カタカタカタ
P「……」カタカタカタ
ちひろ「プロデューサーさん、お先に失礼します」
P「お疲れ様です」
ちひろ「まだ残ってるんですか?」
P「はい、総選挙関連の仕事が終わってないので」
ちひろ「総選挙……終わったら終わったで大変ですね。ライブや収録、取材にテレビ出演、色んなイベントがあります」
P「嬉しいことですよ。アイドルにとっても俺にとっても。ファンの方に感謝しないと」
ちひろ「そうですね」クスッ
ちひろ「張り切るのはいいですけど、体調を崩さないようにしてください。みんな心配しますから」
ちひろ「これ、差し入れです。よかったら食べてください」スッ
P「ありがとうございます」
――――
カタカタカタ
P「ふぅ……一区切りついたか」
P「うわ、もうこんな時間か。そろそろ帰らないと……」
ガチャ
P(ん? まだ誰かいたのか)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1526309795
菜々「あ」
P「え?」
P「な、菜々!? なんで……!」
菜々「プロデューサーさんを待ってたら寝ちゃってて」アハハ…
P「他のみんなは?」
菜々「パーティーが終わったら順次帰宅しました。残ってるのは私だけです」
P「……」
菜々「分かってます、ごめんなさい。でもどうしても言いたいことがあって……」
P「明日でもいいだろう」
菜々「今日じゃなきゃダメなんです!」
菜々「ありがとうございます」ペコリ
菜々「私を……安部菜々をアイドルにしてもらって。アイドルとして活動させてもらって」
菜々「とっても充実した日々を過ごしてきました。辛いことや苦しいことでさえも、かけがえのない思い出です」
P「……」
菜々「その思い出の中に、今日。これ以上ないくらい素敵な出来事が刻まれたんです」
菜々「総選挙1位。まさか私が……シンデレラガールになれる日が来るなんて……」
菜々「これも全てプロデューサーさんのおかげです! あの日、プロデューサーさんがスカウトしてくれなかったら」
菜々「私はこの場所に立ててすらいなかった」
菜々「何度でも言います。本当にありがとうございます!」ペコリ
P「俺はただ手助けをしただけだよ」
P「アイドルとして人気を集めて、総選挙1位になれたのは菜々が頑張ったからだ」
菜々「プロデューサーさんのおかげでもあります! 落ち込んでる時に声をかけてもらって、すごく励みになりましたし!」
菜々「プロデューサーさんがいたからこそですよ!」
P「大げさ過ぎやしないか」ハハ
P「こっちこそありがとう。安部菜々っていうアイドルの近くで、シンデレラになるまでの軌跡を見ることができた」
P「こんなに嬉しいことはないよ。でも」
菜々「?」
P「まだ終わりじゃない。アイドルとしての道はこれからも続く」
P「ファンの人に魅力的な笑顔を。アイドルの安部菜々をもっと見せてあげてくれ」
菜々「はいっ! もちろんです!」ニコッ
P「うん。ところで電車大丈夫か?」
菜々「!!」
P「車で送っていこうか」
菜々「す、すみません……」
とりあえず14日に立てたかったので立てました
総選挙1位おめでとう!
ある程度書き溜めしたら、また投下します
――――
菜々「……」
P「寝ていいよ。着いたら起こすから」
菜々「いえ、眠くないんです。目が冴えちゃって」エヘヘ
菜々「……本当なんですよね……」
P「?」
菜々「本当に私、1位になれたんですよね。まるで夢を見てるような気持ちでふわふわしてるんです」
P「実感が湧かない?」
菜々「はい。明日目が覚めたら、全部ウソになってるんじゃないか、なんて思ったり」
P「菜々は正真正銘シンデレラガールだよ。自信を持って」
菜々「プロデューサーさん……。はいっ」
P「あ、そうだ。何かお祝いしないとな」
菜々「もうしてもらいましたよ」
P「今日のパーティーのことなら、あれは俺を含めた346のみんなからのお祝いだ」
P「プロデューサーとしてのお祝いは何もあげてない」
菜々「い、いいですよそんな! お気持ちだけで充分です!」
P「まあまあそう言わずに。何か欲しいものあるか? やりたいことでもいいぞ」
菜々「急に言われても……」
菜々「……」
P「行きたいところでもいいし、遠慮なんかせず…」
菜々「何でもいいんですよね」
P「ああ。俺にできる範囲なら……いや、シンデレラガールになれたんだ。多少の無理はしてもいいかな」
菜々「じゃあ」
菜々「温泉旅行に行きたいです」
P「え?」
――――
――――――
――――――――
(数日後)
菜々「プロデューサーさん、おはようございます!」
P「おはよう……と言っても、もうすぐ昼だけどな。あんまり大きな声出すとバレるぞ」
菜々「大丈夫ですよ。ちひろさんが手配してくれてるんですよね?」
P「……」
ちひろ『ええ、いいですよ。身バレしないように手を回せばいいんですよね?』
P『どうやるんですか』
ちひろ『秘密です♪』
P『気になるな……まあいいか。お金の話に移りますけど、いくら必要ですか?』
ちひろ『私がしょっちゅう搾取するような守銭奴だと思ったら大間違いですよ』
