助手「二人の約束」 (31)
前作の続き
助手「魔法の世界」
助手「魔法の世界」 - SSまとめ速報
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更新頻度少なめ
オリジナル
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――――死霊の森
死霊術師「…………」
死霊術師(助手くん……に……見られ……た)
死霊術師(また……私の……せいで)
――「……それは……演出。この方が……強そうに見える……でしょ?」
死霊術師「!」ビクッ
死霊術師(……ダメ……ダメダメダメ)
――「……そう。だから……諦めて?」ニコ
死霊術師「……違うっ!!」
死霊術師(何で……笑ってる?)
死霊術師「……私……は」
死霊術師(ダメ……)
死霊術師(ダメ、なのに……)
死霊術師(戦うのが……楽しい……なんて)
死霊術師(あってはいけない……のに)
死霊術師「……もう」
騎士「ご主人様……今日で十日です。魔女さんも助手さんも心配しておられるかと……」
死霊術師「…………」
騎士「……ここは、死霊の森のこの場所は簡単に来られる所ではありません。私達から行かなければ……」
死霊術師「…………騎士」
騎士「はい」
死霊術師「…………待ってて」
騎士「……はい。ゆっくりで」
――――???
?「おっはー」
助手「…………え? ここは」
?「やあやあ、久しぶりだね。元気にしてたかい?」
助手「う、え、え? げ、元気です」
?「あらあらー、おねーさんの前だからって緊張しちゃって。何人も会ったのにまだ慣れない?」
助手「い、いや緊張とかではなくて」
助手「この場所は一体? それと、貴女のこともまだ……」
?「…………え?」
?「あ、あー。そっか、あの時に私がやっちゃったんだっけ」
助手「……?」
?「そっかそっか……多分痛いと思うけど、ちょっと待って」
助手「え、え?」
?「むんっ……」スッ
助手「…………あっ、つっ!」ズキッ
――「ごめんねー。少しキミの体使わせてもらったよ。なかなかピンチだったからついつい」
――「言うなれば、キミの精神の世界かな」
――「君の記憶は消させてもらうよ。というか、私は元々いなかったことにするよ」
助手「っ!」
?「…………ふぅ、思い出した?」
助手「うっ……は、はい。一応……」
?「なら良かった。ってことで、久しぶりだね。元気にしてた?」
助手「はい……って、ちょっと質問があるんですけど」
?「ふむ、何かな?」
助手「えぇっと、沢山あるんですけど、何故また会えたんですか?」
?「いやぁ、それがねぇ。詳しくは言えないんよ。前に私が目覚めたのもほんの偶然。今回も同じでさ」
?「前の時点で力を使い切ってしまったから、次に覚めるのは遠い先かと思っていた。けれど、これだ」
?「不思議ではないかい? 助手くんよ」
助手「…………」
?「深く考えるようなことじゃないけど……そうだね」
?「私はこうして君の中にいるものの、実体がある訳じゃない。私の身体は違う所にあるからね」
?「あくまで君の身体を借りているに過ぎないし、私の力が回復するのだって君に依存するしかない」
?「つまり、この数日に君自身に何らかの変化があって、それが影響して私の回復が早くなった、かな?」
助手「変化……ですか」
?「私は眠ってて分からない。から」
?「良かったらおねーさんに話してみなさい?」
ここまで
また書かせていただきます
日が空いてしまい申し訳ないです
ガチで前作の続きなので初見の方は>>1の
スレをどうぞ
――――薬屋 夜
魔女「…………」
猫「魔女殿」
魔女「ん、猫か。まだ起きていたのか。助手くんは?」
猫「先程夢の世界へ」
魔女「ふふ、洒落た表現だな」
猫「……死霊術師殿の事は、宜しいのですか?」
魔女「平気だよ。これでも、死霊術師とは十年以上の付き合いだ」
魔女「彼女は今『死霊の森』にいる。それだけ分かれば後は時間が解決してくれる」
魔女「心配する必要は無いよ。ほら、早く寝る」
猫「……分かりました、魔女殿もお早めにお休み下さい」
魔女「ああ、おやすみ」
魔女「……心配はいらない、が」
魔女「今回ばかりは少し困るな」
――――???
