【ラブライブ】西木野真姫の怪談事件簿(299)

~西木野探偵事務所~

コンコンッ

真姫「どうぞー」

ガチャ

???「し、し、失礼しますっ!」

ドアから入ってきたのは少し緊張した感じの眼鏡の女の子

歳は私と変わらないくらいかしら?

表情を見たところ普通の相談者じゃないわね

真姫「西木野探偵事務所へようこそ」

真姫「コーヒーを入れてくるからそこに掛けて待っててもらえる?」

???「は、はぃ…」

真姫「ふふ。そんなに緊張しなくても大丈夫よ。待ってる間にこの書類に記入してて」

???「あ、わかりました。」

カチャ コポコポ

真姫「はいコーヒー。書類は書けた?」

???「は、はい」サッ

真姫「見せてもらうわね。」

相談者の名前は小泉花陽

年齢は私と同学年の高校一年生

相談内容は未記入

真姫「小泉さん。相談内容が未記入なのはどうしてなの?」

花陽「えっと…少し言葉にしにくいと言いますか…信用してもらえるかわからないのですが…」

真姫「あなたがここにきた理由は“チラシ”を見たからでしょ?」

真姫「あのチラシはこの真姫ちゃんオリジナルの結界術を施してあるからあなたのように霊障に悩まされてる人や霊感の強い人にしか見えないの」

真姫「私はあなたの言うことを疑わない。だから安心して話してくれていいわ」

花陽「…わかりました。実は発端は学校で流行ってる噂なんです…」

真姫「噂ね。内容を出来るだけ細かく説明してもらえる?」

花陽「はい…。私達の中ではまよいさんって呼ばれてる夢に出てくるタイプの怖い話なんですけど…」

第1話 花陽×迷路

依頼人…小泉花陽の話をまとめると

噂の名前はまよいさん
内容はまぁよくあるタイプね
夢に出てきてまよいさんになんらかの‘課題’を与えられる
クリア出来なければ夢の中に閉じ込められる…か
内容から察するに真宵さんではなく迷いさんってことかしら?

真姫「話はだいたいわかったわ。これから何点か質問させてもらうわよ」

花陽「…はい。」

真姫「さっきも言ったけどここのチラシは誰でも見えるわけじゃないわ。小泉さん、あなたに見えたってことは確実にあなたに霊障が起こってるってことだけどもうまよいさんは夢には出てきたわけ?」

花陽「いえ…私はまだまよいさんには会ってません…」

真姫「なら何故自分がまよいさんの怪談のターゲットって気付けたのかしら」

花陽「まよいさんの出す課題をクリア出来なければ夢の中に閉じ込められる…けど一つだけ帰ってこれる方法があるんです」

真姫「はぁ…次のターゲットをよこせってタイプね」

花陽「知ってるんですか!?」

真姫「法則よ。なぜまよいさんって言う怪談が夢に人を閉じ込めるかわかる?」

花陽「確か噂では…友達のいなかったまよいさんは一緒に遊べる友達を探してて閉じ込めちゃうって」

花陽「新しい友達を紹介すれば解放してもらえるって条件もあるので寂しいから…でしょうか?」

真姫「お話としてはそちらの方がストーリーがあっていいわね。でも真実は全く別の理由よ」

真姫「まず怪談っていうものは元々そこに存在しないものなの」

花陽「存在しないもの…作り話ってことでしょうか?」

真姫「簡単に言えばそうね。例えば霊と呼ばれるものは基本的に生き物の死から始まるものよ」

真姫「けど怪談は別。怪談の始まりは基本的に勘違いや噂話っていうイメージから生まれるものなの」

花陽「イメージから生まれる…」

真姫「そうよ。そして生まれた怪談は人に忘れられたら消滅する。だから怪談の…生存本能と呼べばいいのかしら?消滅を防ぐために自分のことを忘れない人間を確保する…もしくは確保した人間から次の人間へ移動して存在を認識してる人間を増やすのよ」

花陽「それが怪談の法則っ…」

花陽「じゃ、じゃあ!怖い夢を一回見るだけって割り切って人を紹介していけば対して被害はないってことでしょうか?」

真姫「それはダメよ。そういう類の怪談に触れると人間は壊れるのよ」

花陽「…っ!じゃ、じゃあ私の友達もっ…」

真姫「もしかしたら生命力の一部か記憶の一部を食われてるかもしれない。怪談は一人の人間を捉えて夢に閉じ込め続けるとその人間が壊れた時に存在を維持できなくなる…だから次の宿主を求めるってわけ」

花陽「食べられちゃった生命力や記憶は取り返すことはできるんでしょうか…?」

花陽「わ、私の友達は一度目を覚ましたんですが次のターゲットが私ってことを伝えてくれてすぐ倒れちゃって…」

真姫「安心しなさい。怪談が消滅したら元に戻るわ。ただし急がないと今も少しずつ食われていってるはず…」

花陽「どうして!?まよいさんはもうその子の中から出て私のところにきてるんじゃ…!!」

真姫「契約よ。なんで怪談がルールのある課題なんて押し付けてくると思う?」

真姫「問答無用で餌にすればいいのに課題を与えるなんて面倒でしょ」

花陽「それはそういうお話が元のイメージから生まれたから…とか…?」

真姫「それも半分正解よ。残りの半分は課題と見せかけての契約なの」

真姫「まよいさんの課題をクリアできなかったら夢に閉じ込められる…これは夢から出たいなら課題をクリアしなきゃと思わせる誘導」

真姫「本当はまよいさんと人との賭けになってるの。まよいさんは課題をクリアされたらストーリーが破綻して消滅、人は課題をクリアできなかったら餌になるっていうお互いの存続を賭けたギャンブルみたいなものよ」

真姫「けど本当のことを話しても賭けのテーブルについてもらえない…だから人から参加するように仕向けてくるのよ」

花陽「ず、ずるい!あ、でもそれじゃあ課題をやりませんって言えば解決じゃ…?」

真姫「無駄よ。そうすれば毎日夢に現れる新たな怪談って形に変わるかもしれないしお前が受けなきゃお前の親しい人のとこにいくぞ!って脅してくるかもしれない」

真姫「話が逸れたわね。お友達の話に戻りましょ」

花陽「はい…。でも、餌になる契約を破棄してもらう代わりに他の人を紹介するんじゃ…?」

真姫「って思わせるのが怪談のずるいところなの。」

真姫「実際はお前から食う分を減らしてやるから他の餌をよこせ…かしら?」

花陽「そ、そんな…」

真姫「まぁ怪談なんて理不尽なものよ」

花陽「うぅ…。私は助かりますか…?」

真姫「この真姫ちゃんに安心して任せておきなさい!」

花陽「は、はい!よろしくおねがいしますっ…!」

真姫「じゃあ早速動くわよ!ついてきて」

~ショッピングモール~

花陽「てっきりお寺とかに移動すると思ってたのに…どうしてショッピングモールなんですか?」

真姫「あなたと仲良くなるためよ?」

花陽「仲良く…?」

真姫「まよいさんが常にあなたに憑いてるタイプの怪談なら話は早かったんだけどね」

真姫「厄介なことに寝てるあなたの意識を自分のテリトリーに呼ぶタイプなのよ。」

花陽「まよいさんのテリトリーに入らなきゃ消滅させれない…ってことでしょうか?」

真姫「察しがいいわね」

花陽「それと仲良くなることにどんな関係があるんでしょうか?」

真姫「なに?この真姫ちゃんと仲良くなるのが嫌なわけ?」

花陽「い、いえ…そんな…!」

真姫「冗談よ。私がまよいさんのテリトリーに入るにはあなたに私を次のターゲットとして紹介してもらう必要があるわ」

花陽「それは…なんとなくわかります。」

花陽「私が探偵さんの名前を伝えるだけじゃ足りないんですか…?」

真姫「なんの耐性もない人が怪談のテリトリーに入ると思考に霧がかかった状態になるのよ」

真姫「その状態で助けを求めるとすれば基本的に仲のいい友人や家族…あなたの場合は私に依頼するほどだから私を頼ってくるとは思うんだけどそもそも思考が定まらない時に私の存在を思い出せないかもしれないでしょ」

花陽「…!!だから仲良くなる…」

真姫「そうよ!だから一緒に楽しく買い物でもしてあなたの意識に私の存在をきっちり刻んでもらおうってわけ」

花陽「わかりました。では探偵さん…よろしくおねがいします…!」

真姫「堅苦しいわね。真姫でいいわ。あと敬語も禁止!」

花陽「え…でも…それは………」

真姫「もう…私も花陽って呼ばせてもらうから!」

真姫「行くわよ!花陽!!」

花陽「あ、ちょっと待ってください…!」

真姫「敬語禁止!」

花陽「はい!じゃなくて…うん!よろしくね真姫ちゃん…!」

~西木野探偵事務所~

真姫「ふぅ…疲れたわね」

花陽「疲れた…」

真姫「本番はこれからよ…って言っても寝ないと始まらないから疲れてた方がいいんだけど」

花陽「クタクタで今すぐ寝れちゃうくらい…」

真姫「今日は事務所で泊まって貰うけど親御さんに連絡はしたの?」

花陽「あ…なんて説明しよう…」

真姫「友達の家に泊まるって言えばいいじゃない」

真姫「も、もう私と花陽はと、友達でしょっ!!」

花陽「…!!!う、うん!!」

花陽「ありがとう真姫ちゃん!」

真姫「お礼言われることなんて言ってないでしょ!イミワカンナイ」

花陽「ふふふ…おうちに電話してくるね」

真姫「早く行きなさいよ!!」

~仮眠室~

真姫「それじゃ花陽、横になって」

花陽「ううぅ…怖い…」

真姫「安心しなさい。私が横についてるから。信じて」

花陽「…うん!じゃあ行ってくるね…」

真姫「任せて。おやすみなさい花陽」

花陽「おやすみ真姫ちゃん…」

~花陽の夢の中~

花陽「ここは…迷路…?」

???「いらっしゃい!」

花陽 ビクッ

???「そんなに怯えなくていいよ!私はまよい!よろしくね!」

花陽 ブルブル

まよい「あらあら怯えちゃって可愛そう」クスクス

まよい「怖くないよ?私は友達を作りたいだけ…あなたは私の友達になってくれる?」

花陽「ひっ…!い、いやっ!!」

まよい「そんな拒絶しなくてもいいじゃない。冷たい人ね…」

まよい「ならいいわよ。この迷路から脱出できるなら逃げなさい!ただし脱出出来なければ私と一緒にここでずーーーっと遊んでね!」

~仮眠室~

真姫「花陽がうなされてる」

真姫「始まったのね…頑張って花陽!」

真姫「私もそろそろ準備しなきゃね」

~花陽の夢の中~

花陽「だ、だ、誰か助けて!!!」

まよい「ふふふ。脱出失敗ね」

花陽「い、いや!来ないで!近寄らないで!!」

まよい「そんなに私と一緒にいるのは嫌なの?」

花陽「嫌!!おねがいここから出して!!」

まよい「はぁ…仕方ないわね。じゃああなたが友達になってくれないならあなたの友達を紹介しなさい!」

まよい「あなたが遊んでくれないならその子と遊ぶわ」

花陽「私の友達…?」

まよい「そうよ。そしたらあなたは帰してあげる」

花陽(友達…誰がいたかな…?)

花陽(あれ?うまく思い出せないや…どうして…?)

「もう…私も花陽って呼ばせてもらうから!」
「も、もう私と花陽はと、友達でしょっ!!」
「安心しなさい。私が横についてるから。信じて」

花陽「…ま…き…ちゃん…」

まよい「まきちゃん…?それがあなたのお友達?」

花陽「助けて真姫ちゃん……!!」

まよい「ふふふ。じゃあその子に決まりね!あなたは帰らしてあげる」

まよい「あなたにもまた会えたらいいわね!」

~仮眠室~

花陽「こ、ここは!?」バサッ

真姫「花陽!目が覚めたのね!」

花陽「真姫ちゃん…真姫ちゃん!!!」ダキッ

真姫「安心しなさい。もう大丈夫よ」ギュッ

花陽「怖かった…怖かったよ…」

真姫「よく頑張ったわね。あとはこの真姫ちゃんに任せなさい!」

花陽「あ!まよいさんが…まよいさんが真姫ちゃんのところに行っちゃう…!」

真姫「ふふ…なに慌ててるのよ。打ち合わせ通りでしょ」

花陽「あれ…?そうだった…け?」

真姫(混乱してるのか記憶を食われてるのか…)

真姫「まぁ私は大丈夫よ。それよりまよいさんの課題の内容を教えてくれるかしら?」

花陽「…えっと…確か………あれ?思いだせない…なんでっ…!」

真姫「落ち着きなさい花陽。大丈夫だから」

花陽「ごめんなさい…。なんか少しフラフラする…あっ…」パタン

真姫「花陽っ!?」

花陽「zzz」

真姫「よかったわ。寝てるだけ見たいね。生命力を食われてるから仕方ないわね」

真姫「準備もできたし私もまよいさんに会いにいくとしましょっか」

真姫「誰の友達に手を出したか思い知らせなきゃ!覚悟しなさい!!」

~真姫の夢の中~

真姫「ここがまよいさんのテリトリー」

真姫「迷路というより迷宮ね…」

まよい「いらっしゃい!私はまよい!よろしくね!」

真姫「こんばんはまよいさん」

まよい「随分と落ち着いてるのね。あなたのような人は初めてよ」

真姫「少しこういうことの耐性があってね。それで?私はここでなにをすればいいのかしら?」

まよい「随分と話の早い人ね。私の望みは一つだけ。私とお友達になってずっとここで一緒に遊んでちょうだい!」

真姫「私の友達をいじめたくせに私と友達になりたいだなんて笑わせないで!あなたの友達なんてお断りします!」

まよい「ふーん。ならずっとここに閉じ込めちゃおうかなー」

真姫「私にそんな脅しは無駄よ。さっさと消えてここから出しなさい!」

まよい「出せと言われて出すわけないじゃない?出たければこの迷路から脱出してみなさい」

真姫「わかったわ。じゃあねさよなら」

まよい「ふふふ。いつまで強気で居られるかしら?脱出に失敗したら私と一緒にずっとここに閉じ込めちゃうから」

真姫「はいはいわかりました。話は終わったみたいだから私は迷路を進むわよ」スタスタ

~迷路入口~

真姫「おかしい」

真姫「迷路をクリアがこちらの勝利条件だとすればヌルすぎる」

真姫「まよいさんが今も存在してるというのはこの迷路がまだ誰にも攻略されてないってことよね」

真姫「迷路には割とメジャーな右手法や左手法の攻略法がある…今までの被害者は攻略法を知らなかったってことかしら」

真姫「この迷路の規模からしてそれなりの人数の生命力を使って作られたはず…誰一人として攻略法を知らないなんてことはありえないわね」

真姫「考えられるのは罠ね。まぁ考えても仕方ないか」

真姫「とりあえず右手法を使いながら進みましょ」スタスタ

~迷路序盤~

真姫「割となにもなくめるわ」スタスタ

真姫「このままゴールさせてくれたら楽なのに」スタスタ ガラガラ!

真姫「!!言ってる側から落とし穴っ!」

真姫「この真姫ちゃんにこすい罠仕掛けてんじゃないわよ!」

ふふふ。落ちなかったかざーんねーん!

真姫「どこから見てるのよ!」

ここは私のテリトリーよ?強気なあなたの心が折れるまでずーーっと観察してあげるわ

真姫「勝手にしなさい!絶対クリアして消滅させてあげるんだから!」

ふふふ。せいぜい強がって頑張ってね!

真姫「こんなくだらない罠だけでこの真姫ちゃんを倒せると思ってんじゃないわよ!」スタスタ

~迷路中盤~

真姫「ふぅ…半分くらいは進んだかしら?」

真姫「しっかしくだらない罠ばっかりね」

真姫「流石に虫の大群に追いかけられたのは気持ち悪かったけど…」

真姫「この調子でいけば準備したこれを使うこともなさそうね…って言ってる間になんかひらけた小部屋みたいな場所にでたわね」

キラッ

真姫「ん?奥にあるあれは姿見?」

ゴゴゴゴゴ

真姫「なっ!出口が!!」

真姫「ちょっとまよいさん!ここに閉じ込めてクリア失敗させるとか卑怯な手使うんじゃないでしょうね!」

シ---ン

真姫「無視ってことはこの小部屋からの脱出法があるはず」

真姫「この小部屋自体が閉じ込める罠だとしたらクリア失敗でまよいさんが現れるでしょうし」

真姫「とりあえずあの姿見を調べて見ましょうか」

真姫「これは…うつってるのは小学生のころの私…?」

真姫「サイドテールにしてるってことは二年生…手に持ってるのは…!!!!」

真姫「白い人形っ!!」ブルブル

真姫「ダメよ!捨てなさい!!」

鏡「いや。」

真姫 !?

真姫「私の声が聞こえるの?」

鏡真姫「聞こえるよ?」

真姫(どういうこと?もしかしてこの鏡は過去に繋がってるのかしら)

真姫(もしそうならあの人を救えるっ…!?)

真姫「その人形をすぐに捨てなさい。大変なことになるわ」

鏡真姫「嫌。」

真姫「いいから捨てなさいって言ってるでしょ!!後悔することになるわ!!」

鏡真姫 ビクッ!!

鏡真姫「うぇーーーん!!おねーちゃーーーん」タッタッタ

真姫「待って!行かないで!おねがい!」

真姫「くっ…」

真姫 !?

真姫「誰か連れて戻ってき………っっっ!!!」

鏡真姫「この鏡から声が聞こえたの」

鏡???「んー、普通の鏡に見えるよ?」

真姫「本物…なの?おねーちゃん…?」

真姫「おねーちゃん!!聞こえる?真姫よ!!」

鏡真姫「さっきは聞こえたんだよ?ほんとだよ?」

鏡???「真姫ちゃん寝ぼけちゃってたんじゃないかな?」

鏡真姫「そんなことないもん!ほんとだもん!」

真姫「なんで!?声が届いてないの!?おねがいおねーちゃん気付いて!!真姫よ!!」

鏡???「うん!おねーちゃんは真姫ちゃんを信じるよ!鏡さんは今はおねんねしてるのかな?」

真姫「おねがい聞いてよ!!おねーちゃん!!!」

鏡真姫「鏡さんもおねんねするんだね!」

鏡???「おねーちゃんも今日はじめて知ったよ!あっ、いけない!そろそろ行かないと真姫ちゃんのピアノの発表会遅れちゃうよ!いくよ真姫ちゃん!」タッタッタ

鏡真姫「待っておねーちゃん!!」タッタッタ

真姫「行かないで!ウッ…グスッ…おねがい待ってよおねーちゃん!!!」

真姫「ヒック…おねーちゃん…待ってよ…」

鏡「………」

真姫「二年生のピアノの発表会の日…」

真姫ちゃんはやっぱりピアノ上手だねぇ!一番だったね!!
おかーさーん!今日は真姫ちゃんの家にお泊りしてもいい?
やったー!一緒に寝ようね真姫ちゃん!

真姫ちゃんに近寄らないで!!
逃げて真姫ちゃん!!
はやく真姫ちゃんママのところまで走って!!
おねーちゃんは大丈夫だからはやく!!

鏡真姫「うわぁーーーん!おねーちゃんどこーー!!!うわぁーーーん」グスグス

真姫「おねーちゃんは…」

鏡真姫 !?

