ナチャ橋「この『汚れ好きの部下のにいちゃん（elona elmのレベル45）』は私の事だ」

ニャル子「は？」

クー子「……は？」

ハス太「は？」

真尋「は？」

シャンタッ君「み？」

アト子「は？」

時間は遡り――

ニャル子「ナチャ橋の嫁さん候補を探す事になってしまいました」

ハス太「え？」

真尋「ナチャ橋ってアト子がこちらに来た時に事件を起こした加害者の？」

ニャル子「ええ」

真尋「三行で頼んだら三行で帰ってきたナチャ橋か」

クー子「……少年の中の三行、そんなに好印象なんだ」

真尋「でも何で犯罪者の嫁さん候補探さなくちゃならないんだ」

ニャル子「ナチャ橋を仮釈放する代わりに現夢境で建物の修繕を任せているんですよ」

クー子「……確かついでにメイド喫茶も造らせてたっけ」

ハス太「だからたまに街中でナチャ橋がいたんだ」

ハス太「あまりにも馴染んでたから気付かなかったよ」

奏子「そりゃ大変ね」

真尋「お前は一刻も早く成仏してくれ」

ニャル子「それで４年に一度開催される宇宙オリンピックで建築をナチャ橋が担当する予定だったんです」

クー子「……でも今年はナチャ橋が逮捕されているから」

クー子「別の人が担当になったんだけどそこでトラブルが発生して」

ハス太「ネットニュースで見たことある、聖火台忘れてたんだっけ？」

クー子「……そう」

真尋「どこも似たようなもんだな、一番大切なもの忘れるなよ」

ニャル子「それで今の担当が惑星保護機構に頼んでナチャ橋の出所及び協力を頼んだんです」

ニャル子「惑星保護機構の上層部にその年の宇宙オリンピックの開催地の出身者がおりまして」

ニャル子「それを理由にナチャ橋の出所を決意したんですが」

ニャル子「ナチャ橋が宇宙オリンピックに協力する代わりに条件をつけてきまして」

真尋「それが嫁さん捜しか」

クー子「……１人身の足掻きって本当に見苦しい」

真尋「自分の事言ってるのか？」

クー子「……少年がハーレムルートを選択すれば解決するから大丈夫」

真尋「他力本願はどうかと思うよ」

真尋「それにしても地球を破壊しようとした犯罪者だぞ」

クー子「……邪神にとって地球は娯楽に特化した星だけど、それ以外のレベルは低い」

ニャル子「残念ながら娯楽を軽視し、ナチャ橋の出所を望む者も大変多いんですよ」

ハス太「元々腕利きの建築士だもんね」

ニャル子「という訳でナチャ橋の事に詳しいアト子ちゃんに来てもらいました」

クー子「……専門家が来てくれるのは頼もしい」

アト子「専門家って……ナチャ橋と関わりたくないのですが」

ニャル子「確かにそうだとは思いますがこっちも仕事なんで何かアドバイスありません？」

アト子「ナチャ橋を殺せば解決するのでは？」

ニャル子「なるほど」

真尋「殺すな殺すな」

ナチャ橋「お邪魔するぞ、ここが八坂家だな？」

ニャル子「来ましたか」

ナチャ橋「おや、アト子嬢もここに、まさか気が変わっ――」

アト子「恥を知れ、豚――」ｼｬｷｰﾝ

真尋「ここで変身するな」

クー子「……あった」ﾋﾟｺﾋﾟｺ

ハス太「スマホで何検索してるの？」

クー子「……例のコピペ」

ニャル子「さぼってないで仕事しなさいよ」

クー子「……仕事って言っても紹介出来るような人いる？」

ニャル子「あんたの従姉がいるでしょう」

クー子「……なるほど」

ナチャ橋「クトゥグア族か、どんな方なんだ？」

クー子「……ヒートの女」

ナチャ橋「死にたくないのでチェンジで」

クー子「……えー」

ハス太「ところで例のコピペって何？」

クー子「……これ」

アト子「噂だけなら耳にしていましたが、予想通りあまり目に入れたいとは思えませんね」

ナチャ橋「惑星保護機構の方々、やる気なさすぎないか？」

真尋「邪神にとって片田舎の惑星を担当している職員に、おっさんの嫁探しをさせるなんてお門違いも良いとこだろう」

真尋「誰だってやる気なくなる、僕だってそうする」

