ルビィ「割れたダイヤモンド」(45)

きっかけは些細なことだった。
ダイヤ「はぁ!? どういうことですの!?」

朝から鳴り響く理事長の電話、それは朝日が顔を覗かせた頃に。
ダイヤ「昨日片付けたと思っていた仕事が? はぁ? 実はまだまだ残っていた!?」

あの理事長はどうしてこうも適当なのですか!

ダイヤ「あぁもう!急いで向かいますわ……!」

制服に着替え、お母様が用意してくださっている朝食に手をつける暇もなく、ルビィが幸せそうに寝息を立てる中、浦の星女学院へと足を急ぐ。

日課である寝起きのトイレに行くことも忘れて。

浦の星女学院理事長室。
ダイヤ「鞠莉さん!」
鞠莉「あ、ダイヤ~!シャイニー!」

飛びついてくる彼女の頭を片手でいなし、ありったけの握力を込めて差し上げる。

鞠莉「痛い痛い痛い!!!ダイヤ痛いから!」

あぁもう、この人は……私を呼んでおいてふざけるなど随分余裕がありますわね。

ダイヤ「今日はあまりお腹の虫が機嫌よくありませんので……ふざけてるなら帰りますわよ?」

鞠莉「sorry、ダイヤ。お詫びにマリー特製の紅茶を出すから許して?」

テヘペロ、だなんて軽く謝れても……ほんと仕方ないですわね。口笛を拭きながら紅茶を挿れる姿は楽しそうであり、また一抹の疲労をその小さな背中に感じてしまいましたから。

ダイヤ「先に生徒会室で始めておきますわよ?」

鞠莉「は~い!」

その前に、

ダイヤ「鞠莉さん、その……」

いくら幼馴染でも快く話せる話題ではない、上手い言葉を探るけれど見つからない。

鞠莉「心配しないで。専属のドクターに診てもらったから」

ダイヤ「それなら良いのですが……ではまた後で」

書類の束を持ち、まだ残暑が続く理事長室を後にする。しかし、胸がザワつくような、ほんのちょっとの違和感を覚えたのはきっと──朝食を食べていないからですわね。

そしてまた、私はトイレに行くことを忘れた。

鞠莉「分量、これで良かったかしら?」

燃えるように真っ赤な紅茶へ、白い粉末が注がれる。

1年の教室。
善子「それで、ダイヤが起こしてくれなかったから遅刻したと」

いちごジュースのパック片手に、善子ちゃんがルビィに哀れむ目を向けてきて、思わず顔を伏せてしまう。

ルビィ「だ、だって……まさかあんなに早く家出るなんて知らなかったもん」
花丸「始発のバスで向かうなんて、余っ程のことがあったのかな」

花丸ちゃんが美味しそうに食べるのっぽパンに、
お腹が軽い悲鳴をあげてしまう。寝坊に焦り、何も食べられなかったのを悔やんで仕方ない。

花丸「はい、ルビィちゃん」

空腹に涙が出そうになっていると、目の前に半分折にされたのっぽパンが差し出され、思わずヨダレが垂れる。

ルビィ「は、花丸ちゃん!いいの!?」

パッと笑顔が咲いてしまう。

花丸「朝御飯、食べられなかったんでしょ? まるので良かったら食べて」
ルビィ「ありがとう、花丸ちゃん!」

あぁ美味しい……ルビィものっぽパンのファンになりそうだよぉ。

善子「ほんと大げさね」
花丸「そういう善子ちゃんも、今朝からジュース飲んでばかりだけどお漏らしなんてしないでよ?」
善子「お漏らしなんて誰がするのよ!」

ルビィは小学5年くらいまでかなぁ……なんてことをのっぽパンに舌鼓を打ちながら思い出していれば、

ルビィ「あっ!お姉ちゃん!」

廊下に大好きなお姉ちゃんの姿を発見して、思わず教室を飛び出してしまう。
「相変わらずねぇ」「善子ちゃんも梨子さんみたら飛び出すよね」なんて会話を背中に感じながら。

ルビィ「お姉ちゃん、どうしたの?」

お姉ちゃんの顔を近くで見れば、額にはうっすらと脂汗が。あれ、今日そんなに暑くないのに……生徒会の仕事が忙しいのかな?

ダイヤ「い、いえ、何でもありませんわ。たまたま通りがかっただけで……」

モジモジしてて、ちょっぴり息が荒い……。

ルビィ「お姉ちゃん、大丈夫? 体調悪いんじゃないの?」

ダイヤ「な、なんでもありませんわよ? それより今日の練習、私と鞠莉さんは仕事で遅れますので先に皆さんと始めておいて」

ルビィ「う、うん」

「いい子ですわね」って頭を撫でられて顔が緩んじゃうほど嬉しいはずなのに、目の前のお姉ちゃんの顔が辛そうで……さっきより汗がひどいよ?

