【艦これ】加賀「こんな夢を見ました」 (20)
加賀「……」
加賀「……ここは?」
加賀「港、かしら。それにしてもこの行列は……?」
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加賀「どうも皆この艦に列をなしているようね」
加賀「この艦は……見たところ空母のようだけど」
加賀「私も入ってみようかしら」
加賀「それにしても凄い人手……」
加賀「昭和5年に金沢を訪れた時を思い出すわね」
加賀「まぁ大正10年の私の進水式はこんな程度ではなかったけど」フフン
───── 甲板上
加賀「正規空母のようね、この大きさからすると」
???「ちょっとちょっと! 聞き捨てならないわね!」
加賀「はい……? って、貴方は足柄!?」
足柄?「あしがら……? 私はあしがらじゃなくて歴とした『この艦』の乗組員よ」
加賀「はぁ……失礼しました。知人に似ていたもので」
足柄?「あらそう、別に気にしてないから良いわ……ってそうじゃなくて!」
足柄?「『この艦』は空母じゃなくて護衛艦よ護衛艦! ヘリコプター搭載護衛艦!」
加賀「へりこぷたー……? ごえいかん……?」
足柄?「基準排水量19,500トン、満載排水量26,000トン、全長248メートル。自衛艦としては最大の大きさの艦よ。前型から航空機運用機能や多用途性を強化して──」ペラペラ
───── 艦橋前
加賀「あれから大分説明を受けてしまったわ……」ゲッソリ
加賀「これが艦橋ね。やっぱり右舷側の方が都合が良いのかしら」
加賀「……見たことの無い装備がそこら中にあるわ」
???「そこのお姉さん、何か知りたいっぽい?」
加賀「……貴方も他人の空似なのかしら」
夕立?「っぽい?」
加賀「何でもありません。……あの艦橋の窓の上に付いている平べったい板のような物は何なのですか?」
夕立?「あぁそれはOPS-50A、対空レーダーだよ!」
加賀「対空……れーだー?」
夕立?「昔の言葉で言うなら……対空電探っぽい?」
加賀「電探なのですか、あれが」
加賀「では、この艦橋前に設置されているこれは?」
夕立?「これはSeaRAM! 接近して来るミサイルをぽいぽいぽーいって撃ち落とすための自衛用火器っぽい!」
加賀「では、これは……これはエレベーターですか?」
夕立?「正解っぽい! そうだ、せっかくだから下に降りてみる?」
───── 格納庫内
加賀「ここがこの艦の格納庫ね」
加賀「まさかエレベーターでそのまま降ろしてくれるとは思わなかったわ」
加賀「それにしても……何機ぐらい積めるのかしら、艦載機は」
???「最大14機というところだな」
加賀「……もう驚きません」ボソッ
日向?「どうした? 聞きたいのだろう、艦載機のことが」
加賀「えぇ、そうでした。それにしても最大で14機? 随分少ない気がしますけど」
日向?「純粋な空母と比べれば、まぁ、そうなるな。これでもDDHとしては過去最高の搭載数なんだが」
加賀「そうですか……ちなみに艦載機はどのような物を積んでいるのですか?」
日向?「ロクマル……SH-60JないしKという哨戒ヘリとMCH-101という輸送・救難用ヘリの2機種だ」
日向?「甲板にはロクマルが展示されているから、気になるようなら見てくると良い」
───── 甲板上
加賀「先ほどは人混みで気付かなかったわ……」
加賀「ろくまるろくまる……これね」
加賀「不思議な形の機体ね。これでどうやって飛ぶのかしら」
加賀「あの、もし」
???「……何か御用でしょうか?」ヌイッ
加賀「これはどういった機体なのでしょうか? それにこんな形状でどのようにして飛行するのですか?」
不知火?「これはSH-60Kという機体です。あちらのSH-60Jを基に三菱が改造開発しました」
加賀「三菱……」
不知火?「……説明に何か落ち度でも?」
加賀「あっいえ、続けて下さい」
不知火?「こほん、用途としては対潜哨戒の他、人員物資の輸送や警戒監視、対水上戦闘もできなくはありません」
不知火?「飛ぶ仕組みは……専門ではないので詳しくはありませんが、この回転翼を回すことで上向きの揚力が発生して、飛べるそうです」
不知火?「回転翼自体を傾けることで前後左右と、自由に飛べるのだとか」
───── 天保山大観覧車内
加賀「固定翼を持たない艦載機……実際に飛ぶところが見てみたかったわね」
加賀「この観覧車も思わず乗ってしまったけど、とてつもない大きさ……」
加賀「ここからだとあの艦の全体を把握できるわ」
加賀「それにしても、海も平和そのものね……」
加賀「……」ボーッ
加賀「……!」
加賀「あの沖を行くのは……赤城さん!?」
加賀「随分小柄な気がするけど、間違いないわ!」
赤城?「……」ザザザァ
加賀「赤城さんに続くのは……秋津島、飛龍、木曾、北上……? 何かしらこの偏った編成は」
加賀「あら、もう1隻後ろから……あれは!」
加賀「土佐!!」
……………
………
…
───── ???
赤城「お目覚めですか、加賀さん」
加賀「……」
赤城「……加賀さん? もしもーし?」ブンブン
加賀「ここは……?」
赤城「空母寮ですよ、いつもの」
加賀「……そう、そうですか」
赤城「! 加賀さん、涙が」
加賀「寝起きは目にきます……」ゴシゴシ
赤城「加賀さん……」
加賀「ふぅ……」
加賀「……」
加賀「それはそうと、赤城さん」
赤城「はい?」
加賀「……お腹が空きました」グゥーッ
赤城「ぷっ……ふふふっ、真面目な顔で何を言うのかと思えば」
赤城「それじゃあ少し遅いですが、朝食を食べに行きますか」
加賀「えぇ、そうしましょう。ついでにお話させて下さい──」
加賀「不思議な夢の話を」
────────── 終わり
以上でございます。
先日の大阪での護衛艦「かが」一般公開に触発されて書いてみた次第です。
「かが」艦上で説明役を務める艦娘は護衛艦に名を受け継がれている子から、
加賀さんが観覧車から目撃した編成は海上保安庁の巡視船等に名を受け継がれている子から、です。
それでは、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
秋津洲な
>>15
うわぁ本当だ……失礼しました
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