ナチャ橋「しょぼーん」

真尋「口で言うな、おっさんのそれは需要ねぇよ」

真尋「本当に何で僕達が嫁探しの担当しなきゃならないんだよ」

ナチャ橋「伝わってないのか」

真尋「ちゃんとした理由があるのか？」

ナチャ橋「まともな理由かと聞かれれば疑問に思えるが……何でも先日、この地区の大型デパートが崩壊、それに君達が関わっているというじゃないか」

真尋「おい、ニャル子どういう事だ」

ニャル子「いや、元の原因真尋さんですよね」

ナチャ橋「崩壊した建築物を修繕装置は惑星保護機構の２人が持参しているはずとはいえ、大型で社会的問題の発端となるものはそれがしにくい」

真尋「それでお前が？」

真尋「他力本願だがわざわざ別の仕事もある仮釈放の犯罪者に任せるより、アト子でも出来そうなイメージあるんだが」

アト子「まぁ外見上元に戻すのは造作もありませんが、わたくしが修繕する場合邪神側の修理器具や固着具が前提です」

真尋「それのどこが問題に？」

ナチャ橋「とくに邪神側が製造した部品が解体した後に発見された場合地球人が混乱を起こすやもしれぬ」

ナチャ橋「そのため地球人側の部品でも立て直す事が可能な私が呼ばれたのだ」

ニャル子「そのついでに嫁さん探しですか……」

ナチャ橋「その通り」

ナチャ橋「もっともその大型デパート自体に欠陥が見つかった事により事態が収まり、修理の必要はなくなったがな」

ニャル子「ぶっちゃけ男でも構いませんよね」

ナチャ橋「異性で頼みたい」

ニャル子「えー、性別配慮しなけりゃある程度早く仕事終わりますのに」

クー子「……このコピペみたいに土方は皆ホモなんでしょ？」

真尋「よくわからないけどとび職や建築士の人達のイメージを汚す真似はやめろ」

ナチャ橋「コピペ？」

クー子「……変態宇宙糞土方のコピペ」

ナチャ橋「これか、なつかしい」

ハス太「知ってるの？」

ニャル子「ミゴミゴ動画とかで一時期流行りましたものね」

ナチャ橋「知ってるも何も」

ナチャ橋「この『汚れ好きの部下のにいちゃん（elona elmのレベル45）』は私の事だ」

ニャル子「は？」

クー子「……は？」

ハス太「は？」

真尋「は？」

シャンタッ君「み？」

アト子「は？」

ナチャ橋「ちなみに『アパレル会社のおっさん（ポケットモンスターピカチュウの図鑑完成度60匹）』はアト子嬢の父親の事だ」

ニャル子「は？」

クー子「……は？」

ハス太「は？」

真尋「は？」

シャンタッ君「み？」

アト子「」

ニャル子「……えぇー、アト子ちゃん、その事知ってました？」

アト子「デタラメはよしなさい」

ナチャ橋「ネットのコピペを信じろというのも無理だが」

ナチャ橋「このコピペの『わし（経験人数53人）』は私の元上司だ」

ナチャ橋「元々私とアト子嬢とのお見合いもこの二人の縁で取り持ってくれたもので今でも深い交流があるそうだ」

クー子「……かなり深い交流なんだろうね」

ナチャ橋「腸まで届くほど深いだろう」

真尋「やめろ」

ハス太「アト子ちゃん大丈夫？」

アト子「だ、大丈夫よ、大丈夫、大丈夫」

アト子「ははは、はははは」

ナチャ橋「私の元上司とは顔くらい合わせた事があるだろう」

アト子「……というか幼少の頃から現在に至るまで父の友として何度か実家に上がってます」

ナチャ橋「アト子嬢の父親は口が堅いかもしれませんが、元上司は平気で話すお方だからな」

ナチャ橋「今度あったら真実を確かみてみろ」

アト子「」

ニャル子「だ……大丈夫ですか？」

ハス太「アト子ちゃん、腑抜けになったみたいに帰っていったね」

真尋「そりゃ自分の親がコピペになるようなスカトロプレイしているとなればなぁ……」

ナチャ橋「しかもアト子嬢がアト子嬢の父親と私の元上司の子供という可能性もあるな」

ナチャ橋「邪神だし」

真尋「邪神なら仕方ない」

ニャル子「戦乙女（ヴァルキリー）同士で子供産めるご時勢ですしおすし」

