【モバマス】菜々「菜の花は、ナナの花」 (18)

ちょっとだけ独自設定あります

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P「菜々、今度の仕事なんだが……」ガチャ

菜々「はい。何ですかー? あ、ここで話します?」

P「の、つもり」

菜々「ちょうど良かったです。はいお茶どうぞー」

P「お、さんきゅ。で、資料。これ受けてみないか?」パサリ

菜々「いえいえー。あ、資料ありがとうございます」

P「どうだ?」

菜々「ナナが、観光PR大使……え、っと千葉県。ですか……」

P「だな。名所で写真を撮ったり、簡単なエッセイ書いたり、イベントに顔出したり、が今のところの予定」

菜々「むう……」

P「少し考える時間欲しいかもなー。ゆっくりでいいから」

菜々「分かりました。ちょっとだけ待ってもらいますね」

菜々「千葉、千葉かあ……」


菜々「Pさん、覚えてます? ナナのお仕事が増えてきた頃、いっこだけお仕事受けずに逃げちゃった時の事」

P「ああ、覚えてる。それも確か……」

菜々「千葉の菜の花畑でのロケでしたね」

P「二人でコッテリ絞られたなあ……何とかなって良かったぞホントに」

菜々「うう……その節は本当にご迷惑を……」

P「いや、そこまでプロデューサーの仕事だからな。ちゃんと意思疎通出来てなかったのも悪い」

菜々「ですね。あの後から色々話すようになった気がします」


P「今は休みが合わなくて不燃物出せない、とかクソどうでもいいことまで知ってる」

菜々「どうでも良くないですよ!? 玄関で見る度に思い出すんですから!」

P「こほんこほん」

菜々「Pさんが茶化すから……」

P「すまん、つい……」

菜々「何だかもう、懐かしいですね」

P「あの頃も菜々は永遠の17歳でした……」
菜々「余計なナレーション入れないでもらえますか!?」


~〈ピー〉年前~

ピンポーン

P「よー、来たぞー」

菜々「あ……プロデューサーさん。えと」

P「話しづらいか」

菜々「ごめんなさい。どう……なりましたか?」

P「代打オレ」

菜々「……」ジー

P「うそうそ。ちゃんと任せたよ。奈緒が行ってくれた。地元でもあるしなー」

菜々「良かった……落ち着いたら謝らないとですね」


P「んで、これ持ってきた。ビールとおつまみ~」ジャン

菜々「……そういう気分だと思います?」

P「シラフじゃ話せんだろ?」

菜々「えーと、ナナは17歳……」

P「登場人物は全員20歳以上です」

菜々「それ、結局17歳じゃなくなってますけど……」

P「ま、いーや、俺は飲む。菜々さんはお好きに。ウーロン茶もあるぞ」

菜々「うん…うーろん茶、に、しますー」

P「とりあえず、諸々は置いといて。仕事は何とかなってるので気にしなくてヨシだ」

菜々「は、はい」

P「乾杯!」グイッ

菜々「かんぱい……」チョコン


菜々「そもそもねー、ほーれんそーがなってないんですよぉ! 信用してます、信用してますよ? でもねー、ナナにも色々あるんですよ、いろいろ」

P「ああ」

菜々「あとねー! お酒がハタチからなのオカシイと思うんですよお!ナナが総理大臣になーったら、法改正しまーす。きゃは……」グラグラ

P「話それてんぞ。アンド俺はなにも見ていない」

菜々「あんですかあ~。麦のお茶しか飲んでませんよ~、ナナわあー」

P「そうだな。その通りだ。何故そうなってるのか良く考えてみた方がいい」

菜々「よーく、考えよー…むにゃ」ガクンスピー

P「んで、速攻で潰れるのかよ……」


P「寝てる?」

菜々「…………」

P「ま、ワガママ聞いてやるのが、プロデューサーの甲斐性だからな。もっと色々言ってもいいぞ」

菜々「…………」

P「特に菜々さんは抱えこんじゃうタイプだと思うし」

P「色々気づけなくて、ごめんな……」

菜々「…そっかー。そんなこと考えていたんですねぇ」ゴロン

P「起きてんのかよー……」ガクッ

菜々「寝てると思って言ってたなら、色々情けないですよ?」

P「返す言葉もございません」

菜々「ナナはですねー。ウサミンじゃないですかあー」

P「ウーサミン!」ピョコ

菜々「……聞く気あります?」

P「黙ってます」

菜々「よろしい」


菜々「よく連れて行って貰ったんですよね…菜の花畑とかあの辺。字が一緒だから、珍しくもない花だけど何となく好きで。思い入れのある分、行きづらくて……」

菜々「ナナ、ちょっとだけ、演じてる所あるんです」

P(ちょっとか……?)

