ!=3


照「ああぁっ!?」
桃子「げえっ!?」
憩「ん、んなっ、アホな…!?」


カツ丼(憧)「……」ホカホカ


憐れ…! 靖子の魔法でカツ丼へと変身させられてしまった憧…!


京太郎「そ、そんな…? 憧がカツ丼に??」

怜「錬金魔法やな… 万物をカツ丼に変えられるっちゅーのはまた便利な能力やな」

京太郎「はい…?」


靖子「クク…w その通り、私の十八番は錬金魔法…! どんな物質も、分子レベルまで分解してカツ丼として再構成させることが出来るんだ」ドヤ


憧丼「……」ホカホカ

憩「ああ、憧ちゃん、なんて姿に…! これじゃあヒールもかけてあげられへん…」ガク…


カツ丼となってしまった憧を前に、がっくりと膝をつく憩…


照「美味しそうだね… 食べてもいいのかな?」ゴクリ

憩「な、仲間を食べたらあかんでテルさん!」

照「え、でも、冷める前に食べてあげたほうが…」

靖子「心配するな、お前らも全員仲良くカツ丼にしてやるさ」スッ…

照「!」


再びキセルを上空に掲げる靖子。


桃子「さ、させないっすぅ! 喰らえっ! “超電導フリスビー”イィッ!!」バッ!

靖子「む?」


 ギュオオオオオオオォォォ―――ン・・・!!


モモが商人ちゃちゃのんから買い上げた飛び道具、オリハルコン製超電導フリスビーを靖子に放つ!


靖子「おっと、あぶね」スイッ

桃子(! さすがにうまくよけるっすね… でも、そのフリスビーはUターンしてくるんっすよ…!)

桃子(がら空きの背中にブチ込んでやるっす!!w)


 ギュギュギュギュウウウウゥゥ――ン…!!


靖子「ん!?」


空中でターンし、猛烈な電撃を伴いながら靖子の背中に襲い掛かる超電導フリスビー…!

だが!


 ピカァッ! バリバリバリバリバリィ…!
 

桃子「ほぇっ!?」


一閃!

フリスビーは靖子に激突する寸前、一瞬、目も眩まんばかりに光り輝き… 次の瞬間には空飛ぶカツ丼となってモモの手元に戻ってきていた。


桃子「そ、そんな…? せっかく高いお金出して買った貴重な飛び道具なのに… なんでカツ丼に…?」オヨヨ…


京太郎「こ、この…! お前ぇ!憧を元に戻しやがれっ!」ジリ…


首筋に嫌な汗が噴き出てくるのを感じながらも、勇気を振り絞って聖剣を靖子に突きつける京太郎…!


靖子「うるさいなお前はさっきから… 私は男には興味はないんだ、ちょっと寝てろ」プカアァーッ…

京太郎「!?」


ふかしていたキセルの紫煙を吹き掛けた靖子。 その煙は、アッという間にまるで雲のように巨大化し、京太郎の体を包み込んでしまった…


京太郎(な、なんだよこれ…? なんも見え… お、おおぉ…??)グラグラ…


ーーーーーー
ーーーー
ーー


京太郎「・・・は!」パチッ


いつの間にか意識を失っていた京太郎が目覚めた場所は… 実に奇妙な場所だった。


京太郎「あん…? なんだ一体… どこだここ?」キョロキョロ


天井が異様に高く… 足元には何か白い粉が敷き詰めてあり、周囲は銀色の、腰くらいまでの高さの塀が囲んでいる。

そしてその塀の向こうは…


京太郎「!?? な、なんだこれ?! どーなってんだよ!??」


京太郎の目に飛び込んできたのは… 

ドームのような大きさの“ボウル”… それにビルのように巨大な“牛乳パック”、柱時計のような“量り”、そしてテニスコートほどもある“ガス台”…


京太郎「・・・き、キッチン? これ・・・俺が小さくなってんのか? ってことは、この白い粉は・・・」スッ

京太郎「やっぱり…小麦粉? …うぉっ!!??」


上を見上げた京太郎はさらに戦慄した。 天から、空を覆い尽くさんばかりに巨大な“手”が降ってきたのだ…!


京太郎「わちゃっ!! おわちゃちゃちゃちゃっ!?? や、やめろっ!!」=3


その巨人の手で全身小麦粉まみれにさせられた京太郎は、ふいっと持ち上げられ… 今度は隣のボウルの中に投げ込まれた。


 ボチャンッ!


京太郎「うぇは…?! う、き、きもちわりぃ…!」

京太郎「な、なんだこれは…溶き卵??」ヌルヌル…

京太郎「おいおいおい! まさか……」

京太郎「俺をトンカツにしようってのか!??」


全身卵まみれにされた京太郎は、次は案の定… パン粉の敷かれたバットの上に投げ込まれた。


京太郎「や、やめろっ! ふざけんなっ!俺は豚じゃねーぞ?!」=3


抵抗空しく…全身にパン粉をまぶされてしまった京太郎は、電柱のようなサイバシで挟み込まれ、空中に持ち上げられた。

そして、次移動した場所は……


京太郎「う…! や、やめっ! やめろおおおおおぉぉっ!!!」=3


 ジュワアアアアアアアァァ……!!


京太郎の眼下には・・・

そう、200℃に熱せられて準備万端の油の池!!


京太郎「あがああああああぁぁっ!?? はなせぇっ! やめろおおおおぉぉっ!!!」=3=3


ーーーーーー
ーーーー
ーー


京太郎「あぎゃああああああああああああぁぁぁっっ!!!」=3=3

憩「ちょっ! 京太郎クン! しっかりせぇ!!」パチーンッ!

京太郎「ひ…! あひっ! うぁ、は・・・??」


憩のビンタで跳ね起きた京太郎は… 全身にまとわりついていたパン粉や卵は消え、元の場所に戻ってきていた…


京太郎「あ… お、俺…??」ハアハア…

憩「落ち着くんや。 闇魔法の精神攻撃を喰らったんや… 向精神薬のマジックマッシュルームを使ったで、もう大丈夫やで」スッ


商人ちゃちゃのんから購入していた、乾燥キノコの小瓶を掲げる憩…


京太郎「は・・・ あ、ああ…」フウフウ…

京太郎「す、すいません… お、俺、もう少しで人間カツになるとこでした…」


だが、カツ丼の恐怖はまだまだ終わらなかった!


靖子「さあ、もう一回いっとこうか…? お前たち、覚悟はいいな?」バッ…!


容赦なくキセルを上に掲げる靖子!


京太郎「くぅ…?」

怜「まだヤル気かいな… カツ丼祭りやな」

照「カツ丼よりドーナツがいいんだけど」

桃子「そ、そんなこと言ってる場合じゃないっす!」

憩(あかんわ… 上から来るから、誰が攻撃されるんか分からんし… 避けようがないでこれ…?)


靖子「これで終わりだっ! “オーバー・エレメント”ォ!!」ブワアァッ!


またもや恐るべきカツ丼光線がパーティを襲うっ!


 ピカァッ! バリバリバリバリバリバリバリ・・・!!
 

???「「「ギ二ヤアアアアアアァァァッッ!?!?」」」=3


 ボンッ=3


?「あ、ああぁ…?!」

?「こ、今度は、○と○が・・・!」

?「か、カツ丼に・・・!!」


カツ丼'S「………」ホカホカ


靖子「クククク…!w なかなか美味そうなカツ丼たちだな!w」


※コンマバトル!誰がカツ丼になった?(「80以下」のコンマの場合は誰かがカツ丼に変身。「81以上」のコンマが出ればその時点で靖子に逆転勝利!もしも5回連続で80以下が出てしまった場合は、全員カツ丼に変身。00は100扱い)

80以下のコンマの場合は、下一桁が

1、6の場合→京太郎
2、7の場合→照
3、8の場合→怜
4、9の場合→憩
5、0の場合→桃子 が、カツ丼に(かぶった場合は次の数、つまり一つ足した数の者がカツ丼になる)

18、08、24 → 怜、憩、桃子、カツ丼に変身 【-120】[怜HP1011→891][憩HP1521→1401][桃子HP1401→1281]


靖子「これで終わりだっ! “オーバー・エレメント”ォ!!」ブワアァッ!


再度降りかかる靖子のカツ丼光線っ!


 ピカァッ! バリバリバリバリバリバリバリ・・・!!
 

憩・桃子「「ギ二ヤアアアアアアァァァッッ!?!?」」=3


 ボンッ=3


照「あ、ああぁ…?!」

京太郎「こ、今度は、憩さんとモモが・・・!」

怜「か、カツ丼に・・・!?」


憩丼&モモ丼「「………」」ホカホカ


靖子「クククク…!w なかなか美味そうなカツ丼たちだな!w」


怜「新子に荒川、東横までヤラれて、残りは3人… 厳しい闘いになったな…」ホカホカ

京太郎「そうですね… って、怜さん! あなたもカツ丼になってますよ?」

怜(カツ丼)「な、なんやと…? いつの間に…?」フワアアン…

照「いい匂いだよ園城寺さん…」クンクン

怜(カツ丼)「嗅ぐんじゃないわっ!」=3

京太郎「なんでカツ丼になっても喋れるんですか…」

怜(カツ丼)「ちっ…! カツ丼になってもうたら、もう膝枕もでけへんやんかい…!」

怜(カツ丼)「京太郎! はよあのキセル女をぶっちめるんや! 術師を倒せばこの魔法も解けるはずや」

京太郎「は、はい…!」


だが…


京太郎「ど、ドライブスラッシュウゥッ!!」スカッ!

照「ターボ・コークスクリュ――ッ!!」スカァッ!

靖子「遅過ぎる…! 欠伸が出るぞお前ら?」ヒュンヒュンッ


京太郎と照が二人がかりで攻撃しても、靖子にはかすりもしない…!


京太郎(っく…! 畜生!マジつええこいつ…! スピードもパワーも次元が違い過ぎる!)

京太郎(くっそ… 魔王城に入ることもできずに… こ、こんなとこで全滅しちまうのかよ俺たち…?)ハアハア


怜(カツ丼)「何しとるんや京太郎! あとはテルとお前しかおらんのや。 しゃんとせんかい!」

京太郎「う、うるさいっすね…! カツ丼は黙ってて下さいよ!」ハアハア

京太郎「てゆうか、園城寺さん時空属性の魔道士でしたよね… アイツの行動の先読みとか出来ないんですか?」

怜(カツ丼)「この姿じゃ、魔力が弱まってまって、未来視はちょい出来へんけど・・・」

怜(カツ丼)「勝率なら分かるで」

京太郎「しょ、勝率?」


怜(カツ丼)「せや。 この勝負、残念ながらあのキセル女が勝つ確率の方が高い…」

怜(カツ丼)「こんままやと、ヤツが勝つ確率が64%… つまり京太郎たちが勝てる確率はズバリ36%や」

京太郎「36%…? 断然不利じゃねーか! つーか、勝率なんか知ったってなんの役にも立たねーだろが!」=3

怜(カツ丼)「じゃかあしいわっ! ええか京太郎、お前に一つええことを教えたるわ…」

怜(カツ丼)「勝てる闘いだけに臨む戦士っちゅーのはただのチキンや。 真の勇者は、どんな絶望的な状況でも、如何に不利な闘いであっても、全力で臨めるもんなんやで」

京太郎「……」

怜(カツ丼)「ええか… この厳しい状況はな、京太郎… お前という男に課された試練なんや」

怜(カツ丼)「こんくらいの試練を乗り越えられんで、何が勇者や…! お前がほんまもんの勇者なら、奇跡の一つくらい自力で起こしてみせぇやっ!」クワッ

京太郎「…!」


カツ丼にカツを入れられた京太郎の目の色が変わった…!


京太郎(確かに…怜さんの言う通りだ。 相手がつえーからって、弱気になってたってしょーがねぇ…!)ギラ…!

京太郎(ここが男・須賀京太郎を見せるとこじゃねーか! どんな不利な状況でも・・・)

京太郎(俺がくつがえすっ!!)ザッ!


京太郎「うおおおおおおおぉぉっ!!」ババッ!

靖子「!!」


※コンマバトル!(※延長戦。「80以下」のコンマの場合は京太郎か照がカツ丼に変身。「81以上」のコンマが一回出ればその時点で靖子に逆転勝利! あと2回連続で80以下が出てしまった場合は、全員カツ丼に)

コンマ以下
01~40→京太郎カツ丼に
41~80→照カツ丼に
81以上→靖子に勝利

31、48 → 京太郎、照、カツ丼に変身(パーティ全滅) 【-120】[京太郎HP1526→1406][照HP1221→1101]


京太郎(どんな不利な状況でも・・・俺がくつがえすっ!!)ザッ!


京太郎「うおおおおおおおぉぉっ!!」ババッ!

靖子「!!」


怜にカツを入れられた京太郎、決死の突撃…!


京太郎(普通に攻撃しても、あの超スピードでよけられる… ならば…!)

京太郎(これならどうだっ!)バッ、ピョーンッ!!

靖子「んっ!?」


靖子の間合に入る直前で、京太郎は大きくジャンプした…

そして!


京太郎「そらっ!」キラッ!

靖子「うぉっ!?」


怜(カツ丼)(な? アレは… 京太郎の奴、空中で剣の刀身を使って太陽の光を反射して…ヤツの目を攻撃?!)


思わぬ奇襲に、さすがの靖子も思わず手をかざして目をつぶった。


京太郎「今だっ! おらぁっ!!」ブンッ!


怜(カツ丼)(よっしゃ!もろたでっ!w いけ京太郎!!)


だが・・・


 スカァッ!!


京太郎「えっ!?」ヨロヨロッ!


盛大に空振った京太郎は、二、三歩とたたらを踏んだ。


京太郎「な…? あ、アイツ、どこに…?」キョロキョロ

靖子「バカかお前は…?」スッ…!

京太郎「は!?」ゾクッ

京太郎(う、後ろにいる…? い、いつの間に…?)ガタガタ

靖子「お前ごときの攻撃なんかなぁ…」ズモモォ…

靖子「目をつぶってても“気”で全部見えるんだよ!w」カッ!


靖子「愚かなる人間に裁きを! “オーバー・エレメント”ォ!!」ブワアァッ!

 ピカァッ! バリバリバリイィ…!!

京太郎「ぐわああああああああぁぁぁっ!!?」ボンッ=3


遂に京太郎までカツ丼に… 残るは第一王女テルのみ!


照「このぉ…! ふ、フフ…!w まあいい…!w」ニタアァ…

照「こうなったら、温存していた私の秘技“ギギギーってやつ”を使って、お前を地獄に…w」ズオオォ…!

靖子「うるさい黙れ」ピカァッ

照「あ」ボンッ=3

照丼「……」ホカホカ

靖子「ふぅ… 片付いたか」


残念ながら奇跡は起きず…! 京太郎パーティ、早くも全滅!!w


怜(カツ丼)(ちっ…! なんや京太郎もテルも、使えんやっちゃな…)ギリ…

怜(カツ丼)(くっそ! しかしこの姿じゃうちも手も足も出えへんで… ひたすら身に醤油ダレが染みていくのを待つばかりや)

怜(カツ丼)(それにしても、アイツうちらのこと全員カツ丼にしといて、どないするつもりなんや…? まさか……)


靖子「さて・・・」ユラッ

靖子「一仕事終わったことだし、食事休憩にするか」ストンッ


再び切り株に腰掛けた靖子は、近くのカツ丼の一つを手に取り、そのフタを開けた。


靖子「フフ…w 美味そうだ。では、いただくとするかな…w」ムッシャムッシャ


怜(カツ丼)(!? ま、マジで喰うんかいな!??)ゾクッ


遂に、カツ丼にしたメンバーを食べ始めてしまった魔人靖子…


怜(カツ丼)(…こりゃあかん、パーティ全員魔族の胃袋に入れられてまったら、さすがにもう復活はできんで…?)

怜(カツ丼)(あかんわ、これほんまに詰んだか…? ・・・ん?)


靖子「……」モグモグ…

靖子「・・・? あん・・・? な、なんだ・・・??」ウググ…

靖子「う…! ぐぐっ、うっ、ががあぁ…!?」=3


カツ丼をかき込んでいた靖子が、突然、腹をおさえて苦しみ始めたのである…!


靖子「う・・・おえっ! うっぷ!? うぉぼろげえええええぇぇっ!??」=3=3


怜(カツ丼)(? なんやアイツ、ゲロ吐き始めよった。 当たったんか? …む?)ピカァー…

怜「うぉっ!?」ボンッ=3

怜「な、なんや? も、元に戻った??」


カツ丼ボディが光り始めたと思ったら、次の瞬間には人間の姿へと戻っていた怜…

そして、


京太郎「おっ!?」ボンッ=3
照「ん!?」ボンッ=3
桃子「っす!?」ボンッ=3
憧「あれ!?」ボンッ=3


次々と無事人間へと戻り始めたメンバー…

そして、膝をついて胃液を吐きだしている靖子の前には…


憩「ふふ…w 油断しよったな魔族サン♪ このフェニックス・アラカワを食べようとしたんがあんたの運の尽きですよーぅっ!」ドヤッ


靖子「こ、この…! き、貴様、何をした…? 毒か…? ど、毒を盛ったのか?」ウゲゲェ…

憩「毒なんて生易しいもんとちゃうで…w」ニタア

憩「カツ丼に変身させられた時に、ウチは、万一に備えて自分の身体にあるモノを仕込んどいたんや…」

憩「使ったのは、ウチの新能力“ウイルスなどの微生物を召喚、操作できる”能力…! そして…」

憩「今回召喚したんは、最凶最悪の消化器系感染症ウイルス・・・」

憩「ノロウイルスやっ!!」


靖子「の、ノロウイルス…??」

憩「せやでーぇ♪ ノロウイルスは、食中毒で死亡例もあるほどの強力な悪玉ウイルスや。 その症状は嘔吐、発熱だけやあらへん…」

憩「猛烈な下痢を引き起こすのが特徴やw 魔族サン、こんままじゃエライことになるで…? はよトイレに行った方がええんちゃう?w」

靖子「…こ、このぉ…! お、覚えてろよっ!!」ヨロヨロ…


顔面蒼白で冷や汗を垂らしながら、なんとか立ち上がった靖子は… フラフラふらつきながら、命からがら魔王城へと退散していった。


憩「ぃよっしゃ! とりあえずは一匹退治したで!♪」 (憩、戦闘力5pアップ。戦闘レベル42→47)






 ワイワイガヤガヤガヤ…


憩「はあ、忙し忙し… まさか、全員カツ丼にされてまうとは思わんかったで」パアアァ…!


なんとか靖子を撃退したパーティ一同は、一人ずつ憩のヒールを受けて小休止していた。([憧HP1056→1106][怜HP891→941][憩HP1401→1391][桃子HP1281→1331][京太郎HP1406→1456][照HP1101→1151])


桃子「強かったっすね… やっぱり魔王直属は、これまでの敵とは一味違うっすね」

怜「危うく全滅するとこやったもんなぁ」

憧「しかも、アイツは多分ただの先兵… 魔王城に潜入すれば、もっと強い四天王や魔王が待ち構えてる…」

京太郎「… ビビるわけじゃねーけどさ… このままで、勝てるのか?俺たち…?」

照「大丈夫、私が全員ブッ飛ばしてサキを助けるだけ」モグモグ

怜「お前も簡単にカツ丼にされとったやんか! 見とったで?」

照「ちょっと油断しただけ」ムグムグ

憩「テルさんはバトルが終わるたんびにオヤツを食べるんやねぇ… 糖尿病になりますよーぅ?」

照「大丈夫私は特異体質だから。 ドーナツ食べる?」スイッ


照を除き、重苦しい空気が流れ始めた、その時だった…


桃子「みんな・・・心配ないっすよ! ここは、この私に任せるっす!」

憧「モモ?」

京太郎「なんかいいアイデアがあんのかよ」

桃子「城攻略には、作戦が重要っす。 敵は強大っすから、無策で乗り込んでもヤラれてしまう可能性が高いっす…」

桃子「でも、敵の情報を入手して綿密な計画を立てて攻めれば、今の私たちでもきっと勝てるっすよ!」

桃子「まずは・・・私一人で魔王城に潜入するっす!」


京太郎「一人? たった一人でか?」

憧「いや、確かに敵の情報は欲しいけど、モモ一人で潜入するなんて危険よ…」

怜「せや。 運悪く敵に見つかったら、殺されるかもしれんで」

憩「やっぱりみんな一緒に潜入した方が…」

桃子「皆さん… この私が誰か、忘れたっすか?」

桃子「エリート諜報員…裏の世界では知る人ぞ知る伝説級のスーパーエージェントなんっすよ! ここで役に立てなければ、“ステルス・モモ”の名が廃るっす!」


確かに、邪淫王竹井久を倒す時も、モモは先に一人で城に潜入した…

しかし、これから向かうのは、恐るべき魑魅魍魎が跋扈する魔族の総本山魔王城である。

モモといえど、一人で潜入して無事に戻ってこれるのか…?


全員で戦況を鑑みた上で相談し… 結局、モモ一人で先に魔王城に潜入することに決まった。


憧「ねえみんな、モモに特殊な戦力強化の魔法をかけるから…輪になってくれる?」


憧の指示でモモを取り囲むように皆で輪になり、それぞれの体力と戦力を、少しずつだけモモに分け与えた。


京太郎「モモ、たのんだぜ…!」

憩「ほんま、無理せんでなーぁ…」

怜「信じて待っとるで」

照「クッキー持ってって。お腹すいたら食べてね」


桃子「みんな、ありがとうっす! 魔王城内をしっかり調べて、必ず有効な情報を入手して戻ってくるっすから…!」

憧「うん、でもね、万が一もあるからさ… 今から3時間経過して、もしモモが戻って来てなかったら… モモが捕まった可能性も考慮して私たちも潜入を開始するからね?」

桃子「大丈夫っすよ! ここからはステルス・モモの独壇場っす!」ニコッ


パーティの命運を大きく左右することになる、モモの単独の潜入活動が開始された。


※桃子HP1331→1831(他のメンバー5人から100ずつもらう) 戦闘レベル44→54(他メンバーから2ずつもらう)
 
 憩  HP1391→1291 戦闘レベル47→45
 怜  HP941→841       47→45
 憧  HP1106→1006      54→52
 京太郎HP1456→1356      64→62
 照  HP1151→1051      69→67





今日はここまで、コンマ・安価はありません
また明日19:00から進めていきます


桃子「大丈夫っすよ! ここからはステルス・モモの独壇場っす!」ニコッ


仲間たちのため、単独で魔王城に潜入することになったモモ…!


憧「気をつけてねモモ… …ん?」ギロッ

憧「そこだっ! ファイヤーアロー!!」バッ! ヒュンッ!

?「ギッ!」ドゴォッ=3

京太郎「んおっ?」


突然、森の中に向かって炎弾を撃ち込んだ憧…

行ってみるとそこには、テニスボールほどの大きさの、黒い翼の生えた一つ目の魔物が半分焦げた状態で横たわっていた。


魔物ガンキュー「……」プスプスプス…

京太郎「な、なんだこいつ…? 低級モンスターか?」

憧「探査専門モンスターガンキュー… 上級魔族たちがよく偵察用に送り出す魔物よ」

怜「ははあ… うちらは多分、上陸した時からこいつに監視されてたんやな」

照「うん、まるで待ち構えてたみたいに敵が現れたから、おかしいと思ってた」

京太郎(ふぅん…? つまり、移動式の監視カメラってわけか)


桃子「危ないとこだったっす… このまま潜入してたら、コイツに尾行されてすぐ発見されちゃうとこだったっす」

憧「そうだね… 多分城の入り口とかにもガンキューがいるだろうから、特に中に入る時は用心してね」

桃子「大丈夫っす! コレを使って窓から侵入するっすから」スチャッ


桃子は、鉤爪のついたメリケンサックのようなモノを両手にはめた。


憩「ん? それは・・・スパイアイテム?」

桃子「そうっす、“スパイダークロー”っすよ! コレをはめれば、垂直の壁でも難なく上っていけるんっす♪」

京太郎「あれ…? でもモモ、お前、あの商人から買ったのってフリスビーだったよな? スパイアイテムは断念してなかったっけ」

桃子「そ、そうっすけど、よく考えたら、スパイアイテムは出発する時にちゃんと自分で装備してたっすw///」テヘッ


桃子「それじゃあ行ってくるっす! よいしょ!」ガシッ


スパイダークローを使って壁を上り始めた桃子…


桃子「ん… オッパイが邪魔でちょっと上りにく…わっ!?」ツルッ!

憧「ひゃっ!? す、滑った?!」

桃子「だ…だ、大丈夫、大丈夫っす…/// い、今のは、ほんのジョークっす///」ソロリソロリ…

京太郎「ほ、ほんとに大丈夫か…?」

怜「あいつほんまにエリートエージェントなんか…」


心配そうに仲間たちが見守る中… モモはなんとか3階くらいの高さまで上り、そこの窓から魔王城の中へと入っていった…





モモが単独での潜入を開始した頃…

魔王城・広闊の間では、


咏「ほいキタッ! リーチィ!!」ドォッ

はやり(28)「はやっ? うーん…その二筒チー!!」パシィッ!

咏「何…? って、オイオイッ! なんだそれ!? 誤鳴きじゃねーかよ!」

はやり(28)「え…? あ、ホントだッ! はやり間違えちゃった~☆」テヘペロッ

咏「こんの、わざとらしいねぃ… どーせ自分の手の和了り目が無いと見て、邪魔しにきたんだろ?」

はやり(28)「いや知らんしww☆」ハヤヤ

理沙「ずるいっ!」プンスコ=3

良子「またですかはやりさん… まあ、さらし間違いの誤鳴きはイグザクトリー、チョンボではないですが…」


四人の魔族の女が麻雀に興じていた。

何を隠そう、この四人こそが“魔族四天王”…!

大魔王コカジンに次ぐ魔力と戦闘能力を持った魔王軍団の“将軍”たちである。


はやり「ふんふんふふ~ん、ふふんふーん♪☆」フンフン

良子「はやりさんは和了り放棄… ならばここは…!」ズオオオオォ・・・チャッ!

良子「 ツ モ 」トンッ

咏「!」


良子のツモッた牌が… 黒々としたオーラを放ちながらその面を晒した。


良子「ふふ…w タンヤオ赤1ドラ1で1000・2000!」パララァ…

咏「あん…? ピンフと三色捨ててまでして待ちのいい方かい…」

理沙「堅実!」プンプン=3

良子「いえす。 バット、咏さんのリー棒ももらってこれで私がトップですよ」ニタア…


ソロモン72柱の魔神を操り、“デビルマスター”の異名を持つ戒能良子…!

魔界の紛争地帯“チュートー”には傭兵として派遣され、そのあまりの強さに戦神として崇め奉られていた。

召喚系の魔法及び体術においては、魔王をも凌ぐ伝説級のヴァルキリーである…!


はやり「ふふふふぅーんっ♪ じゃ、この局ははやりも本気出しちゃおっかなー♪☆」ハヤッ

はやり「ポン!☆」パシィッ!

はやり「チィー!☆」カシィッ!

咏「ふん… 序盤からの多鳴きは墓穴を掘んぜ…?」トンッ

はやり「それロォーンッ!w 三色ドラ2でざんくっ(3900)!!☆」

咏「なっ!?」

良子「…タンヤオと見せかけての、鳴き三色の字牌単騎待ち…? しかも速い…!」

理沙「とっきゅうっ!」プンスコ=3

はやり「狙い撃ちだよっ!☆」ドヤッ

咏「ったく! 目障りなオッパイしてんじゃねーぞこのやろっ!」モニュッッ!

はやり「はやん♪/// やだぁ、咏ちゃんえっちぃ!☆」ポヨヨン♪


その場にそぐわないふりふりの痛々しい衣装に身を包んだ女は瑞原はやり(28)…

魔族アイドルとして名を馳せ、ファンという名の奴隷を大勢手駒として抱えていた。

ちょっとザンネンな脳味噌の持ち主と思われがちだが、実は彼女は魔界一の才女…!

魔界エリートアカデミーを首席で卒業し、魔王軍幹部&アイドル&研究者という三足のわらじを履いている魔性のアラサーであった。


咏「ちっ…! ナメんじゃねーぞこんにゃろ…!」ズオオオォ…!

咏「リーチィ!!」ドォッ!

はやり(!? く… 今度は鳴けない…)チャッ

良子(これはベリーバッドですねぇ…)チャッ…

理沙「……!」プンプン=3

咏「クク…w さあさあ、どいつもこいつも怖れひれ伏しなっ!!」チャッ!

咏「ツモオォッ!!」ドオオォッ! ゴオオオオオォォ…!!


咏が牌を叩きつけると同時に、卓上にメラメラと紅蓮の炎が駆け巡った。


良子「!? Ouch!」=3

はやり「ちょ!? やめてよ咏ちゃん、熱いじゃん!」=3

理沙「焦げる!」プンスコ=3

咏「ふん、魔族のくせにこまけーこと気にすんなよw」

咏「リーチ・一発・ツモ・ピンフ・イーペーコー・チンイツ・・・!!」ゴゴゴオオォ…!

咏「11翻の三倍満! 6000・12000だコノヤロォッ!」カッ!!


劣勢を強いられていた着物の小柄な女が、圧倒的火力で一発でトップに…!

“三尋木咏”… その雀風と同じく、彼女の魔法は“迫りくる怒涛の火力”という言葉に表されるように火属性に特化していた。

地獄の業火を自在に操り、全てを灰塵へと還すその凄絶なる攻撃力は魔界随一…! 

四天王は四人同格であり、上下関係は無いが、シンプルな戦闘力においては彼女が間違いなく№1… つまり魔王に次ぐ実力者であった。


だが… 次局、オーラス南四局…!


理沙「………!」プンプンプンプン=3-3

咏(ん…? やべーなこりゃ…)

はやり(親のリサちゃんのぷんすこが普段の倍以上に…!☆)

良子(シット! 打つハンドがありません…!)


ほっぺをぷっくりと膨らませ、怒ったような顔をしたその女の頭部から噴き出していた蒸気が更に増し…

卓の上空にゆらゆらと雲が出来始めた直後…!


理沙「ツモォッ!!」プンスコタァンッ!=3

理沙「ジュンチャン三色ドラ1・・・!」

理沙「おやっぱね6000オール!!」プンスコリン=3

理沙「和了りやめ! とっぷ!」ニコッ


咏「あっちゃあ~… こりゃヤラれたねぃ…w」

良子「ラス親のシングル・ショットで逆転トップ… さすがですね…」

はやり「はーあ、結局リサちゃんがトップかー…」

咏「ノヨリさんって全然振り込まねーからねぃ、守りの堅さが結局は生きてくんだよなぁ…」

理沙「……!///」プンプンプン=3


相変わらず加湿器のように蒸気を発しているこの女は野依理沙…!

極めて守りの堅いその雀風と同じく、彼女の魔法は結界・防御に特化していた。

理沙の展開するシールドは、非常に広範囲にわたり… その気になれば魔王城全体を結界で包み込むことすら可能だった。


さらに理沙には、もう一つの特技が…


理沙「……」スイッ

良子「ん? 野依さん、どちらへ?」

理沙「お仕事!」プンプン=3

咏「えー…? なんだよノヨリさん、勝ち逃げかい?」

理沙「お仕事大事!」プンスコリン=3

咏「…ま、そーだよな、この魔王城の財力は、大半がノヨリさんのおかげだもんねぃ…」

はやり「リサちゃん、確か最近バイト先変わったんだよね? 今度はどこ?☆」

理沙「関西電力!!」プンスコ=3


そう… 理沙のそのぷんすこは電力に変換できるため、魔界中の電力会社が彼女を奪い合っているのだった。


良子「行ってらっしゃい野依さん」

咏「行ってらー」フリフリ

はやり「頑張ってねリサちゃん☆」ハヤッ

理沙「行ってくる!!」プンスコリン=3


 ガチャッ、バタンッ!