?「……ふふん、なるほど、ね」
助手「……どうですか?」
?「話を聞く限りじゃ、特に珍しいことは無いね」
?「そうだなぁ……いや、待ってよ」
助手「?」
?「あくまで、私の考えだけれどいいかい?」
助手「え、わ、分かったんですか?」
?「いやあ、分からない。けど、一番近いんじゃないかな」
?「君は、こっちに来てから、裏世界に来てから一ヶ月、魔法人族の街から出たことが無かった?」
助手「はい、ずっとここに」
?「多分だけど、君の身体は徐々にこの世界、この空気に順応してる。無意識にだろうけど」
?「これまではずっとここに居続けたからそこまで変化は進まなかった」
?「けれど今回のことで色んな世界、空気を知って、君の身体は物凄い速さで変わっていった」
?「私の力が回復するのは君の身体に影響される部分が大きいから私にとってとてもいい事だね」
助手「いい事ですか」
?「君にとってもいい事だと思うな。より過ごしやすくなるんだから」
助手「過ごしやすく、って、あまり変化は」
?「君は」
助手「!」
?「君は、危機感が足りてない」
?「変化を感じない? それは可笑しいね」
助手「……」
?「こっちの世界は君が思ってるより安全ではない。酷い事言うけど」
?「私が君の事を操るのも簡単なんだよ?」
助手「! そ、それは」
?「ま、そんな事するつもりは今は無い。今はね」
?「考えようによっちゃ変わるけど」
?「私も含めて、君は危険である事を念頭に置いておくべきだ」
助手「…………」
?「で、話が逸れたけど、過ごしやすくっていうのは君が魔法というものに慣れていく事に繋がる」
助手「魔法に慣れていく……」
?「今回の旅で転移魔法をよく使ったらしいね。結局最後まで慣れなかったでしょ?」
助手「えと、はい」
?「未知の経験という事もあるけど、大半は魔力が君の身体に与える影響によるものが大きい、と思う」
?「魔力みたいな謎の力に対し、君の身体は無意識に拒否反応を示していた、という事だね」
?「そのせいで疲れが出た」
助手「そう、なんですか?」
?「多分、ね。獣人族とか竜人族も同じく魔力を持たない種族だから、同じだと思う」
助手「なるほど……」
?「で、もう一つは私にとってもいい事なんだけど」
?「私の力も回復すれば、当然私もこの身体からでて元の身体に戻る」
助手「!」
?「私も自分の身体に戻りたいし、君だって、私が居るのは嫌でしょ?」
助手「嫌じゃないですけど……」
?「けど?」
助手「……貴女も、戻りたいですか?」
?「まあね。結局自分の身体が一番良いし」
?「もしかして、戻って欲しくない?」
助手「…………」
?「……ふふ、ごめん。今のは無しで」
?「そうだ。もし良ければ君もこの世界の事を知るといい。いい機会だと思うね」
助手「それは、自分も知りたいです。まだ魔法使いさんに教えてもらった事しか分からないので」
?「これで私の力も戻ればいいけどねぇ」
?「とりあえず、今日はこれで休むよ。ここに出るのも力、使うし」
助手「ありがとうございました」
?「礼はいらない。身体を借りる私は君に感謝しっぱなしだ」
助手「あの、最後に一ついいですか?」
?「ふむ? いいよ」
助手「まだ名前聞いてなかったんですが」
?「名乗る者じゃないさ。今はまだ、ね」
ここまで
――――助手の部屋
助手「……ん」パチ
助手「…………僕は」
「おはようございます。主殿」
助手「ん、おはよう、猫。早いね」
猫「目が覚めてしまったもので」
助手「そっか……」チラ
猫「……主殿」
助手「いや、ごめん。行こう」
猫「魔女殿は、死霊術師殿の居場所が分かっているようです」
助手「! じゃあ」
猫「主殿」
助手「っ……」
猫「お気持ちは分かります。私も多分、同じ気持ちですので」
猫「しかし、魔女殿が動じない以上、私達は待つ事しか出来ません」
助手「…………」
猫「……先に行っています」
助手「…………」
助手「……そうだ」
――「裏世界は君にとって、人間にとってとてもとてもとっても、危険なところなの」
助手(最初から分かっていた)
――「貴方は只の『人間』」
助手(自分がこの世界で何も出来ない事は)
――「私達は待つ事しか出来ません」
助手「僕は……この世界で……」
これだけ
多忙な為ゆっくりです
――――薬屋
魔女「裏世界について?」
助手「はい。以前魔法使いさんから少し教えてもらいましたが、その、もっと詳しく知りたいんです」
魔女「なるほど……ね。忙しい時期ではないし急ぎの依頼も無いから、構わないよ」
魔女「ただ、以前も言ったように私では役者不足だ。から……少し考えさせてくれ。先に食事にしたい」
