【ガルパン】学園艦での生活 (23)

ガルパンの大洗女学園の日常風景を見たいと思ってやりました。
ガルパンは設定が独創的なので想像力をかき立てられます。
戦車要素・百合要素はあんまないです


杏「いやーインフルエンザが流行しててね」

杏「船舶科や栄養科にもダウンしてるのがけっこう居て、休ませなきゃいけないんだよ」

杏「というわけで今日から臨時シフトI種が艦内に適用されるから、
  みんな自分に割り当てられたワッチ確認しといて」

みんな「はい!」

華「臨時シフトですか。久しぶりですね」

麻子「朝起きずに済むんだからこっちの方が楽だ」

沙織「私は調理係か。よーし、頑張っちゃうよ!」

優花里「あ、西住殿は大洗では初めてではないですか?」

みほ「うん。中等部では流石になかったけど、黒森峰高等部ではあったよ。
   わからないことが有ったら訊くね」

優花里「はい! お任せください!」

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AM5:20
ピピピピピピ
沙織「ん?もう朝……?」カチッ


AM5:50
みほ「沙織さん、おはよう」

沙織「おはよーみぽりん。調理室はあっちだよ、案内するね」

みほ「うん」


AM6:00
桃「では、早速朝食作りに取り掛かる。このホールで作るのは500人分の朝食だ」

桃「役割を分担して流れ作業で作るぞ。では、持ち場につけ!」

みんな「はい!」

沙織「それそれそれそれそれ!」ペタペタペタペタ

みほ「わ、沙織さんすごい。どんどん鉄板にハンバーグが並んで行くよ」

沙織「ふふふ。きれいに並べるのがコツだよ。1分経ったら片っ端からひっくり返してね。
   どんどん次のパテが流れてくるから」

みほ「う、うん! よいしょ、よいしょ」

沙織「その調子! 数が多いから、ちゃっちゃと終わらせちゃうよ!」


AM6:58
桃「よし、順調だな。では食堂に運ぶぞ!」

みほ「な、なんとか終わった……」

沙織「朝から疲れたねー……」

優花里「西住殿! おはようございます!」

みほ「優花里さん! 華さん!」

華「お二人も今日は朝食は食堂で取られるかと思いまして、ご一緒にと」

沙織「ふふふ。みぽりんが頑張って焼いたハンバーグだからねー、期待していいよ」

優花里「おお! それは楽しみであります!」

みほ「麻子さんはまだ寝てるのかな?」

沙織「そりゃもう、ぐっすりでしょ」

華「ふふふ。麻子さんは調理係でなくてよかったですね」

AM8:00
桃「では、明日の献立会議を始める。みんな家庭科の教科書は持ったな?」

桃「大事なのは栄養バランスだ。まあ、家庭科の授業の延長だと思ってくれ」

桃「では、何かアイデアはあるか?」

沙織「はい! 納豆が食べたいです!」

桃「却下だ! 今朝も納豆だったろうが!」

沙織「ええ!? 納豆って毎朝食べるでしょ!?」

みほ「はい! マカロンが食べたいです!」

桃「おやつの意見は聞いてない! 却下だ!」

AM8;26
桃「よし、決まったな。諸君の今日の仕事は終わりだ」

桃「9:40から今日の授業が始まる。普通科は支度を済ませて登校しろ。以上、解散!」

沙織「うへー、この後普通に学校かぁ」

みほ「授業前に疲れちゃったね……」

桃「これが学園艦というものだ。むしろ、普段学食を作ってくれている
  栄養科の生徒たちに感謝するんだな」

みほ「そっか。栄養科の人達はいつもこんなことしてるんだよね」

沙織「栄養とかも考えられてるし女子力高そう……うう、負けてられないね!」

桃「言っとくが授業中に寝たりするなよ! 戦車道履修者の評価に関わるからな!」

2人「はーい!」

AM9:30 管制室
柚子「普通科の皆さんはわからないことも多いと思いますけど、気軽に聞いてくださいね」

柚子「では、一旦停艦します」

華「え? こんな何もない海の真ん中でですか?」

優花里「海域を表すブイに乱れが有ったそうなので、それを直すそうです」

柚子「作業は潜水士の資格を持つ生徒がやってくれるから、秋山さんはオペレートをお願いね」

優花里「任せてください!」

華「へえ、そんなことも船舶科の方の仕事なんですね……あら」

華「小山さん、海域の漁獲量データのようです」

柚子「ありがとう。……うーん、やっぱり今年はアジとサンマが少ないね」

華「!? そんな! アジとサンマが採れなくなったら何をフライにすればいいんですか!?」

優花里「い、五十鈴殿! 落ち着いてください!」

AM11:00