鏡真姫「グス…鏡さん…起きたの?おねーちゃんがいる場所知ってるの?」

真姫「………」

鏡真姫「ねぇどこなの?おねーちゃんは?ねぇ?鏡さんが連れてったの?」

真姫「………」

鏡真姫「お前のせいか?お前のせいでおねーちゃんはいなくなったんだお前のせいでお前が悪いお前がいたからお前がお前がお前がお前がぁぁぁぁぁ!!!!」

真姫(私のせいでおねーちゃんはいなくなった…)

真姫(私が悪い…)

真姫(私がいたからおねーちゃんが…)

真姫(私がいなくなればおねーちゃんは帰ってくるのかな…)

真姫「あつっ!!」ビクッ

真姫「ネックレスが熱い…」

真姫「そうよ…このネックレスに誓ったでしょ!!」

真姫「私が必ずおねーちゃんを見つけるって!助けるって誓ったんだから!」

真姫「こんなとこで折れてる場合じゃない!」

鏡真姫「おねがい…おねーちゃんを見つけて…」

真姫「任せて。約束する。私が必ず見つけ出すから!」

鏡真姫 ニコッ

鏡 パリンッ ガチャガチャ

真姫「砕けた姿見の奥に道が…」

真姫「トラウマで心を折るトラップだったのね」

ふふふ。泣き叫んじゃって可愛いところもあるのねあなた

真姫「悪趣味な罠仕掛けてくれて覚えときなさい!」

ええ。あなたの泣き顔は忘れられそうにないもの

真姫「ふんっ!」スタスタ

~迷路終盤~

真姫「扉?ゴールかしら?」

ガチャ

真姫「罠はなしっと…今までで一番広い空間ね」

スゥ

まよい「よくここまでこれたわね!心の迷路のエリアで折れると思ってたのに」

真姫「あなたが現れたってことはここがゴールってことかしら?」

まよい「私の後ろにある扉がゴールよおめでとう」

真姫「自分を消滅させる相手をわざわざ労いにきたってわけ?ご苦労様ね!」

まよい「あなたがあの扉から出れば私は消滅する…」

まよい「けどそう簡単にここを通すと思って?」

ズボッ ガシッ

真姫「くっ!!地面から手がっ!!」

まよい「つーかまえたっ!あなたは力があるみたいだからわかるわよね?」

真姫「この手っ…生命力を!」

まよい「せいかーい!このまま力尽きるのが嫌なら負けを認めなさい?」

まよい「今なら誰かを紹介してくれたらあなたは解放してあげるわよ」

真姫「誰が負けを認めるって?」

真姫「おねーちゃん」ギュッ

まよい「ふふふ…意地っ張りねぇ。そのネックレスに祈ったら何か状況が変わるのかしら?」

真姫「使役者の名に於いてウイングハートを解放するわ!いきなさい!!」

ピカッ
スタッ!!!

まよい「なっ…!!ネックレスからヒョウが!?」

真姫「私の可愛い式神パンサーよ!!パープルはあいつを!アイス、レッドは拘束してる腕を!」

パンサーズ「ガルゥ!!ガアァ!!!」ダッ

まよい「くそ!来るな!!」ブンブン

パープル「ガルルルルッ」ダッ

まよい「なめるな!」ズボッ ガシッ!

パープル「ガルッ!?」ズザ-

レッド、アイス「ガアアア!!」ガブゥ

真姫「よし!拘束が解けた!!レッド、アイス!本体を!」

まよい「くぅ!こんなとこで終われないわ!」クルッ

真姫「怯んでパープルの拘束を緩めたわね!捕まえちゃいなさい!!」

パンサーズ「ウガアアア!!」ダッ

ガブッ!!

まよい「ギャァァァ!!!」

真姫「これで終わりよ!」ピラッ

真姫「真姫ちゃん特製封印符をくらいなさい」バシッ

まよい「くそぉ!こんな…はずじゃ…!!」シュン

真姫「はぁはぁ…なんとか封印完了ね」

パンサーズ フリフリ

真姫「よしよし…いつもありがとう。戻りなさい」ナデナデ

シュン!!

真姫「ふぅ…消耗が激しいから温存してたのに式神まで使わされるのは予想外だったわ。とりあえず脱出ね」

ガチャ

~仮眠室~

真姫「うっ…うーん」ノビ-

花陽「真姫ちゃん!」

真姫「おはよう花陽」

花陽「おはよう真姫ちゃん…じゃなくてどうなったのぉ!?」

真姫「終わったわよ。花陽もよく頑張ったわ」ナデナデ

花陽「ううん。私なんて何もしてないよ」

真姫「怪談に巻き込まれるってわかってて夢に入る花陽の勇気があったからこそ解決できたのよ。自信持ちなさい」

花陽「…真姫ちゃんありがとう!」

花陽「あっ!そう言えば今回の件の代金って…」

真姫「いらないわよ。こう見えてお金には困ってないの」

花陽「ええっ!?でもっ…」

真姫「と、友達を助けるのに対価なんて求めないでしょ///」

花陽「ほんとにありがとう真姫ちゃん。真姫ちゃんが困ったらなんでも言ってね。花陽は真姫ちゃんみたいにはできないけど絶対に力になるから」

真姫「ありがとう花陽…あっ、一つお願いしてもいいかしら?」

花陽「もちよんだよ!」

真姫「もし‘白い人形’か‘サイドテールの女の子’怪談の噂があったらすぐ教えてほしいの」

花陽「白い人形とサイドテールの女の子…うん!約束するね」

プルルルル

花陽「電話…」

真姫「気を使わないででなさい」

花陽「…うん。もしもし、はい、小泉です。はい、はい。えっ!ほんとですか?はい!すぐ行きます!」

花陽「真姫ちゃん!寝込んでた友達の意識が戻ったって!」

真姫「ふふ…よかったわね」

花陽「うう…グス…まぎぢゃんほんとにありがとぉぉぉ」

真姫「こら泣いたら可愛い顔が台無しじゃない。はやく行ってあげなさい」

花陽「…うん!ほんとうにありがとう!近々改めてお礼にくるね!」ダッ

ガチャ バタン!

真姫「ふふふ…花陽たら鼻水も拭かずに出て行っちゃって」

真姫「まぁとりあえずハッピーエンドね?」

第1話 花陽×迷路 完

2話以降は仕事の合間に書き溜めて投下になるから日が開いたらするけどお許しを

~西木野探偵事務所~

ドアバーーーン!!!

真姫 ビクッッ

花陽「た、た、た、大変です!!!!」

真姫「花陽!びっくりするじゃない!」

花陽「ご、ごめんね真姫ちゃん…。でも大変なの!」

真姫「少し落ち着きなさい。もう…なにがあったのよ」

花陽「事件です!」

真姫「だからなにがあったのよ…ちゃんと説明しなさい」

花陽「女子高生アイドルユニットBi(ビィ)が突然の解散が決まりました…」

真姫「なによ大袈裟ね…アイドルの解散なんてよくある話じゃない」ハァ

花陽「Biの解散はアイドル界の歴史に残る大事件です!Biはデビューから今まで…」クドクド

真姫「あなたアイドルのことになるとひとが変わるのね」ハァ

花陽「そもそもアイドルとは…」クドクド

コンコン ガチャ

???「あのー、お電話でお約束させてもらってた者なんですが…」ソロリ

真姫「あ、どうぞ!ほら花陽!依頼人の方が見えたからコーヒーでもいれてきて!」

花陽「え、あ、はい。つい熱くなっちゃってごめんね。コーヒーいれてくるよ」

真姫「ありがとう。あ、こちらに掛けてこの紙に記入してもらっていいかしら?」

???「はい…わかりました…」カキカキ

真姫「書けた?書いたら申し訳ないけどサングラスとマスクを外してもらえるかしら?」

???「あ、ごめんなさい。ウッカリしてたわ」スッ

花陽「おまたせしましたー。コーヒーをおもち…」コトッ

花陽「…!!!!ピャーーーーーッ!!!!」

真姫 ビクッ
??? ビクッ

花陽「え、え、エリーチカが!!!エリーチカがなんでこんなところに…!!!!」

真姫「もう!急に叫ばないでってば!花陽の知り合いなの?」

花陽「知り合い?滅相も無い!さっき話してたBiのかしこいかわいいエリーチカですよ!」

絵里「ど、どうも…」ペコリ

真姫「へー、あなたが…」

花陽「わ、私は小泉花陽って言います!デビュー当時から大ファンです!」

絵里「小泉花陽さん…?あっ!いつもファンレターありがとう」ニッコリ

花陽「ピャァ!花陽のことを…あのエリーチカが花陽のことを…」プルプル

真姫「もう!いい加減にして!」バン

えりぱな ビクッ

真姫「話が進まないじゃない!花陽、これ以上騒ぐなら追い出すわよ」

花陽「ごめんなさい…」シュン

真姫「えっと依頼内容はストーカーの特定ね。ちなみに警察へは?」

絵里「行ったんだけどね。まだ実害がないって事で相手にしてもらえなかったわ」

花陽「トップアイドルのストーカー相談なのに…」

絵里「アイドルだからこそ多少は仕方ない的な対応だったわ…私たちのマネージャーや事務所の所長も何度か警察に足を運んで説明してくれたんだけど何しろ小さい事務所だしね…」

絵里「それで途方にくれてたらここのチラシを見かけて藁にも縋る思いで電話をかけたのよ」

まきぱな(チラシを…!?)

真姫「じゃあ早速そのストーカーについてわかってることを教えてもらえるかしら?」

絵里「ええ…」

第2話 絵里×暗闇

とりあえずここまで

絵里「被害は基本的に付き纏いなの…気配を感じて振り返ればそこにいる」

絵里「はじめは気にしないようにしてたのよ。なんというか…私たちの業界ではよくある話ではあるしね」

絵里「けど…増えたのよ…」

真姫「増えたってのはつけられる回数とかそういうこと?」

絵里「いえ…つけてくる人数が…」

花陽「…集団ストーカーってことですか?」ガクブル

絵里「ええ…今では多い時では5人くらいいるのよ」

絵里「一人だと大胆なことはできなくても集団だといつ箍が外れるかわからないじゃない?」

真姫「赤信号みんなで渡れば怖くないってやつかしら」

絵里「そうね。それで一人で行動することはやめて移動も送り迎えしてもらうようにしたんだけど…少し変なよ」

花陽「変?」

絵里「マンションの下までマネージャーが送ってくれて私が部屋に入って施錠が済んだらマネージャーに電話を入れてマネージャーは帰るって流れなんだけど」

絵里「その日は施錠したって連絡をいれたら念のためマンションの周りを見てから帰ってくれるって言ってくれて…なんとなくベランダに出てマネージャーのいる方を見たらマネージャーのすぐそばにいたの…あいつらが」

絵里「もしかしたらマネージャーに危害を加えられるんじゃないかと思ってハラハラしてみてたら普通にその集団の隙間を抜けていったの」

絵里「ホッとしたとたんストーカーがマンションの前にいることの恐怖が湧いてきて慌てて部屋に戻ったとこでマネージャーから着信があってね」

絵里「安心してください。マンションの周りには誰一人いませんでした。って…」

花陽「えっ…?」

絵里「確かにいたはずなんだけどもう一度ベランダに出る勇気は無くて…意識しすぎて幻覚でも見てたのかなって自分を納得させようとはしたんだけど…」

絵里「でももしかしたらマネージャーもグルなんじゃ?とか嫌な考えが止まらなくなってしまって…」

花陽「これってもしかして」ヒソヒソ

真姫「ええ、きっとマネージャーはグルなんかじゃなく‘見えない’のよ」ヒソヒソ

絵里「それでそのストーカー集団を調べてもらいたくて…少なくともマネージャーが無関係だとわかれば…」

真姫「安心していいわよ。そのマネージャーさんは無関係」

真姫「そしてストーカーの正体もだいたいわかったわ」

絵里「え?」

真姫「詳しく説明すると長くなっちゃうけど…私の専門は怪談って呼ばれる不思議な現象への対処がメインなの」

真姫「エリーチカさん…長いわね。エリーでいいわよね?」

真姫「エリーが見たここのチラシも怪談に悩まされた人にしか見えないよう結界を貼ったものなのよ」

絵里「結界…」

真姫「ええ。ストレートに言えばあなたをストーカーしてるのは人間ではないってこと」

絵里「失礼だけどにわかには信じられない話ね…」

真姫「まだあなたは本当に不思議な体験をしたわけではないしね」

真姫「はぁ…疲れるけど仕方ないか。見てなさい」ギュッ

真姫「使役者の名に於いてウイングハートを解放するわ!おいでアイス!」

ピカッ
スタッ

えりぱな !?

真姫「私の式神よ」

えりぱな「か、か、か可愛い!!!!」

真姫「デッショー!」

花陽「可愛すぎます!おいでー、よしよし」ナデナデ

絵里「ネックレスから…疑ってごめんなさい。あなたが霊能力者?ってことはわかったわ」

真姫「霊能力者とは厳密に言えば違うのだけどまぁいいわ。とりあえず戻りなさいアイス」

シュンッ

花陽「あぁ…消えちゃった」ガックリ

真姫「また今度合わせてあげるわよ。とりあえず話を戻しましょ」

真姫「ストーカーの正体はだいたいわかったんだけど一つだけ確認しときたいことがあるの」

真姫「エリー、あなたストーカーの姿を見たことはあるのよね?」

絵里「え、ええ。ベランダから見た時もそうだし何度かはこの目で見てるわ」

真姫「じゃあそいつらの特徴を教えてちょうだい」

絵里「えっと、確か…あれ?なんで?」

絵里「…思い出せない」

真姫「やっぱりね。安心していいわよ。思い出せないんじゃなくて見えてなかったってだけだから」

絵里「確かに見たのよ!この目で何度も!」

真姫「言い方が悪かったわね。見えてないのはストーカーそのものではなく服装だったり表情だったりが見えてないってことよ」

真姫「あなたが思い出そうとしてるストーカー達の姿は真っ黒なんじゃないかしら?」

絵里「ええ!どうしてわかったの?」

真姫「それがそいつらの特徴だからよ」

絵里「私はいったい何に取り憑かれているって言うの…」ガクガク

真姫「あなたについてる怪談は暗闇よ」

絵里「暗闇…」

花陽「あれ?でも暗闇の怪談なんて聞いたことないよ?怪談ってのは人に知ってもらってはじめて存在できるはずだったよね?」

真姫「暗闇ほどみんなの恐怖心を煽るものはないでしょう」

真姫「殆どの怪談話や心霊話に出てくるじゃない。暗闇の路地裏、暗闇の学校って感じでね」

絵里「その暗闇っていう怪談はどういったものなの?私は殺されたりしちゃうのかしら」ガクガク

真姫「安心していいわよ。暗闇ってのは基本的に意志を持つことはないわ。ただそこにあるだけ」

真姫「あなたは人一倍暗いところとかが苦手なんじゃない?」

絵里「え、ええ。真っ暗なところは昔から苦手で…」

真姫「どうして?」

絵里「いやだって怖いじゃない。なにかいてもわからないしお化けとか…」

真姫「そうそれよ。何かいるかもしれないって思いを暗い場所で毎回抱く。その思いが暗闇に形を与えてしまったのが今回のケース」

絵里「私はどうすればいいの…?」

真姫「なにもしなくていいわよ。暗闇に憑かれた場合の対処は簡単なの」

真姫「そこにいる者の正体を暗闇と知ること。ただの暗闇って理解するだけであいつらは形を失うのよ」

絵里「じゃ、じゃあもう大丈夫なのね!」

真姫「本来ならね。ただ二つ気になることがあるのよ」

花陽「気になること?」

真姫「暗闇には意志がない。そして形を作るにはそこに何かいるかもしれないという思いが必要」

真姫「エリーが夜道で振り向いてそこにいる。これはわかるんだけど明るい部屋のベランダからのぞいた時もいたことが気になることの一つ」

真姫「もう一つは複数いること。暗闇は混じり合ってしまうから同時にその場に複数存在することはないはずなの」

真姫「イメージで言えば液体。コップに水を二回に分けて注いだとしてもすぐ混ざるでしょ?」

絵里「じゃあまだ私に憑いてる暗闇は消えないかもしれないってこと?」ブルブル

真姫「こんな真昼間じゃ気配を探ることもできないわね」

真姫「よし。エリーあなたアイドルユニット解散したって聞いたけど今後のスケジュールは?」

絵里「えっと、とりあえずこの先一週間はおやすみをいただいてるけど…」

真姫「じゃあ決まりね。今日からしばらくあなたの部屋に泊まらせてもらうわ」

真姫「構わないわよね?」

絵里「ええ。むしろ一人にならずに済んで私はありがたいわ」

花陽「え、え、え、エリーチカのお家にお泊り!!!!」

真姫「花陽は危ないから帰りなさい」

花陽「そ、そんな!?」ガビ-ン

真姫「それにあなたは学生でしょ。まさか学校サボってついてくる気?」

花陽「真姫ちゃん!学校なんかより大切なものがあることを真姫ちゃんは知ってるはずだよ!」

絵里「あら?学校をサボるのは感心しないわよ?」

花陽「ピャッ!そ、そんなぁ」

絵里「うふふ。この件が落ち着いたら改めて正体するからゆっくり遊びにきたらいいわ」

真姫「そうと決まれば早速いきましょ」

花陽「ううぅ…」

ここまでー

速報復活か
とりあえずこれはここで書ききろっかな

しまった
投下しようとしたらメモ飛んだ

書き直して深夜に少し投下します

~絵里の部屋~

真姫「お邪魔するわね」

絵里「どうぞ。えっと…探偵さんの荷物はこの辺に置いておいて」

真姫「ありがと。あと真姫でいいわよ。私も勝手にエリーって呼んでるしね」

絵里「わかったわ。コーヒーを入れてくるわね。真姫は砂糖とミルクはどうする?」

真姫「ブラックでお願い」

絵里「ブラックね」

ガチャ コポコポ

絵里「はい。あとお茶請けにエリーチカ一押しチョコレートも召し上がれ」コトッ

真姫「ありがとう。いただくわ」パクッ

真姫「なにこれ!?すごく美味しいじゃない」

絵里「そうでしょ!私の衣装を扱ってくれてるデザイナーさんが趣味で作ってくれるのよ」

真姫「もうデザイナーやめてパティシエやるべきレベルよこれ」

絵里「あら?デザイナーとしても一流なのよ」

真姫「なによそれ…女子力の塊じゃない」

絵里「まぁ女子力が高すぎて性格面ですこし難ありなんだけど…」

絵里「と、まぁ関係ない話は置いておいて、どう?この部屋からその…気配?ってのは感じるのかしら?」

真姫「暗闇の気配はまだないわね。現れるとしてもあと数時間後じゃないかしら?」

真姫「ただ気になるのがテレビボードに飾られてるあの大きなクマのぬいぐるみ…あれはどこで買ったものなの?」

絵里「あれはファンの子からのプレゼントよ」

真姫「少し調べさせてもらうわよ」スッ

真姫 !?

