【たぬき】櫻井桃華「たぬきさん達のなつやすみ」 (130)


 モバマスより小日向美穂(たぬき)の事務所のSSです。
 独自解釈、ファンタジー要素、一部アイドルの人外設定などありますためご注意ください。


 前作です↓
【たぬき】塩見周子「きつねと夜啼きそば」
【たぬき】塩見周子「きつねと夜啼きそば」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1532693139/)

 最初のです↓
小日向美穂「こひなたぬき」
小日向美穂「こひなたぬき」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1508431385/)


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1534076838



 ザザーーーーン……

 ザザーーーーーー…………ン


未央「夏だーーーーーーーーーっ!!」

茜「海だーーーーーーーーーっ!!!」

藍子「無人島だーーーーーーーーっ♪」


未央「…………って無人島!? なんで無人島!?」

茜「さすが未央ちゃん! 見事なノリツッコミですっ!!」

藍子「本当に他には誰もいないんですねぇ」


  ヒュゴォォォ……


未央「あっプライベートジェット二機目」

茜「皆さんも追いついてきたみたいですね!!」



P「みんな足元気を付けろよー。荷物持ったか?」

卯月「はいっ。――わぁ、綺麗な海ですっ!」パァァ

P「未央達は着いてるから……第三陣ももうすぐだな」

P「それにしても、離島にこんな立派な飛行機の発着場があるなんてなぁ」

響子「うんしょ、うんしょっと」

みく「はぁ~……ほんとに南の島にゃ……」ポケー

美穂「す、すごいね……」


幸子「はっ!?」ジャーン


P「んでなんで幸子だけ完全装備なの」

幸子「なんでもなにもありませんよ! てっきりまた無人島生活が始まるものかと思って、ボク愛用のサバイバル装備を用意したまでです!」

P「必要かどうかはともかく妙にサマになってるな」



幸子「とはいえ、予想以上に文化的ですねぇ。ボクのカワイイサバイバルキットの出番は無さそうですが……」

美穂「確かに道もあるし、想像よりずっと綺麗だね」

美穂(なんだかいつか見た夢を思い出しそうだけど……野生のたぬきとか、いないよね?)キョロキョロ

桃華「ふふっ。ご心配には及びませんわ、皆さん」

美穂「桃華ちゃん!」

桃華「この島に限って、危険など万に一つもありえません。だってここは――」


桃華「櫻井グループが一島まるまる所有する、完全貸し切りのリゾートアイランドですもの!」ババァーン


  ◆◆◆◆

  ―― 数ヶ月前 事務所


P「どうしましょうかね、今年の慰安旅行」

ちひろ「そうですねぇ。時期はまた8月ですか?」

P「妥当なとこでしょう。お盆とかのイベント期は忙しいけど、それさえ越えたら休みは取れるし」

P「それに学生が多いウチの部署じゃ、夏休みが一番足並みを揃えやすいですからね」

ちひろ「ですね。あとは場所ですが……」

P「う~ん。海か山か、はたまた海外……」

P「うちもかなりアイドルが増えましたからね。全員で行ける場所を押さえるとなると、それだけでコトですわ」

ちひろ「わかってると思いますけど、懐事情も気にして下さいね?」

P「ええもちろん。しかしそこらの都合がネックになって……うーん」


桃華「お悩みですか、プロデューサーちゃま?」



P「桃華か。ああ、慰安旅行の件でな」

桃華「ふむふむなるほど……」

桃華「それでしたら、わたくしから一つご提案が――」

  カクカク シカジカ


P「完全貸し切りプライベート……!」

ちひろ「南国のリゾートアイランド……!?」

桃華「その通りですわ! 是非、みなさんをご招待したいと思っていましたのっ」

P「確かにそれが本当なら、すこぶるゴージャスな旅行にできそうだ」

P「でも予算がな……。お高いんでしょう?」

桃華「それもノープロブレムですわ。費用は全て、櫻井家が負担いたします!」

P「マジで!?!?!?!?!?!?」

ちひろ「ぜんぶ!?!?!?!?!?」



桃華「お二人にも皆さんにも、いつもお世話になっていますもの」

桃華「せっかくの夏休みなのですから、これくらいはさせてくださいませ♪」

P「おぉおぉおぉ……!」ドゲザ

ちひろ「後光が、後光が見える……っ!」ヒレフシ

桃華「そんな! お二人とも、頭を上げてくださいまし」

桃華「わたくしも旅行を楽しみにしていますのっ。皆さんの素敵な思い出になれれば、と……」

P「桃華!」ワシャワシャ

ちひろ「いい子!」モフモフ

桃華「きゃうっ……♡ も、もう、わしゃわしゃしないでくださいましっ♡」



  ◆◆◆◆

  ―― 現在に戻る


【一日目】


ちひろ「皆さーん、旗のとこに集まってくださーい」フリフリ

一同「はーいっ」

ちひろ「点呼を取りますよー。それじゃ楓ちゃんから順番に、どうぞ」



楓「1♪」

芳乃「にー、でしてー」

茄子「3です~♪」

美嘉「4★」

みく「5にゃっ」

こずえ「ろくー……」

イヴ「7ですぅ!」 \ブモッ!/

藍子「8ですっ」

卯月「9です!」ブイッ

凛「10」

未央「11っ!」



美穂「12です!」

幸子「13です! 不吉な数字でもカワイイボク!」フフーン

響子「14っ」

小梅「じゅ、15……」

輝子「16……フヒ」

茜「17!!!」

奏「18よ」

フレデリカ「でぃすぬふ~♪」

奈緒「20!」

加蓮「21ー」

蘭子「ⅩⅫ!」

桃華「23ですわっ」



志希「とぅえんてぃーふぉー」

周子「25~」

紗枝「26どす~」

菜帆「27で~す♪」

智絵里「に、28ですっ」

由愛「えと、29です」

アナスタシア「トゥリーツァチ♪」

ライラ「31……アイスクリーム屋さんみたいですねー」

莉嘉「32っ☆」

まゆ「33ですよぉ♡」

美玲「34! ウチで最後だなッ」 




ちひろ「はい、結構です。引率の私とプロデューサーさんを足して36名、みんないますね!」

P「ほぼ学校のクラス一つ分ですね。いやー増えたなぁ」

楓「賑やかでいいですねぇ」

ちひろ「それじゃ、お宿に荷物を置きに行きましょうか。ええと、確かバスが来るって……」


  ブロロロロロ…

P「あ、来た来た。あれですね」

運転手「やあ、よく来たね。みんな楽しんでくれたまえ」キラッ

P「この運転手さんやたらイケメンだな」

こずえ「おんなのひとー……だよー……?」


   〇

  ―― 宿


美穂「はぇぇええぇ……」

周子「めっ……さ、ゴージャスやん」


未央「こ、これ、ヴィラっていうんだよね!?」

凛「こういうの初めて……」

卯月「私も一回しか行ったことなかったです……!」

未央・凛「「一回あるの!?」」


ちひろ「ここで二泊三日、ヴィラ一室につき四人ですね」

ちひろ「部屋割りはクジとかその他もろもろの都合で決めますよー」


   〇

  ―― 大人のヴィラ


P「……なんとなくこうなる気はしてましたよ」

楓「あら、それって期待してくれてたってことですか?」

ちひろ「まあ大人組は一まとめということで……」

茄子「夜が楽しみですね~♪」

P「に、逃げ場が無い……ッ」