柚子「次は在庫の確認をお願いします」

華「これは、前回の寄港時に積み込んだ文具ですか?」

柚子「そう。大洗女子には中等部と合わせて1万8千人の生徒が居るから、
   文具の消費サイクルもものすごいの」

優花里「中身と数を確認するんですね。航海士の仕事は、とにかく確認ですからね!」

華「確認がお仕事なんですか?」

優花里「そうです! 船は一度海に出たらしばらく陸へは戻れませんから。
   『あるはずのものがちゃんとある』ことを確認するのは航海の生命線です!」

華「なるほど! 確かに、積んだはずの食べ物が無かったら大変ですものね……!」

優花里「もし戦車の燃料が底をついてしまったら……ああ、生きていけません……!」

柚子(この2人にはそういうものは絶対チェックさせないようにしよう)

AM12:00
柚子「お疲れさま! 今日の仕事はこれで終わりだよ」

優花里「ふー、疲れましたぁ~」

華「ですが、新鮮でしたね。学園艦は普段こうして運用されているんですね」

優花里「そうですね。学生が自分達で運営と管理を行う。
    学園艦は教育における自主と独立の象徴ですから!」

柚子「昼休みを挟んで、13時40分から授業が始まるから、間に合うように登校してね」

華「そっか。この後は学校で授業なんですね」

優花里「西住殿と武部殿は4限が終わり次第学食に来るでしょうし、
    一緒に食べようってメールしときます!」

華「ふふ。登校して最初に学食に行くっていうのも、なんだか変な感じですね」

PM1:30
麻子「う~む。気持ちのいい朝だな」

そど子「もうお昼過ぎよ! まったく、なんで昼に起きなきゃいけない時には起きれるのに、
    朝に起きなきゃいけない時には起きれないのよ!」

麻子「生活リズムの乱れは現代人の立派な病だ。仕方ない」

そど子「なら病院で治してもらいなさいよ……さて、遅刻の取り締まりを始めるわよ」

麻子「任せろ。学校に遅れる不届き者は残さず取り締まってやろう」

そど子「まさか冷泉さんが遅刻の取り締まりをする日が来るなんて……世も末だわ」

麻子「お前こそ、新学期が始まって数日はけっこうギリギリに登校してたろうが」

そど子「仕方ないじゃないの。ふぁ……アンチ風紀委員になってたときのブランクが抜けないのよ」

麻子「かっこよく言うんじゃない。元ヤン風紀委員め」

そど子「失礼ね! 私はただ〝ウチ〟らの〝シマ〟を荒らす〝シャバ憎〟どもに
    〝ルール〟ってもんを〝レクチャー〟してやろうと思っただけよ!」

麻子「夏休み以来お前のしゃべり方なんかどんどんすごい事になってるぞ……」

そど子「だいたい私はその気になれば遅刻しても遅刻にならないのよ」

麻子「はあ?」

そど子「貴方の遅刻データの改ざんをやったのは誰だったかしら」

麻子「……お前、それはもう職権乱用だろ」

そど子「違うわよ。職じゃないし。私は高等部の普通科生徒に限って出席データの管理権限持ってるもの」

麻子「なんでこんな奴にそんな権限を……」

そど子「角谷会長の許可のもと委任されてるの。あの人、自分は働きたくないから、
    その分各組織のリーダーには働き者を置いてるみたいね」

麻子(その結果あんなことに……)

そど子「感謝しなさいよ。遅刻200日免除は生徒会の公約だけど、
    私が柔軟なおかげで貴方の遅刻データは白紙になったんだから」

麻子「ぐぐ……言い返せない……」

そど子「ま、今思えば風紀委員でも融通がききそうってことで私が戦車道に呼ばれたのかしら」

麻子「そういやお前って風紀委員のリーダーなのか」

そど子「そうよ。といっても中等部は指揮権が違うし普通科以外のことはあんまわかんないわ。
    風紀委員100人って多いと思うかもだけど、中等部にも実は100人いるわよ。
    この艦の規模だとこの人数はむしろ少ないわよ」

麻子「へえ、そんなもんなのか」

PM2:00
そど子「さて、次は見回りを行うわよ」

麻子「だるい……このままずっと遅刻の取り締まりをしてればいいだろ」

そど子「あんた風紀委員の仕事をなんだと思ってるのよ!」

麻子「買い食いとケンカだろ」

そど子「うるさーい! 忘れたわそんなこと! それに風紀委員の見回りはとても重要なのよ!」

麻子「なんだよ。結局取り締まりだろ」

そど子「それだけじゃないわ。学園艦は生徒によって運営されてるんだもの。
    汚れてるところはきれいにする。艦内の老朽化してるところを見つけて、
    報告するのも風紀委員の仕事の一つよ」

