真「ボクの織姫様」 (36)


P「一時間後から撮影だ。それまでここで待ってくれ」

春香「はい!」

真「はーい!」

P「じゃ、後でな。俺はディレクターと打ち合わせしてくるから.....」


ガチャ


春香「......ふぅ、なんか急だったね今日の撮影が決まったの」

真「そうだね、もともとの女優さんと俳優さんが急遽出られなくなったところをプロデューサーが取ってくれたみたいだけど......」

春香「そうだったんだ......」

真「うん...... あ、あったかいお茶とかいる、春香?」

春香「あー、うん! じゃあもらおっかな......」

真「おっけー...... ボクは......水にしとこっかな......」

春香「......」



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真「はい春香」

春香「ありがとー! ......」ズズー

真「ん......」ゴク

春香「いやー、それにしてもなんかごめんね真」

真「ん、なにが?」

春香「いやさ、私も一番似合うとは思うけどね。真の彦星役」

真「あぁ...... そうだね、もう慣れたけど......」

春香「いつも男性役ばっかだもんね~......」

真「うぅ......やっぱり一度くらいフリフリキャピキャピの服着たいよ......」

春香「ライブで着てるじゃない......ってのは」

真「確かにそうだけどさぁ......テレビでも着たいんだよ~!」

春香「あはは......そうだよね......」

真「はぁ~......」


春香「そもそもなんで私が織姫役なんだろう......貴音さんに勝てる気がしないんだけど......」

真「貴音かー......確かに似合わないわけないもんなー......」

春香「嬉しいんだけどね。やっぱり想像しちゃうっていうか......」

真「......別に春香でもいいんじゃない?」

春香「......真?」

真「悔しいけど春香は男の人から人気あるし!」

春香「真......! あ、あり

真「たまにはドジかわの織姫がいてもね!」

春香「うぐっ......ま、真!!」

真「あははっ、ごめんごめん!」

春香「もー...... せっかくお菓子作ってきたのになー......」

真「あ、食べる食べる! ありがと春香......

春香「......ふん」ツーン

真「......春香?」

春香「ドジかわの春香さんだから自分の分しか作ってこなくても仕方ないよね~!」

真「自分でかわの部分つけるんだ......」

春香「......真の分はこれからも無し......と......」

真「っとと! ごめんってば! これからも春香のお菓子食べたいよ!」


春香「そこまで言うなら......えへへ、はい」

真「まったく春香は...... え、なにこれ」

春香「......実は一個忘れちゃって......てへ♪」

真「......じょ、冗談じゃなかったのか......」

春香「うぅ......ご、ごめん......」

真「ううん、半分くれてありがとね春香」

春香「うん!」

真「......おいしいね、にしてもどうやってシュークリームなんて作るんだい?」モグ

春香「......え、意外に簡単だよ。あ、今度真も一緒にやってみる?」

真「え、ほんと!? 春香みたいにお菓子が作れたら......! これは絶対女子力上がるよ!」

春香「え、そ、そうかな?」

真「うん! えっへへ、やーりぃ!」

春香「真がいいんならいいけど......」


真「......」ガツガツ

春香「......ふふ」

真「......ん? なに春香笑って......」

春香「もー......クリームついっちゃってるよ......じっとしてて......!」

真「えっ!? う、うん......」

春香「......」フキフキ

真「......っ」

春香「はい終わり! 彦星様がクリームなんてつけてちゃ......どうしたの真、そんなに固まって......」

真「うぇ!? い、いや......」

春香「......?」

真「な、何でもないよ! あ、ありがとう春香......!」

春香「そう? ふふっ、いーえ!」

真「......ふぅ......」ゴクン

春香「結構時間まだあるね......私台本見ててもいい?」

真「え、あ、あぁ、うん! 楽しんでね!」

春香「う、うん。ありがと......?」

真「......ボ、ボクちょっとトイレ行ってくるね......」

春香「うん、いってらー!」

真「うん、いってきー......」ガチャ

春香「え? い、いってき......?」


春香「......なんか真おかしい......?」




  ジャー

真「......」キュ

真「......あ”ぁぁぁぁぁ!!!」

真「なんだよ楽しんでって!!」

真「台本読むのに楽しんでも何もないだろ!」

真「......はぁ、クリーム拭かれてから変に意識しちゃってるなぁ......」

真「......味わかんなかったよ......」

真「......ああいう経験ないのはこういう時に困るんだよね......」

真「......ま、まぁ男の子にされたいってのもあるけどさ......」

真「......」

真「......よし!」パチ

真「相手はただの春香なんだ、ドジかわ......ドジかわ......」

真「はっ! い、いや! もうドジの春香だ! よし......ドジ......ドジ......