P「と、ともかく。今えーと12時前だから……水上ラウンジで昼飯を用意してくれてるそうです」

ちひろ「食べたら夜まで自由時間です。それじゃ、行きましょうか」



   〇

  ―― 水上ラウンジ


奈緒「うわぁぁああ……!?」

莉嘉「すっごーい! こんなのテレビでしか見たことないっ!」

茜「凄いです!! エビや貝やお魚がっ!! 組体操をしていますっ!!」

コック「ははっ、言い得て妙だな。なに、せっかくの南国だ、ひとつシーフードタワーをご賞味いただこうと思ってね」キュピーン

P「コックの人もやたらイケメンだな!」

ちひろ「お世話になります、ええと……櫻井家の方ですか?」

コック「生憎そうじゃないんだ。桃華の隣を取ってしまっては爺やに恨まれてしまうよ」

奏「? ……!?」

奏「真奈美さん。あなたも来ていたの?」

真奈美「やあ奏、しばらくだな。そっちの活動も順調そうで何よりだ」



P「え、なに知り合い?」

奏「というより、先ぱ……友人ね」

桃華「真奈美さんはわたくし達の大切なお友達なんですの。もちろん彼女のお宿も取っていますわ!」

真奈美「改めて、木場真奈美だ。君の噂はよく聞いているよ、プロデューサー君」

P「あ、ご丁寧にどうも。こちらこそわざわざこれほど立派なランチを用意して頂いて……」

真奈美「いやいや。趣味の披露ついでにバカンスを楽しめるのだから、むしろ役得というものさ」

P「本職じゃないんですか!!?」

響子「このレベルのお料理で、趣味……!」

真奈美「おや。君も料理に興味が?」

響子「はいっ! あの、全部お一人でこれを作ったんですか?」

真奈美「ああ。これほどの人数分を作るのは久々だが、手間分の味は保証しよう」

みく「す、すごいけど、お魚祭り……」

真奈美「もちろん苦手な子もいると思って、こちらに肉料理も用意してある。牛肉のタリアータはお好きかな?」

みく「たりあ……? うわっおいしそう! やったにゃー!」



茜「おーーーっ! おいしいですね!!」モグモグモグ

茜「これはおいしいですよ! なんていったって、おいしいですからね!!」ムシャムシャムシャ

茜「なんでしょう、一口食べた時こう思いました……おいしいと!!」ムッシャー

茜「まさしくおいしさで勝負してますね!! 違う言い方をすれば、おいしいということです!!!」グァツグァツ

周子「語彙力」

奈緒「とにかくすごくおいしいってことはひしひし伝わるな……あ、ほんとだおいしい!」

美嘉「レベルたっか! これで趣味って半端ないじゃん……!」

まゆ「本当……。まゆも、もっと頑張らなきゃ……!」


真奈美「さて。大人の紳士淑女諸君には、極上のワインも用意しているが?」スチャ

楓「あら、じゃあ早速……♪」

P「いや昼からって……」

楓「駄目ですか?」ウルウル

P「…………まあいいでしょう。せっかくのバカンスだし」

楓「わーい♪」ハイタッチ

茄子「やった~♪」ハイタッチ



真奈美「高垣楓さん、会えて光栄だ。君の歌は何度となく聴かせて貰ったよ。陳腐な言い方だが、感服した」

楓「こちらこそ。歌を歌う上で、真奈美さんの名前を知らない人はいません」

楓「それに、財団にこの者ありとまで称されるあなたですもの。私の方こそ、緊張の夏です……ふふっ」

真奈美「はははっ、そこまでお見通しとはね。――それでは、素敵な出会いに」

楓「ええ、乾杯」カチン


P「何の財団? ねえ何の財団なの!?」

桃華「淑女の秘密を探るのはお行儀が悪くってよ、プロデューサーちゃま?」

P「いや気になるでしょ!?」

茄子「プロデューサー、このエビさん絶品ですよ~」ズボッ

P「モガガーッ!(うまい)」


  ◆◆◆◆

  ―― しばらくして ビーチ


未央「改めて……海だーーーーーーーっ!!」

P「あんま沖まで行き過ぎるなよー」

未央「わーかってるって♪ それにもし溺れかけたら――」

  ボンバアアアアーーーーーーーーーーーーーッ!!! バシャバシャバシャバシャバシャ

未央「茜ちんが助けてくれるよっ」

P「もうあんなとこまで行ってる!? すげぇ!?」


凛「それじゃ、私も泳ごうかな」グッ

奈緒「お、行くか? じゃあさ、競争しようぜ!」

凛「いいけど……負けないよ?」

フレデリカ「ではレフェリーはこの宮本が請け負いましょう」プカー

奈緒「……なあ、何に乗って浮いてんだ?」

フレデリカ「うえきちゃんの花びら! これ一枚でなんと13プカー(※)もの浮力を発揮するんだ~♪」
(※浮力学者プカ山ウキ次郎調べ。平均的な人の浮力は3プカー)

凛「それ絶対花じゃない」



P「ん? そういえば美穂の姿が見えないな」

美穂「うぅ~……」ガサッ

P「あ、いた。何してんの茂みに隠れて」

美穂「それはそのぉ……は、恥ずかしくってぇ……」

卯月「美穂ちゃんっ。せっかく着替えたんだから、泳ご?」

響子「そうですよ! プロデューサーさんにも見て貰わなくっちゃ」

美穂「ぽ、ぽこ……」

  ガササッ


美穂「あの……み、水着、着てみて……そのぅ」モジモジ

P「おぉ~……!」



P(美穂は水着仕事はこれまでNGだったからな)

P(スタイルに自信が無いからか……と最初は思っていたが違う)

P(素肌を晒せるほどうまく人間に化けていられるか不安だったかららしいのだ)

卯月「プロデューサーさんっ。どうですか、美穂ちゃんの水着姿?」

響子「すっごく可愛いと思いませんか!?」

P(だが実際に目にすれば、そんなものは杞憂もいいところで……)

P「うん。めっちゃ可愛い……」

美穂「え、ほ、ほんとですか? 大丈夫ですか?」

美穂「尻尾、ちゃんと隠せてるかなぁ……?」フリフリ

P「どれどれ……うーんナイスお尻(ガン見)」

美穂「はっ!? ぽこー!!!」ニョキッバシィィーッ

P「グワーッ抜き打ち尻尾ビンタ!!」

卯月「えへへっ。ナイスだって、美穂ちゃん!」

響子「お墨付きですよっ!」

美穂「はぅぅぅ……///」

P「」チーン


  ◆◆◆◆

  ―― パラソルの下


志希「しきちゃんはでんちぎれです」グテー

アーニャ「シキっ。遊ばないと、もったいないです!」

志希「直射日光を浴びると溶けちゃうんだにゃ~……」ウダウダ

イヴ「気持ちいいですけど、私もあんまり暑いのは苦手ですぅ」

ブリッツェン「ブモ~ゥ……」

周子「やー、こうやってだらだらするのもいいもんよー?」

アーニャ「ンー……そうですっ。ライラ!」

ライラ「こんなことあろうかとですよー」

アーニャ「スパシーバ♪ しゃりしゃりしゃりしゃり……っ」

ライラ「ライラさんも、しゃりしゃりしゃりー」

周子「……それ何してんの?」

アーニャ「かき氷を作っていますっ」



イヴ「おぉ~! 即席で氷を作って~!」

ライラ「シロップは、タケモトさんのお店で買ったものを持ち寄っていますですよー」トクトク

アーニャ「これを食べて、元気を出してください♪」ジャーン

ブリッツェン「ブモモモモモモモモモモモモモモモ!!!」シャクシャクシャクシャクシャクシャク

周子「バケツ一杯分を一気食い!?」

イヴ「ん~っ! おいしいですぅ! 生き返るぅ~」

志希「んにゃにゃ……」モタモタ

アーニャ「シキ、あーんしてください。はいっ」

志希「かぷっ。ちべたい」



ちひろ「はっ、無限かき氷……!?」キュピーン

P「そこ商機を見出すな」



  ◆◆◆◆

  ―― 岩場

  ザザー……ン

  ボンバー!!


