【艦これ】かんゆうき~ババァと哀れな艦娘たち~ (31)

ここはどっかの海岸にあるどっかの鎮守府。
本日、この鎮守府に新たに配属された艦娘がやってきた。

か ん ゆ う き

~ババァと哀れな艦娘たち~

これは『艦これ』と『まんゆうき』のクロスSSである。

さあ、はじまります!



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―どっかの鎮守府・昼―

電「ふんふんふ~ん♪」ザッザッザッ

天龍「ようっ!」

電「あっ……こんにちはです。えっと、我が鎮守府に何か御用でしょうか?」

天龍「俺の名は天龍。本日付でこの鎮守府に配属された艦娘だ」

電「あ、そうなのですか!それはそれは、ようこそなのです」ペコリ

天龍「さっそくこの鎮守府の提督に挨拶がしてぇ。案内してくれよ」

電「あ、その……今はちょっとまずいのです」

天龍「何だ?何か問題でもあんのか?」

電「司令官さんは現在、お昼寝中なのです」

天龍「何だよそれ……。オイ、オレの着任と昼寝のどっちが大事なんだぁ?」ギロリ

電「ひぇっ!いえ、その、天龍さんの着任も大事だと思うのです。で、でも、司令官さんのお昼寝も大事というか……」ドキドキ

天龍「なんだぁ、ハッキリしねーなぁ!もういい!オレ一人で提督の部屋を探す!」プンスカ

電「ああ~!待ってください~!ダメなのですぅ~!」トテトテ

天龍「『てーとく室』……ここだな。やけにでっけえ扉だな」

電「ま、待ってください!司令官さんを起こしたら殺されるのです!」トテトテ

天龍「はぁ?何言ってんだよ。ちゃちゃっと挨拶済ませてくるだけで殺されるわけねーだろ」ケラケラ

ガチャリ

萬々「ぐがががががが~~~~」ボリボリ

バタン

天龍「……遠くから来たから疲れが溜まってるのかな、オレ」ゴシゴシ

ガチャリ

萬々「ふごごごごごごももも~~~~」ボリボリ

バタン

天龍「なぁ」

電「は、はい」

天龍「提督の部屋にバケモンがいる。あれ深海棲艦だよな?そうだよな?」

電「いえ、深海棲艦じゃありません。アレが司令官さんです。つまりここの提督なのです」

天龍「えぇ……。おかしいだろ、常識的に考えて……」

電「電もそう思うのです。はっきり言ってバケモノだと思うのです。でも実際にアレが司令官さんなのです」

天龍「……ちなみに昼寝してるところを起こしたらどうなるんだ?」

電「一度、司令官さんがお昼寝してる時に深海棲艦が攻めてきたことがあるのですが……」

天龍「おう」

電「激怒した司令官さんに踏み潰された後、瀕死になった深海棲艦達は叫び声を挙げながら食べられたのです」ガタガタ

天龍「」

電「あの光景はまさしく地獄絵図だったのです……。今思い出しても恐ろしいのです」ガタガタ

天龍「うん。わかった。とりあえず起きるまで待つことにする」

電「その方がいいのです。司令官さんに殺されたら元も子もないのです」

ドタバタドタバタ

天龍「ん?何だ?誰かこっちにやってくるぞ」

漁師「て、てーへんだ!深海棲艦だ!深海棲艦が現れた!」

電「えぇ!?そ、それは大変なのです!」

漁師「仲間の船が襲われてるだ!早く助けてくれ!」

天龍「さっそく現れやがったか!よーし、オレが片付けに行ってやるぜ!」

電「ああ、ダメなのです!まずは司令官さんに出撃の許可を得ないと!」

漁師「なら早く司令官とやらに許可を得てくれ!一刻も争う事態なんだ!」

電「そ、それが……今はダメなのです」

漁師「何でだコノヤロー!トロトロやってたら仲間の船が深海棲艦にぶっ壊されて大変な事になるだろー!」ガシッ

電「ひひーっ!す、すみません~!で、でも、司令官さんは現在お昼寝中でして、起したら恐ろしい目に遭うのです!」

漁師「なーんだ。お昼寝中なら仕方ない」

漁師「……なーんて言うと思ったのかテメー!」

バチーン

電「ぶべらっ!」

漁師「ふざけてんのかコノヤロー!仲間の命と昼寝のどっちが大事なんだバカヤロー!」ブンブン

電「あ、貴方のおっしゃる事は尤もだと思うのです!電もそう思います!でも司令官さんを無理やり起こしたら命に関わるのです!」ガタガタ

漁師「ムキー!もういい!俺が直接起してきてやる!」ポイッ

電「ああ!ダメです!殺されてしまうのですぅ~!」

バターン!