真尋「そうだよなぁ……否、何の話だそれ」

クー子「……それでナチャ橋の結婚相手どうする？」

真尋「そういえばハス太に、最近仲良くなった地球人がいるだろ、コスプレマニアの」

ハス太「え、なんでそれ知ってるの？」

真尋「田中から聞いた」

ハス太「え、わざわざ話すくらいの仲だったの？」

真尋「何だと思ってたんだ」

ハス太「学校だとぼく達以外だと余市くんとしか話してないでしょ」

ハス太「暮井さんはニャル子ちゃんがいる前提だし」

ハス太「ぼっちの片鱗見え隠れしているのかと」

真尋「」

ナチャ橋「地球人？　えー」

クー子「……ここでお嫁さん候補を探すんだからそれ以外の選択肢がない」

クー子「少年と同年代だろうしこれ以上の贅沢いわないで」

ナチャ橋「……気は進まぬが見るだけ見てみるか」

ニャル子「真尋さん、大丈夫ですか？」

真尋「特性スナイパー相手に急所に当たっただけだ」

ニャル子「大惨事じゃないですか」

真尋「まず気にいるかどうかナチャ橋に遠くで見て確かめてもらう」

真尋「そもそも見ず知らずの人をこんなのに巻き込むのは気が進まないが地球で仕事する限りこの手段しかないし、十中八九失敗するが駄目元でやるしかない」

ニャル子「我々としてもせめて仕事はしたという事実だけはほしいですしおすし」

ハス太「でもその２人の連絡先知らないよ」

ハス太「田中くんの妹は知ってるらしいけどどんな言い訳考えればいいか」

真尋「僕に良い案がある」

ハス太「悪い案である事を自覚して言ってるでしょ、それ」

どこかの公園

ハス太「……で、何でぼく、ブリジットのコスプレさせられて笊かぶらされてるの？」

ニャル子「情報によりますとその２人は男の娘にコスプレさせたい願望があるようですので」

真尋「ハス太を餌に罠ではめよう作戦」

ハス太「……この笊と棒は？」

真尋「鳥を取るときの仕掛けがあるだろ」

ハス太「このサイズで捕まえられる気がしない」

真尋「失敗前提なんだから問題ない」

ニャル子「仕事した事実が必要なんです」

ハス太「その前提でコスプレさせられているぼくの身にもなって」

真尋「じゃあそこでその２人が来るまで待機してくれ」

真尋「僕達は物陰から見てるから」

ハス太「はーい――」

ナツミ＆瑠璃「「琥太郎クン2Pカラーゲットだぜぃ！」」ｽﾞｻﾞｰ

ハス太「わーーー！！」ﾊﾞﾀｯ

ナツミ「古鐘先輩、連れ帰ってぜひコスプレさせるデース！」ﾀﾀﾀｯ

瑠璃「当然でしょう」ﾀﾀﾀｯ

ハス太「あーーーれーーー」


クー子「……うわぁ」

ニャル子「速攻で来ましたね」

真尋「ナチャ橋、あの２人のうちどちらがいい？」

ナチャ橋「やっぱ地球人はなしだわ」

真尋「えー」

クー子「……ハス太くんの尊い犠牲で得られた結果がこれなんて（棒読み）」

ニャル子「あまりにもむごいです（棒読み）」

ナチャ橋「済まぬ（棒読み）」

真尋「よし、仕事終わりだな」

ナチャ橋「地球で嫁探しの時点で私も内心諦めていたがこれは酷い」

クー子「……そもそもえり好みできる年齢じゃないでしょ」

真尋（ブーメランかな？）

クー子「……少年、焼けカスにされたいの？」

真尋「ナチュラルに心読んで初期の敵意むき出しのようになるのやめろ」

ニャル子「でもあんたはアトラク＝ナクア星人の中でも有数な建築士」

ニャル子「惑星保護機構から直接依頼させるほど社会的地位も高いですし、ある程度女が寄ってくるイメージはありますけどね」

ナチャ橋「結婚したいという気持ちはあるが、恋色沙汰に関しては昔から関心がない」

ナチャ橋「未婚のため両親どころか部下上司両方から心配されている」

ナチャ橋「正直既婚者という社会的地位を欲し、建築士として安定した存在でありたいだけ」

真尋「それで結婚したいと思う女性はいないだろ」

ナチャ橋「ほしいのは社会的地位なのだからそう思われるのもやむなし」

ナチャ橋「だが仕事しか考えぬ人生、それ以外の理由で結婚というものを考えられんのだ」