藍子「ふぅ……のんびりですねぇ」

紗枝「たまには太公望の真似事もええもんどすな~」

芳乃「まこと、のどかな時なのでしてー」

藍子「私、釣りって初めてだけど、結構性に合ってるかもです。こうやって糸を垂らして、のーんびり……」

こずえ「んうー……」ウトウト

芳乃「南国の爽気を感じつつー、ゆるりといたしましょうー」

みく「誰も釣りたいと思ってないのにゃ……!!」ガビーン

紗枝「大物が釣れ上がったら、お夕飯に出しましょか~♪」

みく「み、みくはノーサンキューだからね!」



藍子「うふふ。でも、確かに釣れなくたっていいのかも」

藍子「見てください。海が底まで透き通ってるから、お魚さんの姿がよく見えて……」

芳乃「故郷(さと)の島を思い出しまするー。ここも非常に良き気が流れていましてー」

紗枝「ええお天気どすなぁ~」

藍子「ほんとに、ずっとこうしていたいくらい……♪」ユルフワァ

  ユルゥ…フワァ…

みく「……?」

  ユルゥ~……フワァ~……

みく「な、なんかお魚の動きがみんなスローになってるけど!?」

  ユルゥ~……ザッ……パァァ……

みく「波の動きも!? なんで!? こわ!」

こずえ「ゆっくりー……きもちいいー……」

芳乃「楽しい時ほど早く過ぎ去るとは申しますがー。時には逆も然りとー」

みく「そういう問題にゃ!?」



  ◆◆◆◆

  ―― 森


輝子「お……元気な、ポルチーニ君……」ガサガサ

美玲「ショーコ、こっちのヤツはうまいキノコか?」

輝子「あ、それ……食べたら死ぬやつ……」

美玲「うわあっ!?」ポーイ

小梅「ねぇねぇ輝子ちゃん……このキノコは……?」

輝子「それは、焼いたらおいしい……キープしとこう……フヒ」

幸子「な、なぜ森でキノコ狩りをしてるんでしょう……」

小梅「そんなこと言って……幸子ちゃんも、楽しそう……♪」

幸子「ま、まあせっかく持ち込んだサバイバルキットがありますからね! 役立つに越したことはありませんよ!」

輝子「フヒ……装備なしで、森には入れないからな……」



莉嘉「ねーねー見て見てー! すっごいおっきなカブトムシ取れたー!」

美玲「うわデカッ! すごいなコイツ、ツノが三本もあるぞッ!」

幸子「こ、これは、野生のアトラスオオカブトのオス!? こんなところにいるんですねぇ……!」

美玲「知ってんのかッ!?」

幸子「世界一周とサバイバル生活であらかたの虫は調べ尽くしましたからね!」

輝子「昆虫博士……」

小梅「つよい……」

莉嘉「やったー幸子ちゃんかっこいいー!」

幸子「かっこ……!? そ、そこはせめてカワイイと言って欲しいところですっ!」

幸子「わ、悪くありませんけどねっ!」

アトラスオオカブト(みんな……カワイイぜ……)


   〇


輝子「お、おや……?」

美玲「ショーコ? どうしたんだ?」

輝子「見たことのないキノコが……もしや新種発見……!?」ギラッ


輝子「…………あ、違った。ただのメカだったよ……フヒ」

美玲「なーんだメカか…………メカ?」

幸子「なんですかメカって!? 野生のメカなんてあります!?」

輝子「あぁ、引っ込んじゃった……なんだったんだろうな……」


  ◆◆◆◆

  ―― 小高い丘の上


桃華「~♪」

由愛「桃華ちゃん……何か、書いてるの?」ヒョイッ

桃華「由愛さん!? あっいえっ、これはその……」

菜帆「あら、絵日記かしら~?」

蘭子「運命の岐路を紙片に綴る……それこそが我らの礎となるのよ!」

智絵里「わぁ、上手……♪ ここから見える景色なんですね」

桃華「うぅ、お恥ずかしいですわ……。まだ人にお見せできるものでは……」

由愛「そんなこと……そうだ、それなら一緒に描かない?」

菜帆「何かいい景色が無いかな~って、私達お散歩してたんですよ~」

蘭子「我が魔導書はここに! 共に伝説を刻むもまた一興ぞっ」フンス

桃華「一緒に、絵を……? まあ、素敵!」

桃華「ここはとっても見晴らしがいいんですのっ。ささ、お隣へ!」



菜帆「風が気持ちいいですねぇ~」

智絵里「本当……心までぽかぽかしちゃいそう……♪」

桃華「由愛さん、とってもお上手ですわ……!」

由愛「ぁ……えへへ、ありがとう」

蘭子「類稀なる紡ぎ手に導かれて、幽玄の絵画世界が息衝くようね……!」キラキラ


桃華(一日目……皆様は、とても楽しそうにしていらっしゃいます)

桃華(もちろん、わたくしも。これからが楽しみですわ♪)


菜帆「あ、おっきな鳥さんが飛んでるわ~♪」

智絵里「わぁ、ほんと…………なんだかメカっぽくないですか……?」

桃華「そ、そういう鳥さんなんですわ! さ、描き進めましょうっ」


  ◆◆◆◆

  ―― 再びビーチ


美嘉「ん……そうそう、丁寧に塗ってね……♪」ヌルヌル

美嘉「遠慮しないでいいって★ サンオイル塗ってって言ったのはアタシなんだし……っ」ヌリヌリ

美嘉「あっ、やだっ♪ もープロデューサー、今ヘンなとこ触ろうとしてたでしょー?」ペチョペチョ

美嘉「にしても、けっこー柔らかい手なんだね? すべすべで、小さくて…………」


美嘉「…………はっ!? 違う、この手は!」

まゆ「まゆですよぉ」ズモーン

美嘉「いつの間にっ!?」デデーン



まゆ「サンオイルを塗らせることで、二人はドキドキ急接近……」

まゆ「美嘉ちゃんのキャラ的に、必ずそう出ると思ってました。だけどそんな手は使わせませんよぉ……」

美嘉「くっ……流石にやるじゃん……」

美嘉「あれ? じゃあプロデューサーは?」

まゆ「まゆが代わりますよってこっそり言った後、どこかに行きましたけど……」


P「本当に大丈夫なのか? 日陰にいた方がいいんじゃないか?」ワタワタ

加蓮「もう、プロデューサー過保護すぎ! ちょっと立ちくらみしただけだって!」


美嘉「あっ」

まゆ「あっ」



P「空気が良くてもやっぱり日差しは強いからな。そこのパラソルで休んだ方が……」

加蓮「だから大丈夫だってばっ。そんなに心配すること――」ハッ


美嘉(そわそわ)

まゆ(ぐぬぬ)


加蓮(何か向こうからすっごい視線感じる……)

加蓮(あ、閃いた。ちょっとからかっちゃお♪)

加蓮「あれ……? 急に気分が悪く……」クラッ

P「!!?? 大丈夫か!?」

加蓮「ごめん、ちょっとキツい……かも」ピトッ

P「こりゃまずい、医務室……って、あるのか!? 桃華か木場さんに連絡すれば……!」ダキッ

加蓮(わ、お姫様抱っこされちゃった!)


