提督「そんな馬鹿な話があってたまるか！」

提督「私の意識ははっきりしている。何も阻害されてはいない」

提督「ここまで攻め込んできた手腕は褒めてやるが……」

提督「とんだ無駄足だったな！　中枢棲姫！」

提督「お前もそう思うだろう？」

提督「なあ、大淀？」

不知火「不知火です」

提督「んなーっ！？」

中枢「フフフ……」

提督「い、いや、何かの間違いだ！」

提督「私は正気だ。ガスの効果など出ていない！」

大和「そうですよ、提督！」

長門「むしろこれは好機だ！」

加賀「のこのこと出てきた敵主力部隊を……」

赤城「ここで一気に叩きましょう！」

提督「ああ！」

飛龍「そうと決まれば戦闘準備！」

妙高「全員、艤装を身につけるわよ！」

夕張「どんどん載せて！　主砲ガン積みよ！」

島風「おっそーい！　もう行っちゃうよー！」

ﾜｲﾜｲ､ｶﾞﾔｶﾞﾔ……

提督「…………」

提督「な、なあ、お前たち」

艦娘「え？」

提督「さっきから何をやっているんだ？」

艦娘「？？？」

提督「遊びじゃないんだぞ？」

提督「自分が持っている物をよく見てみろ！」

吹雪「え？　ええっ？」

陸奥「そう言われても……」

大鳳「何もおかしなことなんて……」

伊58「って、あれ？　あれーっ！？」

比叡「この艤装、この装備って……！」

利根「漁業支援用の釣り具や網だーっ！？」

長門「な、なぜ間違えたんだ！」

金剛「ミステリィ！　分からないデース！」

吹雪「さっきまでは武装に見えたのに……！？」

霞「あー、もう！　何よ！　めちゃくちゃじゃない！」

中枢「フフフ……」

中枢「ドウダ、理解シタカ？」

中枢「ソンナ有様デハ戦イナドデキマイ」

中枢「サア、ソンナガラクタナド捨テテ」

中枢「大人シク我ガ軍門ニ下ルトイイ」

長門「くっ……！」

長門「いや、まだだ！　まだ手段は残されている！」

長門「かくなる上は直接攻撃だ！　この手で砲弾を叩き込んでくれる！」

中枢「ホウ？」

長門「この一式徹甲弾を……！」ｷﾞｭｯ

長門「貴様の澄ましたその顔に！」ｸﾞｲｲｰｯ‼

提督「あああああああっ！？」

提督「それは私のおち〇ぽおおおおおおっ！！！！」

長門「う、うわああっ！？」

長門「な、ならばこれだ！」

長門「陸上型対策に三式弾で！」

提督「あああああああああっ！！」

長門「なら、各種大発で！」

提督「あああああああああああああああっ！！」

長門「なんで紛らわしい場所にいるんだ！！」

速吸「ま、まあまあ、落ち着いてください」

速吸「食事がまだだったでしょう？　ここは一息ついて」

速吸「はいっ、どうぞ！　補給物資です！」

長門「し、仕方ない」ﾊｧﾊｧ

長門「ここは一服して……」ﾁｭｩｩ

提督「私の乳首ぃぃぃぃぃぃぃん！！」

長門「あああああ、もおおおおおおお！！」

陸奥「どうするの！？　このままじゃ全滅よ！」

武蔵「戦うこともままならんぞ！」

大和「何が何やら分からないまま」

金剛「撃破されてしまいマース！」

長門「くっ……！」

提督「落ち着け！　問題ない！」

大和「提督っ！？」

提督「これまでのことを思い出すんだ！」

長門「これまでのこと？」

提督「ああ、そうだ」

提督「そもそもお前たちに武器はいらない」

提督「裸一貫、拳ひとつで戦えるはずだ」

赤城「こんな時に精神論だなんて……！」

提督「精神論じゃない！」

提督「思い出せ！」

提督「何かしらのイベントがある度に……」

提督「お前たちは艤装を外して戦っていたじゃないか！！」

艦娘「「「「あっ！？」」」」

提督「水着姿で戦う者がいた」

提督「半被姿で戦う者がいた」

提督「一部の者など、よそ行き用の私服のままで！」

提督「見事、敵の艦隊を沈めてきたじゃないか！」

艦娘「「「「確かに！」」」」

提督「お前たちに武器などいらない」

提督「お前たちに準備などいらない」

提督「常在戦場、全身これ兵器である！」

提督「それが分かったら……」

提督「さあ行け！　我が艦娘たちよ！」

艦娘「「「「はい！」」」」

ﾜｧｧｧｧｧｧ……！

長門「はぁぁぁ！」

武蔵「せいやぁぁぁぁっ！」

吹雪「私たちも……！」

村雨「とりあえず、あるものなら何でも使って……！」

深海棲艦「ヒイイイッ！？」

中枢「ナンダ、ナンダコレハ！」

中枢「ヤツラ、同士討チモ恐レズニ向カッテクルゾ！」

中枢「ヤツラハ轟沈ガ怖クナイノカ……！？」

戦艦「アッ、アアッ！」

中枢「ナンダ、ドウシタ！」

戦艦「ソウイエバ、ヤツラ……」

戦艦「一度ノ戦闘デハ、絶対ニ轟沈シナインデスヨ……」

中枢「ナニィーッ！？」

中枢「クソッ、モウドウシヨウモナイッ！」

中枢「ココハ退却！　退却ダーッ！」

戦艦「アアッ、中枢棲姫サマ！」

空母「ソッチハ鎮守府ノ方……！」

中枢「エッ」

中枢「アッ」

中枢「ワアアアアアア！？」

ﾄﾞﾀﾊﾞﾀ､ﾎﾞｺｽｺ､ﾄﾞﾝｶﾞﾗｶﾞｯｼｬﾝ……

提督（こうして、戦いは混乱のままに終わりを告げた）

提督（指揮官を失った深海棲艦は撤退）

提督（数日経った今でも姿を見せていない）

提督（まだガスの効果が抜けていないのだろう）

提督（あれは我が身を滅ぼす類の劇薬だったのだ）

提督（かく言う私もガスの効果が残っているが）

提督（それもしばらくすれば収まるだろうとのことだ）

提督（今回の戦いは痛み分けという結果に終わったが）

提督（いつ何時、再び奴らが攻めてくるかは分からない）

提督（そうなった時のため、私たちはもっと強くならなければならない）

提督（長期化する戦争、まだ終わりは見えないが）

提督（彼女らがいれば、きっと明るい未来はやってくるはず）

提督（そう信じて戦い抜こう。いつか静かな海が訪れるまで……）

提督「さあ、行くぞ！」

提督「今日も元気に訓練だ！」

深海棲艦「「「「はい！」」」」

～おわり～