【デレマス】高垣楓「私の目の色……ですか?」 (68)

デレマスの楓さんをメインにしたSSです。こちら(SS速報R)だと表現がある程度自由になるらしいので、こっちで書いてみます。

以前は

安価】世莉架「安価でタクを楽しませちゃうよ」【CHAOS;CHILD】
【安価】世莉架「安価でタクを楽しませちゃうよ」【CHAOS;CHILD】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1487424130/)

というのを書いていました。

これも例によってすぐに完結はできないと思うのですが、頑張って書かせていただきます。

それでは。

モバP(以下、P表記)「はい。楓さんの瞳って左右で色の違うオッドアイじゃないですか。いや、それはなかなかどうして魅力的なものなんですが、理由を求めるのは不毛なのに、なんでなんだろう、なんて思ってしまいました」

楓「ふふっ、おかしなプロデューサーさん」

楓「……」

P「どうしました?」

楓「……いえ、オッドアイとオットセイって字面が似ていると思って。そこから洒落に転じようと思ったんですけど、駄目でした」テヘッ

P「かわいい(かわいい)」

楓「えっ?」

P「あっ、い、いえ、なんでも、ないです」

楓「そ、そうですか」

楓(突然のこの人から褒められて素直に戸惑ってしまいました)

楓(でも、ごめんなさい。プロデューサーさん。私がいま沈黙したのは、別に洒落を考えていたからではないんです)

楓(私の瞳の秘密……いつかこの人に話すような日は来るのかしら?)

~~~~~~~

楓(私の目は、左目が青、右目が緑のオッドアイなんです。……凛ちゃんなら、私の左目の色は蒼って形容してくれるのかしら)

楓(でも、それは、あくまでこの世界――高垣楓という女がモデルを経てアイドルになってのし上がった世界での話)

楓(もし、私が「この世界」以外の世界――つまりはパラレルワールドの記憶を持っているといったら、果たしてどれほどの数の人が信じてくれるのでしょう)

楓(そして、世界が変わると、私という人間の大まかな中身と容姿は変わらないけれど、瞳の色の組み合わせが変わるんだなんて言ったら、誰もが御伽噺だと思うに違いありません)

楓(特に、プロデューサーさんは、どんな反応をするんでしょうか……)

~~~~~~~

左目:BLUE→???
右目:GREEN→???

the world she observes has changed...

楓(世界が変わりました。まばたきをした拍子に景色が何もかも変わったのです)

楓(きっと、瞳の色の組み合わせも変わっているはず)

楓(自分のいる状況をふと確認したら、思わず顔から火が出るような感覚に陥りました)

楓(私は、マンションであろうところの一室であの人――プロデューサーさんの上に跨って腰を上下に動かしているのです。お互いに裸で、ベッドに仰向けになるプロデューサーさんのペニスを下腹部で感じながら私はよがっているのです)

楓(もう、なんて世界なんでしょ)

楓「はぁっ、ふぅ、……」

P「どうしたの? 楓。さっきまであんなに必死に動いてたのに」

楓「え? いや、なんでも、ない……わ?」

楓(私がアイドルである世界のプロデューサーさんはため口で話したりしません。ましてやセックスだなんてお互い恥ずかしくって死んでしまいます。この世界の私は、プロデューサーさん――いえ、この世界ではPさんと呼ぶのがよいでしょうか?――と恋人どうしなのか、あるいはセックスをする何らかの関係なのでしょう。もし前者であれば、なんか……羨ましい)

楓(ここは私も口調を合わせるようにしたほうが自然……ですよね)

楓「ごめんね。疲れちゃったみたい」

P「あはは、そうか。なんだか、マイペースって感じで楓らしいな」

楓「ごめんなさい……」

P「いいよ。無理はさせたくないし」

楓(優しい人。きっと元の世界の私とプロデューサーさんも、恋人になればこんな感じになるのでしょうか。パラレルワールド同士なので相関関係はどうなのかわかりません)

楓(その後、申し訳なさそうな顔をしている私に、彼は「手でしてくれれば今日はいいよ」と妥協してくれました)

楓(今まで何度か世界を行き来していますが、実は性交渉をしている場面に遭遇したのはこれが2回目なんです。1回目は彼にリードしてもらっていたので私は特に何もしていませんでした)

楓(元の世界の私は処女なので、なんだか複雑)

楓(彼のものを手で抜いてあげて射精を見届けた後に、私は洗面所に向かいました。自分の瞳の色を確認しなくちゃ……って)

楓(瞳の色は……

左目が赤で

右目がオレンジ

でした)

楓「ブラッドオレンジジュースとオレンジジュース、的な……」

楓(ここでも面白いことを言おうとしてみたのですが、だめです。最近不調なんです)

楓(というのも、私が世界を行き来するようになったのは、アイドルとしてデビューしてある程度有名になってからの話なんです)

楓(それからというものの、駄洒落が以前ほど思いつかなくなってしまいました。ああ、私のアイデンティティが……なんてメタな発言はやめておきましょうか)

楓(あ、そうそう。元の世界に戻る方法はわかっていないんです。でも、いままでは必ず戻れていたので、あまり不安にも感じなくなっちゃいました)

P「楓」

楓「きゃっ」

楓(肩を叩かれて振り返ると、にやにやする彼の顔が見え、それと同時に頬に指でつつかれている感触がきます)

P「なんだか様子を見にきたら鏡の中の自分とにらめっこしてるからさ、なんだかおかしくなっちゃって。鏡よ鏡……世界で一番美しいのは(ryってくだりまで言ってたら完璧だった」

楓「もう、からかわないでよっ」

楓(普段の私ならしないようなちょっと可愛げのある反応をしてみます。実は、この別世界にいく能力(?)をどこか楽しんでいる自分もいたり)

楓(大好きなあの人に愛してもらえる世界に行き当たることもありますし……)

一旦ここまで。

P「瞳の色を確認してた……?」

楓「う、うん……」

P「はは、おかしなやつだな。いや、楓は前から可笑しいやつだったか、そこも可愛いけど」

楓「///」

楓「……最近ね、よく夢をみるの」

P「夢って、寝ているときの?」

楓「うん。私がアイドルになっている夢。大勢のファンの方たちに囲まれたステージの上で歌う夢――」

楓(――そして、あなたにプロデュースされている夢)

P「楓がアイドル、か」

P「楓はアイドルというよりもタレント? というか、綺麗系なんじゃないのか? もちろん、可愛いけど」

楓「モデルからアイドルに転身したの」

P「なんだそりゃ、いいとこどりな世の中ってこった」

楓「あくまでも夢、夢の話」

楓(嘘。私が話しているのは、私がもともといた世界の話です)

楓(そもそも私のいた世界――本来いるべき世界とは何でしょうか? この世界だって、私が私として存在しています。それに、こんなに彼に愛してもらえる世界……)

楓(そういえば私はこの世界でどのような立場なんでしょうか?)