真姫「エリー、ここを見て」

絵里「え?これは…」

真姫「縫い直した跡ね」

絵里「ということはこの中になにかが…」ガクガク

真姫「震えてないでハサミを持ってきて!」

絵里「わ、わかったわ」ダッ

絵里「はい…」スッ

真姫「切るわよ?」

絵里「ええ…」

チョキ チョキ チョキ

真姫「こ、これは!?」

絵里「ひぃ…あ、足?」

真姫「まさか…」

真姫ちゃんとおーとまりー♪
真姫ちゃんとおーとまりー♪
!?
真姫ちゃん危ない!グィ

ブロロロ バキィ

もう!真姫ちゃん!前見なきゃ危ないよ?
お人気さん壊れちゃったね
泣かないで真姫ちゃん ヨシヨシ

真姫「まさかあの人形の…?」

ブワァ!!!

真姫「っ!!いきなり気配が!!」

絵里「え?なに?なんなの?もういやぁ」グスグス

ここまで
メモ消し飛んだから少なくてごめんよ

見てるぞ~
おもしろいから続き楽しみ

>>77
ありがと
仕事の合間に書き溜めてるから日が空いたりするかもしれんが書ききるから安心してくれ

真姫「エリーは布団にでもくるまってなさい!」

絵里「チカァ…」オフトンイン

真姫「気配が近付いてきてる…急がなきゃ」ガサゴソ

絵里「なんまいだーなんまいだー神様仏様ーーー」ガクブル

真姫「そんなんで救われたら私も楽でいいわ!耳塞いで静かにしてなさい!」

ジジッ パリンッ

絵里「ひぃ…もう無理チカァ…」コテッ

真姫「照明が…!?もう中に入られたっての?」

カチッ パッ

真姫「一応、懐中電灯を用意してて助かったわ」

…ド…ォ……コ…ドコォ…

真姫「ほんとに複数いる…しかもこれは意思があるっていうの?」

…ア…ハド…ォ…ナイ…ドコォ…

真姫「なにかを探してる…?まさかこの足を?」

バッ!!

暗闇「ミツケタ」ニタア

ミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタ

真姫 ゾクゥ

真姫「懐中電灯の光源しかないここじゃやられるっ」

真姫「使役者の名に於いてウイングハートを解放するわ!出てきて!」

ピカッ スタ

真姫「レッドはあいつらを!アイスはエリーを乗せて窓から離脱!パープルは待機!」

ガシッ ダッ パリンッ!!

レッド「ガアァッ!!」ダッ!! スカッ!!

真姫「やっぱり物理的な攻撃は無意味ね…」

真姫「パープル!私を乗せて離脱!レッドはついてきて!」

ダッ!!!

ニゲタ…ニゲタ…ニガサナイ…

真姫「やばいわね…思ってたより速い」タッタッタッ

真姫「くっ…アイスを遠距離で使役してるせいで思ったより消耗が…なんとかしないと」ハァハァ

真姫「考えなさい真姫!きっと何か打開策があるはず…」

ニガサナイニガサナイニガサナイィィィィ

真姫「そうか!そうよわかったわ!レッド、エリーの部屋のぬいぐるみを持ってきて」ハァハァ

レッド「ガウゥ!」コクッ ダッ!!

真姫「パープルは回り道しながらエリーのマンションの方へ!」

パープル「ガウ!」ダッ!!!

真姫「アイスはエリーを無事に安全なとこまで運べたかしら…」ハァハァ

~西木野探偵事務所~

パリンッ スタッ

絵里「うぅっ!こ、ここは?」キョロキョロ

アイス「ガウ」

絵里「あなたは真姫の…それにここは真姫の事務所…」

絵里「私を連れてきてくれたのねありがとう」ナデナデ

絵里「真姫が一緒じゃないってことはまだ解決してないのね?」

アイス「ガウゥ」コクッ

絵里「私はもう大丈夫よ。あなたは真姫のところへ戻ってあげて」

アイス「ガウ!!」シュン

絵里「真姫…無事でいて…」

~絵里のマンション近くの路上~

真姫「パープル!あと少し頑張って」ハァハァ

パープル「ガアアァ!!」タッタッタッ

ツカマエルニガサナイツカマエルツカマエルツカマエル

レッド「ガアアァ!!!」ストッ

真姫「レッド!なんとか間に合った!足をこのぬいぐるみの中にっ!!」ズボッ

ドコォ…アシドコォ…

真姫「ハァハァ…やっぱり」

真姫「とりあえずあなた達は戻りなさい。いつもありがとう」

シュンッ

真姫「暗闇達は朝になったら消える…とりあえず事務所に」テクテク

ドコォ…アシハドコォ…キエタドコォ…

~西木野探偵事務所~

ガチャ パタン

絵里「真姫!無事だったのね!」

真姫「ええ、なんとかね。暗闇の件はまだ解決してないけど」

絵里「え?」

真姫「ベランダから下を見てみなさい」

絵里「ベランダ…まさか下に…」ガクガク

真姫「大丈夫。私の考えが正しければこっちに手は出せないはずよ」

絵里「どうしてわかるのよ!私の部屋はいきなり照明が破裂したのよ!」

真姫「落ち着きなさい。まず暗闇はあのぬいぐるみに入ってた足を探してる」

絵里「足…そういえばあの足はどこにいったの…?」

真姫「このぬいぐるみの中に戻したわ」ヒョイ

絵里「じゃあここに来ちゃうじゃない!」

真姫「思い出して。あいつらの気配が現れたのはぬいぐるみから足を出した瞬間」

真姫「あいつらはぬいぐるみの中にあると足の場所を特定できないのよ」

絵里「どうして?そのぬいぐるみは特別なものなの?」

真姫「ぬいぐるみ自体は普通のものよ。ただ足を入れた時に封印をかけられてたのね」

真姫「その封印が時間と共に弱まって足の気配が漏れてエリーの周辺に暗闇達が寄ってきた…」

絵里「だからぬいぐるみから出した瞬間に…」

真姫「ええ。あいつらは見えてるわけじゃなく足の気配だけを感じることができるのよ。」

真姫「その証拠に目の前で私がぬいぐるみに足を入れたのにあいつらは足の場所がわからなくなったわ」

絵里「でもここまでついてきてるのよね?」

真姫「ぬいぐるみから気配が漏れてるっていったでしょ。まぁ今晩くらいは大丈夫なはずよ」

絵里「じゃ、じゃあ!そのぬいぐるみを真姫が預かってくれたら私は大丈夫なの?」

真姫「直接の害はないはずよ。ただし漏れた気配がエリーに染み付いてる可能性があるからもしかしたら今までのように暗闇につき纏まれるかもしれないけど」

絵里「そ、そんなぁ…」

真姫「明日には解決してあげるからこの真姫ちゃんに任せなさい!」

絵里「チカァ…」ガクブル

真姫「しっかりしなさい!そのためにはあなたにも協力してもらわなきゃならないのよ」

絵里「協力?この件に関して私ができることなんてあるの…?」

真姫「トップアイドル、エリーチカにしかできないことよ!……………どう?できる?」

絵里「え、ええ…。それくらいなら頼めばなんとかなるはずよ」

真姫「なら日が昇って暗闇が消えたら準備を始めるわよ」

真姫「ふあぁ…もうクタクタだから少し寝るわ」

絵里「ちょっ…待って私も一緒の布団で!」アタフタ

ここまでー
次の更新で2話を終わらせる予定

しかしこういう話のエリチはほんとポンコツになってしまう
次のssではかしこくかわいく書くから許してくれ

~仮眠室~

真姫「ふあぁぁぁ…」ノビ-

真姫「なんかぐっすり眠れなかったわね」

真姫「ハァ…原因はこれね…」チラッ

絵里「zzz」

真姫「トップアイドルが16歳女子の布団に侵入!スキャンダラスな話題になりそうね」

真姫「ほら!起きなさいエリー!」

絵里「う、うーーん」ノビ-

真姫「コーヒーを入れてくるからちゃんと起きとくのよ」スタスタ

~西木野探偵事務所~

真姫「はい。コーヒー」コトッ

絵里「ありがとう」

真姫「それ飲んだら早速動くわよ。内容は覚えてるわね?」

絵里「え、ええ。大丈夫よ」

真姫「とりあえず深夜0時までは別行動になるからこれを持ってなさい」ヒョイ

絵里「これは真姫のネックレス?でもこれがなければ式神が出せないんじゃないの?」

真姫「式神を宿してるのはこっちよ」チラッ

真姫「こっちのは大切な人から預かってるものであなたに渡したのは元々私の物だった方」

絵里「よく見るとこっちは赤でそっちはオレンジのストーンがついてるわね」

絵里「大切なものじゃないの?」

真姫「大切なものよ…。無くさないでよね」

絵里「もちろん」ギュッ

真姫「簡単なおまじないをかけておいたから2、3日ならエリーに染み付いた足の気配を抑えてくれるはずよ」

絵里「ハラショー…さすが真姫ね」

真姫「出会って2日目で私の何を知ってるのよ…」

真姫「それよりエリー、あのぬいぐるみを手に入れた経緯を教えてもらえるかしら」

絵里「あれは昨日言ったと思うけどファンからのプレゼントよ」

絵里「まだ私とにこ…私の相方が無名でプロダクションにも入るまえよ。誰も聞いてないような路上ライブを終えた時に渡されたの」

真姫「直接渡されたの!?渡してきた人はどんな人なの!?」

絵里「ちょっと待って。ちゃんと思い出してみるわ」

~2年前~

絵里「今日も誰も聞いてくれなかったわね…」ハァ

にこ「そうね…」

絵里「私達このままでいいのかしら」

にこ「何弱気になってんのよ!諦めちゃダメよ!」

にこ「にこ達は人を笑顔にするために頑張ってるのよ!そのにこ達が暗くなってどーするわけ?」

絵里「けど…」

タッタッタッ

???「これ…」スッ

絵里「え?これを私に…?」

???「お願い…」フラッ

絵里「ちょっとあなたっ!大丈夫?」ガシッ

???「だ、大丈夫…だから…」ブン タッタッタッ

絵里「いっちゃった」

にこ「やったわね絵里!アンタのファン第一号よ!」

絵里「ファン…私の?」

にこ「そうよ!大切なファンからのプレゼント、大切にしなさいよ!」

絵里「私のファン…」ポロッ

にこ「ちょっとアンタ何泣いてるのよ!あの子を笑顔にするためにもアンタが笑顔でいなきゃダメじゃない」

にこ「にっこにっこにー!ほら、やってみなさい」

絵里「ふふ…それは嫌よ。でもありがとうにこ」

にこ「ふ、ふん!ファンが一人できたからって調子に乗っちゃだめよ?にこなんて既に3人も熱狂的なファンがいるんだから!」

絵里「3人ってこころちゃんとここあちゃんとこたろう君でしょ」ウフフ

にこ「そうよ!悪い!?アイドルにこにーはあの子達のためにもとまれないのよ!」

絵里「そうねにこ。私もさっきの子のために止まれないわね」

にこ「わかったら家に帰って新曲考えるわよ!」

~現在~

絵里「って流れで渡されたんだけど実はファンからのプレゼントじゃなくて呪いだったなんて…」

真姫「その子がエリーにぬいぐるみを渡した意図はわからないじゃない。ぬいぐるみの中の足をその子が知らなかった可能性もあるわけだし」

絵里「だといいんだけど…結構ショックだわ」

真姫「まぁその子の意図は想像の域を出ないわ。それより外見的な特徴を教えてもらえる?」

絵里「えっと…フラフラで俯き気味だったから顔色が悪いってことはわかったけど顔はあまり見えなかったの」

真姫「何歳くらいでとか来てた服とか分かる範囲でいいのよ」

絵里「流石に2年以上前だから服装は覚えてないわ。歳は当時の私より少し下に見えたから今は15~17…高校生くらいの歳かしら?」

真姫「ほとんど手掛かりなしね」ハァ

絵里「あ!そういえば特徴的なサイドテールだったわ」

ガタァ ガチャン

真姫「どんな髪型!?ちょっとやってみて!!」

絵里「ちょっと落ち着いて真姫!コーヒー溢れちゃったじゃない」

真姫「そんなのいいからはやくして!」

絵里「もう…いきなりどうしたのよ…」ンショ パサァ ギュ

絵里「こんな感じのサイドテールよ?変わった髪型だから間違いないわ」

真姫「…おねえちゃんなの?」ボソッ

絵里「真姫…?」

真姫「そのファンの子はそれ以降は?」

絵里「一度も見てないわ」

真姫「そう…」

真姫(あの人形の物と思われる足が入ったぬいぐるみ)

真姫(そのぬいぐるみを渡してきたおねえちゃんと同じ髪型の女の子)

真姫(おねえちゃんが生きてればエリーの一つ下)

真姫(おねえちゃんは生きてる…?)

絵里「…き!真姫ってば!」

真姫「え!あ、ごめんなさい。少し考え込んでたわ」

絵里「その子に心当たりがあるの?」

真姫「もしかしたらってレベルだけど。まぁとりあえずは今晩のことに集中ね」

絵里「じゃあ私は準備してくるわね」

真姫「ええ。よろしく頼むわね」

~PM7:00~

真姫「さてと、そろそろ湧いてる頃かしら?」ガラガラ

ドコォ…アシドコォ… ワラワラ

真姫「五匹か…昨日も暗闇の中で五匹だったわね」

真姫「もしかしたら五匹が上限なのかしら?」

プルルルプルルル

真姫「もしもしエリー?」

真姫「そう、さすがね!なら0時過ぎにそっちに着くようにするわ」

真姫「ええ、大丈夫よ。またあとで会いましょう」プツ

真姫「あと5時間か…コーヒーでも入れようかしら」

~???~

にこ「本当にそんな方法でアンタのストーカー問題は解決するわけ?霊感商法に引っかかってるだけじゃないの?」ジト-

絵里「真姫は本物よ?今は信じられないかも知れないけどお願い。協力して」

???「大丈夫だよ絵里ちゃん。にこちゃんも絵里ちゃんのことが心配だからここまで来てくれてるんだよ」

???「おかあ…社長にも絵里ちゃんのためにお願いしますって言って今回の件の後押ししたのもにこちゃんだよ?」

絵里「にこ…ありがとう」

にこ「適当なこと言ってんじゃないわよ!私はうじうじしてる絵里を見てると気が参るから好きにやらせたらって言っただけよ!」

にこ「だいたい暗闇だかなんだか知らないけどなんで宇宙ナンバーワンアイドルのにこを差し置いてアンタのストーカーになるわけ?」グチグチ

???「ふふふ…ほんとにこちゃんは素直じゃないね」

絵里「ほんとにね」

~西木野探偵事務所~

真姫「11時半、そろそろ行かなきゃ」

真姫「使役者の名に於いてウイングハートを解放するわ!おいでパープル!」

ピカッ スタッ

真姫「行き先はわかるわね?」

パープル「ガウ」コクッ

真姫「よしいい子」ナデナデ

真姫「それじゃいくわよ」

パープル「ガルゥ!」ダンッ

~西木野探偵事務所前~

ドコォ…アシドコォ…

スタッ

真姫「ぬいぐるみから足を出してっと…」スッ

アシダ…ミツケタ…ミツケタ…ツカマエル

暗闇「ミツケタァ…」ニタァ

真姫「食いついたわね?お探しのものはここよ!付いて来なさい!」タッタッタ

ニガサナイ…ミツケタ…ツカマエル… ブワァ

真姫「相変わらず速いわね!このまま逃げ切るわよパープル」

パープル「ガル!」

ニガサナイィィィィ…

~???付近~

真姫「12時3分!ベストタイミングで目的地が見えて来たわね!」

真姫「パープル!このままアキバドームの中へ!!」

アシィィ…ヨコセェ…アシィィィィ…

~アキバドーム~

エリ-!!!

絵里「真姫!!!準備はできてるわ!はやくステージに」

にこ「なっ?あたりの空気がいきなり重たくっ…」

???「きゃっ!寒いっ!」

タッタッタッタ!!

