やよい?「うっうー(棒)」 P「……」 (40)

やよい?「……」

P「……」

小鳥「……」

やよい?「お、おはようございます」

P「あ、ああ、おはよう……」

P「ていうか、事務所になにか用事かな、かすみちゃん?」

やよい?「ち、ちがいます! わた……かすみじゃないです!」

やよい?「……かなーって?」

P「いや、無理にやよいの真似しなくても」

やよい?「あぅ……」


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かすみ「で、でもお団子じゃないですよ? ツインテールですよ?」

小鳥「うん、やよいちゃんとお揃いね。とっても似合ってて可愛いわ」

かすみ「ほんとですか! ……あ」

小鳥「ふふ」

P「ははは。亜美と真美なら騙されたかもしれないけど」

かすみ「うぅ、やっぱりお姉ちゃんのフリなんてできないよぉ……」

P「……」

貴音「おや、何事ですか?」

かすみ「ふえっ!?」

P「おう、貴音か。おはよう」

小鳥「貴音ちゃん、おはよう」

貴音「おはようございます、あなた様、小鳥嬢」

かすみ「しじょ……貴音さん? お、おはようございます」

貴音「やよ……い?」

貴音「む……?」ジー

かすみ「あの……?」

貴音「この気配……何者!?」

かすみ「え? えぇ!?」

貴音「姿かたちはやよいを真似ていても、わたくしの目は欺けませんよ!」

P「いや、見ただけでわかるだろ」

かすみ「……」

貴音「……」

かすみ「うっうー(棒)」

貴音「面妖な……!」

P「おいおい、この子はやよいの妹のかすみちゃんだよ」

貴音「なんと?」ジー

かすみ「……」

貴音「おお!」

P「おお、じゃないっての……」

かすみ「あはは……」

 prrrr…prrrr…

小鳥「あ、電話……私が出ますね」

P「お願いします」

P「で、なにがあったんだい、かすみちゃん?」

かすみ「あ、はい……」

 ガチャ

亜美「どうやら作戦失敗のようですなぁ」

真美「うまくいくと思ったんだけどなぁ」

かすみ「うまくできませんでした……ごめんなさい」

P「なるほど、お前たちか」

亜美「亜美たちだけじゃないよ~」

真美「ね~、いおりん」

伊織「ちょっと、私を巻き込まないでよ」

P「おいおい、伊織まで……」

伊織「違うって言ってるでしょ! 私はこんなバカなことやめろって……」

やよい「も~……だからやめようって言ったのに」

P「お、やよいも一緒か」

やよい「あ……おはようございます!」

あみまみ「おっはよー!」

伊織「……おはよう」

P「おう、おはよう」

貴音「おはようございます」

貴音「ふむ、今度は本物のやよいのようですね」

やよい「はい、高槻やよいです!」

P「……」

やよい「プロデューサー?」

P「いや……それより、どういうことか説明してくれるか?」

───

──



真美「ほら、やよいっちってアイドルと学校の他に、家のこともやらなきゃならないっしょ?」

やよい「別に大丈夫だよー。かすみや長介も手伝ってくれるし」

かすみ「でも……お姉ちゃん、私たちのこと全然頼ってくれないでしょ?」

かすみ「いつも自分でやっちゃって……」

やよい「だって、今までそうやってたし……」

伊織「これからも今までと同じように出来ると思う?」

やよい「それは……」

伊織「ほら、自分でもわかってるんでしょ」

やよい「これはうちの問題だよ? そんなこと伊織ちゃんに……」

伊織「なんですって?」

かすみ「お姉ちゃん!」

亜美「うあうあ、いおりんもやよいっちも落ち着いて?」

真美「兄ちゃんもなにか言ってよー!」

P「ああ、話はだいたいわかった」

P「やよいの言うとおり、家事に関しては高槻家の事情だからな……」

伊織「は? だから知らんぷりってわけ?」

P「そんなことは言ってないだろ」

やよい「……」

P「かすみちゃんがやよいのフリをしたのは?」