ルビィ「ね、ねぇ!お姉ちゃん本当に大丈夫なの?」

「ちょっとダイヤどうしたの?」
「何かあったずら?」
善子ちゃんと花丸ちゃんも心配して覗きに来たけれど、お姉ちゃんは「わ、私は平気ですわ。さ、授業が始まりますわよ?」ってほくろかいてる。

ルビィ「全然大丈夫じゃ──」

その時、ルビィの鼻を刺激の強い臭いがついた。
この臭い……たまにトイレで臭うやつだ……。
お姉ちゃん、なんか異臭がするよぉ……え、

お姉、ちゃん……?

ダイヤ「お願い止まって止まって止まって……」

どうして……スカートの裾を抑えてるの?
足を流れる黄色い液体はなに?
なんでお姉ちゃんは……泣いてるの?

ダイヤ「嫌だ……止まって……お願いやだやだやだ」

ルビィのお姉ちゃんの足元は、黄色い水溜りになっちゃった。

ダイヤ「やだ……やだ……」

小さい子供のようにへたりこんでしまい、顔を手で覆い泣きじゃくってしまった……。
みんな教室から出てきて注目してる……
「あの生徒会長が……」
「え、なんでここ廊下だよ?」
「うわ……」
善子「ちょ、ダイヤ!何してんの!?」

