泰葉「部屋に戻ったら加湿器が設置されていた」 (17)




「...なんだろうこれ」

蒸気が部屋を埋め尽くし、最近寒くなってきたからなのか窓には結露が...ついている。

というか濡れている。加湿器の形状をみる。丸い子、細長い子、箱型の子。...大きさも様々だ。

あ、アロマもある、ここまで多いとあんまり感じないけど。

全ての加湿器に水が入って作動しているようだ、スチームでてるし、蒸気がでてないのも多分動いている。

多分蒸気が見えないやつだと思われる、まあ...どうでもいいかもしれないけれど。

数は...ひーふーみーよー...ちょうど10個か。思ったより多い。

そもそもこの寮の部屋にコンセントは10口もあっただろうか。あ、電源タップ...いっぱい付いてる。これ全部加湿器のコードなんだろうか。

さて...誰の仕業だろうか。私の部屋には加湿器はなかった。新しく買おうとは思ってはいたんだけど。

プレゼント...としてならありがたいのだけど、ちょっと多すぎる。

こんなにはいらないのだから、誰かに分けるべきだろうか?

「とりあえず...電源を切ったほうがいいよね」

一番手前にある丸い子の電源を切る。...ちゃんと止まった。

どうやら怪現象ではないらしい...あれ、なんか底にふやけたカードが。





【公演お疲れ様でした!私もあの世界で一緒に冒険したかったです! むつみ】

むつみちゃん、この丸い子...もとい丸い加湿器をくれたのはむつみちゃんらしい。

ありがとう、むつみちゃん。多分蒸気ってことで加湿器をくれたのだろう。...今度また冒険行こうね。

いったんむつみちゃん(仮)には玄関に移動してもらおう。...もしかして全部プレゼントだったりする?...いや、まさかね

...気を取り直して次はこの細長い子は...

【公演お疲れ様でした!泰葉さんすごかったです! 悠貴」

悠貴ちゃん(仮)だった。

いや、なんとなくそんな気もしてた自分が恥ずかしいけれど...やっぱりそうか。

演技には自信があったけれど、こうやって褒められるとやはり嬉しいし、今回は我ながらうまくいけたという自負もある。

悠貴ちゃんのような可愛い後輩に恥ずかしい所は見せられない...!さすがにそこまでは思ってないよ?...ほんとだよ?

...次はこの箱型の子を見よう。やっぱり底にカードがある

【公演お疲れ様!オフにまた遊びに行こうね! 千鶴 裕美】

千鶴ちゃんと裕美ちゃんだった。嬉しいなあ、ほたるちゃんは出演機会があったけれど、二人は出れなかったもんね。

二人で相談とかしたんだろうな...嬉しいなあ。さて、他の子は...誰からだろうか?




「清美ちゃん、葵ちゃん。名前なし...でも眼鏡マークついてるから春菜さんだろうなあ多分」

分かる範囲では箱型の清美ちゃん。楕円形型の葵ちゃん。

眼鏡マークつきが春菜さん、実用性高そうな箱型はフリスクの皆からだった。

...蒸気大作戦だったのかな?小さくて可愛いのが乃々ちゃんかな?このリボン...まゆさんも関わってそう。

共演者からももらってしまっていいのだろうか?...もちろん嬉しいけど。

名前がないのがもう一つ...これは...だめだ、わからないや。アロマだけど...志希さんとか?

でもそういうイメージないなあ、カシマシ(象のぬいぐるみ)の隣にいたのは何故なのか...

コンコン、とドアをノックされる。返事をして、ドアを開けると洋子さんだった。

「お疲れ様」

「お疲れ様です」

洋子さんが持っていたのは箱だった、あ...これは...

「もしかして加湿器ですか...?」

「え、どうしたのそのリアクション...」

「実は...」



私は説明した。今部屋に加湿器が10個あること。そして、どうしたらいいかを相談した。





「洋子さんもそれ...加湿器なんですよね?」

「いやー...まさかこんなことになってるとは」

洋子さんもいつきさん達からもらったらしい。この分だと...

「多分奈緒ちゃんや有香ちゃんも同じことになってるよね...」

「おそらくは。多分私だけ寮ですから、色んな人が来たのかと思います」

「泰葉ちゃんの人望でしょ」

「そうでしょうか...?」

「そうだよー可愛いなも~」ギュ~

「わぷっ」

あれ以来洋子さんはよくハグをしてくれるようになった、暖かくて心地いい。





それから少しだけ雑談をして...

「そろそろお暇しようかな」

「色々ありがとうございました」

「大丈夫大丈夫!じゃあねー」

「失礼します」

洋子さんは加湿器を持って帰っていった。事務所に置いてくるのだそうだ。ごめんなさい...

洋子さんを見送って...実はもう一つ謎が残っているのだ。

【一体誰が設置し、作動させたか】だ。私の部屋には鍵がかかっていたし、合鍵なんて渡したこともない。

寮だからアイドルの誰かだと思うのだけれど、わざわざそんな事しそうな人......