ちひろ『日頃お仕事を頑張ってるプロデューサーさんへのお礼だと受け取ってください』ニコニコ
P(なんて言ってたけど、あとで請求されそうな予感がする。不安だ)
菜々「プロデューサーさん?」
P「!」
P「ああ、たぶん大丈夫だと思う。でもなるべく慎重に行動しよう」
P「アイドルと男のプロデューサーが2人で温泉旅行なんて、普通ならスキャンダルだし」
P「特に菜々は総選挙で1位をとったばかりなんだ」
菜々「分かってますよ♪ 電車もうすぐ来ますし、早く行きましょうっ」ワクワク
P(本当に分かってるのか)ハハ…
――――
菜々「はい、約束のウサミン弁当です♪」スッ
P「おー、可愛いし美味そう! 悪いな作らせちゃって」
菜々「気にしないでください。これお茶です」
P「ありがとう」
P「……。なあ菜々、どうして温泉旅行なんだ。しかも俺と2人でなんて」
菜々「またその話ですか。これといった理由は無いです」
菜々「プロデューサーさんと2人でどこかに旅行に行けたらなって、ずっと考えてて」
菜々「それを実行に移しただけです」ニコッ
P「だから何で俺と?」
菜々「これ以上は喋れません。乙女、もといウサミンの秘密ですよっ!」
P「ということは、やっぱり深い理由があるんだな」
菜々「な、何のことか分かりませんねぇ」
P「冷や汗までかいてる」
菜々「これはウサミン星人が空腹時に流すエキスです! あーお腹が空いたなー」
P(とってつけたような設定を)
菜々「ささ、細かいことはいいので食べましょう。卵焼きが上手く焼けたんですよ!」
P(全然細かくないんだけど……。まあ、言いたくないならそれでいいや)
P「ウサギの形か。いただきます」パクッ
P「美味いっ!」
菜々「えへへ、よかったです♪ まだまだあるのでじゃんじゃん食べてください」ニコニコ
――――
菜々「景色があっという間に流れていく。さすが新幹線!」
菜々「もうちょっとで新潟に到着ですね」
P「……」
菜々「プロデューサーさん?」
P「……zzz」
菜々「寝てる。もー、せっかくの旅行だし色んなお話をたくさんしたいのに」
P「zzz」
菜々「そうだっ。良いこと思いついた」スッ
菜々「今のうちにツーショット写真を」タプタプ
菜々「はい、ウサミン☆」
ピロリン♪
菜々「うんうん、上手く撮れてる」
菜々「もう1枚撮っちゃえ」ピロリン♪
――――
P「ごめん。いつの間にか意識が……」
菜々「気にしないでください! 疲れてたんですよね?」
P「昨日の夜遅くまで書類を片付けてたんだ。旅行に備えて寝るべきだったよ、反省してる」
菜々「お仕事なら仕方ないですよ♪」
P「怒ってないのか?」
菜々「はい、写真も撮りましたし」
P「え」
菜々「いえいえ何でもないですっ!」アセアセ
菜々「それよりもプロデューサーさん、宿へ行く前にちょっと観光していきましょう!」
P「いいな。でも、ここら辺ってそういうスポットあったっけ」
菜々「スキー場へのアクセスはいいんですけど、日本全国で有名って場所はないですね」
菜々「ただ私がネットで得た情報によると、ここの駅内に良いお店があるらしいです」
P「良いお店?」
毎日投下していきます
新潟で温泉で新幹線でスキー場……
ガーラ湯沢かな?(すっとぼけ
>>14
越後の方です
新幹線で1時間ちょっとらしいので、日帰りにも良さそうです
――――
P「へぇー、色んな酒が並んでるな」
菜々「全部日本酒らしいです。500円払えば利き酒ができるとか」
P「某25歳児が飛びつきそうな情報だ。いや、他にも喜びそうなのが数人いるか……」
菜々「あ、これ美味しそう。でもこっちもいいなー」
P「こらこら、17歳が嬉しそうな顔で酒を選ぶんじゃない」グイッ
菜々「何を言ってるんですか? 飲むのは私じゃなくてプロデューサーさんですよ?」
菜々「お酒のことよく分からないですけど、一生懸命選びますからね♪」
P(と言う抜け道か。一応バレないように髪を下ろしてメガネかけて変装してるし、ちひろさんの手回しだってある)
P(周囲に知られることは無さそうだが……)
P「決まったら俺に渡してくれ」
菜々「えっ、買ってくれるんですか?」
P「お祝いにな。菜々がカウンターに行ったら店の人にバレるかもしれないし」
――――
菜々「飲むのが楽しみです♡」
P「……」
菜々「何か言いたげな顔ですね」
P「以前は俺の前でも17歳だと押し通してたのになと思って」
菜々「心の距離が縮まった証拠ですよ!」
P「じゃあ他のアイドルにも教えたっていいだろ」
菜々「それとこれとは話が別です。プロデューサーさんはアイドルのことを知ってなければいけませんからね」
菜々「色々と悩んだ末に、仕方なく実年齢を明かしたんですよ? 苦渋の決断でした」ウンウン
P(まあ感づいてたけどな。中には察してるアイドルだっているし)
菜々「また何か言いたげな顔ですね」
P「気のせいだよ。次はどこに行く?」
菜々「はぐらかした!」
――――
P「足湯、気持ちいいなぁ」
菜々「あったまりますねぇ」
P「温泉宿へ行く前に入るのもあれだけどな」
菜々「いいじゃないですか、何度でもどんどん入りましょうよ」ニコッ
P「……幸いにも人はいないみたいだな」キョロキョロ
