アヤメ「不器用なあの人と私」 (26)

お台場 ガンダムベース

リク「コウイチさーん! ここの塗装なんだけど…」

コウイチ「ん? どうかしたかい?」

モモカ「コウイチさーん…これどこまで擦っておけばいいの? あんまやりすぎたらボロボロになりそーで…」

コウイチ「ああ、えっと、やすりがけはもう少し丁寧にやった方がいい、かなぁ…」アハハ…

ユキオ「コウイチさん! りっくんにならっていろいろとジムⅢの装備に手を加えようと思うんですけど…」

コウイチ「ちょ、ちょっと待ってて! すぐに行くから」

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アヤ「……」

ナナミ「や! アヤちゃん!」

アヤ「あ、ナナミさん。こんにちは」

ナナミ「どうかしたの? リクくんたちが」

アヤ「ああ、いえ…ずいぶんと頼られてるんだなぁ、って」

ナナミ「? …ああ、お兄ちゃん? まぁね。それしか取り柄のないお兄ちゃんだから。まったく、天職かもね、ここの仕事」

アヤ「あはは…なんていうか、リアルのコウイチ、さんはGBNの印象とあんまり変わらないな、って思ってたから。ちょっと意外な光景です」

ナナミ「ふーん…GBNのお兄ちゃんってどんな感じ? 聞いてもあんまり教えてくれないんだよねー」

アヤ「どんなって…うーん、こう、バトルの時に作戦とかちゃんと立てたりして、チームのために貢献してるけど、どこか頼りないっていうか、リクたちに振り回されてるっていうか…」