助手「はい! では、昼食の用意してきます!」サッ
魔女「…………猫。寝たフリは感心しないな」
猫「……分かっていましたか」
魔女「分かるさ。……でだ、今朝の助手くんに何かあったか?」
猫「……ここ数日、主殿はよく死霊術師殿を気にしておられます」
猫「その度にいつも、悲しい顔をされるのです」
猫「私としても見ているのは辛いのです。それで今朝、私は死霊術師殿のことを話しました」
魔女「…………そうか。だが」
猫「それ以上の事は私にも分かりません。どういう考えで裏世界を知るという事になったのか、もです」
魔女「む……猫がけしかけたのではないのか?」
猫「いえ、私はあの話を伝えたまでです。それ以外は全て主殿のお考えで」
魔女「……ふむ」
猫「魔女殿は、このままで宜しいのですか?」
魔女「……死霊術師の事か」
猫「ええ」
魔女「言っただろう。あとは時間の問題しかないと」
猫「……」
魔女「……いや、ちゃんと話そう。時間の問題なのは確かなんだ。今までもこういった事はあったからね。しかし……」
猫「今回は違う、と?」
魔女「ああ。今までは一週間程で戻ってきていたが、もう十日以上経過している」
魔女「……あまり良い予感はしない」
猫「でしたら」
魔女「無理なんだ」
猫「……?」
魔女「死霊の森が、何故その名前が付けられたか」
魔女「生命を冒涜していると忌避された結果、各地を追われた者達が集っていた場所で」
魔女「それは彼等にのみ与えられた安息の場所である故に、彼等特有の魔法を使わなければ立ち入ることも出来ないよう変えられた」
猫「……では、魔女殿は」
魔女「私には使えない。死霊術師が扱うような魔法は通常とは少し違う、使える者が限られる魔法だ」
魔女「それは先天的なものであり、後天的に扱えるようになったという話は聞かない。確か、現在でも研究中なはずだよ」
ここまで
また始めていきます
猫「…………」
魔女「だから、私には何もできない。死霊術師がこちらに来るしかない。時間の問題なんだ」
猫「……申し訳ありません」
魔女「謝ることは無い。私も同じ気持ちだよ。死霊術師の事も、助手くんの事も」
魔女「だから、焦る事はないよ」
猫「……はい」
魔女「……話は変わるが、私はさっきの助手くんの考えが気になる。確認するが、猫、君が入れ知恵した訳ではないのだろう?」
猫「……ええ。考えうる限りその記憶はございません」
魔女「…………ふむ」
助手「お待たせしました」コト
魔女「ありがとう」
助手「はい、お待たせ」
猫「ニャー」
魔女「助手くんも、一通り片付いたら座ってくれ」
助手「? 何かありましたか?」
魔女「……やはり、助手くんにも話しておこうと思ってね、死霊術師の事。猫には先程話してしまったから……」
助手「! すぐ片付けてきます!」
魔女「……まあ、こんなところか。説明が下手ですまない」
助手「いえ、そんな事ないです」
魔女「そうか……戻ってきた時、彼女をあまり責めないでくれ。ああ見えてもやはりまだ幼いんだ」
助手「はい……。それよりも、安心しました」
魔女「安心?」
助手「死霊術師さんに何か戻れない理由があるんじゃないかと思ってて……」
魔女「……ああ、成程。けど、平気さ。彼女は強いから」
助手「……そう、ですね」
魔女「で、だ。少し聞きたい。さっき助手くんが話した事についてだが、良ければ理由を教えてもらえないか?」
助手「……え、と」
猫「……」
助手「……あの」
――「そうだ。もし良ければ君もこの世界の事を知るといい。いい機会だと思うね」
助手「……いえ、重要な理由は無いです。ただ魔法使いさんに教えて貰った事しか知らないので、もっと知りたいと思ったくらいで」
魔女「……そう。そうか。それならいいんだ」
魔女「まあ 、裏世界についてはやはり専門家に任せようと思ってね」
助手「専門家?」
魔女「先生だよ。学校に勤めていた時は魔法全般を教えていたが、それでも適任だろうね」
魔女「なんなら先生の人脈に頼る手もある」
助手「魔法士さんですか……。頼ってばかりで申し訳ないですね」
魔女「心配いらない、快く教えてくれるよ」ニコ
助手「分かりました。それで、時間は……」
魔女「明日にでも行こうか。依頼も無いし、薬の在庫も十二分にある」
魔女「先生には私から予め伝えておくよ」
助手「……色々ありがとうございます」
魔女「構わないよ。助手くんがこっちに興味を持ってくれたのも嬉しいしね。ただ……」
助手「ただ?」
魔女「……いや、すまない、関係ない」
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