亜美「入れ替わりでアイドルの仕事すれば、やよいっちも楽になるっしょ?」

真美「真美たちも、兄ちゃんが来る前にやってたことあるし」

P「却下だ」

あみまみ「えー!?」

P「一卵性双生児と一緒にするんじゃない」

亜美「ソーセージってなにさ!?」

真美「なんで食べ物の話になるのさ!?」

伊織「ああもう、あんたたちは黙ってなさい」

あみまみ「ぐぬ……!」

P「もし、やよいと瓜二つだったとしても」

P「候補生ですらないかすみちゃんに、アイドルの仕事なんかさせられるわけないだろ」

あみまみ「う……」

かすみ「ごめんなさい……」

P「いや、こっちの二人に言ってることだから」

あみまみ「ぐぬぬ……!」

P「プロデューサーとして言わせてもらうと、今やよいの仕事を減らすのは難しい」

やよい「はい。もっとたくさんお仕事しないと」

P「もちろん、そうすることもできる」

やよい「それなら」

伊織「無理よ。今だってギリギリでしょ」

やよい「私のことなのに、なんで伊織ちゃんに無理なんてわかるの?」

伊織「ええ! 私にはやよいのことなんてわからないわよ!」

伊織「でも、かすみちゃんや長介にわからないわけないでしょ!」

やよい「……!」

かすみ「伊織さん……」

やよい「だって、私ががんばらないと……」

伊織「ふんっ! 勝手にしなさいよ!」

亜美「ちょっ、いおりん」

やよい「か……勝手にするもん!」

かすみ「もう、お姉ちゃんまで」

伊織「……すぐ戻るわ」

 スタスタ…

やよい「……」

P「亜美、頼んでいいか?」

亜美「ん! いおりんのほうは任せて!」

 タッタッタッ…

真美「やよいっちとかすみんも。こっちにはるるんのクッキーがあるよ」

やよい「あ、うん……」

かすみ「春香さんのクッキーですか? 大好きです!」

真美「いいっしょ、兄ちゃん?」

P「ああ、助かるよ真美」

真美「へへっ、いいって」

やよい「あの……プロデューサー」

P「落ち着いてからまた話そう。な?」

やよい「はい……」

真美「ほらほら、早く来ないと真美が全部食べちゃうよ?」

かすみ「はーい! ほら、お姉ちゃんも」

やよい「うん」

P「ふぅ……」

貴音「よろしいのですか?」

P「ん? ああ」

P「今、外野が口出ししても、話がこじれるだけだからな」

貴音「外野などと……」

P「外野さ。家族関係と友人関係の話だからな」

貴音「それは本心ですか?」

P「どういうことだ?」

貴音「なにか考えがおありなのでしょう?」

P「さあね」

貴音「ふふっ、あなた様はいけずですね」

P「買い被りだ、それは」

貴音「では、そういうことにしておきます」

小鳥「あ、やよいちゃんと真美ちゃん。ちょうどよかった」

やよい「はい?」

真美「どったの、ピヨちゃん?」

小鳥「二人とも、まだ次のイベントの衣装合わせてなかったわよね」

やよい「あ、はい。まだです」

真美「え、もうできてんの?」

小鳥「ええ。サイズは大丈夫だと思うけど、ちょっと着てもらえるかしら」

真美「オッケーオッケー」

やよい「わかりましたー」

かすみ「ライブの衣装ですか? いいなぁ」

やよい「お仕事で着るものだよ」

かすみ「わかってるよー」

真美「……」ニヤッ

小鳥「……」ニヤッ

真美「ねえ、ピヨちゃん?」

小鳥「ふふふ……もちろんわかってるわ」

真美「んっふっふ~」

小鳥「むふふ……」

やよい「?」

小鳥「かすみちゃんも一緒に来てくれるかな?」

かすみ「え? 私もですか?」

真美「いいからいいから」

 ガチャ

律子「ただいま戻りましたー」

P「おう、お疲れさん。今日は早かったな」

律子「ええ、運良く近場で発見できたんで」

あずさ「あ、プロデューサーさん、おはようございます」

P「おはようございます、あずささん」

あずさ「あら? 私が一番乗りですか?」

律子「そんなわけ……って、伊織と亜美はまだ来てないんですか?」

P「いや、いるけどちょっとな」

律子「?」

あずさ「音無さんもいませんね?」