漁師「オラー!起きろテメー!暢気にグースカ寝てるんじゃ……」

萬々「……」パチッ

漁師「」

ムクリ ゴゴゴゴゴゴ……

漁師「ヒ……ヒィーッ!」ガタガタ

萬々「じゃかましゃー!昼寝の邪魔するんじゃねー!ぶっころすぞこのガキャー!」

バチーン

漁師「ウギャー!」

ゴロゴロゴロー ビターン!

電「はわわわわ……だ、大丈夫ですか!」

漁師「」

死 ~ ん

天龍「死んでるな」

電「ああああ……だから言ったのに」

天龍「……で、どうするんだ?」

電「と、とにかく戦闘は避けて民間漁船の避難だけ行うことにするのです!」

天龍「何だ面白くねーなぁ!もう提督の指示なんか待たずに戦っちまおうぜぇ」

電「勝手な事をしたら、それはそれで怒られてさっきみたいにぶん殴られるのです」

天龍「理不尽すぎるだろ……」

―鎮守府正面海域・南西諸島沖―

漁師の若者「ひぃ~!誰か助けてくれぇ~!」ギーコギーコ

天龍「お、いたぞ。オーイ!」

漁師のジジイ「おお!あのお姿は……間違いない!艦娘様じゃあ!」オーイオーイ

電「お二人とも大丈夫ですか?」

漁師のジジイ「おお、地獄で仏とはまさにこのこと!」ハハー

漁師の若者「おいジジイ。艦娘って何だ?」

漁師のジジイ「たわけっ!知らんのか!深海棲艦をこの世から消してくれる救世主様だぞ!」

漁師の若者「へぇ~。こんなトリガラみたいな小娘が」

漁師のジジイ「貴様ー!言葉が過ぎるぞー!すみません艦娘様!せがれが粗相をいたしまして」ペコペコ

電「それよりも早く避難してくださいなのです!天龍さんは避難誘導お願いします」

天龍「おう。お前はどうするんだ?」

電「私は敵を引き付けてから戻るので……」

漁師のジジイ「艦娘様ー!」ガシッ

電「ひぃっ!な、なんでしょう」ドキドキ

漁師のジジイ「なにとぞ!なにとぞ、我々を襲った深海棲艦をこの世から消してください!」

電「あ、そ、それはその……今回は避難するだけで……」

漁師のジジイ「あのクソッたれ深海棲艦共はわたくしめが長年連れ添った大事な船をボロボロにしやがったのです!」ズイッ

電「ひ、ひひーっ!で、でも電は主砲も魚雷も用意してな……」

漁師のジジイ「どうか!どうかぁ!深海棲艦共をなぶり殺しにして下さい!我々を襲ったことを死ぬほど後悔させてやってください!」ズズイッ

電「ひ、ひぃー!わ、わかりました!なるべくご要望にお答えできるように頑張るのです!」ドキドキ

漁師のジジイ「おお!小僧、聞いたかー!このお方があいつらをじわじわとなぶり殺しにしてくださるそうだ!」

漁師の若者「でもこんな小娘に本当に奴らを倒す力があるのか?」

漁師のジジイ「たわけー!この方からすれば、ワシらなぞ指先一つで消し飛ぶような存在だぞ!口を慎めー!」

漁師の若者「そ、そうなのか。どうみてもまだ子供なのに……すげーんだな」ドキドキ

天龍「じゃ、じゃあお前らは俺が護衛してやるからついてこいよ。電、あまり無茶すんなよー」フリフリ

漁師のジジイ「はっ!仰せのとおりに!では艦娘さま、吉報をお待ちしておりますぞー!」フリフリ

電「は、はい……」

電「……ど、どうしよう。今回は戦うつもりなんて全く無いのに……」ポツーン

ザザーン

電「と、とにかく深海棲艦達を上手く捲けるようにちゃんと装備をつけておかないと」

イ級「フヒヒ……」コソコソ

電「えーと、まずはタービンをつけて……よいしょ」ガサゴソ

トントン

電「はい、なんでしょう?」クルッ