  ガチャ


真「ただいま! ドジの春香!」

春香「いきなり罵倒された!?」

真「どうしたの、ドジって台本無くしちゃったりしてない?」

春香「馬鹿にされてるよね私?」

真「......相手はこの春香なんだ。最初っから意識しちゃったのがおかしいんだよね......」

春香「なんか馬鹿にされてるのは分かるけど......」

真「ふっ......」チラ

春香「うわ、今のチラ見すっごいむかつく!」

真「さぁ、なにがしたい春香!? 踊る? 踊っちゃう??」

春香「......トイレで何が起きたか知らないけど、もうメイクの時間だって」

真「あっ、そうなの?」

春香「うん、別々の部屋だからまた後でね!」

真「そっか......うん、またね!」


「こんにちはー! じゃ、メイクしていきますねー!」

真「はい、よろしくお願いします!」

「......じっとしててくださいねー......」

真「......」

真(ふぅ......なんとか春香との感じも元通りだったよね......!)

真(でも、春香にも言ったけど......春香の「ザ・女の子」って感じ、たまに羨ましいんだよね......)

「目閉じてくださいね~......」

真「はい......」

真(ボクはボクでいいところがあるってのは、もうわかってるけど......)

真(やっぱり似合ってるんだろうな......春香の織姫様......)


真(......)

真(......はっ! いや、だめだ他のこと考えないと......ドジ......ドジ......)

真(......もしかしたら、春香カササギに乗って渡るとこで転んで落ちちゃうかも......)

真「......ふふっ!」

「どうされましたー?」

真「あっ! い、いえ......」

「ふふ、なにか面白いことでもー?」

真「あ、その......ちょっと......」

「あはは、そうでしたかー」

真「......うぅ///」

真(ぜ、ぜったい変に思われてるよー......///)

真(春香のせいだよ! もう、春香がドジなのが悪いんだからっ!!)

