詩菜「当麻さん、オティヌスちゃん、インデックスちゃん。ご飯ですよー」 (13)


チュンチュン チュンチュン

上条「ん…………朝か……」フワァ

上条「……あれ? ……なんか、布団が重いような……? それになんだか妙にいい、にお、い、が……?」

オティヌス「よう。遅いお目覚めだな、人間」ヒョコ

上条「」

オティヌス「おい、フリーズするんじゃない。私を誰だと思っている?」

上条「めのまえにいるのはとってもぐらまらすなきんぱつのおねえちゃんです……………………うん夢だな。オヤスミナサイ」

オティヌス「神の前で二度寝するとはいい度胸だな。多少体格差があるとはいえ、十五センチのお人形サイズとかじゃないんだ。関節を責めるにせよ急所を打つにせよいくらでもやりようは……」

上条「ハイハイ起きました起きました――――っ!! つーか右手に間接技かけようとするとそれはそれで色んな柔らかいのが当たるんだけ――」

上条「いだだだだっ! なんか今度は手首オンリーだから何も嬉しくないっ!! ただひたすらに痛いだけ!」グヌヌヌヌヌ

オティヌス「ふんっ」パッ

上条「うぎゃ……っ。あ、危なかった……本気で折れるかと思った……。…………ていうか、なんで俺は寝起き早々間接技決められてるの」

オティヌス「はっ……この『姉』が、かいがいしく起こしに来てやったというのに無視するからだ」

上条「『弟』のベッドに入り込んで唐突に暴力振るう『姉』の癖して! そもそも関節技のどこらへんにかいがいしさがあったのか、是非とも問い質したい!!」

オティヌス「まあ待て人間。これには戦いと詐術の神を気取った猜疑心の塊のような主神さえ納得する深い事情がある」

上条「それお前のことじゃん! 正確にはお前がロールプレイしてる北欧神話のおっさん!!」

オティヌス「だからこの身は純然たる神のそれだと……まあいい」

あれ、だいぶ前に立ってた?
今から投下します


オティヌス「今朝はてつ――珍しく早起きをしてな。みなが起きるまで一人で居るのも暇だし、『弟』の一人でも叩き起こせば暇潰しくらいにはなるかと思ったんだが」

上条「暇潰しでヒトの安眠妨害してどこの大王様だお前は」

オティヌス「神だ。――とにかく。そうしてお前の部屋に入った訳だが、私にも少々誤算があってな。昨日は術式の調整に多忙し、睡眠時間がほんの数時間だった」

上条「ふむふむ」

オティヌス「それに加えてお前が私のために温めていたベッドが目の前にある。導き足される答えは自ずと一つに絞り込まれるはずだ。違うか人間?」

上条「成程つまりお前が大バカ野郎だってファイナルアンサーか」

オティヌス「確かお前が先月受けた定期試験、去年の私はあの惨状の倍はゆうに得点していたぞ」

上条「頭のいいバカはこれだから! ……ていうかなんで隠蔽したはずの試験成績をオティヌスが知っている???」

オティヌス「我がプリズスキャルブの監視からは何者も逃れることは出来ん……と言いたい所だが、いくらなんでもゴミ箱に突っ込んだ程度で証拠隠滅のつもりとは杜撰が過ぎるぞ人間」

オティヌス「あとは……そうだな。やたらカピカピになったティッシュも大量に捨てられていたがアレは一体…………?」

上条「―――――――――はいッッ!!!! 俺が悪かったのでこの話は終わりにしようじゃないかオティヌス!」

オティヌス「きゅ、急に肩を掴むなっ」

上条「というかほら! 本題に戻りましょうよ『姉上』! 説明してもらおうではありませんか、なにゆえオティヌスが俺のベッドに入り込んでいたのかを――――!?」

オティヌス「……正直、久しぶりにお前と寝たかった」

上条「このタイミングで顔赤らめるんじゃねえっ、破壊力やばいからッッッ!!」


オティヌス「まったく……年頃だから仕方ないとはいえ、お前の妄想に付き合ってる暇は無いぞ。いい加減起きないと『母』が心配して見にくる」モゾモゾ

上条「本日の『お前が言うな大賞』の受賞おめでとうだオティヌス……って、ちょっ! 待て動くな! なんか色々当たってる――――ッッッ!」ガバッ

オティヌス「あ」

上条「…………ん? ――んんっ?」

上条「…………………………………つかぬことをお聞きしますが神?」

オティヌス「なんだ?」

上条「……どうして上条さんの下半身はパンツ一丁になってるんでせうか?」

オティヌス「うーん」

オティヌス「まあ、なんだ。熱そうだったから脱がせた。熱中症からお前を守った神の加護に感謝するんだな」

上条「うっ、…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………うぅ!」

オティヌス「おいどうした!? なんで突然顔を覆ってメソメソなんだ人間!?」

上条「ついにやってしまった……。そりゃ確かに何も感じてなかったと言われたら嘘になるけどさ……『兄妹』だから、『姉弟』だからで今日まで騙し騙しやってきたのに……っ!」