スタッ

真姫「エリーまだよ!」

アシヲヨコセェェェェ…

真姫「よし暗闇がドームに入ったわ!パープル戻りなさい!」シュン

暗闇 ニタァ

真姫「勝ちを確信するには早すぎるんじゃない?」

アシヲ…アシヲヨコセェェェ!!! バッ

真姫「今よエリー!!!!」

絵里「せーのっ!」
にこ「おりゃっ!」
???「えいっ!」

ガチャン パッ

真姫「っ!まぶし!」

グアアァァァ ギャァアァァアァ

真姫「これだけの光の中なら形を保てないでしょ!」

グアァァァ…アシィィィ…アシヲカエ…

コロン コロン コロン

真姫「このカケラは…まさか人形の…」

真姫「カケラが五個…なるほど。これがあったから混じり合わずに済んだってことね」

真姫「足を求めたのもこのカケラの意思か」

絵里「真姫ーーー!」タッタッタッ

真姫「エリー。終わったわよ全部」

絵里「怪我してない?ほんとにありがとう真姫!!」ダキッ

真姫「パンサーに乗って移動してきただけよ。大袈裟ねもう」ハァ

にこ「アンタが真姫?今回はうちのポンコツな相方が世話になったわね」

真姫「相方…?エリー、あなた小学生とユニット組んでたの?」

にこ「だぁれが小学生よ!!!にこは絵里と同い年!!」

真姫「え?嘘でしょ…」

にこ「アンタ初対面のくせに失礼すぎるわよ!だいたい宇宙ナンバーワンアイドルのにこのこと知らないわけ!?」

真姫「ごめんなさい。あんまりテレビとか見ないのよ」

真姫「飴あげるから機嫌なおして?」ガサゴソ

にこ「ナチュラルに小学生扱いしてんじゃないわよ!!だいたいアンタっドンッ

にこ「にごぉぉ」パタン

???「かわいいぃぃぃ♪真っ赤な髪にツンとしたツリ目!!!や~~ん♪お人形さんみたい!」

真姫「えっ?ちょっとなによ?誰なの?」アタフタ

???「あ~~~ん♡困った顔も素敵ぃ!!真姫ちゃんだよね?真姫ちゃんって呼ぶね?ことりのことはことりん♪って呼んで♡」

真姫「なによそれ!いきなりなんなの?イミワカンナイ!!」

ことり「もう真姫ちゃん見てるとインスピレーションが止まらない~♪持って帰ってことりのおやつに…」

絵里「こらことり!真姫が困ってるでしょ。落ち着きなさい」

ことり「だってぇ~♡」

絵里「ごめんなさい真姫。とりあえず紹介するわ」

絵里「あっちで白目向いて倒れてるのが矢澤にこ。私のパートナーよ」

絵里「そしてこっちのあなたを持ち帰ろうとしてる猛禽類がデザイナーのことり」

ことり「もう!ことりは猛禽類じゃありません!」プンスコ

真姫「性格面で難あり…納得だわ…」

絵里「とりあえず社長に無理言って借りて貰ったからそろそろ出ないと」

ことり「あ、じゃあことりからお母さんに終わったって連絡しときます♪」

真姫「なんかどっと疲れたわ…とりあえず私の事務所に行きましょう」

えりことまき スタスタスタ

にこ「ナチュラルに置いていくんじゃないわよ!待ちなさい!!」ダッ

~西木野探偵事務所~

真姫「ってなんであなた達も付いてくるわけ?」

にこ「アンタ達が置いていこうとするから追いかけて来たのよ!」

ことり「可愛い子の影にことりあり!だよ♪」

真姫「イミワカンナイ!」

絵里「あはは…騒がしくてごめんなさい」

真姫「まぁいいわ。とりあえずエリーにお願いがあるの」

絵里「お願い?私にできることならなんでもするわ」

絵里「真姫は私の恩人だもの」

真姫「ありがとう。お願いって言うのはこのぬいぐるみとぬいぐるみから出てきた足、暗闇が落としたこのカケラを私に譲ってもらいたいの」

にこ「ダメよ!その足とかカケラは何かわからないけどそのぬいぐるみだけはダメ!」

絵里「にこ…ありがとう。でもいいのよ」

にこ「いいわけないでしょ!私達がここまで来るまでにどれだけあのぬいぐるみに支えられたと思ってるの!」

にこ「あのぬいぐるみを貰った時の気持ちを支えにしてここまで来たんじゃない!」

絵里「そうね。じゃあ真姫に預けることにするわ。必要なくなった時に返してちょうだい?」

真姫「ありがとうエリー。大切に扱うことを約束するわ」

にこ「絶対返しなさいよ!失くしたりしたら許さないんだから!」

真姫「あなたに言われなくてもわかってるわよ!エリー、預けてるネックレスだけどぬいぐるみを返す時まで持ってて!担保よ!」

絵里「そこまでしてもらわなくても大丈夫よ?私は真姫のことを信用してるもの」

真姫「担保は冗談よ。アフターケアじゃないけどあなたについた足の気配が消えるまでつけときなさい」

真姫「変な気配をつけたままだと何が寄ってくるかわからないしね」

絵里「こ、怖がらせないでよ!わかったわ。私も大切に預かっておくわ」

真姫「さてと、今回の依頼の報酬について話させて貰ってもいいかしら」

にこ「ぬいぐるみ持ってくんだから安くしなさいよ!」フンッ

絵里「にこっ!いい加減にしなさい!」

ことり「ごめんね真姫ちゃん。にこちゃんは素直じゃないだけでこう見えて大切な絵里ちゃんを助けてくれた真姫ちゃんにちゃんと感謝してるんです」

真姫「なんとなく素直じゃないのはわかるから大丈夫よ」

にこ「なに勝手ににこのことわかった気で…ガシッ

ことり「にこちゃん?そんなにことりのおやつになりたいのかなぁ~♪」ニッコリ

にこ「にごぉ…そうにこ!にこは絵里ちゃんのこと大好きで真姫ちゃんに感謝してるにこ!!」アセアセ

ことり「うんうん♪おりこうさんだね~」

真姫「…話を進めていいかしら?」

絵里「腰を折ってしまってごめんなさい。続けて」

真姫「とりあえず事務所の窓の修繕費を必要経費とさせてもらって報酬は花陽と写真を撮ってあげて」

絵里「え?窓の修繕費と写真だけ?それじゃあなたは商売にならないじゃない」

真姫「お金のためにやってるんじゃないからいいのよ。それに今回は収穫があったしね」

真姫「どう?この内容で請求させてもらっていいかしら?」

絵里「ええもちろんよ。あの子にはメジャーデビューから支えてもらってるしね」

にこ「花陽ってもしかしてBiのファンクラブNo.001の小泉花陽!?」

絵里「ええ毎回ファンレターをくれてるあの小泉花陽さんよ」

にこ「ふふふ!ファンのためなら仕方ないわねぇ!このにこにーも一肌脱いであげるわ!」

~西木野探偵事務所~

絵里「じゃあ花陽ちゃん。私とにこの間に」

にこ「花陽ちゃん!ポーズはにっこにっこにーよ?わかるわね?」

花陽「任せてください!」

ことり「撮影はことりにまかせて!」

にこ「いくわよ~せーのっ」

にこえりぱな 「にっこにっこにー!!」

パシャッ

真姫「まぁ今回もハッピーエンドね?」

第2話 絵里×暗闇 完

第2.5話 花陽×アイドル

~西木野探偵事務所~

にこ「真姫ちゃん!早速小泉花陽に連絡しなさい!」

ことり「もう深夜の一時すぎだよ?流石にその子も寝てるじゃないかな?」

真姫「そうね。とりあえずトークでいつがいいか聞いてみるわ」

maki 事件が片付いたからエリーと相方のにこちゃんが花陽と写真を撮ってくれるらしいわ
都合がいい日を教えてちょうだい

ピロン

小泉花陽 今すぐ行きます

真姫「即レス…今すぐ来るって…」

絵里「今すぐって…夜も遅いし危険だわ」

にこ「そうよ。後日ちゃんとにこ達も時間作…」

バアァァァン

花陽「ピャァァァァァァ!!!!!」

にこまきえりこと ビックゥ!!!

花陽「エリーチカと写真!!!ピャァァァァァァ!!!!!生にこにーーー!!!!そのお隣の方は!!!可愛い!!!花陽の知らないアイドルがまだいたなんて!!!!まだまだ勉強不足でした!!!!推していきます囲います!!!お名前を教えてください!!!!」

真姫「花陽!!いきなり叫びながら入ってこないで!何時だと思ってるの!だいたいあなた来るの早すぎない?」

ことり「や~~~ん!!!!天使降臨!!!」

にこまきえり ビクッ!!

ことり「真姫ちゃんだけでお腹いっぱいだったのにこんなデザートまで出てくるなんてぇ♡私はことりです♪花陽ちゃんでいいのかな?あ~~ん♡」

絵里「ことり!急に大声ださないでよ」

ことり「だってぇ~」

真姫「もう!静かにしないと追い出すわよ!!」

にこ「なによこのカオス…」

~10分後~

真姫「ぜぇ…はぁ…やっと落ち着いた…」

絵里「お疲れ様…」

にこ「この二人に囲まれたら脳が溶かされそうだわ…」

ことり「ごめんねぇ~つい興奮しちゃって」

花陽「うぅ…すみません」

真姫「もういいわよ…とりあえず花陽は写真撮ってもらいなさいよ」

絵里「じゃあ花陽ちゃん。私とにこの間に」

にこ「花陽ちゃん!ポーズはにっこにっこにーよ?わかるわね?」

花陽「任せてください!」

ことり「撮影はことりにまかせて!」

にこ「いくわよ~せーのっ」

にこえりぱな 「にっこにっこにー!!」

パシャッ

にこ「Biとして最後の写真よ!現像したらサイン入れたげるから持ってきなさい」

花陽「えっ…。エリーチカさんの問題が解決したのに解散しちゃうんですか…」

絵里「ふふ…エリーチカさんって。絵里でいいわよ花陽。あのね、解散は私の問題とは関係ないのよ」

にこ「あ、ネットに書いてる不仲説とかも信じちゃダメよ!」

花陽「なんで解散しちゃうんですか…今や誰も追いつけないアイドル界のトップまできたのに」ウルウル

にこ「花陽ちゃ…いや花陽。にこ達のファンのあなたにそんな顔させてごめんなさい。でもね、あなた達を笑顔にするためににこ達は駆け抜けてここまできた」

にこ「そしてこれからもそうよ」

絵里「私達の解散は発展的なものなのよ。あなたほどアイドルに詳しいなら私達の所属するプロダクションがどれほどこの世界では小さく脆いところかわかるわよね?」

花陽「確かにミナミプロは今のところBiという柱で支えられている芸能事務所…」

絵里「そう、うちの社長…まぁことりのお母様なんだけどね。私達の路上ライブを聴いて私達の才能を信じて会社を立ち上げてくれたのよ」

にこ「自分の持ってるもの全て使ってにこ達に賭けてくれたのよ。それがあったからここまでこれた」

ことり「ことりには留学や有名デザイナーとの交流会をいろんなところに頭を下げてセッティングしてくれたの」

絵里「だから三人で話して決めたのよ。Biという一本の柱じゃなくて…」

にこ「私は矢澤にこという大銀河宇宙ナンバーワンアイドルという柱になる」

ことり「ことりはミナリンスキーというデザイナーとして柱になる」

花陽「あの有名ブランドprintempsの天才デザイナーのミナリンスキーがことりさん!?」

絵里「そして私は絢瀬絵里というトップモデルとして柱になってみせる」

絵里「アイドルからモデルへの転向はまだ未発表なんだけどね」ウインク

花陽「じ、事件です!!!これは芸能界の歴史に刻まれる事件です!!!」

にこ「私達の大切なファンのあなたに誓うわ」

絵里「今あなたの前で宣言したことを私達は絶対に成し遂げてみせる」

ことり「だから笑顔で応援してくれるかな?」

花陽「はいっ!みなさんのファン代表としてずっと笑顔で応援することをお約束します!」

絵里「今までBiを支えてくれてありがとう。そしてこれからもよろしくね」

にこ「花陽みたいな子がいてくれるからにこ達はこれからも走り続けれる」

ことり「よーし、じゃあここで再出発記念にもう一枚写真とろう?」

花陽「ぜ、ぜひお願いしますぅ!真姫ちゃんも!!早くこっちに!」

真姫「私はいいわよ…芸能なんて興味ないし」カミクルクル

絵里「うふふ…会話を置いてけぼりにされて拗ねてるのかしら」ヒソヒソ

ことり「や~~ん♡拗ねてる真姫ちゃんもかわいぃ♪」ヒソヒソ

にこ「仕方ないわねぇ」ヒソヒソ

にこ「ま、このにこにーと並んで写るのが恥ずかしいならしょうがないわ!」

真姫「なっ!そんなこと言ってないでしょ!」

にこ「にこにーと比べられるのが怖くないならこっちにくるにこ!」

真姫「ふんっ!にこちゃんこそ私の引き立て役にならないようにがんばんなさい!」

にこえりことぱな(チョロい!!!)

ことり「セルフタイマーセットしたよ」

にこ「じゃあいくわよ!せーのっ」

「「「「「にっこにっこにーーー」」」」」

パシャッ

花陽「最高のハッピーエンドです!」

第2.5話 花陽×アイドル 完

ここまで
3話も出来るだけ早くまとめるけど日が開いたらすまん

~???~

ザッザッザッ

ビュ---ガサガサガサ

???「あらあら、せっかく纏めたのに風が強いなぁ」

???「こんな日は風に誘われて珍しい来客がありそうやね」

ザッザッザッ

~西木野探偵事務所~

真姫「とりあえず今ある情報を整理してみましょう」

エリーのファン第1号のサイドテールの女の子

年齢、特徴、なによりもあの足が入ったぬいぐるみの元の持ち主

真姫「これでおねえちゃんと無関係…ってことはないわよね」

真姫「次に足と暗闇が落としたカケラ」

カケラを持ってた暗闇は足を求めてた

普通に考えるならこのカケラは砕けたあの人形の破片よね

ただしこれがおねえちゃんに繋がるとしても情報が足りないわね

真姫「最後はエリーから預かってるぬいぐるみ」

見た目は普通のぬいぐるみだけど2年もの間あの足の気配を抑える封印

この封印を施した人は只者じゃないわね

真姫「当たるならぬいぐるみからね。仕方ないわ…久しぶりに師匠のところに顔出すしかないわね」

~???~

真姫「ふぅ…相変わらず急な階段ね」

???「これは変わった来客ですね」

???「元気そうですね真姫」

真姫「久しぶりね海未。早速で悪いんだけど希を呼んでもらえるかしら?」

海未「希姉さんでしたら…」

???「東條流奥義!ワシワシマーーックス!!!」ワシワシワシワシ

真姫「キャーーーーーッ!!」

海未「あなたの後ろに…といってももう遅いですね」ハァ

真姫「希!!あなたって人は相変わらず!!」プンスコ

希「風が教えてくれた来客は真姫ちゃんのことやったんやね。真姫ちゃんも成長しとるやん…海未ちゃんとは大違いや」

海未「のーぞーみーーねぇーーさーーん?」ヌゥ

希「す、スピリチュアルジョークやん?」

海未「ハァ…ところで真姫は希に何か用があってきたのでは?」

真姫「ええ。希に聞きたいことがあってきたのよ」

希「それはその手に持ってるぬいぐるみの封印のことやない?」

真姫「やっぱり!?心当たりがあるのね!」

希「まぁまぁこんなとこで長話もあれやし中いこか」

希「海未ちゃん、お茶の用意お願いね」

~神田明神・社殿内~

海未「どうぞ」コトッ

真姫「ありがとう。いただくわ」

希「ありがとう。海未ちゃんは少し外してもらってええかな?」

海未「はい。何かあれば呼んでください」スッ スタスタ

スゥ- パタン

希「さてと、何から話せばええやろ。真姫ちゃんはぬいぐるみの何が知りたいん?」

真姫「とりあえず希がこのぬいぐるみに封印がかけられてることを知ってたのはなぜ?」

希「簡単な話や。その封印を施したのがウチやからや」

真姫「なっ?じゃああのぬいぐるみの持ち主を知ってるの!?その人は今どこ!」

希「まぁまぁ真姫ちゃん。そんな慌てんでもウチが知ってることはちゃんと伝えるんよ」

希「あれは3年ほど前やったかな。その日は…」

シャ-ッ バタン!!

海未「の、希姉さん!」

希「海未ちゃんらしくないなぁ。えらい慌ててどないしたん?」

海未「り、凛が…」

希「凛ちゃんなら今頃、廃校になった少学校に住み着いた猫の怪談の処理に行ってるんやない?」

海未「凛がその怪談の処理に失敗して行方不明です…」

希「っ…なんで…」プルプル

真姫「嘘でしょ…?凛だってあなた達と同じ血を引いた神田明神の白百合三姉妹の一人でしょ?」

真姫「発生してたかだか数年程度の怪談に遅れを取るわけないじゃない」

希「すぅーーーはぁーーーー。よし!」

希「動揺してごめんな。もう大丈夫や」

希「わかってる範囲で今回の経緯を聞かせてもらってもええかな?」

海未「はい。すみませんが真姫…」チラッ

真姫「あ、気が利かなくてごめんなさい。外すわね」

希「いや真姫ちゃんにも同席してもらう」

海未「いや、でも真姫は…」

希「凛ちゃんを倒す程のやつや…人手は多いに越したことないやん?」

希「真姫ちゃんの実力は姉弟子の海未ちゃんもよーく知っとるやろ」

海未「え、ええ…しかし今の真姫は部外者です」

海未「その真姫をこの件に巻き込むわけには…」

真姫「私が今生きてるのはあなたたち姉妹のおかげよ?変な気使わないでいいから聞かせてちょうだい」

希「ありがとね真姫ちゃん。話の続きは凛ちゃんの件が終わってからでええやろか?」

真姫「もちろんよ。まずは凛を助けなきゃ」

海未「真姫…ありがとうございます」

海未「まずは今回、うちに来た依頼の内容から説明させてもらいます」

第3話 白百合×黒猫

ここまで!

海未「今回の依頼は廃校になった小学校に住み着いた猫の怪談の供養もしくは駆除です」

海未「依頼主からの情報ではその怪談の猫は元々は学校の敷地内に住み着いた野良猫だったみたいです」

海未「いつの間にか学校の敷地内に住み着き当時の学生達からは学校のマスコットとして可愛がられてました」

海未「でも猫も生き物です…次第に老衰していきある日、校舎裏で冷たくなっていたのを当時の職員に発見されました」

真姫「まさか学校側はその猫の死体を野晒しにしたとか言うんじゃないでしょうね」

海未「いえ、逆です。学校は当時の職員達と猫を可愛がっていた卒業生の寄付で丁寧に埋葬し校舎裏に小さいながらも立派な祠を建てて祀りました」

海未「その学校で猫の怪談…いえ、不思議な話が広まり出したのは猫を祀ってすぐだったと言います」

海未「階段から足を滑らせて落ちた生徒が体を地面にぶつける瞬間に‘何か’柔らかいものがクッションになり痛みもなく無傷だった。不思議に思いながら辺りをキョロキョロしていたら猫の鳴き声が聞こえた」

海未「熱が出た生徒が保健室で寝込んでるとお腹の上に‘何か’が乗ってきて猫の鳴き声と共にお腹の上の‘何か’と熱がスッと引いた」

海未「そんな噂が広まる中、全校生徒がその猫の存在を信じる事件が起きたのです」

海未「その学校の給食は給食センターで作られ学校に搬送、学校職員が確認後に各クラスに配られるという流れでした」

海未「その日も同じ流れで職員が中を確認した後、取りに来た生徒達に食缶を配り各クラスへ行き渡りました」

海未「そしてほぼ同時に響き渡る生徒達の悲鳴…職員も確認したはずの食缶の中が真っ黒な動物の毛に変わっていたらしいです」

海未「まぁその後の流れは関係ない話になりますので省きますがその日、同じ給食センターから配られた給食を食べた他校の生徒や職員達が集団食中毒を引き起こしました」

希「Lー252集団食中毒事件…やね」

海未「はい。感染者の中には残念ながら亡くなってしまった生徒もいました」

海未「しかしこの学校では誰も口にしていなかったため感染者は0」

海未「この事件をキッカケに猫は学校の守り神として全校生徒に認識されました」

海未「真姫も知っての通り、怪談と呼ばれる者達は人からの認識や信仰の大きさ、存在している時間によって力が変わります」

真姫「確かに学校で広まる噂や怪談にしてはあり得ないレベルの認識や信仰を受けてるわね」

海未「はい。そしてその猫はその力を生徒達を守るために使ったのでしょう」

海未「しかし学校も生徒がいなければ成り立ちません。少子化の煽りを受けこの学校も廃校になり数年…」

海未「その学校跡地を一旦更地にして老人ホームを建設する事が決定しました」

希「そこでウチらが祠の扱いの相談を受けたんよ」

希「学校が廃校になって数年…普通に考えると猫はもう消えてるくらいの時間は経っとる」

希「もし残ってたとしても悪いもんやない…むしろ老人ホームに居着いてくれるならそんじゃそこらの座敷わらしじゃ太刀打ちできんくらいの守り神や」

希「だからウチらは祠を残して建設するようにアドバイスして終わったと思ったんやけどね…」

真姫「その流れで供養や駆除なんて依頼が来るんだから工事がうまくいかなかったってことよね?」

海未「はい。主に工事の場で起こったことは点呼の際に人数が合わない。職人さんがいきなり猫の鳴き声を発して倒れる…とかですね」

真姫「数ある猫の怪談でも一番メジャーな化け猫ね。人数が合わないのは猫が人に化けて混じってたんでしょ」

希「せやね。猫の鳴き声を発して倒れたのも化け猫に憑かれたんやろってウチもそう見とった」

真姫「けど凛は…。確かに私が思ってたよりも古く、力もあるかもしれない。けどそれでも凛が化け猫に遅れを取るとは思えない」

海未「今回、凛は二人の見習いを連れて三人で依頼をこなすために向かいました」

海未「見習いといっても真姫ほどじゃありませんがセンスもよく力もある子達です」

海未「そして三人がかりで凛は行方不明に、一人の見習いは意識不明の結果に終わりました」

真姫「後の一人はどうなったのよ?」

海未「意識不明の仲間を担いでその場から離脱…そうですね。現場で起きたことは本人に語ってもらった方がいいでしょう」

海未「入りなさい!」

サ-- パタッ

???「失礼します」

希「真姫ちゃん、この子が凛ちゃんと一緒に行動していた雪穂ちゃんや」

真姫「はじめまして。一応あなたの姉弟子にあたる真姫よ」

雪穂「はじめまして。東條流見習いの雪穂です」ペコッ

海未「雪穂、あなたも疲れていて辛いでしょうがもう一度今回の流れを」

雪穂「はい。私達が現場に到着すると一匹の黒猫が現れました」

雪穂「まずは凛さんが対話を、そして私ともう一人の見習い…亜里沙は猫が敷地の外に出ないように結界を貼る作業を行いました」

~~~

凛「こんばんは!凛はね!東條流師範代の星空凛っていうんだよ!よろしくね猫ちゃん」

黒猫「シャッーーー」フシャァ!!


凛「いきなりきてごめんね?少し凛とお話してくれるかな?」

