【ガルパン】麻子「美少女ゲーム、か、これ?」 (15)

麻子「これは、いわゆる美少女ゲームか……暇つぶしになればと通りがかったゲーム屋のお楽しみ袋を買ったんだが、失敗だったか」
麻子「しかし勿体ないしな。やるだけやってみるか」
麻子「これは……戦車道をテーマにした作品なのか。男性向けにしては珍しいな。戦車に興味がある男子なんて少ないだろうに」
麻子「ええと、面倒くさがり屋で天才肌の麻子斗は学校をさぼって昼寝しているところで戦車道の試合に巻き込まれる。なんとその戦車に乗っていたのは転校生の東住みおで……なんだこりゃ。既視感があるような無いような……」
麻子「……とりあえずメインヒロインらしきこの西住……じゃない東住って子の話を見てみるか」

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麻子「……思ったより、いや想像よりはるかにいい話だった。
戦車道を通して学校を立て直す王道展開とひがし……いいや、西住さんっぽい子のトラウマや確執と向き合い絆を深めていく。
似た様な人を知ってるせいかなんだか異常に感情移入してしまった……」
麻子「なんだなんだ面白いじゃないか美少女ゲーム……。これはいい買い物だったぞ」
麻子「次は……五十鈴さんっぽい人の話を見てみるか」

麻子「……こ、これは」
麻子「……はぁ……はぁ。まさかこんな……」
麻子「て、ティッシュはどこだ……ふぅっ」
麻子「うぅ……はぁ……」
麻子「な、なんで感動的な話なんだ……ティッシュが手放せながった……ぢーむ」
麻子「浮世離れていまいち馴染めなかった五十鈴さんがふと見せる可愛い一面、そう思わせてからの怒涛の泣きの泣きの展開……!」
麻子「柄にもなく号泣してしまった……一人暮らしで良かった……」

麻子「次は……、ん? もう11時か……そろそろ寝ないとまた遅刻……でももう一人くらい……
秋山さんっぽい子にするか。正直メインヒロインルートでなんどもいいところでお邪魔虫をしてくれた悪い印象があるんだが、
そんな印象をもったまま本物の秋山さんに変な気分になっても嫌だしな、うん」

カチカチカチ…… 

麻子「……ふ、普通の話だった。普通に仲良くなって普通に付き合って終わった……。
他のキャラに比べて薄味……というか、戦車関係の薀蓄を飛ばしたら実質他のキャラの三分の一もないんじゃないか、内容?」
麻子「……うーむ、なんだか食い足りないぞ……ショートケーキを期待したら食パンを出されたくらい食い足りない……
ええい、時刻は12時を回ったばかり! もう一人行くぞ!」

麻子「……別に避けていた訳じゃないが……沙織っぽい子の選択肢だけ妙に露骨で回避余裕だったんだよな……ええと、『恋愛相談する』っと」
麻子『そうだねー、今麻子斗は東住さんとちょっといい感じかな』
麻子「……え?」
麻子「……なんだこれ、ほんとに恋愛相談するだけ……? 他のキャラの好感度教えてくれるだけ……?」
麻子「……いやいやまさか。幼馴染で毎日起こしに来てくれて料理が上手くて誰からも慕われて
本気出す時は眼鏡をかける美少女が攻略対象じゃないなんてこと……」
麻子「……う、沙織にだけ話しかけていたらバッドエンドに……だれとも結ばれずに終わってしまった……」


麻子「……総当たりだ。他の選択肢全部選んでいってみよう……」

麻子「あ、秋山さんは薀蓄を否定すると喧嘩別れしてからピンチに再開する劇的な話になった

……なるほど、こう言うのもあるのか。妙に薄味だと思ったんだ」
麻子「五十鈴さんは一転コメディに……正直泣かせる話の方がいいな。でもあの展開を知った

後だと二人で仲良く馬鹿やってるだけで泣ける……うぅむ、奥深い……」
麻子「西住さんっぽい人は……おお! こんな選択肢前はなかったぞ! 新ルート……あ、逸

見さんっぽい人がでてきて……」
麻子「……素直になれない逸見さんっぽい人は可愛かった。可愛かったが……違うんだ……う

ーん、いったいどうやったら沙織っぽい子の話が……選択肢はほとんど選んでしまったぞ……

時刻は深夜三時過ぎ……明日も遅刻確定……」
麻子「ん? タイトル画面に何か……EXTRA? なに……? 全ルート攻略のご褒美? 