イ級「やっほ」ニコォ

電「」

イ級「おーい!こんな所にうまそーな艦娘がいるぞー!」

電「ひぃーっ!深海棲艦ー!」ダバダバ

イ級「おーっと、逃がさないぜぇ」ガシッ

電「あわわわわ……」ガタガタ

ロ級「ヒヒヒ……こんな所で孤立してるとは、運のない奴だ」ヘラヘラ

ヘ級「ゲヘヘ……これは本当にうんまそーな娘だぁ」ペロリ

ホ級「お前どこ食う?俺は足が食いたいぜ」ジュルリ

電「はわわわわ……」ジタバタ

イ級「俺は小さなおててが食べたいぜ」ペローン

ヘ級「おい、ふざけんなど!おててはオラが食べるんだどー!」

イ級「あぁ!?俺が最初に見つけたんだぜぇ!おててを食べるのは俺に決まってんだろ。ひっこんでろデブが!」

ヘ級「な、何をこのクソハゲがぁー!」

ホ級「おいおい、喧嘩するなよ。ここは公平にじゃんけんで食べる順番を決めようぜ」

イ級「よーし!最初はグーな」

ロ級「いきなりパー出すのはチョンボだぜ」

ホ級「じゃーんけーん」

ポイッ!アイコデショッ アイコデショッ アイコデショッ

イ級「よっしゃー!俺が一番だぜー!」

ヘ級「ち、ちくしょぉおおお!オ、オラが最後なんて……」ワナワナ

ホ級「へへ、テメーがグーを出すのが悪いんだよ」

電「ひぃー!誰か助けてなのですぅ~!」ジタバタ

ロ級「ひゃっひゃっひゃ!こんな海のど真ん中で都合よく助けが来る展開なんて、今時少年ジャンプでもありえねーよ!」ゲラゲラ

イ級「さーて、どこにしよーかなぁー!やっぱり可愛いおててをいただこうかなぁ」アーン

ヘ級「オラー!」ドンッドンッ

ちゅどーん

ロ級「はべらっ!」

イ級「ぶべらっ!」

ホ級「なっ……!」

ヘ級「ゲヘヘ……この艦娘はオラのもんだぁ」ガシッ

電「ひぃーっ!」ドキッ

ヘ級「ふひひひひひ……いい香りがするでぇ……」ペロリ

電「はわわわわ……」ガタガタ

ヘ級「いただきマンモ……」

イ級「テメー!じゃんけんで負けた癖にふざけんじゃねー!」ドカンドカン

ちゅどーん

ヘ級「ウギャー!」

電「にゃああああーっ!」ドキッ

ロ級「へ、クソ軽巡が!欲張るからそういうことになるんだよ!」

ヘ級「く、駆逐艦の分際でオラに攻撃しやがって……!テメーら纏めてぶっ殺してやるー!」シュパシュパッ

イ級「うるせー!ぶっ殺されんのはテメーだぁー!」ドカンドカンッ

ギャーギャー

ホ級「へっ、馬鹿共が。奴らが争っている今のうちに……」ガシッ

電「」ガタガタブルブル

ロ級「ドサクサに紛れて何してんだテメー!」ドカンドカン

ちゅどーん

ホ級「ぎゃああああー!」

ヘ級「あの艦娘はオラのもんだー!」ドカンドカン

ロ級「うるせー!オレのもんだー!」ドカンドカン

イ級「俺に決まってんだろー!」ドカンドカン

ホ級「俺様のもんだー!テメーら全員死ねぇぇぇええーっ」ドカンドカン

ギャーギャー ちゅどーん ウギャー ヤリヤガッタナテメー ちゅどーん ギャー!

…………

……

イ級「」プスプス

ヘ級「」プスプス

ロ級「」プスプス

ホ級「」プスプス

死 ~ ん

電「みんな死んじゃった……」ポカーン

電「あ!ぼーっとしている場合じゃないのです!早く鎮守府に……」

ガシッ

ホ級「うへへへへー!つ~か~ま~え~たぁ~」ドロドロ

電「ひぃぃ~!まだ生きてたのですぅ~!」

ホ級「お、おまえはオデがたべ……たべ……!」ドロドロ

電「あわわわわわわ……」ガタガタブルブル

ホ級「うぎゃああああー!」ブシュー!