菜々「?」
P「人がいるとウサミン星人のことについて話せないからな」フフ
P「改めて、感慨深いよ。あの菜々がシンデレラガールになる日が来るとは」
菜々「自分でもビックリです。アイドルになれただけで幸せだったのに、もっと大きな幸せに包まれるなんて」
菜々「1位をとった日、家に帰ったらずっと眠れなかったんですよ」
菜々「今までの思い出が頭に浮かんでは消えて、涙が止まらなくなっちゃって。事務所で寝ちゃったせいでもあるんですけど」アハハ
P「次の日、目が真っ赤だったよな」
菜々「お恥ずかしい限りです……」
P「いいんだよ。アイドルのみんなも俺も、菜々の苦労を間近で見てきたし、気持ちは分かるから」
P「本当によく頑張った」ナデナデ
菜々「あ……」
P「っと、ごめん。年少アイドルにいつもこうするから、つい癖で」
菜々「子供っぽいってことですか、心外ですねっ」
P「違うんだよ。ちょうどいい位置に頭があったからさ」
菜々「……」
菜々「お願いします」
P「へ?」
菜々「頭を撫でられるなんて経験、この歳じゃ滅多に無いですし」
菜々「プロデューサーさんに撫でられると……う、嬉しいので……」モジモジ
P「……」
ナデナデ
P「頑張ったな」
菜々「……はい……」カァァ
――――
P「一般の人に凄く見られてたな」
菜々「公共の場だと言うことを忘れてました」
P「バレてないよな?」
菜々「仮に気づかれても、ちひろさんがバックについてるなら平気ですよ」
P「あの人一体どんなことするんだよ」
菜々「私も詳しいことは……。ただ、ちひろさんに任せておけば120%身バレしないとか」
P「なんか怖くなってきた。闇の権力者とかじゃないだろうな」
少ないですがここまでで
乙でした
ぽんしゅ館www
そういやここに25歳児がやって来た旅m@s動画もあったな
菜々「それは言い過ぎなんじゃ……あっ、着きましたよ! ここが私たちの泊まるところです」
P「おお、雰囲気あるなぁ」
菜々「まさしく〝和〟ですねっ! 入りましょう!」
P「予約は任せろって言われたから任せたけど、ちゃんと取れてるよな?」
菜々「当然ですよ! 子供じゃないんですから!」
――――
P「……」
菜々「わー、素敵なお部屋ですねー♪ ゆっくりとくつろげそうです」
P「おい」
菜々「見てください露天風呂付きですよ! 湯船に肩まで浸かりながらお酒を飲む、なんて夢のような過ごし方が可能です!」
P「菜々、ちょっと」
菜々「何ですか? ちゃんと予約できてたでしょう」
P「果たしてそうかな。俺言ったよな、二部屋分の予約取ってくれって」
P「俺と菜々、別々の部屋で過ごそうって。お金は出すからって」
菜々「ええっ!? ごめんなさい! ナナ勘違いしちゃったみたいでっ!」
P「わざとらしい演技」
菜々「だって、こうすれば余計なお金をかけずに済むじゃないですか」
P「確かにそうだけど……」
菜々「もう取っちゃったんですから諦めてくださいよ」
菜々「それとも、ひょっとしてプロデューサーさん……私にいやらしいことする気ですか?」
P「は?」
菜々「何か間違いがないようにと考えて、部屋を分けたかったんですよね?」
菜々「つまり間違える可能性がある。少なからず私を性的な目で見ているという事」
菜々「一緒の部屋で過ごせば襲ってしまうかもしれない。その不安を拭うために部屋を別々に…」
P「分かった分かった! 一部屋でいいから!」
菜々「分かればいいんです♪」
P(まあ菜々の言ったように、間違いを起こさなきゃいいだけの話だしな)
P(身バレの心配もないんだし……)
――――
菜々「夕食までまだまだ時間ありますね」
P「うん。ここら辺をのんびり歩こう、気になるところがあれば入るも良し」
菜々「私はプロデューサーさんとお話さえできれば何でもいいんですけどね」
P「そんなに話すことあるか?」
菜々「ありますよ! アイドルの活動についてとか、スケジュールとか」
P「それは仕事に戻ってからでいいだろう。今は羽を伸ばせばいいんだ」ハハハ
菜々「あははっ、そうですね。じゃあプライベートなお話をしましょうか」
菜々「好きな女性のタイプは?」
P「確かにプライベートな話だな」
P「好きな女性か……包容力がある人かな。あと料理ができれば嬉しい」
菜々「ほうほう、その理由は?」
P「仕事で疲れて帰った時に癒してもらいたい。さらに美味い料理を食べたら次の日も頑張れそうな気がする」
菜々「なるほど。仕事中心の考え方ですね」
P「直した方がいいかな」
菜々「いえ、女性もちゃんと気にかけてあげれば大丈夫ですよ!」
菜々「仕事ばかりだと寂しくなっちゃいますからね」
P「気をつけるよ……って何で相談みたくなってるんだ」
P「菜々の好きな男のタイプは?」
菜々「私のことはいいじゃないですか」
P「俺にだけ喋らすのはズルいなぁ」
菜々「セクハラですよ」
P「ええ!?」
菜々「ふふっ、冗談です。私の好きな男性のタイプですか」
菜々「うーん……プロデューサーさんみたいな人ですね」
P「マジか」
菜々「私のこと理解してくれますし、一緒にいると楽しいですし」
菜々「アイドルを卒業する時が来たら、結婚してあげてもいいですよ?」