楓「私の、仕事って……」

P「楓の仕事? 仕事と言うか、研究、なんじゃないのか? 社会科学の」

P「来年は修士2年になるんだろ? 論文はかけそうなのか?」

楓(なんと、この世界の私はどうやら院生だったようです)

楓(だとすれば、ふつうなら私にはそこまで稼ぎがないはず……でも今私が彼といる部屋はそれなりに綺麗で狭くもないマンションのようです。ひょっとして、私が彼に養われているのかしら。杏ちゃんの気持ちになるですよー)

楓(今は深夜。朝になれば私は研究室にGoということでしょうか)

楓「朝になったら私は研究室、貴方は仕事?」

P「そうだけど、どうしたんだ? いつもそうだろ」

楓「なんでもないっ」

楓(とりあえず彼の胴にしがみついてみる。急に甘えたくなりました)

P「どうしたんだ? 急に子どもみたいに甘えてきて」

楓「……朝までまだ時間はあるから」



楓「寝る前に、もう一度抱いて」


――ああ、普段ならこんなこといえないのに。

楓(あの人が寝ている間に、できるだけこの世界の私の立場を知るために色々と調べました)

楓(観測する世界が変わるといっても、年齢や大まかな容姿(DNA)が変わるというわけではありません。無数にある可能性が線のように並んでいて、同じ時刻で別の線へとジャンプしているような、そんな感じです)

楓(だから年齢は25歳のまま。この世界では髪型も体型も元の世界と同じです)

楓(立場としては、私は東京の私立の大学の大学院に通う院生で、社会科学の研究室で勉強しつつ、アルバイトで塾講師をしているようです)

楓(そしてプロデューサーさん――Pさんとは恋人どうしで、同棲中です……恥ずかしい、どうせいっちゅうねん、ふふっ)

~都内某所にある個別指導塾~

楓(ついにバイトのときがやってきました。科目は英語と国語です。担当の子が何人かいるらしいのですが、名簿をみてびっくりしてしまいました)


生徒一覧(担当:高垣楓)

高校1年 渋谷凛
高校2年 島村卯月
高校2年 多田李衣菜


楓(なんという運命でしょう)

とりあえずここまで。

楓「――なので、太陽が朝に昇るだとか、人間は二酸化炭素を吐くといった普遍の真理は、universal truthといって現在形で述べるの」

凛「なるほどね。普遍の真理――universal truthか。なんだかかっこいいね」

楓(元の世界でも薄々感づいていましたが、凛ちゃんって割と厨二病なんですよね。飛鳥ちゃんが少しおとなしくなったくらい? いや、同じくらいかも、ふふっ)

凛「英語は苦手意識があったけど、文法事項を整理していくと意外と整備されたルールにのっとってるってことがわかってきたよ」

楓「そうそう。その意気よ凛ちゃん」

凛「ねえ先生」

楓「なにかしら?」

凛「人間が生み出す論理ってこうも整備されていてどうしようもなく正しいのに、なんで人間の内面だとか運命だとかって正しいとも間違っているとも決められない理不尽さがあるんだろう」

楓「ずいぶんと難しいことを訊くのね」

凛「先生って社会科学やってる院生なんでしょ? だから、答えてくれるかなって」

楓(この世界の私は教え子である凛ちゃんに院生であることを話しているんですね)

楓「そうね。あくまでも答えを出すのではなく、凛ちゃんに対して私なりの考えで答えると、人間の内面――簡単のために感情だとか、あとは運命って、普遍の真理とは到底いえないものだからじゃないかしら」

楓「人の数だけ相異なる内面も運命も存在していると考えれば、整備のしようがないと思うわ」

凛「なるほどね。さっきまで英文法における理屈としての普遍の真理をやっていただけあってわかりやすいや」

凛「先生ってすごいね」

楓「そ、そうかしら……//」

楓(我ながら頭の使った答えを言えたのではないでしょうか。院生やってるこの世界の私の脳、グッジョブです)

楓「あ、それに、人間の間では嘘も通用してしまうから」

凛「嘘自体は偽である命題と考えれば論理的なんじゃないのかな」

楓「重要なのは、嘘が存在することではなく、嘘が通用することよ。嘘も方便っていうでしょ」

凛「言うね。ちなみに英語ではなんて言うの?」

楓「The end justifies the means. ――目的が手段を正当化する。意訳ね」

凛「論理なんてあったもんじゃない、のかな」

楓(この世界の凛ちゃんはかなり哲学的な話が好きなようです。いや、元の世界でも好きだったのかもしれません。アイドルじゃない普通の高校生だと、こういう子になるんですね)

凛「ふう、難しい話したら疲れちゃった。ねえ、先生。彼氏との話教えてよ」ニヤニヤ

楓「えっ?」

楓(突然の話題に思わず声を出して驚いてしまいます)

凛「だって先生ったら、私が休みたいっていうとすぐ彼氏との惚気話するんだもん。こうなったらこっちから興味もって聞かないとね」

楓(前言撤回。この世界の私は調子に乗ってます。ダメみたいです)

凛「この前は頼んでもいないのに私にツーショット見せてきたしさ。まあ、でも、かっこよかったよ、彼氏さん。正直私のタイプかも」

楓「と、とっちゃ、だめ、だからね」

楓(プロデューサーさんは一体何人のアイドル――この世界ではそうでないにしても――を惚れさせる気なんでしょうか)

凛「もし彼氏さんと私が知り合いだったら、わかんないかもね」

楓「知り合いなの?!」

凛「いや、全然。赤の他人だよ。先生必死すぎ」

楓「もうっ」ペシン

凛「あいたっ。……でこぴんしなくてもいいじゃん」

楓「……親御さんとの面談で凛ちゃんが勉強そっちのけで恋バナしかしないって言っちゃうんだから」

凛「すみませんでした」

楓「ふふっ、よろしい」

楓(可愛い凛ちゃんです。良く考えてみれば、私よりも10歳年下なんですよね。そう思うと余計に可愛く思えてきました)