ナチャ橋「ニャル子殿の言うとおり女性は寄ってくるがほぼ金銭目的」

ナチャ橋「そんな相手に手を出せば金をしぼり取られる」

ナチャ橋「下手に社会的地位があるせいで場合によっては部下にも会社にも影響が出てくる」

ナチャ橋「だから相手の身元がしっかりしているお見合いという手段を選んだ」

真尋「会社の事考えるのはいいが、お前地球破壊しようとした前科あるからな」

ナチャ橋「邪神にとって地球破壊しても許容の範囲になる程度の価値しかないだけだ」

真尋「……」

クー子「……だったら立場の弱い地球人を嫁にした方が手っ取り早いと思うけど」

真尋「それで『じゃあそうしよう』ってされても困るが、その通りだな」

ナチャ橋「私がほしいのは社会的地位だ、八坂殿とニャル子殿は付き合っておられるんだっけ？」

ナチャ橋「それで感覚麻痺しているのかもしれないが本来は鼻で笑われる事だぞ」

ニャル子「……」

ナチャ橋「人の愛にとやかく言える権利はないが、地球人に例えるなら人間が熊や犬と付き合うようなもの」

ナチャ橋「無論邪神にもそういう性癖は存在するようだが一般ではない」

ナチャ橋「否、私の場合欲するのは社会的地位でこの例えは正しくない」

ナチャ橋「邪神にもまったく違う種族同士での結婚は当たり前だが、それは種族としての社会的地位はほぼ同一」

ナチャ橋「私が地球人と結婚するというのは貴族と物言えぬ乞食が結婚するようなもの」

ナチャ橋「君達２人のように愛があれば乗り越えられようが、私の場合愛すらない」

ナチャ橋「それに愛があったとしても寿命の問題が前に出てくるだろう」

真尋「……」

ナチャ橋「一度身を固めても相手が先に亡くなればまた独り身だ」

ナチャ橋「もしかしたら子供が残るだろうが片親となればまた周りに心配され逆戻りでさらに負担が増加して元も子もない」

ナチャ橋「そんなのに不信感を抱いている時点で私に愛などないだろうが」

真尋「……」

ナチャ橋「それと純粋に地球人相手には性欲がわかん」

真尋「おい」

ナチャ橋「重要な事だろう、昔常連だった風俗の人間年齢で八十歳くらいの性別が判別できず同種族か疑問に思うほどの臭い汚れたブスババァの方がまだ性欲沸くわ」

真尋「よくそんなところの常連だったな」

ナチャ橋「すごく安かった（小並）」

ナチャ橋「まぁ病気移されてからは行くのやめたが」

ニャル子「病気の事気にする割にはコピペになるくらいスカトロプレイしているじゃないですか」

ナチャ橋「あれは上司と居酒屋で飲みに行く的なノリだ」

真尋「ノリでうんこ飲むな」

二日後

ニャル子「あれからナチャ橋の嫁探しは別の部署が担当する事になったらしいです」

真尋「まぁそうなるよね」

クー子「……あれからハス太くんが帰ってこない」

ナチャ橋「おじゃまする」

真尋「あ？　何でまた」

ナチャ橋「嫁となる相手が見つかりましてな、その報告に参った」

ニャル子「邪魔ですし興味ないんでわざわざ報告する必要もありませんのに」

ナチャ橋「まぁまぁそう言わず、手土産にこちらを」つ土産

クー子「……わぁい、なんだろう」

ナチャ橋「さっき道端で拾った草と小石だ」

真尋「ふざけんな」

ナチャ橋「草生えるわｗｗｗｗ」

ナチャ橋「さっきのは小粋なジョークで本当の手土産はこの北海道で買った木彫りの熊だ」

真尋「北海道で北海道の王道のお土産を渡す勇気が酷い」

クー子「……よく相手見つかったね」

ナチャ橋「うむ、元上司が協力してくれてな、これが嫁のお見合い写真だ、なかなか出来のよいおなごでな」

真尋（……かなり幼く見えるが大丈夫なのか？）

ニャル子（人間年齢で十代前半、邪神の法律でも完全アウトですがまた嫁探しするのも面倒なのでそっとしておきましょう）

真尋（……そうだな）

真尋「どういう経緯で知り合ったんだ？」

ナチャ橋「彼女は例の元上司のお孫さんでな、元上司が最終手段として快く差し出してくれたのだ」

ニャル子「実質間接ホモですね」

完