P「ああ、やよいと真美の衣装合わせです」

P「あと、貴音が……あれ? どこいったんだ?」

貴音「なんでしょう?」スッ

P「うおっ!?」

律子「ひぁっ!?」

あずさ「あら~?」

P「いつのまに……」

貴音「先程からここにいましたが」

P「え?」

律子「え?」

あずさ「あらあら~」

貴音「ふふっ、からかっているのですか?」

P「い、いや……」

律子「……」

あずさ「全然気付かなかったわ~」

P「ま、まあ、貴音の謎に迫るのはまた今度として……」

律子「え、ええ……」

貴音「はて?」

律子「なにがあったんですか?」

───

──



あずさ「やよいちゃん我慢強いから、余計に無理しちゃってるんでしょうね……」

P「そうですね……」

律子「とはいえ、家庭のこととなると……」

P「どこまで踏み込んでいいものか、な」

律子「元々やよいは手のかからない子ですからね」

P「ああ」

律子「まったく……伊織まで変に意地張ってるなんて」

P「あれは心配の裏返しだな」

あずさ「ですね~。伊織ちゃんは素直じゃないだけで……」

伊織「私がなによ?」

あずさ「あ、あら……伊織ちゃん?」

P「お、戻ったか」

伊織「ふんっ」

亜美「ごめん兄ちゃん。亜美じゃやっぱダメだった」

P「いや、ありがとな亜美」

亜美「へへっ、礼には及ばないぜ」

律子「伊織」

伊織「なに?」

律子「仕事までには、ちゃんと切り替えておきなさい」

伊織「うるさいわね、わかってるわよ」

律子「だといいんだけど……」

 ガチャ

小鳥「はい! みなさん、ちゅーもーく!」

P「ん?」

やよい「こ、小鳥さん……」

かすみ「ちょっと恥ずかしいです……///」

真美「いいじゃん。可愛いんだから、みんなに見てもらいなよ」

貴音「ほう……次のいべんとの衣装ですか」

あずさ「あら~、みんな素敵ね~」

小鳥「かすみちゃんは、やよいちゃんと真美ちゃんの予備でアレンジしてみました」

小鳥「どうです、みんな可愛いでしょ」

貴音「まこと、みな愛らしいですね」

あずさ「うふふ、なんだかみんなお姫様みたい」

亜美「お姫様? 真美が? まこちん以上にないっしょ」

真美「お? なにか言ったか?」

亜美「のヮの」

小鳥「真美ちゃんは、髪を下ろすだけでグッと雰囲気が変わるのに」

真美「んっふっふ~、真美ばっか目立っちゃみんなに悪いっしょ」

真美「会場の視線を独り占め! みたいな?」

亜美「髪下ろしたら、誰だかわかんないだけじゃね?」

真美「お?」

亜美「おお?」

P「やめんか」

律子「でも、いいんですか?」

P「なにが?」

律子「また真が拗ねますよ。いつになったら、自分にお姫様をやらせてくれるのかって」

P「あ~……」

律子「まあ、そちらの問題ですから、私には関係ありませんけど」

P「いや、そう言わずに……」

律子「知りません」

やよい「プロデューサー!」

P「ん? どうした、やよい?」

やよい「ど、どうでしょうか? 変じゃないですか?」

P「ちょっとターンしてみてくれ」

やよい「え? は、はい」

 クルッ

やよい「あの……」

P「うん、どこから見ても可愛いお姫様だ」

やよい「そ、そうですか? えへへ///」

真美「ねえ、真美は? 真美のほうが可愛いっしょ?」

P「どっちも同じぐらい可愛い」

真美「むぅ! そんなんだから兄ちゃんモテないんだよ!」

P「モテないから、アイドルプロデューサーなんて仕事ができるんだよ」

真美「ふーんだ! 兄ちゃんのニブチン!」

P「なんでだよ……」

かすみ「いいなぁ、お姉ちゃんと真美さんは似合ってて……」

小鳥「かすみちゃんも、やよいちゃんたちに負けないぐらい似合ってて可愛いわよ」

亜美「やよいっちと入れ替わりは無理でも、かすみんならアイドルになれるよね」

かすみ「わ、私なんて全然!」

あずさ「そんなことないわよ~。ね、プロデューサーさん?」

P「うん、かすみちゃんなら大歓迎だよ」

