α世界線。0の8話と原作0を元に考えましたが観測者が岡部じゃなかったり、その他もろもろ設定で矛盾が起きますがこまけーこたあいいんだよってことでお願いします。
書き溜めあり。見切り発車なので着地点決まってません。
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紅莉栖「っ……」
紅莉栖「頭痛がする……根を詰めすぎたかしら……」
紅莉栖「ってここは……ラボ!?」
紅莉栖「どうして!? さっきまでアメリカにいたはずなのに……」
紅莉栖「慌てても仕方ない。状況を整理しましょう」
紅莉栖「日付は変わりないわね。時間は……時差を考慮しても記憶と大きくズレてはなさそう。服装も一緒ね」
紅莉栖「誘拐された線はなさそうね。犯人の動機が見えてこないうえに私の主観では意識は連続している」
紅莉栖「セキュリティの厳しい研究所に忍び込んで、本物のラボもしくは精巧なラボのモデルルームに連れてくる。
うん、やっぱり意味が分からない」
紅莉栖「最も記憶を根拠にするのは注意しないと……客観的に物事を捉えましょう」
紅莉栖「持ち物は……携帯があるか」
紅莉栖「GPSアプリ?……私の機種ではある。けどこんなの入れた覚えないわよ。……調べてみるか」
紅莉栖「地図を見る限りここは本物のラボのようね……ラボの外に光点がある?」
ガチャ
岡部「あ……」
紅莉栖「岡部! 聞きたいことがあるんだけど……」
岡部「………」
紅莉栖「ちょっと聞いてる?」
岡部「明けましておめでとう。来てくれてたんだな」
紅莉栖「あ、おめでとうございます……じゃなくて……」
紅莉栖「(岡部の様子もなんだかおかしい……)」
岡部「座っても?」
紅莉栖「え、ええ。どうぞ」
岡部「……」
紅莉栖「(ソファの方に座らないのかしら?)」
岡部「今日は……ぐっ……ハァ……ハァ」
紅莉栖「ちょっと大丈夫!?」
岡部「すまない。水をもらえるか……」
キュッ ジャー
紅莉栖「はい」
岡部「んぐ、んぐ。ふー」
紅莉栖「(SSRI……どうして、岡部が抗不安薬を……)」
岡部「ハァ……ハァ……すまない……やっぱり今日は帰るよ」
紅莉栖「ちょっと待って! あんた何か知ってるの?」
岡部「何か?……何かも何もないだろっ」
紅莉栖「え?」
岡部「……」
ガチャ バン
紅莉栖「どういうことなのよ……」
*
紅莉栖「(岡部が出て行った後、ラボにいては得られる情報がないと判断した私は外に出た)」
紅莉栖「(そこで私は自分の記憶と大きな齟齬を見つけた)」
紅莉栖「ビルの一階に何もない。ここって『マッスル膨膨』だったわよね。移転でもしたのかしら」
「牧瀬氏?」
紅莉栖「橋田?」
ダル「お、やっぱり牧瀬氏か」
紅莉栖「(よかった、知り合いに会えた。橋田は……変わりないわね。)」
紅莉栖「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
ダル「じゃあさ、メイクイーンでいいかお?」
ダル「さっきまでるか氏とフェイリスたんといたんだけど、オカリンを見かけたって聞いて出てきたんだよね」
紅莉栖「そうね。岡部についても聞きたいしいいわ」
*
メイクイーン
フェイリス「おかえりニャさいませご主人様」
紅莉栖「久しぶりね。フェイリスさん、漆原さん」
フェイリス「クーニャン……半年振りだニャン」
るか「ご無沙汰してます。牧瀬さん」
紅莉栖「(二人についても記憶との違いはなし)」