ドロドロビチャビチャ……

電「~~~~ッ!!!」ビチャビチャ

ホ級「」ドサッ

死 ~ ん

電「た、助かったのです……今のうちに早く鎮守府へ帰るのです」スイー

…………

……

ヲ級「あわわわわ……す、凄いものを見てしまった……」ガタガタブルブル

電「みなさ~ん!」フリフリ

漁師のジジイ「おお!あれは先ほどの艦娘様!」

天龍「お~!無事だったか。よか……クッサッ!」

電「え?」プーン

漁師の若者「深海棲艦はどうなっ……クッサッ!」

天龍「お、お前……何をしてきたんだ……?すげー臭ぇぞ……」オエッ

漁師の若者「オゲー!オゲゲゲー!!」ゲロゲロ

電「いえ、あの……」プーン

漁師のジジイ「深海棲艦が腐ったような臭いですな……くっせ!」オエッ

天龍「とにかくマジで臭ぇ。悪ぃけど近づかないでくれるか?」サササッ

電「」プーン

漁師のジジイ「と、ところであの凶悪な深海棲艦共は……?」ハナツマミー

電「あ……みんな死んじゃったのです!あの海域はもう安全だと思うのです!」プーン

漁師のジジイ「おお!流石は艦娘様じゃあ~!ありがとうございます!ほれ、お前も礼を言わんか!」

漁師の若者「ありがとうございます!これでまた安心して漁ができるってもんです!」

電「い、いえ……電は特に何もしてないので……」ワタワタ

漁師のジジイ「なんと謙虚なお方じゃあ!貴方こそまさに女神様じゃあー!」ガシッ ギュー

電「はわわわわっ!」ドキッ

漁師のジジイ「オゥエッ!くっせぇー!」ゲロゲロ

電「」プーン

ドシーンッ ドシーンッ

天龍「ん?何の音だ?」

電「こ、この音は……」ビクッ

ヒューン ズシーンッ

萬々「そーじさぼってこんな所で何やっとんじゃこのクソガキャー!」

電「ひぃーっ!やっぱりーっ!」ドキーンッ

漁師のジジイ「」

漁師の若者「」

天龍「」

電「あ、あの……これはですね!避難誘導をしていたというかなんというか……」ガタガタ

萬々「問答無用じゃー!」

バチコーン

電「ぶべらっ!」

バタンQ ムンズ

萬々「さて、もう一眠りするか」

ブワーッ

漁師の若者「か、艦娘様がバケモノに誘拐された……」ガタガタ

漁師のジジイ「こ、この世はもうおしまいじゃあ……」ガタガタ

天龍「いや、あれはなんていうか……うん。まあ、そう思うよな」

―ところ変わって翌日、どっかの深海棲艦の鎮守府―

ル級「さて、これがあの海域で記録された写真だ!」

パサッ

二級「こ、これは……」

チ級「ホ級達が全滅している……!」

ル級「ヲ級、詳しい説明を頼む」

ヲ級「は、はい……私は偶然あの海域を通り過ぎただけなのですが……」ブルブルブル

パサッ パサッ

ヲ級「こ、この写真の映像の通り、全員凄まじい死に方をしています。特にホ級は全身がドロドロに溶けて……」ガタガタガタ

港湾棲姫「こ、こんな馬鹿な……!一体どんな主砲や魚雷を使ったらこんな風になるんだ!」ドキドキ

ヲ級「し、しかも!」バンッ

港湾棲姫「はわわっ!……い、意味もなく机を叩かないでくれ。びっくりしたじゃないか!」ドキドキ

ヲ級「ホ級達を全滅させたと思われる艦娘は、タービンなどの機関部強化パーツしかつけていませんでした!」

港湾棲姫「な、なんだって!?」

ざわざわざわ

二級「つ、つまりこの艦娘は……」

ヲ級「ぶ、武装を何も装備してない状態で、ホ級達を、ぜ、全滅させたということです……」ガタガタガタ

港湾棲姫「そ、そんな馬鹿な!そんなことがありえるのか!?我々は深海棲艦だぞ!」バンッ

港湾棲姫「いくら艦娘達が我々に抵抗する術を持っていたとしても、何の武装もなく我々に勝てるわけがない!」