~~~

真姫「定石通りの対処ね。化け猫…というか動物の怪全般は対話によって力の差を理解させて屈服させるのが一番効率がいいし」

雪穂「はい。特に凛さんは動物系統との対話を得意とされてますので私達は結界を維持することに集中してました」

雪穂「対話が始まって5分ほど経った頃に猫に異変が起きました 」

希「異変?」

雪穂「はい。猫の尾が裂けて人語を話し始めたんです」

~~~

バリバリバリ

凛「尻尾が…猫ちゃんは化け猫じゃなくて猫又だったのかにゃ?」

猫「わっちがにゃんだろうがおぬしには関係あるみゃい?」

凛「雪穂ちゃん!亜里沙ちゃん!」メクバセ

ゆきあり コクン

~~~

真姫「猫又…?よく猫又と化け猫は同一視されてるけど全くの別物。猫又には人に化けたりする力はないわ」

希「二匹の猫の怪がおった…って考えるのが自然やね」

雪穂「…違います」ガクガク

希「大丈夫やで雪穂ちゃん。ここにはウチらがおる…怯えんでええよ?」

雪穂「は、はい。ありがとうございます。私達も目の前の猫又の他に化け猫が隠れてる可能性を考え警戒してはいたんです」

雪穂「そしたら猫又が急に笑い出して…」

~~~

猫「にゃはははは!そんな警戒せんともよいのにゃ」

バリバリバリ

猫「どうせ警戒しても無駄にゃ」

亜里沙「尻尾が増えた!?」

凛「猫?…やばいにゃ!雪穂ちゃん亜里沙ちゃん逃げてっ!」

亜里沙「…っ!イヤァァァァ!!!」ジタバタ

雪穂「亜里沙?どうし…いたっ…落ち着いて亜里沙!」ギュッ

亜里沙「イヤァ!コナイデ!!」ジタバタ

雪穂「痛い!落ち着いて亜里沙!どうしたの!」

凛「亜里沙ちゃんに何をしたにゃ…」ギロッ

猫?「にゃはははは!あの子は心が弱そうだったからちょーっとかき混ぜてやっただけにゃ」ケラケラ

亜里沙「タスケテ…ゆき…ほ…」カクン

雪穂「亜里沙!しっかりして亜里沙!!」

凛「落ち着けっ!!」

雪穂 ビクッ

凛「雪穂ちゃんは亜里沙ちゃんを連れて離脱。希ちゃんと海未ちゃんを呼んできて」

雪穂「凛さんは!?」

凛「凛はこいつをどうにかするにゃ」

猫「にゃはははは!にゃっははははは!!」

猫「その女の心が壊れるまでにどうにかできたらいいにゃ」ケラケラ

凛「早くいって!」

雪穂「は、はい!すぐに戻ります!」ダッ

~~~

雪穂「そして私は少し離れたところに雪穂を寝かして凛さんのところに戻ったんですが…」

海未「凛と猫の姿はなかったと」

雪穂「はい…すみませんでした!」ガバッ

雪穂「お二人の大切な妹である凛さんを見捨ててしまい本当に申し訳ありません!」ドゲザ

海未「雪穂!顔を上げなさい!」

雪穂「ううっ…」グスッ

希「雪穂ちゃんが気にすることやあらへん。雪穂ちゃんだけでも無事でよかった」

雪穂「でも…でも凛さんと亜里沙が…」ウゥゥ

希「後はウチや海未ちゃんに任せとき。絶対に凛ちゃんも亜里沙ちゃんも助けたる」

海未「あなたはやれることをきちんとこなしました。血の繋がりは無くともあなたも亜里沙も私達からすれば凛と同じ可愛い妹です」

海未「雪穂…帰ってきてくれてありがとうございます」

雪穂「う、海未さん…」ポロッ

希「任務ももう終わったんや。そんな気をはらんでええんや。おいで」バッ

雪穂「希さ…う、うわぁぁぁん!!のぞびぢゃーーん、りんぢゃんとありざを…二人を助けてっ…!!」ダキッ 

希「任せとき…」ヨシヨシ

ウワァァァン…

~神田明神・社殿内~

真姫「あの子は?」

海未「泣き疲れて眠ってしまいました」

希「可哀想に。依頼の難易度を計り違えたのはウチやのに…あの子にいらん責任感じさせてしもたなぁ」

真姫「まさかこんなことになるなんて誰も思わないわよ。過ぎたことよりこれからのことを考えましょ」

希「せやね。しかし猫?(びょうしょう)とはまた厄介やね」

真姫「今回の件、ちょっとおかしいことが起き過ぎじゃないかしら?もう少しその辺りを話し合ってから行動しましょ」

海未「そうですね。凛と亜里沙を救うためにも私達は万が一の失敗も許されませんから」

ここまで
週末は忙しくて日が開いてしまって申し訳ない

>>157

雪穂を寝かして
じゃなく
亜里沙で脳内変換頼む

希「猫?についてやけど…真姫ちゃんはどれくらい知っとる?」

真姫「大したことは知らないわ。三本の尻尾をもつ猫又の上位互換ってことくらいかしら」

希「だいたいの認識はあっとるよ。猫又の上位互換というよりも猫の怪談の最上位に位置する怪談やね」

海未「力で言えば九尾狐や鵺などと並ぶ天災と呼ばれるレベルの怪談です」

希「今回の猫?は九尾や鵺なんかと違って文献などに名があるわけじゃないから知ってる人も一握りや…だからそこまで飛び抜けた力を持っとるわけやないと思うんやけどね」

真姫「まず学校の守り神くらいの信仰しか集めてなかった猫がその学校の廃校後にそこまで昇華することがそもそも不自然よ」

海未「それに猫は白猫の方が昇華しやすいはずなんですが今回は黒猫…」

真姫「そこも不自然だし一番不自然なのは守り神として祀られてたのに完全に堕ちてることね」

希「猫も守るならしわいわよりぴちぴちな子がええんやろか」

海未「そんな希姉さんみたいな思考なら楽なんですがね」タメイキ

真姫「全く…冗談言い合ってる場合じゃないでしょ?早く猫?を倒して凛と亜里沙ちゃん?って子を助けなきゃ」

希「せやね。とりあえず猫?と対峙した時やけど真姫ちゃんは式神は出さんようにね」

真姫「なぜ?あの子達が使えないなら私は多分あの雪穂って子と変わらないくらいの力しかないわよ?」

海未「真姫の式神は言ってしまえば猫ですから…猫?に支配されると思っていいでしょう」

希「猫?と戦闘になった場合はウチと海未ちゃんで対処するから真姫ちゃんは結界と凛ちゃんの保護をお願い」

希「あと二人ともこれを胸元に入れといてな」スッ

真姫「昔から思ってたけど巫女がタロットってどーなのよ」

海未「このカード…寛大な精神ですか」

希「せや…雪穂ちゃんの話を聞くと精神的な攻撃もあるみたいやしな。とりあえずこのカードがあれば亜里沙ちゃんみたいな形での1発KOは防げるやろ」

海未「そうですね。とりあえず猫?と対峙した時ですが希姉さんが近接で相手して真姫が結界、私が弓で希姉さんの援護でいきましょう」

希「海未ちゃんは一応、霊剣も持っといてな。得意のラブアローシュートが効かへん可能性もあるし」ニッシシ

海未「希姉さん!!人の技に変な名前つけるのはやめてくださいって何度も言ってるでしょう!!」

希「なんだかんだ気に入ってるくせにぃー」

海未「うっ!と、とりあえずその話は置いておいて今の真姫の装備を教えてもらえますか?」

真姫「装備って言っても今日は希と話をしに来ただけだからウイングハートと数枚の封印符程度しか持ってないわ」

海未「では真姫にはこちらを」スッ

真姫「これは…銃?銃なんて効く相手じゃないでしょ?」

希「それは霊筒って言うて真姫ちゃんの氣を弾にして放つ霊具やね」

真姫「へぇ…便利じゃない。一つしかないわけ?全員これもてばいいじゃない」

希「先代がお遊びで作ったもんやからね。それに誰でも使えるわけやないんよ」

海未「氣で矢を作って飛ばす私の技と要領は同じなんですが、その…消費量が違いすぎてお恥ずかしい話ですが1発放てば私はダウンします」

希「ウチでも2発くらいが限界なんや。実戦で使えたもんやない」

希「けど式神の同時使役を涼しい顔でこなす真姫ちゃんはなら使いこなせるやろ」

真姫「なるほど。けど銃なんて使ったことないから後ろから撃ったらあなた達に当たるかもしれないわよ」

海未「それは心配いりません。私たちに当たったところで冷水をかけられる程度の感覚です」

希「簡単に言えば陰陽みたいなもんや。陽の真姫ちゃんの氣が陽のウチらに当たったところでちょっとひんやりする程度なもんでダメージにはならんよ」

真姫「なるほどね。じゃあありがたく使わせてもらうわ」

海未「わからないことはまだありますがとりあえずそろそろ向かいましょう」

~廃校~

猫?「にゃはははは」

猫?「さっきの奴にゃの仇討ちかにゃ?」

希「えらい流暢に話する猫やね」

海未「真姫、今の間に…」ヒソヒソ

真姫 コクン

猫?「こそこそ何してるんだにゃ?」クイッ

猫?「にゃにゃ?三人とも見た目より精神が強いみたいだにゃ」

希「そんな楽して終わらそうとしても無駄よ?対策くらい取ってるからね」

真姫「希!おっけーよ!」

希「ありがと真姫ちゃん。んじゃぱっぱとはじめよっか」スッ

猫?「にゃはははは!流石のわっちも三人同時相手はきついにゃー」

希「の、割に余裕そうやん?なんか手があるみたいやけど速攻で行かせてもらうで!」シュッ

希「使役者の名に於いてカードの力を解放するよ!The Fool」

グワァン ユラ~

猫?「にゃっ!足場が!」

希「愚者の逆位置は不安定!今や海未ちゃん!!」

海未「使役者の名に於いて心氣を解放します!ラブアローシュート!!」バシュ

猫?「にゃんてにゃ」ヒュッ スタッ

希「なっ!」

猫?「にゃはははは!わっちに幻術なんて効かないにゃ」

猫?「次はわっちの番かにゃ?えっと使役者の名に於いてだったかにゃ?下僕を召喚するにゃ!」

ヒュッ スタッ

真姫「えっ…」

海未「凛…」

希「最悪のパターンやね…」

猫?「そういえばそんな名で呼ばれてたにゃ。凛、とりあえず手初めにあのトマト娘をやっちゃうにゃ」

凛「…」ダッ

希「真姫ちゃんっ!!」

真姫「くっ!」

真姫(ここで戦ったら猫?を狙おうにも凛を盾にされるかもしれないわね)

真姫「この真姫ちゃんと戦いたいなこっちに来なさい!凛は任せて二人はあいつを!」ダッダッダ

凛「…」ダッダッダ

猫?「分断させようたってそうはいかにゃ…っ」ピョンッ

ストッ ストッ

海未「あなたは行かせませんよ!はっ!」バシュ バシュ

猫?「にゃっはははは!やるにゃぁ」ピョンッ

希(凛ちゃんは真姫ちゃんを信じるしかない)

希「海未ちゃん、行くよ!」

~side 真姫~

真姫「この辺りまで離れたらいいわね」

凛「…」

真姫「久しぶりね凛!こんな形で再開するなんて思って…ッ!」ガッ

真姫「もう痛いじゃない!相変わらの馬鹿力ね」ハァ

凛「…」ダッ ブンッ

真姫「凛!目を覚ましなさい」バシッ

真姫(下手に攻撃できない…凛の体術相手にいつまで凌げるかしら)

真姫「早くしてよ希、海未」ボソッ

~side のぞうみ~

猫?「にゃっ!にゃっ!にゃっ!」ピョンピョンピョン

希「The TOWER!」ガラガラガラ

猫?「瓦礫が…浮いてるにゃ」

希「ただの瓦礫やと思っとったら痛い目みるよ!海未ちゃん合わせて!」

海未「放ちます!ラブアローシュート」シュバッ
希「The CHARIOT!いけっ!」ブォン

ガガガガガガ モクモクモクモク

海未「躱したようには見えませんでしたが…」

希「手応えはあったんやけ…」グチャッ

希「ガッ…」バタン

海未「希姉さん!!!」

猫?「ペッ!良く熟れた身体してるから美味しそうに見えたのに食えたんもじゃにゃいにゃ…まぁこれで一人脱落かにゃ?」

海未「姉さん!希姉さんっ!!」

猫?「にゃはははは!にゃっはははは!もう手遅れにゃ!」

希「がっはっ…ゴポごほっ…」

希(やばい…油断したわけやないのに見えんかった…)

海未「姉さん!これを!!」スッ

希「ぐっ…がっは…」(さすが海未ちゃんや。DEATH…逆位置で解放…)ブン

猫?「にゃにゃ?にゃにをしたのかにゃ?」

海未「敵にわざわざ解説してやるほど親切にみえますか?」

猫?「まぁにゃんでもいいにゃ。どっちにしろその茄子娘はリタイアにゃ!あとはまな板娘!お前だけにゃ」バッ

海未「くっ!弓が!」バキッ

猫?「終わりかにゃ?」

海未「まだです!」シャキン

猫?「付け焼刃の剣術なんかじゃ相手ににゃらにゃいのはわかってるはずにゃ」

海未「私はこっちが本業です!東條流師範、園田海未!参ります」ダッ

ここまで

~side 真姫~

真姫「はぁ…はぁ…」ポタッ

凛「…」

真姫(なんとか致命傷は避けてるけどもう時間の問題ね…)

真姫(何か手を打たないと…)

真姫(この距離ならパンサー達も支配されないんじゃ…いえダメね。ここまで離れてる凛を操れてるし万が一支配されたら海未や希まで危ない)

真姫(考えろ…考えなさい真姫…)

凛 ダッ! ブン

真姫「くっ!」バシッ フラッ

真姫「やばい」

バタン ドン!

凛 ニタァ ドス ドス ドス

真姫「ッ…がはっ…」

真姫(やばっ…マウントから抜け出さないと…)

ドス バキ ゴキ

真姫(もう…意識が…)

~~~

真姫「なるほど。けど銃なんて使ったことないから後ろから撃ったらあなた達に当たるかもしれないわよ」

海未「それは心配いりません。私たちに当たったところで冷水をかけられる程度の感覚です」

希「簡単に言えば陰陽みたいなもんや。陽の真姫ちゃんの氣が陽のウチらに当たったところでちょっとひんやりする程度なもんでダメージにはならんよ」

~~~

真姫(もしかして…)

真姫 プルプル スッ

凛 ガッ ドス ドス

真姫「……くら…えっ…」ガチャ

バンッ!!!!

凛「ぐうっ…」

真姫「ハァ…ハァ…効いてる…」

凛 ギロリ

真姫(見たところ凛に外傷はないわね。いける)

真姫(ただし1発で思ったよりガッツリ持ってかれる…)

真姫(満身創痍の私じゃ撃ててあと2発が限度かしら)

凛 ダッ!!

真姫「調子に乗るんじゃないわよ!!」

バンッ!!!

真姫「なっ!外したっ!」ハァハァ

凛 ニヤ ジリジリ

真姫(次は外せない…)

ジリジリジリ

真姫 ブン ポイッ
凛 !?チラッ

真姫(よし!上に投げた銃に凛が釣られた!今しかないわ!)

~まずは左手で相手の袖を掴み外に力一杯引きなさい~グッ
~重心がズレた相手の後ろに自分の足をかけ…~スッ
~そしたら右手で喉を掴んで…押す!~ガシッ ブン

ドンッ!!

ヒュ- パシッ

真姫「…上下逆転ね」ハァハァ

凛 ジタバタ

真姫「終わりよ…冷たいヤケドを教えてあげる」ニコッ

バンッ!!!!

凛「ぐあぁぁっ…ぐうぅぅ…」

真姫「いい加減目を覚ませ!!バカ凛!!」パチ-ン

凛「うっ…つっ…ま、真姫ちゃ…?」

真姫「ふぅ…久しぶりね凛」ハァハァ

凛「真姫ちゃん…だ…」カクン

真姫「はぁ…海未に体術習っててよかったわ。私も…もう限界…ね。」バタン

~side のぞうみ~

ガキッ カン ガキン

猫?「わっちの爪を受けて欠けないにゃんていい剣だにゃ」

海未「当たり前です。東條の霊剣・小夜啼鳥(さよていちょう)がそう簡単に欠けるはずありません」

海未(強がってみましたが猫?の動きを追うのでやっと…希姉さんの回復まで凌がなければ…)

猫?「にゃっははは!剣がいくらすごかろうと扱う人間がポンコツじゃ意味ないにゃっ!」ビュン

ガキン グググ

海未「うっ!ハァッ!!」グイツ

ガキッ ガキン ガキン

希(あ、あかん…海未ちゃん一人やったら無理や…)

猫?「にゃはは!にゃっはは!!」ブンッ ブンッ

海未「うっ!くっ!」キン ガキン

希(血はなんとか止まった…あと少しや…)

ガキッ グググ

海未「ぐぅぅぅ」グググググ

猫?「鍔で受けたのは失策にゃ」ブスッ

海未「えっ…」ゴポッ

海未「がっ…はっ…ゴホッ」バタン

猫?「にゃっはは!腕は2本あることを知らなかったかにゃ?」ケラケラ

海未「ゲホッ…ゴポッ…」

猫?「これでまな板娘も終わりだにゃ」ブワッ

希(あかん!今しかない!)
希「…っ…じゃ…JUSTICE!」ブンッ

猫?「にゃっ…ガホッ…な、茄子娘ぇ!!にゃにをしたぁ!!」ガクガク

希「はぁ…はぁ…天秤の正位置は…平等や…」

希「死にかけの…ウチと同じダメージを押し付けたんや…」

猫?「にゃ…はぁ…くそっ!」

希「The HANGGED MAN!」ポワァ

海未「くっ…のぞ…ねぇさ…」ハァハァ ポワァ

希「もう大丈夫や。海未ちゃんがカード使えるまでの時間を稼いでくれたおかげや。ちょっと小夜啼鳥借りるね」チャキン

猫?「ま…まつにゃ!わっちが死んだらあの凛とか言うやつも引きずってやるにゃ!」

希「下手な脅しやね…凛ちゃんからあなたの気配が消えてるのにウチが気付いてないと思ってるん?」

希「辛いやろ?苦しいやろ?寒いやろ?怖いやろ?けど死ねないんよ?」

希「天秤のカードが移したのはダメージのみ…うちと違って傷があるわけやないから回復もできん」

希「選んでええよ?永遠にその苦しみを背負ったまま封印されるか」

希「ウチの家族に手を出したこと後悔しながら消滅するか」

猫?「ぐっ…がはっ…にゃんでもするにゃ…だから許して…」

希「この剣で刺されて消滅する時はこの世のものと思えん程の苦痛を伴うらしいわ」

希「夜に巣食う怪奇な者が啼き喚く小鳥の用に絶叫する様から小夜啼鳥って呼ばれ出したんやと…まぁウチには確かめようないからちょっと確かめてみてや」スッ

猫?「いや…にゃ…消えたくにゃい…にゃ」ガクガク

希「堪忍やで。家族を傷付けた奴だけは許さんことにしとるんや」

ブンッ!!