咏「はー… 一人欠けちゃったねぃ。 どーする? 三麻でもすっか?」

赤土「ちょっと皆さん… やっと起きてきたと思ったら、今日も麻雀ですか?」ヌッ

咏「おろ?」


理沙と入れ替わるようにして、魔王軍参謀赤土晴絵が広闊の間に入ってきた。


咏「赤土さん、ちょーどいいとこに来たねぃ♪ 卓がワンカケなんだ。 赤土さん入ってよ」

晴絵「私はやりませんよ… こう見えても公務で忙しいんですからね」

晴絵「皆さんにお知らせすることがあって来たんです。 この魔王城に…勇者の一行が潜入した可能性があります」

咏「勇者? んだよまたかよ! めんどくせーな」

良子「水際で阻止できなかったのですか?」

晴絵「はい… 藤田さんに行ってもらったんですが、なんだか、途中でお腹が痛くなったみたいで… 今は戻ってきてトイレにこもってます」

咏「は…? なんだよそりゃ、食あたりか?w」

はやり「カツ丼の食べ過ぎカナ?☆」


晴絵「奴らが上陸したあと、偵察用のガンキューで監視していたのですが、先ほど破壊されたようで見失ってしまいました…」

晴絵「そのあと身を隠したようで、勇者たちの位置がつかめていません」

咏「ふーん… つまり、突然勇者たちがここに乱入してくる可能性もあるってわけね」

はやり「何人のパーティなの?」

晴絵「全部で6人… その中には神位の勇者までいますよ」

咏「ほー… 神位ねぇ…」パタパタ


魔界№2、三尋木咏は興味なさそうに扇を振った。


良子「ふん…w 神位などと言っても、しょせんは人間…w」ズモモォ…

良子「エンカウントしたら、自らが井の中のフロッグであるということを思い知らせてあげますよ…!w」クックック…


咏「そらそうだねっ! 勇者くらいでビビるこたぁねーよ! それより麻雀麻雀!」

咏「赤土さん、あんた入んねーんなら、あの子、あの子呼んできてよ!」

晴絵「え?」

咏「ほら、なんつったっけ… 新しく魔王軍に入った新人ちゃん。 セーラー服でショートカットで、頭に∠がある…」

晴絵「ああ、あの子ですか? しかし、一応人間たちが攻めてきてるんですから、臨戦態勢をとって城内の巡回などして欲しいんですが…」

咏「ふん、そんなん知らんしw」

晴絵「…いい加減怒りますよ?」グッ

咏「ごめんごめん、分かってるって! あと半荘一回で終わりにすっからさ。 早く呼んできてよ!」






?「あの… お呼びですか? 四天王の皆さん…」オズオズ…

咏「オーッ! よく来たねぃ、新人ちゃん♪ あんたさ、麻雀はできる?」

?「麻雀ですか? できるっちゃできますけど… あんまり好きじゃないです」

咏「ふぅん…? ま、ルール分かるならさ、半荘一回だけ付き合ってくんね?」

?「はい、じゃあ…」スッ


晴絵が連れてきたその少女は、卓につくとなぜか靴と靴下を脱ぎ始めた。


?「……」ヌギヌギ

良子「…? どうしました、なぜ裸足になるのですか?」

?「いや、えっと…/// 私、麻雀打つ時は、こうするのがクセになってて…///」

はやり「ふーん… 靴下を脱いで手套を脱すってヤツだね!☆」


 チャッ、ピシッ、タンッ  チャッ、カシッ!  タンッ、ピシッ! ……


?「リーチ」ドッ

咏「おっ、やるねぃ、新人ちゃん…」チャッ

良子「7巡目で先制リーチですか…」チャッ

はやり「なんの! はやりもすぐ追いつくよ!☆」チャッ!


だが、数巡後・・・


?「カン」パタッ

咏「は?」

良子(? リーチ後にツモった一萬をわざわざ暗槓…?)

はやり(…? 河はタンピン風の捨て牌… 一萬は別に危険牌じゃないのに、なぜ…?)


さらに・・・


?「…もいっこカン」パタッ

咏「へ?」

良子(!? こ、今度は嶺上牌の東で暗槓…??)

はやり(な、なんでわざわざ役牌晒すの… ってゆーか、この手って…!)ゾクッ


そして・・・


?「ツモ」トンッ


咏「ふぇ?」
良子「ホワッツ?」
はやり「は、はやや…?」


開かれたその少女の異様なる手牌に四天王たちは瞠目した。


?手牌:四五六九九中中 ツモ:中 暗槓「一一一一」「東東東東」 (ドラ九・赤五)


?「リーチ・ツモ・東・中・混一・三暗刻・ドラ2赤1・嶺上開花・・・」ゴゴゴゴゴオオオォ・・・!

?「数え役満… 8000・16000です」ボォッ!!


咏「な・・・なんだこりゃ??」

良子「ジーザス…」

はやり「す、凄いね、新人ちゃん!☆」

?「新人ちゃんって… 私にも名前があるんです。 名前で呼んで下さい…」

はやり「そ、そーだったね! ごめん、なんていう名前だったっけ…?☆」


その…うすらぺったんこで気弱そうな少女は… 目を妖しく光らせながら、“その名”を口にした。


咲「・・・ミヤナガ・・・ 宮永、咲です」ゴッ!


タコス王国第一王女テルの妹であるサキ・ミヤナガ…

しかしそのサキの頭には、テルと同じ宮永ホーンの他に、魔族であることを表す禍々しき角が確かに生えていた。


咏(こ…こいつはタダモンじゃねー… まさに牌…じゃねえ、魔に愛された少女…! すこやんのヤツ、とんでもない拾いもんしたねぃ…!)

咏(この魔界では雀力=魔力だ。 麻雀の力と魔力は正確に比例する… つまり、この子の魔力も、恐ろしいレベルにあるってこった…)

咏(やっべーな、こんなルーキーが入ったんじゃ、私もうかうかしてらんねーぜ…)




ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー


魔王城内・深淵の回廊


桃子「うーん… 思ってたより広いっすね…」テクテク

桃子「外で見た時は、それほどでもないと思ったっすけど…」

桃子「異次元空間と繋がってる場所も多いし、地下室もあちこちにあるみたいだし…」

桃子「甘くみてたっすね、これは街一つを探索するレベルっす」テクテク


無事に潜入したモモは、あちこち歩き回って城内の構造を調べると同時に、何か敵の情報を得られないかと探索を続けていた。


桃子「うーん… 3時間以内に、有益な情報をゲットして戻れるっすかね…?」

桃子「…いやいや、弱気になっちゃダメっす! この魔王城を攻略出来るかどうかは、私にかかってるんっすから…!」

桃子「とりあえずもっと上に行く階段を・・・ん?」


 … コツ、コツ、コツ…


桃子「! 誰か来たっす!」


 コツ、コツ、コツ、コツ……


長く薄暗い回廊の向こう… 光りの届かぬ暗闇の向こうから、何者かがこちらに向かってきている。


桃子(前方から単独の足音… 距離は約80m… 足音の質から察するに、体重は約53㎏程度…)ティキーン…!


特殊能力である超感覚(グレートファイブセンシズ)を発動しているモモは、聴力が常人の数倍の強度に上げられ、まるでセンサーを張り巡らせたように周囲を把握することが出来た。


桃子(恐らくは上級の魔物の一人… さーて… どーするっすかね…?)

桃子(いったん後ろに戻って、鉢合わせるのを回避するか…)

桃子(リスクはあるっすけど、そこの柱の陰に隠れて、情報ゲットのために正体を見極めるか…?)

桃子(悩むところっすね… よーっしこういう時は・・・)

桃子(コンマに決めてもらうっす!)


>>84コンマ以下
01~50→後ろに戻って敵から離れる
51~00→柱に隠れて待ち、敵の正体を見極める

はい

50 → 後ろに戻る


桃子(後ろに戻る…! そうっすね、まだリスクを冒す場面じゃないっす)

桃子(焦りは禁物…ここはいったん退散っす!)スタコラサッサッサ…


コンマ神の導きに従い、いったん後方へと戻り始めたモモ…

だが!


桃子「…ん?」ピタッ!


 デサァ、ソントキスコヤンノヤツガサァ… アハハハッw、チョーウケル!☆  ダロー?ワッカンネーモンダヨネィ…w


今度はその「後方」の先から、二人以上の魔族の話し声が!


桃子(し、しまった…! これ、挟まれたっすか?)


 コツ、コツ、コツ、コツ……

 ハア、ジュンカイナンテメンドクッサーイ!☆  ショーガネーダロ、アカドサンガウルセーカラサァ…
   

片方からは足音… そしてもう片方からは話し声が迫りくる…!


桃子(く…! 少なくとも三人以上の魔族がここに来るっす!)

桃子(今の私は、ステルスの強化版ハイパーステルスモードを発動してるっすけど、さっきのカツ丼さんにも見破られたし、ここの魔族には通用しないと思った方がいいっす…)

桃子(隠れても、そこの柱の陰じゃ見つかるかもしれないっす。 三人もいたら、発見された時点で完全に詰みっす…!)

桃子(ど、どこか、もっと安全に隠れられる場所は…?)キョロキョロ


辺りを見回したモモ…

10mほど上に、明り取りの小さな窓があるのが見えた。


桃子(スパイダークローであそこまで上って、いったん外に出るのが良さそうっすね…)

桃子(でも… もし上ってる最中に、間に合わずに発見されたら…?)

桃子(今の私には、能力付与の神様から与えられた“一分間だけ無味無臭の気体になれる”という究極のステルス能力があるっすけど…)

桃子(この能力は一回しか使えないっすから、のちのちの戦闘時の切り札に取っておきたいっす。 でも…)

桃子(ここで発見されてヤラれたら元も子もないっす!)

桃子(ど、どうするっすか…?)


モモ、どうする?(先に2票入った方で行動)

1、窓まで上り、いったん外に出る

2、奥の手「一分間だけ無味無臭の気体になれる」を使ってみる

今日はここまでなの
安価よろしくっす
また明日19:00から進めていきます

2票ないけど、時間なので1の方で進めていきます

1、窓まで上り、いったん外に出る


桃子(ま、迷ってる時間はないっす! こ、ここは・・・)

桃子(賭けに出るっす! いったん窓の外に逃げる!)スチャッ、バッ!


 ササササササァ…!


スパイダークローを装着し、明り取りの窓めがけてヤモリのように壁を上り始めたモモ…


桃子(もし間に合わずに見つかったら… 恐らく命は無いっす!)ハアハア

桃子(い、急ぐっす…! で、でも、滑らないように落ち着いて…!)ハアハアハア


 ガチャッ

桃子(よ、よし、窓開いた…! ここから外に出れば…)ヨイショッ


窓から外に出たモモは、外の壁にペタリと張り付いた。


桃子(魔族はまだ来てない… ふぅー… 助かったっす…!)ホッ

桃子(さてじゃあ… どんなヤツが来るのか、ここで見届けてやるっすよ…!)


… コツ、コツ、コツ・・・!


桃子(来たっす! ・・・ん? アレは・・・?)


窓の外からそっと覗き込むモモの眼下… 足音を響かせて現れたのは…


良子「………」コツコツコツ…


薄紫色の髪に、紫紺の瞳… そしてなかなかになかなかなスタイルの美女…!

現れたのは魔族四天王が一人、戒能良子!


桃子(アレは… 戒能良子?)

桃子(魔道諜報アカデミーに通っている時に、聞いたことがあるっす… 魔界の紛争地帯で、“オーガ”と呼ばれるほどに強い魔族傭兵がいたと…)

桃子(それがあの戒能良子…! そうっすか… ここにいるってことは、恐らく魔王軍の幹部なんっすね…)ドキドキ


?「うぉーいっ! 良子ちゃんじゃん!」

?「はやっ、ほんとだ!☆」


桃子(ん? アレは…)


良子の逆側から現れたのは、赤い着物姿の座敷童子のような小柄な女と、何故かふりふりのアイドル衣装を着込んだ巨乳の女だった。

全員、頭には角が生えており、魔族であることは間違いない…


咏「こんなとこで会うなんて奇遇だねぃ」

良子「いえす。東エリアの方はどうでしたか?」

はやり「いつもと同じ。 特に変わりはないYO!☆」

咏「たく、めんどくさいよねぃ… 四天王の私らが見回りなんてさ」


桃子(おっ、ラッキーっす。 会話を始めてくれたっす!)

桃子(“四天王の私ら”ということは… あの3人全員が四天王…?)

桃子(戒能さん以外の、着物さんとふりふりさんは知らないっすけど、四天王ならきっととんでもない魔力の持ち主なんっすね…)


良子「仕方ありませんよ… まだ勇者たちの行方が分かってないんですから」

良子「野依さんも外でワークしてますし、私たちもやることはやらなくては…」

咏「ま、そらそーさね」


桃子(ふむふむ… 私たちの行方を見失って、警備のために四天王自ら見回りをしてるわけっすか…)

桃子(ふふw ここでそのパーティの一人が盗み聞きしてるとは、夢にも思ってないっすよね…w)クク…

桃子(ノヨリさんってゆーのも、四天王の一人っすかね? 外に出てるなら、今城内にいる四天王はあの三人のみ…?)

桃子(それなら都合がいいっす! ま、出来るだけ幹部とは闘わずに魔王の元まで行きたいとこっすけど…)


10mも上の窓の外だが、能力発動中のモモには、会話の内容は手に取るようによく聞こえる… 

ところが…


良子「では、私はこれから南エリアの方をサーチしてみますので…」スッ

咏「あ――… 良子ちゃん、ちょい待ち」

良子「はい?」

咏「いや、なんかさ… さっきから、ここらへん、におわね?」クンクン

はやり「え? ちょ、やだなぁ咏ちゃん!/// はやりはやってないよ?☆」サッ


アイドル衣装の魔族が自分の尻を押さえる。


咏「いや、その臭いじゃなくってさぁ… なんつーかその……」

咏「人間の匂いがしね?」


桃子(!? に、人間の匂い!? し、しまった、感づかれたっすか?)ゾクッ

桃子(そういえば前に、蒲原先輩に匂いでステルスを破られたことがあったっす… あの着物さんも同じ能力が…?)

桃子(ま、まずいっす、逃げるべきっすか? いや、動いたら音が出るっす… こ、ここは気配を消して…)ドキドキ


はやり「人間の匂い? そーかな、はやりは感じないけど…?」クンクン

良子「…私も、そんなスメルはフィールできませんが…」

咏「んー… そっか、ごめん、私の勘違いだったわ」


良子「では私は南エリアへ…」スッ

はやり「うん!☆ はやりたちは北エリア行ってみるね♪」


真下で足を止めていた魔族たちだったが、ようやく、右と左へと分かれて歩きだした。


桃子(よ、良かった… 助かったっす…)ホッ


と――

その時だった。


咏「…おいっ! そこにいるのは誰だっ!?」


桃子「!??」ビクッ!

今日はこれだけ、安価、コンマはありません
また明日19:00から



咏「おいっ! そこにいるのは誰だっ!?」


桃子「!??」ビクッ!


回廊に朗々と響き渡る咏の声…!


桃子(み、見つかったっすぅ!!)

桃子(ああ、もう、ダメっす… よりにもよって四天王三人に…!)

桃子(みんな、ごめんなさいっす…! 私はもうオシマイっす!)ギュ…!


観念して、壁に張り付いたまま目をつぶった桃子…


咏「おい… そこにいるんだろ? 出てこいよ!」

咏「そこの柱の陰に… いるんだろ?」


桃子(・・・なぬ? 柱の陰??)


?「ふう… やっぱり、見つかっちゃいましたね」スッ


回廊の脇の柱の後ろから、一人の少年が現れた。


咏「? 誰だいあんた… 見ねー顔だな」

?「どうも初めまして。 自分は…本日付けでこの魔王城に執事として雇われた者です」ニタッ

咏「執事?」

はやり「ああ… 壊れちゃったハギヨシさんの代わりかなー?☆」

良子「なぜそんな所に隠れていたのですか…」

?「いやスンマセン、ちょっと、四天王の皆さんの実力を知りたくって…w 気づけるか試してみたかったんすよw」

咏「あん?私らを試すだぁ…? 気に入らないねぃ…」


桃子(…?? な、なんすか?私じゃなかった…?)

桃子(もう一人魔族がいるんっすかね。一体いつの間に…?)ソォー…


恐る恐る、もう一度窓を覗き込んでみるモモ…

眼下には、四天王の三人の他に、金髪の長身の男がいた。


桃子(!? えっ? あの人って・・・)


はやり「咏ちゃんが人間くさいって感じたのって、キミのせいかなー?☆」

?「そっすね、多分。俺、元々は人間だったので…」

咏「ふん、あんた、どこから来たんだ? 名前はなんていうんだい?」

?「はい、俺は、冥界から来た・・・」

?「須賀… 須賀京太郎……」

京太郎「“ヘルカイザー”京太郎と呼ばれてます」ニタッ


桃子(きょ、京太郎!!??)






しばらくすると、眼下の四人は思い思いの方角に散ってゆき…

モモは安全を確認してから下に降りてみた。


桃子(…いや、しかし… さっきのは確かに京太郎だったっす。 一体何が…??)

桃子(頭に角が生えてて、燕尾服を着てたっすけど、それ以外は私たちのリーダーの京太郎と全く同じだったっす)

桃子(な、なんなんすか…? ただの他人の空似? そ、それとも双子?)

桃子(いや、確かに須賀京太郎と名乗ってたっす。 ていうことは、京太郎のクローン…? いや、アンドロイド??)

桃子(ああもう、頭がごちゃごちゃしてくるっす…! とりあえず、今はあの男のことは忘れるっす!)

桃子(無事に戻った時に、京太郎に問い質してみればいいっす。 とにかく今は…)

桃子(せっかく魔族を発見したんだから、尾行を開始するっす! 何か、有益な情報を得られるかもしれないっすからね…)

桃子(あの着物さんはちょっと怖いっすから… 戒能良子を尾行してみるっすよ!)スス…


モモは、足音を辿り、良子のあとを尾行し始めた…


  コツ、コツ、コツ、コツ…


桃子(姿が見えなくても… 超感覚を使えば足音だけで尾行ができるっす)

桃子(50mくらいは離れてるっすから、ここから慎重についていけばまず見つかることはないはずっす…)ソロリソロリ


 コツコツコツ… ギイイイィィ…バタンッ!


桃子(ん? 今の音は… 何か、ドアを開けて、どこかに入ったみたいっすね)

桃子(ちょっと急ぐっす!)テテテテ…

桃子「・・・ん? あれ?」ピタッ

桃子「こ、ここ… 行き止まり??」


そこは… 回廊の突き当たりとなっており、三方が壁で、抜け道も扉らしきものも何もなかった。


桃子(…?? いや、そんなはずはないっす。 確かに、戒能良子は今、ここに来たはず…)

桃子(おかしいっす! 何か、隠し扉でもあるんっすかね…? ・・・ん?)


 スウゥー……


桃子「風…? どっかから空気が流れてきてる…?」


調べてみると、右側の壁の、レンガの隙間から、ごくわずかに空気が流れ出ていた。


桃子「ははあ…? さては、ここに隠し扉があ…わっ!?」ガコンッ!


 ギイイイィィー…!


触ってみると、レンガの一つが奥に入り込み… 壁が左右に割れる形で開いたのだった。

その先には、こちらとはまた別の通路が続いていた。


桃子「び、ビンゴっす…! 開いたっす!」


 ギイイイイィィ~…!


桃子「!? わ、閉まるっす! ちょ、ちょっと待って下さいっす!」バッ


 ギイイィ~…バタンッ!


扉が閉まる寸前に、モモは体をなんとか中に滑り込ませた。


桃子「ふー… 危なかったっす… さて、ここは…?」キョロキョロ


その新しい通路は、先ほどまでの回廊とは違って窓が無く、天井も低く、まるで洞窟のような雰囲気だった。

等間隔にランプがあり、うっすらと先を照らしている。


桃子「さすが魔王城… ここはいわゆる、隠し通路っすね…?」

桃子「さて戒能良子はどこに・・・うっ?」ピクッ

桃子「・・・しまったっす。 もう足音が聞こえなくなってるっす…」


桃子「まあ、仕方ないっす! 見失ったなら、また自由に探索してみるだけっす」

桃子「隠し通路なら、何か重要な場所に繋がってる可能性も高いっす」スタスタ…

桃子「うまくいけば宝物庫とかを見つけら・・・お?」ピタッ

桃子「ドアがあるっす。 今度は普通の扉っすね」


ノブを握ってみるモモ… しかし開かない。 鍵が閉まっているようだ。


桃子「ふふ…w こういう時こそ、私の斥候技術の見せどころっすよ♪」スチャッ


桃子は、腰のポーチから耳かきのような金属の棒を二本取り出した。


桃子「さてさて… うん、このタイプなら簡単に…」カチャカチャ

桃子「タンブラーピン整列… シアライン直列…」カチャカチャ

桃子「…よし、開いたっす!」カチンッ!


ピッキングで鍵を開錠したモモは、ゆっくりとその扉を開いてみた。


桃子「・・・む? ここは・・・?」

今日はここまでなの、安価・コンマは無いです
また明日


魔王城内に単独で潜入中の諜報員モモ…

四天王戒能良子を尾行し、壁の向こう側に隠し通路を発見!

その通路の途中にあった扉をピッキングで開錠し、開いてみるとそこは・・・


桃子「ここは・・・書庫?」


それ程広い部屋ではないが… 四方の壁一面が本棚になっており、大小様々の本がぎっしりと詰まっていた。


桃子「へええ… 魔王城の書庫… まあ、あってもおかしくはないっすけど…」キョロキョロ

桃子「…おっ! 咲-Saki-の18巻があるっす!」スイッ

桃子「熱い闘牌が続く五決に決着がつき、いよいよ決勝戦が始まる最新刊…」ヨミヨミ

桃子「ひ…!/// や、やっぱり、これ最初のカラーページがエロ過ぎるっす…!/// 大丈夫なんっすかねコレ…?」

桃子「…って、こんなの読んでる場合じゃないっす! 時間がないんっすから、何か貴重な資料でも探し・・・ん?」


本棚の隅… 薄暗い中で、ぼうっとわずかに光って、モモを呼んでいるかのような本があった。


桃子「…なんっすかねこの本は… んん? “魔界歴程”…?」


 パラパラパラ…


桃子「! こ、これは・・・凄いっす!!」


桃子「様々な魔物や魔族についての“解説”が書かれてるっす…! ゴブリンにワイバーン、ゴーレムにサイクロプス…」

桃子「それぞれの特徴や、弱点まで…!」

桃子「過去の…魔界に潜入した様々な冒険者が残した記録が、編集されてまとめられてるみたいっすね…」

桃子「凄いっす凄いっす! これはまるで“魔界攻略本”っす…! とんでもないお宝を発見したっす!」=3

桃子「で、でも、なんでこんなモノが魔王城の書庫に…? …お?」

桃子「“四天王”や“魔王”のページもある…? ど、どれどれ……!」パラパラ… 


?「ついてこないと思ったら、こんな所にいたんですね」


桃子「!??」バッ!


背後からの突然の声に、弾かれるように振り返った。

その、視線の先には・・・


良子「フフ…w やっと二人きりになれましたね…w」ゴゴゴォ…


入り口の扉の前… 四天王戒能良子が、その氷のように冷徹な目でジッとモモを見ていた。


桃子(!? しまった見つかったっす!)サッ


咄嗟に魔界歴程を懐に仕舞い込んだモモ…


桃子(こ、こいつ、いつの間に…? 私が気配に気づかないなんて… 本に夢中になってたせい…?)

桃子(と、とにかく、逃げ… …くっ! 逃げ場がないっす!)


その書庫には窓などは一つもなかった。 

入り口は入ってきた扉だけ… そしてその前には今、あの“戦神”戒能良子が立っている。


桃子(・・・やばいっすやばいっす! こ、これ、私、詰んだっすか…?)


良子「ユーは…上陸した勇者一行の一人ですね?」

桃子「……」

良子「六人いたはずです。他のメンバーは何処にいるのですか」

桃子「………」

良子「単独での潜入… 斥候がジョブのメンバーですね?」

桃子「…………」

良子「ダンマリですか… まあ、いいですよ…」

良子「ならばそのボディに聞いてみるだけ…w」ユラァ…

桃子「……!!」


 コツ、コツ…


一歩、二歩と良子が迫ってくる。


桃子(ま、まずいっす! と、とりあえず何か…しゃべって、時間を稼ぐっす!)

桃子「い、いつから…!」

良子「ん?」ピタッ

桃子「いつから、私に、気づいてたんっすか」

良子「こちらのクエスチョンは無視ですか… まあいいでしょう」

良子「回廊で、私とはやりさんたちが鉢合わせた時…」

良子「あなたが窓の外にエスケープしていた時からですよ」

桃子「…!?」


桃子「なぜ…? 外に逃げる私が見えたんっすか?」

良子「見えはしません。 バット…」

良子「窓を開ければ空気の質が変わります。 それくらい感知できない私ではありませんよ」

桃子「じゃ、じゃあ… なんで気づいた時に私を捕まえようとしなかったんっすか?」

良子「はやりさんと咏さんがいましたからね。 あそこで声をあげてあなたを捕まえようとすれば、咏さんが炎の魔法で城をデストロイしてしまうかもしれなかった。 それに…」

良子「私が、獲物を独り占めしたかったものですからね…w」ニタア…

桃子「…!」ゾクッ


桃子(つ、つまり… 私は尾行してたつもりが、実際には誘い込まれてたわけっすか…)

桃子(ちっ、ぬかったっす…! さすがは伝説の傭兵… ちょっと甘く見過ぎたっすかね?)


良子「クエスチョンはそれだけですか?」

桃子「……」

良子「ならば… どうします? 可愛いスパイさん?」

桃子「…?」

良子「逃げ場はない。 出口の前には敵が一人。 ここは、私を倒して脱出するのがベストな策だと思いますが?」スゥー…


何も持っていない素手の両手を広げてみせる良子…


桃子(こいつ…! 私を誘ってるんっすね…? “命がけでかかってこい”と…!)

桃子(そういえば、噂で聞いたことがあるっす。 戒能良子はいわゆる“戦闘狂”だと…)

桃子(傭兵となった理由も、いろんな敵と戦ってみたかったからなのだと…)

桃子(闘いに快楽を覚えるバトルジャンキー… つまり私を、敵というよりはオモチャだと思ってるわけっすね…)

桃子(圧倒的強者故の慢心ってやつっすね。 でも、それなら…)

桃子(私にも勝機はあるっすよ!)カッ


桃子(相手はあの戦神・戒能良子。 しかも私のステルスモードは殆ど効力が無い様子… しかし…!)

桃子(諜報アカデミーで私は様々な体術も叩き込まれてきてるっすからね。 近接格闘ならたとえ戒能良子でも引けを取るつもりはないっす)

桃子(それに今の私は、憧ちゃんの魔法で、みんなの戦闘力とHPを特別に分け与えてもらっている… いわば強化版アーミー・モモっす!)

桃子(相手が得意の召喚魔法を使う前に、不意をついて攻撃すれば、逃げるスキくらいは…!)スッ…


モモは、ゆっくりと両手を上にあげ、降参のポーズをとった。


良子「…? なんですかそれは?」

桃子「降参っす。 投降するっす」

良子「は…?」イラッ

桃子「伝説の戒能良子とタイマンなんてばかげてるっす。 こうなった以上は、もうあきらめるっすよ」

良子「…シット。 つまらないですね… どうやら見込み違いだったようで」 桃子「しゃっ!!!」ブンッ!

良子「!?」


突然、斜め下から… 黒い何かが良子の顔面に向かってすっ飛んできた。

モモが、ひそかに脱いでいた靴を蹴り飛ばしたのである。


良子「ぬっ!」ビシッ!


左手で靴を打ち払う。

と――、その一瞬の隙を見逃さず、モモは一気に間合いを詰め、獣のように跳躍していた。


桃子「ひゃああぁっ!!!」ヴォンッ!


悲鳴のような咆哮と共に…

数々の魔物を血祭に染めてきた桃子のダガーナイフが、白い残光の弧をえがいて良子に打ち下ろされていた。


 ガキイイィィンッ!!


桃子「あっ!?」


衝撃――

何か堅い物でナイフを弾かれたモモは、とっとっ、と二、三歩後じさりして距離をとった。


桃子「…!?」

良子「ナイフ… ふふ、ナイスチョイスですw」ニッ


嬉しそうに嗤う良子の右手には…


桃子(な、なんすかアレ…?)

桃子(ただのハサミ…? そ、そんな物で私のダガーナイフの一撃を受けたっすか?!)


良子「なかなか筋がいいですね。 もしかしたら私をディフィートできるかもしれませんよ?w」

桃子「…ナメてるんっすか。 そんな物で、格闘用ナイフを相手に闘うつもりっすか?」

良子「ソーリー。 あいにく今手持ちの得物はコレしかないもので」

桃子「…魔法は…… 十八番の、召喚魔法は使わないんっすか」

良子「私は人間と一対一の決闘で魔法など使いません。 それにこんな所でデビルたちを呼んだら、周りがデストロイしてしまいますからねw」


桃子(よ、よし…! 言質取ったっす! “魔法は使わない”と…!)

桃子(随分余裕ぶってるっすけど、私だって、奥の手の二つ三つはあるんっすよ…)

桃子(ハサミなんかでいつまでも格闘ナイフの斬撃に耐えられるわけないっす!)

桃子「ひゅっ!!」バッ


今度は、手元にあった本棚の本を抜き取って投げると同時に、真っ直ぐに飛び込んだ。


桃子「はいいぃっ!!」ブンッ


 カンッ、カカンッ!  カンッ、カンッ、カカカンッ、カカンカンッ!!


薄暗い書庫の中で、金属と金属が激しくぶつかる音と共に、黄色い火花がいくつも散る。

モモの連撃は、一秒間に五~六発以上と思われるほどのスピードがあったが…


桃子「……!」カンカンカカンッ

桃子(な…? ば、バカな…?)カンキンッ、カキィンッ!

桃子(私の全力の斬撃を、全部ハサミで受け流している…??)ヒュンッ、キィンッ、キキィンッ!

桃子(私のこのダガーナイフは、王国一の鍛冶屋の名匠さんに鍛えてもらった、硬度・耐食性・ねばり、その全てが最高峰のカスタムナイフ…)

桃子(それに対して、戒能さんのハサミは、どう見てもそこら辺の町工場で量産されてる粗悪なただの素鋼…!)

桃子(まともに斬撃を受ければ真っ二つに折れるはずっす。それなのに、ハサミに傷一つつけず受け切っている…?)


桃子(“受け方”っす…! 私の斬撃を正面から受けるのではなくって、斜め横から受け流すようにいなしている…!)カカンッ、ヒュンッ、キキィンッ!

桃子(こ、こんな…! 私の得意なナイフの技術でも、これほどの差が…?)シャキィンッ、キンッ! ガキィンッ!

桃子(く…! それなら… これならどうだっ!すぅっ!!)バッ

良子「!?」


突然、くるりと踵を返して、敵に背を向けたモモ…

そして、


桃子(くらえっ!!)ポチッ!


  ビョォンッ!


モモが、後ろを向いたまま…

逆手に持っていたナイフの柄の尻にある「スイッチ」を押した途端…

刃の部分が取っ手から離れ、猛烈なスピードで弾丸のように良子の豊満な胸に飛び込んでいった。


桃子(フフ…w 私のこのダガーナイフは、実は刃が射出可能なスぺツナズ・ナイフなんっす!)

桃子(これならいくら戒能良子でも・・・)クルッ!

桃子「ファッ!?」


良子「グッドです。 今のは少しヒヤッとしましたよ…w」ズオオオォ…


良子の左手には… 超スピードで射出されたナイフの刀身が握られていた。


桃子(と、飛んできた刃を、指でつまんで止めた…??)

桃子(ば、バカな!? このスぺツナズ・ナイフの発射速度は時速80km以上っすよ!?)