かすみ「そんな……」

やよい「ダメです! かすみにはまだ早すぎです!」

あずさ「あらあら、心配性のお姉ちゃんね」

P「はは、考えておくだけでもな」

かすみ「は、はい」

やよい「ちゃんと考えなきゃダメなんだよ?」

かすみ「わかってるよぉ」

伊織「……」

やよい「あ、伊織ちゃん……」

伊織「向こうで台本読んでるから、時間になったら声かけて」

律子「ええ、わかったわ」

伊織「よろしく」

 スタスタ…

やよい「伊織ちゃん……」

小鳥「そ、それじゃまた着替えよっか?」

真美「そ、そだね。真美たちもそろそろ準備しないと」

やよい「うん……」

かすみ「お姉ちゃん……」

あずさ「やよいちゃん、ちょっとこっち来てくれる?」

やよい「はい? なんですか、あずささん?」

あずさ「伊織ちゃんと仲直りしたい?」

やよい「それは……」

あずさ「伊織ちゃんのこと嫌いになっちゃった?」

やよい「そんなことありません!」

あずさ「うん、わかってる」

やよい「……」

あずさ「やよいちゃんはお家ではお姉ちゃんだけど、ここでは私たちのほうがお姉さんでしょ」

あずさ「私なんて、年上なだけで全然頼りないけどね」

やよい「そんなこと……」

あずさ「でもね。それでも私は、やよいちゃんたちみんなのお姉さんなの」

あずさ「だから、頼ったり甘えたりしてもらえないのは、やっぱり寂しいし悲しいわ」

やよい「あずささん……」

あずさ「もし、かすみちゃんたちがやよいちゃんを頼ってくれなくなったら、どう?」

やよい「そんなの、イヤです……」

あずさ「そうよね。それは私や貴音ちゃんだって、そう」

貴音「その通りです」

あずさ「プロデューサーさんや、律子さんや音無さん、春香ちゃんたち……」

あずさ「もちろん伊織ちゃんもね」

やよい「はい……でも」

あずさ「うん?」

やよい「私なんて、いつもみんなの足を引っ張って、迷惑かけてばっかりで……」

あずさ「それは私も耳が痛いわ……」

貴音「誰も迷惑などと思ってはいませんよ」

やよい「い、いいんです! 私がもっと頑張って、しっかりすればいいだけですから」

あずさ「……」

貴音「……」

やよい「だから……」

あずさ「ふぅ……仕方ないわね」

貴音「そのようですね」

やよい「え?」

あずさ「聞き分けのない子は……こうしてあげます!」

 ムギュー

やよい「はわっ!? あ、あずささん?」

貴音「では、わたくしも」

 ムギュー

やよい「た、貴音さんまで」

小鳥「ふおぉぉぉぉ!? 両サイドから90と91のツープラトン攻撃だと!?」

あずさ「うふふ。どう、やよいちゃん」

やよい「はわぁぁぁ、ふわふわです~……///」

貴音「今度から、また辛いのに我慢をしているようなら……」

あずさ「こうして、無理やり甘えさせてあげます♪」

やよい「つ、辛いことなんてないですよ~」

貴音「まだ言いますか」

 ムギュー

やよい「ふわぁぁぁぁ……///」

小鳥「わ、私も人生が辛いです! 次、やよいちゃんの次!」

律子「バカなこと言ってないで、真美とかすみちゃんの着替えを手伝ってあげてください」

小鳥「そんなぁ! 私だって癒されたいですよぉ」

律子「仕事終わってから、エステでもマッサージでも勝手に行ってください」

小鳥「律子さんの鬼! 隠れ巨乳メガネ!」

律子「それは関係ないでしょ! ていうか、小鳥さんには言われたくないですよ!」

小鳥「私は隠れてないですよ~」フフン

律子「……」イラッ

小鳥「き、着替えの手伝いしてきま~す」

律子「まったく、誰が隠れ巨乳よ……」ボソッ

P「律子」

律子「は、はい! なんですか?」

P「ちょっと伊織と話してきていいか?」

律子「……ええ、お願いします」

P「すまない」

やよい「ふぁ……///」

あずさ「ふぅ……///」

貴音「ほぅ……///」

やよい「あの~……」

あずさ「なぁに?」

やよい「暑くてのぼせそうです……」

あずさ「あら、私もよ」

貴音「ふふっ、わたくしもです」