「でも嬉しいの分かりますよー」

真「......え?」

「私もびっくりしましたー、菊地さんなのに......」


「織姫役するんですってね。意外でしたけどー」


真「......え」

真「えぇぇぇぇっっ!!!!??」


「よかったですねー、お姫様の役ー」

真「い、今の話......ほんとでですか!?」

「はいー、何でも今回のDがジェンダーに関するCMを撮りたいとか何とかで......」

真「じぇ、じぇんだー......」

「わざと「ざ・女の子」の春香ちゃんが彦星に......」

「「ざ・王子様」の菊地さんが織姫になるのが撮りたいって......」

真「......」

「......あれ、だから嬉しくてさっき笑っちゃったんじゃ......菊地さん......?」

真「ひゃ、ひゃいっ!?」

「......ふふ、長いことこういう役なりたいって言ってたじゃないですかー、よかったですね」

真「は、はい......あれ、お姉さん初めてなのにどうして......」

「私もファンでずっと追っかけてますからー......! よかったですね真さま!」

真「あ、ありがとうございます!! ......え、で、でもそれじゃ何でさっきまで菊地さんって......」

「仕事ですからー。春香ちゃんとはなんども会ってますけど、菊地さんは初めてだったので」

真「あ、なるほど......」

「......はい、出来ましたー......! 私が見ても綺麗ですよー、目、空けてくださいー」

真「っ......! こ、これが......ボク......!?」

「ふふ、また会えるといいですねー、真くん......♪」

真「は、はい! ありがとうございました!!」

「はーい、衣装は向こうでねー......!」



真「真ちゃんとは言ってくれないのか......なんだかなぁ......」



真「......ありがとうございましたー!」バタン

真「い、衣装もほんとに織姫だ......!」

真「......こ、こんなにふわっふわでキュイキュイな服を着られるなんて......!」


P「お、真!」

真「プ、プロデューサー!」

P「いやー、俺も最初は配役知らなくてな。てっきり真は彦星だと思ってたんだが......」

真「......ど、どうですかね......?」

P「とってもかわいいぞ真!」

真「......っ! ほんとですか!? へへっ......やーりぃ!」

P「よかったな、やりたがってたお姫様の恰好ができて」

真「はいっ! ボク、鏡見たときビックリしちゃって......!」

P「ははは、だろうな」

真「ボク本当にうれしいですっ!」

P「そうか、ならよかった」

真「え、えとほんとにボクなんかがやってもいいんですかね......なんか不安で......」

P「いいに決まってるだろ。少なくともここにいるみんなはそう思ってる」

真「......っ!」

P「そんなことより...... もう一人の主役の登場だぞ」

真「え......?」

P「普通は女方の方が時間かかるんだけどな...... あいつもよく似合ってるじゃないか......」

「真ー! プロデューサーさーん!」

真「春香......!」



春香「こんにちは......こんにちは...... よろしくお願いしまーす!」


春香「すいません、遅れちゃって......」

P「まだ本番まで時間はある。大丈夫だ」

真「春香......」

春香「えへへ、ごめんね真。ちょっと手間取っちゃって......」

真「う、ううん」

春香「まぁそれより...... 真!」

真「え、な、なに?」

春香「衣装! すっごい似合ってるよ!」

真「あっ......ありがとう!」

春香「ピンクで真に合ってるし、ほんとにお姫様みたい~!」

真「そ、そんな......」

春香「よかったね! ずっと着たかったんだもんね......!」

真「は、春香......」

春香「......かわいいよ、真!」

真「ありがとう......は、春香だって......」

春香「え、そうかなぁ~? 真みたいにかっこよくなれてる......?」

真「なんかかっこいいのとかわいいのが上手く合わさってる感じ......かな」

P「あぁ、馬子にも衣装とはこのことだな」

春香「ちょっとプロデューサーさんっ!? 私自信もっていいんですよね!?」

P「はは冗談だよ冗談。Dが表したい性別のことをうまく体現できてると思う」

春香「なら、いいんですけど......」

P「自信持て! ちゃんと似合ってる。あとは春香と真の演技力だ!」

春香「はいっ!」

真「は、はい!」

P「じゃ、あと十分くらいで本番だ、頑張れよ!」


真「......」

春香「どしたの真?」

真「あ、いや......何でもないよ」

春香「......そー? 真はもうセリフ大丈夫?」

真「うん......頭に入ってる......どうせ全部覚えてたし、役を反転させるだけだったからね」

春香「すごいね! えへへ、私はまだちょっと自信ないから......えっと......」ペラペラ

真「......」



「本番入りまーす、春香ちゃん、菊地君、よろしくー」

春香「はい! 頑張ろうね真!」

真「はいっ! う、うん......」

春香「......?」

「じゃ、さん、に......」スッ



春香「ああ、織姫......一年ぶりにやっと会えた......お前と共にいた時は___

真「......」


真(さっきプロデューサーも言ってたけどほんとに似合ってるな春香......)

真(一挙一動も完璧に近いし、さすがはうちで美希とツートップ張ってるだけはあるや......!)

真(でも......!)


春香「そうは思わぬか織姫よ......」

真「はい。私も彦星様と寸分違わぬ心持でございました。この一年は永遠と思われるほどに永く、身を裂かれるように___

真(ボクだってレベルアップしてるんだ! 春香には負けてられない!)




春香「そうか、お前の気持ち嬉しく思う」


真(よし! このまま......)


春香「であれば」

春香「私と共に、今夜を一年以上のものにしようではないか......」ズイッ

真「......へっ!?」

春香「......私とこれから

「カーット! 菊地君、今のところ驚いちゃダメでしょ!」

真「あ......す、すいません......」

「春香ちゃんも! いいカバーだったけど、アレンジしちゃダメ!」

春香「あはは、すいませーん!」

「まったく......もう一回いくよー!」






春香「私と共に、今夜を一年以上のものにしようではないか......」ズイッ

真「......っ!」

真(ち、近い! で、でも驚いちゃだめだ! ......心なしか今日の春香かっこいいんじゃ......