ナナミ「ああ…まぁ、お兄ちゃんだし。普段から頼りない感じがして、それで、まだ若いのに、どこか爺臭くて」

アヤ「あ、それ分かります! リクたちに振り回されて疲れちゃったときに、これが若さかぁ、なんて言ったりとか」

ナナミ「そうそう! …あ、そっか、アヤちゃんかぁ、お兄ちゃんが言ってたの」

アヤ「へ?」

ナナミ「前に言ってたの。私が爺臭い、って言ったら前にも同じフォースのメンバーに言われたって。そうなんでしょ?」

アヤ「あ、あはは…確かに、言ったかも。……怒ったりしてました? その、失礼なこと言われて」

ナナミ「ううん? 大丈夫大丈夫、お兄ちゃんだし。そんなこと言われて気にするタイプじゃないよ」

アヤ「それならよかったですけど…ロールプレイとはいえ、年上相手に結構ずばずば言っちゃったし……」

ナナミ「ゲームの中でしょー? プレイヤーのリアルまで考えないものだし、気にしなくていいんじゃない?」

アヤ「まぁそういうものですけど…こうして知り合っちゃったし…」

ナナミ「マジメだねー。どっちみち、ゲームの中じゃ普通に振舞えばいいんじゃない? ロールプレイなんでしょ? クールな忍者さん」

アヤ「…聞いてましたか、私のキャラクターのこと」

ナナミ「そりゃもちろん。お兄ちゃんが言ってたよー、ロールに気合入れててすっごいクールで、手厳しいことをずばずば言ってー、その癖かわいいものに弱くてー」

アヤ「も、もういいですから!」カァ

ナナミ「えー。そういうキャラなんでしょ?」

アヤ「いや、その、それはもうやめようと思ってるんです。もともと、そういうつもりでやってたわけじゃなかったので」

ナナミ「あらそう。…って、ごめん。引き止めちゃったわね。リクくんたちに会いに来たんでしょ?」

アヤ「あっ…。そうですね、もう行きますよ」

ナナミ「うんうん。リクくんたちのことよろしくねー? うちのお兄ちゃんじゃ何かと不安で不安で」ヤレヤレ

アヤ「大丈夫ですよ、たぶん。頼りないところもあるけど、ほら」

リク・ユキオ・モモカ「」ワイワイ

コウイチ「」ア、アハハ…

アヤ「すっごく懐かれてるみたいですし」

ナナミ「……そうだねー」フフッ

アヤ「ええ」クスクス




リク「それじゃ、コウイチさん、ナナミさん! また明日! アヤさんも、またGBNで!」

ユキオ「お疲れ様でした! また明日もお願いします!」

モモカ「ナナミさん、アヤさん、さよーならー!」

コウイチ「お疲れ様、皆! また明日!」

ナナミ「じゃーねー! また明日ー!」

アヤ「また明日ね、皆」

リク・ユキオ・モモカ「」ブンブン! タッタッタ…

ナナミ「…行っちゃったー。それで、アヤちゃんは確かー…」

アヤ「あ、私はバスで帰ります」

ナナミ「そっか、じゃあまたね」

アヤ「はい、えっと…」チラリ

コウイチ「あ、ええっと…それじゃあ、アヤ、くん。また明日、GBNで」

アヤ「えっと、はい。コウイチ、さん。また明日もよろしくお願いします」

アヤ「」スタスタ

ナナミ「……お兄ちゃん?」ジトー

コウイチ「……なんだよ?」

ナナミ「や、なんでそんな借りてきた猫みたいな調子なのかなーって。アヤちゃん、同じフォースのメンバーなんでしょ?」

コウイチ「そうだけど」

ナナミ「だったらなんでそんな他人行儀な感じなのよー、あれじゃ感じ悪いよ、お兄ちゃん」

コウイチ「そんなこと言われてもな。アヤくんはリクくんたちとはちょっと違うし…」

ナナミ「まったくもう…」フー

コウイチ「そんな露骨にため息吐くなよ…。仲間なのは違わないし、ちゃんと、まぁ、仲良くしようとは思ってるんだ。だけど、ほら、リクくんたちみたいな子はともかく、あれくらいの、その、女の子のことはよく分からないし。どうしたもんか…」

ナナミ「あーそうでしたそうでした。お兄ちゃんは昔っから、女の子の扱いってのが分かってないもんねぇ」

コウイチ「……悪かったな、どうせ分からないよ。お前みたいにはできないんだよ」

ナナミ「…そんなんで大丈夫なの、フォース」

コウイチ「まぁ、リクくんたちがいるし、なんとかなるよ」

ナナミ「……不安だなぁ」フー

コウイチ「…じゃあどうすればいいんだ? 教えてくれよ。俺だって、そりゃ、今の感じのままGBNで戦ってもうまくいかないかもしれないとは思うけどさ」

ナナミ「……お兄ちゃん、GBNでアヤちゃんと話してたときは、どうだったの?」

コウイチ「どうって…ただ、フォースの仲間として、普通に話してたけど」

ナナミ「じゃあ同じようにすればいいじゃない。リアルだろうとGBNだろうと、お兄ちゃんはお兄ちゃん。アヤちゃんはアヤちゃん。前と同じように、話せばいいの」

コウイチ「…前と、同じように」

ナナミ「そうそう。まぁ、確かに相手が相手だし、遠慮するのも分かるけど、でも、それじゃいつまでも仲間としてうまくいかないよ?」

コウイチ「……考えておくよ」




夜 GBN

コーイチ「さて、と」

コーイチ(久しぶりに入ったけど…相変わらずみたいだな、ここは。最近はいろいろとやることが多かったし、何しようかな。ランク上げ? それとも…)

アヤメ「――あ、あの」

コーイチ「ん? ……あ、っと。アヤメ…くん。こんばんは」

アヤメ「こんばんは。…その、見かけたものですから」

コーイチ「あーうん、その、ようやく暇を見つけたものだから。リクくんたちに置いてかれないようにランク上げでもしようかと思って」

アヤメ「そうですか。…手伝いましょうか、その、ランク上げ」

コーイチ「え?」

アヤメ「いえ、その。入ったはいいけど、することもなくて。ぶらついていたらコーイチ…さんがいたし、よかったらと思って」

コーイチ「そ、そっか。じゃあ、お願いしようかな。人手がある方が効率はいいだろうし」

アヤメ「え、ええ。それじゃあ行きましょうか」

コーイチ「……」

コーイチ(いざこうして話すとなると難しいな…。どんな風に喋ってたっけ? ううん…ダメだ、やっぱりリアルの方の…アヤくんの影がチラついて、遠慮してしまうなぁ)