P「それは嬉しい申し出だな。予約しておこう」ハハハ
菜々「承りました、ご主人様♪」ニコニコ
P「その呼び方はマズイからやめてくれ……」
――――
菜々「プロデューサーさん、雪国って小説知ってますか?」
P「数年前に友達の家へ遊びに行った時、本棚にあった本だ」
菜々「知らないも同然ですね……かく言う私も読んだことないんですけど、有名な小説らしいですよ」
菜々「その雪国の初版本などが、この建物に展示されてるらしいです」
P「何で?」
菜々「雪国の舞台がここ、湯沢なんですって。入りましょう!」
P「ほー、興味深いな」
(数分後)
P「歴史を感じる展示物だ」
菜々「見てください。向こうに囲炉裏がありますよ、囲炉裏っ」
P「宿にあった囲炉裏にも同じ反応してたよな」
菜々「だって風情があるじゃないですか。お鍋を囲炉裏の火にかけてぐつぐつ煮たりしたいです」
P「花より団子か」フフ
菜々「ち、違いますよ! 食べるのが目的じゃなくて、煮る様を見るのがいいんです」
P「はいはい」
菜々「もー……!」プンプン
(さらに数分後)
P「お、これか。雪国の小説」
菜々「初版本ですね。レアですよ」
P「どんな内容なんだろうな。文香知ってるかな」
菜々「有名ですし、知ってると思いますよ。あらすじを簡潔に教えてくれそうですね」
P「今度聞いてみよう」
菜々「自分で読んで確認するとかじゃないんですね……」
P「さすがに全部は聞かないさ。映画やアニメの予告と同じで、ちょっとだけな」
――――
P「宿に到着」
菜々「帰ってきましたね! そろそろ夕食の時間ですけど、その前に」
P「その前に?」
菜々「足湯に入りましょう!」
P「またか!」
菜々「いいじゃないですかぁ。せっかくこの宿にも足湯があるんですし、入らなきゃ損ですよっ」
菜々「歩いたことによって足腰に溜まった疲労を回復させましょう。さあさあ!」グイグイ
P「言うほど歩いてないだろ。分かったから引っ張るなって」
――――
女の子「ナナちゃん、サインありがとー!」
菜々「わわっ、大きな声出しちゃダメですよ……!」
菜々「ナナは今お忍び中ですからね」
女の子「お忍び?」
P「かくれんぼしてるんだ。みんなにアイドルだってバレないようにね」
菜々「ここでナナに会ったこと、誰にも言わないでください」
菜々「お願いしますっ」
女の子「わかった、ひみつにするね! サインありがとー!」
タタタタ…
菜々「……」
P「優しいな」
菜々「ファンは大切にしなきゃいけませんから。この完璧な変装を見破った子なら尚更です」
P「はは、そうだな」ニコッ
P「でもサインまであげてよかったのか? 親御さんに見つかったら…」
菜々「手帳ですから大丈夫ですよ♪」
P「あ」
タタタタッ
女の子「ナナちゃん、忘れてた」ヒソヒソ
菜々「な、何をですか?」ヒソヒソ
女の子「握手してください」スッ
菜々「もちろんです」ギュッ
女の子「ありがと」
タタタタ…
P「きちんと配慮してくれてるな」
菜々「……」
P「どうした?」
菜々「いえ……ちょっと、小っちゃい頃の自分を思い出したんです」
菜々「こんな感じでアイドルと握手してもらったなー、って」
P「……」
菜々「すごく眩しい笑顔で握手してもらって、嬉しさと感動が込み上げて泣いちゃったんですよ」フフ
菜々「そう。とっても眩しくて、輝いてた。テレビで見るよりもずっと」
菜々「……今握手をした子も、あんな気持ちになってくれたかな……」
P「なったに決まってるさ。菜々は素晴らしいアイドルだからな」
P「プロデューサーの俺が言うんだ、間違いない」
菜々「プロデューサーさん……」
グー
菜々「!」
P「俺じゃないぞ」
菜々「わ、分かってますよ。どうやら空腹を告げるウサミンアラームが鳴ったようですね」カァァ
P「エキスを流すんじゃなかったっけ」
菜々「毎回違うんですっ! 足湯に充分浸かりましたし、ご飯を食べに行きましょうか!」
――――
P「おお、綺麗な盛り付けだな」
菜々「これはもう芸術品ですね」
P「食べようか、いただきます」
菜々「いただきますっ」
菜々「まずはこの先付料理を……はむっ」
菜々「んー……! 美味しいっ!」キラキラ
P「魚料理も美味いぞ」
菜々「え? もうそれに手をつけたんですか! 順番が分かってないですよ!」
ここまででにします
日にちが空いてしまいすみません
投下までまた1、2日空くと思います
>>20 紹介していただきありがとうございます
旅動画含め、モバマスの動画なんてあったんですね! 今後の楽しみになります
菜々「まずは先に出されるお料理からいただかないと」
P「ごめん、あまりにいい匂いで手が伸びたんだ」
P「でもマジで美味いぞ。食べてみて」
菜々「そんなにですか? じゃあ……」パクッ
菜々「あ、本当だ。お料理の盛り方もですけど、季節を感じますね」
菜々「目を瞑れば、素材たちが生きていた頃の光景が浮かびます……」
P「この肉料理も美味い!」
菜々「……」ジトー
P「な、なんだよ」
菜々「何でもないです。まあ、自分の好きに食べるのが1番ですよね」フフッ
P「酒も飲もうかな、っと」スッ
