医大受験女「女だからって点数を減らされるのなら100万点取ればいいだけの話よ」 (23)

○×医科大学にて――

教授「本日は、この私自ら試験監督をさせてもらう」

教授「受験生諸君、試験前に申し上げておくが――」

教授「はっきりいって、女性は医者に向いていない!」

教授「女性受験者は場合によってはたとえ合格点を取っていても、点数を減らし」

教授「不合格にするからそのつもりでいるように!」



男「ひどい! 世の中、女性の名医だっていっぱいいるじゃないか!」

男「こんなのは横暴だ! 男女差別だ! 断じて許されることじゃない!」

女「黙りなさい」

男「え?」

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女「点数が減らされる? ふふっ、面白いじゃない」

男「面白い……?」

女「女だからって点数を減らされるのなら100万点取ればいいだけの話よ」

男「なにいってんだ、君は……」

教授「フハハハハッ! たしかに100万点も取れば、点数を減らされても合格できるだろう」

教授「だが、我が校の試験内容は記述式の全10問で、配点はそれぞれ最大10点、満点は100点だ!」

教授「仮に君が世界最高の天才だとしても、100万点取るなど不可能なのだよ、不可能!」

女「やってみなきゃ分からないでしょ?」

教授「よかろう……取れるものなら、取ってみるがよい!」

試験終了――

教授「では、問題用紙と解答用紙を回収する」

男(ふぅ……どうにか全部解けたぞ)

教授「さて、100万点は取れそうかね?」

女「もちろんよ」

教授「なに!?」

女「なんだったら、今ここで採点してくれても構わないわよ?」

教授「面白い……!」

教授「では、せっかくなのでこちらの男君の答案も一緒に採点しよう」

男「え、なんで!?」

< △△年度 ○×医科大学 入学試験 >



【問1】あなたが医者になりたい理由を答えなさい。

男『病気や怪我に苦しむ人々を救いたいから』



教授「ふむ、見事! 男君の解答は文句なしの10点だ!」

教授「さて、女君の解答は、と……」

女『金儲け』



教授「うわああああああああああああああああ!!!」

教授「完璧すぎるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

教授「10万点ンンンンンンンンンンンンン!!!!!」

女「どう?」

教授「……いい気になるなよ! あと9問も残ってるんだ! 100万点なんて取れるわけがない!」

【問2】もう治療方法がなく助からない患者に対しては、どう接するべきですか。

男『心のケアをして、残る人生を悔いのないように過ごさせる』


教授「うむ、よろしい! 10点だ!」



女『トドメを刺す』


教授「うわああああ! 非情だが、実に効率的だ! 10万点だァァァァァ!!!」

【問3】あなたが尊敬する人物を答えなさい。

男『野口英世』


教授「彼は日本で最も有名な医師の一人だからな……模範的な解答だ! 10点!」



女『間黒男』


教授「わぁぁぁぁぁ! ブラックジャックゥゥゥゥゥ! しかもちゃんと本名で!」

教授「こんなもん10万点やるしかないッ!」

【問4】あなたが医者になったら治したい病気はなんですか。

男『ガン』


教授「現代人は二人に一人はガンになるというからな。10点でいいだろう!」



女『金欠病』


教授「こうきたかァ~~~~~ッ!」

教授「問1での解答が伏線になってるし、悔しいが10万点くれてやらァァァ!」

【問5】母親と恋人があなたの病院に運ばれてきました。一人しか助けられません。どちらを助けますか。

男『たった一人しかいない母親。恋人はまた作ればいい』


教授「同感だ。私もマザコンだし、10点差し上げよう」



女『 』


教授「無回答!? どちらが正解という問題ではないし、答えは沈黙というわけか!」

教授「10万点ッ!!!」

【問6】残念ながら患者が亡くなってしまいました。まず何をすべきか答えなさい。

男『遺族に説明をし、亡くなった患者の冥福を祈る』


教授「うむ……無駄がない答えだ。10点を与えるに相応しい」



女『葬儀屋に連絡する』


教授「無駄がなさすぎる! 持ってけ10万点!」

【問7】医者になったら、医療業界をどう改革したいと考えていますか。

男『臨床試験等をもっと短期間で済ませられるようにしたい』


教授「現行の制度では、有効そうな治療法や治療薬ができても」

教授「それが現場で使えるようになるまでには大変長い時間がかかるからな……改革を望む声も多い」

教授「10点!」



女『ナース服の露出を増やす』


教授「これ是非やって欲しい! 10万点プレゼンッ!」

【問8】医療業界におけるAIの活用について、もしも今後さらにAIが発達したらどうするか。
   あなたの考えを述べなさい。

男『人による医療、AIによる医療、それぞれのよさを融合させていきたい』


教授「AIとて決して完璧ではないからな……よい答えだ。10点をあげよう!」



女『AIに全部任せてニートする』


教授「潔すぎ! 10万点! 何気に五七五になってるのもポイント高いぜ!」

【問9】もしも一生懸命努力したにもかかわらず、医者になれなかったらどうしますか。

男『たとえ医者になれなくとも、医療に携わることのできる職業につきたい』


教授「うむ、医者だけが医療を支えているわけではないからな。素晴らしい答えだ、10点!」



女『歯医者(敗者)になる』


教授「うまい、座布団一枚! 10万点だァァァァァ!!!」

教授(ぐうう……こんなはずでは……)

女「今のところ、私の解答は全部10万点のようね」

男「す、すごい……」

教授「ぐっ!」

教授「だが、まだ分からんぞ! 最後の問題が残ってる!」

教授「笑うのは10問目で10万点取ってからにするんだなァァァァァ!!!」

【問10】医者にとって最も必要なものは何か答えなさい。

男『常に情報に耳を傾け、最先端の知識を取り入れていく学習意欲』


教授「文句なしの10点満点の解答だ。さて、女君は――」



女『人々を救いたいという気持ち』


教授「最後の最後でまさかのまともォォォォォォォォォォ!!!???」

教授「私こういうのに弱いィィィィィ! 普段おちゃらけてる奴がラストでマジになる的な!」

教授「10万点ンンンンンンンンンンン!!!!!」

女「どうやら、私の成績は全問10万点で100万点だったようね!」

教授「あぐぐぐ……」

女「さぁ、大勢の受験生の前で私に合格を告げるのよ! 敗北を認めるのよ!」

教授「仕方あるまい……いくらなんでも100万点取った者を不合格にするわけにはいかんからな……」

女(勝った……!)

教授「…………」

教授「いや、残念ながら……君はやはり不合格だ。君は医者には向いてない」

男「え!?」

女「なんで!?」

女「今さら何いってるのよ! この期に及んで女性だからって不合格にするつもり!?」

教授「そうではない……」

教授「君……名前と受験番号書き忘れてるよ」

女「やっちゃったぁ~~~~~~~~~~!!!」

男「こんなドジっ子はたしかに医者には向いてないな……」









― 終 ―

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