麻子「なんだそりゃ。学校の委員会ってより運営業務の一環じゃないか」

そど子「今は特に臨時シフトI種が発令されてるからね。委員会ってより、
    これは航海士としての仕事よ」

麻子「面倒だ……学生がなんでそこまで責任を負わなければならんのだ」

そど子「それが学園艦だもの。あ、そこ、ガードレールがへこんでるわ。チェック」

麻子「なんだか公務員になった気分だ」

PM3;00
麻子「うーむ。相変わらず艦内に潜ると迷宮だな……」

カエサル「おや、冷泉さん。お勤めかい?」

麻子「ああ。見回り兼ゴミ拾いだな。艦内の清潔さを守るのも航海士としての仕事だとか」

カエサル「ははは。お互い雑用を押し付けられたな」

麻子「カエサルさんは何を?」

カエサル「似たようなものさ。トイレ掃除だよ。彼女とね」

ゴモヨ「あ、冷泉さん。お疲れさま」

麻子「ああ。トイレ掃除か。大変そうだな」

ゴモヨ「そうでもないよ。結局、トイレって人間にとってとても大事な場所だから。
    ここをきれいに保つのは航海士としての仕事の中でも重要なことなの」

麻子「なるほど……確かに、言われてみればそうかもしれんな」

ゴモヨ「受け売りなんだけどね」

麻子「え?」

ゴモヨ「そど子がいつもそう言ってるの。そど子、誰に褒められるわけでもないのに、
    そう言っていつもしっかりトイレ掃除やってるのよ」

麻子「………………」

そど子「冷泉さーん! ちょっと! 先に行くんじゃないわよ!」

麻子「………………」

そど子「? 何よ」

麻子「いや、そど子にもちゃんと先輩らしい部分はあるんだなと思ってな」

そど子「なによそれ。ていうかそう思うなら敬語を使いなさいよ!」

麻子「はいはい」

そど子「はいは一回!」

麻子「はーい」

PM4:00
そど子「ではこれにて本日の業務を終了するわ。ヒトナナヨンマルから夜の授業が始まるから、
    冷泉さんは一度帰って支度しなさい」

麻子「おう。……ん? お前はどうするんだ」

そど子「この後、風紀委員としての点呼とか終礼があるのよ。それが終わってから戻るわ」

麻子「ふーん……」

麻子「なら私も付き合ってやろう。今日は眠くないしな」

そど子「……え? で、でも、人数が多いから少し時間かかるわよ?」

麻子「気にするな。私も今日は風紀委員だ」フッ

そど子「…………っ……」

そど子「……そ、そうね! よく考えたら冷泉さんがついてくるのは当たり前だわ!
    これを機に風紀委員のすごさをよくわかってもらおうじゃない!」

麻子「ふふ。そうだな。たっぷり見せてもらうとするよ」

そど子「ちゃんと背筋を伸ばしなさいよね! 終礼の場でだらっとしてたら許さないわよ!」

麻子「はいはい」

そど子「はいは一回!」

麻子「はーい」

PM5:00 生徒会室


梓「会長、艦内の老朽化部位のデータの更新です」

杏「はいはいっとー。確認しとくよー」

優希「会長ぉ~、次回寄港時の補給備品のリストです~」

杏「はいはーい。確認して陳情ねー」

杏「しっかし悪いねー。河嶋と小山が現場指揮に出払っちゃってるからさー」

梓「いえ、先輩たちは現場で頑張ってるんですから、私達も手伝えることはやりますよ」

杏「出来た子だねぇ~、どう? 澤ちゃん、再来年の生徒会長、やってみる気ない?」

梓「ええっ!? わ、私がですか!?」

杏「見込み有ると思うんだよね~。ま、考えといて」

桂利奈「会長ー! 月末の体育祭の競技案でーす!」

杏「あー、それ、磯部ちゃんを実行委員にしたからさ、持ってっちゃって」

桂利奈「あいー!」

杏「やれやれ。働きたくないから会長なんてやってるんだけどねえ。
  河嶋と小山、さっさと戻って来てくれないかな~」

PM:5:00
みほ「うわ……大きい夕焼け」

華「やはり、海の上で見る夕日はすごいですね」

優花里「お? あれは……冷泉殿!」

麻子「ん、なんだ、みんな今授業終わったところか?」

沙織「私とみぽりんはね」

華「私と優花里さんはまだ授業残ってます」

麻子「私達を置いて先に帰る気か沙織。裏切者め」

沙織「えー羨ましいー? なら変わってあげてもいいよー♪」

優花里「武部殿、明日も5時起きですもんね」