楓「さて、今日の残りの単元も終わらせちゃいましょう」

今回はここまで。

楓(それからというものの、私は大学院の研究室で勉強しつつ塾でアルバイトをして、この世界に来てから早くも一週間が経とうとしていました)

楓(ふと、25歳で修士1年というのは周りより少し年上なんじゃないかと思いましたが、いろんな人に聞いてみたら、どうやら私は2浪していたそうです……全国的にはそれなりに有名な大学にいるので、この世界の私なりに苦労をしたのかもしれません)

楓(そうそう、私が塾で担当している凛ちゃん以外の生徒――卯月ちゃんと李衣菜ちゃんともお会いしました。二人とも、内面はそれほど元の世界と変わりませんでした。卯月ちゃんは相変わらず天然で可愛らしく、李衣菜ちゃんは相変わらずにわかで可愛らしいですね)

~都内某所にある個別指導塾~

卯月「う~ん。この長文複雑すぎてわかりません……。もうだめです」

楓「わかろうと思わなきゃいつまでたったって理解はできないわ。もう少し頑張りましょ」

卯月「……それもそうですね。はいっ、島村卯月、がんばりますっ!」

楓「ぶいっ、でしょ? ふふ」

卯月「ほえ? あ、はいっ。ぶいっ! ですね。えへへ」

楓(かわいい)

楓(シンデレラガールズを教える塾講師の仕事、私結構気に入ったかもしれません。まあ、何かの拍子で元の世界へ戻ることになるのかもしれませんが)

楓(いままではあまりこの能力について考えたことはありません。そろそろ本格的に考えたほうがよいのでしょうか? でも、現状特に困ったことはないんですよ)

楓(特にこの世界は、楽しいですし)

卯月「じーっ」

楓「わっ、どうしたのかしら」

卯月「きれい……そしてかわいいです」

楓「?」

卯月「先生って、モデルとかアイドルにはならないんですか?」

楓「実は別の世界でモデルもアイドルもやりました――なんて言ったらどうする? ふふっ」

卯月「ひょえぇぇ、……っていくら私でもその話に騙されるほどお馬鹿さんではありませんっ」

楓(実話なんですよね)

卯月「でもアイドルかぁ」

楓「なりたかったとか?」

卯月「えへへ、実は……ちょっと。一時期養成所にもいたんです」

楓「そうだったの」

卯月「でもやめちゃいました。先が見えなくなってきて、親にも反対されて、なにより笑顔しかとりえのない自分に嫌気がさして……」

楓「卯月ちゃん……」

楓(そう、この世界の卯月ちゃんは諦めてしまったのね。貴方の笑顔は誰にもまねできないし、他の誰にも負けないポイントなのに)

卯月「でもいいんですっ! 私、新しい夢を見つけたので」

楓「! それって?」

卯月「えへへ……実は小学校の先生になりたいんです」

楓「まぁ!」

卯月「なれるかわかりませんけど……でもせめて私の笑顔で子どもたちを楽しませることができたら――ううん、それだけでも私は十分幸せだと思います。なによりアイドルを目指すよりも現実的……」

楓「卯月ちゃん!」ガシッ

卯月「はわっ?!」

楓「その夢……先生は応援しているから! きっと、貴方なら誰よりも子どもたちを笑顔にできる良い先生になるわ!」ポロポロ

卯月「先生……なにも泣かなくても」

楓「あれ、ご、ごめんなさい」

楓(この世界にも、きっと彼女に対する救いはあるんでしょう。神様、どうか彼女の夢をかなえてあげてください)

卯月「えへへ、じゃあ私はいまからお馬鹿さんになるので、先生のさっきのお話の続きを聞かせてくださいっ」

楓「!」

楓「……わかったわ。あのね、先生は別の世界で最初モデルをやっていたんだけど――」

楓(それから、いろんな話をしました。プロデューサーさん――Pさんにスカウトされてアイドルになったこと。色んなお仕事を経験して苦労ばかりだったけれど楽しかったこと。駄洒落で変な空気を量産したこと。そして、Pさんに禁断の恋をしてしまったこと)

楓(授業そっちのけで話をしました。こんなことをしては怒られてしまいますが)

楓(卯月ちゃんは熱心に聞いてくれました。話の節々で反応する彼女を見て、アイドルとして成功した元の世界を彷彿とさせるものがあって心が痛んだ分、私もまた彼女を楽しませてあげられていればと、そう思いました。さすがに彼女がアイドルになったという話はしませんでしたが)

卯月「やや、やっぱりプロデューサーさんのこと好きになっちゃうんですか、き、禁断の恋……」

楓「お、落ち着いて卯月ちゃん」

卯月「は、はひ、がんばります」

楓(そろそろ英語を教えないとです。思い出話はおっもういいでーなんて、ふふっ)

今日はここまで。

楓(ふう、なんとか卯月ちゃんの英語のノルマを終えることができました)

楓(今日はここまでだそうです。バイトは明日もあって、李衣菜ちゃんとはそのときに会えそうです)

楓(さて、帰りますか。あの人のところへ)

~P宅~

楓「……」

楓「まだ19時代ですけど、なかなかどうして待っていると長く感じてしまいますね」

楓「早く帰ってこないかな……」

楓(あの人を待つ時間。心臓の鼓動がうるさく感じるとともに、時間の経過がやけに遅いと思いました)

楓(それでも、時間は同じ速さで進んでいるのでしょう)

楓(相対論に言わせれば、今この家に向かっているあの人と私では、静止している私のほうがほーんのすこしだけ短い時間を過ごしているのかもしれませんが、そんなのは誤差もいいところ)

楓「……」


ピンポーン


楓「!」ピョン

P「っと……ただいま」

楓「おっ、おかえりなさい……」トテトテ

P「おお、わざわざ玄関にまで。悪いな」

楓「い、いえ。だって、会いたかったもの」

P「楓……?」

楓「あっ」

楓(思わず本心が口をついて出てしまいました)

P「……楓」ダキッ

楓「!」

楓「な、なに、を///」

P「急に楓のことが愛おしくなったから、じゃ、だめか?」

楓(だめなわけないです)

P チュッ

楓(Pさんは何も言わずにキスをしてきて、次第に舌を入れてくるようになりました)

楓(なぜでしょう。なれない――というより元の世界では知っているはずのない感覚なのに、こうして別の世界でこのような関係になると感じてしまうのは……)

サワサワ

楓「あ、お、お尻、さするの、は」

P「だめ、か?」

楓「その言い方は、卑怯です……」

楓(すると、Pさんの手は私のお尻から股間へと移動していきます)

楓(でも今日の私はタイトなデニムのパンツなので、それ以上はできません。まさぐるだけのPさんは少し残念そうな顔をしています。ふふっ)

P「楓」

楓「なんです、Pさん」

P「なあ、口でしてくれよ」

楓(えっ? えっ!?)

