【モバマスSS】誇れ!なおかれん! (28)
~事務所~
奈緒「なあなあ加蓮! 見たか!?」
加蓮「ふふっ……そんなに大きな声じゃなくても聞こえてるよ」
奈緒「そうは言ってもなぁ……! もう見たんだろ?」
加蓮「もちろん♪ ……七海のアンコウ吊るし切りショー……でしょ?」
奈緒「違ぇよ」
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読まなくても平気な前前々作と前々作と前作
【モバマスSS】駄弁れ!なおかれん!
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【モバマスSS】祝え!なおかれん!
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【モバマスSS】見舞え!なおかれん!
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奈緒「違ぇよ、ちょっと気になるけど全然違ぇよ」
加蓮「えっ……なんで……!?」
奈緒「明らかにこっちのセリフだろ」
加蓮「あー、あっちね!」
奈緒「加蓮がどっち向いてるのかはわかんないけど……」
加蓮「総選挙……でしょ?」
奈緒「なーんだよ、わかってんじゃんか」
加蓮「激戦だったね……」
奈緒「うんうん」
加蓮「14日に開票された……」
奈緒「うんうん」
加蓮「ヤクルトスワローズイケメン大総選挙 ……!」
奈緒「違ぇんだよ……!!!」
奈緒「なんだよその企画……初耳だよ……」
加蓮「まさか荒木さんが3位とはね」
奈緒「わざわざシンデレラガールズと名字が被ってる選手を抜き出してこなくていいよ」
加蓮「ねぇねぇ、私の右のおさげ、引っ張ってみて?」
奈緒「は? そもそもそれおさげなのか」
加蓮「いいからいいから」
奈緒「別にいいけど……」キュッ
加蓮「http://www.yakult-swallows.co.jp/pages/info/event/ladiesday/election」ヌベァ
奈緒「うわ音キモっっってかどうなってんだこれ」
加蓮「いいでしょ、一発芸」
奈緒「気味悪い音と共に口からURLを吐き出す一発芸? アイドル辞めちまえ」
加蓮「これでどこでもアクセス数が稼げるよ」
奈緒「そのページをアクセス分析する人ビックリしちゃうだろ。なんでここからアクセスが!? ってなるわ」
加蓮「そういう『私はみんなのことを考えてますよ』的なツッコミは大丈夫だから」
奈緒「さすがに心が荒みすぎじゃないか」
加蓮「本当に他人想いならちゃんと行動しなきゃダメだよ」
奈緒「もしかして怒られてる? なんで?」
加蓮「三度の飯よりやる偽善って言うでしょ?」
奈緒「混ざってる混ざってる」
奈緒「偽善をやったら三度のご飯いらないってイカレたコスパだな」
加蓮「やらない善より木から落ちる?」
奈緒「踏んだり蹴ったりだな。結果的に落下のみだよ」
加蓮「踏んだり蹴ったりではないよ」
奈緒「うるさいな雰囲気で伝わるだろ」
加蓮「猿も川流れ」
奈緒「助けてやれ」
加蓮「話が脱線しちゃったね」
奈緒「加蓮のせいでな?」
加蓮「ごめんって。それで?」
奈緒「だから、ウチの総選挙のことだっての」
加蓮「アーハン?」
奈緒「過去イチでムカつくなそのあいづち」
加蓮「総選挙? あ、もう発表されたんだっけ」
奈緒「見てないのかよ……ほら、これ」ヒョイッ
加蓮「ありがとー♪ わ! 荒木さん3位!?」
奈緒「ヤクルトスワローズイケメン大総選挙の結果は見せてねえよ」