ナナミ『リアルだろうとGBNだろうと、お兄ちゃんはお兄ちゃん、アヤちゃんはアヤちゃん。前と同じように、話せばいいの』



コーイチ「……どちらも同じ、か」

アヤメ「? コーイチ、さん?」

コーイチ「ああ、いや、ごめん。ちょっと考え事しちゃって…行こうか、アヤメくん」

アヤメ「ええ。行きましょう」




コーイチ「はあああっ!」

ガルバルディ・リベイク「」ペンチガパー

NPCガンプラ「」メキメキ…ドカーン!

コーイチ「……ふぅ。これで終わり、と」

アヤメ「…こっちも、終わりました」

コーイチ「そ、そう。お疲れ様…ええっと、ちょっと休もうか。結構ポイント、貯まってきたし」

アヤメ「は、はい」




コーイチ「いやぁ、ありがとう。おかげでどうにかリクくんたちに置いてかれないで済みそうだよ」

アヤメ「そうですか…えっと、よかったです」

コーイチ「うん。……」

アヤメ「……」

コーイチ「あー…」

コーイチ・アヤメ「「あの」」

コーイチ「あ、ごめん、えっと、どうぞ」

アヤメ「い、いえ。その、コーイチ、さんからどうぞ」

コーイチ「あ、いやいや、アヤメくんからでいいよ」

アヤメ「…そうですか? それじゃあ……。その…すみませんいろいろ」

コーイチ「え?」

アヤメ「私、結構キツイこと言ったりして。その、年下なのに。失礼でしたよね、いろいろと」

コーイチ「いや、そんなこと…まぁ、確かにはっきり言う人だな、って思ってたけど」

アヤメ「ご、ごめんなさい」

コーイチ「あ、いや! 気にしないで! ええっと、そういうロールプレイだったんだよね? いいよ、ゲームのことだし。誰にも年齢とか、相手のことなんて本当は分からないんだ」

アヤメ「そう言ってもらえるならいいですけど…」

コーイチ「……あの、僕からもいい?」

アヤメ「? はい」

コーイチ「そんな畏まった口調じゃなくていいよ?」

アヤメ「え?」

コーイチ「いや、別にゲームの中だしさ。さっきも言ったでしょ? 誰も年齢のことだとか性別だとか、分からないんだよ、ここじゃ。そういう意味じゃ、アヤメくんのその喋り方の方が、ええと、不自然だと思う」

アヤメ「……でも、いいんですか?」

コーイチ「気にしないよ。……というか、僕は人にそんな改まった感じで話してもらうような人でもないし」ハハ…

アヤメ「そんなこと…今日リクたちと話してるの見てて、私、思いました。ああ、この人はすごく、その、あんな風に無邪気な子たちに懐かれるくらい、いい人なんだって」

コーイチ「懐かれてる…かどうかは分からないけれど、普通のことをしてるだけだよ、彼らの仲間として、すべきことをさ」

アヤメ「仲間としてすべきこと…」

コーイチ「うん。頼って、頼られて…そういうこと。僕からすれば、リクくんたちは、このGBNを一緒に遊ぶためにいてほしい、頼れる仲間なんだ。そういう意味じゃお互い、持ちつ持たれつっていうか」

アヤメ「……」

コーイチ「だから、そんなに大したやつじゃないんだ僕は。ほら、前に話したけど、僕は、子供に頼らなきゃまともにガンプラバトルにも戻れなかったようなやつだしさ」ハハハ…

アヤメ「そんな言い方しなくても…」

コーイチ「はは…冗談だよ、冗談。まぁ、とにかく、そんなに気にしないで。リアルでもGBNでも、僕は僕。アヤメくんはアヤメくん、だよ」

アヤメ「私は、私…?」

コーイチ「まぁ、妹の受け売りだけどさ。でも、ホントのことだ。今ここにいる僕もアヤメくんも、リアルで名前が変わったとしても、同じビルドダイバーズの仲間なんだ。…だから、遠慮なんてすることないよ。ええと、リアルじゃ難しいかもしれないけれど」