誰だって信じられないよね……ルビィだって、お姉ちゃんのこんな姿、現実なんだって思いたいくないよ……だけど、
ルビィ「善子ちゃん、みんなを教室に」

ルビィ「お姉ちゃん……す、すぐ片付けるね……大丈夫だよ?」

このままお姉ちゃんをほったらかしに出来るわけがない。震える小さな肩にそっと手を置いて安心出来るようにそっと話しかける。

ダイヤ「触らないで……」

涙のせいなのか分からない、でも聞いたことのない弱々しく情けない声……。

ルビィ「でも……」

ダイヤ「ほっといて……お願いだから……」

このままお姉ちゃんをほったらかしに出来るわけがない。震える小さな肩にそっと手を置いて安心出来るようにそっと話しかける。

ダイヤ「触らないで……」

涙のせいなのか分からない、でも聞いたことのない弱々しく情けない声……。

ルビィ「でも……」

ダイヤ「ほっといて……お願いだから……」

いつも自身に溢れ、人前で決して弱い姿を見せることのなかったお姉ちゃんの……自尊心をズタズタに引き裂かれたあまりにもか弱すぎる姿に、胸の奥が締め付けられそう。

背中に感じる善子ちゃんと花丸ちゃんの視線が痛くて、ルビィまで目頭が熱くなる。

ダイヤ「も、もう授業が始まるわよ……」

そんなこと言ってる場合じゃない。
教室に飛び込んでクラスメイトをかき分け、ロッカーからモップを引っさげて再び廊下へ。

ダイヤ「る、ルビィ……ほっといて……」

ルビィ「……」

観念したのかおぼつかない足取りで立ち上がり、スカートの裾からは尿がぽたりぽたりと落ちている。自慢の綺麗な上履きも黄色のシミを作っていた。

ルビィ「だ、大丈夫……大丈夫だから……」

呆然と立ち尽くすお姉ちゃん、
黙ってこちらを見ているクラスメイト、
あぁ……目の前が霞んで見えないよ……。

浦の星女学院屋上。

果南「ダイヤとルビィが早退?」

準備運動を始めている果南は、姉妹が早退したことに驚きを隠せない。

鞠莉「イエス。お昼頃かしら、ルビィから体調が悪くなったのでお姉ちゃんに付き添ってもらって早退しますって連絡あったの」

携帯のディスプレイに映されるメッセージにため息を吐いてから、鞠莉は「ダイヤからは全く連絡ないけどね」と付け足す。

千歌「ルビィちゃん、大丈夫かな……善子ちゃんと花丸ちゃんはなにか聞いてない?」

善子「……」
花丸「……」

言えるわけがない、2人は暗い表情で黙っているだけ。


千歌「えーと……善子ちゃん? 花丸ちゃん?」

千歌が俯く2人の顔を覗き込む。

善子「わぁ!?」

千歌「わぁ!!」

突然の驚きに、3人とも尻餅をついてしまう。
コンクリートの床に強打したお尻を摩っていると、

果南「2人とも、さっきの話聞いてた?」

果南が切り出した。
善子と花丸は戸惑い言葉を濁すものの、

善子「そ、そう言えば少し気分が優れないから保健室に行くねって聞いてたような……」

目線が泳いでおり誤魔化すような言い方に、果南は善子の肩を両手でしっかりと掴み、真正面から「本当にそうなの……?」と聞き直す。

曜「ルビィちゃんが早退したのはお昼頃でしょ? 私その時保健室いたよ? 前の時間体育で滑って怪我しちゃったからさ」

曜はズボンの裾をめくると、桜の柄がついた絆創膏を「えへへ」と笑ってみせる。横で梨子が「誰もいなかったから、結局消毒して私の絆創膏張ったけど」と呆れている。

曜「そう、誰もいなかった。入れ違いになったこともなさそうだし」

善子「そ、それは……」

泳ぐ目線は幼馴染の花丸へと向けられるが「なんでまるに投げるずら!」と、目で返されるだけだった。

鞠莉「言いたくなかったけどダイヤがお昼頃、皆さんに今日の練習は参加が遅れますと伝えてきますわ……って席を立ったきり、音沙汰が無いのよね。善子、花丸……お願いだから本当のこと話して?」

みんなの視線が善子と花丸へと集中し、

果南「善子……?」

善子の頬を涙が伝っていた。

善子「だ、だめ……言えない……言えないの!」

大粒の涙を流し、顔をくちゃくちゃに歪ませる善子。震える肩は折れそうで、果南の腕は自然とその背中へと伸びていき優しくハグする。

果南「……ごめんね」

胸の中で泣きじゃくる善子の頭を愛でるように撫でながら、果南は「今日の練習は、やめとこっか」と全員へ告げた。

昇降口。
鞠莉「果南」

鞠莉は昇降口で靴に履き替える果南を呼び止めた。どこか弱気な表情にはいつもの明るさがなかった。夕日が差し込んでるはずなのに

果南「鞠莉……?」

昼過ぎに乗るバスはいつもと違う景色で、なんだか違和感を覚えてしまうけれど、今のルビィにとっては些細なことでしかなかった。ずっと俯いて黙ったままのお姉ちゃんが心配で堪らないから。

濡れたままの制服で帰るわけにはいかなくてお姉ちゃんはジャージに着替えさせたけど、顔見知りの人も乗っているためか、さっきからチラチラとこちらを見られてしまうよ。

ルビィ「う、海綺麗だね」

気晴らしに窓の外に広がる綺麗な海を指さすけど、窓際に座るお姉ちゃんは無反応だった。

ルビィ「う、うゆゆ……」

無理もないよね……そう思って俯いてしまったのが間違いだった。

ダイヤ「……!」

ダイヤ「る、ルビィ……つ、次で降りますわよ」

額に大きな汗を浮かべてる、なんてことに気づけなくて、余裕が無いお姉ちゃんのために停止ボタンも押せず、

ルビィ「え……?」

気がついた時にはバス停が過ぎ去ってしまってしまって、お姉ちゃんもしかして!と思い振り向けば、

ダイヤ「だ、ダメ……!」

ルビィ「え、お姉ちゃん、嘘……」

閉ざされたバスの空間に漂う、アンモニアの臭い。
座席から垂れる黄色い液体、それは足元に水溜りを生み出す。
ルビィは生暖かさと鼻腔を襲う臭いで知ってしまう。

ルビィ「あ、あぁあ……」

ダイヤ「だめ……だめぇぇぇぇぇ!!!」

なんで……また……。
ピジャピジャ……嫌な跳ねる音が響いて止まらない……錯乱するお姉ちゃんのジャージは汚れて座席はルビィのスカートも暖かくなって……。
周りの目線が、信じられないものを見る目が突き刺さってまた悔しくて悔しくて目の前が霞んでしまうけれど、

ルビィ「お願いします!止めてください!!!」

ルビィよりもっともっともっと辛い思いしているのは、お姉ちゃんなんだ……。

もう以前の面影がない程パニックを起こしたお姉ちゃんの手を引っ張って、停止したバスから飛び降りるように後にする。

ルビィ「お姉ちゃん、一体どうして──」

縋るようにお姉ちゃんはルビィに抱きつき、崩れ落ちてしまう……人前で決して涙を見せないお姉ちゃんの辛い気持ちは、ルビィ1人で抱えきれないほど重いからただ一緒に涙を流すしかできない……それが悔しい。

