・電波を受信したので書く。
・完全に妄想。エビエンスなどない。
・現実の政治団体とは全く関係ありません。
記者「なっ……!?」
上司「記事を『〇×動物園、チベットスナギツネ三つ子誕生!!!』に差し替えろ」
記者「……」
上司「新人、聞こえなかったのか?」
記者「……承知しかねます」
上司「なに?」
記者「僕は真実を伝えたい」
上司「……」
記者「この業界、特定の思想、海外勢力に乗っ取られたって噂がありましたが、本当だったんですね!」
上司「やれやれ、今流行りのネットde真実ってやつか」
記者「ち、ち、違います!」
上司「ふぅむ……ところでお前、どこの政党を支持してる?」
記者「……与党の民自党です」
上司「なるほど。では、野党のスキャンダルを報道するな、という指示が政府と民自党から出ていたとしたらどうする?」
記者「………………はい?!」
上司「なおかつ、民自党を徹底的に叩け、という指示も出ていたら?」
記者「えっ……何それ……」
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上司「せっかく政治部の記者になったんだ。説明してやろう」
記者「はい……」
上司「戦後、日本はずーっと民自党が与党だ。極めて短期間を除いて」
記者「……」
上司「となると、野党支持者は常に冷や飯を食わされているわけだ」
記者「……」
上司「去年も、今年も、来年も、十年後も、来世紀も永遠に」
記者「……」
上司「絶望しないか? そうなると」
記者「そう……ですね……?」
上司「なんかピンと来てない顔だな……うーん……野球は好きか?」
記者「好きです」
上司「好きなチームは有るか?」
記者「ええ。地元球団のファンです。毎月応援に行ってますよ」
上司「もしもだ、そのチームが万年最下位だとしたらどう思う?」
記者「激怒ですね! 大暴れしますよ! バスも囲むし、選手、監督、社長も詰めますよ!」
上司「野党支持者も同じだ」
記者「え?」
上司「野党支持者が大暴れして、国会議事堂を囲まないよう、マスコミが民自党を徹底的に叩いてるんだよ」
記者「」
上司「ガス抜きのためにな」
記者「そんなアホな」
記者「おかしいですよ。マスコミが叩いたら、支持率が下がって民自党は政権から脱落するんじゃないですか?」
上司「簡単には脱落しない」
記者「なぜですか?」
上司「岩盤支持層はスキャンダルに左右されない」
記者「……」
上司「日本の産業構造上、最もメジャー、従事者が多い層が支持せざるを得ない政策を民自党は掲げている」
記者「……」
上司「ゆえに、スキャンダルがあろうとなかろうと、マスコミから袋叩きにあっても、岩盤支持層は減らず、政権は維持される」
記者「な……」
上司「逆に言うと、マイナー層は決して日の目を見ることはない。民主主義の残酷なところだ」
記者「」
上司「だからガス抜きが必要なんだ」
上司「もっと説明してやろう。与党と野党と政府は全員グルだ」
記者「」
上司「長期的な観点の国家運営のため与野党の関係を固定化している」
記者「」
上司「お前の書いた記事で、野党党首の政策、演説を馬鹿にしていたが、おかしいとは思わなかったのか?」
記者「どういうことですか?」
上司「『現実にそぐわない先鋭的な政策』、『アジテーションにも似た過激な演説』、『なぜ大衆に向けた政治をしないのか?』」
記者「……」
上司「『一流大学、高級官僚出身の人物の言葉とは到底思えない』とある」
記者「おかしいですか?」
上司「野党議員の経歴は華々しいな」
記者「名門大学を出てもダメな人はいますよ」
上司「お前は考えが浅い。浅すぎる」
記者「」
上司「いいか。一人二人なら話は分かる。だが野党の政治家は、東大、京大、医者、弁護士、検察、高級官僚出身者がずらりだ」
記者「……」
上司「そうだな……中学、高校の友人で東大に行ったやつとかいるか?」
記者「いましたよ。話しても『次元が違う』ってレベルで頭が良かったです」
上司「だろ? それがアレだ」
記者「……」
上司「わざとやってるんだよ。わ・ざ・と」
記者「」
上司「野党の役割は政権奪取じゃない。マスコミと同じガス抜きだ」
記者「えぇ……」
上司「違いは、マスコミは広く浅く、野党は一部のディープ層向け」
記者「ディープ?」
上司「例えば……お前が重度の花粉症だったとする」
記者「……」
上司「そして民自党が杉の植林を進めていたとしよう。お前ならどうする?」
記者「……デモをするか陳情するか……」
上司「効果がなかったら? 民自党政権は続くぞ」
記者「……最後は実力行使……チェーンソーを持って……」
上司「そうなるよな。言わばテロ」
記者「……」
上司「そうならないように、野党支持者の最もディープな層に訴えてるんだよ。味方の議員もいるって。希望は捨てるなって。テロするなって」
記者「マジですか……」