ヲ級「し、しかし!現に私はこの目で見たのです!」バンッ

港湾棲姫「はわわわっ!だ、だから意味もなく机を叩かないでくれ……」ドキドキ

リ級「この海域の近くには、あの魔の鎮守府が近くにあります」

港湾棲姫「魔の鎮守府というと、レ級達が襲撃に行って二度と帰ってこなかったという……」

ル級「はい。噂ではそこに住んでいるバケモノに全員食い殺されたと言われています。おそらくは今回の艦娘と同一人物かと……」

港湾棲姫「あわわわ……」ゾゾゾー

ル級「レ級程の実力を持つ者を食い殺せる奴なら、武装無しでホ級達が全滅したのもありえない話ではありません!」

港湾棲姫「い、一体どんなバケモノなんだ……その艦娘は」

ヲ級「残骸に隠れて何とか撮影してきました。後ろ姿だけですが……」

パサッ

港湾棲姫「な……!こ、これは……」ビクッ

ル級「こ、この大きさは……どうみても駆逐艦ではないか!」

チ級「こ、こんな小さな子供がレ級達を食い殺したというの……?」ガタガタ

港湾棲姫「ば、馬鹿な……!こんな小さな子がこんな残虐な事をしたというのか!」ガタガタ

ル級「にわかには信じられませんが、ホ級の溶けた肉片がこの艦娘に付着しているところを見ると……」

二級「間違いなくこの娘っ子がホ級達を惨殺した犯人……!」

ヲ級「最後に残ったホ級はドロドロに溶かされて……凄まじい悲鳴を……」ガタガタ

港湾棲姫「ど、どうして……なんで……!こんな子がそんな残酷なことをしちゃダメでしょう!」バンッ

港湾棲姫「た、確かにホ級達は素行が非常に悪いチンピラのような奴らだった……でも!」

港湾棲姫「こんな小さな子がそんなことしちゃダメでしょー!」シクシク

リ級「あっ!そういえば最近、深海棲艦が頻繁に行方不明になっている事件も起きているけど、もしかして!」

ル級「おそらくはこいつの仕業だ。どうしましょう。この艦娘……放っておいたら大変な事になります」

港湾棲姫「こ、この艦娘があの魔の鎮守府の部隊なのは間違いないな?」

ヲ級「は、はい……その方向へ帰っていきましたので……」

港湾棲姫「よ、よし!まずはその魔の鎮守府に偵察をしにいくぞ!」

ヲ級「えーっ!?」ドキーン

二級「そ、そんな!みすみす死にに行くようなものじゃないですか!」ガタッ

チ級「私はまだ死にたくないよぉー!」ブンブン

港湾棲姫「うろたえるな!深海棲艦はうろたえない!勘違いするな、戦うんじゃない!ただ偵察をしにいくだけだ!」

ヲ級「で、でも!もし見つかったら我々は食い殺されてしまいます!」ビクビク

港湾棲姫「武装を全部外して、コートを羽織って一般人を装えば大丈夫だ。深海棲艦とバレなければいい」

ル級「よ、よし。次の作戦は決まったな!あの魔の鎮守府への偵察作戦だ!」

ヲ級「うぅ、行きたくない……」ガタガタ

―翌日・どっかの鎮守府―

天龍「ったく、なんでオレが提督の酒を買いに行かなきゃなんねーんだ」

電「天龍さんはおつかいですか」

天龍「おう。拒否したらぶん殴られそうだったから仕方なく行くことにしたぜ」

電「それが懸命だと思うのです」

天龍「ていうかなんであんなバケモノが提督なんてやってんだ?」

電「以前、着任してた司令官さんが他の艦娘さんと共に別の鎮守府へ異動することになったのです」

電「その時にこの土地の守り神だった現在の司令官さんが、前の司令官さんと懇意の中だったこともあって、後任として選ばれたのです」

天龍「完全に人選ミスだろそれ。ていうかあのバケモノもよく引き受けたな……」

電「以前住んでた場所より広いこの鎮守府が気に入ったみたいで、移り住むことになったのです」

天龍「だからあんなやる気ねーのか。よくクビにならねーな」