麻子「…………前言撤回だ。人間が5時に起きれるか……」

みほ「あはは。戦車道の朝練とあんまり変わらないけどね」

沙織「とりあえずみんなお疲れさま! どうだった? 学園艦のお仕事は」

みほ「私と沙織さんは料理だったけど……あれは料理と言っていいのかな……
   なんかすごい新鮮だったよ……」

華「私たちは管制室でのお手伝いと……」

優花里「積み荷の確認でしたね。航海士としての作業の基本です!」

麻子「私は、艦内のチェックと清掃だったな」

麻子「地味な作業だったが……しかし、船の上においては、あれも重要な仕事なんだろうな」

沙織「なんか、改めて、自分達が学園艦に住んでるんだってことを自覚したよー」

華「そうですね。大人になったら陸へ上がるのかもしれませんが。
  私、なんだかこの船のことがもっと好きになった気がします」

優花里「私もです! 船舶科の仕事には以前から興味が有ったので、
    今日体験出来たのは幸運でした! やはり学園艦は現代教育の象徴です!」

麻子「普段は当たり前だと思っていたものの側面を知れたな。いい機会になった」

みほ「うん……そうだね」

みほ「私も、この船のことが、この船でこうしている時間が、ずっと大切で、
   ずっと大好きになれた気がするよ!」

華「生徒達に愛される学び舎、ですか……」

優花里「それこそが、学園艦の本当の目的なのかもしれませんね!」

PM10:00
みほ「さて。そろそろ寝ないと」

みほ「おやすみ。ボコ」カチッ

みほ「………………」スウ


お姉ちゃん。

今日は、学園艦の臨時シフトによって、学園艦の運営のお手伝いをしました。

普段当たり前みたいに動いてる学園艦が、色んな人の協力によって支えられてるんだと改めて実感しました。

この船を知れば知るほど、この船のことが好きになっていく気がします。


大洗女子学園は、全長7600mの学園艦で、中等部・高等部に9千人ずつ。

1万8千人の生徒と、その家族や職員さんなどで、3万人が暮らしています。

学科は、普通科、商業科、被服科、水産科、船舶科、情報科、栄養科、農業科の九つがあって、

普通科はさらに第I科・第II科・第III科に分かれていて、計11の科が有ります。

戦車道は、今年復活したばかりで、まだまだ黒森峰の設備には遠く及ばないけど。

ここの生徒のみんなは、みんな優しくて、でもわがままで、一緒にいて楽しいです。

和風の露天風呂から見る夕焼けが、とても綺麗なんです。


私、この学校に通えて、すごく幸せです。

いつか、お姉ちゃんも遊びに来てください。お姉ちゃんにも、私の学校を見せてあげたいの。

エリカさん達と、遊びに来てください。この大洗女学園で、貴方をお待ちしています。

大好きなお姉ちゃんへ    みほ

数日後 学園艦・黒森峰学園

まほ「………………」

エリカ「隊長。どうしたんですか。練習始まりますよ」

まほ「…………、みほから手紙が来た」

エリカ「え、副隊長からですか……?」

エリカ「……はっはーん。さては! 大洗女子で同級生からの陰湿なイジメにあっていて!
    隊長に助けを求めてきたんですね!? そうですね隊長!」

まほ「………………」

エリカ「隊長! これはチャンスですよ! 副隊長とのすれ違いを正すチャンスです!
    黒森峰の戦車道履修者にも、今年の大会以来、副隊長を見直す風潮は高まってますし……」

まほ「エリカ」

エリカ「はい?」

まほ「非常に……非常に残念な……後悔しきれない……悔やんでも悔やみきれない……
   これが現実だと認めたくない……余りにも絶望的な事実を……
   私は……私はお前に伝えなければならない……!」ギリッ

エリカ「た……隊長……? 一体……副隊長の身に何が……」

まほ「みほは……みほは……!」ギリリリリッ!


まほ「……大洗女子学園で……とても幸せみたいだ……」


短いですが以上です。なるべく原作を意識して、アニメで実際にありそうな感じを意識してみました。
というかこういう日常シーンをアニメで観たいです。水島監督頼みます。
読んでいただいた方、ありがとうございました。

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