楓「とっても大人だけど下戸なプロデューサー」 (46)

P「何?」

楓「プロデューサーってとっても大人ですよね?」

P「歳が? 雰囲気が?」

楓「どっちもです」

P「ん、まぁ。そう思ってんならそうなんじゃない?」

楓「で、お酒飲めないですよね?」

P「悪りぃかよ」



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楓「別に悪くはないですけど」

P「一緒に飲めなくて申し訳ないとは思うけど体がアルコールを受け付けないんだ」

楓「あんなに美味しいのに」

P「俺にはオレンジジュースの方が美味しいよ」

楓「子供ですね」

P「違う」

楓「プロデューサーって今年何歳ですっけ?」

P「33歳だよ」

楓「……フッ」

P「鼻で笑うんじゃあない」

P「そうだよ。俺は皆と飲みに行ってもお茶かジュースだよ」

楓「あら、そんなにしょげないで。元気だしましょ」

P「あぁ? いい年のおっさんは可愛い子に元気出せって言われると元気出ちゃうから俺以外には言わないように」

楓「はーい」

P「よーしよしいい子だ」

楓「うふふ」

楓「プロデューサー。言うの忘れてましたけど寝癖ついてますよ」

P「寝癖じゃなくて髪型だ」

楓「ふふ、それもいいですね」

P「髪のこととかどうでもよくて寝癖も治さなくてなぁ」

P「そろそろ白髪が出てくる年頃かなぁ」

楓「まだ早いですよ。プロデューサーは年の割に若いですよ」

P「それをそのままそっくりお前に返すよ」

楓「それってどう言う意味ですかー!?」

P「見た目なら十代って言っても全然分からんってこと。性格もそんなんだし」

楓「そんなんとかひどいです」プク

P「はっはっは! お前は本当に……」

楓「何ですか?」

P「いや、なんでも」

楓「変なプロデューサー」

P「こんなおっさんに付いてくるお前の方がよっぽど変わりもんだよ」

楓「だって、プロデューサーにはいっぱいお世話になりましたし、今更離れられないですよ」

P「ふーん、そんなもんか」

楓「そんなもんですよ」

P「もし俺がアイドルなら恩とか義理とか関係なく有能な奴に付いていくと思うけどなぁ」

楓「それはきっと思ってるだけでほんとは離れないと思います」

P「お前は俺の何を知ってるんだ」

楓「いろいろです」

P「まぁ付き合いは長いわな」

楓「プロデューサーだって私のこといろいろ知ってるでしょ?」

P「ん? いや。ほとんど知らんな」

楓「えー? そんなことないですよ」

P「知ってるのは誕生日と出身地くらいか」

楓「もっとあります。メールアドレスとか電話番号とか好きな色とかいろいろ」

P「そんな小さなことを考えてるとキリがないぞ」

楓「もっと私のこと見てください!」

P「見てるよ。これ以上ないって位見てる。だからお前はそんなことは気にせずにアイドル活動に励めばいいのだ」

楓「でも……」

P「まぁ、その、何だ。頼みは出来る限り叶えてやるから」

楓「じゃあ、温泉に行きましょう!」

P「何でだ!?」

楓「だって頼みは出来る限り叶えるって」

P「別に俺とじゃなくてもいいだろう! って言うか俺じゃないほうがいいじゃん」

楓「いいえ。私はプロデューサーさんと行きたいです」

P「温泉じゃなくて銭湯ならいいよ」

楓「混浴ですか?」

P「別々に決まってるだろ!?」

楓「えー、つまんないです」

P「俺はつまんなくないの」

楓「一緒に入りましょうーよー」

P「無理無理。俺死んじゃう」

楓「私は死にません」

P「それ、言っちゃダメ!」

楓「?」

P「とにかく、別湯で銭湯ならオッケーだ」

楓「えー、じゃあ行かなくていいです」

P「あ?」

楓「一緒に何かしたいんですよ」

P「一緒にねぇ。何かあるか?」

楓「ショッピングでもしましょうよ」

P「しょっぴんぐ? 買い物と言え。買い物と」

楓「で、行ってくれるんですか? ダメなんですか?」