やよい「じゃあ、離してください~」

あずさ「え~? それじゃあ……」

やよい「?」

あずさ「伊織ちゃんと仲直りできる?」

やよい「え……」

貴音「そうですね。それならば開放しましょう」

やよい「仲直り……」

あずさ「ええ、仲直り」

貴音「できますか?」

やよい「はい! 伊織ちゃんと仲直りします!」

あずさ「はい、よくできました♪」パッ

貴音「やっと、いつものやよいに戻りましたね」

やよい「あ……」

あずさ「がんばってね!」

やよい「はい!」

伊織「なんなのよまったく……」

伊織「私だって、そんなつもりじゃないのに……」

伊織「……」

伊織「私のバカ……」

P「ドラマの台本か?」

伊織「ふえぇっ!?」ビクッ

伊織「そ、そうよ! 集中したいから邪魔しないで!」

P「今日はドラマの収録じゃないだろ」

伊織「や、役作りよ、役作り!」

P「そうか。なら相手役がいたほうがいいだろ?」

伊織「は? あんたが?」

P「そう、俺」

伊織「お断りよ。コントの練習じゃないんだから」

P「おいおい……いくら俺でも、それは傷つくぞ」

伊織「ふふん、よく言うわ」

P「たしか伊織の役には兄貴がいたよな」

伊織「あんたと兄妹? やっぱりコントじゃない」

P「そういうなって」

伊織「はいはい……」

P「台本は?」

伊織「アドリブでいいわ」

P「そっか」

伊織「……………………」

P「……」

伊織「…………」

P「……?」

伊織「お……」

P「ん?」

伊織「お、お兄ちゃん……?」

P「え?」

伊織「///」

P「ええぇ!?」

伊織「兄妹の役なんでしょ!?」

P「お、おう……そうだったな」

伊織「やるなら、ちゃんとやってよね!」

P「ああ、悪かった……」

伊織「ふんっ!」

P「で、なにかあったのか?」

伊織「友達とケンカしちゃって……」

P「仲直りできないのか?」

伊織「したいけど……できないから困ってるの」

P「素直じゃないなぁ」

伊織「うっさいわね! ……あ、ちがっ」

伊織「うるさいな、もう!」

P「お前が悪いなら、お前から謝らないとな」

伊織「私は悪くない!」

P「……」

伊織「でも、もしかしたら余計なおせっかいだったのかな、って……」

P「いいんじゃないか、それで」

伊織「え?」

P「お前がどんなつもりでおせっかいを焼いてるのか、わからないような友達なのか?」

伊織「違うわ!」

P「だったら、友達のためと思うことをやればいい」

伊織「うん……」

P「お前はなにも間違ってない」

伊織「うん!」

P「どうだ? 少しは兄貴らしいことができたかな?」

伊織「……」

P「どうした?」

伊織「おにぃ……あり……」ボソッ

P「え?」

伊織「お兄ちゃん、ありがとう……」ボソッ

P「……」

伊織「な、なに黙ってるのよ?」

P「いやぁ、ちょっと泣きそうだよ俺」

伊織「はあ? バカじゃないの」

P「可愛い妹の役に立ててよかったよ」

伊織「な、なによ……///」

P「そういえば、伊織はお兄さんがいたよな」

伊織「ええ。あんたなんか、まだまだお兄様の足元にも及ばないわね」

P「そりゃそうだ。俺なんかに代わりが務まるわけない」

伊織「代わりなんかじゃないわよ……」ボソッ

P「ん?」

伊織「なんでもない! この鈍感!」

P「なんで!?」

伊織「ふんっ///」

かすみ「あ、プロデューサーさん」

P「かすみちゃん、ちょうどよかった」

かすみ「え?」

P「伊織」

伊織「なによ?」

P「かすみちゃんをやよいだと思って、仲直りの練習」

伊織「はあ? そんな恥ずかしいこと、できるわけ……」

かすみ「そんなのダメですよ、伊織さん!」

伊織「なによ、かすみちゃんまで……」

かすみ「私だって、お姉ちゃんと伊織さんには仲直りしてほしいです!」

伊織「それとこれとは……」

P「ほらほら」

かすみ「私をお姉ちゃんだと思って」

伊織「うぅ……わかったわよ、もう!」