加蓮「へぇ、菜々ちゃんが獲ったんだ。おめでとうって伝えなきゃ」
奈緒「第7回だもんな、ひとしおだろうさ」
加蓮「ってことは、2位は……まあ未央だよね」
奈緒「2年連続……だな。まあ来年は最有力って思っていいんじゃないか?」
加蓮「本人は悔しいだろうけどね」
奈緒「それを見せないのも未央の強さだよ」
加蓮「それで……あ!」
奈緒「……な?」
加蓮「奈緒、16位! 安定してるね〜」
奈緒「この流れでそれはおかしいだろ」
加蓮「え?」
奈緒「いやいや、どう考えてももっと驚くとこあるだろ?」
加蓮「ホントだ! 茄子さん4位!」
奈緒「わざとなんだな???」
加蓮「……どうしても触れなきゃだめ?」
奈緒「遠慮する必要はないだろ?」
加蓮「ふーん? まあ、嬉しいけど……」
奈緒「素直じゃないんだな」
加蓮「奈緒に言われたくはないかな」
奈緒「なんだと」
加蓮「何? やるの? 有刺鉄線爆破デスマッチを?」
奈緒「そこまでの荒事は想定してなかった」
奈緒「他の人にそんな突っかかってないよな?」
加蓮「大丈夫だよ。私が有刺鉄線爆破デスマッチを仕掛けるのは奈緒だけ。特別だよ?」
奈緒「まっっっっったく嬉しくない」
加蓮「男子はこういう”特別”に弱いからここでウインクすれば落ちる」パチッ
奈緒「まずあたしは男子じゃない」
奈緒「属性1位で全体で3位だぞ? もっと誇れって」
加蓮「実感湧かないなあ」
奈緒「来年のシンデレラガールだって狙える位置じゃないか」
加蓮「奈緒、それは失言じゃない?」
奈緒「え? あ……そうだよな、トップを狙うのにこれまでの結果とか、関係ないもんな……ごめん……」
加蓮「ううん、大丈夫。奈緒のそういう素直なところ、いいと思う」
奈緒「あたしだってシンデレラガールになってやる……!」
加蓮「え? 16位から?」
奈緒「二重人格を疑うぞ」
加蓮「冗談だよ。何が起きるのかわからないから楽しいんだもん。こういうのって」
奈緒「危うく手が出るところだったからやめてくれよ」
加蓮「でも3位かー……」
奈緒「中間発表からキープしたんだな。追い上げを振り切ったって感じか」
加蓮「いやー、関係者にお金をばら撒いた甲斐があったよ」
奈緒「加蓮の辞書にフェアプレー精神って言葉はないのか?」
加蓮「もし私が選挙演説中に倒れて病院に運ばれたら『選挙カーじゃなくて救急車がお似合いだな!』ってヤジが飛びそうだよね」
奈緒「その想定は必要か?」
加蓮「そのまま死んだら『救急車どころか霊柩車だな!』ってヤジが」
奈緒「登場人物にもれなく人の心がないんだけど」
加蓮「……死んでたまるか!」
奈緒「自分の妄想内の人物にキレるのやめろ」
加蓮「とはいえ、お祭りの後って感じがするよね」
奈緒「まあ、ようやく一息つけるって感じはするよな」
加蓮「やっぱりお仕事、増えるのかな?」
奈緒「だって3位だろ? そりゃ増えるって」
加蓮「あんまり忙しすぎるのは勘弁して欲しいんだけど……」
奈緒「贅沢だなー。お仕事したくてもできないアイドルだって多いんだからさ」
加蓮「奈緒だって眉毛が欲しくても生えてこない人に失礼だと思わないの!?」
奈緒「なんでキレた???」
奈緒「理不尽ここに極まれりって感じだ」
加蓮「アイドルたるものちょっとやそっとの誹謗中傷には負けられないからね」
奈緒「誹謗中傷は『ちょっとやそっと』には含まれないだろ」
加蓮「でも有名人って大変だよね」
奈緒「まぁ……あることないこと書かれるってのは苦労するよな」
加蓮「私もこの前書かれちゃってさ」
奈緒「え? そんなことあったのか?」
