貴音「猫、ですか?」 (22)

響「そうさー、自分の新しいペットさ!ねこ二郎っていうんだ!」

貴音「しかし、響の家にはほかにもどうぶつがたくさんいたはずです。これ以上家族を増やして大丈夫なのですか?」

響「うーん、餌を賄うくらいはできるんだけど……実は問題があって……」

貴音「はて」

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響「ねこ二郎は怪我して動けなくなったのをたまたま自分が見つけて拾ってきたんだ」

響「元野良猫だから、全く自分に懐いてくれなくて……」

響「それどころか、ねこ吉やイヌ美、ワニ子たちとも喧嘩して、家に居場所がない状態なんだ……」

貴音「ふむ……そのいぬじろうにとってはまるで地獄のような毎日というわけですね」

響「そうなんだ……」

響「そこで、貴音に相談があるんだ……」

貴音「?」

響「1週間でいいから、ねこ二郎を預かってくれないか?」

貴音「わたくしが……?」

響「1週間もしたら人に懐いてくれるかもしれないし、このままだとねこ二郎がストレスで死んでしまうぞ!」

響「ねこ二郎と自分を助けると思って、頼むよ貴音ぇ……」

貴音「ふむ、わかりました。1週間なら」

貴音「わたくしでも、ちゃんと世話ができるでしょうか……」

響「大丈夫だ!わからないことがあったらなんでも聞いてくれ!」

貴音と響は響の自宅へ直行する。

ねこ二郎を貴音に引き渡すためだ。


響の家

わんわん!!  ヂューヂュー!  ぶーぶー!


響「ははは!みんな、ただいま!」

貴音「おじゃまいたします」

響「えっと……ねこ二郎はどこだ?」

響「あ、いたいた」

貴音「あれがねこ二郎ですか」

ねこ二郎「………」ブルブル

ねこ二郎は響の部屋の隅っこで怯えるようにブルブルと震えていた……

毛色は「茶色」だった。いわゆる茶トラ猫である。

響「ちょっと待っててくれ貴音。ペット用のキャリーカートにねこ二郎を入れるから!」

貴音「わかりました」

ねこ二郎「………」ブルブル

貴音「ふふっ、あなたはかわいいですね……♪」

響の家から帰る貴音。

ねこ二郎をキャリーカートへ入れ、帰路へつく……

ねこ二郎「にゃーーー!!にゃーーー!!にゃーーーー!!!」バタバタ

貴音「面妖な……」

貴音「ねこ二郎が暴れるから持ち運びが難しい……」

貴音「もう少しのしんぼうですよ、ねこ二郎」

ねこ二郎「にゃーーーー!!!にゃーーーー!!!」

貴音の自宅

貴音「ふぅ、疲れました。ふだん、響の家から帰る時と比べ、疲労感があります」

貴音「さて、さっそく、わたくしの部屋にねこ二郎を放しましょう」

貴音はキャリーカートを開けた。

貴音「あっ!」

貴音は手を差し出してねこ二郎を出してあげようとしたが、それよりも早く、ねこ二郎がカートから飛び出した。

ねこ二郎「にゃーー!!にゃーーーー!!」バタバタ

貴音「ねこ二郎!?」

貴音「暴れまわらないでください!」

ねこ二郎「にゃーーー!!!!!」バタバタ

ねこ二郎は初めて見る光景に興奮を隠しきれていない。

その興奮は「恐怖」によるものである。猫ははじめての場所が怖いのだ!

ねこ二郎「にゃーー!!!にゃーーー!!!」ピョンピョン

貴音「ふふっ、そんなことをしても窓は開きませんよ」スッ

ねこ二郎「ふぅうううう!!!!」ガッ

貴音「―――っ!?」

貴音がねこ二郎を撫でようとしたら、ねこ二郎が威嚇した。

まるで「触るな!」と言っているようだった。

ねこ二郎はそのまま貴音から距離をとり、部屋中を暴れまわる。

貴音「よ、よしなさい!ねこ二郎!?暴れないでください!」

ねこ二郎「にゃーーー!!!にゃーーー!!!」

貴音が追いかけるたびに、ねこ二郎は逃げる。

そして、ねこ二郎が逃げる度、部屋中の物をひっくり返していく!