菜々「待ってください!」
P「?」
菜々「これからお風呂に入るんですよね? 飲酒後のお酒は……」
P「!!」
P「し、しまった……先に入ればよかったな」
菜々「安心してください。こんな時のために駅でお酒を買ったんじゃないですか」
P「あれはお前のだから飲むわけにはいかないよ」
菜々「遠慮しないでください。家に帰っても1人ですし、誰かと一緒に飲んだ方が楽しいですからね」
P「……なら、もらおうかな」
菜々「約束ですね♪ あとで飲みましょうっ」
――――
P「いやー満腹だ。心も満たされた」
菜々「美味しかったですねー。あっ、ここでお別れのようです」
P「また後で」
菜々「はい! 入り終えたら出入り口で待ってますからね!」
P「オッケー」
(数分後)
ザパーン
P(さてと、湯船に浸かろうかな)スタスタ
チャプ
P(ふぅー……いい湯だ……)
P(温泉はいいよなぁ。風呂に入るよりも疲れが取れるし)
P(このまま眠ってしまいそうになる)
P(……)
P(菜々も今頃、湯に浸かってるのかな)
P(……菜々の湯浴み……)
P(ダメだダメだ! 何を考えてるんだ俺は!)ブンブン
P(担当アイドルの裸を想像するなんて言語道断だ)
P(……84……57……84……)
P(身長は小さいけど、スタイルはなかなかなんだよな……)
P(ってまた俺は!)ブンブン
(20分後)
P(周りの人に変な目で見られてしまった。猛省しよう)
P(菜々、遅いな……俺が早いのかな。もう少し入っていればよかったか)
P(いや、それで菜々を待たせるのも悪いしな)
菜々「プロデューサーさん!」
P「!」
菜々「お待たせしてしまってごめんなさい」
菜々「温泉が気持ちよくて、うっかり長湯しちゃったんですよ」アハハ
P「……」
菜々「どうしました?」
P「……」
P(艶かしい。湯上りってこんなに色っぽくなるものなのか?)
菜々「えっと、相当怒らせてしまったようで」
P「え? ああ、いや違うんだ。ただ、その……」
P「こんな場所でプロデューサーなんて呼んだらマズいだろ」ヒソヒソ
菜々「はっ! そうでした、油断してました」ヒソヒソ
P「あと髪をまとめてるのもバレそうで怖いな」
菜々「なるべく目立たないようにしますから、このくらいは許してください」
P「まとめた方がリラックスするのか?」
菜々「そういうわけでは……」
「ねえ、あれって」
「アイドルの……?」
P・菜々「!!」
菜々「ど、どうしましょう……!」
P「俺の影に隠れろ。部屋に行くぞ」
――――
菜々「大丈夫でしょうか」
P「ちひろさんが何とかしてくれるさ」
P「で、何で髪をまとめたんだ?」
菜々「だって、こうすれば……うなじが見えるじゃないですか」
P「は?」
菜々「うなじですよ。湯上りのうなじは男性をときめかせると聞いたので」
P「湯上り限定じゃないと思うけど」
菜々「そうなんですか?」
P「普段首を隠してる髪型の女性が、ふとうなじを見せた時にドキッとするんだと思う」
菜々「思うって、ぼんやりしてますね」
菜々「それで、プロデューサーさんはどうですか? ドキッとしましたか?」
P「俺のために髪を?」
菜々「普段私たちのために頑張ってくれてるご褒美ですよ♪ どうなんですか! 答えてください!」
P「だって菜々、いつもポニーテールだし」
菜々「見慣れてると……」
P「でも、色っぽいよ」
菜々「えっ」
P「色気がある。魅力に溢れてるよ」
菜々「あ……ありがとうございます……」モジモジ
P「自分で仕掛けといて照れるのか」フフ
菜々「予想以上にハッキリ言われたので」
菜々「あ! そうだ、お酒を飲みましょうよ! 危うく忘れるところでした」スタタタッ
P「湯上りの一杯か、いいな」
菜々「ちょっと待ってくださいね。用意しますから」ガサゴソ
P「お猪口は?」
菜々「用意してきました!」ジャン
P「飲む気満々だったんだな……」
――――
菜々「プロデューサーさん、どうぞ」トクトクトク
P「おっととと……ありがとう。菜々にも注ごう」トクトクトク
菜々「ありがとうございます。はぁー、お酒の香りがたまりませんねぇ」
菜々「では、乾杯しましょう!」
少ないですがここまでで
明日投下します
>>41
こうでしょうか
スマホから打つと半角が分からないのでこうなりますね…
見つかりました、ありがとうございます
P「菜々、シンデレラガールおめでとう」
菜々「プロデューサーさんも、こんな私を支えてくれてありがとうございますっ」
ゴクッ
P「あー……ピリッとくるな」
菜々「新潟のお酒は淡麗辛口が特徴ですからね。んー、美味しい」コクッ
菜々「もう一杯」トクトクトク
P「飲み過ぎるなよ」ハハ
菜々「ええ。あとで露天風呂に入りながら飲むので、ほどほどにしておきます」
P「マジで温泉酒やるのか」
菜々「やらなきゃ損でしょう! プロデューサーさんも一緒に入りますか?」クスッ
P「バカ言うな」
菜々「バカとはなんですか! 現役アイドルのみずみずしいお肌が見られるんですよ? 嬉しくないんですか?」
P「男としては嬉しいな。プロデューサーとしてはアウトだ」
菜々「2人っきりで温泉旅行してる時点でアウトだと思うんですけど。同じ部屋ですし」