【寮~ロビー】

「...で、あたしのところに来たと?」

「はい。周子さん」

まず最初に思い浮かんだのは周子さんだった。私の部屋にもちょいちょい遊びに来るけど寮生ではなく。

こんな感じの悪ふざけが好きそうな人としての第一候補。幸いロビーにいたのですぐ声をかけれた

「あたしにどんなイメージを持ってるのか問い詰めたいとこだけどさ...違うよ?」

「そうですか」

「嫌にあっさり引き下がるんだね」

「聞いてみたかっただけなので...」

「そうなんだ。しっかし差出人不明の加湿器か...誰やろね?」

「そこちょっと気になるんですよねえ...全く知らない人なわけないし」

「アロマ入り...志希ちゃんぽいけど作動まではさせないと思う」

「同感です」

用意するならわかる。いや、持ってきたかどうかも不明だけど

「でもさ、別にいーんじゃない?」

「はあ」

「象のぬいぐるみの近くにあったんでしょ?多分象好きの誰かってことでいいじゃん」

...ん?





「周子さん?」

「んー?」

「私、その子がカシマシの近くにいるってまだ言ってないですよ?」

「...あの象カシマシっていうんだ」

こういうのをボロが出るというのだろうなあ。

「やっぱり周子さんじゃないですか」

あっさり謎が解けてしまった。なんだか拍子抜けである

「別にあれよ?泰葉の部屋行ったらダンボールがいくつかあってさー、寮母さんがどうしよう言うてたから合鍵借りて設置しただけだよ?」

「でも10個全て作動させる必要はないじゃないですか」

「...なんか楽しくなっちゃった」

「楽しくなっちゃいましたか」

ちょっと楽しくなって加湿器を設置しまくる周子さん...なんか可愛いな。

「そうなんだよー。許してくれる?」

「別にいいですよ...あれ?」

「どしたん?」

設置したのは周子さんだった。でも...

「周子さんは加湿器持ってきたわけじゃないんですよね?」

「そうだね、あたしが見た感じでは10個あったのは確認した」

ダンボールに添えてあったカードを底に差し込んでいたらしい、ふやけたのは計算外だったそうだ。まあしょうがない

「それじゃ...最後の一個は誰が」

「ごめん、あたしもわかんないや」

「...そうですか」





あの後周子さんと別れ、とりあえず加湿器を入れる。2個あれば十分だと思うのでちづひろみ(仮)とむつみ(仮)をつける。

そして...カシマシのそばにいた最後の加湿器を見てみる。...よく見ればなにかわかるかも。

ドームのような形をしていて、アロマがでる...ピンクの子。あ、小さい穴がある...ここにアロマを入れるのかな

「...ん?」

アロマの穴になにか詰まっている。細長くしたノートの切れ端?...周子さんの字だ。

【引き出しの一番上】

なんのことだろう?とりあえずカシマシの置いてあるタンスの一番上を開ける。

「...カードだ」

なにかが入っていた、カードだった。...周子さんかな?何々

【泰葉へ、お疲れ様。体に気をつけなさい】

「...お父さんだ」

ということはこっちは

【泰葉へ、とても面白かったです。プロなんだから喉を傷めないようにね】

「お母さん」

...これは父と母が送ってくれたのか、周子さん...ふやけないようにこれだけしまっておいてくれたんだ。

「...ふやけるってわかってるじゃないですか」

さて、周子さんに問い詰めに行くとしよう。でも、その前にお父さんとお母さんに電話をしよう。

手紙でもいいかもしれない。最初に書く言葉だけはもう決まっているのだから。



【お父さん お母さんへ。私は今、頑張っています】







ここからは後日談になります

【事務所】

「とりあえず事の顛末はこんな感じでした」

「そうか...なんか大変だったんだな」

...結局皆にはお礼を言いながら。事の発端は周子さんだったのは突き止めたので協力してもらいつつ、

厳正なる話し合いの結果。加湿器たちは加湿器を持っていない寮の子達に寄付された。

私は両親のものと、もうひとつ悠貴ちゃん(仮)をもらった。

むつみちゃん(仮)はほたるちゃんが、ちづひろみ(仮)は巴ちゃんが引き取っていった。

あとはまあ...それぞれだ。あ、乃々ちゃん(仮)は凛さんが持っていきました。

「ときにプロデューサー」

「なんだい?」

「皆こうやってくれたわけですが、プロデューサーはなにかくれないんですか?」

「お祝いはしたじゃないか」

「それはそれとしてなにか欲しいです」

「うーん...」

「とりあえず提案なんですが...」

さて、ちょっとの勇気をだそうね、私

「できることなら何でもいいよ?」

「私とお出かけしませんか?プレゼントはそこで決めましょう?」

「公演終わったばっかりだしな...ちょっとまって...うん、なんとかなるよ」

「本当ですか!?...楽しみにしてますね」

「それくらいでいいならお安い御用だよ」

これでよし、と。後は...当日を楽しみにすればいい。





...公演は終わった。けど私の物語は続く。

ときには一人で、あるときは仲間たちと一緒に。そして...プロデューサーと一緒に。

たまに険しい道もあるかもしれないけど最後は絶対ハッピーエンドになると。

そう、信じながら歩いていく。

それが...岡崎泰葉というアイドルなのだから。

以上です。モバマスSSって書くの忘れたごめんなさい。

公演素晴らしかったのでちょっと筆をとりました。岡崎泰葉は無限の可能性を秘めています。

本当にRに飛ぶんですねー依頼出してきます

あ、R18じゃないです

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