美嘉「」クワッ!

まゆ「」カカッ!



美嘉「加蓮、大丈夫!? アタシが運ぶよ!」バッサァァ

P「翼!?」

まゆ「日に当たりすぎるといけません、これを使いましょう!」シュルシュルシュルシュル

P「シルク100%の即席のヴェール!?」

加蓮「わっとっと」

美嘉「木場さんか桃華ちゃんとこ行けばいいんでしょ!? それじゃ飛ぶねっ!」ブワッサァァーーーッ


P「い……行ってしまった」


   〇

  ―― 空

美嘉「フツーに元気じゃん!」バサッバサッ

加蓮「あははっ、ごめんごめん。何かした方が面白いかなーって思って♪」ケタケタ

美嘉「面白くないってば! アタシはともかく、まゆがどう出るか……!」

加蓮「いやぁ、傍から見たら美嘉も結構な顔してたよー?」

美嘉「んぐぐっ……と、とにかく! なんともないなら降りるよ!」

加蓮「いいじゃん、もうちょっと飛んでようよ。ほらすっごい景色! みんなあんなに小さい!」

美嘉「わわ、あんまりはしゃぐと落ちちゃうってば!」

加蓮「昔こういうの無かったからさ、憧れてたんだぁ。夏休み最高ーっ!」

美嘉「……」

美嘉「わかった。じゃ、その辺ぐるっと回ってこうか! 飛ばすよーっ★」

加蓮「きゃーっ速ーいっ♪」


   〇


まゆ「………………」ジーーーーー

P「まゆ……あの、まゆさん? 至近距離からガン見するのやめてもらえます……?」

まゆ「プロデューサーさんがみんなに優しいことはわかってます……」

まゆ「けど、おわかりですか? 女の子って、それだと不安になっちゃうんですよぉ……?」ジィーーーーーーー

P「近い近い近い近い」

まゆ「はむっ」

P「耳甘噛みしないで!?」ビクビクーン

美穂「あっプロデューサーさ……まゆちゃん何してるの!?」ポコーッ!

まゆ「おひおきれふよぉ」ハムハム

P「アイエエエ……」


   〇


P「耳がふやけるかと思った……」

  ザバァ

茜「いやー泳いだ泳いだっ!! 良い運動になりましたっ!!」

P「あ、お帰り茜。どこまで泳いできたんだ?」

茜「向こうに見える小島まで!!」

P「遠いな!!」

茜「そういえば、途中で大きなクジラと出会いました!!」

P「クジラ!? クジラいんの!?」

奏「……」ピクッ

茜「はいっ! こっちから……こっちまである大きさでしたっ!」タタタッ

P「うわっめっちゃでかい! こっから見えるかな!? どの辺だった!?」キャッキャ


奏(クジラ……クジラ、ね……)ウーム


  ◆◆◆◆

  ―― 日暮れ


真奈美「夕食は浜辺でバーベキューだ。下ごしらえは私がするから、どんどん焼くといい」

響子「あの、木場さん! 私もお手伝いしますっ!」

真奈美「君は……いいのかい? 結構な人数だから、楽じゃないぞ」

響子「なんのこれしきですっ。いつも寮でみんなのお世話もしてますから!」

真奈美「それは頼もしいな。では、そちらをお願いするよ」

響子「はいっ!」


  ワイワイ ガヤガヤ

奈緒「すごいなぁ、見ろよ! 水平線の向こうに日が沈んでく!」

由愛「本当に……絵画みたいです。綺麗……」

P「焼けた奴からどんどん食ってっていいぞー」

楓「バーベキューとなると、やっぱり……」

ちひろ「ビール!」

茄子「ですよね~♪」



美穂「プロデューサーさんっ、どうぞ!」

P「ああ、ありがとう美穂。……美味い!」

周子「やっぱバーベキューは夏の醍醐味やねぇ」

P「そうだなぁ。ジューシーな肉に新鮮なシーフード……」

周子「お醤油の香るとうもろこし、パリパリのウインナー……」

美穂「みずみずしいお野菜……」


  ジュワァァ……


P「焼きそば……」

美穂「焼きそば……」

周子「焼きそば……」


???「ヘーイ!」



P「ハッ……こ、この声は!?」


  バッ!


P「別部署のトップダンサーアイドル、ヘレンさん!!」


ヘレン「ザッツ・ライッ!」ジャーンッ



真奈美「驚いたな。ヘレン、君も来ていたのか?」

ヘレン「世界全てがこのヘレンのステージ……故に私がどこにいても驚くことはないわ、真奈美」ジュウウ

P「な、なぜこんなところで焼きそばを……」


ヘレン「それは――私が、ヘレンだから!!」ジャーンッ


P「くっ、なにかわからんが凄い説得力だ……!!」

ヘレン「あなたもなかなかグレートなスケールのアイドルをプロデュースしているようね」

ヘレン「さあ、ヘレンの焼きそばよ。あなたにはこれを食する資格がある……」スッ

P「いただきま……、……ッ!!」

P「鉄板で絶妙に焼き上げた具の旨味が、コシのある麺にうまく絡まって……!」

P「更にそれを香ばしいソースで一本の味にまとめ上げ、フワッとやさしいヴェールのような青のりが熱と味を封じ込める……!」

P「総じてアツアツの情熱的な味を、よく浸かった真っ赤な紅ショウガのアクセントでキリッと締めている!」

P「う……うまい! こんなうまい焼きそばは初めてだ!」ガーッ

ヘレン「エクセレント! あなたの舌は、また一つ世界の味を知ったわ!」


   〇


茜「うーん、おいしいっ! これはおいしいですよっ!!」ハフハフ

茜「このおいしさは、言うなればおいしい!! なんというおいしさでしょうかっ!!」モグモグ

茜「私にはおいしさしかわかりません。ですが、おいしいということはわかりますっ!!」ガフガフ

茜「染みわたるおいしさっ!! おいしいの更に上のおいしい、まさにおいしいですっ!!!」ムシャシャー

周子「だから語彙力」


P「食べたら後は各自のヴィラで自由時間だ。出かけてもいいけど、暗くなる前に戻れよー」



  ◆◆◆◆

  ―― 夜 大人のヴィラ


茄子「お風呂いただきました~」ホカホカ

ちひろ「ものっすごいお洒落でしたね。お花浮いてましたよお花」ホカホカ

楓「ジャグジーもあって、とてもスパらしいお風呂でしたね♪」ホカホカ


P「」


ちひろ「なんでチベットスナギツネみたいな顔してるんですか」

P「風呂上がりの成人女性3人を前にしておっさんがどんな顔しろと」

楓「あらまぁ」

P「隅っこで般若心経唱えてますからお気になさらず」

茄子「まあまあ、お気楽にいきましょうよ~。ちらっ♡」

P「バスローブの胸元から谷間ーっ!?」キャーッ!