P「……」
菜々「同じ部屋ですし」
P「繰り返すな! 何も言い返せないよ」
菜々「私の勝ちですね。ということで、あとで入りましょうね」ニコッ
P「冗談だろ?」
菜々「さあどっちでしょう」フフフ
P「何だそれ……」
――――
P「これ以上はマズイ」
菜々「何がですか?」
P「酒だよ。自分の限界を越えそうだ」
菜々「いいじゃないですか、越えちゃいましょうよー」フラフラ
P「お前……あれほど飲みすぎるなと……」
菜々「へーきです、かろうじて自我をたもってます」
P「一歩手前か!? こりゃ露天風呂も無理だな」ハァ…
菜々「えー」
P「えーじゃない。てか酒飲んでる時点で風呂はマズイか」
P「ほら、酒瓶から手を放して」スッ
菜々「やですー」グイッ
P「放せったら!」
菜々「これはナナのですー」グイッ
P「うわっ!? こら引っ張るな……!」
バタンッ
菜々「……っ」
P「……」
P「わ、悪い! 押し倒す形になるとは思わなかった!」ササッ
菜々「い、いえ……私も悪かったです……」
菜々「……」ドキドキ
P「あ」
菜々「?」
P「もうこんな時間か。早いな」
菜々「まだ0時をちょっと過ぎただけじゃないですか。夜更かししましょうよ」
P「酒はダメだぞ」
菜々「わかってますよー、えへへ」
P(分かってなさそうだな。隙を見て取り上げないと)
菜々「お話しましょー」
P「またか。もう話題は出尽くしたと思うけど」
菜々「まだまだたくさんあります。先攻はプロデューサーさん」
菜々「パスはなしですよ」
P「……そうだな」
P「菜々が俺と温泉旅行に行きたかった理由を教えて欲しい」
菜々「う……」
P「やっぱり言えない?」
菜々「……はい」
P「そうか。そこまで言うならこれ以上は聞かないよ」
P「他の話題は……何にしよう。無難だけど好きな映画とか…」
菜々「親睦を深めたかったからです」
P「!」
短いですがここまでで
>>35
飲酒後のお酒? 一部の大人アイドルの日常かな?
>>50
飲酒後のお風呂、でした
酒の後に酒ってはしご酒ですね
菜々「プロデューサーさんとの親睦を深めたかったんです」
P「親睦? もう深まってないか? 気楽に色んなこと話せる仲だと思ってたけど」
菜々「それは、そうなんですけど」
菜々「まだ踏み込んでない領域があるというか……」
P「人には秘密の1つや2つあるだろう」
菜々「そこまで求めてはいませんっ。ほら、プロデューサーさんって自分のことあまり話さないじゃないですか」
菜々「いつも私たちの話を聞いてくれて、たまにプロデューサーさん本人の話題になっても話を逸らすし」
P「俺のプライベートなんてつまんないだろ?」
菜々「つまらないとかの問題じゃありませんよ! こっちは知りたいんです」
P「仕事とプライベートは分けてるからな。個人的なことを持ち出したらいけないとも思ってて」
菜々「……つまり、私たちをただの仕事仲間だと?」
P「っ!」
菜々「かなりショックです……私たちアイドルは、仲良くなった気になってたんですね」
菜々「ぐすっ……プロデューサーさんは、私たちと一線を引いてたと……!」ウルウル
P「違う違う! いや手出ししちゃいけないし、あながち間違いではないけど……傷つけるつもりは……」オロオロ
P「分かったよ、話すから! 知りたいこと何でも話すから、頼む。泣かないでくれ」
菜々「言いましたね?」
P「……!」
菜々「何でも話してくれるんですね! やった♪」
P「嘘泣きかよ!?」
菜々「良演技と言って欲しいです。さて、まずは何から聞こうかなー」
P「くそ、なんて卑怯な……」
菜々「好きな女性のタイプ……は、そういえば教えてくれましたね」
P「あの時は気が抜けてたよ」
菜々「抜いていいんですよ、旅行なんですから。じゃあもう少し進んで結婚についての話をしましょう」
菜々「何歳までには結婚したいですか?」
P「どうして恋愛の方向に……。決めてないよ」
菜々「本当に?」
P「ああ。まあ漠然と30代には身を固めたいと思ってるけど」
菜々「へー」
菜々「じゃあじゃあ、相手はもういるんですか?」
P「彼女か。5年前まではいたけど、それっきりだな」
菜々「いない、と。ふむふむ」
菜々「彼女を作る気は?」
P「グイグイ突っ込んでくるな……今は考えてないかな。それよりも仕事に集中したくて」
菜々「え」
菜々「そ、そうなんですか……」
菜々「……これから先、恋愛をしてみたいなと思うのはいつになるんでしょう」
P「自分でも分からない。1年後か、5年後か、ひょっとしたら10年後なんてことも」
菜々「ええっ!? それはちょっと」
P「ダメかな」
菜々「いえ、男性の方はいいですけど。女性は出産とかありますからね」
菜々「40近くだと体力的に……まあでもその歳で産む人もいるし……」ブツブツ
P「40の時の俺が歳の近い女性を選ぶとは限らないだろ」
菜々「40になるまで長くお付き合いする女性がいるかもしれないじゃないですか」
P「そのケースなら、相手のことも考えて早めに籍を入れるよ」
P「……あのさ菜々」
菜々「はい」
P「違うなら違うって言ってくれ。俺の思い上がりかもしれない」