ダル「それで牧瀬氏どしたん? オカリンについて聞きたいって」
紅莉栖「そうね……笑わないで聞いてほしいんだけど」
紅莉栖「さっきまで私アメリカにいたの」
ダル「ん?」
フェイリス「ニャ?」
るか「え?」
紅莉栖「頭痛がしたと思ったら急にラボにいて、岡部がきたと思ったら様子がおかしくて……」
るか「頭痛がしたって……大丈夫なんですか?」
紅莉栖「うん、今は平気」
ダル「オカリンの様子が変だったってどゆこと」
紅莉栖「全部よ。厨二病じゃないし、季節に関係なく白衣着てたくせにイメチェンしてるし、こっちの話しは聞かない……のはいつものことか。
それになによりどうして岡部が薬なんか飲んでるのよ」
ダル「ちょっと待ってほしいお」
ダル「(フェイリスたん)」ボソッ
ダル「(どう思うお? 牧瀬氏も精神不安定になっちゃってる?)」
フェイリス「(わからないニャ……ただクーニャンが嘘をついている様子はないニャ)」
るか「(頭痛がしたってことが何か影響してるんじゃないでしょうか?)」
フェイリス「(そうなるとお医者さんに行ってもらうのがいいのかもしれないニャ)」
紅莉栖「そういえば、今日はまゆりは厨房? それとも荷物運びでもしてるのかしら?」
バン
ダル「フェイリスたんごめん。牧瀬氏ちょっと」
紅莉栖「?」
*
ダル「いくらなんでも言っていいことと、悪いことがあるんジャマイカ?」
紅莉栖「なんのことよ?」
ダル「牧瀬氏が悪いわけじゃないのはわかってる。選んだのはオカリンだ。でも、それでも牧瀬氏はあんなこと言っちゃダメだろ……!」
紅莉栖「私が冗談を言っているように見える?」
ダル「(牧瀬氏までおかしくなっちゃったのかお……)」
紅莉栖「?」
ダル「牧瀬氏。落ち着いて聞いてほしいお。まゆ氏は……」
「死んだ」
*
紅莉栖「(違和感の正体がわかった)」
紅莉栖「(どうやら私は元いた世界から別の世界へときたらしい)」
紅莉栖「(過去にDメールの実験を行ったときに岡部が言っていた)」
紅莉栖「(リーディングシュタイナー。世界線が変動したときに本来再構成されるはずの記憶を保持し続ける能力)」
紅莉栖「(なぜ、それを私が発現したのかはわからない)」
紅莉栖「(けれど、今私の身に起きている現象を説明するにはこの解が納得いく)」
紅莉栖「(変動の原因はわからない)」
紅莉栖「(起きた事象はまゆりの死)」
紅莉栖「(どうして? たしかに人はいつか死ぬものだけれど、“あの”まゆりが死ぬなんて)」
*
紅莉栖「寒いわね」
紅莉栖「(疑問ばかりが浮かんできて、解が導けない)」
岡部「風邪ひくぞ」
紅莉栖「岡部? どうしてここが。あっ」
岡部「そうだ、GPSだ。ダルから連絡をもらってな。お前がここにいると」
紅莉栖「私が……自分で入れたのね?」
岡部「……お前は、やはりそうなのか? いつ気づいた?」
紅莉栖「ついさっき橋田に怒られて」
紅莉栖「私は夢や脳のエラーのようなものを疑っていたけど、過去のあんたが言ったことを思い出して気づいた」
紅莉栖「つまり」
紅莉栖「私は別の世界線から来た牧瀬紅莉栖よ」
*
岡部「ということだ」
紅莉栖「辛いことを話させてしまったわね」
岡部「紅莉栖、お前はアメリカに帰れ」
紅莉栖「え?」
岡部「変動の原因はわからないのだろう? なぜか俺にリーディングシュタイナーが発現していない以上俺にもわからない。
元の世界には……お前の知っている世界にはもう帰れない」