桃子(それを、この距離で見切って掴むなんて… 人間業じゃないっす! あ、いや、魔族っすけど…!)


良子「ふふ、やはりバトルは楽しいですね…!w さあ、もっとこのファンタスティックなダンスを・・・」

良子「エンジョイしましょうか!w」ニタアァ…


桃子(こ、こ… これが、四天王……!)

桃子(や、やばいっす、やっぱり、私一人で立ち向かうなんて… 無理ゲー過ぎっすか…?)カタカタ…


果たして… モモは、この強大な敵を倒し、魔界歴程を持って仲間の元に戻れるのか…?


☆バトルイベント発生! <東横桃子VS戒能良子> 

・東横桃子ステータス HP1831 戦闘レベル54

・戒能良子ステータス HP2000 戦闘レベル70(魔法不使用Ver.)


※コンマバトルルール

1、レスされたコンマ以下の数が「偶数」なら桃子の攻撃、「奇数」なら良子の攻撃となる。

2、攻撃力は、「コンマ以下の数」×「戦闘レベル」÷10。 例えば、コンマの数が「60」ならば、偶数なので桃子の攻撃。 戦闘レベルの54をかけて「60×54÷10=324」で、324の分だけ良子のHPを削ることが出来る。(小数点以下がある場合は四捨五入)

3、相手のHPを先に0以下にした方の勝利。(0以下になっても戦闘不能になるのみ、死にはしません。また、モモは良子のHPを500以下にすれば、逃げることも選択可能)

(コンマの受け付けは、まずは明日7:00まで。日付が変わってからの連投(二回目)は可とします)

コンマ 60、80、93、85

モモの攻撃→60×54÷10=324・80×54÷10=432

良子の攻撃→93×70÷10=651・85×70÷10=595


良子「さあ、もっとこのバトルをエンジョイしましょう!w」


四天王戒能良子VS東横桃子・・・!

良子は、まったく本気を出していないにも関わらず、強化版アーミー・モモの全力の攻撃を難なくいなしていた…


桃子(遊んでる… まだ遊んでるっすこいつ…!)

桃子(まるで掌の上で弄ばれてる気分っす… 屈辱っす!)

桃子(で、でも、とにかくあがいてみるしかないっす。 倒すまで出来なくても、せめて隙をついて逃げ出せれば…!)


良子「さあでは、これは返しますね」ポイッ

桃子「!?」


 カランカラン…


良子の手を離れたスぺツナズ・ナイフの刃が、床の上で転がって乾いた音をたてた。


良子「刃を装着しなさい。 得物がなくては困るでしょう?」

良子「仕切り直しとしようじゃないですかw」

桃子「……」


桃子「ふん、いらないっすよ、もう…」

良子「……」

桃子「敵の情けは受けないっす!」ブンッ! ビシィッ!


床の刃を蹴り飛ばす。

それは、良子の、人体でもっともよけづらい場所―― 正中線上のみぞおちに向かって真っ直ぐ飛んでいった。


良子「っと」サッ


それでも良子は、ワンステップで軽くかわしたが…


桃子(今っす!)サッ、フッ!

良子「!?」ドッ!【-324】


桃子が、隠し持っていたストローのような筒を口に加え…

吹き出された針が、顔をかばった良子の腕に刺さっていた。


桃子(しめたっ! これでヤツの機動力は奪ったっす!)


良子「…暗器を使ってきましたか。 なるほど、グッドチョイスです」チャッ

桃子「よ、余裕ぶるのもここまでっす! 抜いても遅いっすよ。 その針には、しびれ薬が塗ってあるっす」

良子「……」

桃子「即効性っす。 三十秒もしないうちに、体全体、痺れて動けなくなるっすよ」

良子「そうですか。 では、試してみましょうかね…」ブンッ

桃子「!?」


桃子の視界から良子が消えた。


桃子(へあ…? え、ど、どこに??)キョロキョロ

 フー…

桃子「!??」バッ


突然、後ろから耳に息を吹き掛けられたモモは大きく跳びのいた。


桃子「なっ、なな…?///」

桃子(バカな…? いつの間に後ろに…?)

良子「ふふ…w ちゃんと動きますよ?私のボディは」

桃子「…ど、どうして…? ちゃんと刺さったのに…」

良子「私は、140種以上の毒物と、20種以上の睡眠薬に耐性をつける訓練を修めています」

良子「それくらいは、戦場を駆る傭兵として当然のこと… ユーのしびれ薬は残念ながらあまり効果のないタイプだったようですね…w」

桃子「… ま、マジっすか…??」


桃子(くそっ、チート過ぎるっす… バケモノにも程があるっす! こうなったら・・・)

桃子(最終手段! “あの能力”を使うっすよ!!)ババッ!

良子「ん!?」


両手をだらりと下げたまま、ノーガードで良子へと跳んだモモ…


良子(なっ?!)ブンッ


意表をつかれた動きに、良子は一瞬戸惑って動きが止まったが、すぐに最速の右直突きを撃ち込んでいた。

が――


 ぶわああぁっ…!!


良子「はっ!?」


良子の拳は確かにモモに当たった…

が、モモの体は、まるでその拳に突き崩される幻のように…

ゆらりと歪んで、空気の中へ融けていくように無くなってしまったのである!


良子「!?? ほ、ホワッツ? 一体、何が…??」キョロキョロ


桃子(ふふ…w さすがに驚いてるっすね…w)ユラア…

桃子(やっぱり大事に温存しといて良かったっす! この能力…!)


そう…!

モモは、能力付与の神から授けられた、あの「一分間だけ無味無臭の気体になれる」力を発動したのである!


良子「消えた…? 気配も何も… は!」ギィッ、バタンッ!


半開きになっていた出口の扉を閉めた良子…


桃子(ちっ…! カンがいいっすね。 閉められたらこのまま外に逃げることは出来ないっす)スウゥ…

桃子(この能力が発動できるのは一分間だけ… モタモタしてるヒマはないっす! ならば…)

桃子(闘うまでっす! やってやるっすよ!)スウッ!


 グイッ


良子「ん!?」


右手首をつかまれたような気がして、視線を落とした良子が… 驚愕の表情になった。


良子(なっ!? これは・・・??)


なんと・・・ 良子の手首をつかんでいるのは、空中に浮いたモモの「手」だけだったのである…


 ブワアアアァ…


良子「は? あ・・・??」


驚いて固まっている良子の前で、徐々に、その「手の先の部分」… つまり上腕、肘、二の腕、肩… というように、順番に体が現れてくる。

そして・・・


 ガシィッ!!


良子「あっ、ぐぅ・・・?!!」


ようやくその全てを現したモモの体は… 「跳びつき腕十字」の体勢で良子の右腕に絡みついていた。


良子(さ、サブミッション…?!)


桃子「ふふっ、どうっすか…?」ギギィ…

桃子「これが私の究極のステルス闘法っす! この右腕・・・もらったっすよおぉっ!!」


 ギリイィ・・・!


良子「ぬうぅ…!!」【-432】


全身の力で良子の腕を捻り上げるモモ… さすがの良子も苦悶の表情を浮かべた。


桃子(よ、よし、腕が伸びきってきたっす!)ググ…

桃子(あと少しで肘の靭帯を破壊し…) 良子「ぬああああぁっ!!!」ぶんっ

桃子「あっ!?」


 ビュンッ!  ドッゴオォッ!


桃子「ぐっ、がぁ…!?」グラ…【-651】


良子は、モモに絡みつかれたまま、右腕を大きく振り回し… 

遠心力の力ですっぽ抜けてしまったモモは5mほども飛んで、本棚に後頭部をしたたかに打ちつけてしまっていた…


桃子(いてて…! ど、どういうバカぢからっすか… あっ!!?)


気づいた時にはもう遅かった。

体を起こしたモモの視界に入ってきたのは、今まさに振り上げられようとしている良子の右脚…!


桃子(しまっ!)


 ドゴオオォンッ!!


桃子「ぶっはああぁっ!!??」=3【-595】


宙に・・・モモの真っ赤な鮮血が舞った。

ーーーーーー
ーーーー
ーー

 ピシッ、パリィーンッ!


憩「あ、あれ…?」

京太郎「ん? どうしたんすか、憩さん?」

憩「あ、いや… エリクシールの瓶が…」


回復薬の小瓶にヒビが入って砕け… 中身が漏れ出てしまっていた。


憩「なんもしとらんのに、勝手に割れたんや」

京太郎「え…?」

憧「不吉ね… まさか、モモの身に何か…?」


魔王城の外、森の中に潜んでいる京太郎パーティ一同は、潜入したモモの帰りを今か今かと待っていた。


怜「…東横が潜入してから、3時間経っても戻ってこぉへんかったら突入するんやろ。 今、何時間くらい経ったんや?」

照「私の腹時計によると二時間半くらい…」

憧「そうね… モモが魔王城に入ってから、今、2時間34分経過…」スチャッ

憧「あと26分経っても、モモが戻ってこなかったら… 突入する」

憩「モモちゃん無事やろか…? やっぱ、何かあったんじゃ…」

京太郎「だ、大丈夫っすよ! アイツなら… きっと、平気な顔で戻ってきますって!」

京太郎「情報をゲットするのに、時間がかかってるんですよ、きっと…」


努めて明るく振舞う京太郎だが、その顔には明らかに不安の陰が浮いていた。


京太郎(モモ…)

憩(モモちゃん…)

怜(東横…)

照(東横さん…)

憧(モモ… お願い、無事に戻ってきて…!)ギュッ


ーーーーーー
ーーーー
ーー


魔王城内・地下書庫


桃子「うっ、ぐうぅ・・・!!」ボタボタ

良子「残念でしたね… もう少しで私の肘をブレイクできたのに…w」ククク…


強烈なサッカーボールキックをまともにくらったモモは、床に四つん這いになり、口から血を滴らせていた。

その前で、戦神戒能良子は悠然と立っている…


桃子(し、しまったっす… 思わず手を放してしまったっす…!)ウウ…

桃子(完全に極まって… 勝つチャンスだったのに…!)ボタボタ…


良子「さあ… まさかこれでフィニッシュではないですよね?」

良子「もっとトゥゲザー… 二人で一緒にエンジョイしましょうよ、バトルを…!」ニタアァ…

桃子「………」


桃子(強い… 強過ぎるっす…!)

桃子(魔法抜きで手を抜いているのにこの強さ…)

桃子(やっぱり、私なんかが、単独でかなう相手なわけないっす…!)


桃子(で、でも・・・)スッ…


モモは、懐に隠した魔界歴程をそっとさわってみた。


桃子(私には、この、大事な情報をみんなに渡すという任務があるっす…)

桃子(私は諜報員っす。 たとえ命を落とすことになっても… 自分の役割は果たすっす!)ググゥ…


立ち上がり始めたモモを、良子が、嬉しそうに見つめる…

その瞳は、冷徹かつ圧倒的悪魔的…! モモが命をかけて自分に向かってきてくれることに対する期待感で溢れていた。


桃子(みんな… 待ってて下さいね… 私は戻るっすよ…!)

桃子(こんな私を、必要としてくれる仲間たちのためにも――)

桃子(私は負けないっす!!)カッ!


モモの、その美しいエメラルドグリーンの瞳に、炎が宿っていた。


☆コンマバトル二回目! <東横桃子VS戒能良子> 

・東横桃子ステータス 残りHP585 戦闘レベル54

・戒能良子ステータス 残りHP1244 戦闘レベル70(魔法不使用Ver.)


※コンマバトルルールは>>125の通りです

コンマ受け付け明日7:00まで、日付が変わってからの連投は可。

桃子撃沈――

「逃げる」を選択可能なところまではあと一歩でした

よく頑張った…っす…!

コンマ 74、73、37

モモの攻撃→74×54÷10=399.6 四捨五入し400

良子の攻撃→73×70÷10=511・37×70÷10=259


桃子(こんな私を、必要としてくれる仲間たちのためにも――)

桃子(私は負けないっす!!)カッ!


戦神戒能良子を相手にしてのタイマン勝負――

圧倒的不利な状況に立たされながらも、モモはあきらめていなかった。

仲間たちが自分の帰りを待っているのだ… なんとしてでも、戻らなくては――!


良子「………」ゴゴゴゴゴゴオオォ…!


桃子(まともにやって勝てる相手じゃないことは、よぉーく分かったっす)

桃子(とにかく、なんとかして隙をついて逃げる…!)チラッ…


良子の背後に、部屋の出口のドアが見える。 どうにかしてあの外に出る事さえできれば…!


桃子(ふ、ふふ…w 戒能良子… 余裕ぶっこいてるのを後悔させてやるっすよ…)

桃子(これが私の・・・最後の奥の手っす!!)サッ、ブンッ!


 ドッ!、ボワワワアァ~~ン!!


良子「ん!?」


モモが腰のポーチからピンポン玉のような物を出して床に叩きつけると… 辺り一面がアッという間に白煙に包まれた。


桃子(さああぁ今っす!)ササササ…!


良子から距離をとって、半円を描くようにしてドアに向かうモモ…


 ガチャッ! ギイイィッ…!


桃子(よ、よし、開いたっす! これで逃げ…)

 がしっ!

桃子「うっ!?」


ドアまで到達したモモだったが… 白煙の中からにゅっと伸びてきた手が、モモの左手首を掴んでいた。


良子「煙幕… そんなイージーな発想でこの私から逃げられるなどと…」

良子「バッドチョイスです。 これはペナルティが必要ですねっ!」グイッ!

桃子「あっ!」


 ガキィッ!


桃子「ぐうぅ!?」


モモの手首を引き寄せた良子は、そのまま相手の腕を自分の右わきに挟み込んで捻り上げた。

立ったまま入れるサブミッション・わき固め…! 先ほどのモモの跳びつき腕十字の意趣返しである。


 ギリギリイィ…!


桃子(しまっ! 折れ・・・)


数々の過酷な戦場を渡り歩いた良子に、躊躇は一切なかった…

モモがアッと思った時には、“ぼきり”といやな音がして、左腕の肘から先が有り得ない方向に曲がっていた。【-511】


 ダンッ!!


良子「なっ!?」


が――、その直後、良子は信じられない光景を目にした。

モモは、折れた左腕がよけいに傷つくのもかまわず、両足を体の下に引きつけて、バネをきかせて思い切り床を蹴って跳ね上がったのだ…!


桃子「ああああああああぁぁっっ!!!」ブンッ!

良子「がっ!?」ゴッ!【-400】


モモの後頭部が良子の鼻に激突…! 鼻血が宙に舞い、さすがの良子も思わず手を放した。


桃子(い、今っす!!)タタタ…!


遂に外の廊下に出たモモは、折れた左腕を右手で押さえながら駆け出した。

だが・・・


 ゴッ!!


桃子「あ・・・!はぁ・・・・?」ガクゥ…【-259】


背後から、良子の手刀が一閃――

首筋にモロにくらったモモは、まるで糸の切れた人形のように… その場に倒れていた。


桃子「………」グッタリ

良子「ふふ…w いいファイトでしたね…」

良子「なかなか楽しめました。 今は安らかに眠りなさい…」ゴゴゴゴオオォ…!


決着――!

ジャイアントキリング成らず…!

最後に立っていたのは、やはり戦神・四天王戒能良子…!!


※ ×東横桃子 VS 戒能良子○ (決まり手・首筋への手刀)

東横桃子最終HP-185(戦闘不能)

戒能良子最終HP844 

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー


怜「おい…新子、いつまでここにおるんや?」

憧「……」

怜「もうとっくに3時間経っとるやろ。 突入するんとちゃうんかい」

憧「で、でも…」


“モモが潜入して3時間経っても戻らない場合、全員で突入する”と提案したのは憧だった。

今現在、3時間を20分程オーバーしている。

しかし、憧は…


“桃子『えへへ、ごめんなさいっす! ちょっと道に迷っちゃったっす!w』”


今にも、モモがそんなことを言いながら笑顔で戻ってくるような気がして、突入の決断を出来ずにいた。


京太郎「憧…」スッ

憧「…京太郎?」

京太郎「…行こうぜ。 もし、アイツが魔族に捕まっちまったんなら…」

京太郎「救い出せるのは、俺たちしかいねーんだからよっ!」

憧「! そ、そうだね… よし!」ザッ!
  

意を決して立ち上がった憧…


憧「じゃあ行くよ…! 魔王城攻略… 一応、ここからは賢者の私が指揮をとらせてもらうね」


神妙な表情で、他四人が憧を見上げる。

モモが戻ってこなかったことで、全体の緊張感が増していた。


憧「私たちのミッションは、魔王打倒とサキ姫の救出… そして捕まっているかもしれないモモを見つけること…!」

憧「これは、私たちの最後の戦い… 途中で、誰かが倒れることになるかもしれないけど…」

憧「どんなことがあっても、たとえ一人になっても、あきらめずにこのミッションは必ず達成する…!」

憧「私たち一人一人が、その心構えで臨めば、絶対、最後には私たちが勝つ――!」


憧「自分と仲間たちを信じて… いざ、出陣よ!!」


京照憩怜「「「「 おうっ!!!! 」」」」


ついに… 京太郎パーティVS魔王軍団の総力戦が開始された。






京太郎「うっお… 広いな結構…! さすがは大魔王の城だな!」キョロキョロ

怜「天井高いなぁ… この城建てるのになんぼかかったんやろな」スタスタ

憧「し…!あんたたち、あんまり大きい声出さないでよ…! どこに魔族が潜んでるか分かんないんだから…」

憩「せやでーぇ。 トラップやなんらかの防衛システムがあるかもしれへんから、一瞬でも気ぃ抜いたらあかんで!」


京太郎たち五人は、城内の… モモも通ったあの長い回廊を歩いていた。


照「・・・サキと東横さんはどこにいるのかな…」テクテク

憧「牢ならば多分地下… でも、サキ姫は、最上層の魔王の間の近くに幽閉されてる可能性も高いと思う」テクテク

怜「しっかしほんま広いな。 これはそう簡単に見つけることはできんやろな…」

憩「やっぱり… モモちゃんが戻ってこぉへんかったのは、痛いなーぁ…」

憧「うん… まずは、モモの発見・救出を第一目標にする。 みんな、地下に向かうよ…!」


パーティ一同は、階段を見つけ、魔王城最下層へと降りていった…






憧「…ん?」ピタッ

京太郎「お…、別れ路だな。 どうする?」


薄暗い最下層の通路… 京太郎たちはT字路に突き当たっていた。


憩「右へ行くか左へ行くか…」フンフム

照「悩むね。 どっちに地下牢があるのかな…?」

怜「ふふw、こりゃウチのダウジングが役に立つ時がきたようやな!w」ハリガネー

憧「いや、ちょっと待って」

怜「? なんや?」

憧「ここは・・・二手に分かれようか。右にも左にも行く」

京太郎「え?」


京太郎「分かれる? 大丈夫かよ?」

憧「うん、人数が減るのは確かに敵に遭遇した時のリスクという面ではマイナスだけど…」

憧「分かれて両方の通路に行けば、それだけ早く見つけられる可能性が高まるでしょ?」

憧「これだけ広いなら、いったん二手に分かれて… あとで落ち合えるようにした方がいいと思うの」

怜「ふぅん… ま、分かれるのはええけど、どういうメンバーにするんや」

憧「そうだね… 魔法を使える私と園城寺さんを分けて…」

憧「園城寺さんの方に、物理攻撃の得意なテルさんと京太郎…」

憧「そして私の方には、後方支援が得意な憩さんがついて、お互いにまずは地下牢を目指す…!」

憧「いいかな? 一時間後に、またこの場所で落ち合うってことで!」


憧の判断により、パーティは憧&憩組、怜&照&京太郎組に分かれ、それぞれ、右、左へと進んでいった…






憧&憩サイド


憧「……」テクテク

憩「だんだん暗くなってくなーぁ… てゆーか、まだ魔族の一人も出てこぉへんな」テクテク

憩「話の出来る低級モンスターでも出てくれれば、とっ捕まえて拷問して、情報吐かせるって手もあるんやけどなぁ…」スゥ…


殲滅のナース・憩が取り出したメスが、暗がりの中で妖しく光る…

と――


憧「…!」ピタッ

憩「ん? どうしたん憧ちゃん?」

憧「シッ…! 憩さん、何か、聞こえない?」

憩「え…?」


ジッと押し黙り、耳を澄ます二人…

すると――


 … ワーワ――ッ…!  キャーキャ――ッ…! ……


憧「…ん?」


… トキニハハヤリニナガサレテェ~♪  リボンデオメカシシチャウノヨォ~~♪ …


憩「…は?」


… ピ――ピ――ッ!  ヒュ――ヒュ――ッ!!  ウオオオオオォォ――ッ! ハヤリーン!  ケッコンシテクレエエェ――ッ!! …


憧「・・・な、何コレ? 歌…? それに、歓声…??」

憩「な、何が起きてるんや? こんな地下で…?」


今日はここまで、安価・コンマはありません
また明日からバトルスタートしていくのよー


魔王城内に先行して単独で潜入していたモモは、時間になっても京太郎たちの元に戻ってこなかった…

それに伴い、パーティメンバーは、いよいよ全員で城への突入を開始…!

まずは地下牢を探しに城の最下層に向かい、分かれ路で憧&憩、怜&照&京太郎の二手に分かれた。

そして、憧と憩の二人は、その場にそぐわぬ奇妙な歌声と歓声を耳にし…?



… トキニハハヤリニナガサレテェ~♪ …ヒュ――ヒュ――ッ!!  ウオオオオオォォ――ッ! ハヤリーン!  ワアアアアアアァァァ――ッ!! …


薄暗い廊下の向こうから聞こえてくる怪しげな声…


憧「・・・な、何コレ? 歌…? それに、歓声…??」

憩「な、何が起きてるんや? こんな地下で…?」

憧「…あ、扉が……!」


まるで、映画館にあるような大きな観音開きの扉がある。


憧「この扉の向こうから声が… …ん?」ギイィ…

憧「わっ!??」


 ウワアアアアアアアアァァァ―――――ッッ!!!


憧「こ、これは…?」

憩「なな、なんやこりゃ!??」


姫子「きゃああああぁぁはっやりさあああぁぁ―――ん!!」ウオーッ=3

豊音「はっやりいいぃ――んっ! ちょ――KAWAIIよおおぉぉぉ―――っ!!」フンガーッ=3

泉「うおおおおおぉぉ――っっ!! はやりさんこっち向いてええぇぇ――――っっ!!」ウッキャーッ!=3

玄「おもち! おもち!! おもちぃ!!! おもちですのだああああああぁぁ――――っ!!」ムホアアァーッ!=3

爽「はやりいいぃんんっっ! オラァッ! パンツ見えるとこまで来いよこのやろおおおぉぉっ―――――っっっ!!!」ムガアァーッ!=3
  

はやり(28)『みんなっ!ありがとぉ―――っ!!☆ はやり、みんなのこと、だぁい好きだよぉ―――っ!☆』ハヤヤッ!


そう… そこは、数千人の観客収容の巨大なコンサート会場になっており… ステージの上では、あの痛々しい魔族アイドル(28)がマイクを持って歌っていたのである!


憩「なんなんやこりゃ…? う、ウチ、幻でも見とるんか…? どうして魔王城の地下にこんな所が…」

憩「あのふりふりのオバ…じゃない、おねーさんは・・・角、翼、尻尾の魔族3点セットがあるっちゅーことは魔族やなぁ… 観客は魔族と人間が入り乱れとるけど」

憧「憩さん、そういえば私、噂で聞いたことがある」

憩「憧ちゃん?」

憧「魔族四天王の一人はアイドルで、魔族・人間問わずにファン(奴隷)が大勢いると…」

憩「な? そ、それじゃ、あのふりふりが四天王の一人なんか?」

憧「多分… 自分の歌を聴かせることで人々を洗脳し、死ぬまでファン(奴隷)として搾り取る恐ろしい魔族アイドル……」

憧「アレが四天王が一人、瑞原はやり(28)――!」


 ウオオオオオオオオォォ――ッ!!  ピ――ピ――ッ!!  ヒュ――ヒュ――ッッ!!  ワアアアアアアアアアアァァァ―――――ッッ!!! ………


はやり『はっああぁ――い!☆ みんな、今日ははやりのライブにようこそぉ――っ!☆』


ステージ上の魔族アイドル(28)は、MCを始めた。


はやり『ここでみんなに、はやりからのサプライズプレゼントだよっ! 実はぁ、今日のステージは、特別ゲストを招待してるんだぁ♪☆』


 ナニ?ゲスト?  ダレヤロ?  ガヤガヤザワザワ……


はやり『ふふふ!w みんなも楽しみだよねっ! では早速、その特別ゲストを紹介したいと思いまぁ――っす!☆』

はやり『じゃあぁーんっ! 特別ゲストはあちら! この魔王城に攻めてきた勇者一行の皆さんだYO!☆』バッ


憩「ファッ!?」

憧「はい…?」


突然、はやりが、客席の後ろで見ていた憩と憧の方に手を掲げると、スポットライトが一斉に二人を照らした…


憩「うっ、眩し…!」

憧「し、しまった、見つかった…!」


はやり『ん? あれれ…? 五人いるはずだけど、二人だけなのカナ?☆』

はやり『まあいいや! じゃあみんな! あのゲストさんたちをはやりの所に連れてきて!☆』


 ワアアアアアァァ―――ッ!  ドッオオオオオォォ―――ッ!!


憩「どひっ!?」=3


はやりの合図で、大勢の観客が二人の元へ押し寄せ… まるで胴上げでもするかのように抱え上げてしまった。


憩「ちょっ、わ…?! 何すんねんあんたら! ひゃっ?/// ちょい!ヘンなとこ触らんといて!!///」=3

憧「く…! こいつら、歌で洗脳されて操られてんのよ…!」


わっしょいわっしょいとばかりに運ばれて、ステージの上へぽいっと投げ込まれてしまった憩&憧…


憩「ててて… ひどい目に遭うたわ…」イテテ…

憧「なんなのよまったく…?」


はやり『お二人サン! はやりのステージへようこそぉ――っ!☆』ハヤヤ

憧「… 瑞原はやり… あんた、魔王配下の四天王の一人、瑞原はやりよね?」キッ

はやり『いかにも!☆』フンス!

憧「どういうつもりなのよ、私たちが敵であることは分かってるんでしょ… なんなのこの茶番は…?」

はやり『むふふ…w 敵とか味方とかは、はやりにとってはどーでもいいんだなーぁ…w アイドルのはやりにとって大事なのは、如何にエンターテイメントであるか…! それだけだYO!☆』

憩「エンターテイメント??」

はやり『そ!☆ だからあなたたち二人にはぁ・・・このステージ上で、はやりと闘ってもらうゾ!☆』

はやり『“HP取り合いクイズ合戦”でね!☆』

憧「く、クイズ??」


憧「フザケてんじゃないわよ! クイズ…? なんで私たちがそんなことを…」

はやり『そんなの、面白そうだからに決まってんじゃーん♪☆』ハヤヤ

憩「い、いや、そんなことより、あんた、私たちの仲間がここに潜入したこと、知っとるんやないか…?」

はやり『ん? うん、あの黒髪で影のうすーい子だよね。 知ってるよ?☆』

憩「! い、今、どこにおるんや? 無事なんか?」

はやり『無事と言えば無事だし、無事じゃないといえば無事じゃないねぇ…w☆』ニタア…

憧「! あんた…! モモに何を…?」ギラァ…

はやり『おっと!☆ 落ち着いて♪ はやりはボーリョク反対だよ♪』

はやり『だいじょーぶ! その子が今どうしてるか、見せてあげるから。 はーいカモン! “魔道幻影”!!☆』バッ!


 ヴ――ン……


憩「ん?」


はやりがステージ背後に右手を掲げると、そこに、巨大なスクリーンが現れた。

そしてそこに映し出されたのは…


“桃子『…… zzzz…』スースー…”


病室のような場所でベッドに横たわり、静かに寝息をたてているモモの姿だった…

その左腕は石膏で固められていて、頭にも包帯が巻かれている。


憩「も、モモちゃん!」

憧(! ぶ、無事だった… でも、あのケガは…?)

はやり『ふふ、あの子はねぇ、むぼーにも良子ちゃんとタイマンで闘って、コテンパンにヤラれちゃったんだなー☆』

憧(ヨシコ…? もしかして、戦神・戒能良子…?)

はやり『でも安心して! ちゃんと城内の医療施設で治療してあげて、まだ目が覚めないけど安静にしてるから☆』

憩「あんたぁ…! すぐにウチをモモちゃんのとこへ案内するんや! さもないと・・・!」スチャッ!


憩が右手にメスを四本、構える。


はやり『わわわ!? だから落ち着いて! はやりはそーゆー乱暴なの嫌いだなー☆』

はやり『それに・・・勘違いしてもらっちゃ困るナw あの子は魔王軍の人質だよ? つまりぃ・・・』

はやり『主導権は、はやりが握ってるんだよぉ…?』ニタア…

憩「…!」


憧「・・・条件を、聞こうか」

はやり『ん?』

憧「私たちをこんな所に連れ込んで、こんな映像を見せて…」

憧「何を企んでるのか知らないけど、モモを返してもらうには… 何か条件があるんでしょ?」

はやり『ふふw、話が早くて助かるなー♪ その通り! あの子を返して欲しくば…』

はやり『ここではやりとクイズ合戦をして、勝つこと! それしか方法はないYO!☆』


瑞原はやりVS新子憧&荒川憩によるクイズ勝負―― 究極の頭脳対決が始まろうとしていた。


10分後…

憩と憧は、ステージ上に用意された椅子に座らされ、動けないようにベルトで腰を縛られていた。

眼の前には台があり、その上に赤いボタンがある… クイズ用の早押しボタンである。

少し離れた所に、はやりも同じ体勢で座っていた。

二人とも、はやりの提案に乗って、モモを助けるためクイズ合戦に応じることにしたのである…


憩「はあ… まさか魔王城に来て、クイズ対決させられるとは思わんかったで…」

憧(…本当に、こんな茶番に勝ったからって、大人しくモモを返しくれるか分からないけど…)

憧(今のところ応じるしか手はない。 とにかく、相手のステージに乗った上で、勝つしかない…!)


恒子『レイディィ~~~ス、エェ~ンド、ジウェエエェ~~ントゥルマアァ――ンッ!!』

恒子『お待たせしましたァ! これより、魔族四天王瑞原はやり! ぶいえす…』

恒子『勇者パーティ賢者&ナース!による、“勝つのはどっちだ! 早押しクイズ対決!!”を行いまぁすっ!!』


 ワアアアアアアアァァ――ッ!!  ヒュ――ヒュ――ッ!  パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ……!!
 

恒子『司会進行はワタクシ! MTV(魔界テレビ)アナウンサー、福与恒子が務めさせて頂きますッ! どうぞヨロシクゥ!!』

憩「ん…? あんた、タ・コース国の勇者権争奪マッチで司会しとらんかったっけ?」

恒子『細かいことは気にしない!w さああぁ、ではでは始めるぞォッ!!』カッ


恒子『まずはルールから! っていってもまあ、カンタンだけどねっ!』

恒子『クイズは早押し式! スクリーンに出てきた問題を、分かったら赤いボタンをターンとぶっ叩いて答えるアレですね!』

恒子『そして、コレは答えた人に点数が加算される方式ではなく、“答えられなかった方に罰ゲーム”が実施されるという方式なんですねェ!!』

恒子『罰ゲームは、座っている椅子に地獄の高圧電流が流されて、HPが削られるという方法…』

恒子『それでHPが減って0になって、闘えなくなった方の負け!というわけなのですっ!!』

恒子『勝負は一対二だから、二人がかりの賢者さんたちの方が有利に見えるけど…』

恒子『我らがはやり姫は何しろアイドルでありながら“魔界一の才女”と言われてますからねぇっ! クイズでは圧倒的な強さを誇りますッ!』


はやり「ふふふ~ん♪☆」


憧(ふん… 瑞原はやり、余裕ぶっこいてるけど、クイズならお手の物…! 大賢者である私と、パーティ内で最も頭がキレる憩さんなら…)

憧(まず負けることはない!)