上司「本当は希望なんてないがな」
記者「ひでぇ!」
上司「仕方ないんだ。日本政府が取れる政策に選択肢なんてない。経済、外交、安全保障全て」
記者「……」
上司「唯一取れる政策にそって、民自党が政権運営をやって、マスコミ、野党がガス抜きするしかない」
記者「……」
上司「二大政党で政策選択なんていう自由は、アメリカぐらいの国力があってこそ許される贅沢だ」
記者「……」
上司「日本は一本の細い綱を、ひたすら渡るしかない」
記者「……あ、でも、やっぱりおかしいですよ!」
上司「なにがだ?」
記者「何年か前、一時期、野党が政権を取ったじゃないですか! あれはなんですか?!」
上司「あれは事故だ」
記者「」
上司「誰も幸せにしない、誰も望んでいない、不運な事故だったんだ」
記者「そ、そんなぁ……」
上司「あの政権交代は、ちょうどインターネットが台頭してきた時期。ネット上で与党の人気は圧倒的だった」
記者「……」
上司「野党が絶滅しかねないと判断した政府・与党は、マスコミに今まで以上に与党をこき下ろし、かつ、野党を上げるよう指示した」
記者「……」
上司「だが、ネット上の人気は現実と乖離していた。それが政権交代の原因だ」
記者「……」
上司「我々がネット上の人気を鵜呑みにしたことが失敗だった」
記者「しょーもな……」
上司「野党の政権運営のドタバタは、野党が野党支持者の支持を失わずに元の与野党の関係に戻ろうとしたことから発生した」
記者「……」
上司「野党がいきなり180度回頭して、民自党と同じ政策で政権運営することも出来た」
記者「……」
上司「だがそれをしたら、野党支持者は完全に行き場を失ってしまう」
記者「……」
上司「軟着陸させて元の鞘に戻るための苦肉の策だったんだよ、あれは」
記者「……はぁ……」
記者「なんて世の中だ……政治が全部八百長だったなんて……」
上司「ああ、すまん。産共党だけはガチ」
記者「」
上司「まだ政権奪取を本気で目指しているらしい」
記者「あの極端な思想で? いいかげん、あの党を非合法化したほうが良いのでは?」
上司「馬鹿を言うな。産共党は日本の安全保障にとても貢献しているぞ。公安以上にな」
記者「なんですって?!」
上司「産共党の組織浸透力は半端じゃない。日本中の労働組合、政治、思想、環境、動物愛護団体、NGO、NPO、ありとあらゆる組織に浸透している」
記者「……」
上司「そして組織を乗っ取り、資金源にしている。さすが戦前から政府と政治闘争していただけはある」
記者「それが安全保障とどういう関係が?」
上司「彼らには『日本で革命を起こすのは自分たち』という自負がある。それゆえに、他の過激思想団体の存在を決して許さない」
記者「……」
上司「徹底的に殲滅するか、乗っ取ってしまう」
記者「……」
上司「乗っ取った団体は、大事な資金源、かつ、選挙活動・デモ要員だ。もったいなくてテロになんて使わない」
記者「……」
上司「ということで、テロ防止に役立っている」
記者「釈然としない……」
上司「数年前、海外のテロ組織が話題になっただろ」
記者「なりましたね」
上司「実は日本にも橋頭保を作っていた。が、あっというまに産共党に絡め取られた」
記者「」
上司「日本でテロが発生しなかった理由だ」
記者「」
上司「今ではかつ丼を平気で食うほど懐柔されてるらしいぞ」
記者「」
記者「あいつら無敵じゃないですか! まずいですよ! いずれ政権を取りますよ!」
上司「それはない」
記者「どうしてですか?」
上司「産共党は絶望的に人気がない。政権をとれるほど議員当選不可能だ」
記者「でも金がじゃんじゃん集まってますよ!?」
上司「金は有効に使われない。産共党は下部組織は優秀だが、指導部が硬直、腐敗している。大半の金は幹部の懐だ」
記者「」
上司「だから産共党は現状以上に拡大しないだろう」
記者「やだもうこの政治」
上司「ある意味、もっとも日本に貢献している産共党、特に指導部のスキャンダルは絶対に報道してはならない、と厳しい通達が政府・与党から出ている」
記者「なぜ彼らをかばうのですか?」
上司「もしスキャンダルが明るみになって、幹部が入れ替わったとしよう」
記者「……」
上司「まかりまちがって、理想に燃える有能で清廉潔白な人物が産共党の指導者になったら?」
記者「……」
上司「それこそ国家転覆、革命の危機だ」
記者「」
上司「今のままが理想的なんだよ。テロが防げて政府は幸せ。指導部も金儲けできて幸せ。Win-Winってやつだ」
記者「なんか納得したくないです……」
上司「これらの話は社でも上層部と政治部しか知らん。お前も他言するな」
記者「……」
上司「だから、さっき出た政権交代の時、事情を知らない社の大半は大喝采だったが、上層部と政治部はお通夜状態だった」
記者「」
上司「さじ加減を誤った、やっちまったってな」