P「もしかして、俺のこと好きか?」
菜々「!!」
P「人としてじゃなく異性として」
P「この旅行中ずっと距離が近いし、話も恋愛のことばっかだし」
菜々「……あは」
菜々「あはははっ! やだなー、気のせいですよ!」
菜々「私はプロデューサーさんのことお友達と思ってますけど、恋人になりたいとは思ってません!」
P「そ、そうだよな。変なこと聞いたな、気分を悪くさせたら申し訳ない」
菜々「……」
――――
P「明日はゆっくり寝てていいぞ。起こすから」
菜々「もう帰っちゃうんですね」
P「1泊2日だからな。じゃ、おやすみ」
菜々「おやすみなさい」
菜々「……」
菜々「…………」
(数分後)
菜々「……プロデューサーさん?」
P「……zzz……zzz……」
菜々「もう寝ちゃったんですか。お酒のせいかな」
菜々「……好都合ですけどね……」
菜々「そっちのお布団に入ってもいいですかー?」スッ
菜々「返事がない、すなわち良いってことですよねー。お邪魔します」モゾモゾ
菜々「……」
菜々(背中、広い)ドキドキ
菜々(くっついちゃお。ちょっとだけ)ピトッ
菜々「……」
菜々「さっきの、嘘ですよ」
菜々「私、プロデューサーさんのことが好きです。異性として」
菜々「実は旅行のどこかで告白しようかなと思ってたんですけど……彼女、作る気ないんですよね?」
菜々「告白なんてしたら面倒をかけちゃいます。危なかったー」
P「……」
菜々「そもそもこの思いは、アイドルを卒業するまでとっておこうって決めてましたし」
菜々「卒業する時までには、その気になってくれてたらいいなぁ……」
菜々「あ、私が告白する前に彼女できちゃうかも」
菜々「どうかフリーでいてくれますようにと祈ってます」
P「……」
菜々「何年後になるかな。シンデレラガールになって、ますますアイドルをやりたいって気持ちが湧いてきたし」
菜々「少なくとも3年は……ふわあぁ……」
菜々「眠くなってきた……自分の布団に戻らないと、起きたら大変なことに……」
菜々「……でも、もうちょっとだけ……」
菜々「……あったかい……」ギュー
P「……」
菜々「はは……こんなことこっそり告白するなんて、臆病だなぁ私」
菜々「本当に寝てますよね……?」スッ
P「……」
菜々「寝顔チェック。からの」
チュッ
菜々「今なら、こんなことしても気づかれない」フフ
菜々「ほっぺですけど……」
P「……」
菜々「ふあぁ……二度目のあくび。私ももう寝ますね」
菜々「失礼しました」モゾモゾ
P「……」
P「…………」
――――
チュンチュン
P「……ん……」
P「今何時だ……? もう朝か……」
チャプ…
P「……?」
P(なんだ、窓の外から音が……)スッ
菜々「♪」チャプチャプ
P「」
P(そういえば露天風呂付きの温泉だった!!)
菜々「?」
菜々「きゃっ!? ぷぷ、プロデューサーさん!!」ジャバッ
P「ごごごめん!! もう見ないから!!」ササッ
――――
菜々「どこまで見ました?」
P「肩から上」
菜々「肝心なところは見なかったんですね」
P「誓って」
菜々「信じましょう。っていうか、こっそり温泉に入ってた私にも落ち度はありますし」
P「水音がした時に察することができなかった俺が悪いよ」
菜々「寝ぼけてたんですよね? 仕方ないですよ」
ここまでにします
続きは明日に
菜々「それより、着替えてご飯食べにいきましょう!」
P「ああ。すぐに済ませる」
――――
菜々「あーあ、もう1泊したかったなぁ」
P「居心地が良いよな。それに楽しかったし」
菜々「私もです! 明日からのお仕事ラッシュ、乗り越えられそうです」
P「体力的に大丈夫か?」
菜々「レッスンで鍛えてますからね。ドンと来いですよっ」
P「頼もしいな」ハハ
P「……菜々」
菜々「何ですか?」
P「その……何て言えばいいのか」
P「ダメだ、上手くまとまってないな。あとで話すよ」
菜々「気になるじゃないですか」
P「絶対に話すから」
菜々「むぅ、分かりました。この美味しいコシヒカリに免じて、我慢してあげましょう!」パクッ
菜々「炊き立て最高♡」モグモグ
P「……」
――――
菜々「忘れ物はないですよね?」
P「チェックアウトしてからそれを言うか」
菜々「家を出た後に、鍵を閉めたか気になってしょうがない時あるじゃないですか」
菜々「それと似たようなものですよ!」
P「隅から隅まで確認したから大丈夫だよ」
菜々「よかったー」
菜々「不安も消えたし、これで心置きなくお酒を選べますね♪」
P「また買うんだな……」
菜々「出発までまだ時間ありますしっ」
菜々「昨日飲んだの美味しかったですよね? あれをまず買って、もう2本くらい」
P「そんなに酒好きだったっけ?」
菜々「多めに買っとけば後悔しないかなと思って」
P「飲みたくなったら、もう一度ここに買いに来ればいいじゃないか。俺も付き添うよ」
菜々「えっ?」
P「嫌か?」
菜々「い、いえ……嬉しいです。いいんですか?」
P「嘘なんてつかないよ」ハハ
菜々「……じゃあ、お酒は1本だけにしておきます」
P「うん」
菜々「約束ですよ! また一緒に買いに行きましょうね」