ダイヤ「ルビィ……ごめんな、さい……ごめんなさい……!!!」

「どうして……」と悲痛な声が、ルビィの胸に深く抉り刺さってしまう。




鞠莉の部屋。

果南「それで、まだ出ないの?」

鞠莉「えぇ……」

下腹部を抑える寝間着姿の鞠莉を、果南はただ見守っていた。

果南「薬、ちゃんと貰ってるんでしょ?」

鞠莉は身体を抑える手に力がこもり、唇を強く噛み締めてしまう。眉間によるシワは後悔の念が渦巻いていた。

鞠莉「今日ね、ダイヤに紅茶を振舞ったのだけど、その時私の分に薬を入れたのよ……」

果南「まさか……」

自身を嘲笑うかのように、鞠莉の乾いた笑いが一筋の涙と共に吐き出される。

鞠莉「ねぇ果南……どうしたらいい?」

翌日、バス内。
お姉ちゃんは何があっても真面目……でも、いつもより強ばった顔を見てると、自然と手に力が入る。

ルビィ「お姉ちゃん、今日は休んでも……」

姉の生真面目さを見ていて辛い日が来るなんて、心の底から夢であってほしいと思う。ルビィなら家からも出れないのに……。

ダイヤ「生徒会長である私が休む訳にはいきませんわ」

そうは言っても手は震えてるよ……?
お姉ちゃんは今、崩れそうな自分を何とか保っているんだね……。
頼りになれるかわからないけど、汗ばんだ暖かい手を握って「大丈夫、お姉ちゃんにはルビィがいから……」と安心させようとしたのは、どうやら逆効果だったみたいで、

ダイヤ「気持ちは嬉しいけど……いいのよ、何もしなくて」

苦虫を噛み潰したかのような顔を見ることになってしまった。

ルビィ「お姉ちゃん……」

ねぇ、聞いた?昨日バスでね。
あ!それ知ってる!生徒会長が漏らしたんでしょ!

ルビィ「え ……?」

声でかいよ、このバス乗ってんだから!
でも生徒会長がお漏らしなんて!

ルビィ(……そんな……)

こっちをチラチラ見る人達がいる……もしかして昨日のが知れ渡ってしまった……?

ルビィ「お姉ちゃん……」

隣に座る姉の顔を見る前に、

ダイヤ「降ります」

他の人を押しのけるように、ダイヤはバスを降りてしまった。

急いでそのあとを追えば、感じるのはバスからの視線。どうして広まってしまったのだろう。

ルビィ「お姉ちゃん!!!」

どんどん小さくなっていく背中がまるで追いつけなくて、躓いて転んでしまう。

ルビィ「ピギィ!」

足が、強打した身体が痛いけれど急いでお姉ちゃんの側にいてあげないと!
立ち上がり前を向いた時、お姉ちゃんが心配して駆け寄る姿に心が安堵してしまう。

ダイヤ「ルビィ、大丈夫? 怪我はしてない?」

あんなに辛いことがあったのに、妹を心配してくれることが嬉しくて堪らない。

ルビィ「大丈夫だよ、ありがとうお姉ちゃん」

手を取って身体を起こすと冷や汗をかいてるお姉ちゃんの顔が飛び込んできて、びしょびしょと聞こえる水滴……。

ルビィ「お姉ちゃん……もしかして」

信じられない、その言葉がとても似合う表情をきっと浮かべていたのだろう。お姉ちゃんの3度目のお漏らしは晴天の下、涙と共に流された。

ルビィ「お、お姉ちゃん……ルビィがいるからね?」

でもどうしようかな、座り込んで啜り泣くお姉ちゃんに何も出来ない自分が嫌になる。

浦の星女学院3年生の教室。

果南「ダイヤ、来ないね……」

授業が始まれば凛とした姿勢で場を締めるダイヤが、いつまで経っても姿を表さない。
毎日欠かさず登校していた彼女がいないことで、教室には戸惑う声も上がる中、
「え、うっそ!あのダイヤさんが!?」
「ほら、これ!」
「うわ~……何してるの……?」