ちひろ「またそんな生娘みたいな反応して……」

楓「それでは、二次会ということで」スチャッ

P「やだ普通に一升瓶持参してるこの人」



  コンコン


楓「あら? 誰かしら……」

  ガチャ

桃華「……プロデューサーちゃま」

P「桃華? どうしたんだ?」

桃華「あの……これは、申し上げるかどうか迷っていたのですが」

桃華「教えることで、余計な懸念をさせてしまわないかと……」

桃華「ですがやっぱり、わたくしとプロデューサーちゃまはフェアな関係でいたいんですの!」クワッ

P「??? 話が全然見えてこない。順を追って話してくれるか?」



桃華「単刀直入に申し上げますわ。皆様をご招待したこの旅行――」


桃華「実は、わたくし達の夏休みの自由研究を兼ねていますの!!」カカッ!


  ◆◆◆◆

  ―― ???


 コポ コポポ……

 ウィーーーン……


スタッフA「各システム、動作安定中です」

スタッフB「映像、音声データ共に問題ありません」

??「むーっ……」

スタッフC「……お嬢様?」


??「うずうずうずうずうず……っ!」


 ~一日目 終了~

 一旦切ります。
 大体半分くらいです。


【二日目】


  チュン チュン…


ちひろ「ラジオ体操始めますよー」

一同「はーい」

 ♪テーンテーレレンテンテンテン テーンテーレレンテンテンテン
  テテテテ テテテテ テテテテテーン

???「ヘーーイ!!」

P「なっ……この声は!?」

  ババッ!

P「専属Pとマンツーマンで覇道を進む、別部署のヘレンさん!!」

ヘレン「イグザクトリィ!!」ジャジャーーンッ



ヘレン「このヘレンが来たからには、ただのラジオ体操じゃ済まさないわ!」

ヘレン「腕を大きく上げて――ダンシン・ウィズ・ミー!!」シュバババババババ

美穂「速いっ!?」

茜「いちにっ! いちにっ!」

未央「茜ちんが普通についていってる!?」


周子「はぁ……はぁ……ラジオ体操ってこんなカロリー使うもんやったっけ……」

真奈美「運動後は朝食の時間だ。さ、みんなこっちへ来たまえ」ケロッ

P「ゼェ……ハァ……よし行くか」

P(それにしても、自由研究……か――――)ポワポワポワ


   〇

  ~回想~


P「自由研究?」

桃華「そうですわ。既に島のあちこちに、皆さんが怪しいものを見つけておりますが……」

P(そういえばメカっぽい何かがあったって幸子や智絵里が言ってたな)

桃華「実はあれは、島の各所に設置された監視装置なんですの」

P「監視装置って……映像とか音声を撮ってるってことか?」

桃華「ええ。それはリアルタイムでここと別の拠点に送信されておりまして……」

桃華「この島における皆さんのバカンス、その様子を観測すること自体が、わたくし達の自由研究なんですの」

楓「うちには色んな子がいますからねぇ」

茄子「見ているだけで飽きませんよね~♪」

桃華「ごめんなさいっ! 騙すような真似をしてしまって……」

桃華「ですが、誓って悪いようにはいたしません! どうかお許しを……!」

P「んー……そのデータって、どこかよそに流したりはしないのか?」

桃華「決してそのようなことはありません! 重要なデータは、こちらで厳重に管理いたしますわ!」



P「そうか。だったらいいよ」

桃華「……本当ですの?」

P「まあ視線があると思えば気にはなるけど、ねぇちひろさん」

ちひろ「そうですね。そもそもタダでこんないいところに来させてもらってるわけだし、バイトと考えても破格ですよ」

P「逆に言えば、桃華達がいつも見守ってくれてるわけだしな。危険は起こらないってことだし、逆に安心じゃないか」

桃華「プロデューサーちゃま……ちひろさん……!」

P「ん? でも自由研究ってことはどっかに提出するんじゃないの?」

桃華「その辺りは、重要なところをぼかして絵日記にするつもりですわ。研究自体はあくまで自主的なものですの」

P「わかった、それなら問題は無いと思う。とはいえみんな気にしちゃうだろうから、ここだけの話ってことでいいか?」

桃華「もちろんですわ! ありがとうございます、皆さん!」


P(……ん? わたくし『達』?)


  ~回想おわり~


  ◆◆◆◆

  ―― しばらくして ビーチ


茜「ビーチバレーをしましょう!!!!」

未央「茜ちん昨日から水を得た魚だね!」

美嘉「お、やる? 負けないよー★」

周子「美嘉ちゃん飛ぶの禁止ねー」

美嘉「飛ばないしっ!?」


  ワーワー キャーキャー


P「平和だ……なにはなくとも」ポカポカ

美穂「ほんとですねぇ……」ウトウト

P「美穂は泳ぎに行かなくていいのか?」

美穂「はいっ。今は、日向ぼっこしたい気分っていうか……」

美穂(プロデューサーさんの近くにいたい気分……っていうか……)



  ザザザザザ……


P「ん? 急に波が高くなって……」


  ザババババババババ……


美穂「え、え? な、何か、大きいのが――――」


  どっぱーーーーーーーーん!!!



クジラ「…………………………」


一同「…………………………」



未央「ぷ……プロデューサー」

P「なんだいちゃんみお」

未央「く……クジラ……だよね」

P「そうだねぇ」


P・未央「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!」

美穂「ぽこーーーーっ!?」

みく「にゃーーーーーーーっ!?」

蘭子「ひょえーーーーーーーーっ!?」

輝子「ヒィハァーーーーーーーーーーーーッ!?」

茜「あ!! 昨日会ったクジラですっ! 間違いありません!!」



P「なんでこんな浅瀬にクジラが!? 打ち上げられたのか!? みんな巻き込まれてないか!?」

こずえ「おー……」チョコン

P「乗っとるーッ!?」

卯月「こここ、こずえちゃん危ないですよぉ! 早く降りてぇ~っ!」


クジラ「………………」グググ


P「う、動き出して……!?」



  ガパッ!


??「ずるいですわっ!!」ババーン


桃華「!!」

P「クジラの口からお嬢様っぽい美少女が!?」



奏「やっぱり完成していたのね、クジラ12号……!」

美穂「くじらじゅうにごう!?」

奏「財団が保有するカムフラージュ用の動物ビークルよ。あれはクジラ型の最新鋭潜水艦ね」


??「ずっと見ていたのですけれど、やっぱり我慢できませんわ。私も桃華さんや皆さまと遊びたいんです!」

桃華「で、ですがそちらのお家は、対象への過度な接触を禁ずると……!」

桃華「よろしいのですか、琴歌さんっ!?」


琴歌「構いませんっ。夏ですもの、私も思いっきりハメを外すと決めたのです!」


   〇

  ~かくかくしかじか~


周子「はー、桃華ちゃんの友達で……」

P「財団関係者の……」

琴歌「西園寺琴歌と申します。見ての通りの不束者ですが、以後お見知りおきを」ペコリ

美穂「すっごい綺麗な子……!」

美嘉「桃華ちゃんもそうだけど、ザ・お嬢様って感じ……」

P「というか、財団って複数のグループで構成されてるんですね」

琴歌「ええ。西園寺や櫻井の他に、相原家や涼宮家、財前家や水本家など……」

琴歌「多くの家の共同出資によって運営していますのが、財団の極東支部ですの」

周子「支部とかあるんや……」



P「そもそも何なんですか財団って」

琴歌「そうですわね……どこからお話しすればよいのか」

琴歌「この世界のありとあらゆる超自然現象、あるいは超古代オーパーツはたまたオーバーテクノロジーの……」

真奈美「おほん。琴歌?」

琴歌「あら失敬。単なる貿易商の一団とお考えください♪」


P(サラッと凄いこと言いかけなかった!?)