P「んー、まあそのくらいならいいんじゃないか?」

楓「早速行きましょう!」

P「今から? うーん」

楓「……」ワクワク

P「しょうがないな」

楓「やったー!」

P「……はぁ」

楓「ため息ついちゃダメですよ。さぁさぁ」グイグイ

P「疲れそうだな」

ショッピングモール

P「へー、最近の店はすごいもんだな」

楓「プロデューサーはこういうとこにはあまり来ないんですか?」

P「あまりどころか全く来ないな」

楓「じゃあ今日ぐらい楽しみましょうよ」

P「そうだなぁ」

楓「まずは服でも見に行きましょう」ググイ

P「お、おい急かすな」

楓「ふふ、これとかどうですか?」

P「お前はアイドルなんだぞ? 似合わん服などない」

楓「ありがとうございます」

P「礼を言われることじゃないだろう」

楓「でも、似合うとは言っても一番似合うのはどれですか?」

P「ん? んー。そうだな。これ」

楓「え、これですか?」

P「まぁ男の意見だからな」

楓「でも、プロデューサーが選んでくれたからこれにします」

P「買うのか?」

楓「はい、どうかしたんですか」

P「んん!! ちょっとそれ貸せ」

楓「え? 服ですか?」

P「速く貸して」

楓「はい」

P「あー、ちょっと他の服でも見ててくれ」

楓「!」

楓「ふふ、わかりました」

P「じゃあ、ちょっと待ってろよ」

P「すいません、店員さん。これお願いします」

店員「はい、彼女さんにプレゼントですか?」

P「そ、そういうんじゃないです」

P「よし」

楓「ふふ、会計は済みましたか?」

P「うん。うん? あ!?」

楓「プロデューサーも下手ですね」

P「うるさいな。こういうことは慣れてないんだよ」

楓「初めてでも及第点に届きませんよ」

P「じゃあ、もういいよ。ほら日頃の褒美だ」

楓「はい、ありがとうございます」

P「俺に出来ることは限りなく少ない。たまにはカッコつけさせろよ」

楓「自分で言ってて恥ずかしくないですか?」

P「お前がそんなこと言わなかったら恥ずかしくなかったな」

楓「あら、それはごめんなさい」

P「ちっ、次行くぞ」

楓「あ、待ってくださいよ」

楓「拗ねないで笑顔になりましょ」

P「ぐっ」

楓「プロデューサーさん、顔赤いですよ」

P「……」

楓「ふふ、可愛いですね」ギュ

P「手を握るな」

楓「今日くらいいいでしょ? 頼みは何でも叶えるって言ったじゃないですか」

P「何でもとは言ってない。できる限りだ」

P「ほら、次はどこにいくんだ?」

楓「そうですねえ。お酒でも買いに行きましょう」

P「何でだ!? それは早苗さんやら大人の方々と行けばいいだろう」

P「よりによって俺は最悪の人選だろ」

楓「プロデューサーだからですよ」

P「はぁ。わからんけどしょうがないな」

楓「試し飲みが出来るみたいですよ」

P「帰っていいですかね?」

P「あ~、アルコールの匂いがする」

楓「しませんよ」

P「ダメだわー。ちょっと外に」

楓「ダメです」ギュ

楓「車じゃないんですし、ちょっとだけ」

P「俺は飲まないぞ。断固たる決意だ」

楓「じゃあ、少しもらってきたんで飲んでみましょ」

P「どうぞ」

楓「……」ゴク

楓「美味しいですね」

P「ふーん」

楓「どうぞ」

P「結構です」

楓「つれないですねぇ」

P「俺の最高記録はコップ五分の一だ。ベストコンディションで」

楓「じゃ、イケますね」

P「無理」

楓「むぅ、しょうがないですね」

P「買うんだったら買ってやるから」

楓「じゃあ、これがいいです」

P「これな。はいはい」

P「すんません、これください」

楓「帰ったら飲みましょうね」

P「俺はジュース飲んでるよ」

P「次」

楓「じゃあ、うーん。どうしましょうかねぇ」

P「ふむ、ちょっと待ってろ」

楓「え、プロデューサー!?」

P「そのへんのベンチに座っといてくれ」