菜々「普通の女の子の、菜々じゃなくて、私はアイドルのナナ、って」

菜々「だから、地元に行ったり、『菜々ちゃん』の知り合いに会ったり壊れちゃうんじゃないかな。夢から
覚めちゃうんじゃないかなって思って、少し怖くなっちゃったんですよね……」

P「その辺ひっくるめて、アイドルのナナだと思うけどな」

菜々「うん。そうなんですよね……でも、こうなら大丈夫! って自信はなくて」

P「まだまだ新人アイドルの内だしな。そのうち胸張って、凱旋ライブ行けるくらいになろうな」

菜々「はい。明日……あ、もう今日ですけど、頑張っていきますよー!」グッ

P「おう! 頼むな!」


菜々「それにしても……」

P「ん?」

菜々「17歳アイドルの家にお酒持って来るって何考えてんですかねえ……」

P「フッ」

菜々「鼻で笑われたー!?」

~現在・菜の花畑~

P「PR大使、受けたからには、ちゃんと知っとかないとな」

菜々「はいっ!」

P「断ってもいいとは思ってたんだけどなー」

菜々「いえ、いつまでもほったらかしに出来ないですからね」

P「これまでのプロデュースで、ちっとは自信持ってもらえたかな」

菜々「ふふ、今日はナナが案内しますよー」

P「今回は下見だけだし、気楽に行こうな」

菜々「はーい」


P「お、そろそろ着くか?」

菜々「うわー! 一面、菜の花ですよ、Pさん!」

P「写真じゃ分かんないけど、ずーっと広がってんだなー」

菜々「綺麗でしょう? やっぱり、好きですね、この風景……」

P「ああ、のどかでいいなー。落ち着く」

菜々「ですよね。あ、ちょっとだけ話しても良いですか」スタスタ

P「? 何だ?」

菜々「菜の花は、菜々っていう名前は、私にとって、変わる前の自分だったんです。何処にでもある、名前の無い野の花」

菜々「ウサミンのイメージじゃない、って勝手に思ってたんですね。千葉って言われる度に否定して」

菜々「でもねっ、ファンのみんなは凄いんですよっ。どんなナナでも受け止めて応援してくれる。ここも、やっぱり私の一部だから。菜の花畑の、菜々もみんなに見せたいんですっ」ニコッ

P「そうか……折り合い着いたなら、それでいいかもな」

菜々「ですっ!」


菜々「夕美ちゃんに教えて貰いました。菜の花っていう名前の花は無いんですって。そんな名前のない花をウサミンにしてくれたのは、やっぱりPさんとファンのみんなですよっ」ニコリ

P「あっ、ちょい待て」パシャ

菜々「?」

P「写真写真。これは今日一番の顔かな。下見だけのつもりだったけど、何かに使いたいぐらいだ」

菜々「へへ、なんか嬉しいです……あ」


男の子「あっ、ウサミンだ! お母さん、ウサミンがいるー!」

母親「ホントだー。びっくりしたねー。あ、撮影中にすみません」

   男性「え、ウサミン来てんの!?」

   JK「ナナちゃん居るらしいよ~!」ザワザワ

P「あー、これは……」

菜々「バレちゃいましたねー。よしっ!」

菜々「はーい、ウサミンですよー。今日は友好関係のある千葉○○市に参上! 大好きな菜の花畑で撮影中、キャハ!」

「わー!!」

菜々「……でいいですかね、Pさん?」コソッ

P「やってから、弱気になるなよ……いいぞ、全力でファンサービスだ!」

菜々「了解です! ナナ、行きます、アカペラでメルヘンデビュー!!」ピョン

P「おい! 誰がそこまでしろって!?」

ファン「ワアアアー!!」

菜々「引かないで盛り上がって下さいねー! 電波で!?」

ファン「おっけー!!」

P「……後で社長に説教かなー、これ。でもまあ……」

菜々「みんな、ありがとー!!」ブンブン

P「今は、いいか」

おわり



菜々「Pさーん、戻りましたー!」タタタッ

P「おう、良かったぞ……ズズッ、グスツ」

菜々「Pさん泣いてるんですか?目も赤いし」

P「花粉症」

菜々「……ふふ」

ありがとうございました。誕生日にもシンデレラガールにも関係ない話ですが……
おめでとうウサミン!(あと17歳に酒飲ませて、すみません!)

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