ダイヤ、幼馴染の名前が聞こえて果南はそのクラスメイトの元へ駆けつけたら、

果南「!!!」

バスの車内で泣き乱しながら尿を漏らす光景が、動画として画面に流れていた。

果南「……誰?」

「え?」

果南「誰が撮ったのか聞いてんの……」

「私の後輩がたまたま居合わせて……」

直後、果南が胸ぐらを掴んで乱暴に揺さぶって今にも沸騰しそうな怒りで静かに炙るように、クラスメイトを睨みつけた。

果南「そいつに会わせろ……!!!今すぐ!!!」

クラスメイトは震えて泣きながら動画を送信してきた「後輩」へと連絡すると、果南が携帯をひったくり、

果南「あんた、ダイヤの動画を撮ったみたいだね……ちょっと話があるんだけど……3年の教室まで来てくれない?」

逃げるなよ? と獣が唸るように釘を刺して乱暴に着信を切った。

「ご、ごめんな……さい……」

泣き崩れるクラスメイトに事の重大さが教室内に浸水していく。鞠莉は側によると腰を下ろし「顔を上げなさい」と声をかける。

鞠莉「あなた、後輩から動画を送られてきた時どうして間違いだと言ってあげなかったの? ダイヤは……想像出来ないくらい苦しんでたのよ……?」

冷静に語りかけるけれど、内に湧き上がる怒りは荒れ狂っていることが言葉の端々に現れていた。

「あの……」

教室の全員が一斉に弱々しく訪れた者へ振り向き、罪悪感に塗れた者が「ごめんなさい……」と謝罪する姿に果南が飛びかかった。

果南「あんたが、動画を撮ったんだ?」

首を縦に振り、果南が拳を振りかざしたその瞬間、鞠莉がその腕を制してしまう。

果南「鞠莉!!!」

鞠莉「こんなやつ……果南が殴る価値もない」

鞠莉はクラスメイトの携帯を操作し、ダイヤの動画を見せつけた。

鞠莉「ねぇ貴女、ルビィ達と同じクラスの子よね? どうして動画なんて撮ったの? ダイヤがバスでお漏らしたのがそんなに面白いの? 言っとくけどダイヤは私達の大切な親友よ」

果南を下がらせ、鞠莉は件の後輩を連れ出ると表情から温度がスっと消え去り、心底から凍りつく声音で淡々と語りかける。

鞠莉「親友が傷つけられたら……許せないでしょ? 私はこの学校が大好きだし、通う生徒も愛してるわ。でもね、理事長として誰かが辛い思いをするのは嫌なの……この動画が広まったらきっとダイヤは学校に来れなくなるし、貴女の居場所も無くなるなんて悲しいじゃない? 言ってること分かってるかしら?」

己の罪に押しつぶされ泣いてしまう子に、鞠莉は「携帯を出しなさい」と撮影した携帯を受け取ると、親友の粗相が収められた動画を削除する。

鞠莉「これが最後の警告よ。心を改めなさい」

声を上げ泣きじゃくり謝り続ける者に誰にも声をかけることはなく、

鞠莉「果南。ダイヤのところに行くわよ」

ふたりは苦しみ続ける親友の元へと急いだ。

「私だけじゃ……ない」

黒澤家ルビィの部屋。
ダイヤ「ルビィ、沢山迷惑をかけてしまいましたわね……」

お風呂に入り部屋着のお姉ちゃんは、黒い髪を揺らして頭を垂れた。

ルビィ「う、ううん……ルビィも小さい頃いっぱい迷惑かけちゃったから。だから、お姉ちゃん頭をあげて?」

正直、これ以上自分を責め続けるお姉ちゃんに耐えられないのが本音。だって、お姉ちゃんはルビィのお姉ちゃんでいつもカッコよくて、鈍臭いルビィを守ってくれて……。

ダイヤ「いえ、私はもうお姉ちゃんと呼べるような人ではありません……」

こんなお姉ちゃん……見たくないよ……。

ルビィ「お願い、泣かないで。今度一緒に病院に行けばきっと治るから、ね?」

大きなお姉ちゃんをあやすことに、ルビィまでも泣きそうだけれど、

お姉ちゃんを支えることが出来るのはルビィだけなんだ。

果南「ダイヤぁぁぁ!」

あ、果南ちゃんの声だ……心配してきてくれたのかな……家にあげたいけど事情を話せない。

ルビィ「ルビィが行ってくるから、大丈夫だからね?」

だからこそ上手く誤魔化さないと。
ルビィは部屋を後にするけれど、ほんの一瞬だけ頭をよぎった嫌な予感が拭えなかった。

ダイヤ「果南さん……」

情けない、その言葉が身体に重たくのしかかる。
時間を割いて自分のために会いに来てくれたなら、きちんと顔を合わせるべきはずなのに、自身の心が拒絶していた。今は誰とも会いたくない。
ここ数日の行いに唇を滲むほど噛み締めてしまう。

ダイヤ「だめ、ですわね……」

ふと部屋を見渡すと、壁には妹の作った衣装が飾られていた。恐らく次のライブで着る衣装だろう、なんて可愛いくて素晴らしいのだろうか。
いい歳になって粗相をしてしまう自分にはなんて勿体無い……自嘲気味に笑ってしまう。

ダイヤ「あら?」

よく見てみれば赤を基本としたカラーリングが施されており、衣装のサイズからして。

ダイヤ「これ……私の」

手に取り、間近で妹の愛が込められた衣装を感じる。最も似合うように作られてるからか、指で触れたその時から温かい気持ちになり、しっかりものな妹を誇らしく自慢したくなってしまう。

ダイヤ「ルビィ……ありがとう……」

シワにならない程度に抱きしめ再び壁にかけようとしたら、衣装の裾を踏んでしまい床に転んで強打してしまった。破れたりしていないか、焦って確認しようとしたら……

ダイヤ「──!!!」

下敷きになった衣装を蝕む、嫌悪感。
自分の意思で止まることはなく、嫌だと言ってもそれは妹が姉を思って制作した衣装を穢していく。全てを踏みにじって。

ルビィ「お姉ちゃん、果南ちゃんが……」

ダイヤ「ルビィ……!」

ルビィ「え……」

姉の衣装、その上で尿を垂れ流す姉の痴態。
ルビィの脆く支えられていた支柱が音と共に崩れ去っていく。

ルビィ「なに、してるの……?」

お姉ちゃん……? それ、衣装だよ?
トイレじゃないよ?