上条「何もこんな悲劇的な結末じゃなくたっていいはずだろお! そいつを守るために戦ったっていいはずじゃなかったのかっ!? ……いやよぉおおお! 桃源郷の景色も見れないまま汚名や罪状だけ背負わされてるなんてあんまりよォォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

オティヌス「ち、ちがう! ほんとうに寝苦しそうだから脱がせただけだ! うそじゃない!」

上条「きっと今日にでもクラスで『シスコン変態ヤロウ』のレッテルが張られちゃうんだわあ! アタシは無実よぉお!!」

オティヌス「落ち着け人間! シスコンはもう言われてる!」


上条「うっ……ひぐ……っ」

オティヌス「おいっ、泣くなよ。というか、たかだか衣服の一つや二つ脱がされただけで騒ぎ立てるようなことか……?」

上条「気にするわ! そりゃあ年がら年中そのバカ水着で家中うろつく露出魔には分からないだろうけど!」

オティヌス「だから何度言ったらは分かるんだ。これは水着ではなく主神の力を最大限高める、いや、正確には阻害することなく力のコントロールを補助するための衣だ。あんな盛りのついた猿共を欲情させるためのアイテムとは比べるのもおこがましい」

上条「どちらにせよ大事な部分以外は隠れてなくて、おへそどころかお尻までほぼ丸出しなことに変わりはないじゃない!! 仮にも女の子なんだからもっと恥じらいをもちましょう!」

オティヌス「ふん……」

オティヌス「そもそも神の体に恥ずべきところなどない」キリッ

上条「だから目の毒だってんだろうがバカ『姉』」


――――――上条家・ダイニング

上条「おはよー母さん」ガチャリ

詩菜「おはようございます当麻さん。あら。あらあら、オティヌスちゃんも一緒ですか。朝から仲がいいのねー」

上条「ま……まぁな……」

オティヌス「おい人間。補充したフライドポテトはどこだ、よもや買い忘れてはいないだろうな」

上条「ああ、それならもう冷蔵庫ん中――って、おはようぐらい言いなさいお行儀悪い!」

詩菜「あらあら、なんだか当麻さんがお母さんみたいね」

上条「……ていうか本当に米ひとつぶも残ってねえのな。――うわ! しかも炊飯器の中まで空っぽじゃん!」

詩菜「インデックスちゃんが『冷める前に全部食べないと我らが主に申し訳が立たないんだよジュルリ』って……」

上条「炊飯器の保温機能が何のためについてるのか知らねえのかあのアナクロ娘!!」

上条「……いやでも、食べて良いって言ったのは俺だしな。諦めてパンでも焼きますかー……――ん?」

スフィンクス「うみゃあ」ムシャムシャ

上条「………………………………流石にスフィンクスのごはんにまで手を出していないと安堵すべきか、ここ最近人間様より好待遇気味な三毛猫を糾弾するべきか」

オティヌス「どのみち『人間』の持つべき悩みではないな」

ガチャリ

刀夜「おお。当麻にオティヌスちゃんじゃないか」

上条「あっ、父さん……昨日の夜に帰ってきてたんだっけ。まだ寝てなくて大丈夫なのか?」

刀夜「ははは、社会人がそう休んでもいられないさ。今日は昼からまた本社に行かなくちゃならないしな」

刀夜「それより当麻。出張先でたくさんお土産を買ってきたんだ。今度のはアイスランドの『ミミルのなんとか』というヤツでな」

上条「またかよ父さん……毎度毎度出張行くたびにお土産なんか買ってくるけど、俺の不幸体質がよくなったことなんて一度もn」

オティヌス「――『父』よ。よく見せろ」ガタッ

上条「オティヌス!?」


オティヌス『……ふん、なるほど。大量生産の廉価品だけあって作りは甘いが、重要な譜号や象徴は外していない。悪くはないな』

刀夜『おお、流石はオティヌスちゃんだ。こっちはルーン文字を彫ったペンダントと聞いたんだが、どうだろう?』

オティヌス『ひどい。こいつはダメだな、共通ルーンと北欧特有のヤツがごっちゃになってる。よくある観光客狙いの詐欺だな、これは。売っていたのも現地の人間じゃないんじゃないか?』

刀夜『そうか……見た目が綺麗だったから思わず買ってしまったよ。しかしそうなると、あの店で買った物は全部だめかな』

オティヌス『まあ紀元前の頃からいる連中だからな。見た目がやけに凝ってるのもよくある手口……――って、おい! コレは凄いぞ! 馬鹿め、連中目利きがないからコレの価値を全く理解できていない!』

上条「……オティヌスが『こう』なったのって絶対父さんの影響だよなあ」

バタバタバタッ

ドンッ!