加蓮「『アイドル北条加蓮、昼は学校に!?』って!」
奈緒「まごうことなき真実じゃねぇか」
奈緒「『夜はキャバクラで!?』みたいなテンションで書くんじゃねぇよ」
加蓮「他にも『朝はパン!?』とか『午後は一休み!?』とか『夕方はポテト!?』とか!」
奈緒「いちいちうるさいなってかまたポテト食ったのかオイ」
加蓮「あっ、凛には口止めしたのに……」
奈緒「本人がバラしてたら世話ないな」
加蓮「まぁまぁ、話題を戻そ?」
奈緒「……ほどほどにしとけよ」
加蓮「はーい♪」
奈緒「でも、3位になった感想とか、コメントは求められるんじゃないか?」
加蓮「あー、確かに……」
奈緒「どうするんだ?」
加蓮「じゃ奈緒、ちょっと私にインタビューしてみて? 小粋な切り返しを披露するからさ」
奈緒「あー、めんどいスイッチ踏んだやつだ」
加蓮「どうぞ!」
奈緒「しょうがないな……」
加蓮(優しいなぁ)
奈緒「じゃあ……『3位になった率直なお気持ちをお願いします』」
加蓮「そうですね、先発ピッチャーが頑張っていたので」
奈緒「これヒーローインタビューだな」
加蓮「次!」
奈緒「今ので答えた扱いかよ」
加蓮「いいからいいから」
奈緒「わかったわかった……『中間発表でも3位でしたが、そこでの気持ちの切り替えなどはありましたか?』」
加蓮「はい……あの日は雪が降っていました……」
奈緒「降ってない。全く降ってない」
加蓮「あちゃー、外したか」
奈緒「4月の話なのに雪降ってる方に賭けんのは分が悪すぎるだろ。お前は賭ケグルイか」
加蓮「それは楓さんでしょ」
奈緒「中の人の話はしてない」
加蓮「あ、楓さんはサケグルイか」
奈緒「ホント度胸だけは超一流だよな」
加蓮「なんの話だっけ?」
奈緒「インタビューの練習だろ?」
加蓮「『――こういうのは初めて?』」
奈緒「急にいかがわしくなるのやめろ」
加蓮「うん、頭が暖まってきた。どんな質問でも返せるよ」
奈緒「頭が暖まるって表現がすでに不安を煽ってくるんだけど」
加蓮「ほらほら!」
奈緒「ええ……じゃ『今の喜びの気持ちを誰に伝えたいですか?』」
加蓮「奈緒です」キッパリ
奈緒「おま……そういうのホントマジで……」
加蓮「照れちゃって~」
奈緒「さっきまで振り回されてたから情緒がついてきてくれないんだよ」
加蓮「練習はこれくらいで大丈夫かな」
奈緒「ほとんど大丈夫じゃなかったけどな。恥をかくのは加蓮だぞ」
加蓮「問題ないよ。外ではちゃんとしてるから」
奈緒「あたしともちゃんと話してくれ」
加蓮「なんの話がしたい?」
奈緒「いや別に、決まってるわけじゃないけどさ」
加蓮「明らかにタイトルは『祝えなおかれん』がふさわしいのにそのネタは奈緒の誕生日にもう使っちゃってて別のタイトルをひねり出すのに苦労した話?」
奈緒「やめろやめろやめろ」
奈緒「あたしが悪かったよ」
加蓮「わかればよろしい」
奈緒「納得はできないんだよな」
加蓮「あ、もういい時間だよ。そろそろ帰る?」
奈緒「ああ、本当だ」
加蓮「好きな人と過ごす時間は短いんだね」
奈緒「ここから百合展開は無理だろ」
加蓮「ちぇー」
奈緒「にしてもお腹空かないか?」
加蓮「!」
奈緒「?」
加蓮「じゃ、奈緒♪ 2人とも入賞した記念に……」
奈緒「え?」
加蓮「わかるでしょ?」
奈緒「あ……はぁ……わかったよ。今日は見逃してやる」
加蓮「ありがと♪ じゃあ、10分後に有刺鉄線の前で集合ね!」
奈緒「まさかのデスマッチの方」
おわり
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