岡部「この世界線のお前は、ラボのことを気にかけて帰ってきてくれていたみたいだが、今のお前にはそうする理由もない」
岡部「お前は将来を有望視されているんだ。こんなところにいるべきじゃない」
岡部「夢や脳のエラーだといったな? そうだ、お前にとってここは夢の世界なんだ」
岡部「だから俺たちのことは忘れて研究にうちこ……」
パシン
紅莉栖「……」
紅莉栖「勝手に決めつけるな。私の話しを聞け」
紅莉栖「(大体なによ、こっちの世界線では素直に名前を呼んでくれるなんて)」
紅莉栖「私のいた世界線には戻れない? 原因がわからない以上たしかにそうよ」
紅莉栖「けれど、その世界を岡部は知っている?」
岡部「知るわけないだろう」
紅莉栖「私の世界線ではまゆりは生きている」
岡部「!?」
岡部「どう……して」
紅莉栖「だから岡部。まゆりを救うわよ」
*
紅莉栖「まず、私の世界線とこの世界線の違いね。それはまゆりの死の有無」
岡部「お前の世界線ではラウンダーは来なかったのか?」
紅莉栖「ラウンダー? ああ、それならまゆりが倒したわ」
岡部「は?」
紅莉栖「だから、倒した。ついでにSERNも300人なんたらもストラトフォーも。
タイムリープマシンを狙うありとあらゆる組織を」
岡部「誰が?」
紅莉栖「まゆりが」
岡部「どうやって?」
紅莉栖「筋肉で。あなたが言っていたわよ。
“まゆりのスターダストシェイクハンドは頼もしいな”って」
岡部「いや、いやちょっと待て。倒した? え? 鈴羽は?」
紅莉栖「鈴羽? 誰よそれ」
岡部「誰って……ダルの娘で……」
紅莉栖「え? あいつ子どもいるの!?」
岡部「ああ、いや、未来から来たタイムトラベラーだ」
紅莉栖「ハァー? この世界線どうなってるのよ!?」
岡部「それはこっちのセリフだ!」
紅莉栖「ねえ、岡部」
岡部「なんだ?」
紅莉栖「まゆりの写真ある?」
岡部「ないが、フェイリスあたりは持っているだろうから送ってもらおう」
*
岡部「これだ」
紅莉栖「うそ……すごく華奢です……」
岡部「お前の世界線のまゆりはどうなっているのだ?」
紅莉栖「どうって……一言でいうなら“まっちょ”よ」
紅莉栖「あんたたちと知り合ったのも、そもそも私がラジ館で襲われていたところをまゆりが助けてくれたからだし」
岡部「(なんだそれは……)」
紅莉栖「話しが脱線したわね」
紅莉栖「ここまで話せばわかると思うけどまゆりを救う方法。それは……」
「まゆりを“まっちょ”にすることよ」
*
紅莉栖「完成。これがタイムマシン」
岡部「さらっと言っているがなぜ作れる? 俺の知っているお前はこんなもの作れなかったぞ」
紅莉栖「私の世界線ではタイムマシンがほぼ完成していたのよ。
まゆりという抑止力のおかげで世界中の優秀な研究者が集まって純粋に理論の構築を行った」
紅莉栖「足りないものは部品だった」
紅莉栖「でも、さすが秋葉ね。あっちではいくら探してもなかったし、作れなかったのにこっちではあっさり見つけられた。
これも世界線の影響かしら」
紅莉栖「さて……何年に跳ぶ?」
岡部「俺に聞かれても……」
紅莉栖「まゆりは“まっちょ”な理由を語ってくれなかった」
紅莉栖「けれど、あんなに……ナイフを折り、銃を握りつぶし、バナナをゲル状にする。
そんな尋常なこと長年の鍛錬がないとできないはずよ」
紅莉栖「だからといって、そうなったトリガーがわからない以上デタラメに跳んでもおそらく失敗する」
紅莉栖「強烈な感情を伴った記憶は海馬に忘却されにくい。“人間は根源的に時間的存在である”。
これは私の持論だけど思いは世界線を越える」
紅莉栖「つまり“まっちょ”になりうるトリガーはきっとあなたでもわかる」
紅莉栖「だから岡部、あなたが考えるの。せいぜい一年の付き合いの私だと入り込めない領域に」
岡部「デタラメだな……色々と」
紅莉栖「私自身正直混乱している」
岡部「一つだけ聞かせてくれ」
紅莉栖「何?」
岡部「そっちのまゆりは幸せそうだったか?」
紅莉栖「さあね。けどいつもにこにこしてたわ」
岡部「そうか……よし2005年に跳ぶぞ」
紅莉栖「理由は?」
岡部「俺が鳳凰院凶真になった年だ」
*
岡部「紅莉栖、お前は過去の俺を引き留めておいてくれないか? 通る場所は記憶している。方法はお前に任せる」
紅莉栖「いいけど、あんたはどうするのよ?」
岡部「決まっているだろう? まゆりを“まっちょ”にしてくる」
紅莉栖「簡単に言ってくれるじゃない……いいわ」
*
紅莉栖「さて、過去の岡部はここにいれば通るらしいけど……私わかるかな?」
タッタッタ
過去岡部「ハァ……ハァ……」
紅莉栖「(この子だ。絶対そう。間違いない。このころからイケメソなんて反則じゃない!?)」
紅莉栖「ねえ、ちょっと」
過去岡部「はい?」
紅莉栖「あーその道に迷ってしまってね。案内してほしいんだけど」
*
岡部「まゆり……いた!」
過去まゆり「……」
岡部「まゆり!!」
過去まゆり「……」
岡部「俺だ! 岡部だ! 岡部倫太郎だ」
過去まゆり「……」
岡部「まゆり頼む、何も聞かずにこのプロテインを飲んで筋トレしてくれ……!」
過去まゆり「……」
*
タイムマシン内
岡部「その後、戦略的撤退をしてきた」
紅莉栖「馬鹿じゃないの」
紅莉栖「もう一度跳びなおすわよ」
*
岡部「こんにちは、お嬢さん。落ち込んでいるのかい? 俺の作ったこれを飲めば元気がでてくるよ」
紅莉栖「もう一度」
*
岡部「通りすがりのマッドサイエンティストだ。小娘よ、この俺手製の知的飲料を飲むがいい」
紅莉栖「もう一度」
*
岡部「(レンブラント光線! 今だ!)」
ガバッ
岡部「連れてなんていかせない……」
岡部「俺はお前の……立派な筋肉がみたいんだ……」
過去まゆり「あなたは……誰ですか?」
紅莉栖「通報しかけた」
*
岡部「おばあちゃんの知り合いなんだ。生前おばあちゃんが飲んでいたプロテインなんだけどまゆりちゃんも飲んでみない?」
紅莉栖「故人をダシにするな」
*
岡部「Hey! Mayuri! This drink very nice! Let’s enjoy!」
紅莉栖「Okabe is an air head!」
*
岡部(無言でチェストポーズ)
紅莉栖「あんたの貧弱な体でやっても気持ち悪いだけ」
岡部「それだ!」
紅莉栖「は?」
岡部「俺の体じゃ駄目だ。いい加減俺たちは限界に気づくべきだった」
紅莉栖「いやいや、あんたの方法が悪いだけでしょ」
岡部「このままでは大きな世界線変動は見込めない。ここは初心に返ってDメールによる過去改変を行うべきだ」
紅莉栖「Dメールって……あんたたち二人とも携帯もポケベルもないでしょうが」
岡部「ああ、だが俺たちに影響を与えることはできるぞ」
紅莉栖「どうやって?」
岡部「とりあえず一度未来に帰ろう。そこで説明する」
*
紅莉栖「それでどんなメールを誰に送るのよ?」
岡部「ああ、その前にお前には電話レンジ(仮)を作ってもらうぞ」
ガチャ
ダル「それならもうあるお」
紅莉栖「橋田!?」
岡部「俺が呼んでおいたのだ」
ダル「まったく久しぶりにオカリンと連絡とれたと思ったらいきなり“ラボに集合”なんていうからビックリしたお」
岡部「よく来てくれた。ってダル今、お前なんて言った?」
ダル「だから電話レンジは既にあるお」
ダル「牧瀬氏と。あ、この世界線の牧瀬氏とこっそり作ってた」
紅莉栖「もしかして私が世界線変動したときにラボにいた理由って」
ダル「電話レンジ(仮)のメンテか何かをやってたと思われ」
ダル「つっても僕もまゆ氏が死んでからはラボにはあまり来なかったから、もしかしたら別の理由かも」
紅莉栖「そう、こっちの私も諦めていなかったのね……」
ダル「ま、それはいいっしょ。それと牧瀬氏、あの時は怒ってごめん」
紅莉栖「別にいいわよ。私も橋田の立場なら怒ってる」
ダル「それでオカリン僕は何をすればいい?」
岡部「ああ、お前にはハッキングを仕掛けてもらう」
紅莉栖「橋田を呼んだからそうだとは思ったけど、どこに?」
岡部「俺が鳳凰院凶真になった日のことは先ほど説明したな?」
紅莉栖「ええ……特撮ドラマの敵の真似をしてたら今はこんな残念なことになったんでしょ」
岡部「残念は余計だ。とにかく今の俺ではまゆりに届かない。過去の俺になんとかしてもらう」
岡部「つまりだ。特撮ドラマの内容を変える」
ダル「変えるってどうやるん?」
岡部「ダルよ。ドラマの脚本家や監督、その他関係者の当時の連絡先を割り出せ。そこにDメールを送る」
ダル「あ、そゆこと。でも脚本家だけでよくね? 複数送れないんだし」
岡部「保険だ。脚本家に送れば成功するとは限らん」
岡部「紅莉栖は、メールの文面を頼む。俺よりも説得力のある文面を書けるだろうからな」
紅莉栖「あんたはどうするのよ?」
岡部「このテンションは久しぶりだ。少し休ませてくれ……」
ダル「オカリン無茶しやがって……」
*
岡部「よし、じゃあ送るぞ」
ポチッ
紅莉栖「っく……またこの頭痛……ってことは」
キョロキョロ
岡部「どうした? 紅莉栖?」ムキーン
紅莉栖「あ、ああ……岡部…その筋肉は……」
岡部「これか? これは俺の自慢の大胸筋だ。前にも見せたがな、見てろよ……ほら、ドクペが挟めるんだ」
ダル「オカリンの18番きたああああああああああああ」
紅莉栖「そうだ! まゆり! まゆりは!?」
岡部「だから今、そのまゆりを救うためにどうするか考えているとこだろう」
*
紅莉栖「(あの世界線はなかったことにした)」
紅莉栖「(メールを取り消し、タイムリープマシンを使うことでとりあえずの振りだしへと帰ってきた)」
紅莉栖「岡部。次はドラマの監督に送るわね」
岡部「次? まずは脚本家ではないか? まさか、お前タイムリープを?」
紅莉栖「そのまさか。それにあなたにはリーディングシュタイナーは発現しなかったみたい」
岡部「そうか…それなら仕方ない」
紅莉栖「じゃあ、送るわ」
ポチッ
*
紅莉栖「世界線は変動したわね……ってなにこれえええええええええええええ」ムキーン
岡部「うおっ、ど、どうしました? 牧瀬さん?」
紅莉栖「どうしたもこうしたも私の体! なんでこんなムキムキなのよ!?」
ダル「牧瀬氏の上腕二頭筋ハァハァ……」ムキーン
紅莉栖「橋田もムキムキだし!!」
紅莉栖「一応、聞くわ。まゆりは?」
岡部「そのまゆりを助けるために……」
*
紅莉栖「さすがに受け入れられない。体は軽いし、バストは大きくなってたけどデメリットが大きすぎる」
岡部「ブツブツ呟いてどうした? まさか、タイムリープか?」
紅莉栖「そうよ、次は関係者ね」
ポチッ
紅莉栖「なんで私たち以外がムキムキになるのよ!!」
ポチッ
紅莉栖「ドアや椅子や服が軒並み重くなってる!」
岡部「日常でトレーニングだな」
ポチッ
岡部「見ろ、紅莉栖! かめは〇波」ゴウッ
紅莉栖「昔のまゆりの通常技ね」
ポチッ
紅莉栖「オカベエエエエエエエエエエ。そいつをよこせえええええええええええ!」
岡部「今日はこの辺で勘弁しといてやる。ダル、サンボ精算しておけよ」
ポチッ
紅莉栖「私たちは政府や誰かの道具じゃない。
理論を構築することでしか自分を表現できなかったけど、いつも自分の意志で論破してきた」
岡部「待たせたな」
ポチッ
紅莉栖「ハァ……ハァ…」
紅莉栖「駄目ね。どうしてもまゆりが死んでしまう……」
紅莉栖「どうして!? なぜこれだけの事象が起こっていてまゆりの死へと収束してしまうの!?」
岡部「なあ、紅莉栖。もう、やめにしないか?」
紅莉栖「やめるって……」
岡部「俺もまゆりが死んだ夏に散々試したんだ。まゆりの死は回避できない。これは世界によって決められている」
岡部「人間が神に逆らってはいけないんだ」
紅莉栖「何をいって……」
岡部「とにかく、相当数タイムリープしてきたのは見ればわかる。お前まで俺のようになるのは見てられない。
一度ここでやめて解散しよう」
ダル「僕も賛成。牧瀬氏、せっかくの美人が台無しだお」
*
中鉢『なぜお前は優秀なのだ!?』
まっちょしぃ『Too true. Mad, your seed is death(全く嘆かわしいことだ。狂科学者よ、君の希望は此処で潰える)』
ラウンダー『全員手を上げろ』
まっちょしぃ『ねえねえラウンダーさん。あそこにゲルバナあるでしょ~?』
まっちょしぃ『数分後の貴様らの姿だ』
まっちょしぃ『紅莉栖ちゃん怪我してない? 大丈夫、安心して。
悪い人は全員“スターダストシェイクハンド”(星屑の握撃)しておいたから!』
紅莉栖「まゆり……」グスッ
紅莉栖「絶対に救ってみせる」
*
紅莉栖「岡部、私本当は気づいてる」
岡部「なに?」
紅莉栖「(一度最初の世界線変動時に立ち返って考えた)」
紅莉栖「(考えていくうちに引っ掛かりがあった)」
紅莉栖「(どうして私と橋田で内密に電話レンジ(仮)を作り上げた?)」
紅莉栖「(橋田に聞いてみると“今の牧瀬氏には僕の口からは言えないお”と答えた)」
紅莉栖「(これは他の誰かからでも答えは聞けると解釈できる)」
紅莉栖「(誰か。これは岡部ではないか? そう考えてカマをかける)」
紅莉栖「推論を重ねて辿りついた。けどこの言葉は岡部の口から聞きたい」
岡部「覚悟はできてるんだな?」
紅莉栖「(きたっ!)」
紅莉栖「ええ」
岡部「……そうか。紅莉栖、まゆりを救うと」
「お前が死ぬ」
書き溜めここまで。地の文がない省エネssだから早めに完結させます。
*
岡部「(二度目の死亡宣告。フラッシュバックする。血だまりに倒れている紅莉栖。救急車で運ばれるまゆり。)」
岡部「(紅莉栖を選択した自分自身。まゆりを救えなかった罪の意識)」
岡部「(俺は……いや、紅莉栖は……きっと夏と同じ結論を弾き出す)」
岡部「(どうしてだ? なぜ俺は死を伝えた?
シラを切りとおせば……このまま紅莉栖とまゆりを救うフリをして何度も失敗していればよかった)」
岡部「っ……何を考えているんだ俺は……」
岡部「(世界の意志には勝てない。まゆりは救えない。特例は紅莉栖の死)」
岡部「結局、こうなるのかよ……」
*
紅莉栖「自分が死ぬ……か」
紅莉栖「(でも、それは岡部の主観。世界線が変動した瞬間、ここにいる岡部の意識だけが再構成されるかもしれない)」
紅莉栖「(もしくは、岡部だけが消えて、私たちはそれを知らないまま日常を過ごすかもしれない)」
紅莉栖「(もし岡部が私の確定的な死を観測していないなら、ただ私と岡部が絶対にお互いを認識できない世界になるのかもしれない)」
紅莉栖「(今、この場にいる私が意識だけで、どこか高次元の領域から世界を観測し続けられるかもしれない)」
紅莉栖「(私だけが人間がいなくなったこの世界に取り残されるかもしれない)」
紅莉栖「(もともとの私はこの世界線の住人ではない。だからもとの世界線に帰られるかもしれない)」
紅莉栖「かもしれないばかりね……」
紅莉栖「(絶望的な気分になる。どれも証明は不可能。論理的ですらない。でも答えは決まっている)」
紅莉栖「まゆりを救う」
*
ラボ
岡部「ん……」
岡部「今は……何時だ……」
紅莉栖「12時よ。正確には12時34分」
岡部「紅莉栖……来て、いたのか……」
紅莉栖「岡部、単刀直入に言う。私はDメールを送る」
紅莉栖「これは決定事項。まゆりを救うための内容は橋田に聞いた」
紅莉栖「質問はある?」
岡部「……」
岡部「なぜ平然と言いきれる?」
紅莉栖「私は一度、いえ何度もまゆりに救われた」
紅莉栖「物理的な話しじゃない。彼女の性格によ」
紅莉栖「知ってる? 私のいる世界線ではあの子を一番傷つけていたのは私だった」
岡部「な……に?」
紅莉栖「勘違いしないで。私が一番襲われたって話しよ」
紅莉栖「襲撃の度に傷つくあの子をみて、あの子の重荷になっていたのがずっと嫌だった」
紅莉栖「いくら肉体的に強くてもやっぱりまゆりは女の子なの。
私にはそんな素振りみせなかったけど、私には拳を振るうあの子の後ろ姿がとても寂し気にみえた」
紅莉栖「だけどこの世界線に来てやっと恩が返せる」
紅莉栖「これって素晴らしいことじゃない?」
岡部「人の死が素晴らしいものなどあるものか……」
紅莉栖「岡部。私は死なない」
紅莉栖「私のいた世界線のまゆりが今、私の中で生きているように、岡部や橋田の中で私は生き続ける」
岡部「だからお前は、そんな自殺まがいのことを選択できると?」
紅莉栖「岡部、私は信じてる。私とまゆりが生きている世界線があった以上あなたはきっとその世界線に辿り着ける」
紅莉栖「けれどそれはここじゃ不可能。それは私自身、あなた自身が身をもって経験した」
岡部「俺が失敗したら……」
紅莉栖「鳳凰院凶真! あなたに最終ミッションを与える!」
紅莉栖「まゆりを救い、私が生きている世界線に辿り着け」
紅莉栖「失敗なんてしたら許さない……んだから」
岡部「紅莉栖、待て! 送るな!」
紅莉栖「もう遅い、いい? ここからはきっとあなたの物語よ」
紅莉栖「私は少し眠るだけ。だからいつかきっと起こしにきて」
一応完結です
乙
前シュタゲss書いてた?
>>38
紅莉栖「既成概念のメタフィクション」
上記のタイトルで書いていました。
このSSまとめへのコメント
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