楓(いきなりの要求に頭がついていきません。これまで何度か世界を遷移したことはありましたが、そんな、口でなんて、したことありません)

楓「で、でも……」

P「なんでだ? いつもならすすんでしてくれるのに」

楓(す す ん で し て る ? ! なにやってるんですかこの世界の私は!)

P「ほら、もうチャック下ろしちゃったしさ」

楓「うぅ」

楓(これは覚悟を決めるしかないようです)

楓(好きな人のモノですから嫌というわけでもないのですが、いかんせん元の世界基準の私では想像もつかないので)

楓(なんて、考えていると、もうPさんは自分のいちもつをさらけ出していました)

楓「///」

P「ほら、ひざ立ちになってさ。口あけてよ」

楓「あ、あー」

P「ほら」

楓「むぐっ!?」

楓(ふ、ふといっ。それに思ったより長くて苦しい)

楓(よく考えれば自分の指を束にして口に入れるようなものですよね……)

楓(そんな私のことはお構いなしなのか、Pさんはいちもつを私の口にねじ込んで満足そうな顔をしています)

楓(それに、外での仕事を終えて帰ってきたPさんですから、その……結構いちもつがにおいます。くちゃいです)

楓(なのに……)

楓(苦しくて、臭くて、息苦しいのに)

楓(口の中と喉をいじめられているのがどこか気持ちよく感じるのはなぜなのでしょう)

楓「むぐっ、ぷはぁっ」

P「相変わらず口でするのは苦手なんだな。腰を動かすのはあんなに上手なのに」

楓「ご、ごめんなさい」

P「いや、いいよ。ちょっと乱暴だったよな」ナデナデ

楓「///」

楓(やっぱりPさんは優しい人です。でも、そのいちもつはまだいきり立っています。きっと私の口の中で果てたいんでしょう)

楓「……、ぱくっ」

P「っ」

楓「んっ、んんっ」

楓(たぶん、全然上手にはできていません。苦しいだけですし、今の私の表情はひどいものだと思います)

楓(でも、この人のためなら……)

楓(それに、私の身体が喜んでいるんですもの。やめるわけにはいかないじゃないですか)

P「か、楓」グッ

楓「ふぐぅっ!」

楓(Pさんが乱暴に私の口でいちもつを暴れさせます。ああ、だめ、吐いちゃうかも。でも、その嘔吐感すらもはや私にとっては快感です。この世界の私の感覚が、「私」に流入してきているのでしょうか)

P「楓っ、楓……!」

楓「ぐぼっ、ぶふっ、はぁっ」

P「うっ」

楓(Pさんがそううなったが最後、私の口の中にはどろどろしたおかゆのような苦いものが放たれました)

楓「ごくっ」

楓(そして、意を決してごっくん)

楓「はーっ、はあっ、はぁ、……」

楓「この、Pさんの、ドS」

P「ご、ごめん」

楓「ふふ、嘘」

楓(私の身体は悦んでいたもの。怒りはしません♪)

楓(それから、彼は果ててから疲れきってしまったのか、夕飯を食べてお風呂に入ったと思ったらすぐ寝てしまいました。ちょっと寂しいような気もしますが、まあこういうときもあるのでしょう)

楓(そういえば、彼はどんな仕事をしているのかしら?)

楓(でも、こんな悪くないところには住めているし、院生でたいして収入のない私をやしなってくれているくらいだから、稼ぎはいいのかも)

楓(はあ、ともあれ疲れちゃったな)

楓(……)

楓「私もお風呂入ろっかな」


カポーン

楓「ふぅ」

楓(この世界はいままでの世界とは違う。いままで遷移して観測してきた世界はただの余興で、この世界ではこれまでとは違ったなにかが起こる。そんな予感がします)

楓(悪いことじゃないと、良いのですが)

ザバーッ

楓(さて、身体洗おっと)

サワッ クチュ

楓「……はぁ」

楓(後で自分を慰めます)

~翌日、都内某所にある個別指導塾~

李衣菜「ふんふんふふーん」

楓「李衣菜ちゃん、そろそろ勉強始める時間よ」

李衣菜「あっ、ごめん先生」

楓「ふふ、何を聴いていたの?」

李衣菜「よくぞ聞いてくれました! 私がいま聴いていたのは最高にロックなバンド、COMPLEXの曲なんだ!」

楓「随分と古いのを知っているのね」

李衣菜「真のロックは時代なんて関係ないんだよっ!」

楓「そうかもしれないわね。ねえ、李衣菜ちゃんは2人のうちどっちが好きなの?」

李衣菜「私はあのギターテクに惚れたかな!」

楓「ああ、あっちね」

李衣菜「う、うん、そう、あっち」

楓「珍しい苗字よね」

李衣菜「そ、そうそう! ぬのぶk……」

楓「 え ? 」

李衣菜「ぬ、布袋って呼んじゃだめだよなー! 珍しい苗字なんだからな、ははは……」

楓(にわかわいい)

今回はここまで。最後の李衣菜の台詞で変換しちゃって「布袋」となっていますが、もちろん李衣菜はちゃんと読めていません。

楓「じゃあ李衣菜ちゃん、complexという単語の意味は知っているかしら?」

李衣菜「馬鹿にしてもらっちゃ困るよ! なんかこう、……周りと比べて、いやだなー、みたいな、それ」

楓「それを模試で書いたらもれなく0点よ」

李衣菜「うう……」

楓「いま李衣菜ちゃんが考えているのはinferiority complex――つまりは劣等感のことね。日本語だと一口にコンプレックスと言ってしまうからそう考えるのも仕方ないかも」

楓「complexっていう単語は、もともと包み込むという意味のラテン語からきているの。だから、形容詞としてはいくつかの部分からなる――複合の・複雑なといった意味で、名詞としては複合体・集合体・合成物といった意味をもつ」

