【ガルパン】しほ「娘の話をしましょう」 (18)

注意
オリキャラが出ます

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ある日、戦車道の名門、西住流の家元である西住しほを訪ねてある人物が戸を叩いた。
その人物とはしほの後輩であり、黒森峰女学園の現隊長、逸見エリカの母である逸見アンナだ。
客間に通されたアンナは、しほと顔を合わせると深々とお辞儀をした。

アンナ「ご無沙汰しております、隊長。」

しほ「久しぶりね。今日はどうしたの?」

アンナ「たまたま近くまで来たので会いたくなってしまって……すみません、お忙しいのに。」

しほ「大丈夫よ。ちょうど休憩しようと思ってたところだったから。」

アンナ「相変わらずお優しいですね、隊長。」

しほ「そんなこと言うの、あなたくらいよ?それにしても、あなたまだその呼び方が抜けないのね。」

アンナ「今更変えられませんよ。もう染み付いてしまってますから。」

しほ「まぁいいけど。でも娘の前ではやめてちょうだい。」

アンナ「恥ずかしがりですね。昔のビデオも見せてないんでしょう?隊長の凛々しいお姿を見せてあげればいいのに。」

しほ「あんな未熟な姿を見せたらまほに笑われてしまうわ。」

アンナ「えー、そんなことないですよ。ウチの子なんて私じゃなくて隊長を見て戦車を始めたんですよ?本格的にやりだしたのはまほさんの影響ですけど。」

少しむくれた顔をしたアンナの言葉がなんだか自慢しているようにも聞こえ、しほは思わず微笑んだ。

しほ「あなたたちは西住流に惚れる家系なのね。」

アンナ「そうですね。みほさんが男だったらエリカを嫁入りさせてたと思うくらい惚れてます。」

しほ「そこはまほじゃないの?」

アンナ「そしたらエリカは戦車にハマらないですからね。それにエリカはみほさんと相性いいみたいですし。」

しほ「まぁ、中学の頃は上手くやれていたみたいだけれど。」

アンナ「あの子ったら帰ってくるたびに話すんですよ?みほがみほがって。みほさんのことが気になってしょうがないみたい。」

しほ「羨ましいわね。まほもみほも、学校での話なんてめったにしてくれないわ。」

アンナ「隊長、厳しいですからね。もちろん優しいところもありますけど、子どもにはなかなかわかることじゃないですから。」

しほ「……自覚はしているわ。」

アンナ「まぁ成長していくにつれてわかってもらえますよ。エリカも反抗期のころは凄かったですから。昔はあんなに可愛かったのに。」

しほ「エリカさんも昔はよくウチに戦車を習いに来てたわね。みほとよくケンカしてたのを覚えてるわ。あの子たちは覚えてないでしょうけど。」

アンナ「もう10年以上も前の話ですからね。」

しほ「今ではあの子が黒森峰の隊長なんだから、不思議ね。素質があるのはわかっていたけれど。」

アンナ「私たちは副隊長の血筋だと思ってたんですけどね。みほさんの件はなんと言っていいか……。」

しほ「気を使わなくていいわ。あの子はあの子で楽しくやっているみたいだから。」

アンナ「なら良かったです。転校した直後は凄く落ち込んでたって聞きましたよ?」

しほ「そんな噂を信じているの?まったくのでたらめよ。」

アンナ「隊長、私にそんな嘘が通じると思ってるんですか?2年間常にあなたの隣にいたこの私に。」

ふふふ、と悪い顔をして笑うアンナにしほはため息をつく。

しほ「あなたも大概ね。」

アンナ「お褒めにあずかり光栄です。」

なぜか自慢気なアンナは言葉を続ける。

アンナ「でもなんだか熱い展開ですね!私たちの娘同士が戦うなんて!」

しほ「私としては嫌な展開だけどね。黒森峰を応援するにも大洗を応援するにも複雑な気持ちよ。」

興奮するアンナとは対照的に、しほは片手を額に当て、悩むような素振りを見せた。

アンナ「私は断然大洗派ですよ!みほさんの頑張る姿は昔の隊長を思い出しますから!」

しほ「黒森峰OGとしてそれもどうかと思うけれど……。」

しほは「自分の娘を応援しなさい。」と喉元まで出かかったが、自分が言える立場ではないと気がつきその言葉を飲み込んだ。
それを知ってか知らずかアンナは更に語る。

アンナ「私は隊長に憧れて黒森峰に入っただけですから!それにエリカのことは愛してますが、それとこれとは別です!」

しほ「でもみほは私じゃないわ。」

アンナ「それはもちろんわかってますよ。どちらかと言うとまほさんの方が似てますし。でもやっぱりみほさんにも重なるんです。昔の優しい隊長の姿が。」

しほ「まぁ、あなたがどう感じるかは自由だから、なんでもいいけど。」

アンナ「隊長、今嬉しいのをごまかしましたね?」

アンナが指摘すると、しほはふいと顔を背けた。

しほ「そんなわけないでしょ。そろそろ仕事に戻るわ。」

アンナ「ではそういうことにしておきます。また来ますね。」

しほ「ええ、またね。……エリカさんにもまた遊びにくるよう伝えて。」

アンナ「ええ、みほさんを連れてご両親に挨拶をするようにと伝えておきますね。」

しほ「ちょっと!アンナ!」

アンナ「失礼しまーす!」

冗談まじりの挨拶をして逃げるように部屋を出たアンナの姿を見送り、しほはため息を吐いた。
その表情は柔らかく、優しいものだった。

以上です。

気分転換に思いついたものを書きました。
これも1つのエリみほなんやなって。

オリキャラのアンナですが、エリカの母は子どもみたいな無邪気さを持った銀髪ロングの女性かなと妄想して作りました。
そのうち本当の母が姉と一緒に劇中に出てくることを期待しています。

次回は以前告知したR18のエリみほです。
もうほとんど書き終わってるのでGW中に間に合うかどうかのところで投稿できるかと思います。

ではここまで読んでいただきありがとうございました。

乙ありです!

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