電「司令官さんは、たまに深海棲艦を食べたりするのです。そのおかげでこの海域は極端に深海棲艦が少ない地域といわれているのです」

天龍「それが評価されてるわけか……おっと、グズグズしてると提督にぶん殴られそうだから行ってくるぜ」スタスタ

…………

……

リ級「こちらリ級。ターゲットは仲間と思われる艦娘と会話した後、再び掃除に入りました。武装の類は持ってない模様」コソコソ

ル級『よし、今のうちにターゲットに接触しろ。くれぐれも深海棲艦であることを悟られるなよ』

リ級「は、はい……」

ル級『ターゲットとできるかぎり会話しろ。無線で奴の声を拾うからな』

リ級「こ、こんにちは~」ガタガタガタ

電「あ、こんにちはなのです」ペコリ

リ級「い、いい天気ですねぇ……」ガタガタガタ

電「は、はい。あの、何か御用でしょうか?」

リ級「ひぃっ!」ビクッ

電「あ、あの~……大丈夫ですか?」

リ級「い、いえ!この鎮守府って何だかカントリーな感じがしていいなーって!」ガタガタガタ

電「は、はぁ……」

リ級「と、ところで、この鎮守府ってやっぱり沢山の艦娘さんがいたりするのですか?」ドキドキ

…………

……

二級「なんだなんだ。ずいぶんと大人しそうな雰囲気だな。本当にこの声の主がホ級達を惨殺したんですかね?」

ル級「馬鹿者、侮るな!見た目や雰囲気で騙されるから被害者が出ているのだ!」

電『いえ、この鎮守府には私と他一人しか艦娘と呼ばれる人はいないのです』

リ級『そ、そーなんですか!あはは……』

チ級「た、たった二人!?艦娘がたった二人しかいない鎮守府なんてどう考えても異常よぉ!」ビクビク

港湾棲姫「や、やはり武装無しでホ級達を全滅させたのは間違いないようだ……。この艦娘は相当な実力があるんだ!」ゾゾゾー

ル級「レ級達もたった二人の艦娘で全滅させたというのか……。しかも一人は駆逐艦……」ゾゾゾー

リ級『と、ところで……た、たった二人の艦娘で部隊が成り立つものなんですかね?』

港湾棲姫「おお!確信に迫るナイスな質問だぞリ級!!」

ル級「シッ!静かにしてください。大声出したらあっちの無線から我々の声が聞こえるでしょう」

港湾棲姫「す、すまん……」ショボン

電『ああ、それはですね……』

港湾棲姫「よ、よし!一体どんな手段を使っているのだ。早く言え」ドキドキ

電『あっ……』

港湾棲姫「ど、どうした……?なぜ言わないのだ……!」ドキドキ

…………

……

萬々「おう電。ちょっと出かけてくるからよ。ちゃんと掃除と留守番しておけ」ボリボリ

電「あっ……は、はい」

リ級「」ポカーン

萬々「ん?こいつ……深海棲艦の臭いがするでぇ」クンカクンカ

電「え!?し、深海棲艦!?」

リ級「あ……あ……ああ……」ガタガタブルブル

…………

……

電『え!?し、深海棲艦!?』

港湾棲姫「なっ……バ、バレた!?」

チ級「い、一体どうして!?」

リ級『ぎゃあああああああー――――!!バ、バケモノォォオオオオオー――!!』

港湾棲姫「ひぃっ!」ビクッ

二級「!?」ドキッ

ル級「ど、どうしたリ級!おい!応答しろ!!」

リ級『ば、ば、ば、ば、ばけ、ばけ、ばけけけけ!ばけもの!ばーけーもーのぉおおおー―!!』

ヲ級「あわわわわ……」ガクガクブルブル

二級「ま、まさか正体がばれて襲われているんじゃ……」

…………

……

萬々「なんだありゃ」ポカーン

リ級「ばけ、ばけ、ばけものー!いやあああああー!」ダダダダダ

電「ああ!そこは段差が激しいから走ったら危ないのですー!」

リ級「え?」ツルッ

リ級「うわぁぁああああああああー――――っ!」ゴロゴロゴロゴロゴロー

ドカッ ガンッ グシャッ ビターン!