楓「李衣菜ちゃんもおしゃれなデパートとかは好きでしょう?」

李衣菜「うん」

楓「ああいうのを複合施設とか言うんだけど、それも英語ではcomplexね」

李衣菜「そうなんだ。なんだか難しいな」

楓「あ、ごめんなさい。つい夢中になって説明してしまったわ」

李衣菜「ううん。先生は悪くないから。悪いのは私の頭」

楓(この世界の李衣菜ちゃんは少し卑屈な一面を見せる子なのでしょうか)

李衣菜「日本語で言うのと、実際の英語では違うのって結構あるよね」

楓「いわゆる和製英語ね。確かにそういうのは多いわ。特に意味が全く違ったりすると変にバイアスがかかって勉強に支障がでちゃうかも」

李衣菜「ロックって石っていう意味なんでしょ?」

楓「アメリカ英語では確かにそうね。小石とか。一般に石はstoneかしら」

李衣菜「うーん、めんどくさいよ」

李衣菜「先生、私ね、今日は勉強したくないや」

楓「李衣菜ちゃん……」

楓(やってしまいました。生徒のやる気を逆に削いでしまうなんて)

李衣菜「だからさ、もうあとは自由時間にしようよ。私勉強はいやだけど先生と話すのは好きなんだ」

李衣菜「それに勉強をすることに反抗するなんてロックだよね!」

楓(うーん、心配したことを悔やみそうです。ロックであればなんでもいいんですね)

李衣菜「さっきコンプレックスで思い出したんだけどさ」

李衣菜「私のまわりの女の子って結構おっぱい大きい子が多いんだよね。私、ロック歌手になって露出がきわどいかっこいい衣装とか着てみたいんだけど、そういうときにさ、こう、ばいーんと、おっきいおっぱいだとなんだかロックじゃない?!」

楓「そう、かもしれません、ね?」

李衣菜「海外の女の人でロックなやつみるとあこがれちゃうもんなぁ」

楓「それはなんていうアーティストなの?」

李衣菜「えっ? あ、いや、それは――そうそう、名もなきロッカーなんだよっ」

李衣菜「私の胸もすっごいちっちゃいわけじゃないけどさ、なんていうか普通なんだよね」ヌギヌギ

楓「ちょっと、李衣菜ちゃん?」

李衣菜「大丈夫だって、ここ個室だし」ヌギヌギ

楓(私が止めようとするのをよそに、李衣菜ちゃんは手際よく上半身の服を脱いでいってしまいました)

李衣菜「ほら、みて、先生」プルン

楓「おお……」

楓(なんでしょう。なんといえばいいんでしょう。25歳にして現役JKのおっぱいを二人きりの場所で目の当たりにしている私がいます)

楓(李衣菜ちゃんのおっぱいは大きすぎず小さすぎずで、とてもやわらかそう。乳輪は小さく、乳房の先で可愛らしい乳首がちょこんと存在しています)

李衣菜「なんかさ、胸を揉まれると大きくなるって聞いたんだよね」

李衣菜「だからさ、先生、揉んでよ」

楓「わ、私が揉んでも、大きくはならないと思うわ」

楓「それに、そういうのは好きな人にやってもらったほうが……」

李衣菜「じゃあさ、私が先生のこと好きだって言ったらどうする?」

楓「!?」

李衣菜「私、男の人に惚れることもあるけど、女の子のことも好きなんだよね」

李衣菜「先生……お勉強頑張るから……私といろんなことしようよ。きっとロックだよ」

楓「私には好きな人が――いるものっ」

李衣菜「彼氏さん? だったらバイになっちゃえばいいじゃん。私みたいに。まあ、私は彼氏できたことないけどさ」

楓「彼女はいるとか?」

李衣菜「うん、なつきちっていう人。すごいんだよ、テクが。ロックで、もう何回もイっちゃうんだ」

楓「浮気じゃないですか」

李衣菜「だからW不倫的なさ。大丈夫だって。お互い損するような組み合わせじゃないし、なつきち――彼女は結構寛容な人だと思うから」

楓「そういう問題……?」

李衣菜「ロックに燃え上がろうよ!」

楓「……」

楓(こんな、職場の個室で、いけないのに)

楓(ちょっとJKのとてもやわらかそうなおっぱいを揉んでみたいと思ってしまう私がいるのは、なんというか、恥ずかしい限りです)

李衣菜「先生ってこの後は誰かを教えるの?」

楓「いえ……今日は李衣菜ちゃんだけだから、終わったら早めに帰るだけよ」

李衣菜「この前なつきちと行ったホテルに連れてってあげるからさ、ね?」

楓「もう、李衣菜ちゃん、こういうことはいけないのよ?」

李衣菜「そうは言っても~先生、私もうやばいから。ロックな心に火がついてだめなんだよ」コスリコスリ

楓(李衣菜ちゃん……私の身体に股間をこすり付けてくる……)

李衣菜「お願いだよ先生」

楓「李衣菜ちゃん、もう、いけないの」

李衣菜「……」

李衣菜「私が先生にレズセックスに誘われて襲われたってこの塾にチクったら先生困るよね?」

楓「!」

楓(もう、それロックなっていうより畜生じゃないですか)

楓(でも……)

楓 ハァハァ

楓(興奮してしまっている私がいる……)

楓「……わかったわ」

李衣菜「本当?! 先生大好きだよ」チュッ

楓「!?」ゾクゾク

楓(李衣菜ちゃんに不意打ちでキスされた瞬間、謎の快感に思わずからだが震えてしまいました)

李衣菜「もう授業の時間も残り少ないね。私さ、体調不良ってことにするから、時間差で塾でてホテル行こ」

楓「わ、わかったわ……」

~都内某所、とあるホテル~

楓(来てしまいました来てしまいました)

楓(JKと二人きりでホテル。いくら私が女性だからと言ってもこれはなかなかに危険な状況です)

楓(確かにこれは少しロックかもしれませんね……なんて李衣菜ちゃんを真似て思ってみます)

李衣菜「ねえ、先生、ここ座って」ポンポン

楓 ストン

李衣菜「先生、好き……」チュ

楓「!」

李衣菜「先生にいっぱい触ってほしいよ」

楓「でも、李衣菜ちゃんは、そのなつきちさん? が一番好きなんでしょう?」

楓(ちょっといじわるしてみます)