はやり「……☆」ニタアァ…


※各プレイヤーの現HP(電撃が流されると、HPが300減る。0以下になったら戦闘不能)

新子憧   1006
荒川憩   1291
瑞原はやり 1800


恒子『それでは早速第一問目ェッ!!』ポチットナ!


 ヴ――ン…


恒子が手元の魔道石板を操作すると、スクリーンに問題が表示された…


憩「ん? これは・・・」


“第一問 次の数を素因数分解し、その数の和を求めよ  「8128」”


恒子『おおおぉ? 何コレ? これはまた、一問目から超難問…!』

恒子『こんなの暗算で解ける人いるの?』

 ピンポォーンッ!

恒子『さああ! 一問目、誰が最も早くボタンを・・・って、ピンポン?』


憧「……」ゴゴゴゴオオオォ…


恒子『おおっ? もう賢者の新子選手がボタンを押している…? ちゃんと計算したの?』

恒子『で、では、新子選手、答えをどうぞ…』


憧「8128を素因数分解すると、2の6乗×127… つまりその和は、139」


恒子『・・・せ、正解です! 新子選手第一問目正解ィ!!』


 オオオォ…! スッゲェ、サスガケンジャ!  マジカ?  ハヤリン… ザワザワガヤガヤ…


はやり「は、はややや…?」


恒子『いやいや、これにはさすがのはやりさんもビックリといった表情です…!』


憩「す、凄いな、さすが憧ちゃん…!」

憧「ふふ…w ま、計算なら任せてよね♪」キイィーン…!


圧倒的スピードで第一問をクリアした憧…!

そう、彼女は、能力付与の神から授けられた「集中するとスーパーコンピューター並の演算が出来る」能力を早速発動していたのである…!


恒子『ではでは! ルールですので、罰ゲームを実施させていただきますよォッ!!』

はやり「ひゃ…? こ、こーこちゃん、やさしく、して、ネ…?☆」ウルッ

恒子『いや、コレ、手加減とか出来ないようになってるので… お覚悟ォ!!』ポチットナ!


 バリバリバリバリバリバリバリバリバリ…!!


はやり「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃああぁっ!!??☆」=3(HP1800→1500)


はやり「…………☆」プスプスプスウウゥ…


憧「うわ… アイドルが半焦げに…」アレハクライタクナイ

憩「ほ、ほんまにエンターテイナーやなぁ…」カラダハッテル…


はやり「…むふっ!☆ 大丈夫! はやりはこれくらいどーってことないよーん!☆」ヒョコッ!

はやり「次こそははやりが先に答えるからねっ! こーこちゃん、ネクストクエスチョン、カモォーン!!☆」


恒子『はい! では…第二問目は、こちらぁ!!』ポチットナ!



☆頭脳イベント発生!(ここからはレスにて、読み手の方々に答えて頂きます)


“第二問 次の三人を背の高い順に並べよ 「井上純」「姉帯豊音」「ハギヨシ」”

“第三問 「土」の右には「寿司」がある。「傘」の右には「赤」がある。では、「へそ」の右にあるのは何か? ※ヒント:答えは二文字の動物”

“第四問 「むorかorぜ」←これは、何を表しているか? ※ヒント:明華”


※お一人、二問まで答えられます。制限時間は、今日は「24:00」まで。レス締め切り後に、すぐ答え発表を書きます。

正答のレスが合った場合は、憧&憩のどちらかが答えます。(そのレスのコンマ以下が偶数なら憧、奇数なら憩が答える)

憧&憩が答えられた場合は、はやりが電撃を受け、HPが削られます。

24:00までに正答が無かった問題は、あとではやりが答え、憧&憩の両方が電撃を受け、HPが削られます。

はやりを先に0以下にすれば憧&憩の勝ち。 先にHPが無くなれば、はやりが勝って、憧と憩は両方とも戦闘不能に。


モモ救出の為に奮ってご参加下さい、どうぞよろしく!

しまった! >>181一部訂正


ד第四問 「むorかorぜ」←これは、何を表しているか? ※ヒント:明華”



○“第四問 「むorいorぜ」←これは、何を表しているか? ※ヒント:明華”


失礼しました

第二問はわからないけど、
第三問の答えは「ねこ」だね
「へ」は「は行のえの段」その右にあるのは「ね」
「そ」は「サ行のおの段」その右にあるのは「こ」
第四問の答えは「むかいかぜ」だね
「or」は日本語で直すと「か」

回答あざす、正解です!
第二問は答えが無いため、はやりが正答
>>183のコンマが18で偶数の為、第三・四問は憧が正答


はやり「こーこちゃん、ネクストクエスチョン、カモォーン!!☆」

恒子『はい! では…第二問目は、こちらぁ!!』ポチットナ!


 ヴ―ン… パッ!


“第二問 次の三人を背の高い順に並べよ 「井上純」「姉帯豊音」「ハギヨシ」”


タァーンッ!  ピポーォンッ!!


恒子『お…! 今度は間髪入れずにはやりさんがボタンを押しましたッ! 答えどうぞぉ!!』

 
はやり「こんなのかんたぁーんっ!♪ 高い方から順に、豊音ちゃん(197)、ハギヨシさん(187)、純ちゃん(183)の順だねっ!☆」

 ピポピポォーンッ!

恒子『正解ですッ! 今度ははやりさんが一勝オォッ! これで取り返したぞォ!!』


憧「こ、これはちょっと、私たちに分かるわけないじゃん…」

憩「計算して分かる問題ちゃうもんなぁ…」


はやり「むふふっ! 三人ともはやりのファンだからねー♪ ステージから客席を見てると、みんなの背の高さとかはよく分かるんだよっ☆」


恒子『では…賢者チームのお二人、覚悟はいいですね?w』ジリッ…

憧「は、早くやっちゃってよ…」

憩「ウチ、Sと見せかけての隠れMやから、多分平気やでーぇ♪」

恒子『では受けてもらいましょうっ! お覚悟ォ!!』ポチットナ!


 バリバリバリバリバリバリバリバリバリ…!!


憧「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙んんンン゙んゔうぅ―――っっ!!?///」=3(HP1006→706)

憩「わっきゃあああああアアァアァぁぁ―――んんっっ!?!///ww」=3(HP1291→991)


憩「はぁ~~…w こりゃなかなか…w AED100個分くらいの電気ショックやわぁ~~…w」ハアハア

憧(くぅ~…きっつぅ…! オシッコ漏れちゃうかと思ったじゃん…!///)ハアハア…


はやり「でゅふふっ!w さあさあ! ここからははやりの単独オン・ステージだYO!☆」


ところが…


“第三問 「土」の右には「寿司」がある。「傘」の右には「赤」がある。では、「へそ」の右にあるのは何か? ※ヒント:答えは二文字の動物”


憧「これは“ねこ”ね… ひらがなの五十音表思い浮かべればすぐ分かる。 「へ」のすぐ右にあるのは「ね」、そして「そ」の右にあるのは「こ」だからね」

はやり「どっっブォお%おおおwおおtお#おぉぉjぉぉ―――っっっッッ!?!?☆」バリバリバリバリ…!!(HP1500→1200)


“第四問 「むorいorぜ」←これは、何を表しているか? ※ヒント:明華”


憧「この答えは「むかいかぜ」。「or」は日本語で直すと「か」だもの、簡単カンタン♪」

はやり「わびじゃあgあ@ああぱあ$あああkあぁwぁぁ――――っっっッッ?!?!☆」バリバリバリバリ…!!(HP1200→900)


はやり「・・・・・・」プスプスプスプスプスウゥゥ・・・・


賢者憧、その本領を発揮…!

はやりは計三発もの電撃を喰らい、丸焦げ…!


憧「…な、なかなか凄いリアクションするね… さすが芸能人…」タラリ

憩「でも、アイドルやなくてお笑い芸人の方が合っとるんちゃうかーぁ…?」


はやり「ナンダッテ?! こーんなぴっちぴちアイドルに向かって、なんてことゆーのカナッ!☆」ピョコンッ!

はやり「まだまだぁ! さあこーこちゃん、ネクストクエスチョン、カモォ――ンッ!だYO!!☆」ハヤッ!

今日はここまでだし

各プレイヤー現HP

憧   706
憩   991
はやり 900

また明日クイズバトルの続きやっていくので、よろしくです



はやり「次こそははやりが先に答えるからねっ! こーこちゃん、ネクストクエスチョン、カモォーン!!☆」ハヤッ

恒子『はい! でも、その前に… ここらでちょいと各選手の残存HPを確認しておきたいと思います! こちらァ!!ババンッ!


“各プレイヤー現HP”

 新子憧   706
 荒川憩   991
 
 瑞原はやり 900


恒子『今のとこ、賢者チームは1回、はやりさんは3回もの罰ゲームを受けてHPを減らされていますが…』

恒子『はやりさんは元々のHP値が高いので、これでようやくハンデがなくなり対等の勝負になった…という風にも見受けられますねェ!』


憧(確かに… 私たちは二人がかりでも、先にあっちに答えられたら二人とも電撃を受けなきゃいけないんだから、条件は同じ、むしろHPの点ではまだこちらが不利かもしれない…)

憧(何しろ私は残りHPが706しかない。 この電撃は一発で一気に300もHPを削ってくるから、もしもう一回喰らえば私の残りHPはわずか406に…!)

憧(まだまだ強敵が待ち構えているのに、こんなとこでそんなに体力を減らされちゃったらもう致命的…! たとえここを乗り越えられても、絶対あとの戦いで倒れることになる…)

憧(対して、瑞原はやりは残り900… ならばあと3回の電撃でちょうど0に…! 四天王の一人を倒すことが出来る!)

憧(ここから絶対3回連続で答えて・・・ヤツを倒す!!)キッ


恒子『さあ! では次の問題にまいります! 皆さん、準備はよろしいですか?』

恒子『第五問目は、こちらァ!!』ポチットナ!


 ヴーン… パァッ!


憧「!」

憩「これは…?」

はやり「はやや?」

ーーーーーー
ーーーー
ーー


憧&憩が、はやりとのクイズバトルを続けていた頃…

分かれ路で左の方へ行った、怜&照&京太郎の3人は…!


照「お腹すいたぁ… ねえ京太郎、休憩してオヤツにしようよ…」トボトボ

京太郎「な、何言ってるんすか… せめてモモを助け出すまでは我慢して下さいよ…!」

怜「はあ… 歩き過ぎてうちもう足が棒や。 京太郎、お前の堅い太ももで我慢したるから、膝枕してーな」

京太郎「分かれてからまだ10分くらいしか経ってませんよ? もう少し頑張って下さいよ…」

怜「生きるんてツライなぁ…」ハア


我儘を言う照&怜を、京太郎がなだめすかしながら先へと進んでいた…


京太郎(ちっ…! 憧のヤツ、二手に分かれるのはいいけど、なんでこんな振り分けにしたんだよ…?)

京太郎(この二人の面倒みる俺の身にもなってくれよ!)


と、そのとき…!


?『………』ジィーッ…


移動型監視カメラの役割をもつモンスター・ガンキューが、斜め上からじっと3人を見ていた…

ーーーーーー
ーーーー
ーー


魔王城モニタールーム


晴絵「……」カチャカチャ

晴絵「おや、あれは…?」

“モウスコシガンバッテクダサイヨ…  イキルンテツライナァ…”

晴絵「! よし、発見したぞ…! 勇者一行のうちの、3人だな…」


城内各所に配置中のガンキューたちの映像をチェックしていた、魔王軍参謀赤土晴絵…!


晴絵「地下にいたのか… 捕虜にしたあの黒髪の子を探しているみたいだな」

晴絵「ふふ…w そんな所をいくら探しても、仲間は見つからないぞ…?」ククク…

晴絵「さてしかし、相手が3人となると… ここは咏さんを呼んで一気に……」

?「赤土さん」ヌッ

晴絵「ファッ!?」


良子「………」ゴゴゴゴゴゴゴオオオオォ……


突然、晴絵の背後から声をかけてきたのは…

モモをほぼ再起不能にまで痛めつけた、あの戒能良子!


晴絵「な…なんですか戒能さん、いたんなら先に声かけて下さいよ!」

良子「ソーリー。 傭兵で戦場にいる時は、常に気配を消すようにしていたので、つい…」

晴絵「で…なんですか?」

良子「はい、その3人ですが… 私が相手をしても構わないですかね?」

晴絵「え…」


晴絵「実力を疑ってるわけじゃないですけど、戒能さんはあの諜報員の子と闘ったばかりだし…」

晴絵「ここは咏さんに行ってもらおうと思ったんですが」

良子「私のボディの心配なら必要ありません。 むしろ戦場では、手負いになってからが戦闘の本質を実感できるというもの…」

良子「それに… ちょっと、私にグッド・アイディーアがあるものですから…w」ニタア…

晴絵「…!」ゾクッ

晴絵「わ、分かりました… しかし、殺さないように手加減して下さいね…?」

晴絵「我々魔族は人間族と抗争中ですが、余計な怨みを買うのも、のちのち厄介ですからね…」

良子「オーライ。 では・・・」ザッ

良子「出でよ!ソロモン72柱が一柱・・・! 地獄の将軍・魔神“ガミジン”!!」ブワアアアアァァ…!!

晴絵「ひ…!?」


魔人戒能良子、遂にその本当の力・・・“召喚術”を発動!

晴絵の眼の前に現れたのは、上半身は馬、下半身はマッチョな人間という、半人半獣のなんとも異様なる姿の魔神…!


良子「フフ…w ガミジンの能力は、“魂を自在に操ること”…! これからイントゥルスティングなモノが見られますよ…!w」ゴゴゴオオォ…!

ーーーーーー
ーーーー
ーー


魔王城地下通路


 スタスタ、テクテク…

照「…ね、ねえ、京太郎…」ピタッ

京太郎「なんですか… オヤツならもうちょっとあとに…」

照「いや、そうじゃなくて、その、私…///」モジモジ

京太郎「え?」

照「お、オシッコ、したくなってきちゃったんだけど…?」

京太郎「はい…?」


怜「ションベンか。 そこらへんにシャ―ッとやってまってもええんやないか?」

照「そんなこと、王女たる私がするわけにはいかない…」モジモジ

京太郎「しょ、しょうがないっすね… 魔王城にトイレってあるのか…?」

怜「そらあるやろ。 魔族だってうちらと同じようにションベンくらい・・・ホヒッ!??」ビクッ!


突然、ぶるりと身を震わせた怜…


京太郎「…ん? 怜さん? どうかしましたか?」

怜「・・・・・・」ボォー……

怜「…イヒッ!w あは…w な、ナンデモナイヨォ~~?w」カクカク

京太郎「…は?」


何か、怜の雰囲気が変わったことに違和感を感じつつも… 

京太郎は、火急の用としてトイレを探し、5分後、廊下の途中に無事公衆トイレを発見した。


照「あ、ありがとう京太郎! ちょ、ちょっと行ってくるね!!」ダダッ

京太郎「は、はい、ここで待ってますから…」

怜「……」


トイレの前に残された、京太郎と怜…


京太郎「…あの、怜さん、さっきなんか変な喋り方してましたけど… 大丈夫っすか?」

怜「ん? なんや、なんのことや。 うちならい、イツモドオリやでぇ~?w」カクカク

京太郎(? なんか、喋り方だけじゃなくて、動きも… 少し機械的な感じになってんだけど…? なんだこれ?)


怜「なあ京太郎、それより…」スッ

京太郎「はい?」


突然、京太郎にぴたりと身を寄せてきた怜…


京太郎「な、なんですか??///」

怜「二人っきりやなぁ…w」ニタア…

京太郎「へ…? は、はあ、そうっすね…?」

怜「京太郎、男と女が二人っきりになったら、することは一つやろ…?///」ポオォー…

京太郎「!??」


怜は、いつの間にかその頬を紅潮させ、妙に艶めかしい雰囲気になっていた…


京太郎「な、なんですか怜さん…? お、俺をからかうのはやめて下さいよ!///」

怜「からかってなんかおらんで… なあ、京太郎…」ススゥ~…!

京太郎「うっ!?///」ビクッ!


思わず身を震わせる京太郎…!

なんと… 怜が、その柔らかい手で、京太郎の股間をさすり上げてきたのだ…!



怜「うちと・・・スケベせえへんか?」

京太郎「は、はいっ!??」

怜「ふふ…w ごっつ気持ちよくしたるでぇ…?」ニタアアァ…

京太郎「…!!」


☆エロイベント発生! 京太郎、どうする…?

1、京太郎「じゃ、じゃあ…/// そこの個室に二人で入りましょうか…?」グフォフォ…

2、京太郎「怜さん! しっかりして下さいっ!!」パチィーンッ!

3、その他(セリフや行動等)


※先に2票入った方で行動。3は、提案があって、一つ賛同レスがついたら行動。


ーーーーーー
ーーーー
ーー


魔王城地下・ライブ会場


 ワーワ――ッ!  キャーキャ――ッ!!  ハヤリーンッガンバレェーッ!  ケンジャチームファイトォーッ!  ザワザワザワ…


恒子『さあさあ! 盛り上がっております四天王瑞原はやりVS賢者チームによる、“勝つのはどっちだ! 早押しクイズ対決!!”ウゥッ!!』

恒子『佳境に入ってまいりましたこの対決・・・本当に、勝つのはドッチなんだァ?!』

恒子『さあ、では続きまして第五問目は・・・!こちらァ!!』ポチットナ!


 ヴーン… パァッ!


憧「!」

憩「これは…?」

はやり「はやや?」


☆頭脳イベント(二回目)発生! (答えを書き込んで下さい。一人二問まで回答可)

“第五問 洋榎「このギョーザめっさ美味いな! …ん? キヌは食わへんのか?」ムッシャムッシャ

絹恵「だってそのギョーザ、“んんくく”が入ってるから、私はちょっと…」

     洋榎「な、なんやて、“んんくく”?」   ※「んんくく」とは何?”


“第六問 木:WD 部屋:RM 宮永咲の好きな物:??  ??に入るのは?”


“第七問 咲-Saki-最新18巻で表紙を飾ったはやりん…! そして裏表紙には五決で闘ったメンバーたちが!

     そこで問題… 次の四人で、“裏表紙にいない”人は誰? 「末原恭子」「上重漫」「獅子原爽」「桧森誓子」”


※制限時間は、今日も「24:00」まで。

正答のレスがあった場合は、憧&憩のどちらかが答え、はやりが電撃を受けてHPを削られます。(そのレスのコンマ以下が偶数なら憧、奇数なら憩が答える)

24:00までに正答が無かった問題は、あとではやりが答え、憧&憩の両方が電撃を受けてHPが削られます。


>>201のエロイベントと同時進行。片方だけでもいいし、両方書き込みしてもらっても構いません。

安価2

五問は「にんにく」
六問は「BK」か?
七問は「上重漫」


 ヴーン… パァッ!


クイズ対決五問目の問題は…!


“第五問 洋榎「このギョーザめっさ美味いな! …ん? キヌは食わへんのか?」ムッシャムッシャ

絹恵「だってそのギョーザ、“んんくく”が入ってるから、私はちょっと…」

     洋榎「な、なんやて、“んんくく”?」   ※「んんくく」とは何?”


恒子『おろ? これは…?』

恒子『愛宕姉妹の会話が… “んんくく”? なんなんでしょう?』


憧「…?」

はやり「はや…?」


 タァンッ!  ピポーォンッ!!


恒子『お…! 今度はナースが即座にボタンを押しました! どうぞぉ!』

憩「答えは・・・“にんにく”や!」

憩「理由は、“ん”も“く”も“二個”ずつあるから… 二ん、二く、でにんにくっちゅうわけやなーぁ♪」

 
 ピポピポォーンッ!


はやり「ギニヤアアアアアアあああああぁぁ――――っっ!?!?」バリバリバリバリ…!!(HP900→600)


憩の正答で、はやり、HPわずか600に…!

そして…


“第六問 木:WD 部屋:RM 宮永咲の好きな物:??  ??に入るのは?”


憩「これは、英単語から“OO”を抜いとるんや。 そして、サキ姫といえば大の読書好き… つまり“BOOK”から“OO”を抜いて、答えはBK!」

はやり「どぅぶぉろぉゲエエエえええええぇぇぇ――――っっ?!?!」バリバリバリバリ…!!(HP600→300)


“第七問 咲-Saki-最新18巻で表紙を飾ったはやりん…! そして裏表紙には五決で闘ったメンバーたちが!

     そこで問題… 次の四人で、“裏表紙にいない”人は誰? 「末原恭子」「上重漫」「獅子原爽」「桧森誓子」”


憩「これは簡単! 答えはスズちゃん…「上重漫」や!」

憩「ウチは“直観映像記憶素質”の能力があるからなーぁ♪ 一度見たモノは、なんでも写真みたいに正確に思い出すことが出来るんやで!」

はやり「うぁばらじゃあああアアアアアアァァァ――――っっ!?!?」バリバリバリバリ…!!(HP300→0)


はやり「・・・・・・」シュウウウウゥゥ~~~~・・・・!!


恒子『け…決着です! 一気にカタが着いてしまったアアァッ!!』

恒子『魔族四天王・瑞原はやり丸焦げ…!w HPは完全に0にッ!!』

恒子『早押しクイズ対決・・・勝者は賢者チームのお二人ですッ!!』


 ワアアアアアアァァ―――ッ!!  パチパチパチパチパチパチパチパチパチ…!!  ハ、ハヤリン…


憩「よっしゃ! 四天王の一人を倒したでっ!」

憧「う、うん、良かった…」ホッ


※頭脳イベント「早押しクイズ対決」結果

○新子憧&荒川憩 VS 瑞原はやり× (回答数6対1)

・新子憧戦闘レベル52→55(勝ったので、回答した数だけアップ)
・荒川憩戦闘レベル45→48

勝負後憩のヒール発動
憧HP706→756
憩HP991→1021


憧「でも… あの魔族、本当に約束通りモモの所まで案内してくれるのかな…?」

はやり「! それならだいじょーぶっ! はやりに二言は無いよっ!☆」ピョコンッ!

憩「ひゃっ!? HP0やのに動いとる…??」

はやり「はやりは丈夫だからねっ☆ 闘えなくても、歩くくらいのことは出来るよっ♪」ハヤヤ

はやり「約束通り、スパイの子のとこに案内してあげる。 二人とも、はやりの後についてきてっ!☆」


こうして… 憧&憩は、はやりに案内されて、魔王城中層部にある、モモのいる病室へと向かったのだった…

今日はここまでなのよー
エロイベントは2でイキマス
また明日


魔王城地下通路・トイレ前


怜「うちと・・・スケベせえへんか?」

京太郎「は、はいっ!??」

怜「ふふ…w ごっつ気持ちよくしたるでぇ…?」ニタアアァ…

京太郎「…!!」


照がトイレに行っている間に、突然京太郎を誘惑してきた怜…!


京太郎(お、おおおっ、落ち着け俺…! こ、こんなの、どう考えてもおかしいだろ…? 何かの罠だっ!)

京太郎(絶対、本当の怜さんはこんなことしねぇ…! 多分… ニセモノなのか、何かヘンなのに乗り移られてんだ…)

京太郎(くっそ! 怜さんわりぃ! 許せっ!)バッ!

京太郎「怜さん! しっかりして下さいっ!!」パチィーンッ!

怜「わぁばらじゃっ!?!?」=3


京太郎のビンタでくるりと半回転した怜は、ばたりとうつ伏せに倒れた…

と――、その背中から、一瞬、何か馬のような姿の幻影が飛び出し、幽霊のように透明になって消えていった…


京太郎(お? なんだ今の?)

怜「・・・京太郎、キサマァ・・・ 何すんねんっ!!」ガバッ!

京太郎「あ、良かった、戻った…」ホッ

怜「あん…? 何ワケ分からんこと言うとるんや!」=3

怜「うちのカワイイほっぺちゃん殴っといて… どう落とし前つけるつもりやグゥルアァッ!!」グイッ!

京太郎「どふっ!?」=3


京太郎のムナグラをつかむ怜…

30cm近くも身長差があるのに、京太郎は足が浮きそうになった。


京太郎(ちょ…! こ、この人、マジで病弱なのか…??)ムググ…!

照「な、何やってんの? 仲間割れやめて…」オロオロ


いつの間にかトイレから出てきた照が困惑した表情で止めに入る。


怜「じゃかましゃあっ! テルは黙っとき…!」


と――、そのときだった。


 パチ、パチ、パチ、パチ……


怜「あん…?」ギロッ


良子「ふふ…w 私の仕掛けたハニートラップをクリアするとは…」パチパチ

良子「なかなか見込みがありますね、今回の勇者は…w」ゴゴゴゴオオォ…!


拍手をしながら悠然と現れたのは、四天王戒能良子――!


照「!? 出たなっ、魔族…!」ギラッ

怜「お前は…戦神戒能良子…?」

良子「ウェルカム魔王城へ。 勇者一行の皆さん」

良子「こんな地下をうろついて… あのお仲間を探しているのですか?」

京太郎「! モモを…モモを知っているのか?!」

良子「いえす、知っていますよ… なかなか骨のある少女でしたねw」ニタアァ…


怜「! 貴様ァ…! 東横をどうしたんや!!」ブワアアアァァ…!


怜の碧い瞳の中に緑色の炎が現れ、尋常ならざる量のオーラがその身体から湧き出す…!

が… 怜の鬼の形相にも眉一つ動かさず、良子は続けた。


良子「諜報員の少女は私に負けてケガをして… この魔王城のどこかで眠っています」

良子「もしユーたちが私をディフィート出来れば… その場所を教えてあげてもいいですよ…?」


 びゅんっ


良子「!?」


良子の言葉が終わるか終らないうちに、怜のチャクラムが良子の顔面めがけて飛んでいた。

が――


良子「これは… 円月輪? 面白い得物を持っていますね」スチャッ…

怜(な…!? この距離で、うちのチャクラムをつまんで受け止めたやと…?)

良子「ふふw、焦る必要はありません。 ゆっくり…バトルをエンジョイしましょう!」カッ


四天王戒能良子VS怜・照・京太郎…! 

魔王城の地下にて、またもや死闘の火蓋が切って落とされようとしていた…


ーーーーーー
ーーーー
ーー


魔王城中層部


はやり(28)「はあ、はあ、はあぁ… や、やばい、はやり、めまいがしてきた…☆」ハアハア

憧「ちょ、ちょっと、大丈夫…?」

憩「仕方あらへんなーぁ… ウチがヒールしたるで、ちゃんと案内頼むで」パアアァ…!

はやり「わーいありがとぉーっ!☆」ハヤヤ


四天王はやりに連れられて、憧・憩の二人は、モモがいるという城の中層部まで来ていた。


はやり「さ、もうすぐだよ! あの角曲がったら、すぐ右側にある部屋だから・・・ん?」

?「よお、はやり…」ヌウッ…


突然、その角から、赤い着物姿の小柄な魔族が姿を現した。


憩「…ん?」

憧(!? ちょっ、アレって…?)


咏「はやりサンよ、人間なんか連れてさ、どこ行くんだ…?」ゴゴゴゴゴゴゴゴオオオオォォ……!


大魔王に次ぐ魔族№2、三尋木咏だった…

今日はこれだけ
ちょっと間あいて、次は多分また週末から投下していきます



咏「はやりサンよ、人間なんか連れてさ、どこ行くんだ…?」ゴゴゴゴゴオオォォ……!


もう少しでモモのいる部屋…!というところで、憧たち三人の前に現れたのは、四天王筆頭・魔族№2の三尋木咏…!


はやり「う、咏ちゃん…?」タジッ 

咏「質問に答えろよ。 人間連れてどこ行くんだ?」

はやり「え、えっとぉー… あの捕虜になってる人間の子の所に… はやり、この子たちに勝負で負けちゃったからぁ…☆」ハヤヤ…

咏「ふぅーん…?」ギラ…!


咏「あたしは馴れ合いはごめんだねぃ、人間は私たち魔族の敵だ…」

はやり「……」

憩「ちょい、なんやあんた?いきなり出てきて… うちらは勝ったらモモちゃんのとこに案内してもらうっちゅー約束の勝負で、きっちり勝ってきたんやで!」

咏「あ?」ギロッ 

憩「ひっ?!」

憧「う…!?」


咏が一睨みしただけで… 憧も憩も、心臓に刀剣でも突き立てられたような… 言い知れぬ恐怖を感じ、身をすくませた。


憧(・・・や、やばいやばいやばい!コイツはやばい…!!)カタカタダラダラ… 


憧の本能的なカンが最大音量で警鐘を鳴らし… 恐怖に揺すぶられた筋肉が痙攣し、それに伴って大量の汗が全身から噴き出す…


憧(た、多分この魔族、“魔界最強の炎術師”三尋木咏だ…!)ダラダラ…

憧(強い… とてつもなく強い…! 私が今まで出会ってきた、どんな敵よりも、遥かに…!)ガタガタ…


一対一ではまず勝てない。

憩と二人がかりでも、多分勝てない…

いや、パーティ全員、六人総がかりでも勝てるかどうか…? もはや桁が違う…!


憧(ど、どうしよう…? ああもう! モモはすぐそこにいるってのに、なんて間が悪い…!)

憧(一旦退却するしか、ない…?)


咏「うーん…でもまあ、はやりサンがそう言うならしょーがないかねぃ? 会わせてやんよ、その捕虜の子にさ」ケロッ

憧「へ?」ホッ

咏「…ただし、あんたらも捕虜としてな… ベッドの上で、仲良く3人で枕並べなw」ゴゴゴォ…

憧「!!」


憧「え? こ、ここは…?」

憩「な、なんや、どうなったんや?」


咏が、その扇をさっと広げた途端、周囲の景色がまるで“めくれる”ように変化し…

憧と憩はいつの間にか広々とした砂漠のような場所に立っていた。

空にはどんよりとした不気味な紫色の雲が垂れ込めている…


憧「ここは・・・“異界”?」

咏「異界っちゅーよりは“亜空間”だねぃ。 私が召喚した、リアルとはまた位相の異なる空間さねw」スッ

憧「!?」バッ


振り返ると、10mほど離れた場所に咏が悠然と立っていた…


憩「く、空間の召喚…? ゲートも開かずにか??」

咏「んー? 別にこんなん大した魔法じゃねーぜ? 知らんけどw」

憧(い、いや、空間の操作はあらゆる魔法属性の中でも最も難度の高い技術… くそっ! やっぱりこいつ底が知れない…!)


咏「ここはちょっとやそっとじゃ壊れねーからさ、思いっきりヤリ合うのにはちょーどいいんだよねぃ…」チッ、シュバッ!


咏が親指と人差し指を擦り合わせると、ふわっと、紅い炎が掌の上に浮かんだ…


咏「さあ… あんたら、ここから出るには、私を倒してこの空間召喚のマジックアイテムの扇を壊すしかないぜ…?」ニタァ…

咏「ケシズミになりたくなけりゃ、覚悟決めてかかってくるんだねっ!」


憧(ちっ…! こ、こうなったらもう、、ヤルしかないっ!!)

憧「憩さん! 二人がかりで…全力で行くよっ!」バッ

憩「分かっとる!」ババッ!


右、左と分かれて駆け出す憧&憩…


憩(まずは牽制… コレでも喰らえっ!)シュンッ!


憩が走りながらクロスさせた両腕を開くと、八本の銀のメスが咏へと飛ぶ!


咏「ふん…」ギロッ、ジュッ!  シュウウウウゥゥ~~…!


憩「へあ?!」

憩(な、なんや今の? 睨んだだけで、ウチのメスが全部融けて…蒸発した??)


咏「遊んでんじゃねーよw 早く全力で来いって!w」


憧「言われなくても・・・全力で行くよ!!」バババッ

憧「くらえっ! “ジャイアント・ファイヤーアロー”!!」ブォンッ!

咏「ん…?」


直径5mはあろうかという巨大な火の玉が浮かび、空気を焦がしながら咏を襲う…!