ダイヤ「あ、あぁ……ああ……」

お姉ちゃんに似合うようにって、曜さんと作ったんだよ?

ルビィ「出てって」

なのに、

ダイヤ「わ、私が片付け──」

もういいよ……。

ルビィ「出てって!!!!!」

線が壊れる。ギリギリで保っていた「私がしっかりしないといけない」という義務感が裏切られて、いつか良くなる……お姉ちゃんのためと頑張ってきたことが無駄なんだって突きつけられたんだ。

ルビィ「今度のライブはお姉ちゃんがセンターなのに、衣装がこんなんじゃ作り直しだよ……ルビィ、何やってんだろ……馬鹿みたい……ねぇ……どうしたらいいの……お姉ちゃん……う、うぅ……うぅぅ……うっ……うっ……うっ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

泣いても泣いても嗚咽混じりの慟哭は止まらなくて、悔しくて、溜まってきたものを吐き出すかのように。

ルビィ「もうやだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

ダイヤ「ルビィ!!!」

ルビィ「出てって言ったじゃん!!!お姉ちゃんなんてどっか行け!!!!!」

憎い、お漏らしが止まらないお姉ちゃんが。
きっと何か原因があるのに受け入れられない自分がもっと憎いけど、お姉ちゃんへの怒りがブレーキを失って責めてしまう……。

ルビィ「なんで漏らしちゃうの!?お姉ちゃんなんで!!!」

ダイヤ「ルビィ、ごめんなさい!!!ごめんなさい!お姉ちゃんを許して……!」

抱きついてくる、
アンモニアの臭いが鼻に侵入し、思わず突き飛ばしてしまう。

ダイヤ「あ、あぁぁ……」

くしゃくしゃの顔で絶望が刻まれたお姉ちゃん、見捨てられたと思ってしまったのだろう……。
でもルビィだって裏切られた気分だよ……。

ダイヤ「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……ルビィ、ごめんなさい……」

床に額をつけ、必死に謝り続ける姿が滑稽で見苦しくてこれ以上見たくなくて……。

ルビィ「もうやめて!もう……やめてよ……お願いだから……」

目の前が霞んでしまう。
「どうしてこうなったのだろう……」
自問自答しても答えは見つからない。

しばらく時間が経ち無言が続く中、部屋の扉が開かれて果南が顔を覗かせる。その顔は真剣だった。

果南「ルビィ、ダイヤ……話があるんだ」

居間には蒼白な鞠莉が正座しており、こちらを見かけるやいなや駆け寄ってきて、弱りきったダイヤ、ルビィへ頭を下げた。

鞠莉「ごめんなさい!2人とも!」

鞠莉「全部……私が悪いの!!!」

無理して早朝に仕事を手伝ってくれたお姉ちゃんを労るために紅茶をいれたんだけど、最近尿が全く出ないため病院から薬を貰っていて、それを誤って自分のではなくお姉ちゃんの紅茶に入れてしまった……しかも強烈な薬だったらしく、尿が出ない鞠莉ちゃんならともかく、健康なお姉ちゃんにとっては刺激がありすぎて自分の意志とは関係なく漏らしてしまう……。
鞠莉ちゃんの口から語られた真実はあまりにも些細な始まりだった、だからこそ、許せない気持ちだった。

ルビィ「どうしてくれるの……?」

鞠莉「ごめんなさい……私に出来ることなら何でもするから!!!」

果南「鞠莉を責めたい気持ちはわかる。でも、今大切なのは」

「病院に行くこと」

ルビィとお姉ちゃんは鞠莉ちゃんのせいでボロボロになったけれど、きっと鞠莉ちゃんも辛い気持ちで傷ついてる……元通りの関係に戻るのは時間がかかるけど、まずはお姉ちゃんを助けないと。

でも今だけは、

ルビィ「お姉ちゃん……」

お姉ちゃんの涙を受け止めさせて……。

胸の中で泣きじゃくるお姉ちゃんと一緒に、時間が許す限り悲しみを嘔吐した。

ルビィ「お姉ちゃん、行ってきます!」

あれから病院で適切な治療を受け、完治するまでは家で安静になったけれど、処方された薬で以前のように突然漏れることは少なくなった。
例え完治しても、傷ついた心はまだまだ時間がかかるけれどお姉ちゃんにはルビィが、Aqoursのみんながいるから──いつの日か、また9人で笑い合えるよ……だからお姉ちゃん、ゆっくり待っててね。