李衣菜「そんなこと言ったら先生だって彼氏のことが一番好きでしょ?」

楓「……そうよ」

李衣菜「それと一緒だよ。でも、今はさ、そういうの忘れようよ。ロックな気持ちだけ忘れずに、ね」

楓(ちょっとむかつきますね、かわいいけど。また、いじわるしてみましょう)

楓 モミモミ

李衣菜「!」

楓「ほら、こうしてほしいのよね」モミッモミッ

李衣菜「んぁっ、ちょっ、んぅ」

楓「お望みどおり揉んであげてるんだから、もっと可愛い声を聞かせなさい」

李衣菜「あぁん、せんせぇ、きもちぃぃ」

楓「ふふっ、よろしい」

李衣菜「ふわぁ。はぁっ、はぁ……先生意外と上手だね。でも、私だってやられっぱなしじゃないよ」

楓「ちょっと李衣菜ちゃんっ」

楓(李衣菜ちゃんが妙に慣れた手つきで私の服を脱がせにかかります。どうせ抵抗しても仕方がないと思った私は、されるがままに裸になりました。李衣菜ちゃんも自分で服を脱いだので、これでお互い一糸纏わぬ姿になりました)

李衣菜「へへっ、いただきます」

楓「んんっ」

楓(李衣菜ちゃんが私の股間に顔を埋めて舌を這わせてきます。あの人にされたいろいろとは違う何かを感じます)

李衣菜「先生ホテルはいる前にトイレ行ったでしょ。おしっこの味がするよ」

楓「おしっこの味を知っているの?」

李衣菜「ロックだと思ったからこの前なつきちにかけてもらったんだ」

楓「そう……」

楓(ロックにかこつけてアブノーマルなプレイをしたいだけなのでは)

楓(まあ、実際お小水してからというのは本当なのですが、いかんせんそれを知られるというのは恥ずかしいものがあります)

李衣菜「それに、先生のおまた、結構毛濃いね」

楓(この世界の私は芸能人でもなんでもない院生なので、その辺のケアはなされていないようです。まあ、特に気にしなかったので放置してましたが、この世界の私はわりとジャングルです。あの人はそれで少し興奮しているように思えましたが)

楓(李衣菜ちゃんは私のおまんこへの感想を言いながら舌で愛撫してくれています。彼女の小さな舌が私の毛深いあそこを必死になぞっているのだと思うと、興奮のあまり熱帯雨林になりそうです)

李衣菜「ぷぁっ。そろそろ指でするね」クチュクチュ

楓(そう言って、李衣菜ちゃんは私の膣内を指でいじり始めました――が、これがいけませんでした)

楓(気持ちいい。気持ちよすぎるのです。さすが、女の子同士で盛りあうことに慣れているだけあります)

楓「ああっ、んぁっ、んっんっ」

楓(みっともないあえぎ声を生徒に聞かせながらもよがってしまう私がいます)

李衣菜「てへへ、先生私の事を舐めてもらっちゃ困るよ! まあ舐めたのは私だけどね!」

楓(ちょっとうまいこといったみたいな顔がむかつきますが、それどころではありません。もうイキそう……)

李衣菜「イって! いいよ、先生っ」クチュクチュ

楓「あぁっ!」

楓(私は絶頂しました)

李衣菜「ふぅ」パタッ

楓「はぁっ」バタン

楓(ひと段落ついて、2人してベッドに横たわります)

李衣菜「先生のイクときの顔可愛かったよ」

楓「もう、からかわないの」

李衣菜「へへ」

楓(ああ、でもやっぱり李衣菜ちゃんは可愛いです。……そうだ、李衣菜ちゃんを可愛がってあげられるものは何かないかしら)

楓(そう思って私がホテルの中を見回してみると、李衣菜ちゃんのかばんの中から妙な形の棒状のものが見えました)

楓(それを見つけるやいなや、私は手にとってみます。――ペニバンです)

楓「……」ゴソゴソ

李衣菜「先生、なにやってるの?」

楓 ボロン

李衣菜「あっ、それはなつきちの……」

楓「そういえば前から気になっていたんです。男の人が女の人を犯すのってどんな感じなんだろうって」ボソボソ

李衣菜「せ、先生?」

楓(私は李衣菜ちゃんを押し倒して、馬乗りになります)

李衣菜「もしかして、怒らせちゃった……?」ビクビク

楓「そうじゃないの。ただ、私も李衣菜ちゃんを可愛がってあげたいなって」ズブズブ

李衣菜「ん゛っ、あぁん」

楓「あら、処女膜はもうないのね。そのなつきちさんにあげちゃったのね」

李衣菜「だって、なつきちがしたいっていうから……」

楓(私には挿入する側の腰の動かし方はよくわかりません。ですが、見よう見まねで、あの人を思い出しながらやってみると、案外李衣菜ちゃんはいい声で鳴いてくれました)

楓(李衣菜ちゃんはいつも以上に高い声で可愛くあえぎながら、おまんこをこれでもかというくらいにぬらして、ペニバンのペニスの部分をテカらせてくれました)

李衣菜「い、イクっ」

楓 ピタッ

李衣菜「えっ、はぁっ、も、もう少し、で、イけたのに」

楓「なつきちさんと同じことしても面白くないわ。ロックじゃない、そうよね」

李衣菜「?」

楓「バックでしたいわ」

李衣菜「バック? いいけど、それはもうなつきちとしてるよ?」

楓(そう言いながら、李衣菜ちゃんは可愛いお尻を私のほうに突き出してくれます)

楓「こうするの」ズブズブ

李衣菜「ひぎぃぃっ?!!」

楓(そのまま、小さなお尻の穴へペニバンをねじ込みます)

李衣菜「いいいいい、痛いっ、痛いよ先生っ。そ、それはっ、確かになつきちもしてないけどっ」

楓「もっとロックなこと、したいでしょう?」

李衣菜「ろ、ロック……?」

楓「そう。お互い浮気しているのに、さらに隠れてアナルセックス。しかもアナル。普段は排泄のためにあるところでしちゃうの」

李衣菜「……い、いいかも」

楓(ほんとにわかわいい)

楓(私はさらに奥へとペニバンをねじ込みます)

李衣菜「う゛っ、あ゛っ、お゛お゛っ」

李衣菜「はぁっ、はあ」

楓「李衣菜ちゃん、お尻の穴から血が出ているわ。次からトイレではちょっと痛いかも」

李衣菜「ろ、ロックならいい……」

楓(それからというものの、聞いたこともないような声で悶絶し喘ぐ李衣菜ちゃん、赤色と茶色に染まるペニバン、そして何より、興奮する私)