憧(魔法を使う人なら、その名を知らぬ者はいない・・・魔族最強の火炎術師三尋木咏・・・!)

憧(でも、私だって国家随一の法術師! そして五属性の中でも、火属性の魔法はお手の物…!)

憧(さあぁどう受ける? 三尋木咏!)


咏「は…w なんだこりゃ? 子どもの火遊びか?」ブンッ! ビュ――ン…

憧「は?!」


憧の火の玉は… 咏が扇を一薙ぎしただけで、虚空の彼方へと吹っ飛んでいった…


咏「いけないねぃ… 人間ごときが炎を操ろうとしちゃあさ…w 火傷すんぜ? 知らんけどw」

憧(く、くそっ! だ、だったら・・・コレならどーよっ!!)バッ

憧「火の女神エフリートに仕えし炎の精霊たちよ…! 我が元に収束し、その真の姿を現せッ!!」

憧「出でよ火鳥・“ファイヤーバード”ォ!!」カッ!


 ブワアアアアアアアアアアァァ・・・!!


憩「ひゃっ?」

咏「お?」


憧が魔杖の箒神を一回くるりと回転させて掲げると… その上空に、巨大な火の鳥が現れた…!


憧(どーよ! このファイヤーバードは、私の火属性最強の魔法…!) 

憧(その灼熱の翼はあらゆる有機物を灰塵に還す… コレでも火遊びなんて言える?)


ファイヤーバード『グルルルルウゥ…!』バッサバッサ…


その紅の両翼をはばたかせながら、咏を睨みつける火の鳥…!


咏「へー… ちょっとは見直したよ。 あんたも火炎術師ってわけかい。 …じゃ、まあ、冥土の土産に見ていくがいいさw」

憧「はい?」

咏「“魔界の獄炎”ってヤツをね…!」ゴゴゴゴゴゴゴゴオオオオオォォ…!!


  ズモモモモモモモオオオオオオォォ・・・・・!!


憧「う…?」グラグラ

憩「な、なんや、地震…?」グラグラ


天地を揺るがしながら… その地獄の鳥は姿を現した。


咏「出でよ煉獄の支配者・・・! 邪炎鳳凰・“朱雀”!!」バッ!


 ブワアアアアアアアアアアアアァァァァ・・・!!


憧「どひっ!?」
憩「げえぇっ!?」


顕現せしめしは・・・天を覆い尽くさんばかりに魁偉鴻大な火の鳳凰!!


朱雀『………』ゴゴゴゴゴゴゴオオォ…!

ファイヤーバード『ピ――ッ!?』ガクブル


その神の鳥の前では、憧の召喚した火の鳥など可愛いスズメのようなモノ…!


憧「は、はは…w ど、どーすんのコレ…??w」チョロ…

憩「わ、分っかんねー…w」タラリ…


ーーーーーー
ーーーー
ーー


魔王城地下トイレ前


良子「これは… 円月輪? 面白い得物を持っていますね」スチャッ…

怜(な…!? この距離で、うちのチャクラムをつまんで受け止めたやと…?)

良子「ふふw、焦る必要はありません。 ゆっくり…バトルをエンジョイしましょう!」カッ


四天王戒能良子VS怜・照・京太郎…! 

魔王城の地下にて、遂に対峙した四人…!


京太郎(…な、なんだコイツ…? 今まで見てきた魔物たちと… 何か決定的に違うぞ…?)ハアハア


聖剣を握った京太郎の手に汗がにじみ… 緊張から息が荒くなってゆく。


怜「京太郎… 下手に動くんじゃないで。 アイツは“デビルマスター”戒能良子や…」

怜「魔界の戦地では戦神として崇められた伝説の魔族傭兵や。 ほぼラスボス級やと思った方がええ…」


照「…本当に、お前を倒せば、東横さんの場所を教えてくれるの?」ユラァ…

良子「オフコース。 “倒せれば”の話ですがね…w」

照「そう… じゃあ… 死なない程度に殺してやるっ!!」バッ!

照「ターボ・コークスクリュ――ッ!!」ブワアァッ!

良子「!」


数々の魔物を屠ってきた照の右拳が唸るッ!


良子「ふ…w こんなもの…」スッ


スウェーで軽くかわそうとした良子… だが、その時!


照「……」ピタッ

良子「ん!?」


怜(ん? アレは…?)

京太郎(す、寸止め? なぜ?)


なぜかピタリと止まった照の拳…

だが、次の瞬間、怜と京太郎はその驚愕の技に目を剥いた。


照「かかったな!w くらえっ! コークスクリュ――・・・」ググ…

照「 リ バ ー ス !!!」ブアッ!


 ブワアアアアアアァァッ!!


良子「なっ!?」ヨロヨロッ!


怜(ほえ? アレは・・・?)

京太郎(拳を逆回転させながら引き戻している…?)

京太郎(そうか! 全く逆の動きをすることで、相手をブッ飛ばす効果のコークスクリューを、“相手を引き寄せる”技に変えたんだ…! すげえさすがテルさん!)


良子「く…! うっ!?」

 ゴオオオオォォッ!!

良子(! しまっ)


“引き寄せる”風圧で、よろよろと前にたたらを踏んだ良子の目に…

回転しながら迫る照の左拳が映る!


京太郎(よっしゃ! 右拳で相手を手繰り寄せて…左拳で相手を打つ! 必殺必中じゃねーか!)


 パアアァンッ!!


固い拳が、肉を打つ音が、城内に響き渡った。


ーーーーーー
ーーーー
ーー


魔王城中層部・亜空間


朱雀『ギョオ゙オ゙ォッ!』ブンッ!

ファイヤーバード『ピ―ッ!!』=3


三尋木咏が召喚した地獄の炎鳥朱雀…!

その灼熱の翼の一薙ぎで、憧の火の鳥はアッという間に消滅してしまった。


憧「そ、そんな!? 私のファイヤーバードが…!」カタカタ

咏「ふふ…w さっ! 仲良くケシズミになりなっ!w」ヴォンッ!


朱雀『ギョオ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オォ――ッ!!』ズオオォッ!!


咏が扇を振り下ろすと同時に、まるで天災のような炎の波・・・“迫りくる怒涛の火力”が憧と憩を襲う!!


憩「あ…!」

憧(きょ、京太郎…!)


その刹那、二人の脳内に、走馬灯のように過去の出来事が駆け巡った…

ーーーーーー

照「んっ、なぁ・・・?」

良子「フフ…w 危ないところでした…」グググ…


間一髪…! 前へよろけながらも、照の左拳を右掌でガッチリと受け止めた良子…!


京太郎(! バカな? アレを素手で受けた…?)


照「ちっ…!」ババッ


いったんバックステップで距離を取る照。


良子「やりますね。 忘れていましたよ、冷や汗という感覚を…w」ニタア…

良子「一対三… フフ、これなら、私が本気を出しても少しは耐えてくれますかね…?」ビチッ、ズモモモォ…!


良子の髪留めが吹っ飛び、ざわざわとその薄紫の髪が逆立ち始め… 全身から黒いオーラが噴き出すと共に、周囲の床や壁がガタガタと振動を始めた。


京太郎(うお…? じ、地震? い、いや、あのオーラのせいで床が揺れてんのか?)

怜(リミッターを外しよったか… いよいよ来るで…!)


良子「さああぁ人間たちよ! 開眼して見なさい!!」

良子「賢王ソロモンの名に代わって命じる…! 出でよソロモン72柱が二柱!! 地獄の魔神“アスタロト”!“バルバトス”ゥ!!」カッ!


 ゴオオオオオオオオオオオォォ・・・・・!!!


照「む…!」
怜「ちっ…」
京太郎「うっお…!?」


遂に戒能良子、その本当の力“召喚術”を発動! 現れたるは二体の魔神…!

一体はビキニアーマーに身を包んだやたらとグラマラスな美魔女…、もう一体は中学生くらいに見える金髪のロリ魔神だった。

それらが、それぞれ良子の右腕と左腕に下半身を蛇のようにからませたまま、その妖しく光る眼で京太郎たちを睥睨する…!


良子「さあ!パーティの始まりですよ! 皆でエキサイティングなダンスを踊りましょう!!w」


☆バトルイベント発生・コンマバトル開始!(殲滅戦)

対戦カード「三尋木咏VS憧&憩」「戒能良子VS怜&照&京太郎」 ※2バトル同時進行

・コンマ以下数 ()内は現時点の各戦闘レベル (良子は160、咏は180)
01~20→憩   (48)
21~40→憧   (55)
41~60→怜   (45)
61~80→照   (67)
81~00→京太郎 (62)

※各数域の、「偶数」ならば攻撃(各戦闘値×2)が出来る。 ただし「奇数」ならば、逆に相手から攻撃が来る。

※また、それぞれの勇者チームは、「合計攻撃回数」が5以上になった時、憧&憩の方は憧の「超詠唱古代魔法」が炸裂、怜&照&京の方は京太郎の「全体バフ」が発動される。

※コンマレスの受け付けは明日朝7:00まで。日付が変わってからの連投(二回目)は可。


<現時点の各HP(もし0以下になれば戦闘不能)>
荒川憩   1021
新子憧    756
園城寺怜   841
宮永照   1051
須賀京太郎 1356

戒能良子  1200(モモとの戦闘後844から少し復活)
三尋木咏  2000

やばっ、1レス抜けてた
>>222と223の間に↓

ーーーーーーー

一度収まった咏の凶悪なオーラが、再び、更にその禍々しさを増して噴き出す…


はやり「ちょ、ちょっと、咏ちゃん、こんな所で暴れたらお城が壊れちゃうよ?☆」

咏「ふん、そんなん知らんしw」

はやり「赤土さんにまた怒られちゃうYO!」=3

咏「わぁーったよ、しょーがないねぃ…」サッ


ヴウゥ――ン・・・!


憧「ん!?」

ーーーーーーー

コンマ 02、73、23、72、78、96
・攻撃(02、72、78、96)→ 憩1・照2・京太郎1
・ダメージ(73、23)→ 照1・憧1

ーーーーー

~魔王城中層部亜空間~


咏「ふふ…w さっ! 仲良くケシズミになりなっ!w」ヴォンッ!

朱雀『ギョオ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オォ――ッ!!』ズオオォッ!!


咏が召喚した獄炎の巨鳥・・・“朱雀”が憧と憩に襲いかかるッ!!


憩「あ…!」

憧「く…? ば、爆風障壁!“ウインドウォール”ウゥッ!!」バッ


 ギュルルルルルウウゥ―――ンッ!!


大急ぎで風の精霊を召喚し、周囲に竜巻を造り出した憧…


憧(つ、通常の火炎攻撃なら、これでほとんど防げるはずだけど…)

咏「笑わせんじゃないよっ!w そんなんで私の“朱雀”を防げるかいっ!w」


朱雀『ギョギョオ゙オ゙オォッ!!!』ブオォォンッ!!


アッという間に竜巻をかき消してしまった“朱雀”が目の前に迫るッ!


憧(は、はは…w やっぱり?w)タラリ


憧「わじゃっ? あじゃじゃじゃじゃじゃじゃああぁっ!?!?」=3【-180】(HP756→576)


全身を紅蓮の炎に包まれ、5、6mほども吹っ飛ばされた憧…!


憧「・・・・・」プスプスプスプスゥ…

咏「ふふ… まずは一匹…w」

憧「… う、ううぅ…」ムクッ

咏「おろ? 生きとるねぃ?」

憧(あ…熱かったぁ…! パッシブ(常時シールド)張ってなかったら、ほんとにケシズミになってた…)ハアハア


憧(ちっ…! あたしのぴっちぴちのお肌ちゃんに水ぶくれが…!って、それどころじゃない!)バッ

憧(シールドなんか張れない憩さんは、今のタダじゃ済まない…!)キョロキョロ


身を起こし、慌てて憩を探す憧… 

と――


憩「………」バァーン…

憧「ふぇっ? な、何そのカッコ?憩さん?」


憩は、いつの間にか宇宙服のようなモノをその身にまとっていた。


憩「何って・・・医療用の防護服やで?」ケロリ

憧「へ…?」

憩「伝染病が流行ってる地域とかで着るヤツやなーぁ♪ 抜群のバリア性で、どんな小さな微粒子もウイルスも100%防げるんや♪」

憩「しかもコレは魔力で強化しとるから、耐火性も抜群…! 今くらいの炎ならなんともないで?」

憩「…あ、ごめんな! コレ一着しかないから、憧ちゃんの分までは無いんや。 堪忍やで~ぇ」

憧「……」


咏「ふぅーん… 今のでほぼノーダメかい。 ま、でも、いつまで耐えられっかねぃ?」ブンッ!

朱雀『グルギョオ゙オ゙オォ――ッ!!』ブォーンッ!


憧「ひ…! ま、また来た!!」

憩「さてと… コレがあのバケモンに効けばええんやけどなーぁ…」ゴソ…

憧「!? な、ナニソレ? 憩さん?」


憩はどこからか、ちょっとした丸太ほどの大きさの注射器を取り出した…


憩「マジカルシリンジや。 そして中身は・・・」

憩「強力な消火・冷却効果がある薬品“炭酸カリウム水溶液”やでっ!」


憩「さあぁ来いッ! ウチの顔射はちょいキツイでぇっ!!」ブッバァッ!!

朱雀『ギョオ゙ォッ?!』バシャァッ!【-96】(HP2000→1904)


向かってきた朱雀の顔面に、シリンジで炭酸カリウム水溶液をぶっかけた憩…!

朱雀は、一瞬怯んだかに見えたが…


朱雀『グルギョギョオ゙ォ―――ッ!!』=3=3


憧「お、怒ってる…? 効いてない…?」

憩「やっぱり、焼け石に水やなーぁ… こら本格的にまずいで…!」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


~魔王城地下トイレ前~


良子「さあ!パーティの始まりですよ! 皆でエキサイティングなダンスを踊りましょう!!w」カッ!


両手に魔神を携えながら、狂喜の笑顔を浮かべる“デビルマスター”戒能良子!


良子「まずは・・・ユーに意趣返しと行きますかね」ギロッ

照「!」

良子「アスタロト! どうぞやってしまいなさいッ!」


アスタロト『オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ヴォオオオォッ!!』ババッ


良子の右腕に絡みついていたグラマラスな魔神が、咆哮をあげながら照に襲い掛かる…!


 ヴンッ!!


照「っく!」サッ


その爪の初撃を間一髪かわす。 だが、その直後――


アスタロト『ブボアアアアァ――ッッ!!』ブホアッ!

照「いっ!?」


横にかわした照に向かって、その魔神は突然、真っ黒な毒霧を吹き掛けたのだ…!


照「……!??」モゴモゴ【-160】(HP1051→891)


京太郎「な…? テルさんの体に毒霧がまとわりついた…?」

怜「あかん! 多分粘着性の有毒ガスやで!」


良子「クク…w その通り、アスタロトの最もストロングな武器は、その悪臭を伴う有毒ガス…!」

良子「まとわりつかれればもう離れることはありません。 徐々に皮膚がただれ、ボディが融けていく…」

良子「何も見えない瘴気の中、絶望に身をよじらせながら逝きなさい…!w」ククク…w


照「……!!」モガモガ


京太郎「や、やべえっ、テルさんが融けちまう…?!」

怜「京太郎! こうなったらコレや! コレであの霧を吹き飛ばすんやっ!」スッ

京太郎「…はい?」


唖然とする京太郎…

怜が手渡したモノは、なんの変哲もないただのウチワだった。


京太郎「え、は? で、でも、こんなモノで…」

怜「ええから行ってこいっ! テルが融けてスライムになってまったらお前の責任やで?!」

京太郎「は、はい、じゃあ…」スッ


京太郎が、滑稽にも照に向かってウチワを振り上げた時だった。


照「ガトリング・コーク・スクリュ―――ッ!!!」バァッ! パアアァ―――ンッ!!

京太郎「どひっ!?」=3


毒霧を突き破って四方へと飛んできた照の連撃…!

京太郎はもう少しで直撃を喰らうところだった。


京太郎「て、テルさん…? だ、大丈夫ですか?」ヘタッ

照「………」モグモグモグ

怜「ん…? なんやアイツ、なんか食っとるんか?」


良子「? アスタロトの毒霧を、拳圧だけで吹き飛ばした…?」

良子「シット…! おかしいですね、その霧に包まれれば意識が朦朧として、動けなくなるはずですが…」

照「うん、あんまり臭いから、コレを使わせてもらった」ンベッ

良子「!?」


べっと出した照の舌の上には、薄緑色のビー玉のようなモノが載っていた。


良子「それは…?」

照「超刺激がウリの“爆発ミントキャンディー”… コレを舐めると、眠気とか臭気とか全然感じなくなる」

照「オヤツにとっといて良かったよ…w」ニタア…


照「ふふ…w 頭がスッキリしたついでに、“あの能力”を使っちゃおうかな…!」

照「能力付与の神様からもらった、私の新能力を…!」ゴゴゴォ…


 ズオオオオオオオオオオォォ・・・・!!


京太郎「ん…?」

怜「な、なんやありゃ?」

良子「…?」


照の頭上の宙空に、何か、大きな、赤いモノが形作られていく…

そしてそれは、徐々に平べったい“直方体”の形となっていき…


 ヴヴヴヴヴゥ・・・ガコオオオォンッ!!


京太郎「へ?」
怜「は?」
良子「What?」


衝撃…! というか笑撃…!

現れたのは… なんと長さ5mくらいはあろうかという、巨大な“ポッキーの箱”だったのである!


照「見せてあげるよ! 私の新能力・・・『お菓子を召喚して武器にする』能力をね!!」カッ


照「くらえっ! チョコ・スティック・ミサァ――イルッ!!」ドゴォッ!

良子「なぁっ!?」


 バシュバシュバシュバシュバシュウウゥ―――ッ!!!


照がポッキーの箱の底に拳を叩きつけると、それが引き金となって箱がパカリと開き…

中から12本の巨大ポッキーがロケットのように飛び出し、魔神アスタロトを穴だらけにするっ!


アスタロト『・・・・・』シュウウウゥゥ~~~ッ!【-134】(HP1200→1066)

良子「な…なんの! 地獄の魔神たちには当然再生能力があります。 これしきで・・・ファッ!?」


上を見上げた良子の表情が引きつる。

そこには、今度は巨大な“タイヤキ”が浮いていたのである…!


照「さああぁ行けっ! タイヤキくんアタァ――ック!!」ブワァッ!


人食いザメほどもありそうなタイヤキが、空中を泳いで魔神アスタロトに襲い掛かる!


アスタロト『ヌ゙ヴヴゥンッ!!』ブンッ! ドバチャァッ!!

アスタロト『! …!?』モガモガ【-134】(HP1066→932)

良子「うっ、あ、アスタロト…?」


そのタイヤキを爪の一撃で破壊したアスタロトだったが… 破けたタイヤキの腹から大量のあんこが噴出!

魔神の両目を塞いでしまっていた。


照「さあ今だよっ! 京太郎、やっちゃって!!」

京太郎「はいっ!!」ザッ!


京太郎「くらえっ!! “トルネードスラッシュ”!!」タァーンッ! ザンッ!!

アスタロト『グッ! ウウゥ…!?』シュウウゥゥ~~…【-124】(HP932→808)


跳躍し、空中できりきりと回転しながら威力を高めた京太郎の斬撃は、アスタロトを袈裟切りにぶった斬り…

そのままそのグラマラスな魔神は消滅していった。


京太郎「よしっ! 一体倒したぞ!」

照「すごいね京太郎、今のは新技だね」

京太郎「はい、俺も強くなるための特訓をしてきましたからね…!」ドヤ

怜「ふふ…w こりゃ、うちは昼寝しとっても二人だけで倒せそうやなぁ…?」

怜「さあさあ、ションベン漏らす前に降参した方がええんちゃうか? 戒能良子!w」


良子「……」


☆コンマバトル二回目! 対戦カード「三尋木咏VS憧&憩」「戒能良子VS怜&照&京太郎」 ※2バトル同時進行

・コンマ以下数 ()内は現時点の各戦闘レベル (良子は160、咏は180)
01~20→憩   (48)
21~40→憧   (55)
41~60→怜   (45)
61~80→照   (67)
81~00→京太郎 (62)

※各数域の、「偶数」ならば攻撃(各戦闘値×2)が出来る。 ただし「奇数」ならば、逆に相手から攻撃が来る。

※また、それぞれの勇者チームは、「合計攻撃回数」が5以上になった時、憧&憩の方は憧の「超詠唱古代魔法」が炸裂、怜&照&京の方は京太郎の「全体バフ」が発動される。

※コンマレスの受け付けは明日朝7:00まで。日付が変わってからの連投(二回目)は可。


<現時点の各HP(0以下になれば戦闘不能)>
荒川憩   1021
新子憧    576
園城寺怜   841
宮永照    891
須賀京太郎 1356

戒能良子   808
三尋木咏  1904

コンマ 36、55、38、22、33
・攻撃(36、38、22)→ 憧3
・ダメージ(55、33)→ 怜1・憧1

ーーーーー

~魔王城中層部亜空間~


朱雀『グルギョギョオ゙ォ―――ッ!!』=3=3


憧「お、怒ってる…? 効いてない…?」

憩「やっぱり、焼け石に水やなーぁ… こら本格的にまずいで…!」


獄炎の巨鳥朱雀の顔面に、強力消化液をぶっかけた憩だったが… ほとんど怯んだ様子はない…!


咏「はんw そんなモンが“朱雀”に効くかい… それに、私が扱える魔界の獄炎は朱雀だけじゃないぜ…?」ゴゴゴゴゴゴオオオォ…!


咏のその鳶色の目が妖しく光り輝き… 髪がざわざわと浮き上がり始め、全身を覆っていた紅蓮のオーラもその大きさを増していく…!


憩「ま、まだなんか出す気なんか…?」

憧「冗談でしょ…?」


“もう勘弁してくれ”という思いが二人の脳内を駆け巡る。

しかし… 一片の情けすらかける様子もなく、灼焔魔鬼・三尋木咏はその扇を振り上げた。


咏「踊れ炎・・・!」ズオオオオォォ…

咏「喰らえッ! 地獄の業火・・・“カイザーフレイム”!!」バァッ!!


 ゴオオオオオオオオオオオオオオオオォォォッッ!!!


憩「ひ!?」
憧「うっ?!」


猛烈な炎の竜巻が、周囲の空気を焦がしながら二人に迫りくるッ!


憧「け、憩さん! 私の後ろに隠れて!」

憩「へ!? ど、どないするつもりなんや?」

憧「いいから! 早く!」バッ


憩の前に立ち塞がった憧は、大急ぎで呪文を唱え始めた。


憧「雷の精霊、風の精霊、氷の精霊よ…!」ブツブツ

憩(な…? さ、三属性同時召喚? そんな、無茶な…?)

憧「すべからく我が元に集い・・・我が求めに応じ敵を砕け!!」

憩(あ、あかん! そんな事したら、いくら憧ちゃんでも体がもたんでっ!)

憧「ふ、風雷乱舞氷嵐・・・! “ボルトストォ―ム・ブリザードオオォ”ッ!!」バッ!


 バリバリバリィッ! バチバチバチバチバチバチイイィ――ッ!!


憩「ひえぁ…?!」


憧の両手から繰り出された電撃を伴った猛吹雪が、正面から咏の炎の竜巻に激突…!

二つのエネルギー波が、空中で凄まじいつばぜり合いを始めた。


憧「…ぐふっ!!」ブッ!

憩(! あ、憧ちゃん、鼻血が…! やっぱり三属性同時なんて無茶なんや…!)

憧「うっぐぅ…! うああああああああああああああぁぁぁぁっっ!!!」ブンッ!!


 ザシュウウゥッ! プシュウウウウゥゥ~~~!!・・・


咏「お?」

憧「………」ハアハアハア…

憩「! ま、マジかいな…!」


憧渾身のトリプル属性魔法は、なんとか、咏のカイザーフレイムを受けきり… 相殺して共に消滅していた…【-330(55×2×3)】(咏HP1904→1574)


が、次の瞬間、


朱雀『ギョギョオオォ――ッ!!』ブォンッ!

憧「がっ!?」ドォッ=3【-180】(HP576→396)

憩「あ、憧ちゃん!?」


上空から猛烈な勢いで降下してきた炎鳥朱雀が憧を弾き飛ばし…

数m吹っ飛ばされた憧は、後ろの廃墟のようなモノの壁に激突し、がらがらと瓦礫と共にくずれ落ちた。


憩「憧ちゃん!!」タタタッ

憧「・・・・・」グッタリ

憩(く…! これはあかん… もうほとんど闘える状態やないで…!)

憩(HPもかなり削られてしまっとるようやし、これ以上闘ったら命に関わる…)

憩(ウチが治療やヒールをかけてあげられればええねんけど、戦闘中にそんな時間、相手がくれるわけあらへんし…)

憩(もう無理や、これは… 背に腹は代えられん…!)

憩「憧ちゃん、もうこれ以上は無理や… 降参しよう」

憧「…!」


憩「白旗あげれば、あの魔族だって命まではとらんやろ?」

憩「捕虜になるんも辛いけど、モモちゃんに会えるやろうし、あとで、必ず、残ってるテルさんたちが助け出してくれるはずや…」

憧「………」


咏「んー? なんだい作戦タイムかい? 早くしてくんないかねぃw」フリフリ


朱雀を浮かせたまま余裕の表情の咏… 彼女本人はまだ完全にノーダメージといっていい…


憩「残念やけど、ウチらとアイツとじゃ、魔力量も戦闘値も違い過ぎる。 このまま闘っても勝ち目はあらへん…」

憩「ここは悔しいのはぐっと我慢して、降参を…」

憧「いや、待って、憩さん…」ググゥ…

憩「!?」


満身創痍ながらも立ち上がった憧… だが…


憧「わ、私にもまだ手は・・・がふっ!?」ゴボッ

憩「憧ちゃん!?」


鮮血が舞う。 今度は鼻血ではない。 憧が口から血を吐いたのだ。


憩(喀血…? あかん! 内臓か気道に傷が…?)


憩「憧ちゃん! 動いたらあかん! ほんまに死んでまうで!」

憧「・・・は、はは・・・w 何よ憩さん、これくらいで、そんな必死こいた顔して・・・w」ニタアァ…

憧「わ、私はねぇ… 国家一の賢者で、法術師なのよ… コレくらいの、修羅場は、何度も、くぐり抜けてきてる…!」ググ…

憩「そ、そんなこというても、もうウチらに闘う手は…」

憧「いや、手ならあるよ… 憩さん…」


憧「最後の手段・・・“古代魔法”を撃つ!!」


憩「こ、古代魔法!?」

憧「うん… 遥か昔、神話の時代… 神や天使が普通に地上にいて、人間と交流していた時代…」

憧「その時代の魔法は、今よりも、ずっと強力だった… その“禁断の魔法”を使えば、“普通では有り得ない事”が起きる… そして、あのバケモノを倒すことだって…できる!」

憩「で、でも、し、失敗したら、どうするんや…?」


古代魔法はこの上なく強力だが、実戦向きではない――。

どんなに訓練を積んだ魔道士、法術師でも、その成功率は2、3割程度… しかも失敗すればその代償として命を落とすことも有り得る。

さらに・・・


憩「それに、古代魔法って、詠唱にめっちゃ時間かかるんやろ? そんなの発動する前にヤラれてまうで…」

憧「うん、でも、私なら、一分あれば… 一分だけあれば、古代魔法の詠唱を、完成させることができる…!」

憧「憩さん、お願い、アイツを… 一分間だけ引きつけて…!」

憩「……」

憧「そうすれば… 必ず、私が、アイツを倒す!!」カッ!


ーーーーーー
ーーーー
ーー


~魔王城地下トイレ前~


怜「さあさあ、ションベン漏らす前に降参した方がええんちゃうか? 戒能良子!w」


良子「……」


良子の召喚した魔神を一体倒し、勢いに乗る怜、照、京太郎…!


怜「さーてほんじゃまあ、うちは昼寝の準備でも・・・んぉっ!?」バッ、ザシュッ!【-160】(HP841→681)

怜「・・・この・・・ やりおったなキサマァ・・・!」ゴゴォ…


左頬をおさえながら、怒りの表情で良子を睨む怜… 

その頬から、つぅーっと赤いモノが垂れてきた。


良子「ふん… 魔神を一体ディフィートしたくらいで、調子に乗ってもらっては困りますねぇ…w」ニイィ…


京太郎「ん?な、なんだ…? 何が起きたんだ?」

照「矢だよ… アレが放った矢が、園城寺さんの頬をかすったんだ」


 ジャキィ…!


良子の左腕の方に絡みついているその魔神は、今度はいっぺんに十本ほどの矢を弓につがえた。


良子「フフ…w 魔神バルバトスは、30もの魔界の軍団を統率する破壊と殺戮の化身…!」

良子「ウェポンの扱いでは、彼女の右に出る魔神はいません。 さあ、覚悟はいいですか…?」ズモモォ…

良子「バルバトス! 開戦です! かかれっ!!」カッ


バルバトス『オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ォッッ!!』シュバァッ!


 ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュ――――ンッ!!!


京太郎「うあっ!?」
照「くっ!」
怜「ちぃっ!」


十本もの矢が空中を埋め尽くすように飛び、一度に京太郎たちに襲い掛かるッ!


 ズグムッ!


?「あ・・・!」


冷たい金属が、肉にメリ込む音が、魔王城内に響き渡った。


☆コンマバトル三回目! 対戦カード「三尋木咏VS憧&憩」「戒能良子VS怜&照&京太郎」 ※2バトル同時進行

・コンマ以下数 ()内は現時点の各戦闘レベル (良子は160、咏は180)
01~20→憩   (48)
21~40→憧   (55)
41~60→怜   (45)
61~80→照   (67)
81~00→京太郎 (62)

※各数域の、「偶数」ならば攻撃(各戦闘値×2)が出来る。 ただし「奇数」ならば、逆に相手から攻撃が来る。

※また、それぞれの勇者チームは、「合計攻撃回数」が5以上になった時、憧&憩の方は憧の「超詠唱古代魔法」が炸裂、怜&照&京の方は京太郎の「全体バフ」が発動される。

※コンマレスの受け付けは明日朝7:00まで。日付が変わってからの連投(二回目)は可。


<現時点の各HP(0以下になれば戦闘不能)>
荒川憩   1021
新子憧    396
園城寺怜   681
宮永照    891
須賀京太郎 1356

戒能良子   808
三尋木咏  1574

コンマ 37、80、85、43
・攻撃(80)→ 照1
・ダメージ(37、85、43)→ 憧1・京太郎1・怜1

※ここまでの各チームの「合計攻撃回数」→憧&憩は4回、怜&照&京も4回(共にギリギリで古代魔法も全体バフも発動せず!)

ーーーーー

~魔王城中層部亜空間~


憧「私なら、一分あれば… 一分だけあれば、古代魔法の詠唱を、完成させることができる…!」

憧「憩さん、お願い、アイツを… 一分間だけ引きつけて…!」

憩「……」

憧「そうすれば… 必ず、私が、アイツを倒す!!」カッ!

憩「憧ちゃん…」


甚大なダメージを受けながらも、諸刃の剣である“禁断の魔法”古代魔法を使う事を決意した憧…!


憩「分かった… 憧ちゃんがそう言うなら、ウチも覚悟を決めるで…!」ヌギヌギ


耐火性の防護服を脱ぎ始めた憩。 少しでも身軽に動けるようになるためである…


咏「おーい、作戦タイムは終わったかい? そろそろ行かせてもらうぜ?」

咏「ふふ…w 今度はコレなんかどうよ? 邪炎爆裂・・・“フレイムブラスト”ォ!!」ブワァッ!

憩「!」


 ゴオオオオオオオオオォォッ!!


二人のもとへ…真っ赤な突風が襲いくる!


憩「ふん、これくらいならウチでも・・・そりゃっ!」ブンッ


 “ぼふぅんっ!”