果南は本島へ向かう船の中、ふと携帯の動画サイトを開いたら──

果南「え……」

そこに並んでいたのは匿名で投稿された、
「ダイヤが学校、バスで失禁した映像」だった。

果南「なん、で……」

思い出すのは盗撮した生徒を問い詰めた時の、
「私だけじゃ……ない」
という怒りにも似た言葉だった。

ネットに何かをあげると一生消えない、
という言葉を聞いたことがある。
「拡散」という恐ろしい力が働いてるから……初めて授業で聞いた時はネットに疎いせいもあってか、空想の世界に思えたけれど、ダイヤが音信不通になってその恐ろしさを果南は体感した。

「ねぇねぇ聞いた?浦の星の生徒会長って」

「あ!バスでおしっこ漏らした人だよね!」

「しかもこの人Aqoursってグループだよね?」

「え~あの有名なグループじゃん!」

「ほら見て!Aqoursのランキング下がりまくりだよ?」

「これじゃあラブライブなんて夢のまた夢ね」

「あ~あ、私、Aqours好きだったのにな」

街を歩けば耳に入るのは「身勝手な噂」
ネットを開けば心無い批判。
私達Aqoursは、浦の星女学院は、ダイヤは、
たった1日で全てを失った。

果南「……ちょっと、ダイヤだって」

堪え切れるはずがなく、第三者の噂に言及したとしても、

「うわ……ご、ごめんなさい!」

目に見えて避けられるようになった。

果南「あの子……私のファンだったのにな」

それから数週間後、面会謝絶をしていたダイヤから久しぶりに連絡が入り、鞠莉を連れて飛んで会いに行ったけど、

ダイヤ「2人とも、お久しぶりですわ」

以前と変わらない、私達の日常にヒビが入る前と同じダイヤが笑顔で出迎えてくれたのだ。
まるで「お漏らし」が嘘のように……。

客間に通され、私と鞠莉はダイヤと向かい合うように座るが「いつも通りな」ダイヤに正直困惑していた。

果南「ダイヤ、あのさ」

ダイヤは軽く微笑んで、

ダイヤ「その事については、時間の問題ですわよ。流行るものもいつしか廃れる……時間はかかりますけれど、気に背負っていては駄目ですの」

私達の知る笑顔で返答する。
どうしてだろ……何か違う……言葉に出来ない違和感が私達を取り巻く。

鞠莉「ねぇダイヤ……ごめんなさい!」

鞠莉が耐えきれなくなり、土下座をしてしまう。

鞠莉「私が……貴女の人生を壊してしまった!だから、小原家は一生かけてでもダイヤの人生を取り戻すわ!」

見るからに痩せこけた鞠莉の謝罪の重さ、ずっと薬を入れ間違えたことが彼女の心に楔を打ち込んでいるのだろう。

ダイヤ「ま、鞠莉さん!? 頭をあげて!貴女が頭を垂れる必要はありま……」

必死に宥めるダイヤが一瞬震えたと思えば、

ダイヤ「ふ、ふぅ……」

漂うアンモニアの臭い……しかし、床が濡れることなく、漏らした訳ではない。

ダイヤ「少し失礼しますわ……ルビィ!いるのでしょう?ルビィ!」

何かがおかしい。どうしてルビィを呼ぶのか。
玄関の扉を開けてくれた時から僅かに鼻腔をくすぐっていた臭いも、今になって存在が牙を向く。

ダイヤ「ふふ、あの子ったらまた部屋に篭ってますわね……ルビィ!ルビィ──!いつものお願いしますわ!」

とびっきりの笑顔で妹を呼び続けるダイヤに、唇が震えて息が狂いそう。
それは鞠莉も同じで、顔を上げてダイヤの姿に言葉を失っていた。

ルビィ「……」

ダイヤ「あ!ルビィ!やっと来てくれましたわね!」

元気で愛くるしい笑顔が似合うルビィではなく、姉に「汚物」を見るかのような目を向ける、荒んだ彼女がビニールの袋を片手に姿を現した。

これが……ルビィ?

ダイヤ「早速お願いしますわ。気持ち悪くて溜まりませんの」

なぇどうしてダイヤは仰向けになるの?
スカートをたくしあげてるの?

なんで……白いオムツを履いてるの?

ルビィ「また漏らしたの……?」

どす黒い声は身体の芯から凍てつかせ、目の前にいる黒澤ルビィがまるで別人のようだった。

ダイヤ「ねぇルビィ、早く交換して!お姉ちゃん気持ち悪いの嫌ですの……!」

交換? オムツを? なんで……?