周子(あかん、これ以上は作風が変わる奴やわ……)



琴歌「桃華さんからお話は聞かれていたと思いますが、実は私、ずっとあなたがたを見守っていましたの」

琴歌「それもこれも、夏休みの自由研究の為……。どうかお許しくださいませ」

P「いやいや、それについては気にしないでください」

琴歌「…………っ」ウズウズプルプル

P「……? 西園寺さん?」

琴歌「それで……それで、あのっ、あなたがプロデューサー様なのですよね!?」グアッ

P「うわびっくりした! アッハイそうです」

琴歌「桃華さんからお話をよく伺っております! ああ、本物ですわっ! 本当にお尻がお好きそうなお顔をしていますのね!」

P「どういう紹介してんの桃華ァ!?」

琴歌「ずっとお会いしたかったのです! この日をどれほど心待ちにしていたことか……っ!」


楓(琴歌だけに……ふふっ)ピコーン



琴歌「聞けばプロデューサー様の事務所は、連日連夜怪力乱神のお祭り騒ぎが行われるとてもユニークな場だとか!」

琴歌「熊本決戦に神様風邪の奇跡、うさぎさん大パニックや止まない春の雪、それに不思議な夜市のお話……!」

琴歌「どれもこれも報告書だけでは語りつくせない大事件ですわ! 当事者の皆さまから、是非一度お話を伺いたかったんです!」

P「近い近い近いこの子めっちゃグイグイ来る!」

真奈美「ほら、琴歌。あまり迫るとプロデューサー君もついていけないだろう?」ツマミ

琴歌「あっ……ごめんなさい、私ったらはしたない」ツママレ


美穂「ぽ、ぽこ……」

菜帆「あら~」 ←熊本決戦の当事者

茄子「まぁ~♪」 ←神様風邪の張本人

由愛「し、知ってるんですね……」 ←うさぎパニックの発端

アーニャ「ちょっと、恥ずかしいです……」 ←春の雪の原因

藍子「気になるなら、今度案内してあげたいなぁ」 ←夜市の常連



ライラ「おー。コトカさんではございませんかー」

琴歌「まあ、ライラさん! まさかここでお会いできるなんて――」


琴歌『アイドルになったというお話は聞き及んでいましたわ。日本はいかがかしら?』

ライラ『ええ、素晴らしい国です。町の皆さんにも事務所の皆さんにも、とっても良くして貰っています』

琴歌『それは何よりですわ! もし不自由がおありでしたら、いつでも我々の支援を頼ってくださいましね?』

ライラ『不自由だなんて! 私毎日すごく楽しいんです。支援だなんて仰らず、いつでも遊びに来て下さい♪』


美玲「な、なに言ってるのかぜんぜんわかんないぞ!?」

フレデリカ「わお! ライラちゃんお友達なのー?」

ライラ「はいですよー。パーティーで何度かお会いしたことがありますです」

美玲「ひょっとしてライラんちって、ほんとはすごくでっかいのか……?」


   〇


琴歌「さて……聞きたいお話は沢山ありますが」

琴歌「まずは、一個人として皆様とお近づきにならなくてはいけませんわねっ」ムフー

桃華「ですが水着は持参していますの? 流石にそのお洋服のままでは……」

琴歌「ご心配には及びません!」キャストオフ

美穂「いきなり脱いだ!?」

周子「サービスシーン!?」

まゆ「ダメですよぉ」シュルシュルシュル

P「前が見えねェ(顔面ぐるぐる巻き)」


琴歌「実は、服の下に既に着込んでいましたの!」ドーン


周子「ああ、そうそうそれならよし」



未央「なーんだっ、それなら話は簡単じゃん! 一緒に遊ぼうよ!」

凛「それに、こっちも色々聞きたい話があるしね」

琴歌「本田さん、渋谷さん……そうなのですか?」

凛「ほら」


蘭子「秘められし謎の財団の姫君……!」キラキラ

小梅「ほ、ホラー映画は……好き……ですか……?」

輝子「マイタケとエリンギ、どっち派ですか……?」

志希「ひさしぶりー。最近どうー?」

奈緒「そっちに晶葉って子がいたと思うんだけど、後で話聞かせてくれないか?」

  ワイワイ ガヤガヤ


琴歌「皆さん……! ええ、一つ一つお答えしますわ!」


   〇


  ワーワー


真奈美「すまない、驚かせてしまったな。彼女はこの日をずっと楽しみにしていたんだ。大目に見てやってくれ」

P「いえいえ。みんな楽しそうなら、それが一番ですよ」

奏「まさか彼女までやって来るなんてね……。時間の問題だとは思っていたけど」

P「……前から思ってたんだけど奏ってそっち側なの?」

奏「私はただの女子高生よ。色々副業をやってるだけ、アイドルもね」

真奈美「ははは。私もまあ、そんなところだ。本業はスタジオで歌を歌っているよ」

真奈美「仕事柄世界中を飛び回っていてね。あまり日本には帰らないのだが、ずいぶん面白いことになっているようだ」

P「は、ははは……」

真奈美「まあ、ここにいる間は肩の力を抜いてくれ。身の回りのことは我々が片付けるさ。桃華と奏が世話になってる礼だ」


  キャッキャ…


  ◆◆◆◆


  ―― しばらくして


真奈美「さて、夕飯の支度といこうか」

P「みんなー、そろそろ集合だぞー」

琴歌「あ……あら!? もうこんな時間なんですの!?」

美穂「琴歌ちゃん、すっかり馴染んでたねっ!」

莉嘉「ねーねーLINE交換しよーよ! 日本でもまた遊びたいし☆」

菜帆「一緒にお茶もしたいですね~♪」

琴歌「皆さん……!」ジーン


琴歌「もちろんですわ! 今日が終わっても、必ずまた――」


   ズ シ ン ッ ッ ! !



