魔王「勇者の誕生日?」(18)
側近「はい、今日みたいですよ」
魔王「へえ~」
側近「…それだけですか?」
魔王「え?」
魔王「何?勇者を祝えっていうの?」
側近「はい」
魔王「えー…何で私を倒そうと旅をしている人を祝わなきゃならないのさ。それに金欠なんだよ」
側近「魔王様の誕生日にはお菓子貰ったじゃないですか」
魔王「う…それはそうだけど…」
側近「お返しはしないと、魔王様は小さい人だなと思われますよ」
魔王「それは嫌だけど…」
側近「じゃあ決まりですね。場所はわかっています」
魔王「あらあら…用意周到ですこと…」
側近「プレゼントは何を?」
魔王「…やっぱり必要かな」
側近「当然です」
魔王「でも…お金が…むぅ…」
側近「無駄遣いするからです」
魔王「無駄じゃない!必要な物を…」
側近「そうですか。ではこれは」ヒョイ
魔王「!!」
側近「サンタクロース変装セット…こんな物、一生必要になりませんよ」
魔王「うるさい!返せ!」バッ
側近「…で、どうするんです?」
魔王「…魔物詰め合わせはどうかな?」
側近「嫌がらせです」
魔王「スライムとか…よく見たら可愛いじゃん!」
側近「よく見なくちゃ可愛いくない物を贈らないでください」
魔王「ああ言えばこう言う!どうすればいいんだぁ!」キャ-
側近「発狂しないでください」
側近「目には目を。お菓子にはお菓子をです。とびきりおいしさお菓子をあげましょう」
魔王「な…なるほど…でも…」
側近「お金が無いなら作ればいいしゃないですか」
魔王「時間ないよ!」
側近「大丈夫です。私の情報によると…パーティーは夜。今は朝です。十分な時間があります」
魔王「…面倒くさいなぁ」
魔王「そうだ!歌とかいいんじゃないかな!」
側近「…」
魔王「そうだよ!それで…」
側近「確か魔王様って音痴…」
魔王「いいの!こういうのは気持ちなんだ!」
側近「面倒くさいとか言ってる癖に気持ちも糞もありませんよ」
魔王「…結構キツイこと言うね…」
側近「やはり…」
魔王「いや!私が昔よく遊んでたおもちゃを上げよう!喜ぶぞ!」ゴソゴソ
側近「よっぽどやりたくないんですね…」
魔王「お菓子なんかつくったことないし…」
側近「教えますよ」
魔王「え!?つくれるの!?意外!」
側近「…」
調理場
魔王「で…何つくるの?目玉のプリン?」
側近「いえ、そんなの上げたらやられますよ」
魔王「おいしいのに?」
側近「美味しいのにです」
魔王「そういえば勇者が送ってくれたお菓子はおいしかったなぁ。あれ何ていうの?」
側近「バウムクーヘンです」
魔王「へぇ、じゃあそれでいいかな?」
側近「どうでしょう…」
宿
僧侶「今日は勇者の誕生日だね」
戦士「ああ、世話になってるからな。祝ってやらなくては」
魔法使い「お金ならいっぱいあるよ!」ジャラジャラ
戦士「どうしたんだこれ…」
魔法使い「盗賊が頑張ってくれたんだ!」
盗賊「そりゃ…俺だってたまにはな」
僧侶「ありがとね盗賊」ニコッ
盗賊「お…おう」ガバッ
魔法使い「照れてる!」
盗賊「うるさい!」
戦士「とりあえず…手分けして準備するか」
僧侶「サプライズですから…バレないようにしなくては、ですね」
魔法使い「はい!じゃあ私が勇者を引き止めるよ!」
盗賊「下心丸出しだな」
魔法使い「ふふん。何とでも言ってよ」
戦士「では俺が食べ物を買ってこよう」
僧侶「私と盗賊がパーティー道具ですね」
盗賊「! そ…そうか」
魔法使い(良かったじゃん)
盗賊(まあな…)
魔王城
魔王「…ど…どうかな」
側近「…微妙です。何入れたんですか…」
魔王「えー…コーラとサイダーと…」
側近「バカですか」
魔王「酷い!」
休憩
魔王「もう私無理。側近がつくって…」
側近「私がつくっても意味ありません」
魔王「わかりゃしないよ」
側近「そういう問題では…」
魔王「大体…何で勇者は私にプレゼントなんか送ってきたんだ!嬉しかったけど!」
側近「…」
魔王「はぁ…」バタッ
側近「あのー…」
魔王「もうちょっと簡単なのにして…」
側近「では…チョコレートなどはいかかでしょう?」
魔王「ああ…もうそれでいいや。作り方教えてね…」ノソノソ
側近「わかりました」
宿 勇者の部屋
勇者「ああ…よく寝た…」ノビノビ
勇者「」スタスタ ガチャ
勇者「…今日何かあったような…」
勇者「……」
勇者「……!」ピコ-ン
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