隠しヒロインか! ははは、沙織め、何様のつもりだ! だがようやくだ、これで……これを

クリアしたら寝れる!」


麻子「……まさかのハーレムルートだった。違うんだ。いや、そど子以下風紀委員百人のハーレムという衝撃の内容もさておき、
それでも十人くらいは演じ分けてた声優さんすごいって感想もさておき……」

麻子「ほ、本当に沙織ルートはないのか……? おまけのCGや回想も100パーセントになってしまった……
し、しかしありえるのか?」
麻子「ネットで調べてみよう……なにか見落としてるのかもしれない……」


レビュー hana
『男性向けのゲームで戦車道にスポットを当てているというもの珍しさから購入しました。思った以上に本物の戦車道に近い描写が多く、
あるあるなどもツボを抑えていて好印象でした。ただお気に入りのキャラに攻略ルートがなくがっかり。一目見て非常に美味しそうだと
思っていただけに残念です。アペンドディスクや追加エピソードなどでの補完を期待します』

麻子「ほんとに無いのか……いやしかし、そうだ、追加エピソード。そういうのでもこの際全然いい。これだけの作品、
人気作に違いないし、沙織もキャラそのものは大変魅力的だった。きっと人気を……」

 
レビュー kame
『残念ながらこれこの制作会社の遺作なんだよね。これ以上の展開は期待できないかな』
麻子「」


麻子「……もう寝よう。例え三時間でも寝なきゃだな」
麻子「……………………」
麻子「…………ええい寝れるか! このもやもやした気持ち……せめて何か
他に情報を……レビューでも感想でもいいから……携帯でネットサーフィンでもして……」


麻子「『戦車道ゲームに致命的なバグが見つかるwww』……もしかしてほんとにバグなのか?」
麻子「違うな、あくまで『こんなのバグだろ』ってネタか……ふ、ふふふふふ、そうだよなバグだよな。
こんなの可笑しいよな。沙織を惜しむ意見を言う人がなんかやたらと戦車道に造詣が深いコメントばかりな気がするがまぁともかく」
麻子「…………な、なにか情報」

麻子「……ん? コンシューマ版?」
麻子「そうか、このゲームはいわゆる18禁ゲームの家庭版なのか。妙に話がスキップすることがあると思ったら……待てよ」
麻子「そうか……そうか……沙織はエロ過ぎて家庭版ではオミットされたんだな! 
掲示板の会話もいわゆる悪乗りというやつなんだな! そうと決まればおばぁの情報で作ったアカウントでダウンロードショップから!」

麻子「は、はははははは! 最序盤から全開じゃないか! なんだなんだ! 朝いつも起こしにくるってそういう意味だったのか! 
このエロ女め! 選択肢も出る! なんだこのルートは、エロシーンばかりじゃないか! 右手の休まる暇もない! 
このビッチめ! あーっはっはははははああ!」

『ほぉら、麻子斗♪ まだできるでしょう? 起きなってば♪』

沙織「起きろー、起きてってば麻子ぉ!」
麻子「……は」
沙織「やっと起きた。もー、また遅刻しちゃうよ? ご飯作ったげるから着替えときなよ」
麻子「……夢か。そうだよな。なんか生えてたし……うん、昨日掲示板で情報を漁りながら寝ちゃったんだな。
ってことはゲームをやったのは事実で18禁版があるというのが夢……だな、うん、そんな情報ないし」
沙織「もー、麻子ってばまだ携帯なんて触って……昨日いつまで起きてたの?」
麻子「夢……か、いや、私の目の前には沙織が居るぞ」
沙織「え、そりゃいるよ?」
麻子「夢の中にしかいない沙織が居るならここも夢の中か。ならば躊躇うこともないな」
沙織「麻子? 何言ってるの? 寝惚け過ぎじゃない」

麻子「沙織ぃ!」
沙織「きゃっ! ちょっと麻子!?」
麻子「散々おあずけを食わせておいて結局……大した魔性っぷりだよお前は!」
沙織「ちょ! 麻子!? 服引っ張らないで!」
麻子「さぁ、そのまま飲み込んでくれ私の75mm砲……」
沙織「そんなものあんたには付いてないし砲手でもないし……! いやそもそも
どういう寝惚け方これ!?」
麻子「ここまでじらされたんだ……ボイスは一切飛ばさずじっくりやるぞ……
なんなら主人公の台詞を読み上げながらねっとり感情移入していくからな沙織ぃ……」
沙織「いいかげん起きてってば麻子……! っこら! どこ触って……! ……ぁあ」

沙織「やだもぉーーーー!!」

以上です。お目汚し失礼しました。初投稿なのでルールミスなど至らぬところがありましたらご指摘いただけると幸いです。

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