猫?「ぎやぁぁぁぁっっっがぁっぎゃぁぁぁ!!!!」

シュンッ!! カランカラン

希「終わりやね…ん?このカケラは…」スッ

希「とりあえずウチも海未ちゃんももう動かれへん…こっちに来んってことは凛ちゃん達も似たような感じかな」スッ

トゥルルル トゥルルル

希「もしもーし。うん。全部終わったよ」

希「ちょっと悪いんやけどウチらのこと回収頼んでもええかな?あはは。ちょっとだけ無理してもうてな」

希「うん。頼んだで雪穂ちゃん」

プツッ

希「あかん…ウチももうばたんきゅーや」バタン

~神田明神・社殿内~

凛「みんなごめん!凛がもっと強かったら…」

雪穂「凛さん…」

海未「凛、顔をあげなさい。誰もあなたを責めたりしませんよ」

凛「でもっ!凛がしっかりしてないから亜里沙ちゃんは…真姫ちゃんのことを傷付けたのも凛なんだよ!」

凛「海未ちゃんや希ちゃんがこんな大怪我したのも…うっ…ぐすっ」ポロ ポロ

希「凛ちゃん」ギュッ--

凛「の、のじょみちゃん…う…うわぁぁぁん!」ギュ

希「よしよし。凛ちゃん、ウチらみんな凛ちゃんのこと大好きなんよ?大好きな凛ちゃんを助けるためのこんな怪我なんてなんともあらへん」ナデナデ

真姫「私は久しぶりに会ってボコボコに殴られたこと怒ってるけどね」

凛「うぅっ…ヒック…ごめんなさい…」ウルウル

真姫「許して欲しかったら早く泣き止んでいつも通りの元気な姿見せなさい!それまで許してあげないんだから!」

凛「真姫ちゃん…グスッ…ありがとう」

コンコン

海未「私が対応してきます。どうしました」スッ

エッ?ホントデスカ
ワカリマシタ アリガトウゴザイマス
サガッテケッコウデスヨ

スタスタスタ

希「海未ちゃん、なんやったん?」

海未「亜里沙が…目を覚ましたみたいです」

ゆきりん !?

海未「うふふ、早く行ってあげなさい」ニコッ

ゆきりん「は、はいっ!!」ダッダッダ

スッ- バタン

ユキホ!!ユキホチャン!!
ワ-ワ- キャ-キャ-

真姫「もうっ!騒がしいわね」タメイキ

希「ほんまやね」ウフフ

海未「でもこう言うのがハッピーエンドって言うんでしょうね?」

第3話 白百合×黒猫 完

???「およ?せっかく手駒にしようとした黒猫ちゃんも消えちゃったよ」ハァ

???「こうなったら仕方ないよね…」

次回最終話 穂乃果×人形

穂乃果「穂乃果が直接取りに行くしかないね」

to be continued...

ここまで
最終話書いた後に0話として真姫ちゃんとリリホワ姉妹の出会い的な話投下してこのssはしめる予定
あと少しお付き合いお願いします

>>183改行ミスってる 見にくくてすまん

~神田明神・社殿内(猫?討伐の翌日)~

真姫「それじゃぬいぐるみについて聞かせてちょうだい」

希「せやね」チラッ

海未「では私は亜里沙の様子を見てきます」スク スタスタスタ  

ス- パタン

真姫「海未には聞かせれない話なの?」

希「いや、きっと海未ちゃんは聞きたないやろなと思ってな」

真姫「ぬいぐるみに海未が関係してるってことかしら?」

希「まぁまぁ真姫ちゃん。慌てんでも全部を話すって約束は守るよ」

希「あれはどっかの誰かさんがここを飛び出してすぐやから3年程前の話やね。あの日は凛ちゃんが友達の家に泊まりに行っとってウチと海未ちゃんしかおらんかったな」

~3年前~

ザッザッザッ

希「あー、近くにえらい厄介な気配があるなぁ」スッ

希「戦車の逆位置…混乱か」

希「触らぬ神に祟りなしやね」

タッタッタッ

海未「希姉さん!大変です!」

希「えらい慌ててなにかあったん?」

海未「階段の下に人が!」

希「それか…ボソッ 海未ちゃん…あかんよ」

海未「えっ?」

希「あれはあかん。関わったらあかん…カードもそう言うてる」

海未「いやしかし、倒れてるのはまだ私と同い年くらいの女の子です!このままほっとくわけには…」

希「先代が亡くなってもうここにはウチら姉妹しかおらへん。最近は周りに白百合三姉妹なんて呼ばれてチヤホヤされてるけどウチらはまだ子どもや」

希「人はやれることしかできへんのよ」

海未「っ…それでも私は!私は倒れてる人を見捨てたりはできません」クルッ ダッ

希「あ…。仕方ないか」テクテクテク

~階段下~

海未「しっかりしてください!大丈夫ですか?」ユサユサ 

???「うっ…うう…」

希「海未ちゃん、とりあえず社殿までその子を運ぼか」

海未「希姉さん…すみません。ありがとうございます」

希「ただしわかってると思うけど…この子が漂わせてる気配は相当ヤバイ。いざという時の為に警戒は解いたらあかんよ」

海未「はい…承知しました」

~神田明神・社殿内~

???「うっ…ここは…」

希「お嬢さん目が覚めた?」

???「どこ…?」

海未「ここは神田明神と言う神社の中です。近くに倒れてたあなたを偶然見つけて運んできたんですよ」

???「神社…っ!そうだ!これを隠して!」スッ

希「っ!なんやこれ…」
海未「うっ!!」ガクガクガク

希(人形の足…?なんちゅう禍々しい気配や。あの海未ちゃんが完全に当てられとる)

???「早く!あの子が来る前に隠さないと!」

希「あの子?とりあえずなにか器を用意せな…」キョロキョロ

希「凛ちゃんがほつれたから治してって言ってたぬいぐるみ…手近なもんがないから仕方ないか」グッ

希「The HERMIT」ポワッ

希「希パワー注入かんりょーっと」

海未「くっ…すみません希姉さん」

希「とりあえずこのぬいぐるみに結界は張っといたから海未ちゃん縫い付けといてくれる?」

海未「はい…それにしてもこれは一体…」

希「色々とこのお嬢さんに教えてもらわんとね」

???「………」

希「とりあえず自己紹介からや。ウチは希…そっちの子は妹の海未ちゃんや」

???「希ちゃんと海未ちゃん…」

希「そうそう。お嬢さんのお名前は?」

???「私は…穂乃果」

希「穂乃果ちゃんかぁ。よろしくね!」ニコッ

穂乃果「…」

希「早速やけど穂乃果ちゃん、さっきの人形の足はどこで手に入れたかな?」

穂乃果「あれは…あの子の足…あの子の…あの子の?私の?あの子私あの子私私私私の私のあの子のあの子は私はあの子は…イヤーーーーーッ」コテン

海未「この子は一体…」

希「厄介なもんに憑かれとるな…念のため明日、凛ちゃんが帰ってから三人で祓おうか」

海未「はい…しかしさっきの足は一体…?」

希「全てはこの子のお祓いが終わった後や」

~現在~

真姫「…どこ?」ボソ 

希「え?真姫ちゃんなんて?」

真姫「おねえちゃんはどこ!?」

希「え?おねえちゃん?え?」オロオロ

真姫「その穂乃果って人のことよ!ここにいたんでしょう?どこに行ったの!?」

希「ちょっと真姫ちゃん落ち着いてよ!」

真姫「はぁはぁ……ごめん」

希「いやええんよ?けど穂乃果ちゃんは翌朝にはぬいぐるみと一緒に消えてたんや」

希「外に出していい状態じゃない…それは海未ちゃんもわかっとったから必死で探したんやけど見つけられへんかったんよ」

真姫「そっか…手掛かりなしか…」

希「力になれんでごめんね。真姫ちゃんは穂乃果ちゃんの妹なん?」

真姫「幼馴染よ。ずっと探してた大切な人なの…」

希「ねぇ真姫ちゃん。真姫ちゃんは自分のことをなにも話してくれへんのはなんでなん?」

真姫「それは…」

希「真姫ちゃんがウチらと一緒に生活してる時に穂乃果ちゃんのことを知ってれば、あの日のあの場所に真姫ちゃんを呼ぶこともできた」

希「ウチは…いや海未ちゃんも凛ちゃんも、真姫ちゃんのことは家族と思ってる…力になりたいと思ってる」

希「もっとウチらを頼ってよ…」

真姫「私だって…希も海未も凛も大切よ」

真姫「でもだからこそ巻き込みたくないのよ…」

希「大切に思ってくれる気持ちは嬉しい…けど真姫ちゃんになにかあった時、ウチらはなんもせんかったウチら自身を呪うやろね」

真姫「でも!じゃあ私のせいであなた達に何かあったら私はっ…!!私はどうすればいいのよ…」ウル

真姫「もう嫌なのっ!家族を失うのは私が嫌なの!!」

希「真姫ちゃん…」

真姫「はじめはあなた達なんてどうでもよかった。戦い方を教えてくれて衣食住を与えてくれる…ならそれを利用しておねえちゃんを見つけよう」

真姫「そう思ってたのに…」

真姫「凛はうるさいくらいに心配してきて海未は厳しくも優しく色々教えてくれた」

真姫「あなたはっ!いつだって暖かく包み込んでくれた」

真姫「だからここを出たのよ…」

希「よかった…ウチらが嫌やったんやなかったんやね」

真姫「そんなわけないじゃない…」

希「真姫ちゃんが出てった後、ウチや海未ちゃんは何か事情があることはわかっとったけど凛ちゃんは大変やったんよ?」

希「真姫ちゃんに嫌われたって寝る時に毎日毎日ずっと泣いててな」クスクス

真姫「ごめんなさい…」

希「もうええんよ」

希「真姫ちゃん、改めて言うよ。ウチらにあなたの背負ってるものを一緒に背負わせて」

真姫「だからっ「タダでとは言わん」

希「ウチらになんかあったら一緒に死んで?」ニコ

真姫「はっ…?」ポカン

希「真姫ちゃんの命を賭けてウチらを巻き込んだらええんや」

真姫「いやちょっと何言ってるのよあなた…」

希「一緒に死んだら一人にならんですむ!どう?」

真姫「どう?ってあなたねぇ…」

希「それとも真姫ちゃんはウチらのために命を賭けるのはいやなん?」ニヤニヤ

真姫「なっ!それくらいいくらでも賭けてあげるわよ!」プイッ

希「なら決まりやね!」

真姫「それとこれとは話が別でしょ!だいたいあなたは…」ブツブツ

希「聞き分けの悪い子やね?そんな子にはぁ…」ワキワキワキワキ

真姫「ちょっ!わかった!わかったわよ!!」アセッ

希「もう遅い!東條流奥義!!ワシワシマーーークス!!」ワシワシワシワシ

真姫「イヤァァァァーーー!!!!」

~廃校~

穂乃果「んー?ないなぁ」キョロキョロ カツンカツン

穂乃果「黒猫ちゃんを消した人に持ってかれちゃったのかな」

穂乃果「だいたいあの黒猫ちゃんがわがままなんだよ」プンスコ

穂乃果「人のいない学校を守ってなんの意味があるんだろ」

穂乃果「カケラをあげるかわりに手伝ってもらう約束だったのにぃ」

穂乃果「めんどくさいなーもう!」カツンカツン

~神田明神・社殿内~

希「うーん満足!」ツヤツヤ

真姫 ピクピク

希「さ、真姫ちゃん話してもらえる?」

真姫「はぁ…仕方ないか」

真姫「私には一つ上の幼馴染がいたの。名前は穂乃果」

真姫「親同士が仲が良くてね…お互い一人っ子ってのもあってほんとの姉妹のように仲が良かったわ」

真姫「おねえちゃんと一緒!とかはしゃいで髪型を真似したりもして…」

真姫「その頃の私には二つ宝物があった…一つは大好きなおねえちゃん、もう一つはパパがくれた綺麗なお人形」

真姫「裕福な家庭で大好きなおねえちゃんがいて…毎日幸せだった」

真姫「けど小学二年生の時にあったピアノの発表会の日…」

真姫「私は全てを失った」

~真姫の過去~

穂乃果「真姫ちゃん!今日も一緒に寝ようね!」

真姫「うん!おねえちゃんとお人形さんと…あっ…」ウツムキ

穂乃果「お人形さん壊れちゃったもんね」

真姫「うっ…ヒック…真姫の宝物だったのに…」ウルウル

穂乃果「泣かないで真姫ちゃん!寝てる間穂乃果がずっとギューーってしてあげるから!」

穂乃果「真姫ちゃんが寂しくないようにずっとずっーーとギュってするから!」

真姫「…うん!おねえちゃん大好き!」ゴシゴシ

穂乃果「穂乃果も真姫ちゃんのこと大好きだよ!よーしムギューーー!!」ムギュ

真姫「ムギュ!!」ムギュ

ほのまき「「あはははは!」」

~真姫の部屋~

穂乃果「真姫ちゃんのピアノ上手だったな!そうだ!今度、穂乃果にピアノを教えてよ!」

真姫「おねえちゃんと一緒にピアノ!うん!真姫ちゃんと教えるね!」

穂乃果「よーし!頑張って真姫ちゃんより上手になってやる!」

真姫「べーっ!負けないもんね!」

ドーーーーンッ ガラガラ!!!

ほのまき ビクッ

真姫「なに?なんの音?」ブルブル

穂乃果「え?なに?おいで真姫ちゃん!」ガシ

ゴンッ!! バギィ!! ドーーーーンッ!!!

真姫「怖いよ怖いよおねえちゃん」ガクガク

穂乃果「ひっ!だだ大丈夫だかね!おねえちゃんがいるからね」ガクガク

ガチャ ギィーーッ

真姫「いや!こわい!!」ガタガタガタ

穂乃果「誰!?真姫ちゃんママ!?」

スゥ

真姫「ひぃっ!」ギユッ

穂乃果「お、お人形…」ガクガク

人形「ユルサナイ…」スゥ-

穂乃果「真姫ちゃんに近寄らないで!!」バッ

人形「ユルサナイ…」スゥ-

穂乃果「逃げて真姫ちゃん!!」ガクガク

真姫 クビフリフリ

穂乃果「はやく真姫ちゃんママのところまで走って!!おねーちゃんは大丈夫だからはやく!!」

真姫 ダッ!!タッタッタッタッ

「ワタシハユルサナイ」

「タダノニンギョウダトオモイヤガッテ…」

「シロイドレスモモウボロボロ…」

「ハヤクアイツヲコロサナキャ…」

「アイツヲ…」

「イクラアヤマッテモユルサナイカラ…」

「タダコロスダケデスマセルモノカ…」

「イチバンタイセツナモノヲウバッテヤル…」

「ダッテワタシハウバワレタ…」

「ケッシテユルサナイ…」

「ナイテモユルサナイ…」

「ノロイコロシテヤル…」

穂乃果「い、いや…来ないで…」ガクガクガク

~side 真姫~

真姫「ママ!ママぁ!!!」ユサユサ

真姫ママ「」

真姫「ママっ!!うっ…うわぁぁぁぁぁん」

真姫「ママ!!おねえちゃん!!うわぁぁん!!」

真姫「こわいよ!起きてよママ!!!!」

~神田明神・社殿内~

真姫「その後は騒音を聞いた近所の人が通報した警察に保護されたわ」

真姫「両親と家政婦さん達…その家にいた私とおねえちゃん以外の人はみんな亡くなってた」

真姫「警察におねえちゃんがまだ私の部屋にいることを伝えて見に行ってもらったけど…誰も見つからなかった」

真姫「その後はたまたまその日に休みを取ってた家政婦さん…希も知ってる和木さんが弁護士さんを通して色々やってくれたみたい」

真姫「当時の私はそんなこと知らなかったけどね」

真姫「そしてパパが持ってた不動産で和木さんに面倒を見てもらいながらフラフラあてもなくおねえちゃんを探してるところをあなたに拾われたのよ」

希「…っ」ポロポロ

真姫「ゔぇえ、なんであなたが泣いてるのよ」

希「辛かったな真姫ちゃん。堪忍な、そこまで重たいものを抱えてたのに助けてあげれんでごめんな」ポロポロ

真姫「む、昔の話よ…」

希「大丈夫やで真姫ちゃん。ウチらがおるからな?真姫ちゃんは一人やない…ウチらや和木さんもそうや。」

希「絶対に一人にしたりせぇへん」ギュッ

真姫「も、もう!わかってるわよ!」テレ

希「だから探偵なんやね?」ゴシゴシ

真姫「えっ?」

希「穂乃果ちゃんを探すために探偵なんてやってるんやろ?」

真姫「ええ…やっと手に入れたのがこのぬいぐるみと人形の足よ」

希「それでぬいぐるみにかかってた封印に心当たりがないかウチを訪ねてきた…ってことやね」

真姫「そうね。まぁ辿ってた糸は切れちゃったみたいだけど」

希「他に手掛かりはないの?」

真姫「そういえばこの足を探すおかしな暗闇を倒したんだけど」

希「おかしな?」

真姫「ええ、暗闇なのに複数体いて更に意思まであった…しかも憑かれてる依頼人が暗闇と認識しても消えなかった」

希「なんやそれ…真姫ちゃんはどうやって対処したん?」

真姫「深夜のアキバドームを貸し切ってスポットライトの一斉掃射で消滅させてやったわ!」

希「え?わざわざアキバドームを?」

真姫「それしか思いつかなかったんだから仕方ないでしょ?」

希「暗い部屋に大量の光源を用意してーって方法じゃあかんかったん?」

真姫「あっ」

希「相変わらずやることのスケールが違うね真姫ちゃんは」ニガワライ

真姫「も、もう!解決したんだからいいでしょ!それよりよ!」

真姫「その暗闇が消える時にこれを落としていったの」スッ

希 !?