貴音「は、早く捕まえなければ……!」

ねこ二郎「にゃーーー!!!」だだだっ  ドンガラガッシャーーーン

ねこ二郎が暴れたせいで、貴音の部屋の中がどんどん汚くなっていく……!

大切に飾ってあった響やPとの思い出写真がひっくりかえされ、貴音にますます危機感が出てくる。

貴音「この……!やめなさい!!」

ねこ二郎「にゃぁああああ!!!!!!」

貴音「捕まえました!!!」

部屋中を暴れるねこ二郎をようやく捕まえた貴音。しかし―――

ねこ二郎「―――!!!」ガブッ


貴音「痛いっ!!!!」

貴音「ひ、左手を噛まれてしまいました……」

ねこ二郎「ふぅううううう!!!!!ふぅうううう!!!!」

ねこ二郎は再び暴れまわり、本棚の後ろに身を潜めた。

貴音「本棚の中に隠れてしまいました……おや、あれは……?」

貴音は、本棚の入り口がなぜか濡れているのを発見した。

貴音「はて……雨漏りでしょうか……」

ちなみに、雨は降っていない。

貴音「!!?」

貴音「この臭いは!?」

水は、まるで「飛び散っている」かのように辺りを侵食していた。

その出どころは……どうやらねこ二郎のようだ。

貴音「ねこ二郎……!失禁してしまったのですか……!」

ねこ二郎「………」ブルブル

ねこ二郎は恐怖のあまりおしっこを漏らしてしまった。猫は怖いことがあるとすぐにおしっこを漏らすのだ!

貴音「部屋を掃除するのも当然ですが、まずはねこ二郎を綺麗にしないと……」

貴音「部屋を掃除したとしても、部屋が汚れていくばかりです。」

貴音「まずは、本棚をどけて……」ササッ

本棚はそこまで重くないので、貴音でもずらすことができる。そして、ある程度のスペースが出来た。

貴音「さ、こちらへ……ねこ二郎……」

貴音が再び捕まえようとしても……

ねこ二郎「ふぅうううう!!!!!」ダダッ

貴音「あっ!!逃げてはいけません!!」

貴音が作った隙間から、ねこ二郎は逃げ出す!!そして、再び暴れまわるのだった。

貴音「………」

貴音はねこ二郎など見ていない。

なぜなら、ねこ二郎が座っていた場所にあるある茶色の物体に目を疑ったからだ。

そこには、ねこ二郎が出したであろう「うんこ」がぽつんと置かれてあったのだ。

貴音「面妖な……!」

貴音(以前響が言っていました……)

貴音(「動物は癒しになるんだ!」と……)

貴音(響……わたくしには到底……信じられません……)スクッ

貴音は、暴れるのをやめ、あらたに身を隠すことのできる場所に身を潜めていた。テレビの裏の部屋の隅である。

貴音「………」

貴音はこれ以上噛まれないように、軍手を装備する―――

そして、そのままねこ二郎に近づく―――

貴音「………」

ねこ二郎「!!!?ふぅううううう!!!!!」

威嚇するねこ二郎などお構いなしに、ねこ二郎を捕まえようとする。

ねこ二郎「!!?」

ねこ二郎はそのまま逃げだした。しかし、テレビの裏から出てきたねこ二郎を、貴音は見逃さなかった!

貴音「待ちなさい!!!」ガッ

貴音は逃げ出すねこ二郎に反応。

逃げるねこ二郎の尻尾を掴むことに成功した!

ねこ二郎「ふぅうううう!!!!!!」

いきなり尻尾を掴まれて驚くねこ二郎。貴音はそのままねこ二郎を持ち上げた。

ねこ二郎「ふぅううう!!!!ふぅうううう!!!!」バタバタ

ねこ二郎は地に足がついていないためか、手足をバタバタさせ、身体全体を動かし、なんとか解放されようとしていた。

貴音「………」

貴音「これが、教育というものでしょうか」

貴音は、ねこ二郎のしっぽを引っ掴みながら、そのまま部屋の壁と向かい合わせになる。

貴音は尻尾を掴んでいる右手を後ろへ持っていき、「スイング」する姿勢を取る。


そして―――


クソ猫を壁に叩きつけた!!!