春香「......真?」

「カーット! 菊地君、黙っちゃダメでしょ! 忘れちゃったー?」

真「......え、あっ......」

「もう一回いくよー! 菊地君、気を付けてねー!」

真「は、はいっ!」

春香「......」






「カーット! 菊地君何回目? ......新しいセリフ言う度にそんなに時間かけられないんだよ......」

真「す、すいませんっ!」

「......はぁ。ニ十分休憩いれます! みんな後半よろしくねー!」

「それと菊地君。このままだと最低入れ替えもあるってこと。考えといてくれる?」

真「......はい......」

「ん、よろしくちゃーん!」

春香「......」


P「真、どうした......」

真「あ......プロデューサー......すいません、ボク......何回も......」

P「それはいい。それより今日はお前らしくないぞ、どうして何回も飛んだりしてるんだ」

真「そ、それは......」

P「お前がセリフを暗記していないなんて思えないが......」

真「っ......ボ、ボクもう一回読み直してきます! すいません、それじゃっ!」

P「お、おい真......」

春香「プロデューサーさん」

P「春香......」

春香「真のこと、任せてくれませんか......?」

P「......わかった。どっちみち俺が行ったところでだしな...... 真を頼んだぞ」

春香「はいっ!」



真「......」ブツブツ

真「......あーっくそ! なんでだよ!? セリフは頭に入ってるのに!!」


春香「......真?」


真「......春香......」

春香「......セリフ飛んじゃったの? それなら......

真「ご、ごめんっ! ボクのせいで何回もリテイクもらっちゃって!」

春香「き、気にしないで、私だって失敗くらいあるから......」

真「......で、でも......」

春香「......真、ほんとにセリフ覚えてないからなの......?」

真「......っ」

春香「違う......よね? だって何回もやってるうちに言えるようなセリフじゃないもん、これ......」

真「......」

春香「......どうしたの......?」


真「ボク......こんな女の子っぽいキャラやったことないから、慣れてないって

春香「そんなことないよ! 最初のところとか、普段の真からは考えられないくらい女の子だったし!」

真「うん、そう考えてたんだけどね。そこは自分でも上手く演技できたと思う」

春香「......え?」

真「あ、あのさ......は、春香に近づかれるとさ......なんか......」

春香「......?」

真「なんか......男の子にされてるみたいに感じて...... きょ、今日の春香なんかかっこいいし......」

春香「えっ......?」

真「なんか、お、王子様みたいでさ......ボク、そういうのやってはきたけど、やられるのは実は初めてで......」

真「だ、だから......」

春香「......う、うれしい......!」

真「え......?」

春香「ほ、ほんと!? わぁーうれしいなぁ! 私、王子様に見えた!?」

真「う、うん......」

春香「上手くできてるか不安だったんだ......私もこういう男の役するの初めてだったし......」

真「でも春香はミュージカルとかでやってたんじゃ......」

春香「うん、でもあれはこんなに男の子って感じじゃなくて、中性的だったし......」

真「そ、そうだったんだ......」


真「やっぱり春香は凄いね......初めてなのにあんなに上手くできるなんて......」

春香「......」

真「ボクは雰囲気に圧倒されるだけで、精一杯なのに......勝てないや......」

春香「......私があそこまでできたのはね......とっても近くに参考にできる人がいたから......」

真「え......参考?」

春香「うん。私としてはそれだけでうまくいったから、少し拍子抜けだったんだけど......」

真「す、すごいね! いったい誰がそんな演技......