楓「あ、はい」

P「ちょっと驚かしてやろう」

楓「プロデューサー、どうしたんだろう」

P「(どれにしようかな)」

ショップ

P「これとこれとこれにしよう」

P「楓は超可愛いからな。どれを選んでも似合うけど一番似合うものを選んでやらなけりゃな」

P「すんません。これください」

P「よし、楓のところに戻ろう」



P「楓はどこだ?」

楓「あ、あの、その、今日は一緒に来ている人がいるので」

男1「まぁまぁいいじゃん」

男2「俺等といたら絶対楽しいよ」

男1「そうそう」

P「……」ゴス

男1「いった! てめえ何しやがる!!」

P「汚い目で楓を見てんじゃねえよ」ゴス

男1「お前やる気かよ!」メキョ

P「貧弱な殴打だな」ゴス

男1「うっ!」

男2「俺達はこの娘と今からデートなんだよ!」ゴッ

P「でーと? 俺ですらしたことないのにでけえ口きくなよ」ゴス

男2「ぐおっ!」

男1「じゃあ、お前がこの娘の連れか?」

P「連れじゃなくて保護者だ。だから害するものは徹底的に排除する。これ以上殴られたくなかったらどっか行け」

男1「そんくらいであきらめるかよ」ゴッ

男2「ぬううん」ゴッ

P「これ以上殴ると俺も社会的にヤバイな。楓とデートしたいなら俺を殴り倒してからにしろよ」

男1「お前、痛くねえのかよ」

P「痛いに決まってんだろ」

男2「こ、こいつ化けもんだぞ。あの子は可愛いけど他にもいるって。諦めよう」

男「くそっ。しかたねえ。行くぞ」

P「うーい楓。待ぁたせたな」

楓「ぷ、プロデューサー。怖かったですよぅ」

P「まぁまぁ、あいつらは引き下がってくれたからいいじゃないか。それにナンパされる程楓は可愛いんだぞ」

楓「それにプロデューサーも顔に青じみがいっぱい」

P「俺は大丈夫だよ。そんなことより、ほら涙拭け」

楓「はい。ありがとうございます」

P「とんだ邪魔が入ったがこれ、今日のこと忘れないように、な」

楓「髪飾りですか?」

P「ああ、お前に似合うと思うぞ」

楓「そんなに他の人に私を見せたくないですか?」

P「ああ、見せたくない。アイドルという職業上仕方のないことだができることならお前は他の男に見せたくない。さっきのような可愛い子なら誰でもいいような奴らは許せない」

楓「じゃあ、大人失格ですね」

P「まぁ、手を出したしな。カッとなった」

楓「そうですよ。私はあのくらいで知らない人に屈しません」

P「泣いてたじゃん」

楓「そ、それは関係ないです。いいですか? 次、こんなことがあっても絶対に人を傷つけちゃダメですよ」

P「お前の方が全然大人だな」

楓「プロデューサーは子供ですか?」

P「大人だよ。年は。まぁお前が思ってる程精神は大人じゃないかもな」

楓「えー、プロデューサーは大人ですよ」

P「何で食いつくんだ」

楓「だって事務所の皆に私のプロデューサーは大人だって自慢しちゃいましたし」

P「プロデューサーやってる奴は皆大人だよ」

楓「そういうことじゃなくて」

楓「頼りがいがあるじゃないですか。私のこと守ってくれるじゃないですか」

P「そりゃアイドルだからな。お前に傷が付いたら俺も困る」

楓「そんなこと言っても分かってるんですよ? 本当に私のこと大事にしてくれること」

P「うんうん、わかったわかった。とりあえず帰るぞ」

楓「あ、まだ話は……」

事務所

楓「プロデューサー、もし私がアイドルじゃなくても守ってくれますか?」

P「まだ、それ引っ張るのか。守る義理がないんだから守らんよ」

楓「嘘ついてますね」

P「嘘じゃない。俺は価値のないものに興味はない」

楓「もう素直じゃないんですから」

P「お前は何で俺に構うんだよ」

楓「だって楽しいじゃないですか。プロデューサー程面白い人はいませんよ」

P「俺の何が面白いんだ」

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