…………

……

リ級『うわぁぁああああああああー――――っ!』

二級「ひ、悲鳴だ!や、やっぱり正体がバレて襲われているんだ……」ガタガタ

ル級「リ級を助けにいきましょう!」

港湾棲姫「だ、だめだ!今行ったら間違いなく我々は全滅するぞ!」

ヲ級「あああああー!もう嫌ぁー!」ブンブン

ル級「し、しかしこのままではリ級が……」

港湾棲姫「ここにいれば見つかることはない!今は心を鬼にして、情報収集にのみ集中しろ!」

チ級「うぅ……ごめんねリ級ちゃん……」シクシク

二級「ひ、悲鳴がやんだ……ど、どうなったんだろう……」ドキドキ

ヲ級「考えるまでもないよ……きっともうリ級ちゃんは……」シクシク

バシャバシャ……

リ級「あうううぅぅぅ……」ヨロヨロ

港湾棲姫「おお、リ級!」

ヲ級「生きとったんかワレ!」

リ級「ば、ばけもの……ばけ……もの……」ドサッ

ル級「しっかりしろ!今すぐ手当てを……」

リ級「あの……鎮守府……危険……ばけもの……ぐふっ……!」ガクッ

ル級「リ、リ級!リ級~!!」

ヲ級「リ級ー――――っ!」ウオーン

港湾棲姫「あ、あわわわわ……」ゾゾゾゾゾー

バシャバシャ……

電「あ、あの~……」

ル級「」

二級「」

ヲ級「」

チ級「」

港湾棲姫「」

電「その方、大丈夫で……」

二級「ぎゃああああああー!でたぁぁあああああー!」バシャバシャバシャ

ル級「て、転進ー!転進ー!」バシャバシャバシャ

ヲ級「あああああ!怖いよぉおおおー!」バシャバシャバシャ

チ級「いやああああ!殺されるぅ~!!」バシャバシャバシャ

港湾棲姫「ちょ、ちょっと!まって!まって~!!」バシャバシャバシャ

し ~ ん

電「」ポカーン

プカプカ

電「あれ、これって……落し物?」ヒョイ

―深海棲艦の鎮守府―

ル級「見てください、このリ級の体。至る所の骨がバキバキに折れてます」

港湾棲姫「う、うむ……」ガタガタガタガタ

二級「い、一体どんなことをしたらこんな傷がつくんだろう……」ビクビク

チ級「プロレス技で全身の骨を折ったとかでしょうか……?」

ル級「あの小さな体でか……?あ、ありえない……」ガタガタ

二級「で、でも!リ級さんの報告からすると、武装の類は一切持ってなかった筈です!」

ヲ級「そうですよ!リ級ちゃんがこんな無残な状態になったのは間違いないんです!」

港湾棲姫「しかも、あの時に聞こえた音声からすると、あの艦娘の仕業であることは明白だ……」ガタガタガタ

チ級「武装を一切持たずに簡単に私達の骨を簡単にボロボロにする……あ、悪魔よ……」ガタガタガタ

ル級「と、とにかく奴に対する対応は早急を要する!まずは他の鎮守府に応援要請を送りましょう!」

港湾棲姫「ああ……なんであんな小さな子がこんな残酷なことを……艦娘だからといってあんまりだ……!」ブルブル

フォーン フォーン フォーン

港湾棲姫「ど、どうした!?」ドキッ

チ級「ひぃぃいいい!しょ、正面モニター!正面モニターにさっきの艦娘が!」

…………

……

電「こんな所に鎮守府があったのですね。すみませーん!あけてくださーい!」ドンドンッ

…………

……

港湾棲姫「ななななな、なんで我々の鎮守府の場所が奴に!?」ガタガタガタ

ル級「な、なるほど……この艦娘、頭も相当切れるようですね」

港湾棲姫「ど、どういうことだ!?」

ル級「疑問だったのです。なぜリ級が虫の息で我々の元までたどり着けたのか……」

二級「そ、そういえば……。他の皆は全員、その場で死んでいた!」

チ級「ま、まさかわざと生かしておいた……?」

ル級「おそらく……間違いないでしょう」

港湾棲姫「な、なんのためにそんな残酷なことを!?」

ル級「当然、我々の基地の場所を見つけ出すためです。リ級に発信機のようなものをつけて……」

ヲ級「わ。私達の元にたどり着くよう、虫の息で放置した……」ゾゾゾー

港湾棲姫「リ級が我々の所にたどり着けば当然、我々はリ級の体を鎮守府に持ち帰る。奴はそう考えて……」ゾゾゾゾゾ

二級「う、うわぁぁぁあー!もうやだぁぁぁああー!!」ダダダダダダ

港湾棲姫「ま、待て!どこに行く!」

二級「ここに居たらみんな殺されるんだぁー!」ダダダダダダ

ル級「ば、馬鹿!そっちはさっきの艦娘がいる正面門だぞー!」

バターン!