春香「真」

真「......え?」

春香「私が真似たのは真だよ......?」

真「......ボ、ボク?」

春香「うん。この役が分かってから必死に真の言い方とかインプットしてね、やってみたんだけど......」

春香「すごいね。スタッフさんからいっぱい褒められちゃった......」

真「......」

春香「それは私が765プロでこういう役を頑張って続けて、洗練された真の演技をずっと見れてたからだよ」

春香「だから、ありがとう......!」

真「......っ!」

春香「もう時間もないし、真に合うかわからないけど......私は誰かを真似てみるのをお勧めする......かな......」

真「......まねる......」

春香「全部じゃなくていいの。その人の考え方とか、言いそうな感じとか、雰囲気とか......」

真「......」

春香「そうだ! 雪歩なんてどう!? 真いっつもいっしょにいるし、一番織姫様!って感じだと思うし!」


真「......織姫様......か」


「再開五分前でーす!」

春香「......私は真が頑張ってセリフ覚えたのも知ってるし、この役が嬉しいのも知ってる......」

春香「だから......できれば、真と一緒にこの撮影終わらせたいな!」

真「......っ!」

真「......うん......ボクも......!」

春香「えへへ......がんばろーね!」

真「うんっ!」


真「ありがとう、春香......!」


「じゃ、途中のとこからいくよー! さん、に......」スッ


春香「このように織姫......お前と座っていると思い出す......」

春香「最初に感じた気恥ずかしさや、胸の踊り......その全てをな......」グイッ

春香「......」

真「......」


真「はいっ......! 私も同じようにございます......!」ニコッ


春香「!」

「!」

P「!」

真「この気持ちを蘇らせてくれるのであれば一年の隔たりも悪くはないと思う時もございますが......」

真「やはり、あなた様と共に過ごす今夜には敵いません......」ギュ

春香「ふ、このようなことをいうのは野暮であったか...... 私も___




「カーット! お疲れさまでした!!!」

春香「......ふう......!」

真「......はー......」

「春香ちゃん、菊地君!」

春香「あ、お疲れ様です!」

真「お疲れ様です!」

「いやー、よかったよ! 特に後半の菊地君の演技! 見違えるほどだったけど、やっぱりセリフだったのかな?」

真「あ、あはは......ご迷惑をかけてすいませんでした」

「いやいや、いいものが撮れた! やっぱり765さんのところはクオリティが高い!」

春香「ありがとうございます!」

「菊地君のファンになっちゃったなぁ! じゃあ、次もよろしくね~!」

真「はいっ!」

春香「ありがとうございましたー!」


P「よかったよ真。最後は取り戻せたし、流石だな!」

真「えっへへ、でも春香が助けてくれたんです。全部春香のおかげですよ!」

P「そうなのか?」

春香「そ、そ、そんな! 私はちょっと話をしただけで、そんな助けただなんて......」

真「......春香の話が無かったら、ボクは今日間違いなく失敗してた。春香のおかげだよ......!」

春香「えぇ~!?」

P「だそうだ、まぁ気持ちを受け取るくらいしといてもいいんじゃないか?」

春香「......うーん......」

P「じゃあ、俺は少し先方と話してくるから楽屋で待っててくれ。あとで送ってくから」

春香「はい!」

真「はーい!」


春香「よいしょ......! ふふ、お疲れ真......!」

真「うん、お疲れ春香......!」

春香「ふぃー、のど乾いてたからお水がおいしー!」ゴクゴク

真「......ねぇ」ゴクゴク

春香「うん?」

真「ありがとね。さっきの休憩の......」

春香「......気にしないでってば。私はほんとに、話しただけで

真「そうだとしても。その話してくれたことでボクは今日うまくいった......」

真「......ありがとう、春香」

春香「......うん」

真「えっへへ......」

春香「ふふ......」


真「ねぇ、春香さいごになんだけどさ......」

春香「ん? なにー?」

真「さっきの彦星で、言ってほしいことがあるんだ......」

春香「言ってほしいこと......?」

真「ほ、ほんとは......男の人の王子様に言ってほしいんだけど......こんな機会なかなか無いから......」

春香「あはは、いっつも真がそうだもんねー......いいよ、なに?」

真「......」ボソボソ

春香「うぉっ......なかなかヘヴィだね......」

真「お、お願い......//」

春香「......ま、これも演技のさっきの撮影の延長ってことで......」

真「う、うん......!」



春香「こんなところにかわいいお姫様が」ズイッ

真「......っ!」

春香「今から君は僕のものだよ......?」


真「......」

春香「............えと」

真「......ぶふっ」

春香「......えっ」

真「あっはっはっはっは! っふふふっふふ!!」

春香「ちょ、ちょっと?」

