悪魔「無能共のバトルロワイヤル」 (15)



男「は、はぁ? そんなワケの分からない殺し合いに参加しろだって……?」

悪魔「そうだよお兄さん、言っておくけど断れば命はないからね!」

悪魔「ルールは簡単。お兄さんを含めた七人がお互いに殺しあって、一ヶ月後に残った最後の一人が優勝だよ!」

男(悪魔なんて信じられないけど、あの尻尾と羽は本物だよな……) ゴクリ

男「くっ、生き残るためには俺以外の全員を倒さないとダメなのか!」


悪魔「でもそれだけだと盛り上がりに欠けるし、このバトルロワイヤルに参加したキミには異能を授けてあげる」

男「異能だって?」

悪魔「そう、チョーノーリョクとでも言えば伝わるかな? お兄さんの望んだ力を一つだけ使えるようにしてあげるから感謝してね!」


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男「超能力か……それって俺が望めば本当に何でも良いんだな?」

悪魔「うんうん、手から火の玉だって出せるし空だって飛べるよ。一度決めた異能は変えられないからじっくり考えてね」

男「なら相手の心臓を止めるとかでも良いのか。この異能なら優勝なんて余裕なんじゃ……」

男(い、いや待て! 俺でも思いつくんだ、当然他の参加者も同じことを考えているに違いない!)

男(そうなれば先に異能を発動しないと逆に殺られる! これじゃダメだ、もっと別の能力を……!)


悪魔「ずいぶん悩んだねぇお兄さん、そろそろ決まったかい?」

男「ああ。俺の異能は―――」



女「バトル……ロワイヤル?」

悪魔「そそ! さっきも言ったけど、キミが選ぶ異能はよく考えた方がいいよ」

女「こんなワケの分からない殺し合いをしなきゃならないなんて……! よりによってどうして私なの!?」

悪魔「あ、もしかして怒ってる? でも優勝すれば異能は使い放題さ、悪くない報酬だろう?」

女(押しつけがましい悪魔ね……まあいいわ、この戦いに勝ち残ったら真っ先に消してあげる)

女(とにかく今は強い異能を考えないと。でも私が思いつく程度の力なんてたかが知れてるし……)

女「……私程度?」 ハッ


悪魔「お姉さん、覚悟は決まった?」

女「ええ、これなら問題ないわ。私の異能は―――」


幼女「ころしあいってなぁに?」

悪魔「悪い人をやっつけることだよ、お嬢ちゃん」

悪魔「キミはいい娘だから、一つだけ異能っていう魔法の力を使えるようにしてあげよう。今日から幼女ちゃんは魔法少女さ!」

幼女「わぁぁ、ありがとうおねえちゃん! 幼女すっごくうれしい!」


幼女(クフッ! 愚かなサル共をいつか皆殺しにしてやろうかと考えていたが……まったく、日頃の行いは良くしておくものだなァ?) ニタァ

幼女(とはいえ、この戦いを切り抜けるには異能の力が不可欠だ。多対一に求められるのは単純な破壊力ではなく、攻守一体の柔軟性!)

悪魔「さてさて、キミはどんな異能を願うのかな?」

幼女「それじゃあ悪魔のおねえちゃん、幼女のお願いはね―――」



罪人「ああ? 殺し合いだぁ?」

悪魔「ありゃ、オジサンそういうの得意そうだと思ったんだけどねぇ」

罪人「違いねえよ、今すぐ手頃な誰かをぶっ殺してやりてぇ気分だ。例えば背中に羽生えたアホそうな女とか」

悪魔「ふふっ、怖い怖い……そんなオジサンに異能の力を一つだけプレゼントしてあげる。何でも言ってみてよ」

罪人「ケッ、くれるってんなら貰ってやるけどよ」


罪人(コイツの言うことを全部信じたワケじゃねえが、マジで命かかってんのならちっとは真面目に考えるか)

罪人(だが正攻法なんて性に合わねぇことはしねぇ、いつだって勝つのはズル賢い奴だけだ!)

悪魔「どうオジサン、いいの思いついた?」

罪人「ああ、最高のアイデアが降りてきたぜ。俺の異能は―――」



シスター「かかっ、神よ! 迷える子羊を悪しき存在から個人的にお守りください!」 フルフル

悪魔「いや、いい加減話を聞いてくんない? それに神ってキミが考えるよりよっぽどロクな奴じゃないよ」

悪魔「ま、キミに拒否権はないんだけどね。好きな異能を一つだけ与えてあげるからさっさと考えてくれないかな」

シスター「悪魔からの施しは受けません! それに他の方も、殺し合いなど無用だと分かって下さるはずです!」 カタカタ

悪魔「ならキミ死んじゃうけどいいの?」

シスター「嫌です! 今から考えるので少しお待ちください!」

悪魔「なんて素早い手のひら返しなんだ」

シスター「できました! さあ早く私の望みを聞いてください悪魔様!」

悪魔「早っ!? しかも一瞬で信仰心まで投げ捨てたよコイツ!」


シスター「やはり争いなど醜いもの。私の異能は―――」



令嬢「ほう、生き残りをかけた殺し合いか」

悪魔「いやぁ悪いね、キミみたいな将来の成功を約束された人にこんなの持ちかけちゃってさ」

令嬢「構わぬ。この程度の壁ごとき乗り越えられぬのなら、所詮私はその程度だったということ」

令嬢「後にこの国の未来を背負うのだ、失敗しても私一人の命で済むのならマシというもの。無論犬死にするつもりは毛頭ないがな」

悪魔「こりゃ頭が上がらないよ。ところで参加者には好きな異能を一つ与える決まりになってるんだ、何でも言うといい」


令嬢「ふむ……参加者全員に配られる異能か。確かに優れた異能を手に入れたのならば、他の参加者よりも優位に立ち回れるだろうな」

令嬢「だが浅い、そのような発想は凡人の域を超えぬ! 私はいずれこの国を統べる者、もはや勝利は約束されたも同然だ!」

令嬢「さあ望みを叶えよ悪魔、私の異能は―――」



悪魔「さてと、キミでやっと最後かな。いきなりで悪いけど、キミにはバトルロワイヤルに参加してもらうことになった」

悪魔「次の満月の晩までに他の六人の参加者を倒さないと、その時点でキミたちは全員ゲームオーバーさ!」

悪魔「……あの、ちょっと聞いてるのかい? 結構大事な話をしてるんだけど」

悪魔「あ、一応聞いてるんだね……それじゃあ続けるよ」


悪魔「そこでキミたち参加者には一人につき一つ、異能の力を授けてあげる。異能はキミが望むのなら何だって可能だ」

悪魔「生き残りたいなら強力な異能を願うといい。そっちの方が面白いからね」

悪魔「おや、願いはもう決まったのかい?」

悪魔「それじゃあ聞こうか。キミがどんな異能を望んだのか―――」



男「俺への異能を無効化する異能をくれ!」

女「別の人の異能をコピーする異能が欲しい!」

幼女「受けた異能を跳ね返す異能をちょうだい!」

罪人「他の奴の異能を奪う異能をよこせ!」

シスター「悪しき者の異能を封じる異能を授けてください!」

令嬢「参加者全員の異能を行使する異能を渡せ!」

マッチョ「異能など不要」 ムキィ



天使「お疲れさま! バトルロワイヤルの結果はどうだった?」

悪魔「石と棍棒を一番うまく使える奴が優勝したよ」



おわり

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