伊織「えっと、やよい?」

かすみ「うん、なに伊織ちゃん?」

伊織「さっきはその……言いすぎたわ」

かすみ「ううん」

伊織「だから……」

かすみ「うん……」

伊織「……」

かすみ「……」

伊織「ごめんなさい……」

かすみ「……」

伊織「で、でもね! やよいは私の大切な友達なんだから……」

伊織「心配ぐらいはさせてよね?」

やよい「うん、私のほうこそごめんね」

伊織「え?」

やよい「私にとっても、伊織ちゃんは大切な友達だよ!」

伊織「やよい……」

やよい「だから仲直り! ね?」

伊織「し、仕方ないわね! 仲直りしてあげるわ」

やよい「うん!」

伊織「それから、やよいのことみんな心配してるんだから……」

かすみ「そうだよ、お姉ちゃん」

やよい「わかってる。ううん……わかったよ」

やよい「伊織ちゃんも、かすみや長介たちも、プロデューサーやみんなも……私のこと思ってくれてるんだって」

伊織「そうね……」

やよい「これからは、もっとかすみたちを頼るから、お願いね?」

かすみ「うん、任せて! 約束だよ、お姉ちゃん」

やよい「うん、約束!」

伊織「ほんとに? 信用できないわね」

やよい「え~?」

伊織「だから、今日は仕事が終わってから、やよいの家にお邪魔させてもらうわ」

やよい「え?」

伊織「ちゃんとかすみちゃんとの約束を守ってるか、確認よ。いいわね?」

やよい「うん! もちろん!」

律子「無事、解決ですね」

P「ああ、やよいと伊織だからな」

貴音「ふふっ、そうですね」

あずさ「安心しました~」

小鳥「やっぱり、王道こそ正義ね」

真美「正義か~。ピヨちゃんがなに言ってるのか、真美にはわかんないや」

律子「さて、それじゃ私たちはそろそろ出発ね」

あずさ「は~い」

亜美「真美も途中まで一緒っしょ?」

真美「そうだっけ?」

律子「ええ、一緒に送るわ」

真美「りょーかい!」

P「よろしく頼む」

律子「はい。伊織、そろそろ出発よ!」

亜美「おいてくよー!」

伊織「わかってるってば! それじゃ……」

やよい「うん、また仕事終わったらね」

かすみ「待ってますね」

伊織「ええ」

やよかす「「いってらっしゃい!」」

伊織「いってきます!」

P「やよい、貴音、ちょっと来てくれ」

やよい「は~い!」

貴音「なんでしょう、あなた様?」

P「二人に話がある」

やよい「話ですか?」

貴音「はて?」

P「あまり時間もないし、手短に話す」

P「二人にはユニットを組んでもらいたい」

やよい「私と貴音さんで?」

貴音「ゆにっとですか?」

P「以前から考えていたことだが、いい機会だ」

P「ユニットなら、やよいのフォローもしやすいからな」

貴音「なるほど」

やよい「そんな、私のことで……」

P「それだけじゃない」

やよい「え?」

P「やよいと貴音の好対照な個性からどんなユニットが生まれるか……」

P「面白そうだろ?」

やよい「はい! ワクワクします!」

貴音「ふふっ、心躍りますね」

P「よし、決定だ」

やよい「これからよろしくお願いします、貴音さん」ペコッ

貴音「ええ。こちらこそよろしくお願いします、やよい」

小鳥「ユニット名は決めてあるんですか?」

P「いえ、二人に決めてもらいます」

小鳥「うふふ、これからますます忙しくなりそうですね」

P「望むところですよ」

やよい「それじゃ、いつものやりましょー!」

貴音「そうですね。ゆにっとの結成を祝して……」

やよい「かすみもこっち来てー!」

かすみ「私? はーい!」

貴音「小鳥嬢もこちらへ」

小鳥「私も?」

貴音「あなた様もですよ」

P「俺もか?」

やよい「プロデューサーがいなくてどうするんですか!」

P「ああ、そうだな」

やよい「いきますよー」

やよい「ハイ、ターッチ!」


「「「いえい!」」」




おわり

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