モバP「青春生き残りゲーム」【デレステ】 (12)
お城で一番光が届かない部屋に幸子は居た。
部屋を照らすのは、心もとないランプの明かりと、窓の外の空を厚く覆いつくしている雲から時折落ちる雷だけだった。
雷鳴と共に部屋が明るくなる。幸子の姿がはっきりと見えた。
そして幸子の前に鏡が。
幸子は、鏡に映る自分の姿をみてから、口元に笑みを浮かべ、
「鏡よ、鏡よ、鏡さん。世界で一番カワイイボクは誰ですか!」
鏡は一拍おいてから「それは、貴女でございます」と答えた。
幸子の笑い声が部屋に響いた。
幸子は、我に返りゴホンとわざとらしい咳払いをしてから、
「鏡よ、鏡よ、鏡さん。世界で一番カワイイボクは誰ですか!」
再び鏡に問いかけた。
鏡はまた一拍おいてから「アナタデス」と答えた。
「ふふーん。そうですよね。そうですよね。世界で一番カワイイボクなんですから」
幸子は満足そうな表情を浮かべて、
「では、今日も一日がんばりますか」
幸子はそう言って鏡の部屋から執務室へ移動した。
そして、執務室に戻ると幸子の陳情の書類の数々。それを一つずつ目を通していく。
「これはそうですね。こうしましょう」
案件に対しての改善方法を記載しては大臣に渡していく。
幸子は、住まう民の声に真摯に耳を傾ける。
暇があれば、古今東西の国の為になる書物を読み漁り、国を良くするために日夜がんばるのであった。
一方、幸子が去った部屋に残った鏡は何時も思う。
「世界で一番カワイイボクは誰」って質問は何だと。
そしてまた、翌日も同じ質問をされると思うと辛い。
その頃森では。
黒ずくめの怪しい男が、一軒しかない家の周りをうろちょろしていた。
「おかしいな。人がいる気配はあるけどな」
そう言って、ドアを開けようとする。
開かない。
何度も押したり、引いたりする。けれど開かない。
しかたないので、ドアを叩く。
けれど、反応は無い。
「だめか、やっぱり反応ない。本当にこの家に『あいどる』になれる子がいるのだろうか」
男は街で聞いた噂を頼りに、この家にやってきた。
「けど、ティンとくるものを感じるんだが。しかたがないか」
そう言って、ドアから距離を置いた。
「エクストリームスカウトを仕掛けるか」
そう言って、ドアに向って駆け出した瞬間。
森の置くから黄緑色のブサイクが現れ、男に封筒を渡し、へごボイスを残してすぐに消え去った。
封筒は白色だった。男はがっくりと膝をついた。
「髪など存在しない」
そう男はハゲだった。
とりあえず男は中身を確認する。
男の禿げ上がった頭がみるみるうちに青くなる。
「鬼、悪魔、ちひろ」
と叫んだ。
男は涙ぐみながら最後まで読む。
そして最後に追伸の文字と、
スカウトチケット販売決定
すばらしいお言葉が綴られていた。
「やち天」
男は叫んだ。そして、手紙の送り主の元へ向った。道中なんども
「やっぱり、ちひろさんは、天使だ。いや、女神さまだ」
と叫んだ。
男が走り去った方とは逆から7人の人影が、楽しそうにバラバラの歌を歌いながら家に向ってくる。
家に近づくにつれて、人影の正体が判明する。
先頭から。奏、ありす、頼子、茜、美優、楓、凛。の順だった。
何事もなく家に着いた。
男が開けることが出来なかったドアを奏は簡単に開けた。
ドアは押戸ではなく引き戸だった。
家の中には、本を呼んでいる、白い肌に黒い髪の美しい女性がいた。
「文香、ドアの鍵をかけないと無用心じゃない」
奏は、本を読んでいる女性に呼びかけた。
反応は無い。
「そうですよ文香さん。無用心です」
今度はありすが声をかけた。
けれど、反応は無い。
「まぁ、何も無かったみたいなので、良かったです。けれど、万が一、変な人が尋ねてきて、毒林檎を無理やり食べ差せてくることがあるかもしれませんし。出来れば鍵をかけてもらって、宜しいですか」
今度は頼子が声をかけた。
すると、本から一瞬だけ顔を外して、頷いた。
「では、文香ちゃん。私と一緒に走りに行きませんか」
唐突に茜が声をかけた。
文香は首を横に振った。
「では、私一人で行ってきますね」
そう言い残し茜は森に消えた。
「なら私はご飯作りますね」
美優は台所へ向う。
楓もその後を追った。
文香を巡って、奏・ありす・頼子が火花を散らしている。
けれど、そんなことはお構い無しに文香は、本を読んでいる。
台所では美優が手際よく料理を作っていく。それを一升瓶片手に持った楓がつまみ食いをする。
いつもとかわらない日常が広がっていt。
凛は「平和だ」と思いながらイスに座り、ただその様子を眺めていた。
以上。
タイトルに意味はないです。内容も意味がないです。
自分自身もわけがわかりません。
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