インデックス「大変なんだよ大変なんだよ!」

詩菜「あらあら、携帯を両手で持ってどうしましたかインデックスちゃん?」

上条「まーたプリン密室消失事件でも起きたのか。残念ながら犯人はお前だ」

インデックス「違うかも! だいたいあれはスフィンクスが場所を入れ替えてたから、私のがどれだか分からなくなっちゃっただけだもん!」

上条「最終的に『だったらどちらも食べればいいじゃない』と結論づけて上条さんのプリンまで食いやがって! 真犯人もドン引きだわ暴食シスターさんめ!」

インデックス「だってそもそもとうまが―――って、こんなこと言ってる場合じゃないかも!」

インデックス「ケイタイーに変なメールが来たんだけど、どうしたらいいのかな!」

上条「あん? メールってどんな……」

インデックス「――これ!」


オティヌス『……ふん、なるほど。大量生産の廉価品だけあって作りは甘いが、重要な譜号や象徴は外していない。悪くはないな』

刀夜『おお、流石はオティヌスちゃんだ。こっちはルーン文字を彫ったペンダントと聞いたんだが、どうだろう?』

オティヌス『ひどい。こいつはダメだな、共通ルーンと北欧特有のヤツがごっちゃになってる。よくある観光客狙いの詐欺だな、これは。売っていたのも現地の人間じゃないんじゃないか?』

刀夜『そうか……見た目が綺麗だったから思わず買ってしまったよ。しかしそうなると、あの店で買った物は全部だめかな』

オティヌス『まあ紀元前の頃からいる連中だからな。見た目がやけに凝ってるのもよくある手口……――って、おい! コレは凄いぞ! 馬鹿め、連中目利きがないからコレの価値を全く理解できていない!』

上条「……オティヌスが『こう』なったのって絶対父さんの影響だよなあ」

バタバタバタッ

ドンッ!

インデックス「大変なんだよ大変なんだよ!」

詩菜「あらあら、携帯を両手で持ってどうしましたかインデックスちゃん?」

上条「まーたプリン密室消失事件でも起きたのか。残念ながら犯人はお前だ」

インデックス「違うかも! だいたいあれはスフィンクスが場所を入れ替えてたから、私のがどれだか分からなくなっちゃっただけだもん!」

上条「最終的に『だったらどちらも食べればいいじゃない』と結論づけて上条さんのプリンまで食いやがって! 真犯人もドン引きだわ暴食シスターさんめ!」

インデックス「だってそもそもとうまが―――って、こんなこと言ってる場合じゃないかも!」

インデックス「ケイタイーに変なメールが来たんだけど、どうしたらいいのかな!」

上条「あん? メールってどんな……」

インデックス「――これ!」


「From:dai6inosyoutaiha@aopi.uso
 Subject:あなたも藍花悦になりませんか?

 最近、心配事が多くありませんか?
 忙し過ぎて五秒しか休みが取れなかったり、突然出てきた『どこにでもいる平凡な高校生』とのコミュニケーションが上手く行かなくて悩んでませんか?
 家のこと、学校のこと、留年のことや、JK化したラスボスのこと。人によって悩みは様々でしょう。
 苦しんで苦しんで、人格を否定され、存在を否定され、無間地獄を味合わされた挙句に生きるのが嫌になってしまうこともあるかも知れません。
 しかしそれは決して、あなたのせいでも、社会のせいでも、ましてやハイテンションじじいのせいでもありません。
 ただ、世界の構造。ヒトの歩んできた『ある営み』にこそ問題があるのです。
 例を挙げてみましょう。
 とある方は、「木原」だなんだと名乗ることでマッドサイエンティストの傍証にしたり。
 またある神は「オーディン(odin)」だの「ウォーダン」だの「オティヌス」だのいっぱい呼び名がありすぎてHOに出てきた時は途中まで気付かなかったぞファッk――だったり。
 そう、名前です。
 人が太古より繰り返してきた『名前を付ける』という営みそのものが、ヒトの世に混乱を生んでいるのです。
 民族紛争も国家間戦争も『科学』と『魔術』の軋轢も焼きリンゴ派と生リンゴ派の抗争でさえも、だいたい全部『名前』が原因なのです。
 実際思いませんか? サローニャとサンドリヨンが同じ巻に出てきたときはちょっと混乱したよ、とか。え、バードウェイって苗字だったの? 名前はレイヴィニアって……なにそれ可愛い、とか。
 ですので。私たちの目的は、名前を統一するという一点に集約されます。
 名前さえ統一すれば、神浄の討魔という中二ネームをウエスタンスタイルの痴女につけられることもないでしょう。また、テノールボイスの友人の本名がいつまで経っても分からなくてやきもきする必要もなくなります。
 さあ、どうでしょう。ほんの少しの間、鎌池和馬作品が刊行されてまた次の鎌池作品が出るくらいのわずかな時間でも構いません。一度だけ『藍花悦』になってみませんか?
 名前というしがらみを捨てて『藍花悦』になれば、きっと新しいあなたが見つかります。表面上の言葉に左右されない、本当のあなたが。
 私たち『藍花悦』はいつでも、いつまでもあなたを待っています――

 PS:最近、私たちを真似た活動を行う集団が増えています。『サンジェルマン』や『唯一無私』を名乗る集団にお気を付けください。                           」

……ss速報VIPにスレが重複したと思ってそちらの板にHTML依頼出したら、実はRの方にスレが立っていたことに今気づいたんですがどうしたらいいんでしょう?
初ssなので勝手が分からな過ぎてすでに泣きそうです

>>12
ありがとうございます
専ブラ導入してあちらで立て直します
ご迷惑おかけしました

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