貴音「はぁあああっ!!!」ブオンッ


ガッ!!!!

ねこ二郎「ぎゃっ!!!!」

しっぽを持ってフルスイングした貴音。ねこ二郎は壁に叩きつけられた。

顔面からたたきつけられたので、ねこ二郎の鼻血や口からの吐血が白い壁を侵す。

貴音「面妖な……!!面妖な!!!」ブンッ

ねこ二郎「ぎゃっ!!!」



二発目―――

三発目―――

三発壁に叩きつけ、壁に「赤」の割合が増えた時、ねこ二郎は暴れなくなった。突然の痛みと苦しみのせいで、暴れる体力がなくなったのだ。

貴音「もう一発……!!!!」ブオンッ

ねこ二郎「………」

貴音がラスト一発を喰らわせるため、振りかぶる……!

そして、ねこ二郎は再び壁に叩きつけられ、貴音はその勢いで尻尾を手放した。


貴音「はぁ……!はぁ……!」

鬼のような形相をして、倒れ込んでいるねこ二郎を見下ろす貴音。

ねこ二郎「……カ」

ねこ二郎「カ……カ……」

ねこ二郎は呼吸をするのも精一杯のようだった。身体をピクピクさせながら、なんとか呼吸しようとしている。

ねこ二郎の顔面は血だらけで、今だに鼻血がこぼれていた。

口元も当然血だらけ。歯茎からも血が出ていた。

右目が大きく腫れあがっていて、原形をとどめていない。瞼が晴れているせいで、目も大きく充血している。

まさに「虐待された猫」だった―――

貴音「はぁ……!はぁ……!」

貴音「ようやく、おとなしくなりましたか……!」

ねこ二郎「ハァハァハァハァハァハァ」舌だらーん

ねこ二郎は自力で呼吸を回復させたが、今度は呼吸が激しくなった。

あきらかに異常がある呼吸の猫を前にして、貴音は、「可哀想」「やってしまった」とは思っていなかった。

貴音「貴方がいけないのですよ……」スッ

ねこ二郎「ハァハァハァハァハァ」舌だらーん

貴音「もし完治したらまた暴れ出すかもしれません」

貴音「どうしたら……」

貴音「そうだ……!」

貴音「この猫の足を折りましょう」


ねこ二郎「ハァハァハァハァハァハァ」舌だらーん

貴音「………」

貴音は、倒れ込んで苦しそうにしている猫二郎の「右後ろ足」を手に取る。

そして、本来なら曲がらないであろう方向に、右後ろ足を曲げた。

ねこ二郎「!!!!?」

ねこ二郎「ぎぃぃんにゃぁあああ!!!!!!」

ただでさえ呼吸が正常でないねこ二郎が、力いっぱい悲鳴を上げる。

貴音「くっ……固いですね……!」グググググ

貴音は力いっぱいねこ二郎の右後ろ足を反対方向へ曲げる―――


そして―――


ボキィイイイイ!!!!


ねこ二郎「ぎゃぁあああああああ!!!!!」

貴音は、ねこ二郎の足が折れたのを、音で確かめることができた。

貴音「……折れたのがあまり確認できません……本当に折れているのでしょうか……」

ねこ二郎「ハァハァハァハァハァハァ」

ねこ二郎は呼吸を荒げる。

そして、あきらかに先ほどとは違い、右後ろ足を自由に動かせることができなくなっていた。

貴音「………」ぎゅっ

ねこ二郎「ぎゃぁうああああ!!!」

貴音がねこ二郎の右後ろ足を力強く握りしめる。

貴音「ふむ、折れてますね」

貴音「そうだ……完全に動けなくするには、もう一本くらい折っておかないと……」

そして、今度は、ねこ二郎の「左前足」を手にかける―――

貴音「ふんっ……!!」ググググググ



ボキィイイイ!!!!


ねこ二郎「ぎゃぁあああああああ!!!!!!」

貴音は猫の足を折るコツを掴んだのか、先ほどよりもスムーズに足を折ることができた。

つづく

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