楓(ああ、もうだめになってしまいそう)

楓(そう思いながらも、やめられない私がいるのでした)

楓(すべての事が終わった後、事後処理をしてからシャワーを浴びました。)

李衣菜「今日は新しい何かに目覚めた気がするよ」

楓「そ、そう、よかったわね」

李衣菜「またおっぱい揉んでね」

楓「それだけじゃ終わらないでしょ」

李衣菜「てへへ」

李衣菜「いや、思ったんだ。当たり前のようなことだけど、次の日の自分がどうなるかなんて、本当に、どうしようもなく、わからないんだって」

李衣菜「昨日の私は、まさかこうなるとは思ってなかったし」

楓(それは私も)

楓(明日の自分――何かの拍子で元の世界に戻ったりとか、でしょうか)

楓(それにしても、この世界はいままで私が観測してきたものとはなにかが違います。何が違うのかはわからないんですけど、本能がそう訴えてきているような気がするんです)

楓「……明日、か」

今回はここまで。

~都内某私立大学、研究室~

指導教官「そういえば、修士論文のめどはついたかな?」

楓「先行研究は調べつくしていて、結論もある程度固まっているので、そろそろ本腰を入れて書いていこうと思います」

指導教官「そうか。いやいや、安心したよ。文系の大学院に進学した学生となると、この時期は就職活動なんかで見ていられないぐらい疲弊している学生もいるからね。高垣さんはあまり無理をしていないようでよかった」

楓(確かに、別の世界から遷移してきたというのもあるけど、あまり深刻に自分の近い将来を考えていませんでした」

指導教官「高垣さんは就職活動をしているのかな? それとも、はたまたD進か」

楓「色々相談すべき相手がいるので、もう少し考えてみます」

指導教官「うむ、そうか。まあ君なら大丈夫だろう」

指導教官「そうだ、少し頼まれてはくれないだろうか。実は私の娘がね、中学受験を控えているんだが、なかなかどうして文系科目に苦手意識があるようで、賃金ははずむから家庭教師をしてほしいんだが……」

楓「娘さんの?」

指導教官「ああ。今日はたまたま妻と一緒に大学に遊びに来ているから、いま呼ぶよ」ポチポチ

楓(先生には日ごろお世話になっていますし、こういうときくらい力になってもいいかもしれませんね)


コンコン


指導教官「おっ、来たかな? どうぞ」

ガチャ

女性「失礼します。ほら、いらっしゃい」

女の子 トテトテ

楓(そのとき、私は油断していたのか、目の前の景色に対してどきりとしてしまい、心臓が口から飛び出てしまうような気がしました)

楓(だって――)

指導教官「ほら、挨拶しなさい」

女性「ちゃんとあの人の顔を見て挨拶するのよ」

女の子「――っ」

楓(この子は――)



女の子「あ、あか、ぎ、……みりあ、です」

楓(綺麗な女性――夫人に連れられておそるおそる入室し自己紹介した女の子は、頭の上で小さく2つに髪を結んでいて)

楓(正真正銘、赤城みりあちゃんでした)

楓(いつも先生を「先生」と呼んでいるせいで失念してしまっていました……この人は赤城教授……)

楓(でも、元の世界のみりあちゃんとは、見た目こそ同じであるものの、あの明るくて元気な感じは一切ありません)

楓(とても内向的な子のようです)

指導教官改め赤城教授「この子は小さい頃から自然科学に対して才能を開花させていてね。特に数学と物理学については、アメリカなら大学にだってもう入れるレベルだろう」

赤城教授「だがせめて一番難しい中学生時代までは自分の近くにおいておきたくてね、いや、親ばかなんだが」

赤城教授「とりあえずうちの大学の系列校である中高一貫校に入れたいんだが、国語と社会もできるようにしないと合格圏ぎりぎりなんだ」

赤城教授「君は塾講師もしていると聞いている。どうか、頼まれてくれないか?」

楓「ええ、そういうことでしたら、喜んでお引き受けします」

夫人「まあ、ありがとうね。ほら、みりあもお礼言いなさい」

みりあ「あ、ありがとう……ござい、ます」

楓「……」

~翌日、赤城教授宅~

夫人「今月はまだ本格的に教えなくてもいいから、まずはみりあといろいろお話してくださると助かるわ。ある程度話してから、徐々に勉強に入っていく形でいいから、お願いね」

楓「はい、……わかりました」

夫人「みりあは今自分のお部屋にいるわ」

楓(綺麗でかわいらしいけど、どこか厳しい雰囲気も持つ人……みりあちゃんはどんな育てられ方をしたのでしょう)


楓「みりあちゃん? 入るわね?」コンコン


シーン


楓「み、みりあちゃん?」ガチャ

楓「っ!」

楓(扉を開けて進んだ先は、とても子ども部屋とは思えないものでした)

楓(壁は勉強机のある部分と窓の部分を除いてほとんどすべてが本棚。子どもらしくお絵かきしたものを壁に貼っているなどはありません。それでも壁の余った部分に貼られているのは、画用紙に鉛筆のようなもので書かれた英文と数式でした。幼い子が書くような字だと見てすぐわかるのが唯一の救いです)

みりあ「有理数係数多項式環をx^2+x-2で生成されるイデアルで割ったもの、が、有理数の直積2つに同型、で、あることを示す、には、うーん、あ、代入写像だ、さっきの例のを応用すればいいんだ。全射準同型を多項式環から直積へ作ってあげて、あとはKer(カーネル)がイデアルになることが、言えれば、おっけー」

みりあ「あれ、全射であることを示すには、具体的な多項式を作らなきゃいけない、か、あれれ、うーん、こう、かな?」カキカキ

みりあ「うーん」

楓「あの、みりあちゃん?」ポンッ

みりあ「ひゃうっ」

みりあ「あ、せ、せんせ、い?」

楓「うん、そうよ。随分と頑張って問題を解いてたみたいね」

みりあ「これは、うーん、べ、べつにすごーく難しい問題ってわけじゃ、な、くて。ほとんど答えはできてる、ん、だけど、ちょっとしたところで詰まっちゃって」

みりあ「でも、せ、んせいが、来たから、とりあえず、やめる、ね。メモだけ書かせて」

――don't forget to prove that this homomorphism is surjection.