ルビィ「……!!!」

ここ数日、いや自分の人生で信じられないことは見てきたつもりだった。だけど、

ルビィ「なんで!トイレで出来ないの!? お姉ちゃん人間でしょ!? 赤ちゃんじゃないでしょ!ねぇなんで!?なんで!? 病気治ったでしょ!!!」

幼い頃からずっと慕ってきた姉へ、誰よりも愛するかけがえのない姉へと振りかざされる暴力……。
何度も何度も何度も姉を容赦なく蹴り、踏み、痛めつける現実は信じたくなかった。

ダイヤ「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」

虐待を受ける子供のように頭を抱えて身を丸くし、妹から浴びせられる怒りに泣き叫ぶダイヤ。

止めれなかった……変わり果てた姉妹の姿に何も言えない何も出来ない……ただ涙が流れていた。

ルビィ「ほら、オムツ変えるから」

泣きじゃくるダイヤの足を無理やり開かせ、ビニール袋からオムツを取り出すと慣れた手つきで交換していくルビィ。
取り外されたオムツには、おしっこと微量の茶色い物体がこびりついていた。

ルビィ「……お姉ちゃんはショックで垂れ流すようになったの。だからオムツをつけてあげてるんだ……」

力なく呟くルビィと、新しいオムツを履いて気分が良くなったのか、痛む身体を抑えながら立ち上がって喜び「お茶の用意しますわね~!」と上機嫌に客間を去るダイヤ。

ルビィ「それからお姉ちゃんは段々おかしくなって、ルビィがお世話してるの」

手に握るダイヤの「履いていたオムツ」がくしゃりと形を崩す。

ルビィ「学校にも外にも行けない。お姉ちゃんが漏らしたら変えてあげる。ねぇわかるかな? 大好きだったお姉ちゃんが大っ嫌いになる気持ち」

私達を睨むその目は、冷や汗すらも乾くほど殺気に満ち溢れていて、

ルビィ「酷い時なんてルビィの部屋で糞尿漏らされて、お姉ちゃんはケロッとしてるんだよ? でも黒澤家の面子のために施設には入れられない。ずっとずっとずっとあんなお姉ちゃんの面倒を見なきゃいけない」

ルビィ「四六時中ずっと……病気治ったのにね……おかしいよね。だって今頃みんなでラブライブ目指して頑張ってたはずなのに。どうしてこんなことになったのかな? ルビィ、悪いことしたかな?」

ルビィ「あぁそう言えばあの日、お姉ちゃんは鞠莉ちゃんに呼び出されて朝早く学校行ったんだよね? そうそう、鞠莉ちゃんが間違えて薬をお姉ちゃんの飲み物にいれたんだった。あ~あ、お姉ちゃんとルビィの人生をめちゃくちゃにしたのは鞠莉ちゃんだったんだ」

ルビィの口元は笑うけれど、その目は深い怒り、殺気に煮え滾っていた。

ルビィ「ねぇ鞠莉ちゃん? 鞠莉ちゃんは何で普通に生きてるの? 痩せてるのも罪滅ぼしのつもり? そう言えば小原家が一生面倒見てくれるって言ったよね?だったら見てよ……お姉ちゃんを返してよ!!!!!ほらお姉ちゃんの出したやつだよ!あんたがいるから、こうなったんだよ!!!」

糞尿がこびりついたダイヤのオムツを鞠莉の顔に押し付け、

ルビィ「死ね!死ね!死んじまえ!!!!!あんたなんか……死んでしまえぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

呪いの言葉を吐き続けた。

果南「!!!」

無意識のうちに下した拳はルビィをいとも簡単に鞠莉から引き剥がし、放心状態の鞠莉の手を取り黒澤家から逃げ出した。

ルビィの壊れきった怨嗟を背に。

それから1ヶ月後、浦の星女学院へ向かう道中、私はルビィを見かけた。晴れやかで憑き物が落ちたかのように笑顔な、私達の知っている彼女を。

ルビィ「あ!果南さん!」

小動物のように駆け寄ってくる姿が、黒澤家で見た鬼と被り身構えてしまう。

ルビィ「ぴぎぃ!る、ルビィ何かしたかな……?」

オドオドと、何事も無かったかのように振る舞う姿がダイヤのようで恐ろしいけれど、

果南「ねぇルビィ……ダイヤは」

ルビィ「え? 誰なのそれ?」

より恐ろしい現実が胸を突き刺して焼き焦がす。

ルビィ「もう今日の果南さん、ちょっと疲れてるのかな? でもがんばルビィ!」

私は学校へ走り去る背中に投げかける。

ねぇ鞠莉とダイヤ、どこ行ったの?

長くなりましたが、おわりです。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom