【モバマス】向井拓海「Runaway」 (17)

夏樹「拓海~、確か明日、休みだったよな。天気も良さそうだし、ひとっ走りしないか?」

拓海「ゴメン、パス。明日はちょっと野暮用があるんだ。」

夏樹「なんだ、珍しいな。男か?」

拓海「そんなんじゃねーよ。ちょっと、昔のダチに会いに、な。」

夏樹「そっか、じゃあ仕方ないな。そのダチによろしく伝えておいてくれよ。」

拓海「あぁ、わりぃな。」

夏樹「なに、いいって。じゃ~な。」ヒラヒラ

拓海「・・・・ふぅ・・・」

拓海「屋上、行くか。」



<屋上>



拓海「ここなら誰もいね~だろ。」ガチャ

P「ん?あぁ、拓海か。どうした、こんなところで。」

拓海「なんだ、先客がいたのかよ。ま、アンタならいいや。」

P「・・・・・あれから、●年か。」

拓海「・・・・・。」




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≪P回想≫

<●年前 裏路地>

P(どこかに、こう、ガツンと来るものを持った奴はいね~かな。)

P(とりあえず、コーヒーでも飲んで一息つくか。)

少女A「・・・ねぇ、オッサン。」

P「あ?」

少女A「アタシと、イイコトしない?」

少女A「いつもは2だけど、オッサン、なかなかイケてるからイチゴでいいよ。」

P(売り、か?向こうの陰に同じ位の少女が二人、と。・・・恐喝だな。)

P(ん・・・でも、しっかりした声だな。こりゃあ結構トレーニングしてるぞ。)

P(ルックスも、なかなかじゃないか。だが、イマイチ何かが足りない。)

P(・・・ちょっと話をしてみるか。)

少女A「ねぇ、どうすんのさ?」イラ

P「あぁ、ちょっと、話をしないか?」

少女A「なんだよ。お説教ならゴメンだよ。」

P「そんなんじゃねーよ。人様に説教できるほど、大した生き方もしてねーしな。」

P「ほら、何か買いな。」

少女A「・・・どうも。」

P(なんだ、割とちゃんとしてるじゃないか。)

少女A「で、話って、何?」

P「君、ボーカルトレーニングか何か、してる?」

少女A「・・・・オッサンには関係ない。」

P「そうか。実はこういうモンでな。」つ【名刺】

少女A「プロデューサー?アンタが?」

P「ま、一応、そんな肩書もあるわな。」

少女A「ふーん。」



<少し離れたところ>

少女B「エミのやつ、何してるのさ。」ヒソヒソ

少女C「早くホテルに連れていけよ。乗り込めないじゃない。」ヒソヒソ

少女B「こんなところ、拓海さんにでも見つかったら・・・」

拓海「アタシに見つかったら、何だって?」

少女C「ゲ、拓海さん!!」

拓海「さぁ、洗いざらい、吐いてもらおうか。」

少女B・C「スミマセンシター!!!」

少女B「実は・・・・」アーデコーデ

拓海「エミがあのオッサンをホテルに誘って、現場を押さえて恐喝だぁ?」

拓海「何やってんだ、テメーら!!」ゴン!ゴン!

拓海「コラ!エミ、何やってんだ!!」

エミ「わ!拓海さん!!」

P「ん?飼い主か?」

P(!!!!!!!!)

P(このドッシリとしたオーラ。ビリビリとした空気。)

P(コイツは、思わぬ拾い物かもしれんぞ。)

拓海「アンタ、やめときな。コイツらが・・・」

P「後から乗り込んできて写真を撮る。それをネタに恐喝、だろ?」

拓海「なんだ、気付いていたのか。」

P「やるなら、もっとうまくやるんだな。」

P「それに、仲間をダシにしてってのは良くねーよ。」

拓海「全くだ。」

拓海「じゃあ、な。」

P「ちょっと待った!拓海といったな?君もちょっと一緒に話を聞いてくれないか?」

拓海「あぁ?なんだよ。」

P「実はな、俺はこういうモンなんだが・・・」つ【名刺】

拓海「アイドル・プロデューサー?で?」

P「単刀直入に言おう。拓海と、え~と、エミか。君達、アイドルに興味ないか?」

拓海「ねーよ。」

エミ「・・・・・」

拓海「用はそれだけか?」

P「なぁ、少しは考えて・・・」

拓海「うるせぇ。気付いていて通報しなかった分、多めにみてやる。」

P「・・・そうか。悪かったな。」

拓海「・・・フン。オラ、行くぞ。」

エミ「・・・・・」

P(拓海って子はまだしも、あのエミって子は脈ありかな?)

P(名刺も一応しまっていたし。)

P(ここらが彼女らの縄張りか。)

<数日後>

Pの携帯「PPPPPPPPPP」【公衆電話】

P「はい、もしもし。あぁ、君か。」

エミ「あの、先日は、ゴメンナサイ。で、できれば、あの話、もう少し詳しく・・・」

P「お、良いよ。じゃあ、●×駅前に△□時に待ち合わせで、いい?」

エミ「はい。お願いします。」

P「・・・ふむ。」



<駅前>

P「・・・お、来た来た。どうやら、一人だな。」

エミ「お待たせして、すみません。」

P「いや、大丈夫。それより、電話くれて、ありがとう。」

エミ「・・・・私、ホントは音楽、やりたいんです。」

P「・・・そこの喫茶店ででも、話そうか。」

エミ「はい。」




拓海「ん?あそこにいるのは・・・あんのヤロー・・・・」


<喫茶店>カランカラン♪ イラッシャイマセー

P「さてっと、何頼む?」

エミ「あ、お構いなく・・・」

P「そうもいかんだろ。それに、何か食べた方がいい。どうせまともに食べてないんだろ?」

エミ「・・・・・」

P「お金なら問題ない。経費で落とせるさ。」

エミ「じゃあ・・・・」



拓海「オイ、オッサン、何してんだ?」

P「ん?これはこれは。拓海ちゃんではないか。」

拓海「・・・何が『拓海ちゃん』だ、このヤロー。」

拓海「うちのモンに手ぇ出してんじゃねーぞ。」

拓海「オラ、エミ、いくぞ。」

エミ「あ、これは・・・あ・・・」フラフラ・・・・パタリ

拓海「オイ!エミ!!しっかりしろ!」

P「ちょっとどいて。・・・・こりゃあ貧血だな。どこか休めるところ、知らないか?」

拓海「アンタ、わかるのか?」

P「これくらいのことは出来なくちゃ、プロデューサーなんてやってらんねーんだよ。」

拓海「・・・・頼む。」

P「任せろ。」

拓海「こっちだ。」

<拓海達のアジト 廃ビル>

P「ほー。割と綺麗にしてるんだな。」

拓海「・・・・」

P「足をあげて、頭を下げて寝かせておけば、しばらくしたら良くなるさ。」

P(ゴミにあったのはカップ麺とお菓子の袋。)

P(それもかなりの量。)

P(もしかしたら、帰ってないんじゃないか?)

P「さて、気が付くまでに俺はちょっと食材を調達してくる。」

拓海「そこまでしてもらう筋合いねーよ。」

P「お前にはなくても、こっちにはあるんでね。」




P「おそらく全部で4人。これくらいで十分か。」

P「今は火を使うのもうるさいからな。あとはカセットコンロを持って・・・」



P「戻ったぞ~。お、気付いたか。」

エミ「・・・拓海さん、これは?」

拓海「コイツが倒れたエミを運んで、看てくれたのさ。」

エミ「・・・スミマセン。」

P「なに、良いって。それより、起きられるか?ゼリーでも腹に入れといた方がいい。」

エミ「・・・どうも。」

P「じゃあ、その間に飯を作るか。ゆっくり休んどけ。」

エミ「・・・はい。」

P「まともに食ってない時は、おじやが一番~♪」

拓海「・・・なぁ。」

P「ん?どうした?」

拓海「なんで、何も訊かないんだ?」

P「誰しも、話したくないことの十や二十はあんだろ?」

拓海「・・・・」

拓海「エミが倒れたのは、アタシの責任だ。」

拓海「アタシが、もっとしっかりしていれば・・・」

P「・・・拓海、さ。アンタ、まだ高校生だろ?」

拓海「だから何だよ。」

P「・・・十分、良くやってるよ。」

P「どうせ、あの時のメンバー全員、一人で面倒見てるんだろ。」

P「彼女たちはおそらく中学位だ。バイトなんか出来ない。」

P「だから、あぁやって売春に見せかけた恐喝やらなにやらで稼ごうとする。」

P「でも、リーダーである拓海は、それを良しとしない。」

P「結果、ここでの出費はほぼ全て、拓海の負担になっている。違うか?」

拓海「・・・・その通りだ。」

P「高校生が稼げる金額なんて、たかが知れてるさ。」

拓海「・・・・エミのやつ、良い声してるだろ?」

P「だな。」

拓海「アイツの親父は一応、音楽家なんだ。」

拓海「でも、売れなくて、両親は離婚。エミはお袋さんに引き取られた。」

拓海「でも、エミは親父さんから教わった歌やピアノが好きで、よく歌ってくれるんだ。」

拓海「だけど、お袋さんは、そんなのが嫌いで、塾だの何だのと通わせようとしたのさ。」

拓海「で、耐えきれなくなって、アイツは家を飛び出したってわけ。」

P「なるほど。発声はしっかりしてるのはそのせいか。」

拓海「他にも、親の遊ぶ金のために売られそうになった奴。超エリート一家の落ちこぼれ。」

拓海「ここは、そんな奴の隠れ家なんだよ。」

拓海「アタシだって、大したことはできねーけどさ。」

拓海「前みたいに、取り返しのつかないことに手をだそうとするのを叱ることはできる。」

拓海「それが、今のアタシにできる、精一杯さ。」

P「・・・・・なぁ。お前、本気でアイドル、やらないか?」

拓海「は?」

P「アイドルとはいっても、やることは色々ある。」

P「お前なら、全国にいる、そんな奴らを叱ってやれる。」

P「ラジオで。ライブで。そしてCDで励ましてやれる。」

P「全国の、そんな奴らの先頭に立って、リードしてやれる。」

拓海「・・・・全国の、特攻隊長か・・・悪くないな。」

拓海「・・・・少し、考えさせてくれよ。」

P「ありがとう。」

P「さて、できたぞ。」

拓海「おーーい!飯だぞ!」

少女B「わ!いい匂い!」

少女C「久しぶりにマトモな飯だ!!」

P「エミ、起きられるか?」

エミ「はい。少しフラフラするけど、大丈夫です。」

少女C「拓海さん、これ、どうしたんですか?」

拓海「コイツがな、作らせろって言うから作らせた。」

少女B「めっずらしーー!」

拓海「うるせぇ。ほら、食うぞ。」

エミ・少女B・C「いただきまーす!」

拓海「・・・あ~。あれだ。一応名前くらいは自己紹介してやってくれ。」

エミ「絵美です。」

少女B「百合子」

少女C「樹里」

拓海「今、ここに来るのはこの3人だ。」

P「おう。Pだ。よろしく。」

百合子「飯、ありがとうございます。」

P「なに、俺がやりたくてやっただけだ。気にすんな。」

P(みんな、すごく良い子じゃないか。)


~食後~

拓海「なぁ、絵美、何か歌ってくれよ。」

絵美「はい。じゃあ・・・」

♪Fly me to the moon~and let me play among the stars ♪

P「・・・ピアノなんか、あるんだな。」

拓海「元ホテルかなんかだったんだな。置いてあった。」

P「調律はひどいモンだけど・・・いい演奏だ。」

拓海「だろ?アタシは音楽はわからねーけど、絵美の歌が最高だってことはわかる。」ニカッ

P「本当に、惜しいな・・・」

拓海「絵美こそ、アイドルに向いてるんじゃないか?」

P「うむ。良い線は行ってるんだが、少し足りないんだよな。」

拓海「それを何とかするのがアンタの仕事だろーが。」

P「それもそうだな。」


<数日後 事務所>

フェイフェイ「ミンナ、デキタヨー。今日は小籠包ネ。」

P「おぉ!また美味しそうだ!」

フェイフェイ「お茶も入ってるヨ。」

桃華「フェイフェイさんのお茶ですか?」

フェイフェイ「この前帰った時に買ってきたネ。ジャスミン茶ヨ。」

P「おぉ~。カップの中で花が咲いているようだ。」

ありす「凄いです・・・」キラキラ

フェイフェイ「さ、冷めないうちに食べて食べて~。」

P「では・・・・ん、うまい!!」

梨沙「いただきます・・・アチ!」

P「気をつけろ~(笑)」

梨沙「先に言いなさいよね!」

桃華「お茶も、いい香りですわね。」

ありす「・・・・」

P「イチゴソースかけたりするなよ。」

ありす「そ、そんなこと・・・」

フェイフェイ ジーーーー

ありす「・・・はい。」

P「もう一つ。うん、うまい。」

P「・・・・・・・・・・・・・」

フェイフェイ「Pさん?どうかしたか?」

P「ん、いや、ちょっと思い出したことがあってな。実は先日・・・・・」




桃華「そのようなことがあったのですか。」

フェイフェイ「日本にも、そういう女の子がいるの、ビックリネ。」

P「香港でもあるのか?」

フェイフェイ「ん~~。残念ながら、ないとは言えないネ。中国行くと、沢山いるヨ。」

ありす「なんだか、心苦しいですね。ここは私がひとつ・・・」

梨沙「イチゴパスタは禁止!それに、そんなことしても、解決にはならないわよ。」

P「そうだな。彼女たちの生活環境そのものを、大きく変えなくてはな。」

フェイフェイ「・・・・・・もしかしたら・・・・」

フェイフェイ「もしかしたら、お婆様が手を貸してくださるかも知れないネ。」

P「フェイフェイ?」

フェイフェイ「この前帰ったとき、お婆様と話したネ。」

フェイフェイ「その時、そういう子たちのことが出てきたヨ。」

フェイフェイ「お婆様、ひどく心を痛めてたネ。機会があれば、何かしたい言ってたヨ。」

P「マジか?」

フェイフェイ「こういうことで嘘つかないヨ。」

P「楊家が動くとなると、相当力強いぞ。」

桃華「フェイフェイさんだけではないですわよ。」

桃華「その話、おそらくお爺様も乗るのではないかしら?」

梨沙「ホント、ここの事務所の経済力にはあきれるわ・・・」

P「・・・・凄いことになりそうだ。ヨシ、ちょっと企画を考えてくる。」

フェイフェイ「それと、フェイフェイも炊き出し行きたいネ。」

P「そうだな。根本解決にはならなくても、腹を満たすことはできる。」

P「まとまったら、後で話をする。」


<後日>

桃華「それが、この企画・・・」

フェイフェイ「これは、凄いネ・・・。」

P「既に関係する方々には話をして、了承を得ている。」

桃華「わかりましたわ。Pちゃまのお願いとあらば、この桃華、絶対に通してみせます!」

フェイフェイ「フェイフェイも、任されたネ。」

P「頼んだぞ、二人とも。」

<さらに数週間後>

桃華祖父「さて、P殿、お話しは桃華から聞きました。」

フェイフェイ祖母「私も、孫から伺いました。」

桃華祖父「まとめると、その少女達のうち、拓海君と、絵美君はアイドルとしてスカウト。」

桃華祖父「後の二人は及川牧場にて預かり、働いてもらう。」

桃華祖父「その代わり、食事と生活の場を提供。学校へもそこから通う。」

桃華祖父「私達には、その育英資金を出してほしい、ということで良いかな?」

P「はい。その通りです。」

フェイフェイ祖母「高校、さらには大学となると、それなりに資金も必要になりますね。」

P「はい。それに、この企画はこの二人だけではなく、後々も継続していきたいと思っています。」

フェイフェイ祖母「わかりました。私の答えは既に決まっています。やりましょう。」

桃華祖父「儂も、決まっておる。是非、協力させてほしい。」

P「本当ですか!?」

桃華祖父「桃華には、あの年になるまで随分と淋しい思いもさせたと思う。」

桃華祖父「その娘たちも、淋しい思いをしておるのじゃろう。これは儂の、ほんの罪滅ぼしじゃ。」

フェイフェイ祖母「女性の教育は、現在、世界中が協力し合って推進すべき課題です。」

フェイフェイ祖母「そして、人材の育成は会社だけでなく、地域社会や国、さらには世界をも左右します。」

フェイフェイ祖母「これはビジネスとしても、非常に有意義なものです。」

フェイフェイ祖母「エリートではなく、痛みや苦しみを知る者こそが、人の上に立つにふさわしい。」

フェイフェイ祖母「そういった人材を育て、導くことは未来の人材育成になります。」

桃華祖父「うむ。全くもって、その通り。」

桃華祖父「それに、待っている間のお茶菓子も絶品であった。」

桃華祖父「あれは及川牧場のものを使っているのであろう?」

P「はい、やはりお気付きでしたか。」

桃華祖父「非常に優しい味がした。このような所であれば、その娘たちの心も癒せるであろう。」

桃華祖父「それと、岩手にある桜井の運営するホテルに、及川牧場から仕入れるように手配しておく。」

P「ありがとうございます!」

フェイフェイ祖母「あら、先を越されてしまいました。」

フェイフェイ祖母「わが社でも、商品を買いたいと思っていたのですが・・・」

P「え~と、そちらの詳しい話は、こちら、牧場の連絡先になりますので・・・あ、そうだ。」

P「ppppppppppppp・・・あ、雫?今、どこにいる?事務所?ちょっと会議室に来てくれ。」

P「今、牧場の娘が来ますので、そちらから詳しい話を伺ってください。」

雫「おじゃまします~。」

P「お、雫。こちら、桃華のお爺様。こちら、フェイフェイのお婆様だ。」

P「お二人が、商談をしたいとのことでな、乳量とかのこともあると思うから、頼む。」

雫「え?ということは・・・桜井財閥の会長さん!?」

桃華祖父「いかにも。」

雫「Pさん!ちょっと!私の手にはあまります!」

桃華祖父「なに、どんな飼育をしているか、とか、そんなことで良いのじゃよ。」

雫「それならば・・・」

P「では、私はこの話を本人達にしてきます。その際に、フェイフェイさんをちょっとお借りします。」

フェイフェイ祖母「どうぞ。あの子にもよい経験になるでしょう。」

P「では、失礼いたします。」

<拓海達のアジト>

フェイフェイ「ここが、その基地ネ?」

P「うん。始めは少しビックリすると思うけど、皆、良い子だから大丈夫だよ。」

フェイフェイ「Pさんが言ってるんだから、大丈夫ネ。さ、行くヨ。」

P「向こうからバイクの音がする・・・お~い、拓海。」

拓海「・・・・・」

拓海「お、Pか。それと・・・・こっちは?」

フェイフェイ「フェイフェイダヨ~」

P「香港から来たうちのアイドルだ。話したら、是非、腕を振るいたいって言ってな。」

拓海「もうすぐ、3人とも来る頃なんだが・・・・お、来た来た。」

フェイフェイ「では、準備を始めるよ。調理は・・・このカセットコンロね。」



P「・・・やけに丁寧にメンテナンスしていたじゃないか。」

拓海「今夜、新しいグループと戦争なんだよ。」

P「・・・・それ、中止できねーのか?」

拓海「冗談じゃねー。樹里がこの前、奴らに絡まれたんだ。」

拓海「このまま黙って下がれるか。」

P「・・・・実はな、お前たち全員をまとめて、面倒見れそうなんだよ。」

拓海「・・・なんだって?」




拓海「そうか・・・」

拓海「ま、本人次第だけどな。真っ当な道いけるなら、そっちの方が良いに決まってる。」

拓海「だが、アタシがアイドルやるかどうかは、まだわからない。」

拓海「今は、余計なことは考えたくねーんだ。」

P「わかった。」

<その夜>

P(今頃、ドンパチやってるんだろうなぁ。)

Pの携帯「PPPPPPPPPPPPPPPP」【公衆電話】

P「はい。拓海?どうした!?何?絵美が刺された?今行く!待ってろ!!」

P(まったく・・・何やってんだ・・・)

清良「Pさん?どうしました?」

P「清良さん、ちょうど良かった!一緒に来てください!事情は車で話します。」

清良「???はい。」




P「どうだ!?」

拓海「アタシをかばって・・・絵美のやつ・・・」

清良「!!!これは・・・」

絵美「拓海さん・・・Pさん・・・」

拓海「どうした?」

絵美「私、ステージに立ちたかった・・・もっと歌いたかった・・・」

P「わかった!これから治して、沢山ステージに立つんだ!」

絵美「私の横に・・・・拓海さんがいて・・・私・・・」

拓海「絵美?しっかりしろ!おい!!」



<数日後 現場>

拓海「・・・結局、アタシが一番、取り返しのつかないことをしちまったな。」

拓海「何が、叱ってやれるだよ。」

P「・・・・」

拓海「そのキャンディ・・・絵美が好きだった・・・。」

拓海「よく万引きしてきてよ・・・」

拓海「なぁ、アイドルになってたら、こんなことにならずにすんだか?歌で、何かできたか?」

P「わからない。わからないけど、やれる限りのことを精一杯やるだけさ。」

拓海「・・・・・」

P「おっと、アリが・・・」

拓海「払わないでくれ。」

拓海「絵美は、アリ一匹つぶさないような、優しい奴だった。」

拓海「キャンディをいつもひとかけ、落としていくんだ。」

P「そう、か・・・」

拓海「なぁ、アタシ、アイドルになるよ。」

拓海「絵美の分まで、たくさん歌ってやる。」

P「ミッチリしごいてやる。」

拓海「上等だ。」

P「樹里と百合子は来週、岩手に行く。」

P「二人の学費は当面は桜井の会長とフェイフェイのお婆様が自分達の財布から出してくださるそうだ。」

拓海「二人にかかった分は、ちゃんとツケといてくれ。アタシが一生かかってでも払う。」

P「一生もかけさせるか。」



拓海「・・・・絵美、じゃあな。」



≪回想 終わり≫

<翌日 事件現場>

拓海「・・・・ん?キャンディ?」




拓海「・・・・アノヤロー。」



以上です。ありがとうございました。

打切りじゃないからもう少し欲しいかな

樹里と百合子は他事務所のアイドルと無関係です。念のため。

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