P「ちゃんと覚えとくよ」
菜々「ゆびきりしましょう」スッ
P「よしきた」スッ
菜々「ゆーびきーりげんまん、嘘ついたら私の言うこと何でも聞ーく!」
P「!?」
菜々「ゆーびきった!」
P「おい、なんか俺の知ってるゆびきりと違ったぞ」
菜々「違ったとしても、すでにゆびきりしちゃいましたからね。変更はできませんよ!」
P「おのれ……」
菜々「嫌なら約束を守ればいいんですよ♪」
P「まあそうか」
P「俺も買っていこうかな。大人組アイドルへのお土産も含めて」
菜々「私も一緒に選びます!」
P「ありがとう」
(数分後)
菜々「忘れ物はないですね?」
P「大丈夫だって、心配性だな」
菜々「新幹線に乗った後で、忘れ物してた! なんて事が起きたらどうしようもないですから」
P「ちゃんと確認したから安心してくれ」
菜々「よかった」ホッ
P「……」
P「よし、まとまった」
菜々「?」
P「さっき、あとで話すって言ったろ?」
菜々「あっ、そういえば」
P「俺さ、この旅行で気づいたことがあるんだよな」
P「新潟の食べ物、酒が美味しいってこと。温泉が気持ちいいってこと」
菜々「私も痛いほど分かりますよ。素敵な時間を過ごせましたよね」ニコッ
P「うん。それともう1つ」
P「菜々が可愛いなってこと」
菜々「……へ?」
P「俺と話してる時に楽しそうに笑うのが可愛い」
P「足湯に浸かって和んでるのが可愛い」
菜々「……」
P「可愛いだけじゃない。女性としての魅力もある」
P「お弁当を作ってきてくれる優しさ、湯上りの色気、酒を飲んで酔った時に見せる艶やかさ」
P「どれも男心をくすぐられたよ」
菜々「あはは……ありがとうございます……」カァァ
菜々「でも、何ですか急に? 嬉しいような恥ずかしいような」
P「ええっと、つまりだな。俺が言いたいのは、もし菜々がアイドルを卒業する時が来たら……」
P「付き合って欲しい」
菜々「……」
菜々「ほぇ?」
P「だから、俺と…」
菜々「うええええええええ!?」
P「し、静かに……!」
菜々「ごめんなさいっ。あ、え、っと……つ、付き合うって……」
菜々「彼女になって欲しい、ってことですか?」
P「そう」
菜々「私、愛の告白をされたんですか?」
P「俺はそのつもりだ」
菜々「……」
P「返事は今じゃなくていいよ」
菜々「……」
菜々「……」ポロポロ
P「!?」
P「な、菜々?」
菜々「あれ? ごめんなさい、何故か涙が出てきました」
菜々「と、止まんない……ぐすっ……ひっく……」
P「ハンカチ」スッ
菜々「ありがとうございます……」
菜々「……」
P「……」
菜々「私なんかでいいんですか?」
P「!」
菜々「本当に、私でいいんですか? プロデューサーさんには、私よりもっといい人が…」
P「俺は菜々がいいんだ」
菜々「……プロデューサーさん……」
スッ
P「?」
菜々「またゆびきりしましょう」
菜々「アイドルを卒業したら、お付き合いをするという約束です」
P「告白の返事はオーケーでいいのか?」
菜々「はい」ニコッ
P「ありがとう」
菜々「ほら、早くしてください」
P「する必要あるか?」スッ
菜々「念のためですよ。ゆーびきーりげんまん」
菜々「嘘ついたら私と恋人になーるっ。ゆーびきった」
P「どちらにせよか」ハハ
菜々「えへへ……帰ったら本格的な書類を用意しますね」
P「そ、そこまでしなくてもいいだろ」
菜々「他の人に取られちゃうかもしれないので」
菜々「……私も、言いたいことがあるんです」
P「?」
菜々「じ、実は……私もプロデューサーさんのこと好きだったんですよ」
P「知ってる」
菜々「!?」
P「昨日の夜、俺の布団に潜り込んで喋ってくれただろ」
菜々「なあっ……!? 起きてたんですか!?」
P「布団に潜り込んだ時にな。俺、ちょっとしたことで目が覚めちゃうんだよ」
P「長い告白だったな」
菜々「……」
P「キスもして」
菜々「……っ」プルプル
菜々「このイジワルっ。もう知りません」プイッ
P「悪かったよ。起きようと思ったけど、タイミングが見つからなかったんだ」
菜々「……」
P「ごめん、謝る。お詫びに酒を一本あげるから」
チュッ
P「!!」
菜々「……今度は口にできました……」エヘヘ
P「お、お前……まだ恋愛関係にはなってないのに、人に見られたら……」
菜々「まあまあ。幸い私たちの列には誰も乗ってないですし」
菜々「人が乗ってくるまで、甘えちゃいますよっ」ギュー
P「はぁ……好きにしてくれ」
菜々「そのつもりです♪」
(その頃、後ろの席)
ちひろ(やれやれ……私が助力してなければ、あっという間にスキャンダルですよこのバカップルは)
菜々「プロデューサーさん、結婚も考えてますよね?」
P「結婚?」
菜々「年齢が年齢ですから、責任取ってもらわないと」
P「……行く行くはな」
菜々「お願いしますね♡」
ちひろ(ったく、末永く爆発してください)
おわり
スレ立てから結構かかってしまいましたが、菜々さん改めておめでとうございます!
読んでくださってありがとうございました
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