楓「すごいわね。英語ができるのね」

みりあ「えー? 数学に出てくる英語、は、難しくないよー。言葉が、難しい、だけ」

楓「私にはさっぱり」

みりあ「せん、せい、の専門って、たしか、社会科学? っていうんだっけ。お父さんが、言ってた」

楓「ええ、そうよ。特に私のやっている分野は数学とは無関係」

みりあ「で、でも、私に国語と社会、を、教えてくれるってことは、国語と社会が得意なんでしょ? みりあは、ご本に出てくる人たちが、どう考えてるか、が、よくわからないし、社会は、あんまり興味がなくて」

楓(私は安心しました。この子は決して心を閉ざしているわけではなくて、一対一だと話せる子なんですね)

楓(国語の読解力に関しては――特に物語文については、応用ではなく、とにかく基礎固めに徹していけばいいかな。この子の場合、興味さえあればかなり伸びるだろうから、社会に関してはそこが勝負かも)

楓「みりあちゃんならきっとできるようになるわ。まあ、今日はいきなりお勉強するんじゃなくて、先生といろいろお話しましょ」

みりあ「うんっ」

楓(初めてこの子の笑顔を見たかもしれません。かわいい)

楓「お父様からね、みりあちゃんは数学と物理がすごくできるって聞いているわ」

みりあ「ううん、できるんじゃ、ないの。知ってるだけ」

楓「それだけでもすごいことなのよ」ナデナデ

みりあ「ふわぁぁ」

楓「それにしてもすごい数の本ね」

みりあ「なんかね、小さい頃は絵本、とかも、いっぱいあったんだけど、ある日ね、足し算と、引き算と、掛け算と、割り算が載ってる算数の本があって、それを読んでたら、すぐできるようになっちゃって、それでお父さんたちが数学の本、とかを、いっぱい買ってくれたの」

楓(そういう経緯だったのね。教授も張り切りすぎだとは思うけど、少なくとも両親に強要されて勉強していたんじゃないなら、安心できます)

楓「みりあちゃんのおすすめはなにかしら」

みりあ「うーん、みりあのおすすめはー」トテトテ

みりあ「これ、かな」つ『整数論1 初等整数論からp進数へ』

みりあ「みりあはね、mathematical analysis――あ、えっと、解析が好き、なんだけど、代数はあんまり得意じゃなくて、でもこの本は、簡単なところから入ってくれて、いろんなこと教えてくれる、から、好き」

みりあ「あとは、これも」つ『An Introduction to the Theory of Numbers』

みりあ「ハーディーせんせいの、数論の本。これも好き。さっきの本と、分野はあんまり違わない、けど、イギリスの大学の講義の感じがする」

一旦ここまで

ひとまず再開します

楓「どれも難しそうね……」

みりあ「うん、むずかしい」

みりあ「で、でも、わからないってことが、面白い、から……えへへ」

楓(かわいい)ナデナデ

楓「そうだ。みりあちゃん。パラレルワールドって、わかるかしら?」

みりあ「それって、この世界みたい、に、みりあも先生も、あとパパとママもいるけど、ちょっと違ったり、だいぶ違ったりする世界がいっぱいあるって、話だよね」

楓「そうそう」

楓「もし、先生がパラレルワールドから来たって言ったら、みりあちゃんはどう思う?」

みりあ「ふぇっ、そ、そんなの、先生が本当のこと言ってるのか、冗談なのか、わかんないし……」

楓(恐らく本当の話なんですよね……)

楓(私が夢を見ているのでなければ)

みりあ「うーん、それじゃあ、先生が前にいた世界の、みりあは、どんな女の子だった?」

楓「!」

楓「この世界のみりあちゃんと同じでとっても可愛くて、あの世界のみりあちゃんは明るくてみんなのアイドルだったわ」ナデナデ

みりあ「ふわぁ、あんまりなでると、はげちゃう、よぅ」フルフル

楓「はげないわよ」

みりあ「みりあがアイドルかぁ、こ、こんなご本ばかり、読んでる子とは、大違いだね」

楓「あら、貴方もアイドルよ」

みりあ「どういうことー?」

楓「先生がみりあちゃんのファン第1号だから」フンス

みりあ「よ、よくわかんないよ//」

楓(そういって照れるみりあちゃんは、可愛くて、元の世界のアイドル赤城みりあそのものでした)

みりあ「先生は、元の世界に戻りたい?」

楓「……」

~都内某所にある個別指導塾~

凛「それで、先生はなんて答えたの?」

楓「……こ、この世界」

凛「ふーん」

楓「そっちから訊いたんだから、もうちょっと興味持ちなさいっ」

凛「なんか先生の表情とか見てると、果たしてそれは本音だったのかなって」

楓「……」

凛「ごめん、別に責めてるわけじゃないし、本音を言うことが良いとは限らないのもわかるからさ」

凛「嘘も方便――The end justify the means.でしょ」

楓「この世界だって楽しい」

楓「だけど、あくまでも私は元の世界で25年生きてきた高垣楓なの」

凛「私も最初その話を聞いたときは妄想なのかと思ったけど、別にそういうことってあってもいいと思うんだよね。それで、いざそうやって別の世界に遷移してしまったとき、比較せざるを得ないでしょ」

楓「元の世界でのあの人とは、仕事の場という都合上、お互いに敬語で話さなければならなかったけれど、それすらも楽しんでる私がいたの」

楓「あの人も、あの世界では、そう思っていてくれていたのかしら」

凛「この世界の彼氏さんには不満? 同じ人だけど」

楓「元の世界とのギャップがあって、幸せな気持ちは大きいけれど、100点満点ではない、といったところね」

凛「そういうもんなんだね」

楓「そういえば、凛ちゃんは気になる人とかいないの?」

凛「うーん、男の人と付き合うこと自体に興味がないんだよね。同世代の男子は馬鹿だし、年上はなんだか怖い。下心のオーラって気味悪くて」

凛「自分のお金とか時間は自分のために使いたいかな。まあ、自己中とか自己満足って言われればそれまでだけどさ」

楓「将来的に結婚するってこともなさそう?」

凛「今の自分が変わらなきゃないだろうね」

凛「先生って、いつかこの世界からまた遷移しちゃうの?」

楓「さあ、そればかりは、わからないわね」

凛「まあ、先生も」


凛「悔いなくこの世界を生きてね」

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