咏「お?」


憩が、炎に向かって何か白い石のようなモノを投げると… 一瞬にして猛烈な煙幕が立ち上って二人を覆い隠した。


咏「ん~? どこに消えた? 分っかんねーなこりゃ…w」キョロキョロ


憩(どや! 使うたんは医療用の“ドライアイス”や!)ススス…

憩(ふふ…w 血液やワクチンの保管や、薬品製造時の冷却材としても、ドライアイスは医療現場で重宝しとるんやでっ!w)


憧「ふるべゆらゆらとふるべ… 高天原に神留坐す神漏岐神漏美の命以ちて…」ブツブツ


巫女服の憧が、胸の前で“印”を結び、古代魔法の詠唱を始めた…

その足元に魔法陣が現れ、徐々に大きくなっていく…!


憩(よし…! ウチの仕事は、あと一分間、あのバケモンを引きつけて詠唱中の憧ちゃんを守ること…!)チラッ

憩(一分ならウチがなんとかしたる! 憧ちゃん、必ず詠唱を完成させるんやでっ!)ダダッ


詠唱を始めた憧を目の端で確認した憩は、煙にまぎれて咏の背後に回り込んだ。


憩(さあぁ! スキをつけばコレも効くはずや! くらえっ!!)ブンッ!

咏「ふん…」サッ、ジュウゥーッ!!

憩「い゙っ!?」


咏の背中にむかってメスを投げた憩だったが… 咏は前を向いたまま後ろに扇を振り、灼熱の炎でメスを融かしていた。


憩(な、なんで…? ウチの姿は見失っとったはずやのに…?)

咏「…あのなぁ、本当にどこ行ったか分っかんねーわけねーだろ…?」ゴゴゴォ…

咏「お前らの動きなんて、目をつぶってても“気”だけで察知できんだよっ! ナメんなっ!」カッ

憩(ち…! どこまでバケモンなんやコイツは…?)


咏「さあて… 可愛いナースちゃん、焼き加減は何がお好みだ? ウェルダンか? それともレアかねぃ?w」スゥ…

憩「え…? じゃ、じゃあ、ミディアムレアで、お願いしよっかなーぁ…なんて…w」ハハハ…

咏「了解! 美味しく焼き上げてやんよ!w 邪炎爆裂・フレイムブラストォ!!」ブワァッ!

憩「!!」


その炎の突風は、アッという間に憩の無防備な体を包み込んだ…


憩「………」メラメラメラ…

咏「ふう、さてと、とりあえず一人片付き・・・ん?」

憩「…… ぶっはっ! し、死ぬかと思ったでほんま…!」ハアハア

咏「あん? ノーダメ…? な、なんでだ?」


よく見ると… 憩の体を、うっすらと黄色いオーラのようなモノが覆っていた。


咏「…? なんだそりゃ? 結界か?」

憩「ふ、ふふ…w 賭けやったけど、うまくいったみたいやな…w」

憩「これは、この世界で最も熱に強い生物・・・“超好熱性メタン菌”や!」


咏「メタン菌…??」

憩「せや。メタン菌は、35億年前からこの世界で生き続けとる“古細菌”の一種…」

憩「現在よりずっと苛烈やった原初の地球の環境で生活しとった、超タフネス菌や!」

憩「何しろこのコらは火星でも生きられるんやからな… そんくらいの炎はかえって喜ぶだけやで!w」


新能力“微生物を召喚、操作できる”力で咏の炎を見事封じた憩…!


咏「へえぇ…面白いねぃw 微生物でバリアーなんて、初めて見るよ」

咏「でも、そんなもんが、私の獄炎にどんだけ耐えられっかねぃ…?」スゥ…


咏が、再び扇を振り上げた時だった。


憩「今や! かかれ!!」ブワァッ!

咏「!?」


憩を守るように覆っていた黄色いオーラが、突如咏へと襲い掛かり、その小柄な体を包み込んだ。

そして…


咏「お、おおぉ…?!」ボォッ!  ボボボボオオオオ――ッ!!


紅蓮の炎が・・・なんと咏自身の体を覆い尽くす!!


憩(どや! メタン菌は火に強いだけやあらへん… その名の通り、超可燃性ガス・メタンを生成する菌なんや!)

憩(炎の術を発動する時に、メタンガスを吹きかければ、当然その炎は逆に術者を攻撃する…!)

憩(イチかバチかやったけど、うまくいったで… これならあの魔族もさすがに・・・)

憩「ファッ!?」ギョッ


咏「・・・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴオオオォ・・・!!


憩「…う、う、ウソやろ…??」ガタガタ…


“迫りくる怒涛の火力”三尋木咏は、真紅の獄炎をその身にまといながら、平然と嗤っていた。


憩「ど、どうして…? ひ、火が効かへんのか?」カタカタ

咏「笑わせんじゃねーよ… この私の術を返すだって…?」ボボボボオオォ…!

咏「真の火炎術師は、炎に対する耐性があるんだ。 自分の火で焼けるなんて、そんな間抜けなテツを踏むわけねーだろっ!」クワッ


憩(くぅ…? や、やっぱり、ウチが一人で防げる相手とちゃう…!)

憩(で、でも、もうそろそろ憧ちゃんが古代魔法を…)チラッ…

咏「ん…?」


この時… 憩が、つい憧の方へと視線を送ってしまったのがいけなかった。


憧「禊祓ひ給ふ時に生坐せる祓戸の大神等…」ブツブツゴゴゴゴゴオオオオォ…!


咏(!? な、なんだありゃ!??)


咏が… まだ詠唱中の憧と、その足元の直径10mほどまでに成長した巨大な魔法陣に気づいてしまったのだ…!


憩(し、しまった! 気づかれた?)


咏(アレは… 古代魔法? いつの間に…?)

咏(そうかい… このナースちゃんは、私を足止めする目的で一人で向かってきてたんか…)

咏(冗談じゃねーぞ! 古代魔法なんか発動されたら私だってタダじゃすまない…! 潰す!)バッ

咏「か、火炎連弾! “バーニングバレット”ォ!!」ゴオオオォォッ!!


ビュビュビュビュビュビュウウウ――ンッ!!


憧「!?」

憩「あ…!」


無数の炎の玉が、詠唱中で無防備の憧に、雨あられの如く降り注いだ…


 ドドッ! ドドドドドドドドオオオオォォ――ンッ!!


憩「あ、憧ちゃーん!!」


憧「・・・・・・・」プスプスシュウウウウゥゥ~~~…【-180】(HP396→216)

憩「あ、ああぁ、憧ちゃん…!」

咏「ふぅ… 危ないとこだったねぃ… 私もちょい肝を冷やしたよ」フウ


火炎連弾をまともに喰らった憧は、巫女服があちこち黒焦げとなり、地に倒れ伏していた。

もうぴくりとも動かない。

あの巨大に成長していた魔法陣も、消滅してしまっていた…


憩(ああ…! ごめん憧ちゃん! もう少しやったのに… ウチが視線を送ったせいで、アイツに気づかれてまった…)

憩(古代魔法は、途中で詠唱が中断されたら、もう発動されない… もう一回、イチからやり直すしかあらへん…!)

憩(く…! で、でも、このバケモンを倒すには、憧ちゃんの古代魔法しか方法はないんや!)クワッ

憩「憧ちゃん! 立つんやぁ! 立ってもう一回魔法を撃つんや!!」


憧「………」グッタリ…


憩「憧ちゃん! 立てえぇ―――っ!!!」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


~魔王城地下トイレ前~



良子「バルバトス! 開戦です! かかれっ!!」カッ


バルバトス『オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ォッッ!!』シュバァッ!


 ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュ――――ンッ!!!


京太郎「うあっ!?」
照「くっ!」
怜「ちぃっ!」


十本もの矢が空中を埋め尽くすように飛び、一度に京太郎たちに襲い掛かるッ!


京太郎「く…!」キンキンキィンッ!

怜(ちぃ…! あんま体力使いたぁないんやけどな… ここはしゃあない! “ダブル”!!)キイィーン…サッサッサッ!


京太郎はその聖剣で矢を打ち払い… 怜は未来視の能力を発動、矢の軌道を読んで避ける…

だが…!


 ジャキィッ! シュバァッ! ヒュヒュヒュヒュヒュヒュ――ンッ!


魔神バルバトスが、すかさず第二撃の矢束をつがえ、再び矢の雨が降ってきた…!


京太郎(く…! ま、またかよ?!)キンキンキィーンッ!

怜(あ…? こ、これ、あかん!!)


いくら予知の目で軌道を読んでも、いつまでも避けきれるものではない…!

怜がその時見た“未来”は、脳天にずぶりと矢を突き立てた自分の姿だった。


怜(うあああぁっ!? しまった! お、終わりや…!)ギュッ!


 ズグムッ!


城内に、冷たい金属が肉にメリ込む音が響いた…


怜「…? う・・・あ・・・?」パチィ…


思わず目をつぶった怜が、おそるおそる目を開くと、そこには・・・


京太郎「と、怜さん… だ、大丈夫っすか…?」ポタポタ…【-160】(HP1356→1196)

怜「きょ、京太郎!?」


なんと、京太郎が、怜の脳天に刺さるはずだった矢を、左手のひらで受けていたのである…!


怜(!? う、うちが見た“確定未来”に、割り込んできた…? きょ、京太郎、凄いやんか…!)

京太郎「だいじょぶっすか? ケガないっすか怜さん…?」

怜「だ、大丈夫や… 京太郎こそ、その手、平気なんか?」

京太郎「なぁーに俺は丈夫しか取り柄ないっすからね! これくらい全然・・・イテテ・・・w」ズボッ!

怜「……」


怜「すまんな、うちのために… あれ…?」フラ…

京太郎「! 怜さん!?」ガシッ!


ふらついて倒れそうになった怜の体を、京太郎が支える。


京太郎「ほ、本当に大丈夫っすか? どこかケガでも…」ギュッ…

怜「ち、違う! ちょい貧血でふらついただけや!///」【-160】(HP681→521)


怜「い、いつまでも支えとらんでも大丈夫や!/// 放さんかい!///」

京太郎「はいはい…」パッ

怜(…なんや京太郎… 痩せとるけど、けっこうええ筋肉しとるんやな…///)ドキドキ…

京太郎「あ、そういえばテルさんは・・・ほあっ!?」


照「………」ドォーンッ…


京太郎「な、なんすかそれ? テルさん…??」


照は、いつの間にか畳のように巨大な“堅焼きせんべい”を召喚して、それを盾にして身を守っていた…


照「すごいでしょ。 イセ名物の極堅焼きせんべい… これ、歯じゃ割れないから、トンカチで叩いて食べるんだよ」テルテル


良子「戦闘中にラブコメにコントですか…? いい御身分ですね…」ユラァ…

良子「バルバトス! かかれっ! 殲滅するのです!!」

バルバトス『ヴオ゙オ゙オ゙オ゙ォーッ!!』ジャキィッ! シュバァッ!


 ヒュヒュヒュヒュヒュヒュ――――ンッ!!!


京太郎「くっそ! またかよ!」

照「二人とも私の後ろに…」スッ

京太郎「テルさん?」


京太郎と怜をかばうように矢面に出た照が・・・左腕を前に出し、右腕を大きく引く、“あの姿勢”をとった。


照「魔神だかなんだか知らないけど、いつまでも・・・」

照「調子に乗るなっ! “ドラゴン・コークスクリュー”ウウゥ―――ッッ!!!」ブワアァッ!!


 ゴオオオオオォォ―――ッ!!  バチバチバチバチイイィッッ!!


良子「Oh!?」

バルバトス『グオ゙オ゙ォッ?!』=3


邪淫城の戦いで見せた照の必殺技“ドラゴン・コークスクリュー”…!

その、猛烈に回転して突進する竜の腕は、矢を全て叩き落とし… その爪はバルバトスの肩に強烈な一撃を見舞っていた。【-134】(HP808→674)


京太郎「よっしゃ! さすがテルさん!」

怜「相変わらずえらい破壊力やな…」


良子「今のは… 古代竜のアームだけを召喚した…?」

良子「フフ…w なかなか味なマネをしますね… 面白い…!w」ゴゴォ…

良子「グッドです! さあぁ皆さん、もっとエキサイティングなダンスにしていきましょう!!w」カッ!


☆コンマバトル四回目! 対戦カード「三尋木咏VS憧&憩」「戒能良子VS怜&照&京太郎」 ※2バトル同時進行

※もし戦闘不能になった場合は、それ以降のそのキャラのコンマは無効となる。

・コンマ以下数 ()内は現時点の各戦闘レベル (良子は160、咏は180)
01~20→憩   (48)
21~40→憧   (55)
41~60→怜   (45)
61~80→照   (67)
81~00→京太郎 (62)

※各数域の、「偶数」ならば攻撃(各戦闘値×2)が出来る。 ただし「奇数」ならば、逆に相手から攻撃が来る。

※また、それぞれの勇者チームは、「合計攻撃回数」が5以上になった時、憧&憩の方は憧の「超詠唱古代魔法」が炸裂、怜&照&京の方は京太郎の「全体バフ」が発動される。(発動されれば、それ以降のコンマに影響する場合もある)

※コンマレスの受け付けは明日朝7:00まで。日付が変わってからの連投(二回目)は可。


<現時点の各HP(0以下になれば戦闘不能)>
荒川憩   1021
新子憧    216
園城寺怜   521
宮永照    891
須賀京太郎 1196

戒能良子   674
三尋木咏  1574

>>289一部訂正

×怜がその時見た“未来”は、脳天にずぶりと矢を突き立てた自分の姿だった。

○怜がその時見た“未来”は、眉間にずぶりと矢を突き立てた自分の姿だった。


頭頂部に矢が立っとったらギャグやw

コンマ 25、23、53、81
・攻撃→ 無し
・ダメージ→ 憧2・怜1・京太郎1

※ここまでの各チームの「合計攻撃回数」→憧&憩は4回、怜&照&京も4回(共にギリギリで古代魔法も全体バフも発動せず)


“良子「クク…w 咏さん、どうやらコンマのゴッドは私たちの味方のようですね…w」”

“咏「そうみたいだねぃ♪ ま、知らんけど!」”


四天王強し、憧轟沈…!

ーーーーー

~魔王城中層部亜空間~


憩「憧ちゃん! 立つんやぁ! 立ってもう一回魔法を撃つんや!!」

憧「………」グッタリ…

憩「憧ちゃん! 立てえぇ―――っ!!!」


古代魔法の詠唱中に攻撃され、ばったりと倒れ伏した憧…

が――


憧「…大丈夫よ、憩さん…!」ムクゥ…

憩「!!」

咏「お?」

憧「そんな、でっかい声で叫ばなくたって… 聞こえるって…」ヨロォ…

憩「あ、憧ちゃん…!」ウルウル

咏「……」


咏「ふん… 見た目によらず意外とタフだねぃ。 そのまま寝てりゃいいもんを…」

憧「ふふ…w だ、だってさぁ… 寝てたら、あんたが倒れるところが、見れないじゃん…?」ハアハア…

咏「私を倒す? ハッ!w 何言ってんだ? 打ち所が悪かったのか?w」

憧「あ、あたしは正常よ… 古代魔法さえ発動させれば、あんたみたいなバケモノだって、倒すことができる…!」

咏「アホか!! 古代魔法なんて詠唱に時間のかかるヤツ、もう発動させるわけねーだろがっ!」


憩(せや… 詠唱を途中で中断されたことで、古代魔法はキャンセルされて、せっかく育てた魔法陣も消えてまった…)

憩(発動するには、もう一回、イチからやり直すしかない。 でも… 気づかれてしまった今、もう一分間もアイツを引きつけることは不可能や…!)


だが… それでも、大賢者憧は不敵に笑った。


憧「ギリギリで、間に合って、良かったよ・・・」ハアハアハア…

咏「は…? 何を一体…?」

憧「死ぬのよあんたは…! この私の魔法で死ねるなんて、光栄に思いなさいよね!」カッ


憩(?? な、なんや? 何を言ってるんや憧ちゃんは… ただのトラッシュトークやない…? あっ!?)

咏「うぉっ!?」


二人は、その時になって初めて気がついた。

上…! 上空に、巨大な魔法陣が浮いていることに!


咏「な、なあぁ…??」

憩(! そ、そうか! 憧ちゃんの魔法陣は消えてしまったんやない…! 完成して、魔法を発動させるために上に移動してたんや!!)

憩(ぎりぎりで詠唱が間に合ったんや…! やったで! これでコイツに勝つことができるっ!!)


憧「古代魔法発動・・・・・!!」ゴゴゴゴゴゴオオオォ・・・!!

憧「喰らえっ!! “神罰の矢”!!!」バァッ!!

咏「!?」


 パアアアァ――ッ!!!


その瞬間、上空の魔法陣が目も眩まんばかりに光り輝き、辺り一面が真っ白になった。


だが!!


咏「くぁ…! た、立てよ獄炎の柱ァ! “ギルディアンヘルファイヤー”アアァ――ッ!!」バアァッ!


 ゴオオオオオオオオォォッ!! パリイイイィィ――ンッ・・・!!


憧「え!?」

憩「あ!?」


咏が召喚した、まるでバベルの塔の如き巨大な火柱により、憧の魔法陣は粉々に砕け散った。


憧(そ、そんな、発動直前に壊れ…!)


そして―――


 ズウウゥンッ!!


憧・憩「「!!??」」


真っ白だった世界は一転、真っ黒い、漆黒の闇に包まれた。


憧「こ、これは…?」

憩「な、なんや? 急に夜に…?」キョロキョロ


まるで墨でも流したように真っ黒になってしまった空…


咏「ふん… 夜じゃねーよ! よく見てみろっ!」スウゥ…


漆黒の世界の中、紅のオーラに包まれた咏の身体がふわりと浮く…


憧「え…? うっ!?」

憩「!! こ、これって・・・!」


 ゴオオオオオォォ……!!  メラメラメラメラァ…!!


その黒い空は… よく見ると、何かうねうねと蠢いていたのだ…!


憧「こ、これ・・・“黒い炎”!??」


そう、空全体を、咏の出した地獄の黒炎が覆っていたのである。


憧「バカな…? な、なんなのよコレ…??」ガタガタ

憩「こ、こんなん、一人の術者が扱えるレベルとちゃうで…!」ガクブル


咏「ったく、焦ったぜ… 人間ごときがこの私に、まさかコレまで出させるとはねぃ…!」ズモモモォ…

咏「お祈りは済んだかい…? これで終わりだッ!」カッ

咏「唸れ魔界の黒炎よ…! 終焉の炎!! “カタストロフィ・フレイヤ”アアァ―――ッ!!」ブワアァッ!


憧「あ・・・!」


真っ黒な“空”全体が崩れるように・・・憧たちの上に降ってきた。


 ドドドドドドドドドドドドドドオオオオオオォォ――――ッッッ!!!


憧「ああっ!?」=3

憩「ぐううぅっ!」=3


咏「さあぁどうだい?w 私の奥義の味は・・・ん?」


憩「くっうぅ…!」ググゥ…!


メラメラと燃え盛る黒い炎の中、立ち上がった憩…


憩(め、メタン菌のバリアーで、なんとか耐えられたで… 広範囲な分、威力はそこまででもなかったみたいやな…)ハアハア

憩(あ、でも、憧ちゃんは…?)チラッ


憧「・・・・・」プスプスプスプスウゥ……【-180】(H216→36)


憩「あ、憧ちゃん…!」


咏「ナースちゃんだけ生き残ったかい。 ほんじゃまあ・・・」

咏「一気にトドメ刺してやるよッ!」バァッ!!


四天王最強三尋木咏! またもや、その恐るべき魔扇を振り上げる…!


咏「地獄の業火!! “カイザーフレイム”ゥッ!!!」


 ゴオオオオオオオオオオオォォ―――ッッ!!!


憩「ひぃ!?」


迫りくる猛烈なる炎の竜巻ッ!


憩(あ、あかん、もうダメや…!)

憩(ごめんみんな…! ここでお別れや!!)ギュウゥ…!


観念して憩が目をつぶった、その時だった――





憧「出でよ光の盾ェ!! “ライトウォール”ウゥッ!!」バァッ!

憩「!?」


 バリバリィッ! バチバチバチバチイィ――ッ!!


憩「あ、憧ちゃん!!」

憧「んっ、ぐぎぃっ! ぐぎぎぎいいぃ・・・!!」バリバリィ…


満身創痍ながらも、最後の力を振り絞って憩を守る憧…!


憧「あっ、ぎいぃっ! がっあ・・・!」ブシッ、ブシュゥッ!


その、光の盾を展開する憧の両手があちこち裂け、真っ赤な血が噴き出す…!


憩(あ…あかん! んな無茶したら死んでまう!! 憧ちゃん!!)


咏「へえ、やるねぃ…! でもその体で、私のカイザーフレイムを最後まで防ぎきれっかねぃ…?w」


 ゴオオオオオオオオオォォ――――ッ!!・・・・・


憧(か、神様、お願い…! あと、少しだけ、私に、力を―――!)

憧「うああああああああああああああああぁぁぁ―――――――!!!」ブォンッ!!

憩「憧ちゃんっ!!」


ドドオォッ! ズオオオオオオォォ――――ンン・・・・・!!!


憧「・・・・・・」ハアッ、ハアッ、ハアッ……

憩「あ、憧、ちゃん・・・?」


渾身の力で咏のカイザーフレイムを消滅させた憧は・・・放心したように立っていた。

そして――


憧「・・・ごめん、逃げ、て・・・ 憩、さん・・・・」バタリ…【-180】(H36→-144)


最後にそう言うと… ゆっくりと、静かに、憧は倒れた。


憩「あ、憧ちゃん…! し、しっかりしてや!!」ユサユサ


軽くゆすってみるが、もう全く、ぴくりともしない。


憩(い、息はある… で、でも、このままやと… ほんまに死んでまうっ!)

咏「さあて…」ユラァ…

憩「!!」

咏「どーするよ? あんた一人になっちまったぜ?w」

憩「……」


憩(このぉ…! よくも憧ちゃんを…!)ギラ…

憩(で、でも… ウチ一人でコイツに勝てる可能性なんか、ほぼ0や…)

憩(く、悔しいけど、ここは・・・)


唇を噛んだ憩は、絞り出すようにソレを言った。


憩「こ、降参や… う、ウチらの、負けや…!」

咏「……」

憩「た、頼むから… 憧ちゃんに、治療をさせてや…」

咏「ふん… ま、私も鬼じゃないからねぃ…w」ニタァ…

咏「あの諜報員の子もいる病室に案内してやんよ。 ついてきな」バッ

憩「!」


咏が扇を開くと、また景色が“めくれる”ように変化し… 亜空間は消え、元の魔王城の通路に戻ってきていた…


憩(く…! い、今は、捕虜の身になってやるけど…)

憩(ウチらはまだ負けとらん…! テルさん、怜ちゃん、京太郎クンの三人がまだ残っとるんや!)

憩(三尋木咏… あとで、必ず… 憧ちゃんの仇をとったるからなっ!)キッ!



※ ×新子憧&荒川憩 VS 三尋木咏○ (決まり手・カイザーフレイム)

各最終HP
憧 -144(戦闘不能)
憩 1021(ギブアップ)

咏 1574

今日はこれだけ、コンマは無いのよー
VS良子の方はまた明日進めていきます


~魔王城地下トイレ前~


良子「フフ…w なかなか味なマネをしますね… 面白い…!w」ゴゴォ…

良子「グッドです! さあぁ皆さん、もっとエキサイティングなダンスにしていきましょう!!w」カッ!


照の超奥義ドラゴンコークスクリューにも、全く臆する様子をみせない戦神・戒能良子…!


京太郎(くっそ、こいつ… 闘いを楽しんでる?)

照(強い… 底が見えない…!)

怜(ちっ…! さっきダブル使うたせいで、まだちょっとふらふらすんで…)

怜(でも、テルと京太郎の二人が頑張っとるのに、うちだけガチで観戦決め込むっちゅーわけにもいかへんしなぁ…)

怜(何か、ラクに攻撃できる技は・・・あっ、そや!)ピコーン

怜(うちも、能力付与の神から新能力をもらっとったんや! そう…“相手を、自分を献身的に看病させたくなるようにマインドコントロールできる”能力を…!)

怜(クク…w 新能力、いつ使うの? 今でしょ!!w …って、ちょっと古いか…)


怜(とにかくちょうどええわ。 戒能に幻術をかけて、強制的にうちにヒザマクラをさせる…)

怜(そうすれば当然スキだらけになるんやから、あとは残りの二人がなんとかしてくれるやろ)

怜(ほな、イクでぇ…! 覚悟しいや戒能良子! そのフトモモもらったで!w)ギンッ! ジイイィー…!


良子「…ん?」


怜の瞳が緑色に光り、強烈な眼光が良子を射抜く…!

だが…


 モヤモヤモヤァ~~…


怜(…ん? な、なんやこりゃ?)


 モヤモヤモヤモヤアアァ~~~…


怜(な、なんや? 霧みたいなモンが出てきて、うまく幻術をかけられ… んん!?)


よく見ると… 良子の背後に、何か、古代のシャーマンのような恰好の魔人がおり、その魔人が持つ鏡から霧が湧き出ているようだった。


怜(? 誰やあのアバンギャルドなおっさんは… アレも戒能の魔神か?)


良子(クク…w 愚かな! この私に幻術をかけようなどと…w)ククク…

良子(私は、テスカトリポカの常時エフェクトにより、その手の攻撃を受けることはありません!)

良子(古代アステカの邪神である“テスカトリポカ”の名は、ナワトル語で「煙を吐く鏡」という意味…)

良子(彼が持つ鏡から放出される煙幕は、どのようなオカルティックなパワーをも無効化することができるのです)

良子(フフ…w 逆にユーを地獄に落としてあげますよ… 幻術とは、こうやるのですッ!)ギンッ!!


怜(お、おお、おぉ…? な、なんやあぁ・・・??)フラフラァ…


良子のその紫紺の瞳に見つめられた怜は、逆に、幻想の世界へと誘われていった・・・


ーーーーーー
ーーーー
ーー


怜「・・・おっ!?」パチッ!

怜「こ、ここは・・・?」キョロキョロ

怜「なんやここ、学校やんか。 いつの間に…?」


怜が目覚めた場所は、彼女の母校… センリヤーマ魔法学校だった。

その敷地のベンチに腰掛けていたのである。


怜「なんで学校に… 夢か…?」

怜「いや、夢やあらへん。 リアルや。 ベンチの感触もあるし…」スリスリ

怜「懐かしいなぁ… ようこのベンチで、竜華にヒザマクラさせて寛いだもんや… んっ!?」


 トキー!  タタタタ…


怜「な…? りゅ、竜華??」


竜華「久しぶりやな! 怜! 会いたかったで!」タタタ…

怜「竜華…? なんでここに? あんた、卒業して帝都の魔法大学に行ってたんじゃ…」

竜華「うん、今帰省中なんや♪」

怜「ほー… そりゃまた…」

怜「ほならちょうどええわ。 なあ竜華、久しぶりにヒザマクラしてくれへんか?」ゴロンッ

怜「竜華のむっちむちのフトモモ、ずっと味わいたかったんや…」グフォフォ…


早くもベンチに横になった怜。 だが…


竜華「…あ、あんな、怜、実は、うちな…」モジモジ

怜「ん? なんやはよせんかい。 頭疲れるわ」

竜華「ヒザマクラは… もう、遠慮したいんや」

怜「は?! なんでや!??」ガバッ


怜「なな、なななな、なんでや…? なんでいきなり、そんなこと言うんや!?」

竜華「うち、卒業してからも、怜と遠距離恋愛続けてきたけど…」

竜華「今日で終わりにしたいんや。 もう、普通の友達に戻りたいんや…」

怜「は・・・??」


もはや、竜華の言葉の解釈に、怜の脳がついていかない。


怜「なな、なななっ、ナンデ…? ナンデナノ??」

竜華「実はな、うち… 怜よりも、好きな人ができてまったんや///」テレッ

怜「なんやとぉぉっ!!!」=3


怜「ど、どこの馬の骨やソイツは…! どんな女や? あ、も、もしかして… セーラか? セーラなんか??」

竜華「ううん、違う、女の子やない… かっこいい男の子やで♪」

怜「は!?? オトコ・・・???」ナニソレ

竜華「うん! 実は怜に紹介したくて、今日ここに連れてきたんや。 須賀くん! 出てきてええでぇー!」

怜(は? スガ・・・?)


竜華が呼ぶと、校舎の陰から、金髪の長身の男が現れた。


京太郎「初めまして、須賀京太郎といいます。 竜華さんとお付き合いさせてもらってます…」

怜「な、なにぃ! 京太郎! お前、いつの間にうちの竜華を…!」=3


竜華「? なんや? 二人って知り合いなん?」

京太郎「いや、別に… こんなコケシみたいな人、知らねーよ俺?」

怜「はい? こ、コケシ・・・??」

京太郎「それより竜華、早く行こーぜ? デートの時間が減っちまうよ」グイッ

竜華「あ、ちょ、慌てんで京太郎…///」

京太郎「クク…w 今日もこのカラダ、かわいがってやるからさぁ…!」モニュッ!

竜華「あ、あん/// きょ、京太郎、外ではやめてや・・・///」








怜「」ブチッ


ーーーーーー
ーーーー
ーー


怜「おんどりゃああああああああぁぁぁ京太郎キサマァ!! よくもうちの竜華をオオォッ!!!」グイッ!!

京太郎「ぐっ! はびぃっ!? な、なんすか?! 怜、さん…!」ウゴゴォ…!


両手で京太郎のムナグラを持ち上げる怜。

その目からは血涙が流れ出ていた… 【-160】(HP521→361)  ※精神ダメージ


照「ちょっ? 園城寺さんどうしたの? やめてあげて…」オロオロ

怜「じゃかましゃああぁっ!! 京太郎キサマァ! ミンチにしてお好み焼きの具にしたんぞゴルゥアアアァッ!!!」ギュウゥッ…!

京太郎「うっ! おっげえぇ…!!」ギリギリ…【-160】(HP1196→1036)


良子(フフ…w かけた相手に精神的ダメージを与えると共に、操って仲間を攻撃させる…!)

良子(効果的な幻術とはこうやるのですよ…!)ククククク…w


怜「死ねええええぇ京太郎オオォッ!!」ギリギリギリ…

京太郎「が・・・っはぁ・・・!」ブクブク…


両手で首を絞め上げられた京太郎の口から、泡が噴き出てきた。


京太郎(や、やべえ、意識が朦朧としてきた…! ま、マジで、死ぬ…!)

京太郎(く… くそっ! な、なんでこんなことに・・・ ん?)


“『京太郎よ… 聞こえるか…?』”


京太郎(……なんだ…? この声? 幻聴??)


突然、京太郎の脳内に響いた、厳かで神秘的な声…!


“?『京太郎よ! しっかりしろ! 我が声が聞こえるか?』”

京太郎(な…? だ、誰なんだ? 俺の頭に直接話しかけてる…?)

“?『フフ… まさか私を忘れたわけではあるまいな? 京太郎よ…!』スゥー…”

京太郎「!? なぁ? あ、あなたは・・・!」


そのとき、京太郎の前に現れたのは・・・!