真姫「心当たりがあるの!?」

希「これ…」スッ

真姫「カケラ!これはどこで手に入れたものなの!?」

希「昨日の猫?が消える時に落としたんよ」

真姫「猫?が…」

希「これは一体…」

真姫「多分だけど…これは車に潰された人形のカケラ」

真姫「きっと人形はこのカケラを暗闇に与えて自分の足を探さしてたのよ」

希「黒猫の守り神を猫?に昇華させたのもこのカケラの力ってことなんかな」

真姫「猫?に力を与えた理由はわからないけどきっとそうね」

希「話を少し整理してみよっか」

希「全ての始まりは真姫ちゃんの持ってた人形…これはどういったもんなん?」

真姫「私も詳しくは…ここを出た後、和木さんに挨拶に行った時に少し聞いた話ではパパの古い友人が持ってたものらしいわ」

真姫「子どもの私にあまり聞かせたくなかったのか伏せられたけど、どうやらパパはその人にお金を貸してたみたいなの」

希「担保ってことになるんかな?ってことはそれなりの値打ち物やったんやねその人形」

真姫「そこまではわからない…ともかくパパの友人から私に渡ってきた白いドレスを着た西洋人形ってことくらいかしら。そのパパの友達も今となっては誰かすらわからないし」

希「それが車に潰されたって言ってたな。潰された怨念を所有者である真姫ちゃんに向けた…と」

真姫「それをおねえちゃんが庇ってくれたせいでおねえちゃんに憑いた…」

希「その後どういう流れか穂乃果ちゃんが片足だけ盗んだのかなんなのかウチのところに持ってきてウチが封印」

真姫「翌日に封印の器になったぬいぐるみとおねえちゃんは失踪」

希「真姫ちゃんはどこでそのぬいぐるみを?」

真姫「Biの絢瀬絵里って知ってる?」

希「ああ、にこっちの相方さんのえらいべっぴんな子やろ?」

真姫「にこっち?え?にこちゃんと知り合いなの?」

希「中学の時に一回だけ同じクラスやってな…向こうは覚えてないかもしれないけどね」

真姫「へぇー世間は狭いわね」

希「その絢瀬さんがどうしたん?」

真姫「暗闇の時の依頼人なの。まだにこちゃんとエリーが路上ライブをやってる時にぬいぐるみを手渡されたらしいの」

真姫「二人は自分達のファンからの贈り物と思ってたんだけど渡してきた子の特徴がおねえちゃんと一致するわ」

希「消えた穂乃果ちゃんが理由はわからんけどその子にぬいぐるみを託したと」

真姫「そして封印が弱まって暗闇が寄ってきたことで私に依頼した」

希「んで今に至るってことやね」

真姫「ええ。また情報を集めるしかないわね」

希「真姫ちゃん、しばらくここで生活することはできる?」

真姫「なによ突然…」

希「待ち伏せや。ここには人形が探してる足がある…足を探してるってことはこのカケラも回収にくるやろ」

真姫「なるほど、けどそれじゃここのみんなが巻き込まれるじゃない!」

希「雪穂ちゃん達はみんなしばらく修行を兼ねて他所のところで面倒見てもらえる」

希「久しぶりに『白百合四姉妹』水入らずでゆっくりしよ?」

真姫「でも」

希「はい決定!異論は受け付けませーん!!」

真姫「もうっ…勝手なんだから」カミクル-

~神田明神・社殿内~

希「さーて、みんなでお肉やくよ!」

凛「やっきにく♪やっきにく♪うっれしぃにゃー!」

海未「こら!凛、はしたないですよ」

希「まぁまぁ海未ちゃん、凛ちゃんは久しぶりに真姫ちゃんと一緒におれてうれしいんよ」

凛「まっきちゃーーーん!!一緒にお肉いっぱい食べようね!」ダキ

真姫「はいはい…凛は相変わらずね」ハァ

海未「しかし、呑気に焼肉なんてしてていいのでしょうか?」

希「ん?」

海未「先程、希姉さんと真姫から聞かされた話…その人形の怪談がいつ現れるかもわからない状況でこれは…」

凛「大丈夫だよ海未ちゃん!真姫ちゃんの敵は凛が倒すよ!」

希「凛ちゃんは頼もしいなー。けど大丈夫や」

希「人形本体が来るとしたら明日になるはずや」

海未「根拠は?」

真姫「明後日が私の両親の命日…あいつの覚醒の日だからよ」ギリッ

海未「待ってください。確かに覚醒の日にいつもより力が膨らむ性質を持つ怪談は多数います」

海未「しかし、聞けばその人形は、そんな日をあてにせずとも相当な力があるはずですが…」

希「暗闇、黒猫と手下を排除されとるんや…本人が動くなら少しでも勝率をあげて明日やろうね」

真姫「まぁまたカケラを与えられた何者かが来る可能性はあるけどその程度ならこのメンツだったら不意を突かれようが問題ないでしょ」

凛「その通りにゃ!凛がバシッとやっつけちゃうからそろそろ難しい話は終わってお肉お肉!!」

希「ふふふ…せやね。じゃあみんな手を合わせて」

「「「「いただきます!」」」」

~side 穂乃果~

穂乃果「やっと完成する」

穂乃果「やっとだよ…」

穂乃果「ヤットダ…」

穂乃果「ソノアトハアイツヲ…」

穂乃果「バラバラニシテヤル」

~神田明神(2日後)~

希「そろそろ日が暮れる…心の準備はいい?」

真姫「…ええ」

凛「真姫ちゃん…凛がついてるから大丈夫だよ!」

海未「私も希姉さんもいます。そんなに力んでは本来の力が発揮できませんよ」

真姫「みんな…巻き込んでしまってごめんなさい」

希「真姫ちゃん?まだワシワシされ足りないんかなー?」

真姫「ちょっ!ちょっとなんでよ!私はただ…」

希「ウチらが聞きたいのはごめんやなくてありがとうや。この件が片付いたら美味しい焼肉奢ってくれたらそれでよし!」

真姫「ふふ…ありがとう」

ザワザワザワザワ

海未「この気配…来ますよ!」

カツン カツン カツン カツン

「こんばんはー!」

真姫「え…おねえちゃん…?」

穂乃果「あれー?真姫ちゃんがなんでここにいるの?」カツン

真姫「ほん…ものなの…?本当におねえちゃんなの!?」

希「真姫ちゃん落ち着くんよ」サッ

穂乃果「えっと、確か希ちゃんだっけ?」

穂乃果「そしてあなたは海未ちゃん…だったよね?そこのショートカットの子ははじめましてだね」

穂乃果「とりあえず邪魔だから下がってくれるかな」ニコッ

凛「っ!?」ゾワゾワ

穂乃果「足と真姫ちゃん、探してたものが同時に見つかるなんて本当に運がいいや」

真姫「おねえちゃんなのよね?私もずっと探してたの!」ダッ

希「あかん!」ダキ

真姫「やめて!離して!」ジタバタ

希「凛ちゃん!真姫ちゃんを連れて下がって!」

凛「わ、わかった!いくよ真姫ちゃん」グイ

真姫「ちょっと凛!離してってば!そこにおねえちゃんが!」ズルズル

穂乃果「もう!真姫ちゃんをどこに連れてくのさ?せっかくの再会なんだから邪魔しないで欲しいな」

希「真姫ちゃんとの再会の前にウチとの再会も喜んで欲しいんやけどなー?」

海未「あなたは…本当にあの時の子なんですか?」

穂乃果「失礼だなぁ。ちゃんと本物だよ?」

希「本物なんやったらなんでウチにあの足を持ってきたん?」

穂乃果「んー、説明するのめんどくさいから心変わりってことにしといてほしいな!」

希「意地悪やなー。じゃあ真姫ちゃんを探してた理由は?」

穂乃果「それは簡単な理由だよ!」

穂乃果「殺すために決まってる」ギロ

海未「うっ…なんていう殺気。完全に取り憑かれてしまったのですね」

メンドクサイ…

穂乃果「うっ…!」プルプル

希「海未ちゃん、様子がへんや。警戒解いたらあかんよ」

海未「はい。ですが、いきなりなにが…」

穂乃果「オマエガアシヲカクシタヤツカ」

希「あー、完全に乗っ取られてるパターンやね」

穂乃果「アシハドコ?」

希「海未ちゃん、狙える?」ヒソヒソ

海未「ええ、しかしどこを狙えば?」ヒソヒソ

希「杖をついとる方の足は多分パーツが揃ってないせいで支配できてなくて使われへんのやろ」ヒソヒソ

海未「なら逆の足を抜いて動きを止めます」ヒソヒソ

穂乃果「キイテル?アシヲカエセ」

希「それは無理な相談やね!使役者の名に於いてカードの力を解放するよ!The CHARIOT」ブン

穂乃果「ン?コレハ?」

希「戦車の逆位置は停止…そう長い時間は抑えられへん。海未ちゃん!」

海未「はい!使役者の名に於いて心氣を解放します!ラブアローシュート」バシュ

ブシュッ!!

穂乃果「ぎゃっ!痛い!!痛い痛い!!」ガクン

海未「え?なぜ肉体に傷が?」

希「完全に同化してしまってる…もう穂乃果ちゃんは陰に落ちてしもたんやね」

海未「では…人形を倒せばあの子も…」

穂乃果「痛いな!なにするのさ!」プンスコ

マッテマキチャン オネェチャン!!

タッタッタッ

真姫「はぁ…はぁ…おねえちゃん怪我っ!」

凛「ごめん希ちゃん、止めれなかったにゃ」

希「気にせんでいいよ。真姫ちゃん、あの傷は海未ちゃんの矢が当たったんや」

海未「私の技で人の肉体が怪我を負う…あなたならその言葉の意味がわかりますよね」

真姫「そんなっ…」

穂乃果「帰ってきてくれなんだね真姫ちゃん!おねえちゃんを怪我させる人達なんてほっといてこっちにきなよ!」

真姫「…っを…か…せっ…」ボソ

穂乃果「ん?なんて?」

真姫「おねえちゃんをかえせっ!」カチャ 

穂乃果「ふーん。真姫ちゃんも敵なんだね?」

真姫「おねえちゃんの体から出て行きなさい!」

穂乃果「撃ってみれば?それが当たる瞬間に…コイツカラデレバスムダケダ」

希「落ち着いてや真姫ちゃん。今の穂乃果ちゃんがそんなもの食らったら即死や」

真姫「…っ!じゃあどうしろって言うのよ!」

希「よっしゃ!穂乃果ちゃん、取引しよっか?」

海未「希姉さん…?」

希「ウチらが持ってる足とカケラを全て渡す。だから穂乃果ちゃんを返してくれへん?」

穂乃果「ハナシニナラナイ。コチラハゼンインコロシテウバエバスムダケノコト」

希「本気でやれると思ってるん?真姫ちゃんは兎も角、ウチらは穂乃果ちゃんごとあなたを消すことも躊躇わんよ?」

真姫「希っ!」

凛「真姫ちゃん、ここは希ちゃんに任せるにゃ」ボソ

真姫「くっ…」

希「正直あなたがまだ存在できてるのは穂乃果ちゃんって言う人質がおるからや。本気でウチら全員を相手にできると思ってるなら…」

希「ちょっと舐めすぎとちゃう?」ギロッ

穂乃果「…」

希「どう?あなたは体が完成する。ウチらは穂乃果ちゃんを取り戻せる…これこそウィンウィンやろ」

穂乃果「…」

希「あ、穂乃果ちゃんを取り戻したら一斉に襲うなんてことせえへんから安心し。あなたが何かに害を与えるなら仕事として対峙する機会が来るかもしれんけどその時はお互い戦えばええやん」

穂乃果「ワカッタ」

希「お、話がわかるやん。んじゃ早速…」

穂乃果「タダシ、ヒトツジョウケンヲツイカスル」

希「条件?」

穂乃果「ソイツ…マキモモラウ」

希「飲めん条件やね…大人しく自分の体が完成する事で良しとしとき」

穂乃果「ケツレツダナ?」

真姫「まって!」

海未「駄目ですよ真姫!」

真姫「私が行けばおねえちゃんを返してくれるのよね?」

凛「真姫ちゃん!!」

穂乃果 ニヤァ

真姫「ならそれでいい…だからおねえちゃんを解放して」ザッザッ

希「行かさんよ?」バッ

真姫「どいてよ。これしかおねえちゃんを助けられないの」

希「言ったよね?真姫ちゃんに何かあったらウチらはウチら自身を呪うって」

真姫「希…ありがとう」ギュ

希「ま、真姫ちゃん?」

真姫「あなたに会えたからここまでこれた。おねえちゃんを助けられる。ほんとにありがとう」

希「離さんよ?絶対に行かせへん」ギュ

真姫「おねえちゃんと違って私はそれなりに耐性がある…完全に呪い殺される前に助けに来て」ボソッ

希「そんな危険な事、真姫ちゃんにさせれるわけないやろ」ボソッ

真姫「私は自分の家族を信じてるわ。頼んだわよ?希姉さん?」ボソッ

希「…っ」

穂乃果「ワカレノアイサツハスンダカ?」

真姫「ええ。あなたのパーツも持ってる」スッ

穂乃果「ナラコッチニコイ」

真姫「わかった…希、離して」

希 パッ

海未「希姉さん!!」
凛「希ちゃん!!」

真姫「希…海未…凛…大好きよ。おねえちゃんをよろしくね」スタスタ

真姫「さぁおねえちゃんを解放して!」

穂乃果「」バタン
真姫「ハハハハハ!ヤットスベテテニイレタ!!」

希「海未ちゃん、凛ちゃん。やるよ?」

海未「はい!」
凛「うん!」

真姫「オット、ヘンナマネヲスレバコイツヲコロス」グイ

希「穂乃果ちゃんは解放する約束やろ?神前での契約を違えたらどうなるかわかってるん?」

真姫「チャントカイホウスルサ。ココヲブジニデタラナ」

希「くっ…」

真姫「ジャア、サヨナラ」スッ

凛「消えた…」

海未「真姫っ!」

希「まだ時間はあるはずや。とりあえず二人は穂乃果ちゃんを運んで!」

~神田明神・社殿内~

海未「希姉さん、なぜ真姫を行かせたのです…」キッ

希「あの場ではあれしか打つ手はなかった…それとも海未ちゃんは穂乃果ちゃんごとやる覚悟があったの?」

海未「それは…」

凛「海未ちゃん、大丈夫だよ?希ちゃんが真姫ちゃんを見捨てるはずない。なんとかなるんだよね?」

希「正直な話、微妙なとこやけどな。真姫ちゃんなら人形の呪いに対して多少は対抗できるはず」

希「今すぐに殺されたりはせんやろ。すぐに見つけて真姫ちゃんを助け出す…これしかない」

海未「ですが、真姫の体に入られていては今回と同じことになるのでは?」

希「それは大丈夫。穂乃果ちゃんの時と違ってこんな短時間でそれもあの真姫ちゃんを堕とすなんてどんな力があるやつでも無理や」

「うっ、ううん」

希「穂乃果ちゃん、気が付いた?」

穂乃果「ここは…あれ?私は…」

海未「ここは神田明神です。わかりますか?」

穂乃果「神田……そ、そうだ!真姫ちゃんは!」キョロキョロ

凛「あなたの代わりに連れてかれたよ!真姫ちゃんは…死ぬかもしれないんだ!!」ウルッ

希「凛ちゃん!」

凛「だって…真姫ちゃんが…」ウルウル

希「穂乃果ちゃんだって被害者や。人形に憑かれてただけのな」

希「穂乃果ちゃんはどこまで覚えてるん?」

穂乃果「全部…覚えてる…」

希「そっか。じゃあ今の真姫ちゃんの状況もわかるよね」

穂乃果「助けなきゃ!あの子は…人形は真姫ちゃんを殺す気なの!」

希「もちろん助けに行く…けど手掛かりがないんや。穂乃果ちゃん、なにか知ってたら教えて欲しいんよ」

穂乃果「あの子はきっと廃校にいる…黒猫ちゃんの様子を見に言った後はそこにあの子のほかのパーツを隠したから」

海未「あそこですか。他に人形に関しての情報はありませんか?些細なことで構いません」

穂乃果「えっと…なにから話せばいいか…」

希「じゃあまずはあの人形が壊れた日、真姫ちゃんの家でなにがあったかを教えてくれる?真姫ちゃんを逃したとこまでは聞いたんやけどその先を」

穂乃果「うん…真姫ちゃんを逃した後、穂乃果はあの子に殺されるって思ってたら意識を失ったみたいで気が付いたらあの子が車に壊された場所に立ってた」

穂乃果「意識はあるのに自分の体が自分の物じゃないみたいな…自分の意思ではなにもできないのに勝手に体が動いてあの子の部品を探し回った」

穂乃果「それからずっと長い間、毎日毎日あの子の体を探させられてた」

穂乃果「何年もいろんなところを探し回った…」

穂乃果「そして全部集まったあの日、一瞬だけあの子の支配が緩んだの。その時に一つの部品を取って逃げたんだ…」

穂乃果「けどあの子の意思を抑えようとしてるだけですごい気分が悪くなって倒れちゃって…」

海未「そこを私が見つけた…」

穂乃果「あ、あの時は本当にありがとう。見つけてくれてなきゃ穂乃果は死んじゃってたかもしれないよ」

海未「い、いえ!それよりもなぜここから居なくなったんです?」

穂乃果「あの日の夜、ここで夢を見たの…あの子があなた達を殺す夢を…」

穂乃果「慌てて飛び起きてぬいぐるみを探して逃げたんだけどその時にはほとんどあの子に意識を奪われかけてて」

穂乃果「近くで歌を歌ってたお姉さんにぬいぐるみを渡したんだ。誰かわからない人に渡せば探しようがないかなって」

希「なんで穂乃果ちゃんは人形の完成を邪魔したん?完成させたら解放されるとは思わんかったん?」

穂乃果「あの子に支配されてる間、ずっとあの子の記憶や考えてることが流れ込んできてたんだ」

穂乃果「あの子は体が揃ったら真姫ちゃんを殺す気だったからそれだけはさせちゃダメだって思って…」

凛「ごめんなさい!」

穂乃果「え?あなたはえっと…凛ちゃんだっけ?」

凛「うん…穂乃果ちゃんごめんなさい。真姫ちゃんが連れてかれたことを責めたりして。穂乃果ちゃんはずっと真姫ちゃんを守ってたのに…」

穂乃果「ううん。いいんだ…結局、真姫ちゃんは穂乃果のせいで…」

希「今は誰のせいとか考えてもなんも好転せんよ。真姫ちゃんを助けるためになにができるかを考えんと」

海未「そうですね。今の話を聞けば真姫が殺されるのも時間の問題です。ただでやられる真姫ではありませんが急ぐ方がいいでしょう」

穂乃果「お願いします…真姫ちゃんを助けて!」

希「ウチら白百合三姉妹に任せとき。絶対に助ける」

穂乃果「ありがとう。もし可能ならあの子の事も救ってあげて」

希「人形を救う?」

穂乃果「うん。あの子もただ一つの願いのためにこんな事をしてるだけなの」

海未「願い…それは一体…?」

~廃校~

「ヤットカナウ」

「ヤットコイツヲコロセル」

「クルシメテ…クルシメテ…コロシテヤル」

「ソウダ」

「コイツノカラダデコイツノタイセツナニンゲンヲコロシテヤロウ」

「アハハハハ」

~廃校前~

希「いくよ?準備はいい?」

凛「もちろんにゃ」
海未「はい」

希「相手は真姫ちゃんの体で襲ってくることが予想される…動揺せんようにね」

凛「わかってる」

海未「では行きましょうか」

~廃校~

真姫「ハヤカッタネ」

希「さぁ真姫ちゃんを返してもらおか」

真姫「トリカエセルナラナ?デテオイデ」

ゾロゾロゾロ

凛「真姫ちゃんのパンサー…」

海未「これは厄介ですね」

真姫「コイツガタイセツニシテイルオマエラヲ…」

真姫「コイツジシンノテデコロシテヤル」カチャ

海未「霊筒まで…」

希「気は抜けんけどいくら恨みが強くても真姫ちゃんと式神を操ってる状態でそう何発も打たれへん」

希「問題は真姫ちゃんの式神やね」

海未「そうですね。倒してしまえば真姫に反動が行ってしまいます。なんとか無力化しなければ」

真姫「サァイケ!」

パンサーズ「ガァッ!!」ダッ

希「いくよ海未ちゃん!凛ちゃんは集中して!」

うみりん「「はい!」」

希「使役者の名に於いてカードの力を解放するよ!The MOON」ブンッ

ガァッ!?