真「んっふふ......ご、ごめん......やっぱりなんか違う......ぶふっ......!」

春香「は、はぁ!?」

真「だってあんなキメ顔で春香が......! ぶはっ!!」

春香「ま、真! 真がやってっていうから!」

真「うんっ......で、でもなんか予想と違うっていうか......んふ、ふっ!」

春香「あ、あんな恥ずかしいセリフ言わせといて......///」

真「僕のものだよ......って......っ......っ」ヒーヒー

春香「......んぐぐぐぐ......!」

真「待って待って、怒らないで春香、んふっ......! お礼も兼ねて今から今度ケーキ奢るから!」

春香「......も、もうっ//」

真「ほ、ほら、春香が食べたいって言ってた有名店の......! ふふふっ......」

春香「......何個?」

真「え、えっと三個......?」

春香「もう真とは話さない」

真「わかったよ! 何個でもいいから......んっふふ......あははっ!」

春香「......約束だからね」

真「はいはい......!」ヒー




P「おう、遅くなったな......真はなにしてんだ」

真「き、聞かないでください。こうでもしないと笑いが......んふ......ふふ......」フルフル

春香「それ以上笑ったらもう一店舗追加だからね」

真「そ、そんなっ! もう六店舗おごるの確定なのに!」

春香「はぁー......七店舗目は貴音さんと行っちゃおっかなー......?」

真「ま、待って。貴音だけは冗談じゃ済まされないから......」

春香「じゃあもっとお腹つねったほうがいいんじゃない?」

真「まって......もう痛みにも慣れて、だんだん......んふふふ......」フルフル

春香「......貴音さんへっと......」メルメル

真「春香ーっ!」

P「なんか知らんが帰るぞ」





春香「あ、これとこれも。あとこのケーキもお願いします」

真「は、春香。そんなに食べたら太っちゃうって」

春香「大丈夫、私の代わりに真が走るから」

真「どういう意味だよ......はぁー......まぁいいけどさ」

春香「楽しみだなー、貴音さんは一体ケーキ何個まで食べるか選手権!」

真「まさかボク持ちじゃないよねそれ」

春香「......」ジトー

真「......まぁでも春香も王子様のキャラうまく演技してたよ」

春香「......そお?」

真「......ふ......」フルフルフル

春香「......」

「こちら、ダージリンティーとホットココアでございます」

真「あ、ありがとうございます」

春香「......あと、これとこのケーキも追加で」

「かしこまりました」

真「ちょっ」

春香「ふん!」

真「は、春香、ここのケーキ一個千円とかするのもあるんだけど」

春香「知らない! 自業自得でしょ!」

真「はぁ......ごめんってば」


春香「......んー! おいし~!」モグモグ

真「そんなに? ちょっとちょうだい......」

春香「だめ」

真「えー、いいじゃんか別に......」

春香「ほんとに恥ずかしかったんだもん」

真「そんなにかなぁ......」

春香「真は言ってないからそんなこと言えるんでしょ、そもそも真が......

真「......」

真「じゃあ......」ズイッ

春香「......えっ!?」


真「今から春香は僕のものだよ......?」



春香「......//」プルプル

真「簡単だよ、これくらい何回も読んでるし王子様役なんて

春香「......あ、貴音さんですか? いま真と駅前の○○っていう店にいるんですけど一緒にどうですか?」

真「ちょいっ!?」

春香「はい、真が全部奢ってくれるって......はい? あ、はい! 響ちゃんと美希も来る?」

真「待って、落ち着いて春香。今ならまだ

春香「いまから来るって」

真「うぉぉぉ......な、なんで君はそんなことを......」

春香「......ふん//」

真「......?」

春香「知らなーい! それより真、今のうちに銀行でお金下ろしとかなくていいの?」

真「ちょっとまって本当に呼んだの?」

春香「よーんだー!」

真「はぁ......カードがあるから何とかなるよ」

春香「そーなんだ......ふふ♪」モグモグ

真「......もうちょっと二人で食べてたかったな」モグ


小鳥「......あら、これ名前がないわね......誰のなのかしら......」

小鳥「願いは......」

小鳥「......」

小鳥「こ、これは誰かが私の結婚事情を憂いて書いてくれたのでは......?」

P「そんなわけないでしょ」

小鳥「そんなに言わなくたって......ぶー」

P「なんて書いてあるんですか......それ」

小鳥「それが......」








     いつまでも織姫様といれますように!











P「小鳥さんもらわれるほうなんですか」

小鳥「もうこの際どっちでもいいです」

P「さいですか」



ああ疲れた

たなばーたなんて全然願わないなぁ、かわいいまこちんすてきですよねー

なんか衣装が先だったり、本番までの短時間でセリフ覚えられんだろとか

ツッコミところ満載だけど許してください


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