☆コンマバトル五回目! 対戦カード「戒能良子VS怜&照&京太郎」 (「咏VS憧&憩」は決着)

※あと一回偶数が出て「全体バフ」が発動された場合、それ以降のコンマの攻撃は、「全体バフを発動した偶数コンマの下一桁」倍の攻撃になる。
 例えば、16というコンマが出た場合、それ以降の攻撃はこれまでの6倍となり、例えば照の攻撃なら一発で「67×2×6=804」となる。 0は10倍扱い。

・コンマ以下数 ()内は現時点の各戦闘レベル (良子は160)
01~33→怜   (45)
34~66→照   (67)
67~00→京太郎 (62)

※各数域の、「偶数」ならば攻撃(各戦闘値×2)が出来る。 ただし「奇数」ならば、逆に相手から攻撃が来る。

※「合計攻撃回数」が5以上になった時、京太郎の「全体バフ」が発動される。

※コンマレスの受け付けは明日朝7:00まで。日付が変わってからの連投(二回目)は可。


<現時点の各HP(0以下になれば戦闘不能)>
園城寺怜   521
宮永照    891
須賀京太郎 1196

戒能良子   674

コンマ 54、87、54、24、49  
・攻撃(54、54、24)→ 照2・怜1
・ダメージ(87、49)→ 京太郎1・照1

※「合計攻撃回数」が5以上になったため、京太郎の「全体バフ」発動! 発動コンマが54なので、下一桁は4。 よって怜・照・京太郎全員の戦闘レベルが4倍にアップ。

ーーーーー


“?『京太郎よ! しっかりしろ! 我が声が聞こえるか?』”

京太郎(な…? だ、誰なんだ? 俺の頭に直接話しかけてる…?) ウムム…!


怜に首を絞められ、意識が朦朧とする中…

突然、京太郎の脳内に響いた、厳かで神秘的な声!


“?『フフ… まさか私を忘れたわけではあるまいな? 京太郎よ…!』スゥー…”

京太郎「!? なぁ? あ、あなたは・・・!」


そのとき、京太郎の前に現れたのは・・・!


?『フフフフ…w 京太郎、久しぶりだな!』ドォーン…

京太郎「・・・・? え、誰、アンタ??」

前スレの448『私は、“前スレの448”という者…! 貴様に新しき能力を与えた、この世界の神の一人だッ!』

京太郎「は? ま、マエスレノ448??」


前スレの448『そうだ! 京太郎よ… 私がお前に授けた新能力を忘れたのか?』

京太郎(あ… そういえばそんなのあったな… 確か…)

前スレの448『“全体バフ”だっ! 今こそ、その能力を使う時だろうっ!』

京太郎「…!」

怜「…? なんや京太郎、お前誰と話しとるんや。 うちを見んかい!」グイッ!

京太郎「ぐっ! がっふぅ…?!」=3


良子「さあ… 仲間割れしてるところ申し訳ないですが、そろそろ攻撃させてもらいますよ…! GOッ! バルバトス!!」

バルバトス『オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ォッ!!』ジャキッ! バシュウウゥッ!!


 ヒュヒュヒュヒュヒュウウウゥ――――ンッ!!


京太郎「あ…!」


またもや、魔神バルバトスの無数の矢の連射が降り注いできた。


照「く…! こ、古代竜召喚! “ドラゴン・コークスクリュー”ゥ――ッ!!」ブワアァッ!!


 ゴオオオオオォォ―――ッ!!  バチバチバチバチイイィッッ!!


バルバトス『グオ゙ォッ!!』ザシュッ!=3 【-134】(HP674→540)


照の繰り出した竜の腕は、矢のほとんど全てを打ち払い、魔神の脇腹を切り裂いていたが…


京太郎「うっ? あっつぅ…!」【-160】(HP1196→1036)


流れ矢が一本、怜にムナグラをつかまれて無防備な京太郎の肩口に刺さっていた。


照「あ… きょ、京太郎大丈夫? あっ!!」ザシュッ!【-160】(HP891→731)

照「くっ、このぉ…!」サササッ


いつの間にか後ろに回り込んでいたバルバトスの蛮刀の一撃…!

その切っ先が照の背中をかすり、鮮血が噴き出す。


京太郎「て、照さん!?」

良子「クク…w 魔神たちは、生半可な攻撃ではいくらでもそのボディは再生されます」

良子「それにバルバトスの武器は矢だけではありません。 彼女はあらゆる武器に精通したウェポンマスター…!」

良子「魔神の百技繚乱におののきなさいっ!」カッ


バルバトス『オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙ォ……!!』ゴゴゴゴゴオオォ…!


京太郎(くっそ…! このままじゃ全員ヤラれるぞ…?)


京太郎「怜さん! いい加減話して下さいよ! 今戦闘中ですよ?!」=3

怜「ん…? お、おお…」パッ

京太郎「……」ハーハーハー…

怜(…? そういえば、竜華はどこや…? って、ここ、学校やないやん)キョロキョロ

怜(せや、うち、魔王城で魔神たちと闘っとるんやったな… そうや!)

怜(戒能良子や! アイツに見つめられた途端、頭がぼーっとして… つまり、うちが逆に幻術にかけられとったわけや)

怜(竜華が京太郎になびいたっちゅうのも、夢だったわけやな…)ホッ

怜「京太郎、すまんかったな… うち勘違いして……ん!?」


京太郎「・・・クククククク・・・・!!ww」ズモモモモモオオオオォォ……!


胸元をおさえ、苦しそうにしゃがみこんでいた京太郎の体から… 禍々しき黒いオーラが噴き出す…!

と同時に、京太郎の肩口に刺さっていた矢が、どろどろと飴のように融けて蒸発していった…


怜「きょ、京太郎、お前・・・??」


遂に禁断の秘術“全体バフ”が発動されようとしていた…!


京太郎「・・・・・」ゴゴゴゴゴゴオオオォ…!!

良子(ん…? 少年の雰囲気が… これは一体…?)

京太郎「デビルマスター戒能良子よ…! ここまでだ! 貴様に“敗北”という名の甘美な烙印をプレゼントしてやろう…!」ザザザアアァ…!

良子「なっ!?」


立ち上がった京太郎の双眸は、妖しげな紫色の光を宿し… その中央には不死鳥のシンボルが浮かんでいた。


京太郎「キョウタロー・ヴィ・スガタニアが命じる…!」

京太郎「森羅万象、万物の精霊たちよ…! 我らを崇め奉り、祝福せよ!!」カッ!


 ピカアアアアァァ―――――ッ!!!


良子「Oh!?」


怜「お、おおおぉ? これは…?」ピカアァーッ…

照「え、何これ…」ピカアァーッ…

京太郎「ククク…!w」ピカアァーッ…


京太郎の厨二病的台詞と同時に、三人の体が目も眩まんばかりに光り輝き始めた…!

そして、その光が収まると…


良子「!? じ、ジーザス…!!」


京太郎「・・・・・」ゴゴゴオォ…(戦闘レベル62→248)

怜「・・・・・」ズモモモモオォ…(戦闘レベル45→180)

照「・・・・・」ドドドドオオォ…(戦闘レベル67→268)


良子(せ、戦闘レベルが、全員四倍に…?? い、一体、何が…!)ガタガタガタ…


照「な、何これ… 凄いっ! 体中から力がみなぎってくる…!」コオオオォ…

怜「なんやこの身体の軽さは… こんなに調子ええの、生まれて初めてやっ!」ピョンピョン

京太郎「クク…w 貴様たちには、俺が禁断の秘術を施したのだ。 ありがたく思うが良いッ!w」

怜「? なんや京太郎そのキャラは。 ナメとるんか?」ギラッ

京太郎「あ、いや… の、能力発動の為に、ちょっと、厨二病的キャラを…」スンマセン


京太郎「テルさん、俺の新能力“全体バフ”を発動しました! 今がチャンスですよっ!!」

照「分かった! まかせてっ!!」バッ!シュンッ!!

良子「!?」


今までの四倍の速さで… アッという間にテルが魔神との間合いを詰めるっ!


照「喰らえっ! ターボ・コークスクリュー・・・“四倍”ッ!!」ブォンッ!


 ズッゴオオオオオオオオオオオオオオオオォォォ―――――ン・・・・・!!!


バルバトス『ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ―――ッッ!??』=3=3


良子「・・・ガッデム!!」


至近距離で放たれたソレは… 魔神バルバトスを一瞬で消滅させ、その衝撃の余波は、魔王城の壁を幾層も貫き通していた…【-536】(HP540→4)


良子(ば、バカな…? 魔神バルバトスは地獄でも1、2位を争うほどの戦闘力とタフネスを誇る“破壊と殺戮の化身”…!)

良子(それが… たった一撃で…?)ワナワナ

京太郎「すっげ…! ど、どんなエネルギー波だよ?」アリエネエw

良子(く…! こ、これは、さすがに分が悪い… いったん退却して態勢を…!)サササッ!


超スビードでその場を離脱しようとした良子… だが!


 ヒュンッ、ガシィッ!!


良子「なっ! え…?」

怜「どこ行くんや? トイレならそっちじゃないで?」ゴゴゴオオオォ…


それよりも速く動いた怜が、ガッチリと良子の右手首をつかんでいた。


良子「こ、このっ! 放しなさいっ! り、リリース!!」グイグイ

良子(くぅ…? そ、そういえば、あの諜報員の少女に右肘をブレイクされかけていたのでした… 力が入りませんっ!)

怜「さっきは、よくもうちにナメたマネしくさってくれよったなぁ… 覚悟はええか?」ハー…


もう一方の手で拳を作り、息を吹き掛ける怜…


良子「……」ガタガタ

怜「東横の仇や! くらえっ!!」ブォンッ!!


ドッゴオオォォムウゥッッ!!


良子「Ouch!??」=3-3【-360】(HP4→-356)


スーパーカンサイ人と化した怜のバックブローは、良子の顔面に深々とメリ込んでいた…


良子「・・・・・・」


吹っ飛ばされて壁に激突し、その場に崩れ落ちた良子は… 仰向けに倒れたまま、虚ろな目で天井を睨んでいた。


良子(…ま、まさか… この私が、人間に敗れるとは……)

良子(フ…w どうやら… 井の中のフロッグは、私自身だったようですね…w)ガクゥ…


照「…倒した…?」

怜「ふん、終わりやな…w」

京太郎「ぃよっしゃ! 四天王の一人を倒したぞっ!!」


勝負あり…!

不沈艦・デビルマスター戒能良子、遂に撃沈!!



※ ○園城寺怜&宮永照&京太郎 VS 戒能良子× (決まり手・全体バフ&バックブロー)

各最終HP
園城寺怜   521
宮永照    731
須賀京太郎 1036

戒能良子  -356(戦闘不能)


※勝利したので、攻撃回数の分だけ各戦闘レベルアップ

怜(45→46)
照(67→72)
京太郎(62→63)

今日はここまで、コンマは無いですわ
また明日

乙あざす
ほなまたーり進めていきます

>>334一部訂正
×いい加減話して下さいよ! 

○いい加減放して下さいよ!


京太郎「ぃよっしゃ! 四天王の一人を倒したぞっ!!」


良子「・・・・・」グッタリ


遂に決着!

京太郎の秘技“全体バフ”発動により、戦神・戒能良子を見事打ち破った三人…!


京太郎「う…!」ズキッ

怜「ん? どうした京太郎」

京太郎「あ、いや… 安心したら、なんか急に体が痛く…」ズキズキ


神経が軋むような痛みが全身を走る…

京太郎は特に、怜を守った時の手の矢傷は早急に治療する必要がありそうだった。


照「私も斬られた背中が痛い… 早く憩に治療してもらいたい」

京太郎「あ、そういえば… そろそろ、待ち合わせの時間じゃないですか?」


T字路で憧たちと分かれた京太郎たちだったが、一時間後に同じ場所で落ち合う約束をしていた。

もう、その時間が迫ってきている…


怜「せやな、戻らないかん。 でもその前に……」チラッ

怜「戒能! 約束やで。 東横のおる場所を教えてもらえるんやろな?」

良子「オフコース… 約束ですからね、地図を書いて場所を教えましょう…」サラサラ…


モモのいる部屋までの地図をもらい、京太郎たち三人はまずは憧たちと合流するべく、件のT字路へ向かった…

そう… 三人には、憧と憩は四天王三尋木咏に惨敗し、捕虜となっていることなど、知る由もなかったのである。


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー


憧「う・・・?」パチッ

憧「・・・あ・・・ こ、ここ、は・・・?」


ベッドの上の憧が目覚め、最初に目に映ったのは… 見知らぬ部屋の白い天井だった。

そして…


憩「あ、憧ちゃん! 気がついたようやな!」

桃子「良かったっす…!」

憧「憩さん… も、モモ!?」

憧「よ、良かった、モモ、無事だったのね・・・! うっ!」ズキッ

桃子「あ、憧ちゃん、無理に動かない方がいいっすよ!」

憩「せや。 治療はしたけど、憧ちゃんはかなりの重症やったからな… 落ち着くまでまだ休んどった方がええで」

憧「・・・・」


憧「ここは… モモのいた、あの映像で見た病室?」

憩「そやで、三尋木が連れてきてくれたんや」

憧「あ… そ、そうか、私… あいつに、負けて…」

憩「うん… ウチは憧ちゃんが倒れたあとで、降参したんや… つまりウチらは今、魔族たちの捕虜としてここに収監されとるんや」

憧「捕虜…」

憩「モモちゃん助けに突入したのに、ウチらまで捕虜になってまったわけやなーぁ… ミイラ取りがミイラに、ってヤツやw」タハハ…

桃子「それはちょっと意味違うんじゃないっすか?」


モモは、左腕こそまだギプスをつけていたが、自力で歩けるまでに回復していた。

しかし、咏の炎を何度も喰らい、甚大なダメージを受けた憧は、まだ休養の必要がありそうだった…


憧「憩さん… そういえば、時間は?」

憩「え?」

憧「分かれた京太郎たちと会う時間…」

憩「あ… そういえばそやな…」

憩「待ち合わせの時間から、もう10分くらい過ぎてしまっとるわ」チラッ

憧「え…? じゃあ…今頃、あのT字路で、京太郎たち、待ってるかもしれないよね…」

憧「なんとか、ここから、脱出できないの…?」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


同時刻… 魔王城内??


照「う、ううぅ… ここ、どこ…?」ヨロヨロ

怜「うちが聞きたいわ!」


件のT字路に、照と怜は到着してはいなかった。

そう… 王女テルがその超絶方向オンチを発動してしまい、京太郎ともはぐれてしまっていたのだ…


怜(ったく… うちとしたことが、ぬかったわ…)チッ

怜(ダブル使うてよう回らん頭でぼーっとしとったせいで、うちまでコイツについて迷ってまった!)

怜(それにしてもほんま魔王城内は迷路や… 一度迷ったら、もう元の場所に戻るんはほとんど不可能やで…)

怜(京太郎ともはぐれてまったし、うちもテルも疲弊しとるし、こんなとこでまた魔族にでも出会ったら、ほんまに厄介・・・ん?)


?「……」ユラァ…


怜(あん? あ、アイツは…?)

照「!? さ、咲? 咲なの?!」


突然、通路の角から現れた、頭に∠のある少女…

それはまさしく、タ・コース王国第二王女、サキ・ミヤナガだった。


照「咲…! よ、よく無事で…!!」タタタタタ…

咲「お姉ちゃん… 来てくれたんだ…」


すかさず駆け寄る照…


照「よ、良かった…! あ、だ、大丈夫? どこもケガとかしてないよね?」サスサススリスリ

咲「う、うん、大丈夫だよ、お姉ちゃん…///」


怜(い、いや、ちょい待ちぃ! おかしいやろ?なんで囚われの身のサキ王女がこんなとこでフラフラしとんねん?)


照「咲…! ほ、ほんとに無事で良かった…!」ギュウウゥ…

咲「お姉ちゃん…///」


怜(…? ほんまに本物なんか? まあ、一人で牢から脱出してきたって可能性もなくはな・・・ん?!)


咲「・・・・・」ザワザワザワァ…


怜(へっ!? あ、アレは・・・?!)


怜は目を疑った。

照に抱き締められている咲の、その頭から… 魔族特有のあの禍々しい角が、にょきにょきと生えてきたのだ…!


怜「あ、あかん! ソイツから離れるんやテルゥッ!!」


照「…え?」

咲「ふふw、もう遅いよ…w」ユラァ…


咲「 カ ン 」ドゴムッ!


照「かっ!? はぁ・・・!?」バタ…


咲の拳は照のみぞおちあたりの嶺上秘孔を正確にツモり… 照は、糸の切れた人形のようにその場に倒れていた。


怜(ちぃ…! な、なんやもう! まーた厄介なことになってきたで…!)

今日はこれだけ
明日は休みで、次はまた明後日の夜から進めていきます

ーーーーー

魔王城中層部・病室(牢)


憧「なんとか、ここから、脱出できないの…?」


ベッドから身を起こした憧…

満身創痍でもはや戦力にはならないかもしれないが、せめて自力で脱出して、仲間たちと合流できれば…!


桃子「いや… それはちょっと難しいと思うっす」

憧「? どうして? モモは超一級の諜報員でしょ。 これくらいの牢を破るくらい、できないの?」

桃子「私も、ケガで左腕が言う事きかないし…」

桃子「魔族もバカじゃないっす。 スパイアイテムとか、持ち物は全部没収されてしまってるんっす」

憧「そっか… でも、アレくらいの扉なら、私の魔法で吹っ飛ばして・・・んっ!?」スカッ

憧「…ま、魔法が、出ない? え、どうして?」


憩「気を失っとった憧ちゃんは気づかなかったやろうけど…」

憩「捕虜になる時に、ウチらはみんなコレをつけられてまったんや」クイッ

憧「?」


憩が、自分の首に手をやる。 そこには、何か首輪のようなものがついていた。


憧「…魔力封じ、マジカルクローズの首輪…」

憩「ウチも、戦闘用の装備は全部没収されてまったし、今のウチらはみんなタダの女の子っちゅーことやなーぁ…」

憧「………」


魔力封じの首輪は、自力で外すことはほぼ不可能… そこに魔力を送り込んでいる大元を叩かなくては、解除できない。


憧「うーん悔しいなあ… じゃあ、京太郎たちが私たちを見つけて、助け出してくれるのを祈って待つしかないってわけ?」

桃子「そうっすね… 針金の一本でもあれば、アレくらいの扉の鍵、開けられるかもしれないっすけど…」

憩「モモちゃん、ほんまに針金一本でええん?」

桃子「え? うん、多分…」

憩「ほなら… コレでなんとかならんかなーぁ?」スッ

桃子「!」


憩が、ナースキャップの下、髪の毛の中から、小さなメスを一本取り出した。


桃子「す、すごいっす…! よくバレなかったっすね!」

憩「こういうこともあるかと思うてなーぁ、一本だけ隠しとったんや♪」

憧「さっすが憩さん…! モモ、なんとかなりそう?」

桃子「やってみるっす!」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


魔王城内??


照「う、ううぅ…!」ウググ…


みぞおちにカンを受け悶絶する照…!


怜(ちぃ…! な、なんやもう! まーた厄介なことになってきたで…!)


城内で迷い、彷徨っている時に偶然サキ姫を発見した照&怜…

しかし、そのサキは…


咲「・・・・・」ゴゴゴゴゴゴゴオオオォ…


頭には角、背中には禍々しき翼、尻には黒い尻尾…

つまりどう見ても魔族になってしまっていたのだ…!


照「さ、咲… ど、どうして…?」ウウゥ…

怜「どうしてもこうしてもないわ! ニセモンなのか洗脳されとるんか知らんけど…」

怜「攻撃してきた以上、うちらの敵や… うちはテルみたいに甘くはないでっ!」バッ

照「!? お、園城寺さん、ダメ! やめて…!」

怜「喰らえっ! フライングチャクラム!!」ブォンッ!

咲「!!」


照が止めるのも聞かず、怜が投擲した二つの円月輪が真っ直ぐに咲へと飛んでいく…!


咲「ふん… “プラマイゼロ”!!」ブワアアァ!

怜「ほぇ!?」


咲が右手を掲げると、その周辺の空気がぶわっと歪み、怜の円月輪はそこへ吸い込まれるように消えてしまっていた。


咲「ふふ、私の能力“プラマイゼロ”…! この力は、相手のどんな攻撃も無効化し、消し飛ばすことができるんだよぉ…w」ククク…

怜「な、なんやとぉ…?」

咲「魔王様に仇なす人間ども… ゴッ倒す!!」ブンッ!

怜「!?」


咲が、怜との間合いを一気に詰める!


怜(あ…あかん! 未来視で見えとるけど、速過ぎて体がおっつかん!!)

咲「もいっこカン」ドゴムッ

怜「うっ!っごおぉ…!?」バタァ…


照と同じようにみぞおちにカンを喰らった怜は、くの字になって前のめりに倒れていた。


咲「あはははっ!w 弱過ぎるよ人間…w もう少し楽しめると思ったんだけどなぁ…w」ユラァ…

咲「まあいいや。 さっさとラクにしてあげるよ」スゥ…

怜「う…!?」


咲が、その懐から出した格闘用ナイフが鈍く光った。


怜(な…? こ、殺される…?)

怜(なんやなんやどうなっとんねん! サキ姫の救出に来たのに、なんでその姫に殺されなあかんのや…!)


と――、その時だった。


 ビュンッ!  バシィッ!!


咲「ん!?」


照「・・・・・」ゴゴゴゴゴオオォ…


なんとか膝立ちに身を起こした照のコークスクリューが、咲のナイフを吹っ飛ばしていた。


照「咲… なんでそんな風になっちゃったのか、私には分からないけど…」

咲「……」

照「仲間を傷つけるなら、たとえお前でも容赦はしないッ!」キッ

咲「ふぅん…w じゃあ、どうするの? お姉ちゃんに私が倒せるのかな?w」ニタニタ

照「ああ、何年ぶりか分からないけど、やろうじゃないか…!」ズモモォ…

照「姉妹ゲンカを!!」カッ


怜(…? テル、ほんまにガチで闘うつもりか…?)

怜(多分、アレは本物のサキ姫や… きっと、洗脳か何かで感情を奪われ、魔道に堕とされたんや)

怜(洗脳を解いて、人間に戻してあげられればええんやろうけど… どうすれば…?)


※照、どうする…?(最も早く2票入った行動でイキマス)

1、物理的にぶっとばす
2、ナウシカ作戦(無抵抗)
3、スカートの中に頭を突っ込む

3、スカートの中に頭を突っ込む 


咲「ふふ…w お姉ちゃんに私が倒せるのかな?w」ニタニタ

照「ああ、何年ぶりか分からないけど、やろうじゃないか…! 姉妹ゲンカを!!」カッ


咲照「「・・・・・」」ゴゴゴゴゴゴゴゴオオオォ…!!


向かい合う二人の体から、尋常でない量のオーラが湧き出る…!


怜(ふ、二人とも凄い迫力や… これがタ・コース王国王家“ミヤナガ”の血…!)ゴクリ

怜(ど、どうなるんや、この姉妹対決…?)


咲「お姉ちゃん… バトルって楽しいよね! 一緒に楽しもうよ!w」

照「ふ…w 咲、お前は… 小さい頃から人形みたいに可愛くて… わがままも言わないし、本当にいい子だったよね…」

照「どこに行くにも、私のあとをちょこちょこついてきて、愛しくてたまらなかったよ…」

咲「………」

照「でもね、可愛さ余って憎さ百倍…! 私は今、そんな気分だよ!」

照「たとえお前でも、仲間を傷つけるなら、私はいっさい容赦しないッ!」


咲「…ウルサイナァ、いちいち気持ち悪いんだよ! 御託はいいからさ、早くかかってくれば?」

照「言われなくても…!」スゥ…

照「シャッ!!」ババッ!

咲「!!」


身を低くした照が… そのまま、地を這うようにして咲へと突進した。


怜(! なるほど!テルの奴考えよったな…!)

怜(得意のコークスクリューを撃ち込んでも、プラマイゼロの力で消されてまう)

怜(だから、まずはタックルでマウントを取るか、組み技に持っていくつもりや…)

怜(超接近戦なら、プラマイゼロなんか使う猶予もないやろうからなっ!)


だが・・・


照「とりゃっ!」ズボォッ!

咲「ひっ!?///」=3

怜「…ゑ?」


照「………」クンカクンカスーハースーハー…

咲「ひゃ…? く、くすぐったい!///」

怜「な、ナニしとるんやアイツは…??」


タックルに行ったように見えた照だったが… そのまま咲のスカートの中に頭を突っ込み、股間に鼻を押し付けていた…


照「は、はあはあはあ…!/// ひ、久しぶりの咲臭…!/// か、芳しい…カグワシイイイィッ!!」クンカクンカ

咲「ちょっ!やめてよお姉ちゃん!///」=3

照「う、動くんじゃない咲ィ! い、妹の匂いを嗅いで、健康をチェックするのは、全ての姉の務め・・・何より優先すべき義務だッ!!」スーハー…

照「うほおおおおっ!/// 微かに酸っぱい汗の匂いに、ほのかに咲汁が混ざり合って…/// あああ…こ、ここが桃源郷…!///」ポワワアアァン…

咲「私の体臭を実況しないでよ! カン! 嶺上開花ツモォ!!」ドゴムッ

照「たわばっ!??」=3


照「」チーン…

咲「……」ハアハアハア…


怜(あ、あっけなく妹が勝ちよった… てか、テルはほんまナニしとるんや!?)

怜(せっかくここまで苦しい戦いをくぐり抜けてきたのに、最終目的の妹に倒されとったら世話ないわ…)


咲「たく… もうそんなバカなこと、二度と出来なくしてあげるよ! お姉ちゃん!」スゥ…


無防備な照にトドメを刺すべく、腕を振り上げる咲!


怜「ちょ、ちょい待たんかい! う、ウチはまだヤレるで!」ガバッ

咲「…ハァ? そのまま寝てれば見逃してあげたのに… ザコが…!」ギラァ…


対峙する咲&怜…!


咲「アンタ如きが一人で私に勝てると思ってるの…?」ゴゴォ…

怜(ちぃ…! た、確かに、あのプラマイゼロとカンの能力は脅威や… 普通に闘っても勝ち目はあらへん…)

怜(しかも相手はうちらの救出対象であるサキ姫や! 必要以上にダメージを与えるわけにもいかへん…!)

怜(ふぅ… ったく、この奥の手は、魔王戦の時のために温存しときたかったんやけどな… 背に腹は代えられん!!)ギラッ、ゴゴォ…!


怜の髪が逆立ち… その双眸が緑色に光ると共に、額には第三の目のような、輝くシンボルが現れる…!


照「や、やめて、園城寺さん… 咲を傷つけないで…!」ウググゥ…

怜「安心しぃ! ちゃんと手加減はしたるわ!」

怜「イクでぇ… 怜ちゃんパワー全開・・・!」ズモモモオオォ…

咲「…?」

怜「覚悟しいやサキ・ミヤナガ…! 出でよ時空の妖精! “枕神トキ”ィ!!」カッ


 ぼわわわあああぁ~~ん…!


照「な!?」
咲「…ん?」
怜「クク…w!」


空中に現れたのは…

怜を四頭身にして小型化したような、人形のような妖精…!


枕神トキ『まいどぉ~! 宇宙一カワイイトキちゃんの降臨やで! 皆の者ひかえおろぉ~!w』フヨフヨ


満を持して登場…! 時空を操る変幻自在の妖精、怜ちゃんパワーの源・枕神トキ!!


枕神トキ『まったくぅ!うちの出番こぉへんのかと思って焦ったで! で、あのうすらぺったんこな∠をイワしたればえーんかなぁ~?』フヨフヨ

怜「せや、頼んだでトキちゃん!」


咲「ふん… 未来視できようが、助っ人呼ぼうが、私のスピードに追いつけなきゃ意味ないでしょ…」

咲「能力なんか使う前にカンしちゃえばいいだけ…! それっ!」ビュンッ!

怜「!」


またもや、超スピードで一気に間合いを詰める咲…!


咲「トドメだ! カン!!」スカァッ!

咲「へ、え…?」トットット…


カンが空振り、二、三歩とたたらを踏む咲…


咲「は…? あ、アイツ、どこに…?」キョロキョロ

怜「どこ見とるんや、こっちやで?」スゥーッ…

咲「!?」バッ


怜は、さっきまで自分がいた場所に、平然と立っていた…


咲「? え、ど、どうして当たらなかったの…? 一瞬、消えた…?」

怜「ふふ…w 勘がええな、当たらずとも遠からじってとこやw」

怜「今のは… トキちゃんの力で、自分自身を“三秒後の未来”に転送させたんや!」

咲「て、転送…?」

怜「そうや。 この力がある限り… お前の攻撃はもううちには当たらんで!」


咲「…ふん、私だって“プラマイゼロ”の力があるんだから、攻撃なんか当たらない… 条件は同じでしょ?」

怜「さあ、果たしてそうかな…?」ブワアアアァァ…!

咲「へあっ!?」

照「…え??」


瞠目する咲&照…!

目の前で怜が… 信じられない現象を起こしたのだ…!


枕神トキ『ふふ…w コレがうち、“時空妖精トキちゃん”の奥義の一つやでっ!!w』


ーーーーーー
ーーーー
ーー


同時刻

魔王城上層部・モニタールーム


晴絵「……」カチャカチャカチャ…

晴絵「あの新人の少女、手こずってるな… 潜在的な戦闘力は咏さんに匹敵するのに…」カチャカチャ

晴絵「それにまさか戒能さんが敗れるとは…! あの勇者パーティ、侮れないぞ…」

晴絵「これは、最悪、魔王様自ら城内で闘うという状況になるかもしれないな…」


魔王軍参謀赤土晴絵…

彼女は、城内の各所に配置されたガンキューが送る映像をチェックするモニタールームで、勇者パーティ一行の動向を密かに監視していた…


晴絵「はやりさんも負けてしまったし、野依さんは外出中……」

晴絵「まあでも、こちらには魔王様のほか咏さんもいるし、まず負けることは・・・ん?!」

晴絵「…? あれは… 捕虜にした三人を閉じ込めていた部屋…? い、いつの間に扉が開いて…?」

晴絵「しまった! 目を離しているスキに脱走されたか?」ガタッ


と――


 ピタァ…


晴絵「!?」ビクッ

桃子「動くなっす。 黙って両手を後ろに回すっす」


晴絵の首筋に… 冷たい金属が当てられていた。

今日はここまでだし
咲のカンの戦闘力を決めるの忘れてたので、今さらだけど決めます。

>>379のコンマ以下が咲の戦闘力(ここまで、照は二発分、怜は一発分のダメージ)

はい

コンマ36 
怜ダメージ36 (HP521→485)
照ダメージ72 (HP731→659)


魔王城内??


怜「さあ、果たしてそうかな…?」ブワアアアァァ…!

咲「へあっ!?」

照「…え??」

枕神トキ『ふふ…w コレがうち、“時空妖精トキちゃん”の奥義の一つやでっ!!w』


なんと、そのとき、怜は・・・


咲「ぶ、分身した…??」


怜1「一時間後のうちや」ヌッ

怜2「二時間後のうちや」ヌッ

怜3「三時間後のうちや」ヌッ

怜4「四時間二分後のうちや」ヌッ

怜5「あさってのうちや」ヌッ

怜6「一週間後のうちや」ヌッ

怜MarkⅡ「いつのうちかよう分からんけどとにかくうちや」ヌッ


照「な、何これ… 園城寺さんが、増えた…?」

怜現在「クク…w せや。 枕神トキちゃんに、“未来のうちたち”を召喚させたんや!」


怜JS「じゃん! 小5のうちやで~♪ コミック『怜Toki』もよろしゅうたのむで!」

怜現在「お、過去のうちもおるんか」

照「かわいい…/// 園城寺さんもあんな時代があったんだね」

怜現在「どういう意味やそれ?」


怜アラフォー「38歳のうちやで」

怜現在「な、なに…? うちのほっぺちゃんに小じわが…?」


怜BBA「80年後のうちや…」ヨボヨボ

怜現在「ちょっ! そんな先まで呼ばんでええでトキちゃん!」


枕神トキ『ん~? ちょいハリキリ過ぎてまったかな! “園城寺怜の一人大同窓会”の始まりやでぇ~!w』


怜軍団「「「……………」」」ズラ~リ…


辺り一帯を埋め尽くすようにして現れた、過去&未来の園城寺怜たち…!


咲「な、ナニコレ…?? こんなの反則だよね…?」

怜現在「クク…w “数こそ力”… うちの好きな言葉の一つやw」

怜現在「さあ!うちたち! あの乱暴なお姫さんを捕獲するで!!」


 オオオォーッ!!  ワアアアアアァァァ――ッ!!  ガヤガヤガヤガヤァ…!