P「わぁ!? 何だ!? 地震!?」

ちひろ「みんな大丈夫ですか!?」


   シーン……


真奈美「大きい揺れが一つ……地震とは違うな。これはむしろ爆発の衝撃に近い」

美穂「ばくはつ!?」

桃華「島の中心からですわ!」



   バササササ……


由愛「あ……鳥が、みんな逃げていく……?」

美玲「な、なんだ? なんかゾワゾワするぞ!」

小梅「あの子が……怖がってる……」

輝子「キノコも……怖がってる……」

幸子「なんですかなんですか、このカワイくない空気は!? 一体何があるっていうんですか!?」

こずえ「あっちー……」


こずえ「へびー」



超でかい蛇「…………………………」


一同「……………………………………」



未央「…………ねえプロデューサー」

P「なんだいミツボシ」

未央「蛇だよね……あれ」

P「そうだねぇゴ〇ラくらいのサイズあるね」


P・未央「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!!?」



美穂「かっかっ奏ちゃん! あれは何!? ヘビさん何号なのっ!?」

奏「いえ……見たこともないわ。というかあれは生きた蛇、いやそれ以上の……!」

ちひろ「あっははは、なんですかアレ? ドッキリ? ドッキリですか? それともB級映画?」

美嘉「ちひろさんしっかりして!?」

莉嘉「怪獣!? 怪獣なのっ!? わーっ初めて見たーっすごーい!!」

蘭子「ぶくぶくぶくぶく」パタリ

紗枝「りゅうがごとし」パタリ

智絵里「二人ともーっ!?」


琴歌「そんな! あれは眠っている筈では……っ!?」

P「知ってんの!?」



芳乃「ふむー……」

芳乃「あれなるは、地下に流るる霊脈に潜みし大蛇(おろち)でしてー」

芳乃「古来より霊気の宿る地には、その源となる存在が眠っているのですー」

芳乃「他の生きとし生けるものにとって、良きものであれ、悪しきものであれー……」

桃華「ですがこの島の荒ぶる大蛇は、爺やの代で霊脈の深きにまで封印した筈……! なぜ今になって目覚めましたの!?」


周子「い、いやいや、そりゃー無いでしょ。いくらなんでもリアリティってもんが」

桃華「このシリーズで今さら何を仰っていますの!!!!!!!」

周子「せやな…………………………………………!!!!!!!」



真奈美「それにしても妙だな。自然に目覚めるには、まだ数百年はかかると聞いたが」

芳乃「おそらく常のままであったならば、現れることはなかったでしょうー」

芳乃「何か霊脈そのものに匹敵する莫大な気の影響を受けー、触発されてしまったものかとー」

美穂「そんなこと言っても、気なんて……」

茄子「あら~」

P「オイオイオイ」

周子「いたわ原因」



  キシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!


P「うおっ……!」ビリビリビリ

美穂「わ、わっ、ぷ、プロデューサーさぁん!」ヒシッ

周子「ね、ねえなんかやる気っぽくない? 流石にマズくない?」


茄子「うーん……そういうことなら、流石に黙ってはいられないですね~」

楓「あれほど立派な大蛇さんなら、おろおろちてもいられませんねぇ」

芳乃「可能な限り、穏やかに事を運びたいものですがー」

こずえ「かばやきー……」


??「その必要は無い!」



  ブゥーーーーー……ン

  ギャルンッ!!


P「真っ赤なクラックスポーツカー!?」

美穂「あ、あれ……バスの運転手さん!?」

運転手「君達は休暇中だろう? バカンスに来てまでトラブルの処理はさせられないさ」

真奈美「そういうことだ。ここから先は私とあいに任せて貰おう」


あい「自己紹介が遅れたね。私は東郷あいだ。仕事はまあ……ひとまず真奈美さんの相棒とだけ覚えていてくれ、今はね」



???「ヘーーーイ!!!」

P「ああっ……この声は!?」


  バババッ!


P「前略ヘレンさん!!」

ヘレン「オーレ!!!」ジャジャジャーーーンッ


ヘレン「島全体がダンサブルな波動に満ちたと思ったら、既にステージは温まっていたようね」

ヘレン「いいわ! 踊るべき場で踊り、踊らざるべき場でも踊る! それがこのヘレン!」ジャーン



P「し、しかし! あなた達だけ行かせるわけには……!」

美穂「その……ひょっとして、皆さんも人間じゃなくて……?」

真奈美「いや、私達はれっきとした人間だよ。少し人より鍛えているだけのね」

P「だったら尚更です!」

真奈美「心配無用だ。人間は怪異なんかに負けやしないさ」キリッ

P「す……すごい説得力だ……!!!!」

美穂「頼もしすぎます……!!!!」


楓「あ、これ大丈夫ですね」

茄子「ごめんなさい~……お礼はのちほどさせていただきますね?」



あい「さて、プランはどうする?」

ヘレン「ヘレンとて、かつては別のジャングルで大蛇と心を通じ合わせた身……」

ヘレン「その体躯が十倍や二十倍になったところで、内なる魂(ソウル)は変わらないわ!」

真奈美「ほう。その心は?」

ヘレン「封じ直すなどナンセンス。心を通わせ、同じ空を共にすることこそが世界レベルの解決ッ!」

あい「なかなかシビアなギャンブルになりそうだな。私としてはおすすめしないが……?」

真奈美「悪いな、あい。私はヘレンの案に乗りたくなってしまった」

真奈美「せっかくオーディエンスもいるんだ。ただ打ち倒すだけでは、あまりに芸が無いッ!」

あい「やれやれ、多数決で私の負けか……」フッ


あい「いいだろう、まずは最接近する。シートベルトは締めたまえよ!」ギュンッ

真奈美「任せる!」

ヘレン「アモーレ!!」


   キシャー ドゥルンドゥルン

  シュババババ ギャルルッ

 プンッ  シャギャァァアア  ヘーイ!



美穂「」ポカーン

未央「凄いの始まっちゃった……」

奏「山〇宏一が予告編のナレーションをする映画みたいになってきたわね」

P「ああ……『この夏! あの最強トリオが!! スクリーンで大暴れ!!』みたいな奴な」

周子「うわモノマネそっくりやん」

P「絶対高いとこから飛び降りるカットとか、爆炎が間近に迫るカットとかある奴」

周子「ほんで最後低音でカミングスゥ~ン……てな」

P・周子「ハハハ!(白目)」

奏「流石にこの二人も現実感が吹き飛んでしまったようね……」



P「ところで桃華と琴歌さんはヘレンさんとも知り合いなの?」

桃華「いえ、あの方はたまたまここにいらっしゃっていただけですわ」

琴歌「担当プロデューサー様公認の武者修行と仰っていましたわね」



   〇

  ―― 更にしばらくして


あい「というわけで、和解したよ」

P「マジで!!?!?!?!?」

ヘレン「言葉ではなく心で通じ合うもの……それがダンスよ!」ジャーン

真奈美「いや、これがなかなか気のいい奴でな。どうも鷹冨士さんのファンらしいのだが」

茄子「あらまあ!」

超でかい蛇「///」テレテレ



こずえ「ぶつ切りー……」ツンツン

超でかい蛇「!」ビクビク

茄子「ですけど、どうして私のことを知っているんでしょう?」

芳乃「気でしてー」

周子「便利やな気」

真奈美「更に言えば、鷹富士さんに通ずる諸君のことに気になって仕方ないそうなのだ」

超でかい蛇「♪♪♪」ルンルン

美穂「そ、そうなんだ……」

まゆ「確かに……よく見てみれば、目に愛がありますねぇ」

紗枝「」チーン

蘭子「」チーン



琴歌「あ……そうですわ!」

琴歌「でしたら、皆さんのサインをプレゼントして差し上げてはいかがでしょう?」

P「サイン? でもどこに……」

桃華「この大きなおなかに書いて欲しいようですわ!」

超でかい蛇(仰向け)

周子「ほほー、こりゃ確かに書きごたえのありそうな」

由愛「おっきな絵も描けそうですね……ふふ、なんだか可愛く思えてきました……♪」

奈緒「でも、適当に書くと散らかっちゃうなぁ」

卯月「そうだっ! じゃあ、寄せ書きにしませんか!?」

響子「寄せ書き?」

卯月「はいっ! この島での思い出とか、メッセージも込めて!」



超でかい蛇「♡♡♡」


P「腹に寄せ書きを書かれた大蛇が、帰っていく……」

美穂「これからどうするんだろう……」

ヘレン「森の奥地で静かに暮らすそうよ。もう暴れることもないわ」

P「わかるんですか?」

ヘレン「フッ……共に踊り合った仲よ」

真奈美「巨大な蛇が棲み付くようにはなったが、この島の平和は保たれたようだな」

あい「だが君達にはまた来て欲しそうにしていたよ。今後とも、たまには顔を見せてやって欲しい」



P「本当にありがとうございました。助かりました……本当に」ペコリ

真奈美「礼には及ばないさ。私達は私達のやるべきことを成したまでだ」

あい「その通り。それに……君達の側を本気にさせてしまった方が、我々にとってはよほど……ね」

こずえ「んー……?」


美玲(な……何が起こってるのか、全然わかんなかった……)