希「視界を奪ったよ!ウチはこの子らを抑えるから海未ちゃんは凛ちゃんを守りつつ本体を」

海未「わかりました!使役者の名に於いて心氣を解放します!ラブアローシュート!」シュバッ

真姫「クダラナイ」ブンッ スッ

海未「私の矢を消した…さすがですね」

希「それでいい。凛ちゃんを守ればって ガブ!!

海未「希姉さん!!」

希「っ!やっぱり視界を防ぐだけじゃあかんか。STRENGTH」ポワッ

ガルルル ガァッ!!

希「くっ!」バシッ ガッ

海未「希姉さん!」ダッ!

希「きたあかん!力のカードを使ってるからしばらくは大丈夫…」

海未「ですがこのま「シネ」ブンッ ガツン!

海未「っ…!ハッ!!」シュバ

真姫「フン」サッ

海未(思ってたよりも強い…心氣の矢は通用しない。小夜啼鳥では真姫の肉体を傷付けてしまう)

真姫「フンッ」ブン

海未「ハッ!フン!」ガッガッ

海未(式神を希姉さんが抑えてくれてる以上、決め手がないのはあちらも同じ…)

ガン ガシ ブン

海未(このままなんとか時間を稼げれば「ぐあぁ」

海未「希姉さん!」ダッ

希「っ!海未ちゃんあかん!凛ちゃんがっ!」

真姫 ニヤ ガチャ

バン!!!

のぞうみ「「凛(ちゃん)!!」」

凛「使役者の名に於いて大氣の力を解放するにゃ!Beat in Angel!」バサァ ブン

海未「よかった…」
希「間に合ったみたいやね」

真姫「テンシノ…ツバサ…?」

凛「おっまたせにゃー!!」フワッ

バサァ プスブスブス

「「「ガアァァァ!!」」」シュン

海未「凛!式神を消してしまっては真姫が!」

希「大丈夫。凛ちゃんの浄化の羽根で人形の支配から逃れて自分らで戻っただけや」

真姫「クソ!」ガチャ

バン!バン!

凛「今の凛にそんなもん当たらなによ!」バサァ ヒュヒュヒュ

真姫「グアァ!コロシテヤル!!」

希「もうええやろ?自然の力を取り込んでる凛ちゃんには勝たれへん」

真姫「マダダ!ワタシハウバワレタ!!」

真姫「ウバイカエスマデ…オワレルカァ!!!」

バン!バン!バン!

凛「無駄だってば!」バサッ

海未「それ以上打てばあなたが消えてしまいますよ」

真姫「カマウモンカ!オマエラヲコロセルナラ!コイツノタイセツナモノヲウバエルナラ!」

希「“あの子”に会えなくてもええの?」

真姫「ッ!」

希「穂乃果ちゃんが教えてくれたんや」

~~~

穂乃果「あの子といた時にあの子の記憶が流れてくることがあったんだ」

穂乃果「あの子の事をずっと大切にしててあの子もその持ち主のことが大好きだったの」

穂乃果「でも持ち主の女の子は病気で…手術の為にお金が必要だったみたい」

穂乃果「それで持ち主の子の両親は色んなものを売ってお金を作ろうとした」

穂乃果「あの子自身にすごい価値があったわけじゃないみたいなんだけど、持ち主のお父さんと真姫ちゃんパパが友達だったから助けるためにって何倍もの金額で買い取ったの」

穂乃果「あの子も自分の存在が持ち主の子を助けれるならって思ってたんだけど一つだけずっと願ってた…」

『元気になったあの子を一目だけでも見たい』

穂乃果「本当は願いが叶わなくてもよかったんだって。叶うかもしれないって思えるだけでよかったって」

穂乃果「でもあの子が壊れたことで“叶うかもしれない願い”が“絶対に叶わない願い”に変わってしまった」

穂乃果「それで心も壊れちゃったんだよ」

ワタシハユルサナイ

タダノニンギョウダトオモイヤガッテ…

シロイドレスモモウボロボロ…

ハヤクアイツヲコロサナキャ…

アイツヲ…

イクラアヤマッテモユルサナイカラ…

タダコロスダケデスマセルモノカ…

イチバンタイセツナモノヲウバッテヤル…

ダッテワタシハウバワレタ…

ケッシテユルサナイ…

ナイテモユルサナイ…

ノロイコロシテヤル…

穂乃果「“願い”の強さが“恨み”に変わってからも」














穂乃果「捨てることができなかった願い」

穂乃果「お願いします。あの子を救ってあげて」

~~~

海未「消えてしまってはあなたの願いは本当に叶わない」

真姫「アノコニ…マタアエルノ…?」ポロポロ

希「それは真姫ちゃん次第やね」

真姫「コノコガ…」

凛「だって真姫ちゃんは探偵だからね!」

真姫「オネガイ…アノコニアワセテ…」スッ ガクン

凛「真姫ちゃん!」ダキッ

希「うまくいったみたいやね」

真姫「うっ…うぅん」

海未「真姫!」

真姫「助かったわ。ありがとう」

凛「真姫ちゃん!」ギュ-

真姫「もう!とりあえずあいつの本体のとこにいくわよ!」

~廃校・屋上~

人形「アノコニ…」ボソボソ

希「もうほとんど力が残ってないんやね」

真姫 カチャ

凛「真姫ちゃん!?」

海未「真姫!いけません!」

人形 ボソボソ

真姫「お前が私の家族を…」

希「恨みだけでその引き金を引いたらもう戻れんよ」

人形 ブツブツ

バン!

凛「真姫ちゃん…」

真姫「おねえちゃんに感謝しなさい!」

人形 ブツブツ

希「よう堪えたね」ギュッ

海未「偉いですよ真姫」ナデナデ

真姫「もう!子ども扱いしないで!」カミクル-

~西木野探偵事務所~

ことりえり「こんにちはー」
にこ「きてやったわよ!」

真姫「三人とも、来てくれてありがとう」

希「お、にこっち久々やん?」

にこ「げっ!なんであんたがここにいるのよ!」

絵里「にこのお友達?」

希「はじめまして!ウチは東條希。にこっちの中学の同級生」

絵里「あ、私は絢瀬絵里、よろしくね」

ことり「や~~~~ん♡かわいい♪ねぇ!あなたのお名前は~?わぁ~こっちにも美女が♪」

海未「な、なんですかあなたは!?」
凛「フシャッーーー!!」

にこ「猛禽類の捕食タイムが始まったわね…」

真姫「はぁ…全く。希、許可するわ」

希「よーし!ウチのかわいい妹を怯えさす悪い子には~」

ことり「ん?わぁ♡こっちのお姉さんもすっごい美人!!真姫ちゃーん早く紹介して♪」

希「東條流奥義!!!」ワキワキワキ

ことり「えっ?ちょっ…まって…」

希「ワシワシマーーーックス!!!」ワシワシ

ことり「やーーーーーーーーん!!!」

ガチャ

花陽「真姫ちゃん、きたよーって」キョロキョロ

花陽「どう言う状況なのかな?」ニガワライ

真姫「花陽!急に呼びつけてごめんなさい。猛禽退治も済んだみたいだしそろそろ話をはじめるわ」

真姫「まずは紹介から、こっちの三人が私の…えっと、か、家族の東條姉妹よ」

希「どうもウチが長女の希です」ニコ

海未「次女の海未です」ペコリ

凛「三女の凛だよ!よろしくね!」

真姫「そしてこっちの三人が…」

にこ「にっこにっこにー♡あなたのハートににこにこにー♡笑顔届ける矢澤ニコニコ♡にこにーって覚えてラブニコ♡」

凛「寒くないかにゃー」

にこ「なんですってぇ!」

絵里「もうっ…にこったら。こんなにこのパートナーの絢瀬絵里です。よろしく」ニコ

ことり「ミナリンスキーって名前でデザイナーをやってる南ことりです♪」

真姫「そして最後は私の友人の花陽よ」

花陽「は、はじめまして!小泉花陽っていいます」ペコリ

真姫「紹介も終わったしとりあえず今までの経緯から話すわ」

~~~

花陽「真姫ちゃんの過去にそんなことが…」

絵里「でもお姉さんが見つかってよかった。あっ、このネックレスを返しとくわ」スッ

真姫「ありがとう。ぬいぐるみも返すわね」サッ

にこ「結局そのぬいぐるみはプレゼントじゃなかったのね」

希「穂乃果ちゃんはにこっち達の歌声に希望を感じて預けたんやと思うよ」

にこ「いいこと言うわねあんた」

花陽「それで人形の元の持ち主を探すんだよね?」

真姫「ええ、それで本題なんだけど、ことりには人形のドレスを作ってもらいたいの」

ことり「それぐらいお安い御用だよ!とびっきり可愛くしちゃう♡」

真姫「持ち主がわかるように元の感じでいいから!それで花陽、なんていうか人形のリペアとか作成とか詳しい人達に心当たりはないかしら?」

真姫「なんていうかアイドルファンとかってグッズとか自作したりするんでしょ?」

花陽「そういうのを手掛けるショップに心当たりがあるから当たってみるよ」

真姫「ありがとう。花陽だけに人形を任せるのは危険だから凛はそっちの付き添いをお願い」

凛「わかったよ!えっと花陽ちゃん?よろしくにゃ!」

花陽「よ、よろしくおねがいします!」

真姫「そしてエリーとにこちゃんにはライブとかでファンに心当たりがないか呼びかけてもらいたいの」

絵里「協力したいんだけど私は今はモデルだからライブで呼びかけるとかはできないからSNSで情報を集めてみるわ」

にこ「仕方ないわねぇ。この大銀河宇宙ナンバーワンアイドルのにこにーがライブでみんなに伝えてあげるわ!」

真姫「にこちゃん、エリーありがとう」

にこ「閃いた!」

絵里「にこ?」

にこ「真姫ちゃん、にこ達もプロよ?それなりの対価を払ってもらうけどいい?」

真姫「ええ、それはもちろん。いくらぐらい用意すればいいの?」

にこ「お金はいらない…そのかわりあんたも一緒にライブするわよ!」

真姫「ヴェエ?なによそれ!イミワカンナイ!」

にこ「にこだけのファンより絵里のファンにも直接声が届いた方が効果はある…けどBiは解散した手前、こんなすぐに復活するのも印象が悪いじゃない?」

にこ「幻の新ユニットとしてなら話題も出るし注目度も高い!絵里もライブに出れて人形の持ち主が見つかる確率もあがる!いい事づくしよ!」

絵里「ナイスアイデアじゃない!さすがにこね!」

真姫「ちょっ、ちょっとまって!いきなりそんなこと言われても無理よ!」

にこ「ライブって言ったって、にこのライブに友情出演って形であんたと絵里との三人の曲を一曲用意するだけよ」

にこ「それとも真姫ちゃんは歌の一曲すら覚えれないのかしら?」ニヤニヤ

真姫「そ、それぐらいできるわよ!見てなさい!にこちゃんのファンを全員取っちゃうんだから!」

一同(チョロい)

希「あははは!これは絶対見ないとあかんね」

真姫「こなくていいわよ!」

希「それで?ウチと海未ちゃんは何をすればいいん?」

真姫「あなた達はおねえちゃんを…長期間、憑かれてた影響も出てるでしょうし浄化をお願い」

海未「任せてください。あの日、あの子を救えなかったのがずっと引っかかってましたので今度こそきっちり救ってみせます」

真姫「頼んだわよ。希、海未」

希「真姫ちゃんは穂乃果ちゃんに会わへんの?」

真姫「全て終わらせてから会いにいくわ。二度とおねえちゃんを危険に晒さないために…」

希「よっしゃ!穂乃果ちゃんのことは任せとき」

真姫「ありがとう」

~控え室~

絵里「似合ってるわよ真姫」フフフ

真姫「と、当然デッショー!」カミクル-

ことり「ほんと二人ともかわい~♡ことりの見立て通りです!」エッヘン

真姫「それよりことり、例のものは間に合ったの?」

ことり「もちろん!こんな感じに仕上がったんだけどどう?」スッ

真姫「すごい…ありがとうことり」

ことり「お礼なら採寸の時に前払いしてもらったから大丈夫です!」チュンチュン

絵里「真姫も猛禽の洗礼を受けたのね…」

真姫「思い出したくもないわ…」

バァン!!

凛「おっまたっせにゃーー!!」

ことえりまき ビクッ

花陽「ちょっと凛ちゃんおいてかないでー」

凛「えっへへ、ごめんねかよちん」

真姫「ちょっと凛!もっと静かに入って来なさいよ!!」

凛「ごめんごめん!それよりほらこれ」ガサガサ

花陽「手足と顔のパーツはそのままでボディのカケラは新しく作ったボディの素材として混ぜてもらいました」

真姫「二人ともありがとう。ことりドレスを」

ことり「うん!」ゴソゴソ

絵里「綺麗…ステキな人形ね」

人形「…ありがとう」

絵里「キャーーー!!しゃ…しゃべっ…」ガクガク 

真姫「だからそういう類のものって言ってあったでしょ」フフフ

コンコン

「絵里さん、真姫さんスタンバイお願いします」

~ライブ会場~

ニコニ-!ニコチャ--ン!!

にこ「ありがとー!次の曲に行く前ににこの友達を紹介するにこ♪」

キャ---!!

にこ「みんなご存知!にこの相方、絵里ちゃん!」

絵里「かしこいかわいーー?」

「「「エリーーーチカーー!!」」」

絵里「ありがとーー!」フリフリ

にこ「そしてこちらはにこと絵里ちゃんと一緒に次の曲を盛り上げてくれる真姫ちゃん!」

キャ--!!!

真姫「よろしく」ペコ

にこ「曲の前に真姫ちゃんからファンのみんなにお願いがあるから聞いてあげてほしいにこ!」

真姫「この人形の持ち主を探してます」スッ

真姫「わかってる情報は現在中学生くらいの女の子、過去に海外で生活してて手術を受けたってことだけです」

真姫「些細なことでも構いません!なにか情報があればお願いします!」ペコ

パチパチパチ

にこ「というわけでみんなおねがいね」

絵里「じゃあそろそろいくわよ!聞いてください」

BiBi「「「cutie panther」」」

~控え室~

真姫「疲れた…」

にこ「一曲だけでだらしないわねぇ」

絵里「まぁまぁにこ…うまくできてたわよ真姫」

花陽「凄かったよ真姫ちゃん!」

凛「凛も踊ってみたかったなー」

ことり「ふふふ。じゃあ早速、舞台衣装の採寸を…」

凛「フシャッーーー!!凛に近付くにゃーー!!!」

ワイワイ ガヤガヤ

コンコン カチャ

???「あのー」ヌッ

凛「あれ?亜里沙ちゃん。なんでここにいるの?」

亜里沙「凛さん!凛さんこそなんでここに?」

凛「凛はちょっとお仕事の都合でね!それでどうしたの?」

亜里沙「えっと、私はずっとBiのファンで今日のにこにーのライブでBiが復活って噂を聞いて…」

絵里「あら?こんな可愛い子が応援してくれてたのね!」

亜里沙「え、エリーチカ!!」

にこ「えーと?亜里沙ちゃんだっけ?応援ありがとにこ!」

亜里沙「にこにー!ハルァショォー」

ことり「やーーーーーん♡かわいぃぃぃ!!まるで絵里ちゃんを幼くしたこの感じ♡そうロリーチカ!ねぇねぇ?可愛いお洋服とか興味ない?まずは採寸から…」

亜里沙「え?あ?いえ亜里沙は…」

真姫「それよりファンがこんな自由に入ってきていいの?ここの警備はどうなってるのよ」

亜里沙「あ、そうだ!真姫さんですよね?」

真姫「え?ええ、そうだけど」

亜里沙「雪穂にききました。助けてくれてありがとうございます」ペコリ

真姫「猫?の件ね。気にしなくていいわよ?猫?を倒したのは希と海未だし」

亜里沙「いえ!本当にありがとうございました!それで実はさっきのライブでの人形なんですが…」

真姫「何か知ってるの!?」

亜里沙「少し実物を見せてもらってもいいですか?」

真姫「ええ、どうぞ」スッ

亜里沙「やっぱり…少し衣装の感じとかは違いますが多分私の人形です!」

人形「やっと…会えた…」

絵里「キャア!!」

真姫「いい加減慣れなさいよ…間違いなさそうね」

亜里沙「この子…やっぱり付喪化してる…?」

真姫「ずっと…長い間この子はあなたを探してたのよ」

亜里沙「そんな…」

真姫「まさか希のところのあなたが持ち主だったなんて…灯台下暗しとはこのことね」

亜里沙「幼い頃から私は体が弱くて…手術を受けなきゃ助からないって言われてました」

亜里沙「ずっと部屋から出れない私の唯一のお友達がこの子でした。でも手術が近付いてきたある日、起きたらいなくなってしまってて…」

亜里沙「パパがあのお人形は亜里沙の手術が成功するためにお祈りに行ってくれたんだよって」

亜里沙「手術が無事終わってしばらくして両親と共に事故にあって私だけ残されて…」

亜里沙「その事故の影響かいろんなものが見えてしまい参ってたところを東條のお姉さん達に助けてもらいました」

亜里沙「希さん達に色々教えていただいた中に付喪化ってのを聞いてこの子もきっとそうなんだ!って思って亜里沙もずっと探してたんです!」

真姫「あなたを探してる間、色々なことがあってこの人形にはもうそんなに力は残されてないわ」

真姫「けど…一度壊してしまった私が言うのもあれだけど大切にしてあげてね」

亜里沙「はい!これからはずっと一緒だよ」ギュ

人形「あ り が と う」

~神田明神・社殿内~

希「まさか人形の持ち主が亜里沙ちゃんとはな」

真姫「ほんとにね」ソワソワ

希「ふふふ、そんなソワソワせんでも穂乃果ちゃんは逃げへんよ」

真姫「わかってるわよ!」ソワソワ

コンコン

真姫 ビクッ

希「アハハ、真姫ちゃんたら…どうぞー!」

ス-- パタン

穂乃果「真姫ちゃん…」ウルウル

真姫「おねえちゃん…」ウルウル

穂乃果「会いたかったよ真姫ちゃん!!」ダッ ギュ

真姫「おね…グス…おねえぢゃんーー!!」ウワァン

希「さてと、お邪魔虫は退散しとこか」スッ

オネェ-ヂャン---マギヂャ--ン!!!

~epilogue~

真姫「もう!またここ間違えてる」

穂乃果「無理だよこんなの!毎日毎日勉強ばっかりもう飽きた!」

真姫「おねえちゃんは義務教育すらまともに受けてないんだから人一倍勉強しないとダメよ!」

穂乃果「あの子の記憶とかで最低限の知識はあるんだから許してよー」

真姫「ほらあと少しで今日の分終わるんだからしっかりしなさい」

穂乃果「これじゃどっちがおねえちゃんかわかんないよーーー」

コンコン ガチャ

「すみませーん」

穂乃果「あ、ほら依頼人だよ!はーーーい!今いきまーす!!」バタバタ

真姫「あっ、こら!全くもう!」

マキチャ---ン イライダヨ-----

真姫「はぁ…まぁこれはこれで…」

真姫「ハッピーエンドね!」

最終話 穂乃果×人形 完

待ってくれてた方ありがとう
一応これで本編は終わりです

約半月間もお付き合いいただきありがとうございました
来週末には0話と題して真姫ちゃんとリリホワ姉妹の出会いから日常を投下できると思います

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