アヤメ「……。そう。分かったわ……コーイチ」

コーイチ「…うん、アヤメくんはそうでなくっちゃ」ニコリ

アヤメ「……ねぇ、遠慮しなくていいっていうなら、もう一ついい?」

コーイチ「ん?」

アヤメ「冗談でも、自分のこと、そんなに卑下しないで」

コーイチ「え…」

アヤメ「……さっきも言ったけど、あなたのこと、リクたちは頼りにしてる。仲間として、それが当たり前だとしても、頼られることは、あなたが立派な人だっていう証拠だと思うから。だから、その、冗談でも、そんな風に自分を卑下しないで。私も、フォースの仲間として、あなたを頼りにしてるから」

コーイチ「アヤメくん……。ごめん、そうだね。少しは頼られてるっていうのに、皆の気持ちを否定するようなことを言ってしまった。ごめん」

アヤメ「……いえ、こちらこそ。調子に乗って勝手なことを言ったわ。ごめんなさい」

コーイチ「いいよ、そんな。……ありがとう、今の言葉、嬉しかったよ」

アヤメ「……そう。それなら、よかったわ」

コーイチ「うん。ありがとう。…とにかく、これからも、よろしく頼むよ、アヤメくん」

アヤメ「…ええ。こちらこそ、コーイチ。……ありがとう」




数日後 お台場 ガンダムベース

リク「コウイチさん! ダブルオースカイ作ったときに余ったこのパーツ、こういう風に改造したらいいなぁ、って思ったんですけど…」ノートミセー

コウイチ「どれどれ…ああ、なるほど、いいかもしれないね。あ、だったらここの作りはこのままじゃたぶんできたときに保持力が落ちるだろうから…」

モモカ「コウイチさーん! 私のカプルに、こういうの付けてみたいんだけど!」

コウイチ「ええっと…? !? …ええと、そ、そうか。なるほど、独特でいいと思うよ。ただ、それを付けるとなると、ちょっとやり方を考えないと…」

ユキオ「コウイチさん! こないだ言ってた新装備、試しに作ってみたんですけど…」

コウイチ「うん、いい感じだね。バランスもいいし、これなら、違和感なく使えると思うよ。あ、でも、この下のマグナムのカートリッジ部分は…」




アヤ「……」

ナナミ「あ、いらっしゃい、アヤちゃん」

アヤ「…相変わらず忙しそうですね、コウイチさん」

ナナミ「まぁねー。元気だから、リクくんたち」

アヤ「そうですね。そこがあの子たちのいいところです」

ナナミ「ふふっ。ねー」

コウイチサーン アタシモー ボクモー チョ、チョットマッテー!

ナナミ「…まぁ、ちょっと助けがいるみたいだけど」

アヤ「みたい、ですね。ちょっと行ってきます。同じフォースの仲間として」フフッ

ナナミ「…うん、行ってらっしゃい」ニコリ

リク「今は俺が意見もらいたかったんだけど…」

モモカ「ダメだよ、リクくん。こっちのが優先なんだからー」

ユキオ「僕の新作装備の方がフォースの将来にとって大事だよー」

リク「ユッキー、そんなこと言って、ただコウイチさんに出来を見てもらいたいだけだろー?」

コウイチ「まぁまぁ…ええっと、じゃあ…どうしようかな。うーん…」ウウヌ…

アヤ「こんにちは、皆」

モモカ「あ、アヤさん!」

ユキオ「こんにちは!」

リク「こんにちは、アヤさん!」

コウイチ「あ……」

アヤ「手伝いましょうか? …コウイチさん」

コウイチ「! …うん、ちょっと手伝ってくれると助かるよ、アヤくん」

ワイワイ…


ナナミ「…ふふっ」

最新話見てから勢いで書いた結果、わけのわからんものができてしまった
実際ダイバ忍これから喋り方どうするのかしら もうクール系やめるのかそれとも…
とりあえずりっくんにはもうサラがいるから ダイバ忍はお兄ちゃんに任せよう 都条例的にはアウトだろうけど

勢いだけの話で失礼 読んでくれる人がいればありがとう

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