記者「」
上司「まあ秘密と言ったがな、暴露したところで誰も本気にせんよ」
記者「……」
上司「俺とお前は、内々に移動になるだろうがな」
記者「……」
上司「ネットに流しても、すぐに火消しが入る」
記者「……」
上司「似たような内容が、某有名オカルト雑誌に載るだろう。宇宙人とかユ●ヤ人とかを混ぜ込んで」
記者「」
上司「そうなると、いくら主張しても『陰謀厨乙』で終わりだ」
記者「」
上司「そんなに落ち込むな。政治の記事は面白いぞ。与党を叩きつつ、政権を維持させつつ、野党支持者のガスを抜く……細心のバランスが必要だ」
記者「……」
上司「難しいだけに、ビシッと決まったときは非常に爽快だ」
記者「……そんなもんですかね……」
上司「そんなもんだ。いずれ分かる……って、元気がないな」
記者「……はい……ちょっと衝撃が大きすぎて……」
上司「なら酒でも飲むか。おごってやるぞ。今晩どうだ?」
記者「……はい……ゴチになります……」
その晩記者が飲んだ酒は、塩が入っていないのに、しょっぱい味がしたという。
終
上司「ついでに教えておこう。野党支持者のディープ層のケアといえば、銀髪の元首相だ」
記者「え、あの方ですか?」
上司「古巣の民自党に背いて、熱心に■■反対を訴えてるだろ」
記者「はい。一部では『背中撃ち』なんて言われてますね」
上司「あれも与党から、それも総裁から直々に頼まれてやっている」
記者「そんな……信じられません」
上司「なぜなら■■反対派は、潜在的に極めてリスクが高いからだ。●●●●反対派なんて全く目じゃない」
記者「またまたー。そんな風には見えませんよ」
上司「確かに。■■反対派の人々は善良な市民だ。だが政府、与党、野党は最重要、かつ、最優先のケア対象とみなしている」
記者「……」
上司「野党を見てみろ。経済政策そっちのけで■■反対で一直線だ」
記者「ですが、なんでまた?」
上司「絶望したお前がチェーンソーを持って杉林に突撃したように、■■反対派の方々が野党に失望し、実力行使に出て、万が一何か起こったら……日本は破滅だ」
記者「」
上司「さっき例にあげた●●●●反対派の方々。もし彼らが一万人……いや十万人で●●●●に突撃したとしよう」
記者「……」
上司「確実に返り討ちだ。世界最強の暴力組織、サムおじさんに勝てるわけがない。結果、せいぜい外交問題になるだけだ」
記者「……」
上司「だが■■はどうだ? いくら警備が厳重といっても、警備員が自動小銃、重機関銃を持っているのか? 装甲車、戦車を持っているのか?」
記者「……」
上司「警察の特別部隊なんて、せいぜいピストルに毛が生えた程度の短機関銃に装甲バス。そこに一万人が突撃してきたら?」
記者「」
上司「施設に入られて、万が一が起きたら?」
記者「」
上司「だからだ。だから民自党は最高のカードを切った」
記者「なる……ほど……???」
上司「なんか希望が持てるだろ? 平成の名宰相と言われた元首相が味方なら」
記者「まあ……はい……」
上司「ま、彼が本気なら新党作るなり、与党に強力に働きかけるがな」
記者「……」
上司「世間の人気、与党への影響力、いまだ衰えず。やろうと思えば簡単。だが、しない」
記者「……」
上司「そういうことだ」
記者「なんだかなぁ……」
上司「『背中撃ち』している他の与党議員も同じだ」
記者「まさか……」
上司「勘のいい野党支持者は気付いちまう。民自党政権が永遠に続くんじゃないか、って」
記者「……」
上司「そうだとしても、味方が与党にもいれば、少しは希望が持てるだろ?」
記者「はははは……はぁ……」
記者(何ですかね、この出口無し感……僕が絶望しそう……)
追い電波終わり
「与党と野党はグル」って、俺の受信した電波は言ってたけど、案外本当かもしれん
野党、自分たちも宴会していたと承知で……
野党、マスコミ「与党の宴会けしからん!」
野党支持者「そうだ! そうだ!」
で、野党支持者満足
与党支持者「野党も宴会してただろ!」
で、与党支持率下がらず
野党がきっちりブーメランを仕込んでおいて、
こんな筋悪な批判をしても与党の支持率が下がるわけもなく、
野党支持者が満足する裏で、
ひっそり重要法案が通っていく……
どう見てもコントです。ありがとうございました
舞台裏で与党、野党、マスコミがネタ合わせしているとしか思えない……
総裁選ですが、ISB氏の野党支持者からの人気はうなぎ登りですな
電波によると、ISB氏の背中撃ちはヤオなので、負けても離党はしないそうです
これからも与党内野党として頑張るそうです
ところで、剛腕先生ことOZW氏が、銀髪宰相のKIZM氏に来年の参院選出馬を打診して、固辞されたそうな
意外と電波が当たってますね……
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