咲「ひぃ!?」


大量の怜たちが一斉に咲へと飛び掛かっていった…!


ーーーーーー
ーーーー
ーー


魔王城上層部・モニタールーム


桃子「動くなっす。 黙って両手を後ろに回すっす」

晴絵「…!?」


魔王軍参謀・晴絵に、背後からメスを押し当てたエージェント・モモ…!


晴絵「な、ど、どうして… いつの間に…?」

桃子「ふふ…w 魔力封じの首輪をつけて、油断してたっすね…?」

桃子「私のステルス能力は、“魔法”とは別の力っす! こんな首輪で封じることは出来ないっすよ!」ブンッ、ガッ!

晴絵「う…!」バタァ…


首筋への手刀で、晴絵を昏倒させたモモ…


桃子「辺りにほかの魔族の気配は無し… よし、制圧完了っす!」

桃子「憧ちゃん、憩さん、入ってきていいっすよ!」


憩「さっすがモモちゃん! 頼りになるわ~ぁ♪」スッ

憧「ありがとうモモ… わっ、ここすごぉ…! 魔王城の…コントロールルーム?」

桃子「この“魔界歴程”によると、モニタールームってあるっすね。 この魔王城の中枢機関… 作戦本部室みたいな所だと思うっす」


モモが、単独で潜入した際に地下の書庫で発見した“魔界歴程”…! 

その巻末に載っていた魔王城の詳細な地図を頼りに、脱走した三人はまずは中枢を叩くべくここに来たのだった。


憩「さてと… あ、あったで! “魔力炉”や!」


部屋の隅に、暖炉のような造りの炉があり… 中では透明の魔石が赤々と燃えていた。


憧「よし! ナイス憩さん! コレの火を落とせば、魔力封じの首輪を外せるはず…!」


桃子「あ、ちょっと待つっす憧ちゃん!」

憧「ん? 何、モモ?」

桃子「たぶんこの魔力炉は、魔王城全体の魔力の流れをコントロールしてるっす」

桃子「火を落としたら、このモニターの映像も消えてしまうっす。 その前に…」

桃子「せっかくだから、索敵のためにも魔王城全体をしっかり把握しておくっす!」

憩「それもそやね♪ どれどれ… ん…? コレは、“魔王の間・寝室”…?」


“健夜「… はぁ… お昼ご飯食べたあとって、どうして眠くなるんだろ…」フワァ…”

“健夜「ちょっとお昼寝しよっと… んん… 至福ぅ…♪ zzzz…」グーグー”


憩「この、ジャージ姿で昼寝しとるんが魔王…??」

憧「魔王の間ってあるんだから、多分そうだよね…」

桃子「私たちが攻めてきてるのに、親玉はのん気なもんっすね…」


“咏「さてと… ひとっ働きしたらまずはオヤツだねぃ♪」モニュモニュ…”

“咏「う…!? ごふっ! がふっ!? うっぐぅ…!」=3”


憧「こっちは“魔王城食堂”… 私たちに勝った三尋木咏がいる」

桃子「わらび餅食べてむせてるっすね」

憩「きな粉でむせたんやな。 わらび餅にはちゃんと黒蜜かけなあかんでーぇ」


“良子「う、ううぅ… まだ体が動きません… シット!」”


桃子「あ…? こっちには私を倒した戒能良子がいるっす!」

憧「“地下トイレ前”… 壁にもたれてぐったりしてる」

憩「きっとテルさんたちと闘ったんやね。 それで、ここで倒れとるっちゅうことは…」

桃子「京太郎たちが勝ったってことっす! 私の仇を討ってくれたんっす!」


憧「さてじゃあ、その京太郎たちはどこに… ん?」


“京太郎「………」ポツーン”

“京太郎「はあ… テルさんたちとはぐれちまうし、時間になっても憧たちは来ねーし…」”

“京太郎「なんか俺忘れられてね…? いつまでここにいりゃいいんだ?」”


憩「京太郎クンはちゃんと待ち合わせ場所の地下のT字路に来とるなぁ」

桃子「早目に迎えに行ってあげないといけないっすねw」

憧「え…? でも、残りのテルさんと園城寺さんは? …ん!?」


“怜「さあ!うちたち! あの乱暴なお姫さんを捕獲するで!!」”

 オオオォーッ!!  ワアアアアアァァァ――ッ!!  ガヤガヤガヤガヤァ…!

“咲「ひぃ!?」”

 ギッタンバッタン!  ギャアアアァッ!  アバレンナコノヤロォッ!=3=3


憧「な、何コレ? 園城寺さんがいっぱいいる…??」

憩「てか、襲われとるのって、サキ姫とちゃうか?」

桃子「ここ、魔王の間のすぐ近くの通路っすね。 一体、何がどうなってるんっすか…」


“咲「このやろおおおぉぉ放せよゴルゥウアアアアァッ!!」=3”

“怜「神妙にせんかいこのヤンチャ姫が!」”

“照「ちょ、ちょっと、園城寺さん、もう少し優しくしてあげて…」”


憧「園城寺さんの大群がサキ姫を簀巻きにしちゃった…」

憩「さ、サキ姫荒れとるなーぁ… ほんま何があったんや?」

桃子「いや、よく見るとアレ、角があるっすから魔族じゃないっすか…?」

憧「いや、多分… 魔王の洗脳で魔物化されちゃってんのよ…」


憧「とりあえず… 私たちの救出目標であるサキ姫は確保できた…」

憧「そして四天王四人のうち、瑞原はやりは私と憩さんが、戒能良子は京太郎たちが倒してくれた」

憧「そして野依理沙はモモの情報によれば外出中… となれば…」

憧「敵はあと魔王と三尋木咏の二人だけ…!」

憩「ほなら、三尋木の食っとるわらび餅に毒を仕込んで… 魔王の寝首をかけばミッションコンプリートやな!w」

憧「そーね♪ ふふw、一時はどうなるかと思ったけど… 楽勝じゃん!w」

桃子「あ、でも・・・」

憧「ん?」


桃子「ちょっと、一つ気になることが…」

憧「何? モモ」

桃子「私が単独で潜入した時に、一人、変なヤツを見つけたんっす」

憩「変なヤツ?」

桃子「はいっす、地下の通路で、京太郎にクリソツな魔族がいて…」

憧「きょ、京太郎にクリソツな魔族??」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


魔王城地下・T字路


京太郎「………」ポツーン…

京太郎「憧たち来ねーな… 何かあったのか?」

京太郎「畜生、この世界ってケータイねーしな… 連絡のつけようがねーよ!」

京太郎「どうする…? いつまでもここにいても…… ん?!」


?「よぉ、兄弟…」ユラァ

京太郎「なっ!? だ、誰だお前!??」


突然、通路の角から姿を現した、長身で金髪の男…!

だが、その頭には魔族特有の角が…!


?「俺か? 俺はな・・・」

ヘルカイザー京太郎「“この世界のお前”だよ、京太郎!w」ニィッ…!

今日はここまでなの
明日はちょっと私用でお休み、次は明後日っす


魔王城地下・T字路


京太郎「なっ!? だ、誰だお前!??」

ヘルカイザー京太郎「俺か? 俺はな、“この世界のお前”だよ、京太郎!w」ニィッ…!


通路の角から姿を現した、京太郎にそっくりの男…!

しかしその頭には、魔族特有の角が生えていた。


京太郎「こ、この世界の、俺・・・?」

ヘルカイザー京太郎「そうだ。 分かるだろ? この世界は、ある意味お前が元いた世界の鏡みてーなもんだ」

ヘル京「元の世界にいた人間は、必ずこの世界にも一人いる… 転生してきたお前だって例外じゃねーってわけだよ」

京太郎(…! 確かに… 部長や染谷先輩にも会ったし、この世界には、元の世界の人間のコピーみたいのがいる…)

京太郎(照さんや咲もこの世界にいるけど、それはあくまで“この世界の宮永姉妹”であって、俺が小さい頃から知ってるオリジナルの宮永姉妹は、今でも、元の世界にいるんだ…)

京太郎(今まで考えもしなかったけど、確かに、“この世界の俺自身”がいても、不思議じゃねー…!)

京太郎(でも、コイツが本当にこの世界の俺だとしても、角が生えてるってことは、魔族… 敵、なのか…?)ジリィ…


ヘルカイザーに向かって聖剣をかまえるオリジナル京太郎…


ヘル京「おいおい、俺はお前だぜ? 自分を攻撃する気か?w」

京太郎「う、うるせーな…! お前魔族だろ? それに… なんで俺のことを知ってるんだ?」

ヘル京「お前がこの世界に来た時から知ってるよ。 冥界の鏡で覗いてたからな」

京太郎「は? なにぃ…?」

ヘル京「おっと、ちょっとしゃべりすぎちまったなw コレ以上は言えねーわw」


京太郎「なんだと…? どういうことだよ! 何しにここに来たんだお前?」

ヘル京「そうビビんなって…w 俺は敵じゃない。 お前の味方だぜ?」ニッ

京太郎「し、信用できねーな… 何たくらんでやがる?」ジリ…

ヘル京「疑りぶけーな。 ま、無理もないか…」

ヘル京「なら、証拠を見せてやるよ。 行くぜ…?」

京太郎「は? ど、どこに?」 

ヘル京「お前の仲間の所だよ! “魔空瞬間移動(テレポーテーション)”!!」バァッ

京太郎「げぇっ!?」=3


ヘルカイザーがその右手を上に掲げると、周囲の空間がオレンジ色に輝き始め… 次の瞬間には、二人とも、その場から消えていた。


ーーーーーー
ーーーー
ーー


魔王城上層部・モニタールーム


憧「さてと! 敵の状況も大体分かったし、そろそろ私たちも行こうか?」

憩「そうやねーぇ♪ ・・・あれ?」

憧「ん? どしたん、憩さん?」

憩「いや… 京太郎クンが、いつの間にか、いなくなってしまっとるんや」


京太郎を映していた「地下T字路」のモニターには、もう誰も映っていなかった。


憧「あれ、ほんとだ。 いつの間に…?」

憩「あかんな。 さすがに遅すぎて、一人で移動し始めちゃったみたいやねーぇ…」

憧「急いだ方がいいね。 とりあえず、テルさんと園城寺さんはすぐ近くにいるみたいだから、全員でそこに行こう」

憩「賛成やでーぇ♪」

桃子「………」

憩「ん? どーかした? モモちゃん」

桃子「え、あ、いや… なんでもないっす」

憩「そう?」

桃子「……」

桃子(さっき… 一瞬だけ、モニターに、地下で見た京太郎にクリソツな男が映っていたような気がしたっすけど…)

桃子(気のせい…っすかね……)


憧&憩&モモの三人は、魔力炉の火を切り、合流するべくテルたちの元へと向かった…


ーーーーーー
ーーーー
ーー


魔王城最上層部・魔王の間近隣通路


照「もう魔王なんか倒さなくていいよ、また次でいいじゃん。 もう帰ろうよ」

怜「い、いや、テル、そういうわけにもいかへんやろ…?」

怜「それに、コイツの洗脳が解けなかったらどないするつもりなんや?」


咲「ゔゔゔゔゔぅ…! 放せ人間どもぉ…!!」=3


簀巻きに縛られたままもがいている咲…


照「大丈夫、今はこんなだけど、王宮に帰って私としばらく一緒にいれば絶対元に戻る」

怜「そ、そんなん、なんの根拠もないやろ…」

照「大丈夫なの! “姉の愛”さえあれば、妹は必ず目を覚ますもんなんだから…!」

憧「いや、テルさん、それはまずいっしょ…」スッ

照「へ?」


怜とテルの背後から、憧、憩、モモの三人が姿を現した。


怜「お? 新子に荒川… そ、それに、東横? 無事やったんか!」

桃子「ちょっとケガしちゃったけど… お陰様でおおむね無事っすw」

憩「うちら、一回捕虜になってまったんやけど、脱走してきたんやでーぇ♪」


 ワイワイガヤガヤ… ヨカッタヨカッタ  ガヤガヤ…


合流した五人は、お互いにこれまでのこと… 戒能良子や瑞原はやりを倒したこと、三尋木咏に敗れたこと、捕虜になったがモモと一緒に脱走しモニタールームを占拠したこと、サキ姫を発見して確保した経緯…などを報告しあった。


怜「ほなら、敵はあとは三尋木と魔王だけっちゅうことやな。 さっさと行ってサクッと終わらせてしまおうや」

照「いや、だから、咲は救出したんだから、もういったん帰ろうよ…」

憧「いやいや、私たちの任務は、サキ姫の救出のほかに魔王討伐もあるんだから…」

桃子「ここまで来て帰るわけにはいかないっすよ」

咲「ゔゔゔぅ放せよおおぉ…!!」=3

憩「ごめんなーぁ、サキ王女様は、ちょいと黙っとってな」プスッ

咲「きゅっ!? う・・・zzz・・・」グーグー…

照「!? け、憩、何したの!?」

憩「大丈夫やでーぇ、安全な薬で、ちょいと眠ってもらっただけや」


これからのことについて話し合う五人…

しかし、そこから少し離れた場所の角に、二つの妖しい影があった。


ヘル京「見ろよ、お前の仲間たち全員そろってるぜ? お前も早く行ってこいよ」

京太郎「あ、ああ…」

ヘル京「ここは魔王城最上層部… お前らの最終目的の魔王の間もすぐ近くだ」


地下からテレポートしてきた京太郎とヘルカイザーだった。


京太郎「いや、しかしよ… 聞かせてくれよ、お前は、一体、何者なんだ?」

ヘル京「? さっき言っただろ。 俺はこの世界のお前だ」

京太郎「いや、それじゃなくって、お前の目的はなんなんだよ? お前は魔族じゃねーのか? なんで俺に協力するんだ」

ヘル京「…そのうち分かるよ、今は別に言う必要ねー」スウゥー・・・

京太郎「あ…?」


徐々に、体が透明になり始めたヘルカイザー…


ヘル京「あ、でも、これだけは教えといてやるわ」スー…

ヘル京「あのお姫さんの洗脳は、魔王コカジンしか解くことはできない」

ヘル京「それと、お前が元の世界に戻るのも、魔王を倒す以外に方法はないからな。 肝に命じとけ」

京太郎(確かに…この世界に来た時に、優希の奴も『お前が元の世界に生きて帰るには、魔王を倒し、この異世界を救うしかないんだじぇ!』って言ってたな…)


ヘル京「じゃあな、兄弟、健闘を祈ってるぜ…w」スウゥー・・・!

ヘル京「あ、ちなみに、仲間には俺のことは話さないほうがいいぞ。 いろいろ混乱するだろーからな」ススウウウゥー……

京太郎「……」


そう言って薄く笑うと、その「この世界の俺」は消えてしまった。

ヤツの正体が判明したのは、魔王との激闘に決着が着いた、そのあとだった・・・






京太郎たちも仲間の元に合流…

久しぶりに6人揃ったところで、憩は仲間たちにヒールを施した。


※憩ヒール発動、各自HP変更

園城寺怜  485→535
宮永照   659→709
須賀京太郎 1036→1086
憩     1021→1031(自己ヒール+四回ヒール消費)
新子憧   0(一度マイナスになったため、戦闘不能)
東横桃子  0(一度マイナスになったため、戦闘不能)


京太郎「ありがとうございます憩さん… だいぶラクになりました」コキコキ

憩「ええでーぇ♪ みんなを元気にするのがウチの仕事やからな!」

憧「それにしても京太郎、よく地下から一人でここに来れたね…」

京太郎「あ、ああ、ちょっとな… なんか、適当に歩いてたら着いちったよw」


憩「ほな回復したところで、いよいよ最終決戦… 魔王討伐や! みんな、覚悟はええな?」

怜「もちろんや。 テルもええな?」

照「うん、分かったよ、でも・・・」

照「憩のヒールでいくらか回復はしたけど…」

照「現実的な話、今の私たちで、勝てるのかな? 魔王に…」

憧「……」


照の言う事はもっともだった。

ここまでの強敵との連戦に次ぐ連戦で、パーティは著しく疲弊…

モモは左腕にギプスをつけたままだし、魔力炉を落として魔力が回復したとはいえ、咏に徹底的にヤラれた憧もほとんど戦力にはならない。

こんなヨレヨレパーティで、ラスボス大魔王に挑むというのは、いささか無謀に感じるのは当然のことだった。


京太郎(いや、そうは言ってもよ… 魔王を倒さねーと、俺は元の世界に戻れねーんだよ!)


だが、そのとき・・・


桃子「あの、そのことなんっすけど…」

桃子「もしかしたら、“戦わずに魔王を屈服させる方法”があるかもしれないっす」


そう言ったモモの手には、あの「魔界歴程」が握られていた。


憧「戦わずに魔王を屈服させる方法…?」

怜「なんや、どういうことや? 東横?」

桃子「はい、私が地下書庫で見つけたこの『魔界歴程』… あらゆる魔物や魔族の特徴やら弱点やらが書かれてる本なんっすけど…」

桃子「最後のページに“四天王”と“大魔王”の項目もあるんっす」

憩「へ…? じゃ、じゃあ、魔王コカジンの弱点が載っとるってこと?」

桃子「いや、魔王の場合は、弱点ってほどじゃないんっすけど」

桃子「攻略の糸口になるかもしれない特徴が書かれてるんっす」

京太郎「な、なんだよ、もったいぶんなよモモ。 攻略の糸口ってなんなんだ?」

桃子「それは・・・」




咏「よぉ、勇者さんたち、こんなとこでガンクビ揃えてなんの相談だい?w」ヌッ



咏「勇者さんたち、こんなとこでガンクビ揃えてなんの相談だい?w」ヌゥ…ッ

憧「み、三尋木咏…!!」

咏「よー巫女ちゃん、私にヤラれた炎のダメージはもう大丈夫なんか?w」ニタニタ


座敷童子を彷彿とさせるその容姿…

小柄な体から溢れ出る紅蓮のオーラ…!

現れたのは、魔族四天王筆頭・三尋木咏!!


京太郎(な、なんだコイツ…? ハンパねーオーラ…! 戒能良子と同等か…それ以上…?)

憩「き、貴様ァ…! 食堂でわらび餅食っとったんじゃないんかい!」

咏「は…? なんだよノゾキかい? 趣味悪いねぃ…」

怜「お前は… “魔界一の火炎術師”三尋木咏やな…?」

照「四天王最強の女…!」ギラァ…

憧「み、みんな、広がって! 6人総がかりでいくよっ!」


 ザザァッ…!!


咏を囲むようにして戦闘態勢をとった六人…!


咏「ふん、まあ待てよ巫女ちゃん… 私は別に、戦いにきたんじゃねーんだ」

憧「は…? な、何を調子のいいことを…!」

咏「ほんとだよ。 すこやんがさ、あんたたちと話がしてーらしんだよねぃ。ま、詳しいことは知らんけど」

咏「とりあえずついて来いよ。 魔王の間まで案内してやるからさ…」スッ…


そう言うと、咏は敵に背中を見せてすたすたと歩き始めた…


咏「~~~♪」スタスタ

パーティ一同「「「…………」」」ゾロゾロゾロ…


平然と前を歩く咏の、少し後ろをついていくパーティメンバー…


憩「…な、なあ、ええんか憧ちゃん? なんかの罠やないのコレ…?」ヒソヒソ

憧「その可能性もあるけど… 多分、三尋木はそういう小細工はしないと思う…」ヒソヒソ

桃子「確かに、魔王の間の方に向かってはいるっすね…」ヒソヒソ


咏「~~♪」テクテク


照「ねえねえ…」チョンチョン

怜「ん? なんや、テル」

照「アイツ隙だらけだよ… 今、後ろから襲えば勝てるんじゃ…?」ヒソヒソ

怜「…奇襲か。 ま、うちは遠慮しとくわ… 京太郎、お前、後ろから斬りかかれば倒せるんちゃうか?」ヒソヒソ

京太郎「い、いや… とりあえず、もうちょっと様子見ましょうよ…」ヒソヒソ


咏と闘った憧と憩以外も、その計り知れない実力の高さを感じ取っていた…


咏「さ、着いたよ! この扉の向こうですこやんが待ってるぜ」ピタッ


魔王城最上層部、最奥… いかにもといった雰囲気の荘厳な扉の前で立ち止まった咏…


憧「じゃ、じゃあ… リーダー! 先頭で入ってくれる?」

京太郎「あ、ああ…」スッ

京太郎「……」ゴクリ

京太郎(いよいよか… いよいよ、ラスボスの大魔王にご対面ってわけか…)

京太郎(ここまで、本当にいろんなことがあったけど… 俺の旅も、やっと、ここで終わるんだ…!)

京太郎(魔王…覚悟しろよ! お前の悪逆非道もここまでだッ!)ガチャッ


 ギイイイィィ…


京太郎「し、失礼、しまぁーす…」ソォー…


威勢の良い気持ちとはウラハラに、まるでイタズラで職員室に呼び出しをくらった子どものように、恐る恐る、扉を開けると―――


健夜「勇者の皆さん、ようこそ魔王城へ… よくここまで来たね…」ズオオオォ…

健夜「と、言いたいところだけど… 知っての通り、あなた方はここには招かれざる客なんだよね」


その部屋は天井の高い、体育館くらいの大きさで、一番奥が少し高くなっており…

その上の玉座に、ちょこんと、その女は座っていた。

ジャージ姿ではないが… ユニクロで買ったようなシャツにワンピースのスカートという出で立ちで、どこかイモくささを感じさせる服装である…


健夜(まったくぅ… 気持ちよくお昼寝してたのに、赤土さんからの緊急アラームで起こされたんだよね…)

健夜(めんどくさいなぁ… なるべく穏便に、さっさと帰ってもらわなきゃ…)


京太郎「だ、大魔王の、コカジンだな…?」

健夜「うん、そうだよ」

京太郎「話ってのは、なんなんだ…? い、一応、聞いてやろーじゃねーか…!」

健夜「うん、えっとね、単純な話。 あなたたちが了承してくれれば、すぐ終わるよ」

怜「…なんや? 講和の条件か何かか?」

健夜「うん、あなたたち… 私の住居に不法に侵入して、部下にケガをさせたり、あちこち壊したり、随分ひどいことしてくれたみたいだけど…」

健夜「一つだけ言う事聞いてくれれば、そういうおイタのことは目をつぶって、黙って帰してあげる」

憧「は、はあ…? 不法に侵入って… あなたたちがサキ姫をさらったりするから、私たちはそれを奪い返しにきたのよ?」

憩「せやで。 それに魔族と人間族とは抗争中や… ウチらが犯罪者みたいなその言い方は、納得できへんなーぁ…」

咏「あ? なんだと…? 魔族と見たら問答無用で襲い掛かってくる野蛮な人間どもがわりーんだろ」ズイッ

咏「今まで、どれだけの魔族が、理不尽に人間にヤラれてきたと思ってんだ。 知らんけどじゃ済まねーぜ?」


パーティメンバーに続いて部屋に入ってきた咏が口をはさんできた。


健夜「ま、まあまあ… そういう水掛け論は、収集つかなくなるからよそうよ」


照「その、“一つだけ聞いて欲しいこと”ていうのは、一体なんなの…」

健夜「うん、あなたが今背負っている、そのサキ姫…」

健夜「その子だけここに置いてってくれる? そうすれば、あなたたちには何もしないで帰してあげるから」

照「は!? なんだとぉ…?」ギラァ…!

憧「何を言うかと思えば… 話になんないね」

桃子「私たちは、サキ姫を救い出すために命がけでここに来たんっす。 そんな条件…有り得ないっす!」


憩「そんな条件は呑めへんで魔王… でも、一応、聞かせてもらってもええか?」

健夜「ん、何? ナースさん」

憩「どうしてサキ姫をさらったんや… 人質にするつもりやったんか?」

健夜「それもあるけど、一番は、そのコを次期魔王にしようと思ったからだよ」

照「は…? さ、咲を、魔王に??」

健夜「うん。 出来る限り“優秀な入れ物”が欲しかったんだよね…」

憧「い、入れ物??」

健夜「そう、今まで、見込みのある人間の女の子に私の魔力を注入して魔族にしてきたんだけど…」

健夜「きちんと適性がないと、私の闇の力を受け入れきれないの。 どうしてもハンパな魔族ができあがっちゃう」

健夜「その点、サキちゃんは最高の資質を備えてる…! その子なら、私の魔力を全て受け継いで次期魔王にだってなれると思う」


京太郎「つ、つまり… 咲を自分の後継者にしようとたくらんでたってわけか…?」

怜「イカれとんな… なんちゅー身勝手な理由なんや」

健夜「身勝手? そうかな?」

憧「人をさらって、自分の都合で無理矢理魔族にするなんて、身勝手以外の何物でもないでしょ!」

健夜「…あなた賢者だよね。 人間でも、賢者なら理解できると思うけど…」

健夜「この世界は、魔族が支配するべきなんだよ。 野蛮で乱暴で愚かで、他の種族を無闇に攻撃したり自然を破壊し続けたりしてる人間がはびこってたら、世界はいずれ崩壊する…」

健夜「今、この世界はその管理者を人間族から魔族へと変えようとしている。 それはもう、この世界の“意志”と言ってもいい」

健夜「今の、魔族と人間が混在している世界はゆがんでいて不安定… 私は、この世界をあるべき姿へと進化させたいだけ」

憧「………」


照「もういい… その汚い口を閉じろ、ゲスが」ユラァ…

健夜「……」


気絶しているサキを降ろし、近くの壁にもたれかけさせると… 照はめらめらと炎のようなオーラを出し始めた。


照「話にならない。 交渉は決裂だ、魔王…!」ギラッ!

健夜「うーん… この条件を聞けないっていうんなら、実力行使であなたたちを叩きのめすことになっちゃうんだけど…?」

照「上等だ!! くらえっ! “ドラゴン・コークスクリュー”ウウゥ――――ッ!!」ブワアァッ!!


照の腕が真っ赤な古代竜の腕へと変化し、それが猛烈に回転しながら玉座のコカジンへと飛んでいく…!

だが、


健夜「……」ピッ

照「なっ!?」

桃子「ふぁ?」

憩「そ、そんな…?」

憧「う、ウソでしょ…?」

京太郎「テルさんの奥義を…」

怜「ひ、人差し指一本で止めた…やと?」


健夜「ふぅ… なるべく手荒なことはしたくなかったんだけどなぁ…」スゥ…

照「い゙っ? げえぇっ!??」=3


健夜がため息をつきながらゆっくりと立ち上がると、照は悲鳴のような声を出した。


桃子「へっ? ど、どうしたんっすか? テルさん?」

照「い、いや… ま、魔王の、ステータスが…!」カタカタ


※照魔鏡データ・大魔王コカジンステータス

HP2500

戦闘レベル530000


照(え、HP2500はともかくとして…)

照(せ、戦闘レベル53万って、何…? 桁が違い過ぎる!!)


健夜「じゃあ、ちょっと痛い目みてもらうよ」スッ…!


京太郎「うっ!?」ピタッ
怜「なっ!?」ピタッ
憩「ふぇっ?!」ピタッ
桃子「っす!?」ピタッ


健夜が右手を掲げただけで、パーティメンバー全員、ぴくりとも動けなくなった。


憧(な、何コレ…? 重力魔法? いや、念波?)グググ…

憧(い、いや、違う、これ、私たちの神経を操作してる…! ま、魔法のレベルが違い過ぎる!!)


咏「やれやれ… すこやんが穏やかに話してるうちに、言う事聞いときゃいいのにねぃ… ま、知らんけどw」

健夜「咏ちゃん、この人間たち、もう刃向かわないように… 死なない程度に燃やしちゃって」

咏「はいよ。 じゃあ… 出でよ煉獄の支配者! 邪炎鳳凰“朱雀”!!」バッ!


 ブワアアアアアアアアアァァァァ・・・!!


照「ひぃ…!!?」


憧と憩を徹底的に叩きのめした、あの巨大な火の鳳凰が顕現…!

その赤々と燃ゆる目で、まるでアリでも見るようにパーティ一同を睥睨する…!


憧(あ…)

憩(くぅ…!)

怜(ははw、こらあかんわ…w)

京太郎(ち、ちくしょう! せっかくここまで来たのに…!)ギリィ…!


京太郎たちが観念した、その時だった。



桃子「ま、待つっす!! 大魔王!!」

健夜「ん?」

桃子「しょ、勝負っす…! 私たちと、“麻雀で勝負”っすうぅっ!!」


健夜・咏「「麻雀??」」


魔族最強の二人の、目の色が変わった。


桃子(も、もう、この可能性に賭けるしかないっす…!)ハアハア

桃子(「魔界歴程」には、大魔王も三尋木も、“極度の雀キチ”だという特徴が書かれてたっす)

桃子(ならば麻雀勝負を持ちかければ… ノッてくるかもしれないっす!)


健夜「…どういうことかな? えーっと… スパイの子…?」

桃子「い、言った通りっす… あなた方魔族と、私たち人間の闘いは、こんな、物理的な争いじゃなくって… 麻雀で勝負を決めるっす!」

桃子「もし、その勝負で私たちが負ければ、大人しく言うことを聞いて… サキ姫を差し出して撤退するっす。 そして、もう二度とこの魔王城には攻め込まないと約束するっす」

桃子「でも、私たちが勝った場合は… サキ姫は返してもらうっす! そして、今後、人間を魔族に変えるのもやめると約束してもらうっす!」


健夜「・・・麻雀はいいけど… なんでそんな条件を、私たちが了承しなくちゃいけないの…?」

咏「だねぃ。 少なくとも、人間を魔族に変えるのもやめるってのは、余計じゃね? 知らんけど」

桃子「ふ、ふふ…w なんっすか? 二人とも、麻雀の腕に自信が無いんっすか?w」

健夜「は?」

咏「なんだって…?」

桃子「要は勝てばいいじゃないっすか… 私たちに負けるのが怖いんっすか?w」


イチかバチかで、決死の煽りを入れるモモ…!

どこからどう見ても、それはただの演技、強がりでしかなかったが…


健夜「ナメるんじゃないよ… 人間ごときに私たちが負けるわけないでしょ…!」ゴゴゴゴオオォ…

咏「そこまで言われちゃあ、魔族として引くワケにはいかねーな。 その勝負…ノッてやるよ!」ズモモモオオオォ…!


桃子(! か、かかったっす…!w ふ、二人とも、頭がゆるくて助かったっす!w)





モモの機転で一命を取り留めたパーティメンバーは、健夜たちと麻雀勝負をするべく、魔王の間から雀卓のある広闊の間へと移動していた…


京太郎「麻雀勝負か…」

照「それなら望むところ…!」ギュルルルゥー…!

怜「まさか、魔族どもと麻雀で決着をつけることになるとはなぁ…」

憩「モモちゃんようやったで…! 麻雀なら、十分ウチらでも勝つ可能性はあるで!」

憧「い、いや、でも… 勝った時に、あいつらちゃんと条件を呑んで言う事聞いてくれるのかな…?」

桃子「それならきっと大丈夫っす。 真の雀キチは、麻雀の勝ち負けは地球よりも重いと思ってるっすから…」

桃子「約束を違えることはまずないはずっす!」


雀卓を囲む、健夜&咏と、パーティメンバー六人…!


憩「で… ルールはどないするん?」

憩「あんたらは二人、こっちは六人おるわけやけど…?」

怜「二対二のコンビ打ちで… うちらは交代してく感じか?」

咏「ふふ…w こういう時にちょうどいいルールがあるんだよねぃ。 ソレで決着をつけようぜ」

照「ちょうどいいルール…?」

咏「そうだ。 やろうぜ…! 魔界麻雀・・・“HP取り合い麻雀合戦”をな!!w」

一同「「「「「「HP取り合い麻雀合戦??」」」」」」



果たして、世界の覇者となるのは、魔族か人間か…?

ラストバトル… 世界の命運を決める、苛烈なる「魔界麻雀殲滅戦」が始まろうとしていた…!



カン!

~「京ちゃんクエスト」サードステージクリア~ 


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