美玲(世界って広いな……。世界レベルって言ったか? ……いや、なんなんだよ世界レベルって)


楓「これは、ちゃんとお礼をしなければなりませんね」

楓「本当は温存しておくつもりだったんですが、秘蔵の大吟醸をお出ししましょう。遠慮なく空けてしまって下さい♪」ズルッ

P「またどこからともなく一升瓶を!」

真奈美「ほう、日本酒か! そういえばしばらくご無沙汰だったな。ありがたい、ひとつお相伴にあずかろうか!」



P(その後、二日目の盛大なディナーが開かれた)

P(木場さんのみならず、響子やまゆ、美嘉や美穂など、料理に覚えのあるアイドルが食事を用意して……)

P(今日を無事に乗り越えたこと、たった二日間の楽しい思い出、はたまたうちの事務所の珍奇なエピソード……)

P(それらを肴に、とっぷり夜が更けるまで盛り上がったのだった)


P(……ちなみに俺はしこたま飲まされて、最後らへんの記憶があまり無い)


【三日目】

  ―― 早朝 岬


芳乃「まこと、見事でございましたー」

芳乃「舞とはもとより、言葉ならず芸でもって、神や自然に意思を伝える手段なのでしてー」

芳乃「そなたの舞は、まさしく天地神明の理に通じておりまするー」

ヘレン「フッ……くすぐったいわね。ヘレンは踊り子よ。それ以上でも以下でもないわ」

芳乃「人の身で、よくぞここまでー……」

芳乃「流儀は違えども、そなたのそれは巫覡の要訣と相通ずるものー……。いずれ、舞台を共にしたく存じまするー」

ヘレン「そういうことなら歓迎よ。立つべき舞台があるなら、そこが場末のパブであれ、エアーズロックであれ私は行くわ」

ヘレン「センキュー! グッバイ……! また会いましょう!」ザッ

芳乃「またお会いしましょうー」

芳乃「……はてー。どのように海を越えなさるのやらー……」


  ザッ

ヘレン「あなた達の飛行機に同行させて貰うわ!」ジャジャーン

芳乃「ほー」


  ―― 飛行機発着場


ちひろ「行きと同じで、三機に分けて乗ってくださいねー」


  ゾロゾロ ワイワイ


P「改めて……ありがとうございました。本当にお世話になりました」

真奈美「なに、楽しいバカンスだったよ。久しぶりにスリリングな時を過ごせた」

あい「あちらでもまた会えるといいね。私は趣味でサックスを吹いているから、タイミングさえ合えば都内のジャズ・バーで再会できるかもしれない」

琴歌「必ず日本でもお会いしましょう! そうですわ、プロデューサー様とも連絡先を交換しておかなければっ」

桃華「島は変わらずここにありますわ。また来年、みんなで来られるといいですわね♪」


  ◆◆◆◆

  ―― ビーチ


  ザザー……ン

  ザザーーーン……


P「さてと、最後の飛行機も準備できたが……」

P「あ、いたいた。おーい、もう出るぞー?」


美穂「あ……」



P「どうした? 何かあったのか?」

美穂「いえ、何も無いんですけど……むしろ、もう何も無いんだなぁっていうか」

美穂「色々あったけど、どれもこれもすっごく楽しくて……夢みたいで……」

美穂「思い出だけ持っていくのが惜しいくらい、ここが大好きになっちゃって」

P「美穂……」

美穂「ほら、見てくださいっ! 海の向こうで太陽があんなにキラキラしてて!」


P(そう言って水平線を指差す美穂は、白い朝日に照らされる真っ青な海と空を背負っていた)

P(波打ち際で光が乱反射して、麦藁帽を被る彼女の姿が、色んなシルエットを描いて……)

P(そんな中で、眩しく笑った)


美穂「また来ましょうね! みんなでっ!」



  トクン…


美穂「? どうしたんですか、ぼーっとしちゃって……?」

P「ん、あ? ああいや、なんでもない。なんでもないぞ、うん」

P「……それよりさっきのポーズと表情もっかいやってくんね?」

美穂「えぇえ!? そんな急に言われてもっ!」

P「いやいや、すげー良かったって! めっちゃ絵になる! 水着グラビアいけるで!」

美穂「ぐらびっ!? も、もーっ! やめてください~っ!」ポコポコ


ちひろ「ちょっとー? 出発しますよー?」

P「おっとと、しまった……急ごうか」

美穂「わわ……はいっ! あ、あの、プロデューサーさん!」

P「ん?」

美穂「日本に帰ってからも、よろしくお願いしますね!」


   〇


P(最後の飛行機が離陸し、青海にたたずむ島をたちまち点にしていく)

P(そんな中、森の緑からぶんぶん頭を振る超でかい蛇が見えた)

P(それはみんなの今後のアイドル活動と、それに伴う色んなことを全力で応援している……)


P(……ような気が、した)


  ~おしまい~


〇オマケ


  ―― 後日 事務所


ちひろ「ま、帰ったら仕事漬けの毎日なわけですけど」カタカタ

楓「いいじゃないですか、たっぷりリフレッシュしたんだから♪」

ちひろ「楽しかったですねぇ……。木場さんのお料理だけでも食べたい気分ですよ」

P「いやぁまったくで」スイスイ

ちひろ「って何スマホいじってるんですか」

P「いや、西園寺さんとメル友になったので、今日あったことや写メなどを……」スイスイ

P「返事にめちゃくちゃスタンプ連打してくるんですよこの子(かわいい)」

ちひろ「あー、そういうの凄く喜びそうですねー」

楓「お暇を見つけてまた会いたいですねぇ♪」



楓「ところでプロデューサー……メル友って、もう死語ですよ?」

P「!?」

ちひろ「ちなみに写メも死語ですよー」カタカタ

P「!!??」

P「えっ……死語……? じゃあ俺の言語センスは……えっ……?」

楓「はい、これ以上追及するとドツボにはまるので、ここまで~♪」

P「待って!? 嘘でしょ!? プリクラとかってもう使わない!?」


  ガチャ

桃華「おはようございますわっ!」



ちひろ「あら、おはようございます桃華ちゃん」

桃華「プロデューサーちゃまは……どうかなさいましたの?」

P「じゃあ花金は……? いやでもお向かいさんが花ざかりって言ってたし……」ブツブツ

楓「気にしないでいいですよ♪ あら……それは、絵日記かしら?」

桃華「ええ! 島での出来事を、できる限りぼかして描きましたの!」

ちひろ「えーとなになに……」

楓「お友達と、南の島へバカンスに行って……」

ちひろ「クジラからお友達が現れて……」

楓「おっきな蛇さんがお友達になって……」

桃華「いかがですかしら? それらしくなっていますか?」モジモジ

ちひろ(これは……)

楓(先生、信じるかわかりませんねぇ……)


P「今……今って何だ……ナウ……ロマンティックナウ……」グルグル


 ~オワリ~

 以上となります。
 夏休みスペシャル的な内容で、ゲストともども普段よりトンデモでした。
 お付き合いありがとうございました。

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