二級「ひぃっ……ひぃっ……」

電「はわわっ!び、びっくりしたのです」

二級「」

電「え、えっと……大丈夫ですか?」

二級「ぎゃあああああー!出たぁぁああああー!」ダダダダダダ

電「ああ!待ってください!そんな勢いで走ったら危険なのです!」

二級「うわぁぁぁああー!」ズルッ ゴロゴロゴロー

ズダダダダー ガンッ グシャッ! ビチャッ! ドサッ

二級「」

死 ~ ん

…………

……

港湾棲姫「お、おい!何だ今の音は!?」ビクビクビク

ル級「モニター写します!あ……二級が死んでる……」

ヲ級「あああああああ……」ガタガタガタ

チ級「も、もうだめ……私達全員皆殺しにされるんだわ……」ブツブツ

ル級「くそ!こうなったらやぶれかぶれで……」

電「あ、あの~……」

港湾棲姫「あわわわわわ……!で、でたぁー!」ペタン

電「これ……落としましたよ」スッ

港湾棲姫「え?」

ル級「え?」

ヲ級「え?」

チ級「」ブツブツブツブツ

電「えっと、そちらの方の免許証だと思うのですが……」

港湾棲姫「あ、本当だ……いつの間にか無くなってた……」

ヲ級「あ、それでこの場所までこれたんだ……あはは……」

ル級「なんてことをしてくれたんですか」

港湾棲姫「だ、だって!だってぇ~!!」

電「それを渡しにきたのです!それでは、お騒がせしましたのです」ペコリ

ヲ級「え?私達を食べにきたんじゃないの?」

電「えっ」

港湾棲姫「えっ」

ル級「ち、違うのか……?」

電「そ、そんなことしないのです!」ワタワタ

ヲ級「だ、だって私達、深海棲艦だよ?」

電「えっ!?そ、そうなのですか!?」ドキーン

港湾棲姫「え、だから追って来たんじゃないの?」

電「い、いえ……普通の格好だったから全く気づかなかったのです」

ヲ級「で、でも!でも!二級も殺したし……」

電「え。いえ、あの方は滑って転がって地面に激突して……」

港湾棲姫「えっ。殺したんじゃないの?」

電「ち、違います!違います!」ブンブン

港湾棲姫「ははは……ははは!そ、そーだ!こんな小さな子が殺戮者なんておかしいと思ったんだ!」

ヲ級「わ、私達の勘違いだったんだ!良かった……」ホッ

チ級「」ブツブツブツブツ

ル級「いや、あまり良かったといえる状況ではないと思う。ニ級死んだし、チ級バグったし……」

フォーン フォーン フォーン

港湾棲姫「こ、今度はなんだ!?」ビクッ

ル級「えーと……こ、これは!未確認巨大物体が接近している模様です!」

電「……巨大物体?」

港湾棲姫「なにー!やっぱり我々の鎮守府を襲いにきたんじゃねーかコノヤロー!」ガシッ

電「ひぇー!ち、違います違います!」ブンブン

ル級「ら、落下してきます!」

港湾棲姫「そ、総員退避だー!」タタタタタ

ズシーン! ガラガラガラ…… 

ぐしゃーん

ヲ級・ル級「「うぎゃあああああ―――ーっ!」」グチャ

萬々「き~さ~ま~」ピクピクピク

電「は、はわわわわわわわわ……!」ガタガタガタガタ

港湾棲姫「あわわわわわ……ヲ級とル級が……ふ、踏み潰された……」ガタガタガタガタ

萬々「留守番してろって言ったのに、こんな所で何やっとんじゃこのクソガキャー!」

電「ひぃー――――っ!」

港湾棲姫「ば、ば、ば、ば、ばけ、ばけ、ばけもの……」ガタガタガタガタ

電「あ、あ、あの……こ、これはですね……」ガタガタガタ

萬々「言い訳すんなー!」バチーン

電「ぶべらっ!」

バタンQ

港湾棲姫「ひぃっ!」ササッ コソコソコソ

萬々「ん?おお、こんな所にうんまそーな深海棲艦がいるじゃねーか!」

チ級「」ブツブツブツブツ

ガシッ パクッ モグモグバリバリゴリゴリ ゴクン

港湾棲姫「……!……!!……!!!!」ガタガタブルブル

萬々「あー、美味かった」

ぶわーっ

港湾棲姫「チ、チ級が……ば、ばけものに……た、食べられた……」ガタガタ ブツブツ

―翌日―

空母棲姫「この駆逐艦が港湾棲姫の部隊を壊滅させたというのか……」

ワ級「は、はい……モニターに移ってるのはこの娘だけですし……間違いないかと」

ヲ級「」死~ん

ル級「」死~ん

二級「」死~ん

港湾棲姫「チ、チ級が……ば、ばけものに……た、食べられた……」ブツブツブツ

タ級「リ級とニ級は全身の骨がバキバキに折れて死亡……」

空母棲姫「ヲ級とル急に至っては巨大な何かに踏み潰されたような形跡……」

ワ級「い、一体どんな手段を使って……」ガタガタ

タ級「噂には聞いていたが、この地区にはとんでもない艦娘がいるみたいですね……」

港湾棲姫「チ、チ級が……ば、ばけものに……た、食べられた……」ブツブツブツ

空母棲姫「ああ……港湾はさっきから同じことばかり呟いている始末だ」

ワ級「よほど怖い目にあったんですね……」ホロリ

タ級「我々を食べる艦娘がいるのは本当だったようですね……」ゾゾゾ

空母棲姫「と、とにかく、あの魔の海域には極力近々ないように伝令を出そう」



これ以降、どっかの鎮守府海域は魔の海域と言われ深海棲艦から恐れられるようになったのだった

―かんゆうき 第一部・完―

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2019年03月31日 (日) 04:10:54   ID: x_rAJRD1

20数年前のジャンプを思い出した。

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